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V 食品関係各論

1.食品に関する基準の策定

(1)食品添加物の指定及び規格基準の改正の検討について

 現在、厚生労働大臣が定めている食品添加物は338品目となっている。平成12年12月に、電解水の新規指定、ステアロイル乳酸カルシウムの使用基準改正について食品衛生調査会(当時)に諮問し、平成13年11月に薬事・食品衛生審議会毒性・添加物合同部会による審議が終了したところであり、今後、WTO通報、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会での審議、答申等を経て、所要の告示改正等を行う予定である。また、平成13年5月にはL−アスコルビン酸2−グルコシド等4品目の新規指定、グルコン酸亜鉛等4品目の使用基準改正について薬事・食品衛生審議会に諮問したところであり、これらについても現在審議中である。

(2)食品添加物の一日摂取量について

 食品添加物の安全性確保対策の一環として、市販食品の分析による食品添加物一日摂取量実態調査(国民栄養調査を基礎とするマーケット・バスケット調査方式)を実施してきたところであり、食品添加物の摂取量は、安全性の観点から問題ないことが報告されている。平成14年度においても調査を行うこととしているので関係者の御協力をお願いする。

(3)食品添加物使用基準・食品分類の総点検事業について

 食品添加物の基準としては、安全性確保の観点から、必要に応じて対象食品への使用に係る基準を定めているところであるが、食品の多様化、保健機能食品制度の新設、国際基準の策定等により、従来の食品を基にした食品分類及びそれに基づく使用基準が現在の状況にそぐわない面が見られるようになってきているため、食品添加物の使用基準や食品分類について検討することとしており、平成13年度においては本格的な総点検実施に向けての予備的調査検討を行っているところである。今後とも総点検実施に当たっては関係者の御協力をお願いする。

(4)残留農薬基準の設定及び見直しについて

 平成13年12月現在、217農薬について農産物中に残留する許容基準が設定されている。
 残留農薬基準の設定及び見直しについては、平成10年8月7日の食品衛生調査会(当時)から厚生大臣(当時)あて提示された「残留農薬基準設定における暴露評価の精密化に関する意見具申」の中で、幼小児等の集団ごとの摂食パターンや作物残留試験等の結果に基づく科学的な暴露量試算方式(日本型推定一日摂取量方式)の採用、残留基準値の定期的な見直し等が提言されており、これらの手法により基準値の設定及び見直しを行っているところである。
 平成13年10月にアトラジン等18農薬の農産物中に残留する許容基準を設定すること及びクロルフェンビンホス等7農薬の農産物中に残留する許容基準を見直すことについて、厚生労働大臣より薬事・食品衛生審議会に諮問したところであり、今後とも農薬取締法に基づき新規に登録された農薬等について、基準策定を進めることとしている。

(5)食品中の残留農薬検査結果について

 厚生労働省では地方公共団体において実施されている残留農薬検査結果について、検疫所の検査結果等と併せて毎年公表している。平成11年度の検査結果について本年度中に取りまとめて公表する予定である。
 今後とも検査結果の集計資料の提供について御協力をお願いする。

(6)農薬の一日摂取量の調査について

 国民が日常の食事を介してどの程度の農薬を摂取しているかを把握するために、残留農薬の一日摂取量調査(国民栄養調査を基礎とするマーケットバスケット調査方式)を実施している。この調査は、実際の食生活における農薬の摂取量を把握するものであり、食品の安全性を確保する上で重要と考えており、平成14年度においても調査を行うこととしているので、関係者の御協力をお願いする。

(7)腸炎ビブリオ対策に係る水産食品等の規格基準等の改正について

 近年、急増傾向にあった腸炎ビブリオによる食中毒を防止するため、過去に大規模な食中毒の原因となった食品等について、食品衛生調査会(当時)の意見を聴いて、平成13年6月に食品、添加物等の規格基準及び表示の基準を改正し、7月1日に一部を施行したところである。なお、殺菌海水等の使用及び表示の規定については、平成14年6月1日に施行されるので留意願いたい。

(新規項目)

1 食品一般の調理基準
2 個別規格

○切り身、むき身の生食用鮮魚介類
 成分規格(腸炎ビブリオ最確数100/g以下)、加工基準(殺菌海水等の使用)、保存基準(10℃以下)、表示基準(生食用である旨)
○ゆでがに
 成分規格(腸炎ビブリオ陰性)、加工基準(殺菌海水等の使用)、保存基準(10℃以下)、表示基準(飲食に供する際に加熱を要するか否かの別)

(追加項目)

