戻る

母子家庭の母の就業の支援に関する特別措置法について

 趣旨
 現在、我が国の経済情勢は非常に厳しく、子育てと生計の維持を一人で担わなければならない母子家庭の母は、就業面で一層不利な状況に置かれている。また、母子家庭の平均年収は、一人当たりで見ても一般世帯に比べて著しく低い水準にあるなど、その生活は厳しい。
 母子家庭の母については、子育てや生活支援策、就業支援策、養育費の確保策、経済的支援策といった総合的な自立支援策を実施するために、昨年11月に母子及び寡婦福祉法などの関連法律が改正されたが、あわせて、本年4月1日に施行された改正児童扶養手当法によって、支給開始から一定期間を経過した場合等における母子家庭の母に対する児童扶養手当の一部減額措置が導入されたところであり、その就業を確保することが従前に増して強く求められている。
 こうした状況に対処するため、母子家庭の母の就業支援について特別の立法措置を講じ、母子家庭の福祉を図るものとする。

二 概要
 母子家庭の母の就業支援策の充実
(1)  厚生労働大臣は、平成20年3月末までの期間(以下「対象期間」という。)に係る母子及び寡婦福祉法の基本方針については、母子家庭の母の就業に関する状況を踏まえ、その就業の支援に特別の配慮がなされたものとしなければならないものとする。
(2)  厚生労働大臣及び関係行政機関の長は、基本方針において母子家庭の母の就業の支援に関して講じようとする施策の充実が図られるよう、相互に連携を図りながら協力しなければならないものとする。
(3)  母子及び寡婦福祉法の自立促進計画を策定する都道府県等は、対象期間に係る自立促進計画については、基本方針に即し、母子家庭の母の就業の支援に特別の配慮がなされたものとしなければならないものとする。
 国会に対する報告等
 政府は、国会に対し、対象期間に係る各年度における母子家庭の母の就業の支援に関して講じようとする施策を明らかにした文書を提出するとともに、その実施状況を報告しなければならないものとする。
 母子福祉資金貸付金の貸付けに関する特別の配慮
 政府は、対象期間に係る母子福祉資金貸付金の貸付けについて、母子家庭の母の就業が促進されるように特別の配慮をして、貸付条件に関する政令を定めなければならないものとする。
 民間事業者に対する協力の要請
 国は、民間事業者に対し、母子家庭の母の就業の促進を図るために必要な協力を求めるように努めるものとする。
 母子福祉団体等の受注機会の増大への配慮
 国は、母子家庭の母の就業の促進を図るため、母子福祉団体その他母子家庭の母の福祉を増進することを主たる目的とする社会福祉法人、民法法人又は特定非営利活動法人であって、その受注に係る業務を行う者が主として母子家庭の母であるものの受注の機会の増大が図られるように配慮するものとする。この場合において、国の物品及び役務の調達に当たっては、予算の適正な使用に留意するものとする。
 地方公共団体の施策
 地方公共団体は、4及び5に基づく国の施策に準じて、母子家庭の母の就業の促進を図るために必要な施策を講ずるように努めるものとする。
 法律の失効
 この法律は、平成20年3月末でその効力を失うものとする。

三 その他
 審議経過
 平成15年6月26日の参議院厚生労働委員会において、委員会提出法律案として起草され、以後、6月27日参議院本会議、7月16日衆議院厚生労働委員会、7月17日衆議院本会議においてそれぞれ可決・成立した。
 公布日及び施行日
 公布日 平成15年7月24日、施行日 平成15年8月11日


トップへ
戻る