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2 ホームレス対策について(地域福祉課)

(1 )ホームレス問題に対応するための体制整備について
 ホームレス問題への対応については、雇用、住宅、保健医療、福祉等各分野にわたる総合的な取り組みが重要である。このため、特にホームレスを多く抱える地方公共団体においては、総合的に施策を推進できるよう連絡会議の設置など庁内体制の整備に配慮願いたい。

(2 )実施計画の策定について
 ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法に基づき、国は、平成15年7月末に「ホームレスの自立の支援等に関する基本方針」(以下、「基本方針」という。)を策定し、雇用、住宅、保健医療、福祉等の各分野にわたる施策を推進するための方針を示したところである。
 地方公共団体においても、必要があると認めるときは、この基本方針等に即し、実施計画を策定することとなっている。現在、一部の府県において、実施計画の策定に取り組まれているが、ホームレス問題については早期にその解決を図る必要があることから、実施計画の策定が必要とされる都道府県においては、他県の状況を見守るのではなく、迅速に実施計画を策定し、管内市町村に示すとともに、実施計画の策定が必要とされる市町村においても、早期に実施計画を策定するよう配慮願いたい。

(3 )平成16年度のホームレス対策事業について
 平成16年度のホームレス対策事業については、以下のように新規事業の創設や既存事業の改善・拡充を図ることとしているので、積極的な取り組みを図るとともに、必要に応じて、社会福祉法人、NPO等の民間団体との連携、協力の下での事業の実施を検討されたい。
 なお、自立支援センターの小規模型・サテライト型の設置にあたっては、各地方公共団体におけるホームレスの数や実態等を充分に考慮した上で当該事業の実施を検討されたい。
 ア  ホームレス衛生改善事業の創設
 入浴等のサービスを提供することにより、衛生状態を改善し、合わせて生活面や健康面等の相談を行い必要な施策につなげる。
 イ  ホームレス自立支援事業の改善
 利用定員10人以上30人未満の小規模型・サテライト型の自立支援センターの設置運営を図る。
 ウ  実施主体の拡大
 ホームレスが少ない地方公共団体におけるホームレス対策を推進する観点から、ホームレス自立支援事業等の実施主体に都道府県を加え、広域的な事業展開を可能とする。

(参考)ホームレス対策の流れ
平成14年8月  「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」公布施行
平成15年
1月〜2月  「ホームレスの実態に関する全国調査」を実施
・全国のホームレス数 581市町村で約2万5千人
平成15年7月  「ホームレスの自立の支援等に関する基本方針」を告示
平成15年8月  基本方針に基づき各地方公共団体において実施計画を策定



厚生労働省の平成16年度ホームレス対策予算(案)の概要

平成15年度予算額 平成16年度予算(案)
ホームレス対策予算 2,703百万円 3,018百万円

I 自立支援事業等の拡充

 ホームレス総合相談推進事業 317百万円
 行政、民間団体、地域住民等で構成するホームレス総合相談推進協議会を設置し、ホームレス問題に関する協議・調整、総合相談の企画等を行う。また、相談計画に基づく巡回相談活動等を実施する。
  ○実施ヵ所数: 協議会
 13ヵ所  →  18ヵ所   ○補助率: 直接補助、間接補助 1/2
巡回相談  20チーム(1チーム相談員10名の場合)
  ○補助基準単価(案): 協議会  1ヵ所@4,998千円
巡回相談  1チーム(相談員10名の場合)当たり @27,232千円

 ホームレス自立支援事業 1,185百万円
 ホームレスに対し、宿所及び食事の提供、健康診断、生活相談・指導等を行い、自立意欲を喚起させるとともに、公共職業安定所との密接な連携の下で職業相談等を行う。
 また、ホームレスの少ない自治体等においても、事業に取り組みやすいよう運営要件の緩和を図る。
  ○ 実施か所数:
16ヵ所  →  20ヵ所   ○補助率: 直接補助、間接補助 1/2
ツ○ 内容の改善:
設置運営要件の緩和(小規模型、サテライト型の設置運営)
 利用定員10以上30人未満
  ○補助基準単価(案):
50人施設@ 71,611千円  100人施設 @112,812千円
200人施設@ 190,871千円  300人施設 @272,850千円
 ・ 小規模型(10人施設の場合)  @18,828千円
 ・ サテライト型(分館) センター本館と分館の合計利用定員分を適用するとともに、@1,934,100円を加算
 ・ 賃貸の場合 1ヵ所当たり60,000千円を加算