○ゆでだこ
 成分規格(腸炎ビブリオ陰性)、加工基準(殺菌海水等の使用)

○生食用むき身かき

○冷凍食品(生食用冷凍鮮魚介類)
 成分規格(腸炎ビブリオ陰性)、加工基準(殺菌海水等の使用)
 また、基準の対象とならなかった未加工の魚介類や調理済みの寿司等について、生産者や消費者に対し殺菌海水等の使用、低温保存(4℃)及び2時間以内の消費等について指導、啓発方、引き続きよろしく御協力願いたい。

(8)乳及び乳製品の規格基準の改正の検討について

 平成12年6月の雪印乳業食中毒事故の発生、近年の乳及び乳製品の製造加工技術の進展や商品の多様化、病原菌の耐熱性に関する新たな知見等を踏まえ、乳及び乳製品の規格基準の改正について、平成13年4月に薬事・食品衛生審議会に諮問した。諮問の概要は次のとおりである。

(概要)

ア 製造方法の基準

(1) 脱脂粉乳等の製造基準について設定すること。
 平成13年3月に開催された薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食中毒部会において、雪印乳業食中毒事件の原因となった脱脂粉乳の衛生基準について検討すべきであるとされており、脱脂粉乳等の製造基準について検討する。
(2) 乳等の殺菌基準について見直すこと。
 病原菌(Q熱)の耐熱性に関する新たな知見に基づき、牛乳等の殺菌基準について検討する。
イ 乳等の種類別分類

 雪印乳業事件発生後、農林水産省で開催された「飲用牛乳等の表示の在り方に関する検討会」において種類別名称の見直しが必要である旨報告があった。また、近年の製造加工技術の進展や消費者ニーズ等も踏まえ、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(以下「乳等省令」という。)の種類別分類の見直しについて検討する。

ウ 容器包装の基準

 これまで例外容器として承認実績のあるポリプロピレン(PP)及びポリエチレンテレフタレート(PET)製等合成樹脂製の容器の材質や合成樹脂と金属缶との組合せ容器等の基準化について検討する。

 これまでに平成13年7月、同年10月の2回、乳肉水産食品部会を開催し検討を行っており、議事録等について厚生労働省のホームページに掲載されているので参考とされたい。

(9)残留動物用医薬品の基準設定について

 家畜や養殖魚介類の生産段階において疾病の治療や生産効率の向上のために使用されている動物用医薬品が残留した食品を摂取することによる人の健康への影響について、科学的な評価手法が国内外で報告されており、また、国際的にも動物用医薬品の残留基準値の設定の作業が進行中である。
 このため、我が国においても、平成7年より、安全性評価のために必要な資料が整備されたものについて、順次、薬事・食品衛生審議会の意見を聴き、科学的根拠に立脚した残留基準の設定を進めている。
 平成13年10月1日に乳等省令及び食品、添加物等の規格基準を改正し、エプリノメクチン等4品目についての残留基準値を設定し、これまでに22品目について残留基準値を設定したところである。なお、上記改正による基準は、平成14年4月1日から施行されるので留意願いたい。
 また、平成13年9月13日に薬事・食品衛生審議会より答申を受けたゲンタマイシン等4品目について、現在、告示改正等の作業中である。さらに、今後、安全性評価を行う物質(19品目)について、平成13年11月に薬事・食品衛生審議会に諮問したところである。

(10)食品用器具・容器包装及び乳幼児向けおもちゃの規格基準に係る検討状況について

 平成11年度の厚生科学研究等により、市販弁当にフタル酸ジ(2−エチルヘキシル)(DEHP)が検出され、その主たる原因が塩化ビニル製手袋であることが判明し、平成12年6月の食品衛生調査会毒性・器具容器包装合同部会において審議が行われた結果、当面の緊急措置として可塑剤としてDEHPを含有する塩化ビニル製手袋の食品への使用を避けることが望ましい旨の結論が得られ、関係営業者団体等への指導をお願いしたところである。
 この問題については、引き続き厚生科学研究等により検討を進めてきたところであるが、DEHPを含有するポリ塩化ビニル製の食品用器具・容器包装が油分を含む食品に接触すると容易にDEHPが食品中に移行することが明確になり、平成13年7月の薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会毒性・器具容器包装合同部会において、食品用器具・容器包装の規格基準(案)として、DEHPを含有するポリ塩化ビニルをもって油脂、脂肪性食品の器具及び容器包装を製造してはならない(ただし、DEHPが溶出又は浸出して食品に混和するおそれのない場合はこの限りでない)旨の結論が得られたところである。
 また、おもちゃについても、厚生科学研究等により、おしゃぶり等の口に接触することをその本質とするおもちゃについては、特に長時間しゃぶる場合があることや口腔内でのフタル酸エステル類の溶出が多い場合があること等が判明し、同合同部会において、おもちゃの規格基準(案)として、合成樹脂製のもので、乳幼児が口に接触することをその本質とするおもちゃの製造には、DEHPあるいはフタル酸ジイソノニル(DINP)を含有するポリ塩化ビニルを使用してはならない、及び合成樹脂製のものの製造には、DEHPを含有するポリ塩化ビニルを使用してはならない旨の結論が得られたところである。
 現在、これらの規格基準(案)についてパブリックコメント、WTO通報等、規格基準制定に向けた作業を行っているところである。

