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1 生活保護制度の運営について(保護課)

(1 )生活保護制度の在り方の検討
 生活保護制度の在り方に関する専門委員会
 生活保護制度については、社会保障審議会福祉部会に設置された「生活保護制度の在り方に関する専門委員会」において、昨年8月以来6回にわたり議論が行われ、昨年12月に、主に生活扶助基準について、中間的な取りまとめが行われたところである。これを踏まえ、老齢加算について縮減を図ることとした。
 本年は、保護基準の在り方のほか、自立支援等制度・運用の在り方についても議論していただき、その結果を踏まえ、平成17年度に必要な見直しを実施することとしている。その際には、制度の運用を担っている各都道府県・市からも、意見を伺いたいと考えているので、よろしくお願いしたい。

 三位一体の改革における生活保護費負担金の見直し
 三位一体改革の推進については、昨年6月に閣議決定された「骨太の方針第3弾」において、政府全体で平成18年度までに概ね4兆円程度を目途に国庫補助負担金の改革を行うとともに、地方交付税の改革や税源移譲を含む税源配分の見直しを三位一体で推進していくことが決定された。
 こうした中で、生活保護費負担金については、昨年12月、政府と与党の間で次のように了承されたところであり、厚生労働省としては、平成17年度に向けて、地方団体関係者等と協議しつつ、政府部内で検討し、その結果を踏まえ、適切に対処してまいりたいと考えている。
 三位一体の改革に関する政府・与党協議会了承
 生活保護費負担金の見直しについては、自治体の自主性、独自性を生かし、民間の力も活用した自立・就労支援の推進、事務執行体制の整備、給付の在り方、国と地方の役割・費用負担等について、地方団体関係者等と協議しつつ、検討を行い、その結果に基づいて平成17年度に実施する。

(2 )平成16年度生活保護基準の改定
 生活扶助基準
 生活扶助基準については、一般国民の消費水準との均衡が図られるよう、政府経済見通しにおける民間最終消費支出の伸びを基礎とし、国民の消費動向や社会経済情勢を総合的に勘案し改定している。
 平成16年度においては、政府経済見通しの民間最終消費支出の伸びを基礎とし、生活扶助の対象とならない家賃等を除外する算定を行うとともに、前年度の見通しと実績見込みとの調整を図った結果、0.2%引き下げることとした。改定後の1級地の1の標準3人世帯の生活扶助基準額は、16万2,170円となる。
標準3人世帯(33歳男・29歳女・4歳子)
  平成15年度 平成16年度
1級地−1  162,490円  162,170円
1級地−2  155,190  154,870
2級地−1  147,870  147,560
2級地−2  140,550  140,270
3級地−1  133,240  132,990
3級地−2  125,940  125,690
 老齢加算の段階的廃止
 老齢加算については、生活保護制度の在り方に関する専門委員会において、単身無職の一般低所得高齢者世帯の消費実態等に基づいて、その在り方に関する議論が行われたところであるが、消費実態において、
 60歳代の者と70歳以上の者の消費支出額を比較すると、70歳以上の者の消費支出額が少ないことから、70歳以上の者について、現行の老齢加算に相当するだけの特別な需要があるとはいえないこと
 70歳以上の者の消費支出額と被保護高齢者世帯の基準額を比較すると、生活保護の基準額の方が高いこと
が認められること等から、先般の中間取りまとめにおいて、廃止の方向で見直すべきとされたところである。
 こうした中間取りまとめを踏まえる一方、現に老齢加算を受給している被保護世帯の生活水準が急に低下することのないように配慮する観点から、平成16年度より段階的に老齢加算の縮減を図ることとしたものである。
 これにより、平成16年度における老齢加算は、
 原則として、当該年度に71歳以上となる者に適用(1級地:9,670円)されることとなり、
 新たに70歳に到達する者については、60歳代の生活水準が引き続き維持されるよう、これと別に経過的な加算(1級地:3,760円)を設ける
こととしているが、これらの具体的取扱い及び各級地別の加算額については、別途お知らせすることとしている。

 その他の扶助
 住宅扶助の住宅維持費、出産扶助(施設分娩)、生業扶助の技能修得費及び就職支度費、葬祭扶助等については、それぞれの扶助の性格を踏まえ、費用の実態等を勘案し、所要の改定を図ることとしている。

