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全国厚生労働関係部局長会議資料

厚生科学課


1 健康危機管理対策の推進について

(1)米国での同時多発テロを受けた対応について

ア 事件の経緯

(ア)平成13年9月11日に、米国において航空機による同時多発テロが発生した。また、10月8日には、米国等によるタリバンに対する攻撃が開始された。
(イ)この間、米国では、10月5日にフロリダ州で肺炭疽の患者が死亡するなど、12月5日までに22例の炭疽患者が発生し、米国の捜査当局では、炭疽菌によるテロが行われたと断定している。
(ウ)こうした中、我が国では、10月8日に緊急テロ対策本部を設置するとともに、同日には緊急対応措置を、同月12日には重点推進事項を決定し、緊急テロ対策費を含む補正予算の決定や関係機関における不審な郵便物への対応をはじめとする措置を講じてきた。

イ 厚生労働省等の対応

(ア)厚生労働省では、かねてより、政府の対応の一環として、生物化学テロ対策を進めてきた。
(イ)さらに、今般の事態を踏まえ、10月8日には厚生労働省緊急テロ対策本部を設置するとともに、
(1) 炭疽や天然痘等の診断や治療方法、炭疽菌等に汚染されたおそれがある場合における対処方法など、情報提供及び研修の実施
(2) 炭疽の発生をはじめ異常な感染症の発生等を把握した場合の迅速な連絡の要請
(3) 補正予算に必要な経費を計上し、天然痘ワクチンの生産・備蓄や、救命救急センターへの除染設備及び防護服の配置の推進など、必要な措置を講じてきた。

ウ 各都道府県等における対応

(ア)厚生労働省では、各都道府県等に対し、
(1) 10月4日及び同月8日には、感染症、救急医療、医薬品、食品、地域における健康危機管理の体制整備等にわたる、テロの発生を踏まえた所要の措置に関して、
(2) また、11月16日には、炭疽菌等の汚染のおそれがある場合における、住民、医療機関、保健所の具体的対応等について、それぞれ通知を発出するなど、必要な指示及び注意喚起を実施してきたところである。
(イ)生物化学テロが懸念された今般の事態においては、
・関係機関との連絡・協力体制の確立
・事件の発生防止のための警戒
・事件が発生した場合の迅速な把握、連絡及び適切な対処
等が極めて重要であるので、(ア)の通知等を踏まえ、引き続き必要な設備の配置の推進や点検、関係機関との連携、関係団体等への指導及び情報提供等をお願いする。

(2)健康危機管理体制の充実について

ア 健康危機管理の重要性

(ア)近年、国民の生命、健康の安全を脅かす健康危機事例の発生が度々みられる。

(1) 平成 8年以降 腸管出血性大腸菌O-157による大規模な食中毒の発生
(2) 平成11年9月 茨城県東海村のウラン加工施設における原子力災害
(3) 平成13年9月 牛海綿状脳症(BSE)を疑う牛の報告事例
(4) 同年10月 米国同時多発テロ以降の炭疽菌事件

(イ)こうした健康危機事案に対して、できるだけ迅速に原因究明を図り、その拡大を防止するとともに、迅速かつ的確な医療の確保等を通じて、地域住民の生命・健康を守ることは、地方公共団体の重要な責務である。また、これらの取組みを支援することは国の責務である。

イ 厚生労働省における健康危機管理体制

(ア)厚生労働省においては、適切な健康危機管理対策を迅速に講じるため、その基本的な枠組を「健康危機管理基本指針」において定め、部局横断的な組織である「健康危機管理調整会議」を設置するとともに、次のような体制をとっている。
(1) 平素の対応
・健康危険情報の把握に努めるとともに、事件・事故等による突発的な健康危機の発生に備え休日夜間を含めた連絡体制を確立し、内容に応じて健康危機管理実施要領に基づき対応。
・健康被害が懸念される事案について調整を図るために、調整会議を通じ関係部局間の情報の共有化を図り、必要に応じて国民に情報提供。
(2) 重大な健康被害が発生し、又は発生するおそれのある場合
・必要に応じ、厚生労働省に対策本部を設置し、関係各部局間の対応調整、関係省庁との連携、広報等を一元的に実施。