(11)ミネラルウォーター類の泉源調査について

 ミネラルウォーター類の規格基準については、昭和61年に製造基準が定められ、平成6年には飛躍的なミネラルウォーター類の消費の増加とそれに伴う輸入量の増加を受け、コーデックス(CODEX(FAO/WHO合同食品規格委員会))のヨーロッパ地域規格として定められていたナチュラルミネラルウォーターの規格を参考として、当時の日本人の食生活を踏まえながら製造基準における原水の基準が設定された。
 現在のミネラルウォーター類の消費量は、平成6年当時から約2倍に増えていること(一人あたり年間約10リットル)、コーデックスにおいてナチュラルミネラルウォーター及びそれ以外のボトルド・パッケージドウォーターについて、汚染物質に関する規格が定められたことから、ミネラルウォーター類の原水の基準について見直しを検討することとした。
 上記の検討に資するため、ミネラルウォーター類の泉源調査を実施しているところであり、該当自治体にあっては、引き続き御協力をお願いする。

2.保健機能食品制度について

 いわゆる健康食品のうち一定の要件を満たすものを、「保健機能食品」して特定の表示をすることを認める制度が、平成13年4月1日より施行されているところである。
 保健機能食品は、個別に厚生労働大臣が評価した上で表示許可をする特定保健用食品及び規格基準を満たすものであれば個別の許可を受けることなく表示を行うことのできる栄養機能食品の2つのカテゴリーからなり、このうち特定保健用食品については平成14年1月1日現在、許可・承認商品数は289商品である。
 また、栄養機能食品の規格基準は現在14種類(ビタミン12種類、ミネラル2種類)であるが、新たな規格基準の設定に向けて、検討を進めていくこととしている。
 今後とも、本制度の適切な運用を図るため、関係業者等への指導方、よろしくお願いする。

3.輸入食品等の監視体制について

 近年、国民の食生活の多様化、食品の国際流通の進展等に伴い、食品の輸入件数が大幅に増加しており、我が国の食糧供給(カロリーベース)の60%(「食料需給表平成11年度」農林水産省による)を占めるに至っている。特に平成7年のWTO協定発効以来、農産物の貿易の自由化とともに今後も更なる輸入食品の増加が予想されている。
 こうした中、輸入食品の安全性を確保するための監視体制の充実・強化が課題となっているが、同時に、輸入食品等について円滑な流通が求められているところである。
 輸入食品の監視指導については、従来より食品衛生監視員の増員等を行ってきたところであり、平成13年4月現在、13検疫所(東京及び神戸検疫所においては2課体制)、14検疫所支所、2分室の合計31ヶ所の海空港に264名の食品衛生監視員を配置し、輸入食品の監視指導を行っている。

