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○厚生労働省告示第百二号
 母子及び寡婦福祉法(昭和三十九年法律第百二十九号)第十一条第一項の規定に基づき、母子家庭及び寡婦の生活の安定と向上のための措置に関する基本的な方針を次のように定めたので、同条第四項の規定により告示する。
  平成十五年三月十九日

厚生労働大臣  坂口  力

母子家庭及び寡婦の生活の安定と向上のための措置に関する基本的な方針
目次
はじめに
1 母子家庭及び寡婦の家庭生活及び職業生活の動向に関する事項
2 母子家庭及び寡婦の生活の安定と向上のため講じようとする施策の基本となるべき事項
3 都道府県等が策定する母子家庭及び寡婦自立促進計画の指針となるべき基本的な事項

はじめに
 1.方針のねらい
(1) 母子家庭等施策の必要性
 近年の離婚件数の増加に伴い、母子家庭及び父子家庭(以下「母子家庭等」という。)、特に母子家庭が急増している。現実の母子家庭の置かれている生活状況を見ると、子育てと生計の担い手という二重の役割を一人で担うこととなった直後から、その生活は大きく変化し、住居、収入、子どもの養育等の面で様々な困難に直面することとなる。
 母子家庭の母の場合、就業経験が少なかったり、結婚、出産等により就業が中断していたことに加え、事業主側の母子家庭に対する理解不足、求人の際の年齢制限の問題などが重なり、その就職又は再就職には困難が伴うことが多い。また、保育所入所待機児童が増加する中で、就業のため子どもを保育所に預けることには困難が伴い、就業しても低賃金や不安定な雇用条件等に直面することが多い。さらに、約8割の離婚母子家庭は養育費が支払われていない。こうしたことなどから、その85%が就業しているにもかかわらず、平均年収は229万円と低い水準にとどまっているのが現状である。過去と比較しても、臨時・パートタイムの形態での就労の割合が高まっている。また、子どもの養育や教育のために収入を増やそうと複数の職場で就業したり、より良い就業の場の確保のために自らの職業能力を高めるなど、懸命な努力をする中で、中にはその努力が結果として健康面の不安を招き、生活をより困難にしている場合もある。
 こうしたことから、特に母子家庭については、子育てをしながら、母が収入面・雇用条件面等でより良い就業に就き、経済的に自立できることが、母本人にとっても、子どもの成長にとっても重要なことであり、自立支援策の必要性が従来以上に高まっている。
 一方、父子家庭については、既に家計の担い手として就業していた場合が多いことから、その平均年収は422万円となっている。しかしながら、子どもの養育、家事等生活面で多くの困難を抱えており、子育てや家事の支援の重要性が非常に高い。
 また、離別世帯の子どもの養育においては、その養育に対する責務は両親にあり、離婚により変わるものではない。子どもを監護しない親からの養育費は、子どもの権利であるにもかかわらず、その確保が進んでいないことから、親の子どもに対する責務の自覚を促し、子どもを監護しない親が、その責務を果たしていくべきことを社会全体が当然のこととする気運を醸成していくことが重要となっている。
 さらに、母子、父子を問わず親との離死別は、子どもの生活を大きく変化させるものであり、そのことが子どもの精神面に与える影響や進学の悩みなど、子どもの成長過程において生じさせる諸問題についても、十分な配慮が必要とされている。また、現代において、母子家庭等は決して特別な家庭ではないことから、社会全体が、こうした家庭を家族形態の一類型としてとらえ、理解を深めていく必要がある。
 このように、母子家庭等及び寡婦の抱えている困難は、多くが複雑に重なり合っており、総合的な支援策を展開する必要がある。その際には、施策の実施主体は、精神面で支えを必要としている場合や養育能力や生活能力が欠けている場合において適切な援助を行うなど、生活について幅広く支援する仕組み、個々の世帯の抱える問題に対し相互に支え合う仕組みを活用するなど、きめ細かな配慮をすることが求められており、そうした観点から、母子家庭等に身近な自治体において、母子寡婦福祉団体やNPO等様々な関係者と緊密に連携しながら、きめ細かな施策を展開することが重要である。
(2) 母子寡婦福祉対策の見直しと国の基本方針
 我が国における母子寡婦福祉対策は、昭和27年に戦争未亡人対策から始まり50年以上の歴史をもっているが、(1)で述べたような母子家庭等及び寡婦を巡る状況の変化に応じて、母子寡婦福祉対策を根本的に見直し、新しい時代の要請に的確に対応すべく、平成14年11月22日、「母子及び寡婦福祉法等の一部を改正する法律」(以下「改正法」という。)が成立した。
 改正法においては、母子家庭等及び寡婦に対する「きめ細かな福祉サービスの展開」と「自立の支援」に主眼を置いている。離婚後等の生活の激変を緩和するために、母子家庭等となった直後の支援を重点的に実施するとともに、就業による自立を支援するため、福祉事務所(社会福祉法(昭和26年法律第45号)に定める福祉に関する事務所をいう。以下同じ。)を設置する地方公共団体において、母子自立支援員が総合的な相談窓口となり、児童扶養手当等各種母子家庭等の支援策に関する情報提供、職業能力の開発、就職活動の支援を行う体制を整備しつつ、(1)子育てや生活支援策、(2)就業支援策、(3)養育費の確保策、(4)経済的支援策を総合的に展開することとしている。また、国が母子家庭及び寡婦の生活の安定と向上のための措置に関する基本的な方針を策定することとなっている。