(イ)また、平成13年1月の省庁再編に伴い、各ブロック(北海道、東北、関東信越、東海北陸、近畿、中国・四国、四国(支局)、九州)に地方厚生局が設置されているが、ここでも、健康危機管理業務を行う必要があり、その要領を検討しているところであるので、今後、必要に応じて連携を図る等ご協力方をよろしくお願いする。

(ウ)厚生労働省では、平成10年度より都道府県等における健康危機管理業務従事者の資質の向上を図ることを目的とした健康危機管理研修会を実施しているところであり、今年度においても、1月21日から2日間開催することとしている。

ウ 都道府県等における健康危機管理体制の整備

(ア)健康危機事案が発生した場合に適切に対処するためには、平素から地方公共団体において、次の取組みをはじめとして健康危機管理体制を整備することが重要である。
(1) 他の地方公共団体を含む関係機関及び関係団体等との役割分担を明確化し、必要な連携を図る必要がある。
(2) 健康危機管理発生時における被害者に関する情報の収集、管理及び分析等の拠点として、保健所の機能を強化する必要がある。
(3) 健康危機管理発生時に対応できるように、休日夜間を含めた、連絡体制の確立・強化を図る必要がある。

(イ)既に、多くの都道府県等においては、健康危機管理に係る要綱等が作成され、厚生労働省に提供いただいているところであるが、平成13年3月には、健康局総務課長の私的検討会である地域における健康危機管理のあり方検討会において「地域健康危機管理ガイドライン」を作成しお示ししたところであるので、当該ガイドラインを参考とし、更なる体制整備の推進をお願いする。また、既に要綱等を整備した都道府県等においても、要綱等に基づき危機管理体制が十分に機能するか等を、訓練の実施により検証等を行い、適宜見直しを行われるようお願いする。

(ウ)なお、今年は5月末日からワールドカップサッカーが日本で開催されることになっており、開催中の対応について、厚生労働省においても検討を行っているところであるので、各開催自治体等におかれても、関係部局と十分に連携をとり、適切に対応されるようお願いする。

2 国立試験研究機関の再編について

(1)国立保健医療科学院(仮称)の創設について

 厚生労働省の国立試験研究機関の重点整備・再構築の一環として、平成14年4月、国立公衆衛生院と国立医療・病院管理研究所の統合により、「国立保健医療科学院(仮称)」が設置される。
 この「国立保健医療科学院(仮称)」は、地方公共団体等において保健医療、生活衛生分野の中心的な役割を担う人材の養成のための教育研修、調査研究を行うとともに、保健医療事業等と関わりの深い福祉分野の教育研修等を実施する機関であり、我が国における21世紀の保健医療・生活衛生・福祉をリードする総合拠点を目指し運営することとしている。

ア 新機関の名称

 国立保健医療科学院(仮称)
 埼玉県和光市南2丁目

イ 設置の時期 平成14年4月1日(予定)

ウ 新機関の機能

(ア)新機関は、「国立公衆衛生院」及び「国立医療・病院管理研究所」の両機関が担ってきた機能の大部分を継承するとともに、これまで国立の機関では実施してこなかった福祉分野(保健医療事業等と関わりの深い福祉分野をいう。)の教育研修、調査研究業務を新たに取り込むこととしている。
(イ)新機関は、厚生労働省の他の試験研究機関や教育研修機関、民間の類似の機関等との役割分担・連携の下に、国や地方自治体、公的医療機関等において保健医療、生活衛生及び福祉分野の中心的な役割を担う人材の養成、資質の向上を図るための養成、訓練のほか、これらの分野の調査及び研究を行うことを目的とする。
(ウ)新機関の教育研修及び調査研究業務は、高齢化の進行、生活習慣病や「心の病」など慢性疾患の増大などを背景とする、国民の「健康」と「生活の質」の向上といった21世紀の我が国の諸課題に、保健医療、生活衛生及び福祉の総合的な視点からの的確な対応に寄与することを目指すものである。

(エ)新機関が実施する教育研修の受講者の募集については、従来国立公衆衛生院が実施していたものは、既に各都道府県等に対し文書で御案内しており、他の研修についても今後御案内する予定であるので、受講者の推薦等について、引き続き格別の御配慮をお願いする。

エ 組織

 院長(1)、次長(1)、総務部(35)、技術評価部(7)、政策科学部(4)、経営科学部(2)、人材科学部(4)、公衆衛生政策部(6)、疫学部(7)、生涯保健部(5)、福祉サービス部(3)、口腔保健部(6)、生活環境部(9)、建築衛生部(6)、水道工学部(7)、施設科学部(3)、研修企画部(6)、研究情報センター(6)

