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1.平成16年度予算(案)の概要

(厚生労働省医政局)


平成16年度予定額

  752億6千7百万
平成15年度予算額

  692億3千1百万
差引増△減額

60億3千6百万
対前年度伸率 108.7%
 (注 )上記計数には、重点化措置要望額を含み、「★厚生労働科学研究費補助金129億5千3百万円(平成15年度124億9千1百万円)」は含まない。



 主要施策

  1. 臨床研修必修化の推進

  2. 医療安全対策の推進

  3. 医療に関する情報提供や医療のIT化等の着実な推進

  4. 質の高い効率的な医療提供体制の確保

  5. 人材の確保と資質の向上

  6. 医薬品・医療機器産業の国際競争力の確保

  7. その他




1.臨床研修必修化の推進

 臨床研修必修化によって、すべての医師・歯科医師が人格を涵養し、プライマリ・ケアの基本的な診療能力を身に付けるとともに、臨床研修に専念することができる環境整備を推進

(1)医師臨床研修の推進  17,118百万円

 平成16年度からの医師臨床研修の必修化は、良質かつ適切な医療の提供に向けた改革の基礎として不可欠なものであり、新制度の円滑な実施を図るため、研修を行う病院に必要な支援を行う。


(2)歯科医師臨床研修の推進  1,092百万円

 平成18年度からの歯科医師臨床研修必修化に向け、所要の準備を進める。



2.医療安全対策の推進

 医療事故を未然に防止し、医療の安全を確保するため、「医療安全推進総合対策」を踏まえた医療安全対策を推進

(1)医療事故に関する情報の収集・分析・提供事業の実施(新規)  115百万円

 医療事故の発生予防・再発防止のため、「第三者機関」において、医療機関等から幅広く事故に関する情報を収集し、これらを総合的に分析した上で、その結果を医療機関等に広く情報提供していく。


(2)「医療安全支援センター」への総合支援  106百万円

 医療に関する患者・家族等の苦情や相談に迅速に対応するため、都道府県等に設置された「医療安全支援センター」に対する支援を実施する。


(3)院内感染対策の推進  46百万円

 地域における「院内感染地域支援ネットワーク」の構築や院内感染に関する総合的な企画立案等を行うための「院内感染中央会議」を国に設置し、院内感染対策を推進する。


(4)科学的根拠に基づく医療安全対策の推進  460百万円

 医療事故の発生頻度の把握、医療機関の安全性と質の評価指標の開発などの調査研究を行う。
(★厚生労働科学研究費補助金)



3.医療に関する情報提供や医療のIT化等の着実な推進


 医療に関する情報を提供し、患者の選択を尊重した医療の実現を図るとともに、医療分野における情報化を推進

(1)根拠に基づく医療(EBM)の推進  265百万円

 平成16年度からインターネット等を活用し、最新で質の高い診療ガイドラインを医療関係者や国民に提供する。
(★厚生労働科学研究費補助金)


(2)電子カルテシステムの普及  203百万円

 電子カルテシステムの普及を図るため、地域の医療機関が電子カルテシステムにより診療情報を交換する際のセキュリティーを重視したネットワークを構築するためのモデル事業を行う。
 また、独立行政法人福祉医療機構により電子カルテ等医療情報支援システムの導入のための融資を実施する。


(3)診療情報の提供の促進(新規)  6百万円

 カルテ等診療情報の提供を促進するため、医療機関における先進的な取組を調査し、その普及を図る。



4.質の高い効率的な医療提供体制の確保


 医療機関相互の機能分担と連携の推進等により、救急医療をはじめとする地域医療の充実を促進

(1)救急医療対策の推進  13,883百万円

 ○
 小児救急医療体制の充実(新規)  699百万円
 地域の小児科医による夜間の小児患者の保護者等向けの全国どこでも同一の短縮番号でかけられる電話相談体制を整備するとともに、地域の内科医等を対象とした小児救急に関する医師研修事業等を実施し、地域の小児救急医療体制の補強と医療機関の機能分化を推進し、患者の症状に応じた適切な医療が受けられるようにする。