 本基本方針は、改正法の趣旨も踏まえつつ、父子家庭も含めた母子家庭等施策の展開の在り方について、国民一般に広く示すとともに、都道府県(指定都市及び中核市を含む。)、市(特別区を含む。)及び福祉事務所を設置する町村において自立促進計画を策定する際の指針を示すこと等により、母子家庭等施策が総合的かつ計画的に展開され、個々の母子家庭等に対して効果的に機能することを目指すものである。
 2.方針の対象期間
 この基本方針の対象期間は、平成15年度から平成19年度まで5年間とする。

第1 母子家庭及び寡婦の家庭生活及び職業生活の動向に関する事項
 以下の記述は、特に記載がないものは、厚生労働省の「全国母子世帯等調査(平成10年11月1日現在)」による。
 1.離婚件数の推移等
 離婚件数は、昭和39年以降毎年増加し、昭和58年をピークに減少したが、平成3年から再び増加している。平成13年の離婚件数は、約28万6千件(厚生労働省「人口動態統計」)で、過去最高である。
 近年の離婚増加の原因については、事情は様々であるため、一概には言えないが、その一つには、離婚に対する考え方の変化や、女性の経済的自立の進展等近年の社会情勢の変化により、以前に比べ、離婚の障害が少ない環境になってきていることが考えられる。
 2.世帯数等の推移
(1) 母子世帯数は、954,900世帯(平成10年)で、平成5年の789,900世帯に対し、20.9%の増加となっている。母子世帯になった理由では、平成5年に比べ死別によるものが減少する一方、離婚や未婚の母の増加により生別世帯が増加し、構成割合では生別世帯が全体の79.9%(平成5年73.2%)となっている。
(2) 父子世帯数は、163,400世帯で、平成5年の157,300世帯に対し、3.9%の増加となっている。また、父子世帯では、生別世帯が64.9%(平成5年65.6%)となっている。
(3) 寡婦の数は、1,128,900世帯(平成10年)で、平成5年の1,175,600世帯に対し、4.0%の減少となっている。母子世帯における生別世帯の増加を反映して、寡婦においても、生別によるものが37.0%(平成5年32.6%)となっており、生別の割合が増加している。
(4) 母子世帯の増加により、児童扶養手当の受給世帯も増加しており、平成11年度末664,382世帯、12年度末708,395世帯、13年度末には759,194世帯となっており(「厚生労働省福祉行政報告例」)、毎年約5万世帯程度増加している。
 3.年齢階級別状況等
(1) 母子世帯となった時の母の平均年齢は34.7歳で、そのときの末子の平均年齢は5.4歳となっている。
 母子世帯の母の平均年齢は、40.9歳(平成5年41.7歳)で、末子の平均年齢は、10.9歳(平成5年12.0歳)となっており、母子とも平均年齢が低下している。
(2) 父子世帯となった時の父の平均年齢は40.2歳で、そのときの末子の平均年齢は7.8歳となっている。
 父子世帯の父の平均年齢は、46.4歳(平成5年44.2歳)で、前回調査よりも平均年齢は高くなっている。また、末子の平均年齢は13.0歳となっている。
(3) 寡婦の平均年齢は56.3歳(平成5年55.7歳)で、年齢分布としては「60〜64歳」の階層が35.6%で最も多くなっている。
 4.住居の状況
(1) 母子世帯の持ち家率は、全体で26.6%であるが、死別世帯が66.7%、生別世帯は17.3%と両者に大きな違いがみられる。持ち家以外については、借家25.9%(平成5年33.4%)、公営住宅 16.6%(平成5年12.6%)、実家等での同居13.6%(平成5年7.3%)等となっている。平成5年に比べると、持ち家と借家の割合が減少した一方、公営住宅と同居の割合は増加した。
(2) 父子世帯の持ち家率は、58.0%となっている(平成5年56.4%)。持ち家以外については、借家14.7%(平成5年20.5%)、公営住宅 8.2%(平成5年7.0%)、実家等での同居11.4%(平成5年5.9%)等となっている。平成5年に比べると、持ち家及び公営住宅の割合にはあまり大きな変化はなかったが、借家の割合が減少、同居の割合が増加した。
(3) 寡婦の持ち家率は、59.8%となっている(平成5年62.7%)。持ち家以外については、公営住宅 10.1%(平成5年7.8%)、借家16.1%(平成5年19.6%)、実家等での同居4.5%(平成5年2.6%)等となっている。
(4) 離婚による転居の状況をみると、父子家庭では、転居しなかった場合が71%、母子家庭では転居した場合が67%となっており、母子家庭が離婚直後に住居面の変化を伴う場合が多い(厚生省「平成9年度人口動態社会経済面調査報告 離婚家庭の子ども」)。
 5.就業状況
(1) 母子家庭の母の84.9%(平成5年87.0%)が就業しており、就業している者のうち常用雇用者が50.7%(平成5年53.2%)、臨時・パート(臨時・パートタイムの形態で就労する者をいう。以下同じ。)が38.3%(平成5年31.3%)等となっている。母子家庭になる前に就業していた者の割合は63.5%(常用雇用者40.4%、臨時・パート39.2%)であり、母子世帯になる前に就業していなかった母のうち、79.2%が現在就業している(常用雇用者47.2%)。従事している仕事の内容は、事務、サービス業がそれぞれ約2割となっている。勤務先事業所の規模は、6〜29人のものが最も多く、300人未満の規模までで全体の8割となっている。