(3 )生活保護の動向
 最近の保護動向は、平成7年度を底に被保護人員、保護率共に急激に増加している。
○平成7年度
 被保護人員 約88万2,000人
 保護率 7.0‰
○平成15年10月現在(速報値)
 被保護人員 約135万3,000人
 保護率 10.6‰

 被保護人員の状況
(ア )地域別
 平成7年度から14年度までの間に全国で約36万人増加しており、そのうち市部の増加が顕著となっている。
 保護率の伸びが著しい地域
 大阪市、神戸市、札幌市、川崎市、大阪府


(イ )年齢階級別

年齢階級別被保護人員の推移
総数 0〜14歳 15〜49歳 50〜59歳 60〜64歳 65歳〜
平成
(100.0)
856,393
(100.0)
111,286
(100.0)
216,647
(100.0)
151,706
(100.0)
93,046
(100.0)
283,708
(102.2)
875,652
(96.7)
107,650
(97.6)
211,525
(99.1)
150,386
(107.0)
99,544
(108.1)
306,547
14 (139.1)
1,191,151
(135.7)
151,015
(118.2)
255,978
(134.6)
204,256
(140.3)
130,582
(158.4)
449,320
(注)上段括弧書きは指数(平成7年=100)
資料:被保護者全国一斉調査(基礎)

 被保護世帯の状況
(ア )世帯類型別
 世帯数が底であった平成4年度から14年度までの間に全国で約28万世帯増加しているが、平成9年度からの伸び率でみると、母子世帯やその他世帯等、稼働能力のある世帯の増加が著しい。
世帯類型別被保護世帯数の推移
  平成9年度 構成割合(%) 平成15年10月 構成割合(%) 増加率
総数 630,577 100.0 945,823 100.0 150.0%
高齢者世帯 277,409 44.0 437,187 46.2 157.6%
母子世帯 52,206 8.3 83,069 8.8 159.1%
傷病者・
障害者世帯
258,558 41.0 339,256 35.9 131.2%
その他世帯 42,404 6.7 86,311 9.1 203.5%
資料:福祉行政報告例(平成15年10月分は概数値)

(イ )世帯人員別
 2人以上世帯の割合が減少し、単身世帯が増加している。
世帯人員別被保護世帯数の構成割合の推移
  平成4年 平成14年
1人世帯 68.6% 73.5%
2人世帯 18.5% 16.9%
3人以上世帯 12.9% 9.6%
平均世帯人員 1.53人 1.42人
資料:被保護者全国一斉調査(基礎)

 生活保護の開始及び廃止状況
 近年、保護の開始世帯数が急増してるものの、廃止世帯数は微増に止まっている。

保護の開始、廃止世帯数の年次推移
保護の開始、廃止世帯数の年次推移の図
資料:福祉行政報告例

保護開始理由別世帯数の年次推移
年度 総数 景気による影響と
考えられるもの
社会保障給付金の
減少・喪失
働いていた者の
死亡・離別等
傷病 その他
4 (100.0%)
8,584
(10.9%)
933
(0.6%)
50
(6.6%)
570
(80.1%)
6,874
(1.8%)
157
9 (100.0%)
11,305
(18.9%)
2,142
(0.9%)
104
(5.5%)
618
(61.2%)
6,916
(13.5%)
1,525
14 (100.0%)
16,894
(32.0%)
5,404
(1.4%)
235
(5.6%)
941
(40.9%)
6,905
(20.2%)
3,409
資料:福祉行政報告例(各年9月)

 今後の保護の動向
 保護の動向は、景気動向等の経済的要因、高齢化の進展等の社会的要因や他法他施策の整備状況、実施機関の取組等様々な要因の影響を受けるものと考えられる。
 最近の社会経済状況をみると、景気の停滞が長く続いており、完全失業率が依然として高い水準で推移していることから、今後とも被保護人員及び被保護世帯数は増加傾向が続くものと考えられる。

 積極的な保護動向の把握
 保護開始世帯数が増加しているにもかかわらず、保護廃止世帯数は、ほぼ変化がない状況であること、母子世帯やその他世帯等稼働能力のある世帯が増加していることから、自立・就労支援等により、保護廃止に向けた積極的な取り組みが求められている。
 このため、各都道府県におかれては、管下各自治体の保護動向について、年齢階級や世帯類型等様々な角度から積極的に分析を行い、地域の特徴に即した保護の適切な運営が図られるようお願いしたい。

