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独立行政法人労働者健康福祉機構 中期目標



 独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第29条第1項の規定により、独立行政法人労働者健康福祉機構が達成すべき業務運営に関する目標(以下「中期目標」という。)を定める。
  平成16年4月1日
厚生労働大臣 坂口 力

 前文
 我が国の労働災害による被災者数は、長期的には減少傾向にあるものの、平成14年には約55万人の労働者が被災し、特に重大災害(一度に3人以上の労働者が死傷する災害)については減少傾向が認められない状況にある。また、一般健康診断結果の有所見率が増加し、職場生活等において強い不安、ストレスを感じる労働者の割合が6割にも達している。さらに、化学物質等による職業性疾病の発生も依然として後を絶たない中、労災補償の面では「過労死」、「過労自殺」等の社会的にも関心を集めている労災請求事案が増加している。加えて、現下の厳しい経済情勢の下、企業倒産により賃金の支払を受けられない労働者も急増している。
 このため、労働者の健康の確保、労働災害の発生の予防等の観点から、被災労働者の早期職場復帰の促進、労災疾病等の発生状況を踏まえたその的確な予防、「健康日本21」の理念に沿った労働者の健康づくりの支援の趣旨も考慮した医療活動及び職場における産業保健活動の着実な実施、新たな労災疾病等への適切な対応、迅速かつ適正な労災認定の実施等が求められている。また、未払賃金立替払事業の迅速かつ適正な運営も求められている。
 独立行政法人労働者健康福祉機構(以下「機構」という。)は、労災病院、産業保健推進センター等の施設の運営等を行うことにより労働者の業務上の負傷又は疾病に関する療養の向上及び労働者の健康の保持増進に関する措置の適切かつ有効な実施を図るとともに、未払賃金の立替払事業等を行い、もって労働者の福祉の増進に寄与することを目的とする法人であり、国の労働政策の一翼を担う実施機関として、その担う事業の適切かつ効率的な推進により、労働者の健康と福祉の増進に寄与することが期待される。

第1  中期目標の期間
平成16年4月から平成21年3月までの5年とする。

第2  業務運営の効率化に関する事項
 機構の組織・運営体制の見直し
 業務の効果的実施等の観点から次のとおり適宜弾力的に見直しを行うこと。
(1) 労災病院の全国的・体系的な勤労者医療における中核的役割の推進、産業保健推進センターの産業保健関係者への支援活動等の機能強化のため、本部の施設に対する業務運営支援・経営指導機能などのマネジメント機能を強化すること。
(2) 役員の業績、職員の勤務成績、法人の事業実績、社会一般の情勢等を反映した人事・給与制度を導入すること。

 一般管理費、事業費等の効率化
 中期目標期間の最終年度において、特殊法人時の最終年度(平成15年度)に比し、一般管理費(退職手当を除く。)については15%程度、また、事業費(労災病院、医療リハビリテーションセンター及び総合せき損センター運営事業を除く。)については5%程度節減すること。
 なお、医療リハビリテーションセンター及び総合せき損センター運営業務については、費用節減に努めることにより、その費用のうち運営費交付金の割合を低下させること。

 労災病院の再編による効率化
 労災病院については、「特殊法人等整理合理化計画」(平成13年12月19日閣議決定)及び「労災病院の再編計画」(平成16年3月30日厚生労働省策定)に基づき、37病院を30病院(5病院を廃止し4病院を2病院に統合する)とする労災病院の再編を、定められた期限(平成19年度)までに行うこと。

 休養施設及び労災保険会館の運営業務の廃止
 休養施設及び労災保険会館については、「特殊法人等整理合理化計画」(平成13年12月19日閣議決定)に基づき、平成17年度末までに全て廃止すること。


第3  国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項
 業績評価の実施、事業実績の公表等
 業績評価を実施し業務運営へ反映させるとともに、業績評価の結果や機構の業務内容を積極的に公表し、業務の質及び透明性の向上を図ること。