 また、母子世帯の母で就業に資する資格を有している割合は、33.6%となっており、平成5年に比べても若干増えているが、資格が現在の仕事に役立っていると回答した者の割合は53.7%に過ぎず、むしろその割合は低下している。
 さらに、現在就業している者のうち、約3割が転職を希望しているが、その理由は「収入がよくない」が約6割となっている。
(2) 父子世帯の父は、父子世帯になる前にはほとんど(95.9%)が就業しており、その後も大半(89.4%)(平成5年93.0%)が就業している。就業している者のうち常用雇用者が75.3%(平成5年71.7%)、事業主が13.7%(平成5年18.5%)、臨時・パートが6.9%(平成5年3.1%)等となっている。
(3) 寡婦は66.7%が就業しており、就業している者のうち常用雇用者が42.6%、臨時・パートが33.9%等となっている。
(4) 母子世帯になった直後に仕事を探していた時の問題点として、「年齢制限があった」「子どもが小さいことが問題とされた」「求人自体が少なかった」ということが多く挙げられている(日本労働研究機構「母子世帯の母への就業支援に関する調査結果の概要(平成13年10月発表)」)。このように、母子世帯の母は、求職するに当たって、比較的年齢が若いうちは小さい子どもを抱えていることが問題とされ、子どもがある程度成長した頃には年齢制限に直面している。
 6.収入状況
(1) 母子世帯の平成9年の年間の平均収入金額(就労収入、生活保護法に基づく給付、児童扶養手当、養育費等すべての収入の金額)は(平均世帯人員3.16人)、229万円となっている(平成4年215万円)。
(2) 父子世帯の平成9年の年間の平均収入は(平均世帯人員3.45人)、422万円となっている(平成4年423万円)。
 7.養育費の取得状況
 離婚母子家庭のうち養育費の取決めをしている世帯は、35.1%である。養育費の取決めをしていない理由としては、「相手に支払う意志や能力がないと思った」という者が最も多く(61.1%)、「取決めの交渉をしたがまとまらなかった」11.3%、「取決めの交渉が煩わしい」6.5%等となっている。
 また、養育費の受給状況については、現在も受給している者が20.8%、受けたことがある者が16.4%、受けたことがない者が60.1%となっている。養育費を現在も受けている又は一度でも受けたことがある者の養育費の1世帯当たりの平均額は、月額53,200円である。
 離婚の際又はその後、子どもの養育費の関係で相談をした者は、全体の54.1%であるが、そのうち最も多い相談相手が親族であり(41.9%)、家庭裁判所 28.6%、弁護士 11.0%、自治体窓口等 6.6%等となっている。
 8.子どもの状況等
(1) 母子世帯における子ども(20歳未満の児童)の総数は、約152万人となっている。1世帯当たりの子どもの数は、「1人」が45.0%(平成5年41.9%)、「2人」が38.5%(平成5年42.9%)となっており、平均1.59人となっている。
 就学状況別にみると、小学生のいる世帯が315,500世帯で最も多く(26.5%)、平成5年に比べて、その割合が増加している。
 小学校入学前児童のいる母子世帯は189,200世帯(母子世帯総数の19.8%)、該当する児童の数は221,500人となっている。子どもの養育の状況については、保育所の割合が52.6%と最も高いものの、平成5年に比べると、その割合が減少し、親本人、親以外の家族等の割合が増加している。
(2) 父子世帯における子ども(20歳未満の児童)の総数は、約26万人となっている。1世帯当たりの子どもの数は、「1人」が44.5%(平成5年42.5%)、「2人」が35.5%(平成5年41.0%) となっており、平均は1.57人となる。
 就学状況別にみると、小学生、中学生、高校生のいる世帯がそれぞれ約2割となっている。
 小学校入学前児童のいる父子世帯は14,700世帯(父子世帯総数の9.0%)、該当する児童の数は15,300人となっている。子どもの養育の状況については、母子世帯同様、保育所の割合が50.3%と最も高いものの、平成5年に比べると、保育所の割合が減少し、親本人、親以外の家族等の割合が増加している。
 9.その他
(1) 公的制度等の利用状況
 母子世帯及び父子世帯ともに、公的制度等を利用する割合はあまり高くない。その中で、比較的利用されているのは、公共職業安定所、福祉事務所、市町村福祉関係窓口である。
 また、これまで公的制度等を利用したことがないもののうち、今後利用したい制度として、公共職業能力開発施設、公共職業安定所等の就業支援関係を挙げる割合が増加している。
(2) 子どもについての悩み
 子どもについて悩みがあるとの回答は、母子世帯で66.9%(平成5年64.4%)、父子世帯で65.7%(平成5年59.8%)となっている。悩みの内容については、母子世帯、父子世帯ともに、「教育・進学」についてが最も多く、母子家庭では「しつけ」、父子世帯では「食事・栄養」に関することがこれに次いでいる。また、母子世帯、父子世帯ともに、前回調査より悩みがある世帯が増加している。
(3) 困っていること
(1) 母子世帯では、困っていることがあるとの回答が、74.6%(平成5年71.0%)となっている。
 困っている内容については、「家計」が37.9%で最も多く、「仕事」22.4%、「住居」18.5%の順となっている。