(1) 検疫所における輸入食品等の検査
 輸入される食品等については、輸出国からの情報、過去の食品衛生法違反の事例等を勘案し、食品衛生法違反の蓋然性の高い食品等について、厚生労働大臣が発する検査命令(食品衛生法第15条第3項に基づく検査命令)に基づく検査等を実施しているところである。その他の食品等については、平成7年度より、本格的に、輸入食品・検疫検査センターを中心として、食品の種類毎に輸入量、違反率等を勘案した科学的かつ計画的なモニタリング検査を実施している。
 平成12年における輸入届出件数は、1,550,925件であり、前年と比較すると11%の増加を示している。
 これらの輸入食品等に対して、112,281件(届出件数に対して7.2%)の検査を実施した結果、1,037件(届出件数に対して0.07%)の食品衛生違反を発見し、廃棄又は積戻し等の措置を講じた。
 今後とも、野菜の残留農薬、遺伝子組換え食品、食肉等の牛海綿状脳症(BSE)検査を含め輸入食品の検査を適切に行っていくこととしている。
(2) 輸入食品監視支援システム
 過去の輸入実績、検査成績等輸入される食品等の食品衛生法違反の蓋然性のレベルに応じた的確かつ効率的な検査の実施を可能とし、輸入手続のペーパーレス化を推進するため、平成8年2月に食品の輸入手続の電算システムである輸入食品監視支援システム(FAINS)を稼働させ、平成9年2月に通関手続の電算システムである通関情報処理システム(NACCS)との電子的接続(インターフェイス)を実施している。さらに、電算システムのインターフェイス化と同時に、検疫所の審査事務の一部を自動化することにより、より迅速な輸入手続きが行えることとした。
 また、平成10年3月よりオーストラリア政府との間で、食肉等に関する衛生証明事項の電送化を本格的に開始し、より一層の輸入手続きの電算化の推進を図っている。
 今後、規制改革推進3か年計画(平成13年3月30日閣議決定)に基づき、輸出入・港湾諸手続のワンストップサービスのさらなる推進を図るため、シングルウインドウ化に向けて関係省庁とともに取り組んでいくこととしている。
(3) 輸入食品等事前確認制度
 本制度は、我が国に輸入される食品等について、事前に食品衛生法に適合することを確認し、当該食品及びその製造・加工工場を登録することにより、
・ 食品衛生法に違反する食品等の輸入を未然に防止する
・ 輸出国の製造・加工段階から輸入食品等の安全性を確保する
・ 登録した食品等の輸入時検査を省略することにより、輸入手続きの簡素化・迅速化を図る
ことを目的とするものであり、平成6年3月に施行されて以来、平成13年12月現在104品目の食品が登録されている。
 本年度より担当者を輸出国に長期に派遣する等、今後とも本制度の普及を推進することとしている。
 検疫所で発見された輸入食品の違反事例については、毎月、都道府県等に対しその情報提供を行っているところであるが、各都道府県等における監視業務の実施に当たってはこの情報についても留意願いたい。
 また、都道府県等において輸入食品につき違反等が発見された場合にあっては、早急に厚生労働省及び各都道府県等に連絡いただくようお願いする。

4 食品の安全性確保の推進

(1)牛海綿状脳症(BSE)対策について

 厚生労働省では、BSEの人への感染性が指摘された平成8年3月以降、その時々の科学的知見等に基づき必要な対策を講じてきたところである。
 具体的には、輸入食肉等については、平成8年3月から、英国産の牛肉及び加工品等の輸入自粛を指導し、平成12年のEU諸国等におけるBSEの急増を受け、BSEの我が国への侵入防止対策をより確実なものとするため、平成13年2月には、EU諸国等からの輸入を食品衛生法に基づき禁止したところである(平成14年1月1日現在20カ国)。
 一方、国産食肉等については、平成8年4月にと畜場法施行規則を改正し、検査対象疾病として伝染性海綿状脳症を加えて診断基準を示すとともに、疑いのあるものを発見した場合には報告する体制を整備し、さらに、平成13年5月からは、神経症状を呈する牛に対するウエスタンブロット法等による異常プリオン検査を開始し、サーベイランス体制を整備したところである。
 同年9月、我が国においてBSEにり患した牛が発見されたことから、同年10月18日より、食用として処理されるすべての牛を対象としたBSE検査を全国一斉に開始するとともに、食肉処理時の特定危険部位(脳、眼、せき髄及び回腸遠位部)の除去・焼却を法令上義務化し、BSEにり患した牛由来の食肉等が流通しないシステムを確立したところである。
 各自治体におかれては、食肉の安全確保及び国民の不安解消のため、引き続き「牛海綿状脳症検査要領(平成13年10月16日付け食発第307号)」に基づき、BSE検査を着実に実施するとともに、その実施に当たっては、農林主管部局との連携を密にするとともに、必要に応じて生産者等を所管する関係自治体との連絡を十分に図るようお願いする。
 また、牛の特定危険部位については、と畜場法施行規則第2条の2及び「食肉処理における特定危険部位管理要領(平成13年10月17日付け食発第308号)」に基づき、確実に除去・焼却するとともに、処理に当たっては、特定危険部位による枝肉及び食用に供する内臓の汚染防止の徹底について、と畜場の設置者、管理者、とちく業者又は従事者等に対して、引き続き指導方お願いする。
 また、とさつ解体行程の背割りの際の脊髄による枝肉汚染については、厚生科学研究において調査した結果、背割り後の高圧洗浄で十分な効果が確認されたところであるが、更なる予防的観点から背割り前の脊髄の除去技術の導入を進めることとしているので、御了知願いたい。