 療養施設の運営業務
(1) 勤労者医療の中核的役割の推進
 中期目標期間の初年度に、勤労者医療に関する臨床研究機能、予防活動機能、地域支援機能を集約するとともに、各機能を組織的・計画的に推進すること。
(1)  労災疾病に係る研究・開発及びその成果の普及の推進
 産業活動に伴い、依然として多くの労働災害が発生している疾病、又は産業構造・職場環境等の変化に伴い、勤労者の新たな健康問題として社会問題化している疾病について、別紙の12分野の課題に応じて研究の方向性を定め、労災疾病に係るモデル医療やモデル予防法の研究・開発、普及に取り組むこと。
 また、労災疾病に係る研究・開発、普及に当たっては、各労災病院が有する臨床研究機能を集約して各分野毎に中核病院を選定し、各労災病院間のネットワークを活用して取り組むこと。
(2)  勤労者に対する過労死予防等の推進
 勤労者の健康確保を図るため、過重労働による健康障害の防止、心の健康づくり、勤労女性の健康管理を推進し、中期目標期間中、勤労者の過労死予防対策の指導を延べ23万人以上(※1)、メンタルヘルス不全予防対策の勤労者心の電話相談を延べ5万5千人以上(※2)、勤労女性に対する女性保健師による生活指導を延べ7千人以上(※3)実施すること。
 また、利用者から、職場における健康確保に関して、有用であった旨の評価を70%以上得ること。
 (※参考1:平成14年度実績17,887人)
 (※参考2:平成14年度実績7,838人)
 (※参考3:平成14年度実績855人)
(3)  勤労者医療の地域支援の推進
 労災病院においては、地域における勤労者医療を支援するため、紹介患者の受け入れなど地域の労災指定医療機関との連携を推進するとともに、労災指定医療機関を対象にしたモデル医療普及のための講習、労災指定医療機関等からの高度医療機器を用いた受託検査を行うこと。
 また、利用した労災指定医療機関、産業医等から診療や産業医活動の上で有用であった旨の評価を70%以上得ること。
(4)  一般診療を基盤とした労災疾病に関する高度・専門的医療の提供
 労災病院においては、別紙に示された12分野の労災疾病について、他の医療機関では対応が困難な高度・専門的医療を提供するとともに、その質の向上を図ること。
 なお、労災看護専門学校においては、労災病院における勤労者医療の推進に必要な専門性を有する看護師を養成すること。
 国民の医療に対する安心と信頼を確保するため、情報開示に基づく患者の選択を尊重し、良質な医療を提供すること。これにより、患者満足度調査において全ての病院で70%以上の満足度を確保すること。
 また、患者の安全を確保するため、組織的・継続的な取組により職員一人一人の医療安全に関する知識・意識の向上を図ること。
(5)  行政機関等への貢献
 国が設置している検討会、委員会等への参加要請に協力するとともに、迅速・適正な労災認定に係る意見書の作成等を通じて行政活動に協力すること。
(2)  医療リハビリテーションセンター及び総合せき損センターの運営
 被災労働者の職業・社会復帰を支援するため、医療リハビリテーションセンターにおいては、四肢・脊椎の障害、中枢神経麻痺患者に係る高度・専門的な医療を、総合せき損センターにおいては、外傷による脊椎・せき髄障害患者に係る高度・専門的医療を提供し、それぞれ医学的に職場・自宅復帰可能である退院患者の割合を80%以上(※)確保すること。




※参考: 平成14年度実績  
  医療リハビリテーションセンター 75.4%
  総合せき損センター 78.8%





 健康診断施設の運営業務
 海外勤務健康管理センターにおいては、次の取組により、海外派遣労働者の健康管理の向上を図ること。
(1)  海外派遣労働者に対する健康診断や派遣企業の安全衛生担当者に対する講習会への参加等の海外勤務健康管理センターの利用者を中期目標期間中、6万5千人以上(※)確保するとともに、海外派遣労働者の健康増進、メンタルヘルス等に関する調査研究を行い、その成果を広く情報提供すること。
 また、センター利用者については、海外派遣労働者の健康管理に有用であった旨の評価を80%以上確保すること。 (※参考:平成14年度実績12,414人×5年間の5%増)
(2)  海外に在留する邦人労働者の健康管理の支援を行うため、海外巡回健康相談を実施し、巡回健康相談が海外での健康管理に有用であった旨の評価を80%以上得るとともに、当該事業の効果的な実施のため、ニーズ調査等を行い、派遣対象地域の見直し等を行うこと。
 また、赴任地先の医療サービスの向上に向けた協力を図ること。

