トピックス  厚生労働省ホームページ

平成15年5月1日から雇用保険の新制度がスタート!


経済社会の変化や働き方の多様化に対応し、
再就職支援の役割を安定的に果たしていけるよう、
雇用保険制度が変わります。



改正の要点

 早期再就職の促進、多様な働き方への対応、再就職の困難な状況に対応した給付の重点化と制度の安定的運営の確保の観点から以下の改正が行われます。

〔主な変更点〕
 (1) 基本手当の給付率、上限・下限額の改正
 (2) 基本手当の所定給付日数の改正
 (3) 60歳到達時賃金日額算定の特例の廃止
 (4) 育児、介護等による休業、勤務時間短縮措置についての賃金日額算定の特例の創設
 (5) 公共職業訓練の複数回受講等の特例措置の拡充
 (6) 高年齢求職者給付金の額の改正
 (7) 就業手当の創設
 (8) 教育訓練給付の額等の改正
 (9) 高年齢雇用継続給付の支給要件、給付率の改正
 (10) 不正受給の場合の納付命令額等の改正
 (11) 雇用保険料率の改正



厚生労働省
都道府県労働局
公共職業安定所(ハローワーク)


その1 基本手当の給付率、上限・下限額が変わります。

 ● 基本手当の給付率、上限・下限額が変わります。これは、改正雇用保険法の施行日以後に離職された方に適用されます。

基本手当日額は、次表の賃金日額×給付率の額となります。
年齢 賃金日額 給付率
60歳未満 2,140円以上4,210円未満 80%
4,210円以上12,220円以下 80%〜50%
12,220円超 50%
60歳以上
65歳未満
2,140円以上4,210円未満 80%
4,210円以上10,950円以下 80%〜45%
10,950円超 45%

賃金日額、基本手当日額の上限額は次の表のとおりとなります。
年齢 賃金日額の上限額(基本手当日額の上限額)
30歳未満 13,160円(6,580円)
30歳以上45歳未満 14,620円(7,310円)
45歳以上60歳未満 16,080円(8,040円)
60歳以上65歳未満 15,580円(7,011円)

賃金日額の下限額は2,140円(基本手当日額の下限額は1,712円)となります。

その2 基本手当の所定給付日数が変わります。

 ● 短時間労働被保険者以外の一般被保険者と短時間労働被保険者の所定給付日数が一本化され、改正法の施行日以後に離職した方に適用されます。
 ● 離職の日の年齢が35歳〜44歳の方で被保険者であった期間が10年以上である特定受給資格者(※)の所定給付日数が延長され、施行日以後に離職した方に適用されます。

〔法改正後の所定給付日数〕

(1) 特定受給資格者の場合((3)を除く)
被保険者であった期間区分 1年未満 1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
30歳未満 90日 90日 120日 180日
30歳以上45歳未満 90日 180日 210日 240日
  35歳以上45歳未満 240日 270日
45歳以上60歳未満 180日 240日 270日 330日
60歳以上65歳未満 150日 180日 210日 240日

(2) 特定受給資格者以外の場合((3)を除く)
    被保険者で
    あった期間
区分
1年未満 1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
全年齢 90日 90日 120日 150日

(3) 就職困難な受給資格者の場合
    被保険者で
    あった期間
区分
1年未満 1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
45歳未満 150日 300日
45歳以上65歳未満 360日

(注)特定受給資格者……倒産、解雇等の理由により離職を余儀なくされた方のことをいいます。

その3 60歳到達時賃金日額算定の特例が廃止されます。

 ● 60歳到達時以後に離職した方については、60歳到達時点の賃金日額と離職時の賃金日額を比較して高い方の賃金日額により基本手当日額を算定する特例が設けられていましたが、施行日以後に60歳に到達した方については、この特例が廃止されます。
 なお、施行日の前日以前に60歳に到達した方については、施行日以後も60歳到達時の賃金日額算定の特例が適用されます。

その4 育児、介護による休業、勤務時間短縮措置についての基本手当日額算定の特例が創設されます。

 ● 育児休業、介護休業又は育児・介護に伴う勤務時間短縮措置により賃金が喪失または低下している期間中に倒産、解雇等の理由により離職した方については、休業開始前又は勤務時間短縮措置前の賃金日額により基本手当の日額を算定する特例が設けられます。
 この特例は、施行日以後に休業又は勤務時間短縮措置の適用が開始された方に適用されます。