(2)食肉、食鳥肉の安全確保について

 食肉の衛生確保に関しては、平成8年の腸管出血性大腸菌による食中毒の多発を踏まえ、と畜場法施行令及びと畜場法施行規則の改正を行い、と畜場の構造設備基準及び処理の衛生管理基準の強化を行ったところであり、平成12年までに牛又は馬を処理すると畜場については、すでに適合を確認したところである。
 豚、めん羊又は山羊を処理すると畜場については、平成14年3月に経過期間が終了するため、各自治体におかれては、と畜場の設置者、管理者又はと畜業者に対して、政省令への適合に向けた適切な指導につき、引き続き御尽力をお願いする。政省令の基準に不適合かつ未だ改善計画がないと畜場を管轄する自治体におかれては、さらに指導の徹底をお願いする。
 食鳥肉の衛生確保に関しては、「食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律」に基づく食鳥処理場の施設設備及び衛生管理基準の遵守について、食鳥処理業者等に対する厳正な監視指導等に一層のご努力をお願いする。
 特に、認定小規模食鳥処理場には食鳥検査員が常駐しておらず、本年度においても処理羽数について虚偽の報告の事例があったことも踏まえ、処理羽数、食鳥処理衛生管理者の配置状況、確認の状況等について、厳正な監視指導の実施をお願いする。
 なお、食鳥検査については、関係自治体の御努力により、早朝、時間外等の検査実施の弾力化に種々御配慮をいただいているところであるが、引き続き民間獣医師の活用を含め、特段の御配慮をお願いする。

(3)食中毒事故対策について

ア 食品保健総合情報処理システムの運用について

 食品保健総合情報システムは、平成7年より試行的に運用されていたものであるが、本システムは、厚生労働省、国立感染症研究所、地方自治体本庁、保健所を厚生労働行政情報処理システム(WISH)のネットワークを使用してオンラインで結び、食中毒情報等(食中毒発生速報、食中毒事件票、検査結果等)の情報を相互利用するものである。本システム活用により自治体と厚生労働省間の情報交換が迅速化され、散発的集団発生事例(diffuse outbreak)の早期探知や食中毒の発生の未然防止、発生後の被害拡大防止に寄与すると期待されるところである。各自治体におかれては本システムの積極的活用及び情報処理体制の整備に特段の御努力をお願いする。

イ 食中毒処理要領等の改正について

 食中毒事故については、食中毒処理要領(昭和39年7月23日環発第214号)に基づき措置いただいているところであるが、今般、地方厚生(支)局における健康危機管理実施要領の制定に伴い、食中毒処理要領を改正したところである。

(4)社会福祉施設等給食の一斉点検について

 社会福祉施設等(社会福祉施設及び老人保健施設。以下同じ。)については、乳幼児や老人などの食中毒の危険性の高い人々が多く利用している。このため、社会福祉施設等給食の改善点を明らかにして、今後の衛生管理の向上に資するため、一斉点検を現在実施中である。この結果に基づき、引き続き社会福祉施設等給食施設に対する改善指導を宜しくお願いいたしたい。なお、学校給食施設の一斉点検については平成12年度をもって終了としたが、改善が不十分であった施設に対しては引き続き指導をお願いいたしたい。

(5)食材の汚染実態調査について

 食中毒を予防するためには、調理施設等における衛生管理の徹底に加え、流通段階における食品汚染の把握及び汚染防止措置が必要である。そのため、近年発生の増加傾向がみられる腸管出血性大腸菌及びサルモネラ等について、全国の市場等で採取した食材の汚染実態調査を平成9年度より定期的に実施している。本年度は全国18の自治体に協力いただき、昨年7月から本年2月までの期間で、生食用野菜、ミンチ肉、生食用牛レバー、サイコロステーキ肉及び牛タタキ等を対象に調査を行っているところである。調査結果については、当該自治体からの調査結果を集計し、本年度中の公表を予定しているので、監視指導の参考としていただきたい。
 また、来年度も本事業の継続を予定しており、引き続き御協力をお願いいたしたい。