(2) 父子世帯では、困っていることがあるとの回答が68.2%(平成5年62.2%)となっている。
 困っている内容については、「家事」が34.1%で最も多くなっている。
(3) 寡婦については、困っていることがあるとの回答が60.1%(平成5年47.7%)となっている。
 困っている内容については、「健康」が33.5%と最も多くなっている。
 いずれの世帯も、前回調査に比べて困っていることがある世帯の割合が増加しており、また、「仕事」について困っている者の割合が増加している。
(4) 相談相手について
 相談相手がありと回答があったのは、母子世帯、父子世帯、寡婦いずれも前回調査よりはその割合が増加しているが、母子世帯の81.1%、寡婦の74.2%に比べると、父子世帯では56.8%とその割合は低い。
 10.まとめ
(1) 母子世帯及び寡婦の状況
 母子世帯については、生別世帯の割合が増加しており、小さい子どもを抱えながら臨時・パートタイムの形態で就業している者も少なくなく、収入もかなり低い状況にある。養育費も大半が取得していない。その結果、家計について困っているとの回答が最も多くなっている。また、離婚により転居する割合が高い。
 このように、母子世帯については、特に、子育てと仕事の両立、より収入の高い就業を可能にするための支援、養育費取得のための支援、生活の場の整備等が重要と考えられ、それらの必要性が従来以上に高まっている。
 寡婦については、健康面で困っているとの回答が最も多いことから、日常生活面の支援等が重要と思われる。
(2) 父子世帯の状況
 父子世帯についても、母子世帯に比べてその数は少ないものの、離婚が増加する中で増加しており、また、生別世帯の割合が高くなっている。
 父子世帯は、母子世帯に比べて、持ち家率が高く、また、父子世帯となる以前からほとんどの者が就業しており、その大部分は常用雇用者である。
 父子世帯が困っていることとしては、「家事」が最も多くなっているが、公的制度等を利用する人はわずかであり、母子世帯に比べて相談相手なしという割合が高い。
 こうしたことから、父子世帯については、特に、子育てと仕事の両立、家事の支援、及び相談機能の充実等が重要と思われる。
2 母子家庭及び寡婦の生活の安定と向上のため講じようとする施策の基本となるべき事項
 1.今後実施する母子家庭等及び寡婦施策の基本的な方向性
(1) 国、都道府県及び市町村の役割分担と連携
 母子家庭については、これまで児童扶養手当に大きくウェイトがかかっている施策を見直し、きめ細かな福祉サービスの展開と自立・就労の支援に主眼を置いて、(1)子育てや生活支援策、(2)就業支援策、(3)養育費の確保策、(4)経済的支援策を総合的に展開することとする。
 その際、国、都道府県(指定都市及び中核市を含む。以下同じ。)並びに市(特別区を含む。)及び福祉事務所を設置する町村(以下「市等」という。)が、適切に役割を分担しながら、互いに連携することが必要である。
 国は、母子家庭等及び寡婦施策に係る施策や制度の企画・立案を行う。また、効果的な施策の展開のための調査・研究を行ったり、母子家庭等及び寡婦施策に係る普及・啓発、また関係者の研修等を行う。さらに、都道府県が市等における母子家庭等及び寡婦施策を効果的かつ効率的に実施するための課題や方策の検討について、地域の実情に応じて支援する体制を整備するとともに、連絡会議等を通じて、都道府県や市等の自立促進計画、施策や取組について情報提供を行うなど、都道府県や市町村に対する支援を行う。
 都道府県及び市等では、本基本方針に即して、「母子家庭及び寡婦自立促進計画」を策定すること等を通じて、地域の実情に応じて、計画的に母子家庭等及び寡婦施策を実施することが必要である。
 都道府県は、母子家庭等就業・自立支援センター事業等自ら実施すべき施策を推進することが求められる。また、市等が母子家庭等及び寡婦施策を効果的かつ効率的に実施するための課題や方策を検討するに際して、地域の実情に応じて市等を支援するとともに、広域的な観点から、市町村が実施する就業支援や生活支援が円滑に進むよう、市等における自立促進計画の策定状況や各種施策の取組状況などについて情報提供を行うなど、市町村に対する支援を行うことが必要である。
 市町村は、母子家庭等日常生活支援事業等自ら実施すべき施策を推進するとともに、住民に身近な地方公共団体として、母子家庭等及び寡婦に対し、相談に応じ、施策や取組について情報提供を行うことが必要である。平成14年8月に児童扶養手当の支給事務が市等に委譲されたことから、特に、市等では、児童扶養手当の支給と自立支援を一体的に行う重要な役割を担うことが求められる。
(2) 相談機能の強化
 改正法により、母子相談員の名称を母子自立支援員に改めるとともに、配置が市等にまで拡大され、業務も職業能力の向上と求職活動に関する支援が追加された。これにより、母子自立支援員は、母子家庭及び寡婦の抱えている問題を把握し、母子寡婦福祉団体等と連携し、その解決に必要かつ適切な助言及び情報提供を行うなど、母子家庭及び寡婦に対する総合的な相談窓口として重要な役割を担うことが求められる。また、地域における福祉の増進を図る児童委員においては、母子家庭等及び寡婦について相談に応じ、それぞれの抱える問題に応じて利用し得る制度、施設及びサービスについて助言し、問題の解決に努めること等が重要である。
