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5.配偶者からの暴力(ドメスティック・バイオレンス)対策について
 「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」(以下、配偶者暴力防止法という。)については、平成13年4月6日に成立、同年10月13日に施行され、平成14年4月1日に全面施行されたところである。
 配偶者暴力防止法については、現在、参議院共生社会に関する調査会「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」の見直しに関するプロジェクトチームにおいて、改正に向けた検討を行っているところであり、改正案が議員立法により今通常国会に提出される見込みである。
 平成14年度の婦人相談所における一時保護件数を見ると、対前年比約30%増の6,261人(前年度4,823人)となっているが、このうち、夫等の暴力を主訴とする者が3,974人(前年度2,680人)で63.4%(前年度55.5%)を占めており、配偶者からの暴力被害者の保護の件数・割合が増加している。
 このため、平成16年度予算案においても、婦人相談所(一時保護所)に同伴乳幼児の対応を行う指導員を配置するなど、機能強化のための経費を確保したところであり、関係機関との連携、研修の充実等を含め、配偶者からの暴力の被害者に対する適切な保護・支援の取組について一層の推進に努めていただくようお願いする。
 また内閣府、総務省の所管であるが、地方公共団体が配偶者からの暴力被害者の保護を図るための活動を行う民間団体に対し財政援助を行った場合には、地方交付税法における特別の財政需要として、平成15年3月の特別交付税の算定基準に盛り込まれているので、(措置率0.5)、本制度についてご了知のうえ、必要に応じ活用方願いたい。

(1)婦人相談所等における対応の強化について
 ア  婦人相談所等における体制の強化について
 配偶者からの暴力に対する対策については、休日・夜間電話相談事業、婦人相談所職員等への専門研修、婦人相談所(一時保護所)及び婦人保護施設への心理療法担当職員の配置等様々な事業を実施し、被害者の保護・支援体制の充実、強化を図っているところである。
 また、被害者が乳幼児を同伴して一時保護されるケースが年々増加していることから、一時保護所において同伴乳幼児の世話を行うことにより、被害者が自立に向けた取組を安心して行える環境を整えるため、一定数(1日平均4人以上)の同伴乳幼児が保護されている婦人相談所の一時保護所に主に同伴乳幼児への対応を行う指導員(保育士等)を配置することとしたところである。
 今後とも、配偶者からの暴力に対する対策の充実を図るため、被害女性等への万全の対応及び婦人相談所等の体制整備について、積極的な取組をお願いする。

 イ  婦人相談所職員等への専門研修の実施について
 被害者が抱えている問題は複雑かつ深刻であり、相談・保護を必要とする被害者も増加しているが、心身ともに傷ついている被害者が、職務関係者からの言動により重ねて精神的被害を受ける「二次被害」の問題が指摘され、他方、相談に当たる婦人相談員等の精神的、心理的負担の増大、深刻化が指摘されているところである。
 婦人相談所、婦人保護施設、福祉事務所等においては、被害者の相談等に従事する職員に対し、配偶者からの暴力に関する特性の理解や法律に関する研修を実施しているところであるが、こうした実情を踏まえ、さらなる研修の充実について積極的な取組をお願いする。

 ウ  婦人相談所の職員の配置について
 婦人相談所の経常経費は社会福祉事業費として交付税措置されており、婦人相談所の職員については、標準団体で所長、判定員など7名分の給与費等が計上されている。配偶者暴力防止法の施行など婦人相談事業の高度、専門化を踏まえた婦人相談所職員の適正な配置をお願いする。

(2 )関係機関との連携について
 被害者の保護・支援に当たっては、相談の受付、保護、自立支援に向けた福祉、医療、保健、学校、警察、司法等の関係機関の緊密な連携・協力が必要である。また、広域措置により被害者の保護・支援を図る事例も多く、婦人相談所と福祉事務所等をはじめとする関係機関との連絡会議の開催や、事例検討会議を開催して事例集を作成するなど、関係機関とのネットワークの整備について積極的な対応をお願いする。


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