 ホームレス緊急一時宿泊事業(シェルター事業) 444百万円
 都市公園等でテント張り・小屋掛けにより生活するホームレスの健康状態の悪化の防止等のため、緊急一時的な宿泊場所を提供する。
  ○実施か所数:10ヵ所(3,100人分)  ○補助率:直接補助、間接補助 1/2
  ○補助基準単価(案): 50人施設@ 33,058千円  100人施設@ 51,976千円
200人施設@ 75,799千円  300人施設@ 115,642千円
600人施設@ 149,357千円

 ホームレス能力活用推進事業 87百万円
 一般雇用施策での対応が困難なホームレスに対し、清掃業務や廃品回収などのいわゆる「都市雑業的」な職種の情報収集・提供やその職種についての知識・技能の付与を行う。
  ○実施か所数:5ヵ所 → 10ヵ所  ○補助率:直接補助、間接補助 1/2
  ○補助基準単価(案):1ヵ所当たり@ 17,413千円

 実施主体の拡大・負担割合の見直し(事項要求) 上記1〜4の事業について
 実態調査の結果(指定都市・中核市以外の市町村にもホームレスが点在)を踏まえ、(1)都道府県を実施主体に加え広域的な事業展開を可能とするとともに、(2)指定都市・中核市以外の市町村の取り組みを推進するため負担割合を軽減する。
 なお、事業の実施に当たっては、社会福祉法人等への委託も可。
 ・ 市町村(国1/2、市町村1/2)  → 都道府県(国1/2、都道府県1/2)
市町村 (国1/2、都道府県1/4、市町村1/4)
(指定都市、中核市の場合(国1/2、指定都市・中核市1/2))

II 保健衛生の向上

 ホームレス衛生改善事業 25百万円
 劣悪な衛生環境におかれているホームレスの実態に鑑み、入浴等のサービスを提供することにより、衛生状態を改善し、併せて生活面や健康面等の相談を行い、必要な施策につなげる。
 ○実施ヵ所数 10ヵ所
 ○実施主体 都道府県・市町村(社会福祉法人等に委託可)  ○補助率: 直接補助、間接補助 1/2
 ○補助基準単価(案):1ヵ所当たり@ 4,996千円

 ホームレス保健サービス支援事業(健康局) 10百万円
 健康に不安を抱えるホームレスに対し、保健所や市町村の保健師等による血圧測定、尿・血液検査、健康相談等を行う。
 ○実施ヵ所数 18ヵ所
 ○実施主体 都道府県・保健所設置市・特別区 ○補助率:1/2

III 就業機会の確保

 ホームレス自立支援職業相談員の配置(職業安定局) 176百万円
 自立支援センター設置地域の公共職業安定所に職業相談員を配置し、きめ細かな職業相談等を行う。さらに、ホームレスとなるおそれのある者が多数存在する地域を管轄する公共職業安定所に職業相談員を配置して同様に職業相談等を行う。
 ○自立支援センター:57人→63人(16ヵ所→20ヵ所)
 ○ホームレスとなるおそれのある者が多数存在する地域:10人

 ホームレス就業開拓推進員の配置(職業安定局) 42百万円
 自立支援センター設置地域の公共職業安定所に「ホームレス就業開拓推進員(仮称)」を配置し、ホームレスの就業ニーズに応じた求人開拓や求人情報等の収集・提供を行う。また、事業主に対する啓発活動を行う。
 ○推進員:17人

 日雇労働者等技能講習事業(職業安定局) 494百万円
 日雇労働者及び自立支援センターに入所しているホームレスに対して、職場で必要とされる資格・免許の取得等を目的とした技能講習を実施することにより、就業の機会の確保を図るとともに常用雇用の促進を図る。
 ○自立支援センター 1,473人
 ○日雇労働者 1,254人

10  ホームレス等試行雇用事業(職業安定局) 236百万円
 自立支援センターに入所しているホームレスや常用雇用を希望する日雇労働者を対象に、事業所における一定期間の試行雇用(試行雇用実施事業主に対しては奨励金を支給)により、ホームレス等の新たな職場への円滑な適応を促進し、常用雇用への移行につなげる。
 ○ ホームレス 1,080人  →  1,290人
日雇労働者 520人  → 280人
 ○試行雇用対象者1人あたり月5万円 3ヶ月間支給


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