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独立行政法人福祉医療機構中期目標


平成15年10月1日付厚生労働省社援発第1001001号指示
変更:平成16年3月31日付厚生労働省社援発第0331012号指示


 独立行政法人福祉医療機構は、国の福祉政策及び医療政策と密接に連携しつつ、貸付その他の公共性の高い多様な事業を公正かつ総合的に実施することにより、わが国の福祉の増進並びに医療の普及及び向上に貢献することが期待されている。
 独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第29条第1項の規定に基づき、独立行政法人福祉医療機構が達成すべき業務運営に関する目標を次のように定める。


 平成15年10月1日

厚生労働大臣
     坂 口   力


第1 中期目標の期間
 独立行政法人通則法(以下「通則法」という。)第29条第2項第1号の中期目標の期間は、平成15年10月から平成20年3月までの4年6か月とする。


第2 法人全体の業務運営の改善に関する事項
 独立行政法人化する趣旨を十分に踏まえ、業務実施方法の抜本的な改善を図り、機構に期待される社会的使命を効率的、効果的に果たすことができるよう、経営管理の充実・強化を図ること。

(1)効率的な業務運営体制の確立
 組織編成、人員配置を実情に即して見直すとともに、業績評価等を適切に行うことにより、効率的な業務運営体制を確立すること。

(2)業務管理の充実
 業務の計画的な推進を図るとともに、継続的な業務改善やリスク管理の徹底のための仕組みを導入することにより、業務管理を充実させること。

(3)業務運営の効率化に伴う経費節減
 一般管理費、福祉保健医療情報サービス事業費等の経費については、効率的な利用に努め、平成16年度において追加される労災年金担保貸付事業にかかる部分を除き、中期目標の期間の最終の事業年度において、平成14年度と比べて13%程度の額を節減すること。
 なお、労災年金担保貸付事業に係る一般管理費、労災年金担保貸付業務経費等の経費については、中期目標の期間の最終の事業年度において、事業開始年度である平成16年度と比べて9%程度の額を節減すること。
 また、福祉医療貸付事業費については、中期目標の期間の最終の事業年度において、平成14年度と比べて5%程度の削減を目指すこと。この場合、社会経済情勢の変化等を踏まえた政策的要請や金融情勢の変化により影響を受けることについて配慮する。

(4)利用者に対するサービスの向上
 個人情報保護に配慮しつつ、利用者情報の総合化や利用者に対する調査の実施により、業務運営における利用者対応の充実を図ること。


第3 事業毎の業務運営の改善に関する事項
 通則法第29条第2項第2号の業務運営の効率化に関する目標及び同項第3号の国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標のうち、事業毎に掲げるものは、次のとおりとする。


 福祉医療貸付事業
 福祉医療貸付事業については、国の福祉政策及び医療政策に即して民間の社会福祉施設、医療施設等の整備に対し長期・固定・低利の資金を提供すること等により、福祉、介護、医療サービスを安定的かつ効率的に提供する基盤整備に資するため、以下の点に特に留意してその適正な実施に努めること。
 また、特殊法人等整理合理化計画(平成13年12月19日閣議決定、以下「整理合理化計画」という。)に基づき、貸付資産等のリスク管理及び引当金の開示については、引き続き適切に実施するとともに、病院等融資については、中期目標期間中も「民間でできるものは、できるだけ民間に委ねる」という原則の下に、融資対象事業を医療政策上真に必要なものに限った上で、コストに応じた金利設定の導入を検討し、段階的に実施すること。

(1)業務運営の効率化に関する事項
 国の福祉政策や医療政策における政策目標を着実に推進するため、政策融資の果たすべき役割を踏まえつつ、政策効果の高い融資内容となるよう努めること。

 政策融資としての機能を毎年点検することとし、事業内容を不断に見直す等事業の効率化を進めること。また、中期目標期間中の新規契約分のうち、国の政策目的の達成のために特に定めるもの以外は、将来にわたる利差益を確保するよう事業運営を行うこと。