17部(3課・46室) 定員数125

オ 教育研修のコース (受講者定員:修業年限)

(ア)長期課程
・専攻課程(環境・看護・保健分野50:1年)
・専門課程(20:1年(含む応用)。分割コース:基礎30:3ヶ月・応用9ヶ月)
・研究課程(各年次5:3年)

(イ)特別課程
・疫学統計15、公衆衛生看護40、住まいと健康30、健康政策開発30、など17コース(計425:2週間〜1.5ヶ月)

(ウ)特定研修
・保健情報処理60、エイズ対策280、歯科衛生士40、介護マネージメント 50、など10コース(計490:1〜2週間)
・福祉関係職員研修(生活保護担当100など8コース 計1,220 3日間)
・個別健康教育指導者養成研修(高血圧、喫煙者など6コース 計900 2〜3日間)
(エ)病院管理研修
・専攻科・研究科(20:6ヶ月〜1年)
・管理者研修など15コース、安全管理研究科研修(14年度新規)
計16コース(800:1週間〜6ヶ月)

合計60コース 総定員3,950人(同時最大約500人)
((注)「福祉関係職員研修」のうち(1)都道府県・指定都市・中核市指導監督職職員研修、(2)福祉事務所新任所長研修、(3)福祉事務所新任査察指導員研修、(4)児童相談所関係職員研修の各課程については、従前、全社協の中央福祉学院で実施していたもの。また、「病院管理研修」は、病管研の事業を移管。)

(オ)インターネットを使った遠隔教育(14年度新規)
・行動科学、疫学・生物統計、厚生統計、環境監視論、介護福祉論、母子保健、公衆栄養7コース (各30、計210:各90日間)

カ 施設の整備

(ア)工期:

 本館、寄宿舎棟は10〜13年度
 研究研修棟は13〜15年度(建設中)

(イ)施設の概要:

本館棟 (地上8階・地下1階 延べ約16,000平方メートル)
エントランスロビー、研修・研究部門、事務管理部門、医務室、食堂・売店、図書館、会議室
寄宿舎棟 (地上7階 延べ約5,100平方メートル)
定員150名(個室)
研究研修棟 (建築中、16.3竣工予定。地上5階 地下2階 延べ約8,000平方メートル)

(敷地面積:約3万平方メートル)

(2)独立行政法人 国立健康・栄養研究所について

ア 創設の趣旨

(ア)独立行政法人制度は、中央省庁等改革の一環として、国民のニーズに対応した効率的な行政サービスを提供するため、政府の政策実施機能について、自主性をもった別法人化することによって、効率化、サービスの向上及び透明性の確保を図るものであり、平成11年7月の通常国会(第145回)で成立した独立行政法人通則法により創設された。
(イ)旧国立健康・栄養研究所については、国民の健康の保持及び増進に関する調査及び研究並びに国民の栄養その他国民の食生活に関する調査及び研究を実施してきたが、社会のニーズの変化に対応し、効率的で質の高いサービスを提供するため、人事・組織体制・財務などの制度的制約から脱却し、職員の専門性の涵養を含めた実施体制の強化を図ることを目指し、平成13年4月から職員が国家公務員の身分を有する特定独立行政法人である「独立行政法人国立健康・栄養研究所」に移行したところである。

イ 業務等

(ア)研究所は、厚生労働大臣が定めた中期目標を踏まえて、研究所が作成した中期計画に基づき、業務を実施することとされている。
 同研究所では、中期目標及び中期計画(平成13年度から17年度までの目標及び計画)に基づき、
・国民の健康の保持増進に関する調査研究、
・国民の栄養及び食生活の調査研究、
・食品の栄養生理学上の調査研究を重点とした研究業務の遂行

を行うとともに、研究の成果及び情報の普及活用や、大学等の他の研究機関及び民間企業等との間で、積極的に、共同研究を実施したり、委託を受けて研究等を行っている。

(イ)このように、行政的ニーズ及び社会的ニーズへの対応を通じて、健康・栄養に関する専門・技術的機関としての社会的使命を果たすこととしていることから、例えば、平成13年5月現在で、平成13年度中に策定予定の市区町村を含めても15.5%にとどまっている「健康日本21」地方計画について、早期策定を推進するため、研究所の職員を計画策定のための委員会に委員として参画させたり、健康・栄養に関する調査を、研究所が受託して実施する途もあるので、管内地方公共団体において、必要があれば本研究所の活用を検討されるよう周知について、よろしくお取り計らい願いたい。
※独立行政法人国立健康・栄養研究所ホームページアドレス
 http://www.nih.go.jp/eiken/index-j.html


