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7.保育対策等について

(1 )待機児童ゼロ作戦の推進について
 都市部を中心に依然として保育所入所待機児童が多数いることから、平成13年7月6日の閣議決定「仕事と子育ての両立支援策の方針」等に基づき、「待機児童ゼロ作戦」を進めているところである。
 このため国においては、昨年10月に開催した「社会連帯による次世代育成支援に向けて・今後の保育のあり方に関する全国シンポジウム」において、待機児童の解消に向けた地方公共団体の取組事例を紹介するなど積極的な取組をお願いしているところであるが、以下の点に留意の上、待機児童の解消や多様な保育需要への対応について、更なるご配慮をお願いしたい。
 待機児童ゼロ作戦等を計画的に推進していくためには、国、地方公共団体双方における密接に連携した取り組みが必要であることから、昨年に引き続き、待機児童解消に向けた取組等についての調査を行うとともに、待機児童が多い市区町村に対してのヒアリング等を実施したいと考えているのでご協力をお願いしたい。
 また、平成15年7月16日に公布された改正児童福祉法により待機児童数が50人以上の市区町村等は保育計画(待機児童解消計画)策定することとされたところである。
 具体的には、平成16年4月1日における待機児童数が50人以上いる市区町村等は、平成17年度を始期とする保育計画を平成16年度中に策定することとなる。該当する自治体は「児童福祉法に基づく市町村保育計画等について」(平成15年8月22日雇児発第0822008号)を参考に計画の策定をお願いする。

 待機児童ゼロ作戦推進のための予算措置について
(ア )保育所運営費について
 平成16年度予算案においては、待機児童ゼロ作戦を推進するため、保育所受け入れ児童数を約5万人増加させることとしており、所要の財源措置を講じることとしている。

(イ )保育所の整備について
 新エンゼルプランに基づく多機能保育所等の整備及び待機児童ゼロ作戦による保育所の受入れ増は、平成16年度で終了するが、昨今の保育需要等に鑑み、平成17年度以降についても都市部を中心に一定程度の待機児童が存在することが想定されることから、引き続き多機能保育所等の整備に加え、保育所受け入れ児童数の増大を図ることとしている。
 このため、与党合意に基づく少子化対策として、待機児童の多い市町村を中心に保育所の緊急整備を行うため、平成16年度限りの経費として150億円を上乗せした299億円を計上している。
 ついては、待機児童解消に向けた保育所の創設、増築、分園の設置等を図るほか、新エンゼルプランに基づく多機能保育所の整備等、保育所整備について積極的な取組を図られたい。

(ウ )待機児童解消のための新たな取組等について
 平成16年度予算案においては、待機児童解消に向けた新たな取組として、
(1)  特定保育事業の対象年齢を3歳未満から就学前まで拡充するとともに、
(2)  駅前保育サービス提供施設等設置促進事業においては、「駅から近い場所」という要件を緩和し、市町村が保育サービスの供給に効果的と判断した場所に設置する場合においても補助対象することにした。
 また、送迎保育ステーション事業及び家庭的保育事業、認可化移行促進事業についても、必要な予算計上を行っているので、積極的な取組を図られたい。

 新エンゼルプラン推進のための予算措置について
 新エンゼルプラン関連経費についても、低年齢児受け入れの拡大を図るほか、延長保育、休日保育、一時保育等についても必要な予算計上を行っているところである。
 各地方公共団体においては、それぞれの地域における保育ニーズを的確に把握し、計画的なサービス提供体制の整備に努め、地域住民のニーズに応えることができるよう保育施策の充実に積極的に取り組まれたい。

(2 )特別保育事業について
 保育所における特別保育事業については、待機児童ゼロ作戦や新エンゼルプラン等に基づきその推進を図ってきたところである。
 平成16年度予算案においては、引き続き国の役割として計画的に実施すべき事業について重点化を図り、必要な予算を計上しているところである。
 各都道府県・指定都市・中核市においては、管内市町村及び保育所が地域における多様な保育需要に対する積極的な取組を図ることができるよう、特段の配慮をお願いしたい。
 主な改正内容は次のとおりである。

待機児童ゼロ作戦関係

(ア )特定保育事業の拡充
 週に2、3日程度、又は午前か午後のみ必要に応じて柔軟に利用できる保育サ−ビスを提供する特定保育事業について、対象年齢を3歳未満から就学前まで引き上げる。