 保護費負担金の確保
 保護費負担金の平成16年度予算(案)については、老齢加算の段階的廃止や国民の消費動向等を勘案して行われる生活扶助基準の改定の影響を踏まえつつ、依然として、長引く不況の影響等により、被保護人員が大幅に増加していること等を総合的に勘案し、対前年度比2,257億円増の1兆7,107億円を計上しているところである。
(参考 )平成16年度予算(案)の状況
  15'予算 16'予算(案) 増△減額
保護費負担金 1兆4,850億円 1兆7,107億円 2,257億円

(4 )生活保護の適切な運営
 生活保護は、国民生活の最後の拠り所となる制度であり、国民の理解と信頼を得られるよう、次の点に留意し、適切な保護の決定実施を行う体制の整備が講じられるようお願いしたい。
 保護の相談における窓口対応等について
 管内実施機関に対しては、以下の点に留意しつつ、研修等を通じて職員の資質の向上、必要な助言や指導に努められたい。
(ア )保護の相談における窓口対応等
 生活困窮者の発見及び適切な保護のために生活困窮者に関する情報が福祉事務所の窓口につながるよう、住民に対する生活保護制度の周知、保健福祉関係部局や社会保険・水道・住宅担当部局等の関係機関との連絡・連携を図るとともに、要保護者に対するきめ細かな面接相談、申請の意思のある方への申請手続の援助指導を行う。
(イ )就労促進への取組
 稼働能力があるにも関わらず、解雇等に起因して要保護状態となった被保護者については、公共職業安定所との連絡会議の開催等による連携、公共職業安定所のOB職員等の雇上げ及び技能修得費の活用等の取組を、積極的かつ重点的に実施することにより、被保護者の効果的な就労促進に努める。
(ウ )ホームレスに対する保護の適用
 昨年7月に策定された以下の指針等により、引き続き、地域の実情に応じた適切な保護が行われるよう実施機関への指導を行う。
 (1) 「ホームレスの自立の支援等に関する基本方針」(15.7.31厚生労働省・国土交通省告示)
 (2) 「ホームレスに対する生活保護の適用について」(15.7.31保護課長通知)
 また、社会福祉法に規定する第2種社会福祉事業の無料低額宿泊所に入居している被保護者については、ケースワーカーの的確な訪問調査活動の実施により、処遇状況を確認するとともに、必要に応じ、居宅生活へ向けての援助指導を行う。

 医療扶助の適正運営
 被保護者の適切な処遇の確保並びに生活保護費の適正支出を図る上で、医療扶助の適正運営は重要な課題であることから、各都道府県市においては、下記の事項に留意の上、長期入院患者の退院促進や頻回受診者に対する適正受診指導など、医療扶助の適正化対策について、地域の実情に応じた積極的な取組をお願いしたい。
(ア )いわゆる社会的入院の解消
 いわゆる社会的入院患者に対しては、適切な受入先の確保を図るとともに、個々の退院阻害要因の解消や退院に向けた指導援助を行うための相談支援体制の充実を図る。
(イ )診療報酬請求書(レセプト)点検の徹底
 診療報酬請求書(レセプト)の点検は、医療扶助受給者の病状把握や医療扶助費の適正な支出を図るために必要不可欠なものであることから、全てのレセプトについて点検を行うとともに、適宜点検効果の検証を行い、効果が不十分と思われる場合は点検方法の見直しを行うなど、より効率的かつ効果的な点検を実施する。

 介護扶助の適正運営
 介護扶助受給者は着実に増加している一方、介護報酬の不正請求等による指定介護機関の取消など不適切な事例も見受けられることから、生活保護担当部局と介護保険担当部局等との連携体制の充実を図りつつ、指定介護機関に対して生活保護制度の周知を含めて指導を徹底するなど、介護扶助の適正実施に努められたい。