 既存施設の増改築や新設施設の中長期の需要動向を可能な限り事前予測することにより、事業の計画的な推進を図ること。

 民業補完の観点から、貸付対象となる事業の政策上の重要性を勘案しつつ、民間金融機関による融資の促進策等、民間資金の一層の活用を図る方策を検討し、段階的に導入すること。

(2)業務の質の向上に関する事項
 審査業務の迅速化により、特殊異例な案件を除き、借入申込み受理から貸付内定通知までの年平均所要期間を、中期目標期間中に福祉貸付については4か月以内に、医療貸付については3か月以内に短縮すること。

 貸付契約締結後の資金交付については、請求内容の不備が著しいもの等を除き、請求後20営業日以内に行うこと。

 借入申込み書類の簡素合理化等により、利用者の事務手続き負担の軽減を図ること。

 相談窓口の体制整備や受託金融機関への業務指導の徹底により、契約前の利用者サービスの向上を図ること。


 福祉医療経営指導事業
 福祉医療経営指導事業(集団経営指導(セミナー)、個別経営診断及び開業医承継支援事業)については、民間の社会福祉施設、医療施設の経営者に対し、公的な立場から経営に関わる正確な情報や有益な知識を提供し、あるいは経営状況を的確に診断することにより、福祉、介護、医療サービスを安定的かつ効率的に提供できる施設の経営を支援するため、以下の点に特に留意してその適正な実施に努めること。

(1)業務運営の効率化に関する事項
 集団経営指導については、開催方法の工夫等による効率化や適正な受講料の設定に努めること。

 個別経営診断については、実地調査を伴うもの及び償還の緩和申請や経営安定化資金の融資申請に義務付けられているものを除き、事務処理の迅速化により、申込書の受理日から報告書の提示までの期間を中期目標期間の平均で60日以内に短縮すること。

(2)業務の質の向上に関する事項
 経営指導業務の質の向上を図るため、担当部門の調査研究能力の充実強化に努めること。

 集団経営指導については、セミナー利用者の受講機会を確保するため、中期目標期間の平均で遅くとも実施2か月前までに開催内容を告知すること。
 また、中期目標期間中においては、国の政策、方針により受講対象者が変動する法人・施設開設者向けのセミナーを除き、中期目標期間中の延べ受講者数を、9,600人以上とすること。

 個別経営診断については、社会福祉や医療の制度変更、経営環境の変化等による経営者のニーズを的確に把握し経営診断の対象拡大又は診断手法の確立を行うこと。

 開業医承継支援事業について中期目標期間中における紹介件数の総数を135件以上とするとともに、譲渡希望及び開業希望の登録後のフォローアップ・サービスを充実強化すること。


 長寿・子育て・障害者基金事業
 長寿・子育て・障害者基金事業については、国から出資を受けた長寿・子育て・障害者基金の運用益を用いて、独創的・先駆的な活動など民間の創意工夫を活かしたボランティア団体等における自発的な福祉活動に対し、次に掲げる方針の下で、効果的に資金助成を行うことにより、多様な福祉ニーズに対応できる社会環境の醸成に努めること。

 (1) 国における社会福祉施策の推進とあいまって、高齢者・障害者の在宅福祉と生きがい・健康づくり、子育て支援、障害者の社会参加等、社会福祉の振興を図ること。
 その際、助成団体としての専門性・自主性を発揮して、民間福祉活動の推進が必要な分野に資金助成が適切に行われるように配慮すること。
 その中で、専門的助成団体として、地域における独創的・先駆的事業への助成について、国の政策の動向や事業評価の結果も踏まえ、毎年度4分野以上重点助成分野を設け、優先的に助成を行うこと。

 (2) 全国的な活動から地域の実情に即したきめ細かな活動、あるいは独創的・先駆的な活動など、多種多様に展開される民間福祉活動に幅広く対応することとすること。
 このため、中期目標期間内において、地域における特定非営利活動法人等による活動の育成・支援に特に留意すること。