 市等は、児童扶養手当の支給と自立支援を一体的に行うため、母子自立支援員を適正に配置するほか、その資質の向上のための機会を提供すること等により、相談機能の強化を図ることが必要である。
(3) 福祉と雇用の連携
 母子家庭等及び寡婦の早期自立を図るためには、早期の段階においての支援が重要である。こうした観点から、母子家庭等及び寡婦を初期の段階で把握し、生活全般にわたり親身な相談に応じるとともに、経済的自立を図る上で必要な就業に関する情報や、就業する際の子育て支援など、福祉と雇用の施策の緊密な連携が不可欠である。そのため、国の労働部局と都道府県及び市町村、また、都道府県及び市町村の福祉部局と産業労働部局が緊密に連携することが求められる。
 2.実施する各施策の基本目標
 母子家庭等及び寡婦の自立を図るためには、(1)子育てや生活の支援策、(2)就業支援策、(3)養育費の確保策、(4)経済的支援策を総合的かつ計画的に推進することが不可欠であり、これを積極的に推進する。これにより、母子家庭等及び寡婦の収入状況、就業状況、養育費取得状況等の生活状況の好転を図る。
(1) 子育てや生活の支援策
 母子家庭等が、安心して子育てと就業・就業のための訓練との両立ができるよう、保育所への優先入所、保育サービスの提供、公営住宅の積極的な活用の推進等、子育てや生活の面での支援体制の整備を促進する。
 また、地域の相互扶助による子育てや生活の面での支援を推進する。
(2) 就業支援策
 母子家庭及び寡婦が十分な収入を得ることができ、自立した生活をすることができるよう、職業能力向上のための訓練、効果的な職業あっせん、就業機会の創出等を実施するなど、就業面での支援体制の整備を促進する。
(3) 養育費の確保策
 母子家庭等の児童が必ず養育費を取得できるよう、養育費支払についての社会的気運の醸成、養育費についての取決めの促進を図るなど、養育費確保面での支援体制の整備を促進する。
(4) 経済的支援策
 母子寡婦福祉資金貸付金や児童扶養手当制度を利用しやすくするために、制度について積極的に情報提供を実施するほか、適正な貸付・給付事務の実施、関係職員に対する研修の実施等により、経済面での支援体制の整備を促進する。
 3.母子家庭等及び寡婦の生活の安定と向上のために講ずべき具体的な措置に関する事項
(1) 国が講ずべき措置
(1) 公共職業安定所における就業あっせん(公共職業訓練の受講あっせんも含む。)
 母子家庭の母等に対してきめ細かな職業相談・職業紹介を実施するほか、財団法人21世紀職業財団と連携して保育・介護情報を提供する。
 特に、両立支援ハローワークにおいては、きめ細かな職業相談や職業紹介を実施するとともに、これまで無業者に対して行ってきた、その者に必要な職業情報等を提供する就業希望登録制度について、対象者を、常用雇用者への移行を希望する母子家庭の母等であって臨時・パートタイムの形態で就業するものにも拡充して実施する。
 母子家庭等就業・自立支援センター事業の円滑な実施のため、その求めに応じて、必要な求人情報の積極的提供を行う。
(2) 特定求職者雇用開発助成金の活用
 失業した母子家庭の母等就職が困難な求職者を雇い入れる事業主に対する特定就職困難者雇用開発助成金について、その対象を短時間労働被保険者にも拡大しているが、母子家庭の母にはパートタイム労働者が多いことから、事業主に対する周知を徹底するなどにより、その活用を推進する。
(3) 試行雇用を通じた早期就職の促進
 母子家庭の母等に実践的な能力を取得させるなどにより、早期就職を促進するための、短期の試行雇用を実施する。
(4) 厚生労働省関係機関等における母子家庭の母の雇用の促進
 厚生労働省の本省や外局、関係機関において、母子家庭の母の雇入れを促進するように努めるとともに、社会福祉関係団体、公益法人等関係団体に対して雇入れの要請を行う。
(5) 事業主に対する母子家庭の母の雇用に関する啓発活動の推進
 事業主に対し、母子家庭の母の雇用について理解を深めてもらうための啓発活動を積極的に推進する。
(6) 都道府県及び市町村、企業等における母子家庭の母の雇用に関する好事例の周知
 母子家庭の母を積極的に雇用するなど、都道府県及び市町村や企業における母子家庭の母の雇用に関する好事例について、情報を収集し、その提供を行う。
(7) 母子家庭に対する生活の場の整備
 都市基盤整備公団賃貸住宅について、母子家庭に対する優先入居を推進する。また、母子家庭が賃貸住宅に入居する場合の家賃保証について、民間の家賃保証サービスの活用を推進するとともに、民間事業者による取組状況等を踏まえ、必要な施策について検討する。
(8) 親の扶養義務の履行を確保するための施策の在り方についての検討
 離婚の増大の原因や離婚が子どもに与える影響、さらには親の扶養義務の果たし方と養育費についての研究を推進するとともに、母子家庭等の児童の福祉の増進を図る観点から、親の扶養義務の履行を確保するための施策の在り方やその導入について検討を進める。
(9) 効果的な母子家庭等及び寡婦施策を展開するための実態把握・研究、モデル事業等の推進
 母子家庭等及び寡婦施策を効果的に推進するために、母子家庭等及び寡婦の就業状況、収入状況、養育費の取得状況などの実態を把握し、その研究を推進する。そして、これらの実態把握・研究等に基づき、母子家庭等及び寡婦の就業促進に有効と考えられる施策については、モデル事業等として早期にかつ積極的に推進していく。
(2) 都道府県及び市町村が講ずべき措置に対する支援