(6)自主的な衛生管理体制の強化について

 食品衛生責任者の設置、食品衛生指導員の活動等を通じた営業者自らによる衛生上の管理、指導体制の推進については、今後とも御指導、御協力をお願いしているところであり、厚生労働省としても引き続き(社)日本食品衛生協会に対し食品衛生指導員の巡回指導や業種別自主管理指導等の食品衛生指導員活動事業等について支援していくこととしている。
 また、地域における食品衛生の向上を目的に、食品衛生推進員制度が平成7年5月から施行されているところであるが、関係団体と十分調整のうえ円滑な実施についてよろしくお願いする。
 輸入食品関係業者の自主的衛生管理の推進を図るため、(社)日本輸入食品安全推進協会が輸入食品衛生管理者養成事業を実施しており、平成14年度においては、東京、大阪において講習会を開催する予定である。
 ついては、同協会が行う本事業について、関係営業者への周知に特段の御配慮をお願いするとともに、事業の実施に当たり御協力をお願いしたい。

(7)HACCPシステムによる衛生管理の推進について

 HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)による衛生管理方法に基づく総合衛生管理製造過程による食品の製造等の承認制度については、平成8年5月より施行されているところである。
 この承認制度の対象食品には乳・乳製品、食肉製品、容器包装詰加圧加熱殺菌食品、魚肉ねり製品及び清涼飲料水が指定されており、現在までに、乳・乳製品743件、食肉製品179件、魚肉ねり製品24件、容器包装詰加圧加熱殺菌食品29件、清涼飲料水7件の承認がなされている。
 HACCPの推進にあたっては、行政の役割として、営業者にとって参考となる食品ごとの一般的なHACCPモデルの作成・提示や営業者に対する統一的かつ的確な助言・指導、承認後の監視が必要不可欠である。厚生労働省においては、各自治体の食品衛生監視員を対象としたHACCPに関する講習会をブロック毎に開催しているところであり、今後とも、担当職員の講習会への派遣について御協力をお願いする。
 また、本制度に係る業務については、省庁再編に伴い、地方厚生局において実施することとし、承認審査、指導及び監督の実施体制の強化を図っているところであるが、今後とも自治体に対し、各地方厚生局が実施する現地調査への各自治体の食品衛生監視員の同行等を依頼することがあるので御協力をお願いする。
 なお、平成10年7月に施行された「食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法」は、製造過程の管理の高度化を図ることが容易となる施設整備を金融・税制面で支援するものであり、これを行おうとする事業者に対しても、必要に応じて、適切な指導、助言等をお願いする。

(8)ダイオキシン対策について

 ダイオキシン類は、廃棄物の焼却等で非意図的に発生すること、強い毒性を示すこと、難分解物質であることと、生物及び人体への蓄積性が高いこと等から、健康影響を避ける上で、暴露量を最小限にする必要がある。
 ダイオキシン類の人体への取り込みについては、その90%が食品由来とされているため、厚生労働省では食品別の汚染状況を把握するための汚染実態調査及びトータルダイエット方式による標準的な食事から摂取されるダイオキシン類量の調査を実施している。
 このうち、ダイオキシン類の推定一日摂取量調査については、平成8年から開始し、平成9年度及び平成10年度調査では10地区、平成11年度及び平成12年度では16カ所で実施した。平成12年度のダイオキシン類の一日摂取量調査では、1.45pgTEQ/kg体重/日であった。これは、耐容一日摂取量の4pgTEQ/kg体重/日を下回っているが、偏りのないバランスの良い食生活が重要であり、これを奨励しているところである。
 また、平成10年度の調査では、昭和52、57、63、平成4、7及び10年度にサンプリングされた保存試料について測定したところ、昭和52年から平成10年度までにダイオキシン類の摂取量は約1/3に減少していることが明らかとなっており、食品からの摂取量は長期的には減少傾向にあることが確認されている。
 これらの結果は、結果が判明した時点で公表しており、今後とも継続して実施し、摂取及び汚染の実態把握に努めることとしている。

(9)組換えDNA技術応用食品等の安全性確保について

 組換えDNA技術応用食品・食品添加物(以下「遺伝子組換え食品」という。)については、近年、遺伝子組換え食品の国際的な広がりや新たな遺伝子組換え食品の開発が予想されること等から、平成13年4月から、安全性審査の制度を食品衛生法に基づく規格基準に規定し、法律上義務化した。
 このため、申請のあった遺伝子組換え食品について、「組換えDNA技術応用食品及び添加物の安全性審査基準」に基づき、薬事・食品衛生審議会の意見を聴き、個別の品種・品目ごとに安全性審査を行い、この手続を経た旨を公表することとしている。これまでのところ大豆、とうもろこし等39品種の食品と7品目の添加物について安全性審査を行い、人の健康に影響がないことを確認している。
 また、安全性審査の手続きが終了していない遺伝子組換え食品が、輸入・販売されないよう、検疫所においてモニタリング検査を行っている。