 ○
 小児救急医療体制の整備  1,027百万円
 小児救急医療拠点病院等、小児救急医療体制の整備を引き続き推進する。

 ○
 救命救急センターの整備  5,858百万円
 救命救急センター不足地域に対する新型救命救急センターの整備等、救命救急センターの整備促進を図る。

 ○
 ドクタ−ヘリの導入促進  764百万円
 早期治療の開始と迅速な搬送による救命率の向上を図るため、ドクターヘリ(医師が同乗する救急専用ヘリコプター)事業を推進する。


(2)へき地保健医療対策の推進  2,542百万円

 第9次へき地保健医療計画に沿った無医地区等における医療の確保を引き続き推進するとともに、新たなへき地保健医療計画策定のための検討会を設ける。


(3)医療施設等の整備  18,832百万円

 医師臨床研修や小児救急医療を支援するための情報通信機器の設備及び医療機器管理室等の整備を補助対象に追加する。


(4)医療計画等の推進  347百万円

 医療機関の役割分担の明確化及び病診連携等の推進を図るとともに、療養病床及び一般病床の新たな算定式の策定等のための検討会を開催する。


(5)医業経営の近代化・効率化の推進(新規)  2百万円

 医療機関における医業経営の「効率性」、「透明性」、「安定性」を高める方策等についての研究の検討の成果を受け、非営利性・公益性の徹底等に関する関係者のコンセンサスに基づく取組推進のための検討会を設ける。


(6)歯科保健医療対策の推進  748百万円

 歯科保健医療の向上に向けて、8020運動を引き続き推進する。



5.人材の確保と資質の向上

 医療技術の進歩による医療の高度化、専門分化等に適切に対応できるよう医療従事者の資質の向上を図り、医療の向上に資するための施策を推進

(1)質の高い看護の提供  10,117百万円

 ○
 訪問看護推進事業の創設(新規)  750百万円
 ALS等人工呼吸器を装着しながら在宅で療養している患者等への訪問看護の充実に向けたモデル事業の実施、がん末期患者等の在宅ホスピスケアの推進及び訪問看護ステーションと医療機関の看護師の相互交流による研修など、訪問看護の推進を図る。

 ○
 新人看護職員研修の推進(新規)  16百万円
 新人看護職員の臨床技能の向上を図るため、各医療機関の院内研修責任者及び新人研修担当者に対する講習会を実施する。

 ○
 特定の看護専門分野の知識・技術研修の促進  160百万円
 がん看護や感染管理など専門性の高い研修に対する支援を行うことにより、質の高い看護職員の育成を重点的に促進する。

 ○
 看護師養成所2年課程(通信制)の導入促進  61百万円
 准看護師が働きながら看護師資格を取得できるようにするため、平成16年度から開始される看護師養成所2年課程(通信制)の設置に対する支援を行う。

 ○
 看護職員の需給に関する検討会の設置(新規)  3百万円
 看護職員の需給見通しの検証等(需要及び供給の増減要因の分析等)を行い、今後の看護職員の需給見通し等について検討会を設ける。

 ○
 医師との十分な連携に基づく看護師の活動の推進  35百万円
 「新たな看護のあり方の検討会報告書」を踏まえ、医師との十分な連携に基づく看護師の活動を推進するため、効果的な看護システムの開発等に関する総合的な研究を行う。
  (★厚生労働科学研究費補助金)


(2)国家試験・免許の適正・効率化の促進  28百万円

 免許登録業務を円滑かつ効率的に行うため、医師等の籍簿(名簿)の電子化による保管・管理を進める。



6.医薬品・医療機器産業の国際競争力の確保

 国際的に魅力のある創薬環境の実現及び医薬品・医療機器産業ビジョンの実現に向けた取り組みの推進

(1)治験推進体制の充実  1,082百万円
 国内における治験空洞化を防ぐため、がんや循環器病などの疾患群ごとに複数の医療機関によって形成する大規模治験ネットワークを拡充する。
(★厚生労働科学研究費補助金)