 都道府県及び市町村が以下の措置を講ずるに際しては、国は、母子家庭等及び寡婦が必要なサービスを適切に受けることができるよう母子自立支援員を含めた相談体制の整備、関係機関の連携を推進しながら、当該措置が効果的に実施されるよう必要な支援を講じていくものとする(実施主体について特に記載がない場合は都道府県及び市町村を指すものとする。また、対象について特に記載のない場合は母子家庭を対象とするものとする。)。
(1) 子育て支援、生活の場の整備
 保育所優先入所の推進等(実施主体:市町村、対象:母子家庭等)
(a) 就業や求職活動、職業訓練を十分に行うことができるよう、母子家庭等の優先的取扱いなど、母子家庭等の児童が保育所に優先的に入所することができるような取組を推進
(b) 休日保育、夜間保育、病児・病後児保育を実施
(c) 待機児童への対応や仕事と子育ての両立支援として、家庭的保育事業やファミリー・サポート・センター事業を活用
 放課後児童クラブの優先的利用の推進(実施主体:市町村、対象:母子家庭等)
 放課後児童クラブについても、母子家庭等の児童が優先的に利用できるような取組を推進
 母子生活支援施設の整備・機能の拡充
(a) 小規模分園型(サテライト型)母子生活支援施設を設置
 母子生活支援施設に入所する母子家庭のうち早期に自立が見込まれる者を対象に、地域社会の中の小規模な施設で、本体施設と十分な連携を図りながらその自立を重点的に支援する小規模分園型(サテライト型)の母子生活支援施設の設置を推進
 また、公設民営方式による施設整備を推進
(b) 母子生活支援施設への保育機能の付与(対象:母子家庭等)
 母子生活支援施設の機能を活用し、地域で生活する母子家庭等の児童を対象とする保育機能(夜間・延長保育や入所待機の解消などのニーズにも対応)の充実を図り、地域の母子家庭等の子育てと仕事の両立を支援
 公営住宅の積極的活用の推進(優先入居の推進等)等
(a) 公営住宅の優先入居等
 公営住宅の借上げ制度の活用を推進しつつ、母子家庭に対する優先入居を推進
(b) 民間の家賃保証サービスの活用
 母子家庭が賃貸住宅に入居する場合の家賃保証について、民間の家賃保証サービスの活用を推進
 母子家庭等日常生活支援事業の実施(対象:母子家庭等)
(a) 母子家庭等がその親の修学や疾病等の事由により一時的に家事、育児等の日常生活に支障が生じた場合等に、多様なニーズ、時間帯に応じて家庭生活支援員を母子家庭等の居宅に派遣し、又は家庭生活支援員の居宅等において、児童の世話等日常生活の支援を行う母子家庭等日常生活支援事業の実施を推進
(b) 母子家庭等日常生活支援事業の実施に当たっては、昼間、夜間などの多様な時間帯の利用を推進するとともに、出張等の場合に対応できる宿泊型事業を活用
(c) 母子家庭等日常生活支援事業の実施に当たっては、事業の一部を母子寡婦福祉団体、NPO、介護事業者等に委託することができるものとし、家庭生活支援員として、母子家庭の母等を積極的に活用していくとともに、その資質の向上を図るため、講習会を実施
 子育て短期支援事業の実施(実施主体:市町村、対象:母子家庭等)
(a) 短期入所生活援助(ショートステイ)事業の実施
 保護者の疾病や仕事等の事由により児童の養育が一時的に困難となった場合や緊急一時的に保護を必要とする場合、又は育児不安や育児疲れ、慢性疾患児の看病疲れ等の身体的・精神的負担の軽減が必要な場合に、母子家庭等の児童を短期間預かるショートステイ事業の実施を推進
(b) 夜間養護(トワイライトステイ)事業の実施
 保護者が仕事等の理由により帰宅が夜間にわたる場合や休日の勤務、緊急の場合の宿泊に対応するトワイライトステイ事業の実施の推進
 一人親家庭生活支援事業の実施(対象:母子家庭等)
 母子家庭等の生活基盤の安定を図るため、生活支援講習、土日・夜間電話相談、児童訪問援助(大学生等によるホームフレンド)、情報交換の場の提供等、各種事業をメニュー化し、地域の実情に応じて選択的に実施するとともに、新たに母子の健康上の問題について適切な助言を行う健康支援事業を実施
(2) 就業支援策
 母子家庭等就業・自立支援センター事業の実施・連携(実施主体:都道府県、対象:母子家庭及び寡婦)
(a) 就業に関する専門的な知識や相談経験のある者による職業相談から就業支援講習会の実施、就業情報の提供、母子自立支援員をはじめとする就業支援関係者の研修等、一貫した就業支援サービスを提供したり、母子生活支援施設と連携を図りながら、母子家庭及び寡婦の地域生活の支援や養育費の取決めを促進するための専門相談を行う母子家庭等就業・自立支援センター事業を実施
(b) 就業支援講習会の拡充
 母子家庭の母及び寡婦の能力開発に資するため、就業支援講習会を大幅に拡充して実施
 具体的には、
 就職に結びつく確率の高い内容の講習を重点的に実施
 求職活動や起業のノウハウについて講習を実施
 受講者のために託児サービスを提供
 講習会の実施に当たり、公共職業能力開発施設、女性就業援助センター等既存の施設を有効に活用
 無業者等が就業するに際して、必要に応じて職場体験を行う機会を提供
(c) 事業の実施に当たっては、都道府県が自ら実施するだけでなく、母子寡婦福祉団体やNPO、社会福祉協議会等に全部又は一部を委託するなど既存の施設・人材などを積極的に活用
(d) 都道府県は、母子家庭等就業・自立支援センター事業を実施するに当たっては、管内の市町村と十分な連携を図りながら実施
 より良い就業に向けた能力の開発