5. 食品の表示制度

(1)組換えDNA技術応用食品(いわゆる「遺伝子組換え食品」)の表示について

 遺伝子組換え食品については、その安全性審査の法的義務化と密接に関連することから、安全性審査の法的義務化とあわせて、平成13年4月より表示の法的義務化を図ったところである。
 具体的な表示方法としては、分別生産流通管理が行われた遺伝子組換え食品の場合は「遺伝子組換え食品」である旨を、遺伝子組換え食品及び非遺伝子組換え食品が分別されていない場合は「遺伝子組換え不分別」である旨をそれぞれ表示することを義務付け、分別生産流通管理が行われた非遺伝子組換え食品の場合には「非遺伝子組換え食品」である旨を任意に表示して差し支えないこととした。対象品目は、大豆、とうもろこし、ばれいしょ、菜種及び綿実の5作物と、これらを原材料とする24品目の加工食品である。
 これに加えて、平成13年11月22日に開催された薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会表示部会において遺伝子組換えばれいしょを用いた加工食品に関する表示対象品目の見直しについて検討が行われ、ばれいしょを原材料とする加工食品6品目について、新たに表示義務対象品目として加えることが適当である旨の報告が同審議会食品衛生分科会長あて提出されたところであり、分科会における審議、答申等を経て、所要の手続を講じることとなる。
 本年も、遺伝子組換え食品の表示の適正化のため、関係業者等の指導方、よろしくお願いする。

(2)アレルギー物質を含む食品の表示について

 近年、アレルギーをはじめとした過敏症(アレルギー疾患)を惹起することが知られている物質(アレルギー物質)を含む食品に起因する健康危害が散見されている。
 厚生労働省では、健康危害の発生防止の観点から、平成13年4月よりアレルギー物質を含む食品(以下「特定原材料」という。)を原材料とする加工食品等の表示を義務化したところであり、本年4月より完全施行されることとなる。
 表示は、発症数・重篤度により法令上の義務化および通知による奨励の2段階とされている。

・省令で表示を義務化(5品目:卵、乳、小麦、そば、落花生)
・通知で表示を奨励(19品目:あわび、いか、いくら、えび、オレンジ、かに、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、さけ、さば、大豆、鶏肉、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン)
 含有量が微量なキャリーオーバー、加工助剤等についても、義務表示となる5品目は表示を義務付け、表示を奨励する19品目は可能な限り表示するよう奨励しているところである。
 特定原材料に準じて表示を奨励する食品のうち、高価な食品であるあわび、いくら、まつたけ等が微量配合された食品について、あたかも当該食品が主要原材料であるかのような表示が行われることにより消費者に誤認を生じさせるおそれがあることから、微量配合された食品の表示に当たっては、たとえば「エキス含有」等それらの含有量、形態に着目した表示も併せて記載するよう関係業者の指導を行うようお願いしたところである。
 また、アレルギー表示を必要とする特定原材料及び特定原材料に準ずるものについてのみでなく、これら以外の原材料についても、消費者からの問い合わせへの対応やインターネット等による情報提供を行い、迅速に回答できる体制を整えていただくようお願いしたところである。
 食物アレルギーの原因物質については、時代の変化とともに変わっていくと考えられることから、今後とも食物アレルギー研究班等でさらに実態調査・科学的研究を行い、新たな知見や報告により適宜見直しを行っていくこととしているところであるが、平成13年10月29日に食品表示研究班アレルギー表示検討会から提出された中間報告を受けて、加工食品を選択するためのアレルギー物質に関する正確な情報の入手が可能となるよう「アレルギー物質を含む食品に関するQ&A」の見直しを行い、周知したところである。
 本年も、アレルギー物質を含む食品に係る表示の適正化のため、関係業者等の指導方、よろしくお願いする。

6.食品の国際規格について

(1)FAO/WHO合同食品規格委員会(CODEX)について

 コーデックス(CODEX ALIMENTARIUS COMMISSION)は、FAO/WHO合同食品規格計画の実施機関として、1962年にFAO(国連食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)が合同で設立した国際政府間組織で、国際食品規格の策定を通じて、消費者の健康を守るとともに、食品貿易における公正を確保することをその目的とするものである。コーデックスが策定した食品規格は、WTO(世界貿易機関)の多角的貿易協定のもとで、国際的な制度調和を図るものとして位置付けられている。現在の加盟国は、165カ国で、24の課題別の部会及び特別部会と6つの地域調整委員会が置かれている。

