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8.児童福祉施設等の整備及び運営について

(1) 児童福祉施設等の整備について
  ア  施設整備費については、平成14年度補正予算(案)において570億円、さらに平成15年度予算(案)として1,227億円、合わせて1,797億円を予算計上し、待機児童解消のための保育所緊急整備、特別養護老人ホーム等の介護関連施設、障害者関連施設等にかかる施設整備の着実な推進を図ることとしている。
 なお、設備整備費については、施設整備量に対応した必要な額を確保した。

  イ  国庫補助基準単価の改定
 国庫補助基準単価については、公共工事コスト縮減の実績や建設単価の動向等を総合的に勘案し、平成15年度予算(案)から改定する。
 ただし、平成15年度事業分のうち、平成14年度からの継続事業については、平成14年度の基準単価を適用することとする。

  ウ  国庫補助申請に係る事務負担軽減に伴う補助基準単価及び補助金算定方法の簡素・合理化
 国庫補助申請に係る事務負担軽減のため、昨年度改善した介護関連施設以外の全ての施設について、補助基準単価及び補助金算定方法の簡素・合理化を行う。

  エ  平成15年度の整備方針等
 平成15年度においては,次の事項を基本として整備を図ることとしているが、限られた財源を効率的かつ有効に活用する見地から、施設整備の事業内容を十分吟味した上で、必要な整備を行うこととしている。
 各都道府県市におかれては、来年度に予定している整備計画の十分な精査を行い、真に必要と認められる整備について厳選した対応に努められたい。
 また、「社会福祉法人の認可について(平成12年12月1日障第890号、社援第2618号、老発第794号、児発第908号)」、「社会福祉法人の認可等の適正化並びに社会福祉法人及び社会福祉施設に対する指導監督の徹底について(平成13年7月23日雇児発第488号、社援第1275号、老発第274号)」等を踏まえ、協議対象施設の選定及び法人審査についても万全を期されたい。
  (ア)  保育所の整備については、「仕事と子育ての両立支援策の方針」(平成13年7月6日閣議決定)に基づく「待機児童ゼロ作戦」の推進を図り保育所受入れ児童数の増大を図ることとし、待機児童解消のための保育所の創設、増築や低年齢児の受入れ拡大のための乳児室等の整備や余裕教室等を活用した改築整備の促進、保育所分園の整備の促進を図ることとしている。また、「重点的に推進すべき少子化対策の具体的実施計画」(新エンゼルプラン)を踏まえて老朽化している保育所の改築に併せて、地域における子育て支援のための子育て支援相談室等の整備、一時保育事業のための保育室等の整備など地域の実情に応じつつ創意工夫を重ねて、積極的かつ効果的な整備を推進する。さらに、平成15年度予算(案)において特定保育事業が認められたことに伴い、これらの事業を実施するために、平成14年度補正予算(案)において、施設整備を先行実施することとしているので留意されたい。
  (イ)  放課後児童クラブ等を実施することを目的とした子育て支援のための拠点施設の整備については、「仕事と子育ての両立支援策の方針」(平成13年7月6日閣議決定)に基づき大都市周辺部を中心に、放課後児童の受入れ体制を平成16年度までに全国で15,000か 所とするよう整備を推進する。
  (ウ)  母子生活支援施設の整備については、保育機能の充実を図り、地域で生活する母子家庭等の児童を受け入れることにより、その自立を支援するための「母子家庭等子育て支援室」の整備を推進する。
 また、児童養護施設や乳児院において家庭復帰後の健やかな親子関係を育む訓練を行うための「親子生活訓練室」の整備を図るとともに、被虐待児童受入れのため、児童養護施設及び情緒障害児短期治療施設の整備を推進する。
 なお、入所児童等の安全性と快適な居住空間の確保についても推進する。
  (エ)  ア〜ウのほか、原則として、次の内容のものを優先的に整備する。
    a  施設利用者に対するサービス提供にとどまらず、広く地域に開かれた在宅福祉の推進拠点としての機能を果たすもの。
    b  施設入所者等の居住環境、保健衛生等、処遇の一層の向上を図るため、大部屋解消等の整備を図るもの。
    c  土地の有効活用等を図るもの。
 特に、都市部における用地取得の困難性から施設の高層化を図るなど、高齢者等が利用する社会福祉施設を中心市街地等の利用しやすい場所に整備を図るものや、文教施設等の利用も含め各種施設の合築、併設を行うもの。
    d  過疎、山村、離島等において、適切な入所者処遇と効率的な施設運営が確保できるもの。
    e  地すべり防止危険か所等危険区域に所在する施設の移転改築整備を行うもの。
    f  木材の積極的活用を図るもの。
 入所者等の精神的なゆとりと安らぎのある生活環境づくりや資源循環型社会の構築に寄与していくため、施設の木造化、内装等への木材の利用や木製品の利用等その積極的な活用を行うもの。