 (3) 整理合理化計画に基づき、助成した事業の事後評価の実施、評価結果を反映した資源配分を実施すること。

このため、以下の点に特に留意してその適正な実施に努めること。

(1)業務運営の効率化に関する事項
 基金の運用については、安全かつ確実な方法による運用を基本としながらも可能な限り運用効率を高めるよう努めること。

 助成金の交付申請の受理から交付決定までの所要期間について、事務処理の効率化を図り、申請内容の不備などを除き、中期目標期間最終年度において平均で30日以内で処理するよう努めるものとする。

(2)業務の質の向上に関する事項
 助成の仕組みや手続が国民に理解しやすく利用しやすいものとなるように、その見直しを進め、手続の簡素合理化、相談対応や広報の充実を図ることにより、活動団体の応募機会の確保及び便宜に努めること。

 助成事業の事後評価を徹底し、その成果を、助成事業採択や基金事業運営の改善、助成団体への指導助言に活かしていくとともに、評価の高い助成事例については、広く周知を図ることにより、民間団体の活動の推進に資するとともに、有望な助成案件の把握に努めること。

 助成先の団体や、他の資金助成を行う団体などと積極的に情報交換・意見交換を行うとともに、基金による資金助成が真に必要な分野についての調査研究に努めること。


 退職手当共済事業
 退職手当共済事業は、社会福祉施設等を経営する社会福祉法人等の相互扶助の精神に基づき、社会福祉施設等に従事する職員について退職手当共済制度を確立し、もって社会福祉事業の振興に寄与するため、以下の点に留意してその適正な実施に努めること。

業務の質の向上に関する事項
 ア 退職手当金の給付事務の効率化により、請求書の受付から給付までの平均所要期間を中期目標期間中に75日以内に短縮すること。

 イ 提出書類の簡素化等により、利用者の手続き面での負担の軽減に努めること。

 ウ 業務委託先への業務指導を徹底することにより、窓口相談、届出受理の機能強化を図ること。


 心身障害者扶養保険事業
 心身障害者扶養保険事業(以下「扶養保険事業」という。)については、地方公共団体が実施する心身障害者扶養共済制度(以下「扶養共済制度」という。)によって地方公共団体が加入者に対して負う共済責任を保険する事業に関する業務を安定的に行うことにより、心身障害者の保護者の不安を解消し、保護者死亡後の心身障害者の生活安定に寄与することを目的とし、以下の点に特に留意してその適正な実施に努めること。
 また、扶養保険事業の財務状況について、加入者等に対し定期的に公表すること。
 なお、中期目標期間の出来るだけ早い時期に事業が見直されるものとすること。

(1)業務運営の効率化に関する事項
 扶養保険資金の運用については、市場動向を考慮し、中期目標期間中において、安全性を重視した運用に努めること。

(2)業務の質の向上に関する事項
 心身障害者及びその保護者に対するサービスの向上を図るため、扶養共済制度を運営する地方公共団体と相互の事務処理が適切になされるように連携を図ること。


 福祉保健医療情報サービス事業(WAM NET事業)
 WAM NET事業については、福祉及び保健医療に関する情報システムの整備及び管理を行い、行政機関や福祉保健医療に関係する民間団体に対して全国規模での共通の基盤を提供することにより情報交換の推進を支援し、併せて福祉・介護及び保健医療サービスの利用者に対する提供情報の拡充を目的とし、以下の点に特に留意してその適正な実施に努めること。

(1)業務運営の効率化に関する事項
 福祉及び保健医療情報の利用者ニーズに対応するため、効率的な情報提供基盤の整備及び活用に努めること。

(2)業務の質の向上に関する事項
 福祉及び保健医療情報の総合的な情報窓口として、網羅的かつ速やかな情報提供と内容の充実に努めること。

 利用者の利便性の向上を図るとともに、WAM NETの利用促進策を積極的に講じ、中期目標期間中に年間アクセス件数700万件以上、利用機関登録数5万件以上を達成すること。