 生活保護費補助金の活用
 生活保護費補助金については、平成16年度予算(案)において、
(1) 「生活保護適正実施推進事業」(60億円:補助率10/10)について事業の見直しを行い、実効性のある事業に重点化を図るとともに、新たに、
(2) 「自立・就労支援等事業(仮称)」(20億円:補助率1/2)を創設した。
(参考)参照)。
 各自治体におかれては、制度の適正な実施に資するよう、これら事業を積極的に活用されたい。
 なお、補助事業の採択にあたっては、専門知識を有する非常勤職員の雇い上げにより保護実施体制の強化を図る事業等、実施の効果が高いと認められる事業を優先したいと考えているので留意いただきたい。
 また、新たに創設する自立・就労支援等事業(仮称)の詳細については、追ってお知らせする。



(参考)
生活保護費補助金の概要

生活保護適正実施推進事業
 16年度予算(案) : 60億円(補助率10/10)
 生活保護適正実施推進事業の見直しを行い、実効性のある事業に重点化する。

(事業例)
 ・  診療報酬明細書等点検充実事業
 支払基金等から送付される診療報酬明細書等について嘱託職員又は外部委託より当該明細書等の内容の点検を行い、明細書の内容に誤りがあった場合、過誤調整若しくは再審査請求を行う。
 ・  収入・資産状況把握、扶養義務調査等充実事業
 被保護者から定期的に収入・資産報告書を徴収し、課税調査、預貯金調査等を行い、不適切なケースについては、世帯訪問を行う。
 調査の結果、不当(正)受給の事実が発見された場合は、保護の変更(停止を含む。)を行う。
 ・  就労促進事業
 稼働能力を有しながら、身体的(傷病、障害等)、家庭的(育児、介護等)、社会的(失業、雇用困難等)事情により就労に結びつかない被保護者(主に稼働年齢層)に対し、ハローワーク等と連携し、就労に関する指導及び助言等を行う。

自立・就労支援等事業(仮称)の創設
 16年度予算(案) : 20億円(補助率1/2)
 自治体における民間の活力も活用した自立・就労支援の取組みを新たに推進する補助事業を創設。

(事業例(案))
 ・  技能修得等支援事業
 就労に必要な作業能力、対人関係、環境に適用する能力などが十分でないため、就労が困難となっている被保護者を、社会生活訓練等の一環として、一定期間、事業所に通わせることにより、勤労意欲を助長させ、技能修得を促進する等により、段階的に常勤雇用につながるよう支援する。
 ・  退院者等居宅生活支援事業
 精神病院等から退院した居宅で生活する被保護者等に対し、家事、服薬管理等の日常生活を送る上で必要な生活指導、支援を実施するとともに、地域住民との交流や創作活動、軽作業等を行う活動の場等を提供することにより、被保護者が居宅生活を継続するために必要な支援を行う。


(5 )保護施設の整備及び運営
 基本的考え方
 救護施設については、在宅での生活が困難な精神疾患による患者、重複障害者等の受入施設としての需要が増大しており、特に、いわゆる社会的入院の解消という観点からも、退院患者の受入先としての役割に期待が寄せられているところである。
 また、近年の雇用・経済状況を反映し、特に都市部においてホームレスが増加していること等から、更生施設や宿所提供施設においての対応が求められている。
 このため、必要な保護施設の整備が進められるよう、今般、保護施設の定員要件の緩和等を図るとともに、保護施設から居宅生活への移行を支援する事業の充実を図ったところである。
 各都道府県におかれては、これらの施策等の積極的活用をお願いする。

 保護施設の整備
 保護施設の整備促進策として平成16年度予算(案)においては、
(1)  保護施設の定員要件の緩和
救護施設
更生施設
宿所提供施設


 定員50人 → 定員30人
 平成15年度中に「救護施設、更生施設、授産施設及び宿所提供施設の設備及び運営に関する最低基準」(昭和41年7月1日厚生省令第18号)の改正を行う予定。
(2)  サテライト型救護施設の設置(別紙1参照)
 既存の救護施設(中心施設)の周辺への定員10名程度(概ね5人以上〜20人未満)の小規模な施設(サテライト型施設)の設置。
を行うこととしたところである。
 ついては、地域における保護施設の必要性を的確に把握し、計画的整備に積極的に取り組まれたい。