1 平成14年度厚生労働省科学技術関係予算案について

(1)平成14年度科学技術関係予算について

ア 科学技術基本計画(平成13年3月30日閣議決定)においては、(1)ライフサイエンス分野、(2)情報通信分野、(3)環境分野、(4)ナノテクノロジー・材料分野の4つが研究開発の重点分野と定められている。

イ 平成14年度予算概算要求に当たっては、内閣府の経済財政諮問会議で重点的に推進すべきとされた科学技術の振興(ライフサイエンス等の4分野への重点化等)」を含む7分野に該当する施策が、構造改革特別要求の対象とされた。
 また、科学技術政策について調整に当たる内閣府の総合科学技術会議では、昨年の7月11日に、重点的に推進すべき事項を定めた「平成14年度の科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針」を決定した。

ウ 厚生労働省では、これらの決定を踏まえ、ライフサイエンスを中心とする重点4分野に該当し、国民の健康で安全な生活を守る上で欠くことのできない施策について構造改革特別要求を行うこととし、総合科学技術会議での調整を経て、次の予算を確保したところである。

(1) 施設費や人件費等の義務的経費を除いた科学技術振興費では、大臣復活折衝を行った萌芽的先端医療推進研究費を含む厚生科学研究費が407億円(対前年度23.8%増)など、897億円(対前年度4.4%増)。
(2) 施設費や義務的経費等を含めた科学技術振興費全体では、13年度から建設に着手した医薬基盤技術研究施設など国立試験研究機関の施設整備を13年度第2次補正予算に前倒し(85.5億円)したため、14年度予算案では1,025億円(対前年度1.7%増)。
(3) また、これに国立がんセンター研究所等の国立高度専門医療センター研究所などの特別会計における研究費など、科学技術に係る予算全体をまとめた科学技術関係予算では、1,281億円(対前年度3.4%増)。

(2)厚生労働科学研究費補助金(仮称)について

ア 厚生労働科学研究費補助金(仮称)は、従来の厚生科学研究費補助金を改編したもので「国民の保健医療、福祉、生活衛生、労働安全衛生等に関する行政施策の科学的な推進を確保し、並びに技術水準の向上を図ること」を目的とし、独創的又は先駆的な研究や社会的要請の強い諸問題に関する研究について公募の上交付するものであり、平成14年度における予算額(案)は約407億円(平成13年度の厚生科学研究費補助金の予算額は約329億円)である。

イ 平成14年度においては、ライフサイエンス分野などが経済財政諮問会議の構造改革に関する基本方針において重点的に推進すべき分野として挙げられるなど、科学技術振興が国家的課題として位置づけられたことを踏まえ、超微細技術(ナノテクノロジー)を活用した医療技術等の研究及びゲノム科学を活用した創薬基盤技術の開発(トキシコゲノミクス)を行う萌芽的先端医療技術推進研究を新たに行うこととしている。
 また、厚生労働科学研究費補助金(仮称)では、萌芽的先端医療技術推進研究以外でも、質の高い臨床研究を推進するための効果的医療技術の確立推進臨床研究や、省庁再編を踏まえ労働安全衛生総合研究等の研究を新たに要求したところであり、4分野25研究を行うこととしている。

○ 萌芽的先端医療技術推進研究
(ア)超微細技術(ナノテクノロジー)を活用した医療技術等の研究開発
ナノ(10億分の1)メートル単位で物質の観察や制御を行う超微細技術(ナノテクノロジー)を医療に活用し、これまで見ることができなかった生体の活動を観察してより正確に診断したり、微少な医療機器や薬物伝達システムを開発して患者の心身に負担をかけない安全な治療を実現する。

(イ)ゲノム科学を活用した創薬基盤技術の開発(トキシコゲノミクス)
医薬品開発においては、候補物質の安全性・有効性の確認が必要である。
 現在はこれを動物実験及び臨床試験に依存しているため、安全性・有効性の確認に時間を要するとともに、試験段階まで開発を進めた多数の候補物質が、試験の結果製品化されず、時間と開発費の損失を生じている。
 そこで、ゲノム科学を活用して、遺伝子の化学物質に対する反応により医薬品の候補物質の絞り込みを、開発の早い段階で実施する技術を開発する。

