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中国残留邦人等に対する援護について

 中国残留邦人等対策の充実については、これまで、永住帰国者の受入れ及び帰国者等の定着自立促進を図ってきたところである。
 平成16年度においては、さらに中国残留邦人等の高齢化に伴う対策と2・3世の就労対策等を充実させ、帰国者等への継続的な支援施策を行うこととしているので、各都道府県におかれては一層の御協力をお願いしたい。
 特に、中国帰国者支援・交流センターは、帰国後4年目以降の者も対象とし、就労に結びつく日本語習得支援や生活相談、地域社会から孤立しがちな帰国者やその家族が地域の人々と接点を持ち社会的自立を図ることができるよう事業を実施しており、その役割は重要なものとなっているので、同センターによる事業の趣旨を御理解いただき、御協力をお願いしたい。

(1 )中国帰国者支援・交流センター事業の充実
 九州中国帰国者支援・交流センターの開設
 平成13年度から、首都圏(東京)及び近畿圏(大阪)に「中国帰国者支援・交流センター」を開設し、事業を行っているところであるが、平成16年度には、九州圏(福岡)にも支援・交流センターを開設し、地域性を生かした支援体制の整備を図ることとしている。
 高齢帰国者向け日本語教室の開設
 高齢帰国者が恒常的に通える日本語教室を各地のボランティアの協力を得て開設し、親しみやすい日本語習得や他の帰国者等との交流の場を提供していくこととし、平成16年度は、支援・交流センター3か所に加え、全国のうち需要が多く見込まれる6地域で開始する。
 各都道府県におかれては、日本語通信教育のスクーリングやボランティアの育成を目指す研修会「まなびや」、また、高齢帰国者の引きこもり防止を目的に定期的な電話や訪問を行う「高齢帰国者友愛事業」などとともに、事業推進に一層の御協力をお願いしたい。

(2 )中国帰国者自立研修センターにおける職場体験学習の実施
 平成16年度から、帰国者2・3世の就労支援策として、自立研修センターでの研修期間中に実際に職場を体験し、雇用慣行や実践的な日本語の習得を図る事業を、3か所程度の自立研修センターでモデル的に実施することとしている。
 体験期間は2週間程度とし、参加者への交通費や受入事業所への謝金等のほか、就労相談員や自立支援通訳を派遣できるよう委託費で措置することとしている。

(3 )中国帰国者定着促進センターの入所期間の延長
 中国帰国者の高齢化を踏まえ、平成16年度から、従来4か月間であった入所期間を6か月間に延長し、基礎的な日本語教育と複雑化した日本の社会事情等についての理解を深めるための基礎的知識を学習する機会を充実させることとしている。

(4 )各地域における帰国者に対する自立支援の充実
 各地域に定着している中国帰国者については、従来からも、国が実施する事業以外に、各地方公共団体やボランティア団体等が独自に日本語教育をはじめとする自立支援に取り組んでいただいているところと承知しているが、帰国者の高齢化が進展していることなどから、より一層の支援強化が必要となっているところである。

 このため、厚生労働省においては、上記のように事業の拡充を図ることとしているところであるが、各都道府県においても、帰国者は地域住民であるとの観点から、ボランティア団体等とも連携しつつ、さらなる支援の充実を図るよう、御協力をお願いしたい。

(参考)
中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律
 第 4条 国及び地方公共団体は、永住帰国した中国残留邦人等の地域社会における早期の自立の促進及び生活の安定を図るため、必要な施策を講ずるものとする。
 国は、必要があると認めるときは、地方公共団体が講ずる前項の施策について、援助を行うものとする。
 第 5条 国及び地方公共団体は、中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援のための施策を有機的連携の下に総合的に、策定し、及び実施するものとする。


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