* 特例措置の要件は安定所の窓口にお問い合わせください。

その5 訓練延長給付制度における複数回受講の特例が拡充されます。

 ● 雇用対策臨時特例法による公共職業訓練の複数回受講等の特例措置の対象者が「45歳以上60歳未満」から「35歳以上60歳未満」に拡大されるとともに、特例の期間が「平成16年度末まで」から「平成19年度末まで」3年間延長されます。
 この特例は、拡大された年齢層(35歳以上45歳未満)の方については、施行日以後特例に基づく受講指示を受けたときに適用されます。

その6 高年齢求職者給付金の額が変わります。

 ● 高年齢求職者給付金の給付内容が短時間労働被保険者である高年齢継続被保険者の給付内容に一本化され、施行日以後に離職した方に適用されます。

〔法改正後の額〕
被保険者であった期間 1年未満 1年以上
高年齢求職者給付金の額 基本手当日額の
30日分
基本手当日額の
50日分

その7 就業手当が創設されます。

 ● 多様な方法による早期就業の実現のための就業手当の創設とあわせて現行の就職促進給付が整備され、就業促進手当(就業手当、再就職手当、常用就職支度手当)に統合されます。

 ● 就業手当の創設
 基本手当受給者の多様な就業形態による早期就業を促進するため就業手当が創設されます。
 この手当は、施行日以後に職業に就いた方に適用されます。
 なお、施行日の前日以前に離職した方については、支給要件の判断、給付額の算定に当たって旧基本手当日額及び旧所定給付日数が適用されますが、上限額は改正後の上限額が適用されます。

〔支給要件〕
 就業手当は、基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上、かつ、45日以上である受給資格者が再就職手当の支給対象とならない常用雇用等以外の形態で就業した場合において、一定の要件(※)を満たしたときに支給されます。
  ※ 主な支給要件
   (1) 待期が経過した後に就業したものであること。
   (2) 離職前の事業主(関連事業主を含む。)に再び雇用されたものでないこと。
   (3) 離職理由による給付制限を受けた場合に、待期満了後1ヵ月間については、安定所又は職業紹介事業者の紹介により再就職したこと。
   (4) 安定所に求職の申込みをした日前に雇用予約をしていた事業主に雇用されたものでないこと。
 詳しくは安定所の窓口にお問い合わせください。
〔支給額〕
  ・基本手当日額の30%に相当する額(※)を就業日ごとに支給。
 1日当たりの支給額の上限は、1,833円(60歳以上65歳未満は1,478円)です。
  ・就業手当の支給を受けた日については、基本手当を支給したものとみなされます。
〔支給手続〕
  ・原則として、失業の認定にあわせ、4週間に1回、前回の認定日から今回の認定日の前日までの各日について、「就業手当支給申請書」に、受給資格者証と就業した事実を証明する資料(給与明細書など)を添付して管轄安定所に申請していただきます。
 就業手当の支給対象のうち、支給残日数が所定給付日数の3分の2以上の場合には、早期再就職者支援基金事業による早期就業支援金(基本手当日額の40%に相当する額を就業日ごとに支給)(注)が支給されます。(この場合、就業手当は支給されません。)
(注) 早期就業支援金は、あなたが公共職業安定所に「払渡希望金融機関指定届」により登録をした金融機関口座に(財)高年齢者雇用開発協会から振込まれます。
 本支援金は、一時所得として課税対象となりますのでご留意ください。なお、他に一時所得がない場合には、支給金額から50万円を控除しその残額の2分の1が課税対象となります。