(2)疾患関連たんぱく質解析の推進  662百万円
 高血圧、糖尿病、がん、痴呆等の患者と健康な者との間のたんぱく質の種類・量を比較し、疾患に特有のたんぱく質を同定し、データベース化することによって、画期的な医薬品開発を支援する。
(★厚生労働科学研究費補助金)


(3)ナノメディシン関連研究分野の拡充  1,303百万円
 ナノテクノロジーを応用し、より精密な画像診断技術や生体適合性の高い新素材、より有効性・安全性の高い医療機器・医薬品の研究開発等を推進する。
(★厚生労働科学研究費補助金)


(4)身体機能の解析・補助・代替のための機器開発の推進  600百万円
 バイオテクノロジー、IT等の先端的要素技術を効率的に組み合わせ、生体機能を立体的・総合的に解析し、補助・代替する機能を持つ、新しい医療機器の開発を推進する。
(★厚生労働科学研究費補助金)

7.その他

 独立行政法人福祉医療機構の融資(社会・援護局一括計上)

 ○  貸付事業
  貸付契約額
 4,538億円(うち医療貸付 2,665億円)

 ○  医療貸付に係る貸付条件の改善
 ・  臨床研修病院に対する融資率の引き上げ
 ・  長期運転資金に係る診療報酬債権等担保の導入



2.平成16年度税制改正の概要(医政局関係)


安心で質の高い効率的な医療の提供のための
基盤整備

1 医業経営の安定の確保と近代化・効率化の促進

(1)医業経営の安定の確保

以下の課税特例措置について全て存続とされた。

(1) 社会保険診療報酬の所得計算の特例措置(四段階税制)の存続〔所得税、法人税〕

(2) 社会保険診療報酬に係る事業税の非課税措置の存続〔事業税〕

(3) 医療法人に係る事業税(社会保険診療報酬以外分)の軽減措置の存続〔事業税〕


(2)医業経営の近代化・効率化の促進
(1) 出資額限度法人への円滑な移行に係る課税関係の明確化
〔所得税、法人税、相続税、贈与税〕

 出資額限度法人への円滑な移行を促進するため、課税関係の明確化を図る。

(2) PFI制度を活用した医療施設の整備を推進するための税制上の所要の措置
〔不動産取得税、固定資産税、都市計画税〕

税制改正大綱で「検討事項」として以下のように記述された。

 民間の資金や人材、技術等を効率的に用い、公共事業に代わって公的インフラの整備・有効活用を促進するとともに、財政負担の縮減を図り、かつ景気対策にも資するPFI事業に関しては、各税の性質に応じて、税負担の公平性の確保等に留意しつつ、事業の形態、進展等を踏まえ、税制上の必要な措置のあり方について検討を進める。


2 救急医療体制の整備

救急医療用機器に係る固定資産税の軽減措置の機器の追加・適用期限の延長〔固定資産税〕

 対象から頭蓋内圧モニタ及び緊急生化学検査装置を除外したうえ、保育器(新生児集中治療管理室において用いられる閉鎖式のものに限る。)を追加するとともに、その適用期限を2年間延長する。


3 医療基盤の整備

(1)医薬品・医療機器の研究開発の促進

(1) バイオテクノロジー試験研究設備に係る固定資産税の軽減措置の適用期限の延長〔固定資産税〕

 対象から密閉型バイオリアクター試験装置を除外したうえ、その適用期限を2年間延長する。

(2) 中小企業投資促進税制の適用期限の延長〔所得税、法人税〕

 器具備品の取得価額要件を100万円以上から120万円以上に、リース費用総額要件を140万円以上から160万円以上に引き上げたうえ、適用期限を2年間延長する。

(2)医薬品に係る基盤研究等を担う公的機関の整備
独立行政法人医薬基盤研究所(仮称)に係る税制上の所要の措置〔法人税、固定資産税等〕

 ※法案の内容を見て検討することとされた。


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