 産業保健関係者に対して研修又は相談、情報の提供、その他の援助を行うための施設の運営業務
 産業保健推進センターにおいては、労働災害防止計画に定める労働者の健康確保対策の推進に寄与することを基本方針として、産業保健関係者に対する支援を行うこと。
(1)  産業保健関係者に対する研修又は相談の実施
 中期目標期間中、産業医等の産業保健関係者に対し、延べ1万回以上(※1)の研修を実施するとともに、研修内容等の改善を図る仕組みを充実すること。
 また、産業保健関係者からの相談を、中期目標期間中、4万8千件以上(※2)実施すること。
 なお、研修又は相談の利用者については、産業保健に関する職務を行う上で有益であった旨の評価を80%以上確保すること。
 (※参考1:平成14年度実績1,916回×5年間の5%増)
 (※参考2:平成14年度実績9,098件×5年間の5%増)
(2)  産業保健に関する情報の提供その他の援助
 ホームページ等を通じて産業保健に関する情報を提供するとともに、当該情報の質の向上、利便性の向上を図ること。
 また、地域の産業保健活動の促進を図るため、都道府県労働局、労働基準監督署と連携し、地域産業保健センターに対する支援を強化するとともに、事業主に対する広報及び啓発等を行うこと。

 小規模事業場産業保健活動支援促進助成金及び自発的健康診断受診支援助成金の支給業務
(1)  業績評価を踏まえた支給業務の見直し及び透明性の確保
 助成金の支給業務に対する業績評価を実施し、それらを翌年度の業務へ反映させるとともに、評価結果については積極的に公表し、透明性を確保すること。
(2)  助成金に関する周知
 労働基準監督署、地域産業保健センター等と連携し、助成金の一層の周知を図ること。
(3)  手続の迅速化
 審査を適正に行うとともに、効率化を図ること等により、中期目標期間中に、申請書の受付締切日から支給日までの期間を原則として、小規模事業場産業保健活動支援促進助成金については、45日以内(※1)、自発的健康診断受診支援助成金については、25日以内(※2)とすること。
 (※参考1:平成14年度実績 61日)
 (※参考2:平成14年度実績 25日)

 未払賃金の立替払業務
(1)  立替払の迅速化
 審査を適正に行うとともに、効率化を図ること等により、中期目標期間中に、不備事案を除き、請求書の受付日から支払日までの期間を平均で30日以内(※)とすること。
 (※参考:平成14年度実績 43.7日)
(2)  立替払金の求償
 代位取得した賃金債権について適切な債権管理及び求償を行い、破産財団からの配当等について確実な回収を行うこと。

 リハビリテーション施設の運営業務
 リハビリテーション施設については、入所者の自立更生の援助という目的に応じた、より効果的な運営を行うとともに、入所者個々の状況に応じた適切な生活・健康管理の下で軽作業に従事させることにより自立能力の確立を図りつつ、カウンセリング、就職指導等を行うことにより、中期目標期間中に、社会復帰率を25%以上(※)とすること。
 (※参考:平成10〜14年度実績 21.0%)

 納骨堂の運営業務
 産業災害殉職者の慰霊の場にふさわしい環境整備を行い、遺族等から慰霊の場としてふさわしいとの評価を80%以上得ること。

第4  財務内容の改善に関する事項
 「第2業務運営の効率化に関する事項」で定めた事項及び次の事項に配慮した中期計画の予算、収支計画及び資金計画を作成し、当該計画に基づいた運営を行うこと。
(1) 独立行政法人移行後の労災病院においては、勤労者医療の中核的役割を的確に果たしていくため、中期目標期間中において、計画的に経営改善を図り、経営基盤を確立し、収支相償(損益均衡)を目指すこと。
(2) 労働安全衛生融資については、債権管理を適切に行い、財政投融資への確実な償還に努めること。

第5  その他業務運営に関する重要事項 なし


照会先  厚生労働省労働基準局労災補償部労災管理課
 03−5253−1111(5451)


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