(a) 母子家庭自立支援給付金(自立支援教育訓練給付、母子家庭高等技能訓練促進費)の活用(実施主体:都道府県及び市等)
 自立支援教育訓練給付
 都道府県及び市等は、都道府県知事(指定都市の長及び中核市の長を含む。以下同じ。)並びに市長(特別区の長を含む。)及び福祉事務所を設置する町村の長(以下「市長等」という。)が指定する教育訓練講座を受講した母子家庭の母に対して、講座終了後に受講料の一部を支給
 母子家庭高等技能訓練促進費
 都道府県及び市等は、介護福祉士等の経済的自立に効果的な資格を取得するために2年以上修業する場合で、就業(育児)と修学の両立が困難な場合に、生活費の負担軽減のための給付金を給付
(b) 技能習得期間中の生活資金の貸付け制度の活用(実施主体:都道府県、対象:母子家庭及び寡婦)
 公共職業能力開発施設等における技能習得期間中の生活保障のため、生活資金の無利子貸付けを活用
(c) 保育士資格の取得の促進(実施主体:都道府県(中核市を除く。))  家庭的保育事業の補助員としての経験を保育士養成施設における保育実習とする取扱い
 家庭的保育事業の補助員としての経験を受験に必要な実務経験に算入し、保育士試験の受験要件を拡大
 母子家庭及び寡婦の状況に応じた就業あっせん(公共職業安定機関等との連携)(実施主体:都道府県及び市等、対象:母子家庭及び寡婦)
(a) 都道府県及び市等は、母子自立支援員を配置し、児童扶養手当の手続を行う際等に、公共職業安定機関等と連携して、求人情報の提供や、就職・能力開発に関する相談等を実施
(b) 都道府県及び市等は、公共職業安定機関等と連携し、地域における労働市場の状況に係る情報の提供等その支援を受けつつ、母子自立支援員等就業支援関係者に対する研修を実施
 所得の増大に結び付く就業機会創出のための支援
(a) 母子家庭自立支援給付金(常用雇用転換奨励金)の活用(実施主体:都道府県及び市等)
 母子家庭の母を新規にパートタイム労働者として雇用し、OJTを実施した後に常用雇用(一般)労働者に雇用転換した事業主に対して常用雇用転換奨励金を支給
(b) 母子家庭の母及び寡婦に対する起業支援(実施主体:都道府県、対象:母子家庭及び寡婦)
 母子家庭の母や寡婦が共同して起業する場合において母子福祉資金貸付金(事業開始資金)を貸付け
 また、母子家庭の母及び寡婦の起業を支援するため、起業の方法、事業計画、資金計画、労務管理等についてのセミナーを実施
(c) 公共的施設における雇入れの促進(対象:母子家庭及び寡婦)
 都道府県及び市町村が設置する公共的施設において、母子家庭及び寡婦の雇入れを促進
(d) 母子寡婦福祉団体等への優先的な事業発注の推進(対象:母子寡婦福祉団体等)
 売店の優先許可の普及や、都道府県や市町村の機関による清掃業務の委託等母子寡婦福祉団体等に対する優先的な事業発注を推進
(e) 特定事業推進モデル事業の実施
 母子家庭の母の就業機会を創出できる可能性の高い先駆的な事業を促進するための特定事業推進モデル事業を実施
 母子家庭の母の雇用に関する啓発活動・情報提供
(a) 事業主に対して母子家庭の母の雇用について理解を深めてもらうための啓発活動を積極的に推進
(b) 母子家庭の母を積極的に雇用するなどの企業等における母子家庭の母の雇用に関する好事例について、情報を収集し、その提供を行うとともに、その企業等の公表や表彰等を実施
 母子寡婦福祉団体、NPO等に対する支援
(a) 無料職業紹介事業を行う母子寡婦福祉団体等への支援(対象:母子寡婦福祉団体等)
 無料職業紹介事業を行う母子寡婦福祉団体やNPO等に対し、公共職業安定所や福祉人材センターと連携しつつ求人情報の提供等を実施
(b) 母子寡婦福祉団体が行う事業に対する支援の拡充(実施主体:都道府県、対象:母子寡婦福祉団体)
 母子寡婦福祉団体が、母子家庭の母等の福祉の増進を図るための事業(社会福祉事業、無料職業紹介事業、労働者派遣事業、信用保証業等)を行う場合の母子福祉資金貸付金制度を活用
(3) 養育費の確保策
 広報・啓発活動の推進
 母子寡婦福祉団体、NPO等の関係団体と連携して、養育費の支払に関する広報・啓発活動を推進
 相談制度の拡充
(a) 特別相談事業の拡充(実施主体:都道府県、対象:一人親家庭)
 特別相談事業としての法律相談について、実施回数を増やすなど、その事業を充実
(b) 母子自立支援員や婦人相談員に対する養育費に関する研修を実施
 母子自立支援員や婦人相談員に対し、養育費の取得手続等養育費に関する研修を実施
(c) 母子寡婦福祉団体、NPO等への支援(対象:母子家庭等)
 母子家庭等に対して、養育費相談や情報提供活動を実施する母子寡婦福祉団体やNPO等に対し、情報提供等の支援を実施
 情報提供(対象:母子家庭等)
 母子家庭等に対し、養育費取得手続、相談窓口などについて、行政(児童扶養手当窓口、婚姻・離婚届窓口等)や関係団体による情報提供活動を推進
(4) 経済的支援策
 母子寡婦福祉貸付金に関する情報提供、適正な貸付業務の実施(実施主体:都道府県、対象:母子家庭及び寡婦)
 母子家庭や寡婦に対して、母子寡婦福祉資金貸付制度に関する情報提供を積極的に推進するほか、プライバシーの保護に配慮した適正な貸付業務を実施
 児童扶養手当に関する情報提供及び適正な給付業務の実施(実施主体:都道府県及び市等)
 母子家庭の母に対して、児童扶養手当制度に関する情報提供を積極的に推進するほか、プライバシーの保護に配慮した適正な給付業務を実施