 情報更新や内容確認の頻度を高めることにより、提供情報が正確で最新の内容となるよう努めること。


 年金担保貸付事業
 年金担保貸付事業については、公的年金の受給者に対し、その受給権を担保にする特例措置として低利で小口の資金を貸し付けることにより、高齢者等の生活の安定を支援することを目的として、以下の点に留意してその適正な事業実施に努めること。
 また、業務運営に当たっては、利用者の利便性に配慮するとともに、年金受給者にとって無理のない返済となるよう配慮した運用に努めること。

(1)業務運営の効率化に関する事項
 年金担保貸付事業における業務運営コストを分析し、その増加を抑制するとともに、貸付金利の水準に適切に反映することにより、安定的で効率的な業務運営に努めること。

(2)業務の質の向上に関する事項
 年金担保貸付制度の周知を図るとともに、受託金融機関の窓口等における利用者への適切な対応に努めること。

 事務処理方法の見直し等により、借入申込みから貸付実行までの期間を、平成15年度(概ね4週間)に対し、1週間(事務処理日数5日)短縮することを目指すこと。


 労災年金担保貸付事業
 労災年金担保貸付事業については、労災年金の受給者に対し、その受給権を担保にする特例措置として低利で小口の資金を貸し付けることにより、労災年金受給者の生活を援護することを目的として、以下の点に留意してその適正な事業実施に努めること。
 また、業務運営に当たっては、年金担保貸付事業と併せて実施するというメリットを活かして効率的な業務運営に努めること。

(1)業務運営の効率化に関する事項
 労災年金担保貸付事業における業務運営コストを分析し、その増加を抑制するとともに、貸付金利の水準に適切に反映することにより、安定的で効率的な業務運営に努めること。

(2)業務の質の向上に関する事項
 労災年金担保貸付制度の周知を図るとともに、受託金融機関の窓口等における利用者への適切な対応に努めること。

 事務処理方法の見直し等により借入申込みから貸付実行までの期間を、平成15年度(概ね4週間)に対し、1週間(事務処理日数5日)短縮することを目指すこと。


第4 財務内容の改善に関する事項
 通則法第29条第2項第4号の財務内容の改善に関する目標は、次のとおりとする。


 運営費交付金以外の収入の確保
 運営費交付金を充当して行う事業については、それぞれの事業目的を損なわない範囲で、利用者負担その他の自己収入を確保することに努めること。

 貸付原資についての自己資金調達の拡大
 福祉医療貸付事業及び年金担保貸付事業において、財投機関債の発行等自己資金調達の拡大に努めること。

 貸付事業におけるリスク管理の徹底
(1)リスク管理債権の適切な処理
 福祉医療貸付事業については、審査業務におけるリスク把握手法の改善を図るとともに、債権管理業務における貸付先のフォローアップやリスク債権の管理の徹底、債権の保全方法の改善等を図ることにより、貸付残高に対するリスク管理債権の額の比率が中期目標期間中2.0%を上回らないように努めること。
 年金担保貸付事業及び労災年金担保貸付事業については、信用保証制度等を活用することにより、貸倒れリスクの抑制に努めること。

(2)適切な資産負債管理(ALM)の実施
 福祉医療貸付の原資についての自己資金調達の拡大による金利リスクの拡大が予測されるなか、健全な財務構造を維持するため、ALM(資産負債管理)システムを活用して、調達や運用のポートフォリオを設定すること。


第5 その他業務運営に関する重要事項
 通則法第29条第2項第5号のその他業務運営に関する重要目標は、次のとおりとする。

 人事に関する事項
 職員の専門性を高め、その勤務成績を考慮した人事評価を実施するとともに、業務の量・質に対応した適正な人員配置を行うこと。


照会先: 社会・援護局福祉基盤課振興係
電話03−5253−1111(代表) 内線2867


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