 なお、厚生労働科学研究費補助金(仮称)については、競争的な研究環境の形成を行い、厚生労働科学研究の振興を一層推進する観点から、平成14年度においても厚生労働省のホームページにおいて募集を行う。

 ※HPアドレス https://www.mhlw.go.jp/wp/kenkyu/index.html

(3)C型肝炎等緊急総合対策について

ア 背景及び経緯

(ア)我が国のB型肝炎の持続感染者は、120万人から140万人、C型肝炎の持続感染者は、100万人から200万人存在すると推定されているが、感染の自覚がない者が多く、さらに近年の知見によれば、感染者の中から肝硬変や肝がんに移行するものがあることが判明した。

(イ)このため、旧厚生省は、平成12年11月に省内に「肝炎対策プロジェクトチーム」を設置した。また有識者の科学的、専門的な見地からの意見を聞くために、同月に「肝炎対策に関する有識者会議」を設置し、平成13年3月に 肝炎対策の総点検の結果及び将来に向けた提言を盛り込んだ報告書を取りまとめた。

○ 報告書の基本的な考え方
(1) 肝炎による健康障害は回避できることが可能であり、感染者の偏見や差別を防ぐという観点から正しい知識の普及が必要。
(2) C型肝炎ウイルス等の持続感染者の数は多いことから、感染率等の要素を勘案して、感染率が一般より高いとされる集団に対する重点的、迅速な対応が必要

イ 報告書を受けた取り組み

(ア)報告書を踏まえ、これまでに以下のような施策を実施してきた。
(1) 特定の非加熱血液凝固因子製剤を投与された方々に係る肝炎ウイルス感染の実態把握のための研究を実施。
(2) 肝炎及び肝がんの分野で推進すべき課題について研究を推進。
(3) 国民一般等を対象とする問答集(Q&A)を作成し、配布・公表。
(4) 肝疾患を国立病院・療養所における政策医療分野の一つとして位置づけ、国立長崎医療センターを中心に、肝疾患に関する診断・治療法の開発研究の取り組みを推進。
(5) 保健所におけるエイズ検査に合わせたスクリーニング検査の実施。
(イ)平成14年度においては、C型肝炎等緊急総合対策として、60億円の予算を計上し、次の施策を実施することとしている。
(1) 老人保健法に基づく基本健康診査など現行の健康診査体制を活用とした肝炎ウイルス検査等の実施。
(2) 肝臓病の治療方法、治療薬等の研究開発等肝炎等に関する総合的な研究の推進。
(3) 肝炎に関する保健指導従事者研修の実施等国民に対する普及啓発・相談指導の充実。
(ウ)各地方公共団体におかれては、研修に積極的に参加されるとともに、各種の肝炎ウイルスの検査が円滑に実施されるよう、特段のご配慮をお願いする。


1 厚生科学審議会等の活動状況について

(1)総合科学技術会議について

 総合科学技術会議は、内閣総理大臣及び内閣を補佐する「知恵の場」として、我が国全体の科学技術を俯瞰し、各省より一段高い立場から、総合的・基本的な科学技術政策の企画立案及び総合調整を行うことを目的とし、平成13年1月、内閣府設置法に基づき、「経済財政諮問会議」など4つの「重要政策に関する会議」の一つとして、内閣府に設置された。
 総合科学技術会議では、厚生労働省の所掌事務に深く関係するライフサイエンス等の科学技術や生命倫理に関する問題、研究評価の在り方等についても審議が行われているところである。

ア 総合科学技術会議の議員

 会議は、内閣総理大臣を長とする14名の議員(国務大臣及び有識者議員)から構成されており、厚生労働大臣はこの中には入っていないが、議長が必要があると認めるときは、14名の議員以外の国務大臣を議案を限って議員として臨時に会議に参加させることができるとされており、ほぼ毎回参加している。

イ 専門調査会の活動

 総合科学技術会議には、重要事項に関する専門的な調査・検討を行うための専門調査会が設置されている。主な専門調査会の活動は以下のとおり。

(ア)重点分野推進戦略専門調査会
 予算、人材その他の資源配分の重点化、重点分野の推進戦略に関する調査・検討を行う調査会であり、「平成14年度の科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針」やライフサイエンス等の各重点分野における重点領域、研究開発の目標等を定めた「分野別推進戦略」について検討を行った。

