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平成15年6月5日
厚生労働省

平成15年6月3日に公表した「水銀を含有する魚介類等の
摂食に関する注意事項」について(正しい理解のために)

 6月3日(火)、厚生労働省では、薬事・食品衛生審議会乳肉水産食品・毒性合同部会の審議結果に基づき、「水銀を含有する魚介類等の摂食に関する注意事項」を公表しました。同注意事項にも述べているとおり、「魚介類等は一般に人の健康に有益であり」この「注意事項が魚介類等の摂食の減少につながらないように正確に理解」していただくことに資するよう、改めてその概要をお知らせするものです。

 まず、今回の注意事項は、「妊娠している方又はその可能性のある方」のみを対象に作成されたもので、子供の方やこれに該当しない成人の方に対しては、「すべての魚種等について、現段階では水銀による健康への悪影響が一般に懸念されるようなデータはない。」とされているので、安心して「一般に人の健康に有益である」魚介類等をバランスの良い食事の重要な要素としてお摂りになれます。

 次に、この注意事項の対象である「妊娠されている方」や「その可能性のある方」については、「多くの魚介類が微量の水銀を含有しているが、一般に低レベルで人の健康に危害を及ぼすレベルではない。魚介類等は良質なたんぱく質を多く含み、飽和脂肪酸が少なく、不飽和脂肪酸が多く含まれ、また、微量栄養素の摂取源である等、重要な食材である。」としつつ、「しかし、一部の魚介類では食物連鎖により蓄積することにより、人の健康、特に胎児に影響を及ぼす恐れがあるレベルの水銀を含有している。」との認識から、「妊娠している方又はその可能性のある方については、」次のような「注意をすることが望ましい」とされています。

対象:妊娠されている方又はその可能性のある方

内容:
(1) 2ヶ月に1回以下(1回60〜80gとして):バンドウイルカ
(2) 1週間に1回以下(1回60〜80gとして):
ツチクジラ、コビレゴンドウ、マッコウクジラ及びサメ(筋肉)
(3) 1週間に2回以下(1回60〜80gとして):
メカジキ及びキンメダイ

 「なお、上記の魚種等を除き、現段階では水銀による健康への悪影響が一般に懸念されるようなデータはない。魚介類等は一般に人の健康に有益であり、本日の注意事項が魚介類の摂食の減少につながらないよう正確に理解されることを期待したい。」とされています。

 なお、本注意事項は、約300種、約2,600検体の魚介類等に含まれる水銀の量の調査結果、わが国における魚介類等の摂食状況等を踏まえて検討されたものです。

 さらに、「今後とも、魚介類等の中の水銀濃度及び摂取状況等を把握するとともに、胎児への影響に関する研究等を行い、その結果を踏まえ、今回の摂食に係る注意事項の内容を見直すものとする」とされています。

 最後に、同部会の報告にもあるとおり、「魚介類等は一般に人の健康に有益であり、この注意事項が魚介類等の摂食の減少につながらないよう」、この「注意事項」を正確にご理解いただくようお願いします。

照会先: 厚生労働省医薬局食品保健部
中垣 基準課長
担当: 太齊、鶴身(内線2488、2489)


(参考)
水産物の栄養面での特徴(平成11年度漁業白書より抜粋)

 魚介類の脂質には、生活習慣病の予防や脳の発育等に効果がある高度不飽和脂肪酸のエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)が多く含まれることが知られるようになってきている。また、魚介類や海草類が、カルシウムをはじめとする各種の微量栄養素の重要な摂取源になっていることがあらためて見直されている。

 コラム:水産物に含まれる成分と機能

エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)
 魚類、特にいわし、まぐろなど海産魚の脂質に多く含まれる脂肪酸の一種です。血栓を防ぐとともに血中のLDL(悪玉)コレステロール値を低下させ、脳梗塞、心筋梗塞などの血管障害を予防するほか、アレルギー反応を抑制する作用などがあります。さらに、DHAは、脳神経系に高濃度で分布し、情報の伝達をスムーズにするほか、脳の発育や視力の向上に関与しています。

タウリン
 たこ、いか、貝、えび、かに類などに多く含まれているアミノ酸の一種です。生活習慣病予防物質として注目されており、動物実験により高血圧の下降、血液中のコレステロールの低下など多くの生理作用が確認されています。

アスタキサンチン
 さけ、いくら、たい、えびなどの赤橙色の色素です。ビタミンEを上回る抗酸化作用を持つことが明らかにされており、活性酸素注)の作用による諸疾患を抑制することなどが期待されています。

注:活性酸素:呼吸により体内に取り入れられた酸素がエネルギーを生み出す過程でつくられる他の分子と結合しやすい状態の酸素分子。殺菌、解毒等の作用を持つ一方、老化、発がん、腎障害、動脈硬化、白内障などの促進にかかわる。

 (別添:6月3日付け、水銀を含有する魚介類等の摂食に関する注意事項)


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