戻る

1.少子化対策について

(1) 「少子化対策プラスワン」の概要等について
 少子化対策については、従来から様々な取組を行ってきたが、平成13年の合計特殊出生率が1.33となるなど、依然として少子化は進行しており、人口を維持するのに必要な水準を大幅に下回る状況となっているなど、少子化対策の推進は、政府の最重要課題の一つとなっている。
 また、昨年1月に公表された「日本の将来推計人口」では、これまで少子化の主な原因とされていた晩婚化という現象に加え、結婚した夫婦が産む子どもの数そのものが減少する(夫婦の出生力の低下)という新しい現象が把握され、現状のままでは、少子化は今後一層進展するとの予測が示されたところである。
 急速な少子化の進行は、今後、社会保障を始めとして、我が国の社会経済全体に急速な構造的変化をもたらすことが予想されている。
 このような現状を踏まえ、昨年5月に小泉総理から、「少子化の流れを変えるための実効性のある対策」を検討するよう指示があり、「少子化社会を考える懇談会」の中間とりまとめなどを踏まえ、昨年9月に、少子化の流れを変えるため、従来の取組に加えたもう一段の対策として、「少子化対策プラスワン」をとりまとめたところである。
 この「少子化対策プラスワン」では、これまでの少子化に関する取組は、子育てと仕事の両立支援、特に保育に関する施策を中心としたものであったが、その従来の取組に加え、
男性を含めた働き方の見直し
(子育て期間における残業時間の縮減、子どもが生まれたら父親誰もが最低5日間の休暇の取得 など)
地域における子育て支援
(子育て中の親が集まる「つどいの場」づくり、「子育て支援相談員」による子育て支援情報の収集・発信、地域の高齢者や子育て経験のある方等による子育て支援の推進 など)
社会保障における次世代支援
(年金制度における配慮(年金額計算における育児期間への配慮の検討) など)
子どもの社会性の向上や自立の促進
(中高生と赤ちゃんとのふれあいの場の拡充、食を通じた家族形成や人間性の育成 など)
の4つの柱に沿って、国、地方公共団体、企業等の様々な主体が計画的に積極的な取組を進めることとしたところである。

 これを受けて、政府においては、
(1)  平成15年度予算(案)において、「少子化対策プラスワン」の4つの柱に沿った事項に重点的に取り組むべく必要な内容を盛り込むとともに、
(2)  年度内には、政府として緊急に講ずべき当面の取組方針を取りまとめるなか、
(3)  今国会(平成15年通常国会)に、地方公共団体及び企業における10年間の集中的・計画的な取組を促進するための「次世代育成支援対策推進法案」(仮称)及び「児童福祉法改正法案」を提出する
など、本年を「次世代育成支援対策元年」と位置づけ、強力に各種の対策の推進を図ることとしているので、都道府県、市町村におかれても、対策の強化に向けた積極的な取組をお願いしたい。

(2) 地方自治体における行動計画について
 少子化の流れを変えるためには、政府、地方公共団体、企業等が一体となって、対策を強力に推進することが必要であり、今国会には、平成17年度を初年度とする地方公共団体及び企業における10年間の集中的・計画的な取組を促進するための「次世代育成支援対策推進法案」(仮称)を提出することとしている。
 この「次世代育成支援対策推進法案」(仮称)には、地方公共団体(都道府県及び市町村)及び大企業の事業主に、行動計画の策定を義務づけること等を盛り込む予定である。
 地方公共団体行動計画については、16年度末までの間に、すべての地方公共団体において策定していただくこととしており、このため、15年度には、国が、「地方公共団体行動計画策定指針」(仮称)を定め、これに基づき、市町村においては、行動計画策定のためのニーズ調査を実施していただくこととしており、必要な経費が地方交付税措置されたところである。今後、詳しい内容について、適宜、連絡・相談したいと考えているので、円滑な取組を図っていただくようお願いしたい。
 また、「次世代育成支援対策推進法案」(仮称)においては、都道府県及び市町村においても、民間企業と同様に、働き方の見直しや子育てと仕事の両立支援等について、平成17年度を初年度として、職員を雇用する立場からの行動計画を平成16年度末までに策定していただくことを予定している。この事業主としての行動計画の策定・実施については、各地方公共団体の人事担当部局とも連携を取って、円滑に行っていただくよう、お願いする。
 さらに、今国会には、市町村が実施する子育て支援事業の法定化等所要の措置を講ずる「児童福祉法改正法案」も併せて提出する予定である。