 保護施設の運営
(ア )保護施設への適切な入所
 保護施設には、精神障害を始めとする障害のある者や生活障害などの問題を有する者等が混在入所しているため、入所者の中には、(1) 高齢者や障害者など本来それぞれの特性に合った専門的な施設に入所すべき者(2) 支援体制等の条件が整えば居宅生活が可能な者も見受けられる。
 その場合には、保護施設への入所措置が適切か否かを検討し、入所先の変更などが必要となるため、常に入所者一人一人の状況把握に努め、より適切な処遇が確保されるよう管内福祉事務所に対して指導されたい。
(イ )居宅生活訓練事業
 平成16年度予算(案)において、救護施設に入所している被保護者がスムーズに居宅生活に移行し、自立した生活を送ることができるようにするため「居宅生活訓練事業」を創設したところである。(別紙2参照)
 本事業の趣旨を踏まえ、積極的に、救護施設、実施機関への働きかけを行われたい。



(別紙1)
サテライト型救護施設設置運営要綱(案)

 1  目的
 近年、精神疾患に係る入院患者の退院後の受入先等として、救護施設のニーズが高まっていることに鑑み、敷地が狭い等の理由により、増築が困難な救護施設等について小規模な施設(サテライト型救護施設)を設置できるものとし、地域の実情に応じた救護施設の整備を促進する。

 2  設置経営主体
 サテライト型施設の設置経営主体は、本体となる救護施設(以下「中心施設」という。)を設置経営する地方公共団体若しくは社会福祉法人とする。

 3 対象施設等
 (1 )中心施設は生活保護法第38条に規定する救護施設とする。
 (2 )中心施設とサテライト型施設をもって、単一の施設とする。
なお、サテライト型施設は複数設置できるものとする。

 4  定員
 入所定員は、原則、サテライト型施設1か所当たり5名以上20名以下とする。

 5  職員
 サテライト型施設には、、実務上の責任者(サテライト型施設担当責任者)の他、必要な職員を配置すること。

 6  運営
 中心施設の施設長の管理の下に中心施設と一体的に施設運営が行われるものとする。

 建物の構造及び設備
 建物の構造及び設備については、「救護施設、更生施設、授産施設及び宿所提供施設の設備及び運営に関する最低基準」(昭和41年7月1日厚生省令第18号)によるものとする。
 ただし、入所者の処遇に支障がないときは、本体施設との兼用等により、事務室、集会室等を設けないことができる。

 8  土地及び建物についての取扱い
 サテライト型施設に係る土地及び建物については、本体施設と同様の取扱いとすること。

 9  サテライト型施設設置の手続き
 (1 )都道府県は、中心施設と同様、生活保護法第40条第1項に基づき、サテライト型施設を設置することができる。
 (2 )サテライト型施設を設置しようとする市町村は、中心施設と同様、生活保護法第40条第2項に基づき、厚生労働省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。
 (3 )サテライト型施設を設置しようとする社会福祉法人は、中心施設と同様、生活保護法第41条に基づき、都道府県知事の認可を受けなければならない。

 10  施設整備費
 サテライト型施設の施設整備費については「社会福祉施設等施設整備費及び設備整備費の国庫負担(補助)について」(平成3年11月25日厚生省社第409号)に規定する救護施設の基準により行うものとする。

   今後、内容について変更があり得る。



(別紙2)
居宅生活訓練事業実施要綱(案)

 1  目的
 救護施設に入所している被保護者がスムーズに居宅生活に移行できるようにするため、施設において、居宅生活に向けた生活訓練を行うとともに、居宅生活に移行可能な対象者の訓練用住居(アパート、借家等)を確保し、より居宅生活に近い環境で実体験的に生活訓練を行うことにより、社会的自立を図る。

 2  対象者
 本事業の対象者は、生活保護法第38条に規定する救護施設に入所している者であって、6か月間の個別訓練を行うことにより、居宅において生活を送ることが可能であると認められる者のうちから、当該施設長により選定された者とする。
 また、事前に選定された対象者に対し、本事業の目的及び内容を十分説明し、その実施について了解を得ること。
 なお、事業終了後、居宅生活を送ることが可能となった者については、その居住地を所管する保護の実施機関が保護の実施責任を負うこととなるので、十分な連絡調整を図ること。

 3  実施施設の指定
 本事業は、次により指定された救護施設において実施するものとする。
 (1 )本事業を実施しようとする施設は、毎年度、事業に係る申請書を都道府県に提出し、その指定を受けること。
 (2 )都道府県知事は、実施施設の指定を行う場合には、毎年度、厚生労働大臣に協議すること。

