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5月13日午後 第1セッション「予防と質の向上を通じたより良い医療」 |
「疾病予防」「健康づくり」の役割・効果及び医療の質の向上のための施策について議論が行われ、疾病予防や健康づくりに優先的に取り組むべきことや、医療の質の指標の必要性につき合意を見た。
我が国からは、高齢化社会では「予防と健康づくり」は医療政策の基本となるべきとの基本的考え方を述べるとともに、平均寿命、健康寿命とも世界最高水準である我が国においても、近年、生活習慣病が脅威となっていることに言及しつつ、「健康日本21」運動や健康増進法の制定(2002年)などの予防と健康づくり対策を披露。また、医療安全対策の徹底が医療の質の確保の基本にあることも指摘し、我が国の取組を紹介。
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5月13日夕食 保健大臣と財政/経済担当大臣との合同夕食会
「医療制度の財政的な持続可能性の確保について」 |
高齢化や医療技術の進歩を反映して医療費が増大している中、医療システムの財政的持続可能性をいかに確保するかについて議論が行われ、この問題について単一の解決方法はないこと、改革のヴィジョンと改革を行う勇気が必要であること、OECD各国の知恵を結集して今後も医療分野の研究を行っていくこと、の3点につき全体的なコンセンサスがあった。
我が国の伊藤内閣府副大臣からは、医療サービスのニーズが高まり医療費の伸びがGDPの伸びを上回る中、医療費の増加を抑制する必要があり、医療保険の存在により患者のコスト意識が薄くなる又は医師と患者の情報格差が経済的に適正水準以上の治療・投薬を促すなど医療サービスの特性から生じる問題に対応しつつ、国民皆保険体制と医療機関への自由なアクセスの下で、多様な国民のニーズに応えながら、医療保険制度の再設計に努力する必要がある旨、発言があった。
また、我が国の大塚厚生労働事務次官からは、医療費増大の主たる要因は高齢化にあり、医療費の抑制のためには給付の効率化や負担の公平化が必要であること、2002年の医療制度改革では、小泉首相からは国民が痛みを分かち合うことが必要とのメッセージの下で改革が実現したこと、引き続き2005年度には介護保険制度改革、2006年度には再度の医療保険制度改革に取り組むことになる旨、発言があった。
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5月14日午前 第2セッション「費用に見合った価値をいかに改善するか」 |
医療システムの効率性をいかに高めるかについて議論。無駄の排除と競争原理導入とイノベーション促進の必要性を指摘する発言が多かった。
我が国からは、(1)情報の共有と(2)質と効率性の適切な評価の重要性を指摘。前者については、医療関係者や医療機関間の情報共有(EBM手法の活用など)と医療関係者と患者の間の情報共有(患者からの選択)の2側面、後者については医療機関に対する第三者評価(中立的な民間団体による評価の試みの開始)、適切な診療報酬(効率性や競争の促進にインセンティブ)を説明。
注1: | 5月13日午前には、OECDフォーラムで保健大臣によるパネル「医療制度の向上に貢献する研究と技術革新のための制度」も開かれた。
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注2: | OECDヘルスプロジェクトとは、医療に関する各種研究を通じて、医療の総合的なパフォーマンスの改善策を探るプロジェクト。OECD事務総長のイニシアチブの下、多額の予算を投じて、2000年から実施された。その成果は、各種研究を統合した報告書”Towards High-Performing Health systems”及びその要約であるブックレットにまとめられ、本大臣会合に提出された。
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