 ● 再就職手当の改正
 再就職手当についても、一定の見直しを行いました。
 これは、施行日以後に安定した職業に就いた方に適用されます。
(1) 支給額の変更
 支給額は、所定給付日数の支給残日数(職業に就いた日の前日における日数)×30%×基本手当日額(※)です。
 基本手当日額の上限額は、6,110円(60歳以上65歳未満は4,927円)です。
 この手当の支給を受けた場合には、この手当の額を基本手当日額で除して得た日数に相当する日数分の基本手当が支給されたものとみなされます。
 施行日の前日以前に離職し、施行日以後に安定した職業に就いた方については、旧基本手当日額及び旧所定給付日数に基づき、再就職手当が支給されますが、この場合においても、算定の基礎となる基本手当日額の上限額は適用されます。
 再就職手当の支給対象のうち、支給残日数が所定給付日数の3分の2以上の場合には、早期再就職者支援基金事業による早期再就職支援金(所定給付日数の支給残日数に40%を乗じた額を支給)(注)が支給されます。(この場合、再就職手当は支給されません。)
(注) 早期再就職支援金は、あなたが公共職業安定所に「払渡希望金融機関指定届」により登録をした金融機関口座に(財)高年齢者雇用開発協会から振込まれます。
 本支援金は、一時所得として課税対象となりますのでご留意ください。なお、他に一時所得がない場合には、支給金額から50万円を控除しその残額の2分の1が課税対象となります。

(2) 支給要件の見直し
 離職理由による給付制限を受けた場合の待期満了後1ヵ月間は、安定所による紹介に加え、職業安定法第4条第7項に規定する職業紹介事業者の紹介によるときも支給対象となります。
(3) 再就職手当受給後に再離職した場合の受給期間の延長
 再就職手当の支給を受けた方であって、この手当の支給を受けた後の最初の離職(新たに受給資格等を取得した場合における離職を除く。以下「再離職」といいます。)の日が受給期間内にあり、かつ、再離職が倒産等に伴うものである者として厚生労働省令で定めるもの又は解雇その他の厚生労働省令で定める理由により再離職したものについて、一定の期間受給期間が延長されます。
(4) その他
 事業を開始し、再就職手当の支給を受けるためには、雇用保険の適用事業主となることが要件でしたが、この要件に該当しなくとも自立したと認めることができる一定の要件を満たせば、再就職手当の支給対象とすることとしました。

 ● 常用就職支度金の常用就職支度手当への改正
 常用就職支度手当(従来の常用就職支度金)についても、一定の見直しを行いました。
 これは、施行日以後に安定した職業に就いた方に適用されます。
(1) 支給額の変更
 支給額は、90(所定給付日数の支給残日数が90日未満である場合には、支給残日数に相当する数(その数が45を下回る場合にあっては、45))×30%×基本手当日額(※)です。
 基本手当日額の上限額は、6,110円(60歳以上65歳未満は4,927円)です。
 施行日の前日以前に離職し、施行日以後に安定した職業に就いた方については、旧基本手当日額及び旧所定給付日数に基づき、常用就職支度手当が支給されますが、この場合においても、算定の基礎となる基本手当日額の上限は適用されます。
(2) 支給対象者の範囲の見直し
 就職困難者のうち、45歳以上の受給資格者については、雇用対策法等に基づく再就職援助計画等の対象となるものに限定しました。
(3) 支給要件の見直し
 安定所の紹介に加えて、職業紹介事業者の紹介により職業に就いたときも支給対象となります。

 再就職手当、常用就職支度手当の支給申請手続については、従来の再就職手当、常用就職支度金と同様です。

その8 教育訓練給付金の額などが変わります。

 ● 支給要件期間、給付率及び上限額の改正
 支給要件期間、給付率及び上限額について次のとおり改正され、施行日以後に対象教育訓練の受講(厚生労働大臣が指定する教育訓練)を開始した方に適用されます。
(1) 支給要件期間の要件を5年以上から3年以上とすること。
(2) 給付率、上限額の改正
 支給額は、支給要件期間に応じ、以下のとおりとなります。
 5年以上
 教育訓練経費の40%に相当する額となります。ただし、その額が20万円を超える場合は20万円とし、8千円を超えない場合は支給されません。
 3年以上5年未満
 教育訓練経費の20%に相当する額となります。ただし、その額が10万円を超える場合は10万円とし、8千円を超えない場合は支給されません。
 ● 適用対象期間の延長
 一般被保険者資格を喪失した日以後1年間のうちに妊娠、出産、育児、疾病、負傷等の理由により引き続き30日以上対象教育訓練の受講を開始することができない日がある場合には、ハローワークにその旨を申し出ることにより、当該資格を喪失した日から受講開始日までの教育訓練給付の対象となり得る期間(適用対象期間)にその受講を開始できない日数(最大3年まで)を加算できるようになります。
 この場合は、施行日以後妊娠、出産、育児、疾病、負傷等の理由により引き続き30日以上教育訓練を受けることができなくなるに至った方であって、当該教育訓練を受けることができなくなるに至った日が離職後1年以内である方に適用されます。