 4  対象者の居住場所及び設備
 訓練用住居は、当該施設の近隣に確保し、通常の生活に必要な設備を有すること。
 なお、緊急時等の対応のため、電話設備を設けること。

 5  訓練期間・対象人員
 訓練期間は、原則6か月間(前期:4月〜9月、後期:10月〜3月の2期間)とし、対象人員は1期3〜5人とする。

 6  職員の実施体制
 本事業の実施に当たっては、原則として、2名以上の職員を配置することとし、本事業についての実務上の責任者(居宅生活訓練事業担当責任者)を専任職員として1名配置すること。
 また、本事業は、当該施設入所者の処遇の一環として実施するものなので、本体施設と十分、連携協力体制をとり、実施すること。

 7  事業の実施
 本事業の実施に当たっては、居宅生活訓練事業担当責任者を中心に、事業対象者の状況に応じ、あらかじめ6か月間の訓練計画を定め、効果的に行うこと。

 8  その他留意事項
 本事業の実施期間中は、衛生管理、健康管理について十分配慮すること。
 本事業の実施に当たっては事故の防止について十分留意すること。
 特に夜間においては、火災等に備えて最前の注意を払うこと。

   今後、内容について、変更があり得る。


(6 )生活保護及び保護施設の指導監査
 生活保護施行事務監査関係
 各実施機関において、被保護者の急増にもかかわらず必要な現業員、査察指導員の確保が困難な状況である等のために、保護の要件の確認、生活実態の把握等適切な保護の決定実施上の基本的事項に問題が認められる福祉事務所が少なからず見受けられる。
○査察指導員、現業員の未充足人数、事務所数
○平成7年度
査察指導員未充足数 5
査察指導員未充足事務所数 3 ヶ所
現業員未充足数 25
現業員未充足事務所数 21 ヶ所
○平成14年度
査察指導員未充足数 110
査察指導員未充足事務所数 84 ヶ所
現業員未充足数 858
現業員未充足事務所数 251 ヶ所

 都道府県本庁の生活保護施行事務監査においては、管内福祉事務所ごとの課題を的確に把握し、必要な現業員や査察指導員の確保に関する指導等、その課題に応じた具体的な助言・指導を行うようお願いしたい。
 また、福祉事務所におけるそれぞれの者の役割に応じた具体的な取り組みへの指導を行うことにより、組織的な運営管理の推進が図られるようお願いしたい。
 具体的には
(1)  特に福祉事務所長等の実施機関の幹部職員に対しては、運営方針の策定や実施体制の確保についての意識の醸成を図ること。
(2)  査察指導員に対しては、的確なケース審査とケース処遇の進行管理を厳格に行うことが保護の適切な運営の確保につながることを説明するなど、査察指導機能の重要性について十分周知すること。
(3)  個別の被保護世帯に対する指導援助にあたっては、多様な課題を有している世帯の増加を踏まえ、目的意識を持った訪問活動等を通じその世帯の抱える課題を明らかにするとともに、各種保健福祉サービス実施機関等との連携体制を構築するよう指導すること。
(4)  ケースに対する収入、資産等の関係先調査については、引き続き課税状況調査の全ケース一斉点検等関係先調査の徹底により収入状況等の確認をするよう指導すること。
 なお、会計検査院による平成14年度決算検査報告においても、就労収入の未申告及び過少申告、年金及び恩給収入の未申告等により8都道府県市で生活保護費負担金の経理が不当とされ、21ケースで8500万円の不当支出の指摘を受けたところであるので、留意願いたい。


 保護施設監査関係
 保護施設においても、健全で安定した運営の下に、入所者個々の特性に合った適切な入所者処遇が確保されるためには、施設に対する都道府県、指定都市及び中核市の指導監査の果たす役割が改めて重要となっている。
 平成16年度の監査に当たっては、適切な入所者処遇の確保及び施設の適正な運営管理体制の確立とともに、インフルエンザ対策、腸管出血性大腸菌感染症対策、レジオネラ症対策等施設の衛生管理や感染症予防にも重点を置き、適切な施設運営が図られるよう、引き続き厳正な指導監査の実施をお願いする。


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