 児童扶養手当窓口における相談及び情報提供等適切な自立支援の実施(実施主体:都道府県及び市等)
 児童扶養手当窓口において、母子自立支援員等による就業等に関する相談や情報提供を積極的に推進するなど、母子家庭の母に対する適切な自立支援を実施
(3) 基本方針の評価と見直し
(1) 基本方針の見直しに当たっては、見直し前に、基本方針に定めた施策の評価を行う。
 この評価は、第1に掲げた母子家庭及び寡婦等の動向に関して調査を実施するほか、関係者の意見を聴取すること等により実施する。
(2) 施策評価結果の公表
 (1)の評価により得られた結果は公表する。
(3) 基本方針の見直し
 (1)の評価により得られた結果は、基本方針の見直しに際して参考にする。
(4) 関係者等からの意見聴取
 基本方針の見直しに当たっては、母子寡婦福祉団体、NPO、都道府県や市町村、母子生活支援施設関係者など、母子家庭等及び寡婦施策関係者からの意見を聴取するとともに、パブリックコメントを求める。
(5) その他
(1) 母子家庭等及び寡婦施策を実施するに当たっては、母子寡婦福祉団体、NPOその他関係団体に対し適切な支援を行うとともに、これら関係団体、児童委員、及び施策に関係する部局とも十分な連携を図りつつ実施する。
(2) 効果的な母子家庭等及び寡婦施策の在り方について研究・検討を行う。
(3) 母子家庭等及び寡婦施策に従事する職員により母子家庭等及び寡婦を巡る状況の理解、母子家庭等及び寡婦施策の習熟及びプライバシーへの十分な配慮が促進されるよう、職員の資質向上のための研修等を実施する。
第3 都道府県等が策定する母子家庭及び寡婦自立促進計画の指針となるべき基本的な事項
 都道府県及び市等が、母子家庭及び寡婦自立促進計画を策定する場合には、次に掲げる指針を踏まえ策定することが適当である。
 1.手続についての指針
(1) 計画の期間
 母子家庭及び寡婦自立促進計画(以下「計画」という。)の運営期間は、5年間とする。ただし、特別の事情がある場合には、この限りではない。
(2) 計画策定前の手続
(1) 調査・問題点の把握
 計画を策定するに当たっては、まず、次の事項について、活用可能な既存のデータ等を基に評価・分析し、当該地域における母子家庭等及び寡婦の現状における問題点を把握する。
 母子家庭等及び寡婦の数(離死別や未婚等の原因ごとの数)
 母子家庭等における子どもの状況(人数、性別、年齢、就学状況等)
 平均年間所得(就業形態ごと就業種別ごとの率)
 就業率(就業形態ごと、就業種別ごとに)
 母子家庭等の養育費の取決め率、取得率及び平均額
 母子家庭等及び寡婦の住居の状況
 母子家庭等のうち、その児童が保育所への入所を待機している世帯数
 当該地域の公共的施設における母子家庭の雇用状況
 その他当該地域の母子家庭等及び寡婦の自立促進にとって重要な数値
(2) 基本目標
 (1)の調査・問題点の把握に基づいて、計画の基本目標を明確にする。
(3) 関係者等からの意見聴取
 計画の策定に当たっては、当該地域の母子寡婦福祉団体、NPO、母子生活支援施設職員等母子家庭等及び寡婦施策関係者からの意見を幅広く聴取するとともに、当該地域の住民の意見も聴取する。
(3) 基本計画の評価と次期計画の策定
(1) 評価
 計画の運営期間の満了前に、計画に定めた施策について評価を行う。
 この評価は、(2)(1)の調査項目について調査を実施するほか、関係者の意見を聴取すること等により実施する。
(2) 施策評価結果の公表
 (1)の評価により得られた結果は公表する。
(3) 次の計画の策定
 (1)の評価により得られた結果は、次の計画を策定するに際して参考にする。
 2.計画に盛り込むべき施策についての指針
(1) 母子家庭等及び寡婦の家庭生活及び職業生活の動向に関する事項
 母子家庭等及び寡婦の家庭生活及び職業生活の動向に関する事項としては、1.(2)(1)で把握した問題点を記載する。
(2) 母子家庭等及び寡婦の生活の安定と向上のため講じようとする施策の基本となるべき事項
 母子家庭等及び寡婦の生活の安定と向上のため講じようとする施策の基本となるべき事項としては、第2の1.を参考にしつつ、当該都道府県及び市等において今後実施する母子家庭等及び寡婦施策の基本的な方向性を記載する。
 さらに、第2の2.を参考にしつつ、当該都道府県及び市等が計画に基づいて実施する各施策の基本目標を記載する。
(3) 福祉サービスの提供、職業能力の向上の支援その他母子家庭等及び寡婦の生活の安定と向上のために講ずべき具体的な措置に関する事項
 (1)子育て支援、生活の場の整備、(2)就業支援策、(3)養育費の確保策、(4)経済的支援策、(5)その他の各項目について、(1)に記載した問題点を解消するために必要な施策として、次のものを記載する。
(a) 厚生労働大臣が提示した施策メニュー
 第2の3.(2)に掲げられた施策のうち、当該都道府県及び市等において実施する施策
(b) 都道府県及び市等独自の施策メニュー
 第2の3.(2)に記載されていない施策であって、都道府県及び市等が独自で実施する施策


担当者連絡先
 厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課
 母子家庭等自立支援室 母子係(内線7892)
 直通電話 03−3595−3112
 FAX    03−3595−2663


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