(3) 市町村地域子育て支援推進強化事業等について
  ア  新エンゼルプランの推進について
 平成12年度より進めてきた「新エンゼルプラン」については、引き続き着実な推進に努めることとしており、平成15年度予算(案)においては、新エンゼルプラン関連経費として、3,474億円(対前年比170億円増)を計上しているので、積極的な取組をお願いしたい。

  イ  市町村地域子育て支援推進強化事業等について
 少子化の流れを変えるための実効性ある対策を実施し、子育て家庭を社会全体で支援する体制を整備していくうえで、その担い手として住民に最も身近な市町村の果たす役割は極めて大きいものである。
 このため、平成15年度予算(案)においては、市町村が、その地域の実情を踏まえた新たな地域子育て支援の展開を図り、きめ細かな子育て支援サービスの提供を行うことを目的として、市町村の取組を強化する事業をメニュー補助金として新規に盛り込んだところである。
 具体的には、
 一時保育、つどいの広場事業及びNPO等の民間団体が実施する子育て支援事業をはじめとする地域における多様な子育て支援サービス情報を一元的に把握し、インターネット等を活用した利用者への情報提供、ケースマネジメント及び利用援助等の支援を行う「子育て支援総合コーディネーター(仮称)」を地域子育て支援センターやNPO等への委託等により配置する。
 子どもや子育て中の親子の外出や社会活動を困難にしているような障壁がないか点検し、これを計画的に改善していくための「子育てバリアフリー基本計画」の策定や、乳幼児とその親が一緒に外出した際に役立つ「子育てバリアフリーマップ」の作成を行う。
社会保障における次世代支援
(年金制度における配慮(年金額計算における育児期間への配慮の検討) など)
 主任児童委員などを中心に、小学校区を単位に「子育て支援委員会」を設置し、地域のニーズに合わせた子育て支援の具体的な事業プログラムの企画立案等を行う。
 「次世代育成支援対策推進法案」(仮称)に基づく市町村行動計画を、平成15年度に先行的に策定する市町村に対して、計画策定経費等の支援を行う。
 などのメニュー事業を市町村が選択して実施できることとしており、管内市町村に対する周知及び積極的な取組をお願いしたい。
 なお、平成14年度に創設した「つどいの広場事業」については、20か所増の全国85か所とし、更なる推進を図ることとしているので、特に都道府県におかれては、市町村の要望等を十分踏まえ、予算化に努めていただくようお願いしたい。

(4) 少子化対策への取組について
 少子化への対応の推進に当たっては、政府の施策のみならず、社会全体の取組として国民的理解と広がりをもって子育て家庭を支援することが求められている。 このため、内閣総理大臣の主宰の下で各界関係者が参加する「少子化への対応を推進する国民会議」を設置し、国民会議の活動を含め、少子化への対応に関し、広く国民に向けた情報発信を行っているところである。
 平成15年度においては、14年度に引き続き、社会福祉・医療事業団の子育て支援基金を活用して、「少子化への対応についての全国キャンペーン」を実施する予定である。具体的には、地域における子育て支援をテーマに中央フォーラムを愛知県高浜市で、また、地方フォーラムを5か所で開催するなどの取組を行うこととしているので、その取組に対する支援及びご協力をお願いしたい。


トップへ
戻る