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2.次世代育成支援対策関連三法案について

(1)児童手当法の一部を改正する法律案について

〔趣旨〕
 我が国における急速な少子化の進行等を踏まえ、総合的な次世代育成支援対策を推進するため、子育てを行う家庭の経済的負担の軽減等を図る観点から、児童手当制度における支給対象年齢の延長を行う。

〔法案の概要〕
 1. 支給対象年齢の延長
現行 義務教育就学前まで → 改正案 小学校第3学年修了まで
(9歳到達後最初の年度末まで)
 2. 手当額
 現行どおり(第1子及び第2子月額5,000円、第3子以降月額10,000円)
 3. 所得制限
 現行どおり
 4. 費用負担
 拡充分について 国 2/3、地方1/3(公務員は全額所属庁)
 (現行の就学前特例給付と同じ)
 5. 実施時期
平成16年4月1日

(2)児童福祉法の一部を改正する法律案について

〔趣旨〕
 次世代育成支援対策を推進するため、児童虐待防止対策等の充実・強化、新たな小児慢性特定疾患対策の確立等の措置を講じる。

〔法案の概要〕
 1.児童虐待防止対策等の充実・強化
 (1 )児童相談に関する体制の充実
 児童相談に関し市町村が担う役割を法律上明確化するとともに、児童相談所の役割を要保護性の高い困難な事例への対応や市町村に対する後方支援に重点化すること。
 地方公共団体に要保護児童の状況の把握や情報交換を行うための協議会を設置できることとするとともに、協議会参加者の守秘義務、支援内容を一元的に把握する機関の選定等、その運営に関し必要な規定を整備すること。
 政令で定める市は児童相談所を設置できることとすること。
 児童福祉司の任用資格要件の見直しを行うこと。
 新任児童相談所長に対する研修を義務化すること。
 (2 )児童福祉施設、里親等の見直し
 乳児院及び児童養護施設の入所児童に関する年齢要件を見直すこと。
 受託児童の監護、教育及び懲戒に関する里親の権限を明確化すること。
 児童福祉施設等の業務として、退所した者に対する相談その他の援助を位置付けること。
 児童福祉施設に入所している児童に係る費用徴収に関し必要な情報を収集するための根拠規定を整備すること。
 保護受託者制度を廃止すること。
 (3 )要保護児童に関する司法関与の見直し
 家庭裁判所の承認を得て行う児童福祉施設への入所措置について有期限化すること。(28条事例)
 児童の保護者に対して児童相談所が行う指導措置について、家庭裁判所が関与する仕組みを導入すること。(28条事例)
 児童相談所長の親権喪失請求権を18歳以上の未成年者まで拡大すること。
 アの承認に関する審判の申立てが行われた場合において、審判前に家庭裁判所が保護者に対して面会や通信の制限を命ずることを可能とすること。(特別家事審判規則)
 2 .新たな小児慢性特定疾患対策の確立
 小児慢性特定疾患の患者に対する治療研究事業の実施の根拠規定、国の補助規定等を設けること。
 3.その他
 (1 )保育料収納事務の私人への委託を認めること。
 (2 )児童売買等について国民国外犯の処罰を求める児童の権利条約選択議定書を締結するため、所要の規定を整備すること。
 4 .実施時期
1(1)(ウを除く)、1(3)、3(1)については、平成17年4月1日
1(1)ウについては、平成18年4月1日
1(2)(アを除く)及び2については、平成16年10月1日
1(2)アについては、公布日
3(2)については、関連条約の発効日

(3 )育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律等の一部を改正する法律案について
〔趣旨〕
 次世代育成支援対策等において大きな課題となっている仕事と子育ての両立支援等をより一層推進するため、働き方の多様化を踏まえた育児休業制度及び介護休業制度の整備並びに育児や介護をしながら働き続けることができる環境の整備について所要の措置を講ずる。

〔法案の概要〕
平成16年1月16日、労働政策審議会に法律案要綱を諮問したところ。諮問した法律案要綱の概要は以下のとおり。
 1 .育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育児・介護休業法)の一部改正
 (1 )育児休業・介護休業の対象労働者の拡大
 期間を定めて雇用される者のうち、以下のいずれにも該当する者について、育児休業及び介護休業の対象に加える。
 同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上あること
 子が1歳に達する日を超えて雇用が継続することが見込まれること(子が1歳に達する日から1年を経過する日までに雇用関係が終了することが申出時点において明らかである者を除く)
※ 介護休業についても同様の考え方で適用
 (2 )育児休業期間の延長
 子が1歳を超えても休業が必要と認められる一定の場合にあっては、子が1歳6か月に達するまでの取得を可能とする。
 (3 )介護休業の取得回数制限の緩和
 同一の対象家族1人につき、介護を要する状態に至ったごとに1回、通算3か月の範囲内で取得を可能とする。
 (4 )子の看護休暇の権利化
 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者は、労働者1人につき年5日まで、病気やけがをした子の世話をするための子の看護休暇を取得できることとする。
 2 .雇用保険法の一部改正
 育児休業給付金及び介護休業給付金の支給範囲について、1.(2)及び(3)にあわせて改正を行う。
 3 .船員保険法の一部改正
 雇用保険法と同様の改正を行う。
 4 .実施時期
 平成17年4月1日


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