  オ  社会福祉施設の防災対策について
  (ア)  社会福祉施設の防災対策の取組
 社会福祉施設の防災対策については、入所児童等の安全確保の観点から、「社会福祉施設における防火安全対策の強化について」 (昭和62年9月18日社施第107号社会局長、児童家庭局長連名通知)等の趣旨を踏まえ、管内社会福祉施設に対し指導を願っているところである。施設の運営上、入所児童等の安全確保は最重要課題であることを再認識いただき、スプリンクラー設備、屋内消火栓設備の整備及び夜間防火管理体制の整備など、施設における具体的、効果的な防災対策に万全を期すよう管内社会福祉施設に対する指導の一層の徹底に努められたい。
 施設整備費においても、入所児童等の防災対策、処遇改善の観点から、防災対策に配慮した整備を優先的に採択することとしている。
 また、措置費においても、地域住民との連携による合同避難訓練や避難用具の整備等を行う総合防災対策強化事業を施設機能強化推進費のメニュー事業として算入しているところであり、これらの制度の積極的な活用を図り、社会福祉施設の防災対策の充実をお願いしたい。
  (イ)  地すべり防止区域等に所在する社会福祉施設の防災対策について
 地すべり防止区域等災害発生のおそれがあるとして指定されている地域等に所在している社会福祉施設については、「災害弱者関連施設に係る土砂災害対策の実施について(平成11年1月29日社援第212号)」をもって、関係省庁と連携して、社会福祉施設の立地状況を踏まえた総合的な土砂対策を講じるよう通知しているところであるが、各都道府県市におかれても、関係部局との連携を強化し、指定区域等に所在する社会福祉施設の防災対策に留意されたい。
  (ウ)  被災施設の早期復旧
 社会福祉施設等災害復旧事務の取扱いについては、「社会福祉施設災害復旧費国庫負担(補助)の協議について」(平成7年3月30日社援施第76号社会・援護局長、老人保健福祉局長、児童家庭局長連名通知)により、災害発生後速やかに福祉基盤課に報告をお願いするとともに、災害復旧事業の早期整備を図り、施設運営に支障が生じないよう指導の徹底をお願いしたい。

  カ  児童福祉施設等の木製遊具の整備について(林野庁との連携施策)
 林野庁との連携により、児童福祉施設等において、木材の特性を生かした遊具を整備する場合、木造公共施設整備事業(林野庁)により、補助対象とするので活用されたい。

(2) 児童福祉施設等の運営について
  ア  適正な運営管理の推進について
 児童福祉施設等の運営費の運用及び指導については、従来から適正な指導をお願いしているところであるが、運営費の不正使用などの不祥事により社会福祉施設に対する国民の信頼を損なうことのないよう、指導監査の結果を踏まえた運営の指導にあたる等、指導監査担当課等との連携を図り、適正な施設運営について引き続き指導を願いたい。

  イ  安全管理及び事故防止等について
 児童福祉施設等における児童の安全確保については、従来より種々ご尽力頂いているところであるが、事故の発生の予防や発生した場合の迅速的確な対応が図られるよう「児童福祉施設等における児童の安全の確保について」(平成13年6月15日雇児総発第402号)により、引き続き管内市町村及び児童福祉施設等に対する指導をお願い したい。
 また、近年の公園等に設置される遊具での事故報告を踏まえ、昨年度、調査した「児童福祉施設等に設置している遊具での事故の調査結果について」(平成13年10月26日雇児総第49号)や「児童福祉施設等に設置している遊具の安全確保について」(平成14年3月18日雇児総発第0318001号)により、引き続き、遊具の安全点検の実施のため、公園等の関係機関との連携強化に努められたい。

  ウ  感染症予防対策について
 児童福祉施設等における感染症予防対策については、従来より特段の指導をお願いしているところであるが、今後も引き続き十分な対応を図ることが必要である。
 特に、インフルエンザの対応については、毎年冬季に流行を繰り返し、患者数の多さや、症状の重篤性から国民の健康に対して大きな影響を与えている感染症であり、さらに、近年は、乳幼児における脳炎・脳症の問題が指摘されていることから、児童福祉施設等においても十分な注意が必要とされているところである。
 ついては、「社会福祉施設等における今冬のインフルエンザ総合対策の推進について」(平成13年11月12日社援基発第41号)をはじめ、「社会福祉施設等における結核感染の予防について」(平成11年10月15日社援施第40号)、「社会福祉施設におけるレジオネラ症防止対策について」(平成11年11月26日社援施第47号)等によって、引き続き管内に対して適切な指導を願いたい。
 なお、今シーズンのインフルエンザの流行状況は立ち上がりの時期が例年より早い傾向がみられることから、「社会福祉施設等におけるインフルエンザ対策の徹底について」(平成15年1月17日)を通知したところであり、今後においても衛生主管部(局)と連携の上、インフルエンザの発生防止に万全を期すようお願いしたい。
 また、児童福祉施設等における衛生管理及び食中毒予防の徹底についても従来よりお願いしているところであるが、特に乳幼児については腸管性大腸菌等に感染しやすく、また重症化しやすいことから、引き続き特段のご配慮をお願いしたい。

  エ  入所児童等からの苦情への対応について
 児童福祉施設最低基準においては、その行った処遇に関する入所している児童及びその保護者等からの苦情に迅速かつ適正に対応するために、苦情を受け付けるための窓口を設置する等の必要な措置を講じなければならないとされており、これについては、平成13年度予算より、苦情解決対策のための経費として第三者委員会の開催に係る経費を措置費等に計上しているところである。
 今後ともその適正な実施について指導願いたい。

  オ  児童福祉行政指導監査について
 児童福祉行政指導監査については、児童の最善の利益や権利擁護を踏まえた処遇の確保、不詳事件及び不当事項等の未然防止の観点から、市町村の事務実施体制の整備、法人及び施設運営の適正化に十分配慮した指導監査を実施する等により、常時その実態を把握し、不詳事件等の発生防止に努められたい。


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