戻る

(別紙)

保健所長の医師資格要件に関する見直し方針(概要)


ポイント

医師と同等またはそれ以上の高い専門性を有する者に対して、例外を認める。
(地域保健法施行令の改正)



1.見直し理由
 近年、健康危機管理への対応を始め、地域の安全・安心の拠点としてより高い管理能力が保健所に求められており、今後より高い水準の保健所長を確保することを目指す。そのような保健所長医師を確保するために、公衆衛生医師の養成及び確保に積極的に取り組むが、そのような努力を行っても公衆衛生に精通した適切な医師が確保できない場合には、以下の条件の下、例外的措置として、医師以外の者を保健所長とすることを可能にする。

2.見直し概要
(1)医師以外の者とは以下の(1)〜(3)を満たす者をいう。
(1) 公衆衛生行政に必要な医学的専門知識に関し医師と同等またはそれ以上の知識を有する技術吏員
(2) 一定期間以上の公衆衛生の実務経験
(3) 一定の養成訓練の課程※を修了
 ※国立保健医療科学院の保健所長用1年コース

(2)地方公共団体が医師確保に努力したにもかかわらず確保が出来ない場合に例外を認める。

(3)例外の期間は、概ね2年程度とする。

(4)医師を保健所の職員として必置する。


(参考1)

厚生労働省の保健所長の医師資格要件見直しの考え方


 「保健所長の職務の在り方に関する検討会」の検討状況と結果

 保健所長の資格要件の今後の在り方を含め保健所長の職務の在り方について関係者の間で幅広く検討した。
 社会環境の変化(SARS,高病原性鳥インフルエンザ、NBCテロ等健康危機管理に関する脅威の増大)なども踏まえ、「地方の自主性の拡大の観点」の重要性も確認しながら、国民の健康の保持および増進並びに安全性の確保の観点を中心に検討が行われた。
 しかし、保健所長の医師資格要件を変更すべきか否かについては一致した結論を得るに至らず、変更すべきではないとする意見と例外を認めるべきとする意見の両論併記となった。
 なお、医師資格要件を廃止すべきとの少数意見もあった。

 厚生労働省としての結論

 報告書の内容を踏まえ国民の健康の保持および増進並びに安全の確保の観点に立ち、今後の保健所における健康危機管理の役割の拡大等を考慮すると、保健所長は公衆衛生に精通したより高い水準の医師であることが必要である。
 一方、公衆衛生医師不足に起因する保健所長の兼務を必要とする自治体も存在することから、国としては、公衆衛生医師の不足に起因する兼務の解消のため、(1)公衆衛生医師確保推進室(3月10日設置)、(2)「地方公共団体における医師確保に関する環境整備検討会(仮称)」によるロードマップの作成(5月設置予定)、(3)国立保健医療科学院での研修体制の強化(本年度より実施)等の対策を実施する予定である。
 これらの努力を行い、自治体が精一杯の努力をしても、公衆衛生医師の確保が困難な場合も想定されることから、そのような場合について例外を設けることが適切であるとの結論に達した。
 ただし、公衆衛生の水準は全国一律に高く保たれる必要があるため、保健所長には医師と同等またはそれ以上の高い専門性を有する者にのみ例外を認め、かつ、保健所には医師を必置とするなどの一定の条件を設けることが必要である。


(参考2)

保健所長の職務の在り方に関する検討会 報告書の「まとめ」の概要


 「現行の医師資格要件を維持しつつ、公衆衛生に関する専門的知識及び実務経験並びに組織管理能力に関して一層の水準の向上を目指す必要があり、医師確保について関係者がまず努力を行うべきである。最大限の努力をしても医師確保の改善が見られない場合は、その時点で見直す必要がある」との医師資格要件を維持すべきとの意見と、「保健所長は医師であることを原則とするが、医師の保健所長を確保することが困難な場合には、確保できるまでの一定期間、例外的に、一定の公衆衛生に関する教育と研修を受け、一定期間以上の公衆衛生の実務経験を有し、当該資質を備えた他の専門職の者を保健所長に充てることを認めるべきである」との医師資格要件に例外を設けるべきとの意見の両論併記となった。
 なお、この他に一人の委員からではあるが「医師資格要件を廃止し、医師以外の者の任用を認め、保健所には必ず医師を配置する」との意見が出された。


 ◎検討会委員(五十音順・敬称略)
座長 石井 威望 (東京大学名誉教授)
座長代理 小幡 純子 (上智大学教授)
 金川 克子 (石川県立看護大学学長)
 黒川  清 (日本学術会議会長)
 櫻井 秀也 (日本医師会常任理事)
 志方 俊之 (帝京大学教授)
 嶋津  昭 (全国知事会事務総長)[平成15年9月15日まで]
 中川 浩明 (全国知事会事務総長)[平成15年9月16日から]
 多田羅 浩三 (日本公衆衛生学会理事長)
 秦   靖枝 (牛久市民福祉の会事務局長)
 福田 富一 (宇都宮市長)
 吉村 健清 (産業医科大学教授)


トップへ
戻る