(イ)評価専門調査会
 研究評価のルールづくり、重要研究開発の評価等評価に関する調査・検討を行う調査会であり、「国の研究開発評価に関する大綱的指針」について検討を行った。

(ウ)科学技術システム改革専門調査会
 研究開発システムの改革、産業技術力の強化と産学官連携の仕組みの改革等科学技術システム改革に関する調査・検討を行う調査会であり、大学や国立試験研究機関等の施設の重点的整備、競争的資金の改革と拡充、産学官連携(8月にプロジェクトを設置)の推進等の検討を行った。

(エ)生命倫理専門調査会
 生命倫理に関する調査・検討を行う調査会であり、ヒトクローン法に基づく「ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針」、「特定胚の取扱に係る指針」について検討を行った。

(2)厚生科学審議会について

ア 役割

 進展する先端的科学技術の医療への応用は、疾病の克服や患者の苦痛軽減につながることが期待される反面、安全性の問題や人間の尊厳・人権の尊重の観点からの課題もあり、倫理的、法的、社会的観点を含めて、幅広い観点からの検討が重要となっている。
 さらに、難病対策、生活習慣病対策、感染症対策、健康危機管理などの諸問題の解決に向けて、大局的見地から検討する必要がある。
 このような役割を担うため、科学技術及び公衆衛生などに関する重要事項を審議する審議会として、厚生労働省に設置されている。

イ 組織

 審議会には、法定付議事項等を審議するため、感染症分科会と生活衛生適正化分科会が設置されている。(政令事項)
 また、特定事項を審議するため、審議会及び分科会に部会を設置することができるとされており、現在8つの部会が設置されている。
 なお、分科会及び部会の議決をもって、審議会の議決とすることができることとされている。

ウ 答申及び主な報告事項

(ア)感染症分科会関係
 インフルエンザに関する特定感染症予防指針の改正について
 (平成13年11月13日答申)

(イ)科学技術部会関係
(1) ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針について
 (平成13年3月19日報告)
(2) 厚生科学研究に係る評価の実施方法に関する指針の改正について
 (平成13年3月19日報告)
(3) 遺伝子治療臨床研究実施計画について
 (平成12年度においては、4件の申請があったが、全て審議を終了し、答申済)

(3)疫学研究に関する倫理指針等の検討等について

ア 疫学研究に関する倫理指針の検討について

○ 疫学研究については、従来から、個人のプライバシーに配慮しながら研究が行われてきたところであるが、近年、疫学研究においても、研究対象者に説明し同意を得ることが重要と考えられるようになり、さらに、昨今のプライバシーの権利に関する意識の向上や、個人情報保護の社会的動向などの中で、疫学研究においてよるべき規範を明らかにすることが求められている。

○ そこで、研究対象者の尊厳と人権を守るとともに、疫学研究に携わるすべての者がこれに従い研究を進めることにより円滑に研究を進めることができるよう、厚生労働省及び文部科学省が共同して、倫理指針の検討を行っているところである。

○ 今後、いわゆるパブリック・コメント手続を行い、提出された意見に対する考え方の公表など所要の手続きを経た上で、両大臣の共同告示として策定する考えである。

イ 遺伝子治療臨床研究に関する指針の改定について

○ 厚生労働省及び文部科学省において、「遺伝子治療臨床研究に関する指針」(平成6年2月厚生省告示第23号)及び「大学等における遺伝子治療臨床研究に関するガイドライン」(平成6年6月文部省告示第79号)を改定し、新たに共同で遺伝子治療臨床研究に関する指針を策定する作業を進めてきたところである。

○ 現在、関係審議会等の議論を踏まえて取りまとめた新指針案について、いわゆるパブリック・コメント手続を行っているところであり、今後、提出された意見に対する考え方の公表など所要の手続きを経た上で、年度内に両大臣の共同告示として公布し、来年度から施行する予定である。

ウ その他

○ 昨年4月から施行されている「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」(平成13年3月文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示第1号)について、策定経緯の議論やQ&A集など関係資料を掲載したホームページを供用したので、貴管内の関係研究機関に周知されるよう御配慮願いたい。

※ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針ホームページ
 http://www2.ncc.go.jp/elsi/index.htm


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