<15年度> <16年度予算案>
対象児童 3歳未満  →  就学前
対象児童数 11,100人  →  28,800人
補助単価(月額)
  3歳未満 週2日程度 18,500円  → 18,320円
週3日程度 26,300円  → 26,000円
  3歳以上 週2日程度  −  → 9,400円
週3日程度  −  → 13,500円

(イ )駅前保育サービス提供施設等設置促進事業の拡充
 待機児童の解消などに積極的に活用できるよう、設置場所に関して要件を緩和する。

<15年度> <16年度予算案>
 駅等から近い場所  → 市町村が保育サービスの供給に効果的と判断した場所

新エンゼルプラン関係

 新エンゼルプランに基づく各事業については、着実に推進を図ることとしており、延長保育、一時保育などの一部事業については、取組状況を踏まえ、さらに目標値を超えた予算を計上している。
 また、地域子育て支援センターについては、計画どおり目標値分の予算を計上しているところである。

<15年度> <16年度予算案>
(ア) 延長保育の推進 11,500か所   →   13,100か所

(イ) 休日保育の推進 500か所   → 750か所

(ウ) 地域子育て支援センターの整備 2,700か所   → 3,000か所

(オ) 一時保育の推進 4,500か所   → 5,000か所

 一方で、限られた財源の中で、効果的に事業を実施していくために、乳児保育促進事業については、補助対象月数を6ヶ月から3ヶ月に重点化したところである。

(3 )「就学前の教育・保育を一体として捉えた一貫した総合施設」について

 「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」(平成15年6月27日閣議決定)において検討することとされた「就学前の教育・保育を一体として捉えた一貫した総合施設」については、待機児童解消を始め、地域の子育てニーズに幅広く応える観点から検討を行うこととしている。
 「総合施設」の検討スケジュールについては、平成16年度中に基本的な考えを取りまとめた上で、平成17年度中に試行事業を先行実施するなど、必要な法整備を行うことも含め様々な準備を行い、平成18年度から本格実施することとしている。
 これを踏まえ、現在、文部科学省との間で事務レベルによる協議を行うとともに、社会保障審議会児童部会における議論を開始したところである。

(4 )保育所の規制緩和に係る取扱い等について

 保育所の規制緩和に係る取扱いについて
 保育所については、従前より、設置主体制限の撤廃、賃貸方式の導入、分園方式の導入、短時間勤務保育士の導入等の規制緩和を行い、また、平成13年の児童福祉法改正により、公有財産を活用した保育所の設置又は運営を促進する規定を設けるなど、地域の保育需要に柔軟に応じられる体制の整備に努めてきたところである。
 これらの措置を受けて、各地方公共団体において地域の保育需要に応じた保育サービスの提供に努めていただいているところであるが、待機児童が多く存在するにもかかわらず、株式たとえば会社を始めとする社会福祉法人以外の民間主体による保育所の設置認可を認めないなどの対応をとっている地方公共団体が見受けられる。
 各地方公共団体におかれては、これまでに実施してきた各般の規制緩和措置を踏まえ、地域の保育需要に的確に応えた保育サービスの提供が行われるよう、適切な対応をお願いしたい。

 構造改革特区第3次提案への対応について
 構造改革特区に関する地方公共団体等からの第3次提案(平成15年6月1日〜6月30日の間に募集)を受けて、(1)公立保育所における給食の外部搬入方式の容認、(2)幼稚園と保育所の保育室の共用化の特例を可能としたところである。
 これらについては、年度内に関係通知を発出し、本年4月1日より特区計画の認定申請の受付けを開始する予定であるので、御了知願いたい。

(5 )保育士試験、保育士登録について
 保育士登録について
 保育士登録については、各都道府県の積極的な取組により円滑な実施が図られているところであるが、今春、全国で指定保育士養成施設を3万数千人が卒業することから、新年度に保育士として就業するに際して遅滞なく登録が完了するよう迅速な対応をお願いする。

 保育士試験について
 平成16年度の保育士試験は、指定試験機関制度を最大限に活用した統一試験が実施できるよう各都道府県と調整を図ってきたところであるが、試験内容の平準化及び試験合格者の均質化を図る統一試験の実現に向けて指定試験機関としての指定準備を進めている社団法人全国保育士養成協議会に対する指定について積極的な検討をお願いする。


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