その9 高年齢雇用継続給付の支給要件及び給付率が変わります。

 ● 高年齢雇用継続給付の賃金低下率要件、給付率の改正
 支給要件の賃金低下率について15%超が25%超に、給付率について25%が15%となります。
 なお、これらの改正は、以下のとおり適用されます。
(1) 高年齢雇用継続基本給付金の支給要件、給付内容の見直し
 60歳に到達した日(60歳到達時において被保険者であった期間が5年に満たない場合は、5年に達した日)が施行日以後である被保険者について適用されます。
(2) 高年齢再就職給付金の支給要件、給付内容の見直し
 施行日以後に離職し、安定した職業に就くことにより被保険者となった方に適用されます。
 施行日の前日以前に離職し、安定した職業に就くことにより被保険者となった方に対しては、旧賃金日額に基づき、改正前の支給要件、給付率、支給限度額及び下限額が適用されます。
 施行日の前日以前に離職し、施行日以後に安定した職業に就くことにより被保険者となった受給資格者に対しては、旧賃金日額に基づき、新たな支給要件、給付率、支給限度額及び下限額が適用されます。

 ● 高年齢再就職給付金と再就職手当との併給調整
 高年齢再就職給付金の支給を受けられる方が、同一の就職につき、再就職手当の支給を受けられる場合において、その方が再就職手当の支給を受けたときは高年齢再就職給付金は支給されず、高年齢再就職給付金の支給を受けたときは再就職手当は支給されません。この併給調整は、施行日以後に安定した職業に就くことにより被保険者となった方に適用されます。

その10 不正受給を行った場合の納付命令額等が変わります。

 ● 納付命令額の引上げ
 不正受給により失業等給付を受けた場合の納付命令額が、不正に受けた失業等給付の額の2倍に相当する額以下の金額とされ、施行日以後の不正行為に適用されます。
 ● 連帯返還・納付命令の対象者の拡大
 連帯返還・納付命令の対象者として、次に掲げる者が追加されます。
職業紹介事業者(職業安定法第4条第7項)
業として職業指導(職業に就こうとする者の適性、職業経験その他の実情に応じて行うもの)を行う者
 ● 報告等の対象者の拡大
 報告等の対象者として、受給資格者等を雇用しようとする事業主及び職業紹介事業者等が追加されます。

その11 雇用保険料率がかわります。(平成17年4月1日以降)

 ● 雇用保険料率の改正
 雇用保険料率が平成17年4月1日から1,000分の2引き上げられます(平成17年3月31日までは現行のまま据え置かれます。)

〔変更の内容〕
事業の種類 平成17年
 3月31日まで
平成17年
 4月1日以降
 2及び3以外の事業 17.5/1000
(7/1000)
19.5/1000
(8/1000)
 土地の耕作若しくは開墾又は植物の栽植、栽培、採取若しくは伐採の事業その他農林の事業(園芸サービスの事業を除く。)
 動物の飼育又は水産動植物の採捕若しくは養殖の事業その他畜産、養蚕又は水産の事業(牛馬の育成、酪農、養鶏又は養豚の事業及び内水面養殖の事業は除く。)
 清酒の製造の事業
19.5/1000
(8/1000)
21.5/1000
(9/1000)
 土木、建築その他工作物の建築、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体又はその他準備の事業 20.5/1000
(8/1000)
22.5/1000
(9/1000)
※ ( )は被保険者の方が負担する部分です。

 ● 一般保険料額表の廃止
 一般保険料額表が廃止され、被保険者の方が負担すべき雇用保険料額は、被保険者の方の賃金総額に上記の表のカッコ内の率を乗じて得た額となります。ただし、平成17年3月31日までの間は、引き続き一般保険料額表により計算していただくこともできます。

 その他に、求職者給付受給者の求職活動の努力義務の明確化、「子の看護」や「公的機関が募集する一定のボランティア活動」を行った場合の基本手当の受給期間延長、育児・介護休業給付の上限額の変更などがあります。

 詳しくは、都道府県労働局職業安定部又はお近くの公共職業安定所〔ハローワーク〕にお尋ねください。


トップへ
トピックス  厚生労働省ホームページ