(2)CTFBT(Codexバイオテクノロジー応用食品特別部会)への議長国としての参加について

 CODEX委員会に設置された、バイオテクノロジー応用食品特別部会については、我が国が議長国として、遺伝子組換え食品の安全性評価等に関する国際指針の作成を進めているところであり、本年3月4日から8日まで第3回特別部会を開催する予定である。

7.参考(牛海綿状脳症(BSE)に係る対応について)

平成14年1月8日まとめ
厚生労働省

昭和61年

英国で、大量のBSE感染ウシが発見される
 (昭和60年に初めて診断され、平成13年までに約18万頭)

平成8年3月

英国農業大臣諮問機関 3月20日
 変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)の患者10人がBSE牛との接触と関連している可能性が高いとの声明

食品:3月26日(英国産牛肉等の輸入の禁止)
 英国産の牛肉、牛肉加工品の輸入自粛を指導

平成 8年 4月

WHO専門家 4月2, 3日
 BSE感染リスク低減の提言

CJD:平成8年度(「クロイツフェルト・ヤコブ病に関する緊急調査研究班」の設置)
 vCJD患者のサーベイランスの開始(vCJD発症者の報告は現在までない。)
医薬品・医療用具等:4月17日(英国産原料の禁止)
(1) 英国産のウシ等由来原料(羊毛及びラノリン等羊毛由来物を除く。)の医薬品・医療用具等(医薬品、医療用具、医薬部外品及び化粧品)への使用の禁止
(2) 英国産以外のウシ等由来原料を医薬品・医療用具等に使用する場合は、BSE発生群と関係のないウシ等に由来するものに限定
食品:4月26日(と畜場法施行規則の一部改正)
 と畜場における臨床的検査の対象に、BSEを追加

平成9年 2月

CJD:2月13日(「クロイツフェルト・ヤコブ病等専門委員会」の設置)
 平成9年以降も継続して患者発生状況について調査を行うこととした。あわせて、患者把握の方法の検討、把握する情報の内容の検討、患者発生動向の分析などを行うこととした。

平成11年 2月

血液:2月19日
 伝達性海綿状脳症対策特別部会(平成10年12月22日、平成11年1月19日)の審議を経て、供血者がCJDを発症したことが供血後に判明した場合には、それが明らかに古典的CJDである場合を除き、関連する血液製剤を念のため回収するよう指示

平成11年 8月

米国FDA
 英国滞在6ヶ月(昭和55年〜平成8年)の者の献血禁止措置を発表

平成12年1月

血液:1月13日
 英国滞在通算6ヶ月以上(昭和55年〜平成8年)の者の献血禁止

平成12年 11月

 ドイツ、スペインでのBSEの発生

平成12年 12月

EU特別農相理事会決議 12月4日
 (1) ウシの腸の使用禁止
 (2) 当面、動物性飼料(肉骨粉)について、ウシ以外の家畜も含み、全面使用禁止
 (3) 未検査の30月齢以上のウシ肉の使用禁止

医薬品・医療用具等:12月12日(対象国拡大、地域を限定しない使用禁止部位)

(1) BSE発生国/発生リスクの高い国を原産国とする原料の使用を禁止する。(米国の措置にならい、欧州諸国をBSE感染の恐れがある地域として明確化する。)
(2) 上記1の国に限らず、BSEリスクの高いウシ等の部位を使用禁止とする。(現在BSEの発生がないとされている国で生産されるウシ原料であっても、未知のリスクに対応。)
食品:12月22日(EU諸国等からの牛肉輸入禁止)
 EU諸国等からの牛肉及びその加工品等の輸入自粛を指導

平成13年1月

米国FDA(諮問委員会)
 フランス、ポルトガル、アイルランドに通算10年以上滞在した者の献血制限

平成13年2月

食品:2月15日(食品衛生法施行規則の一部改正)
 EU諸国等からの牛肉等の輸入を法的に禁止

平成13年3月

血液:3月14日
 英、仏、アイルランド、ポルトガル、独、西、スイスに、昭和55年から現在まで通算6カ月以上滞在した者からの献血禁止を決定

平成13年5月

食品:5月17日(サーベイランスの開始)
 我が国におけるBSEの発生又は非発生状況を確実に把握するため、と畜場において「24ヶ月齢以上の牛のうち、運動障害、知覚障害、反射又は意識障害等の神経症状が疑われるもの」を対象として、異常プリオンの有無を検査するサーベイランスを開始。

平成13年9月

日本でのBSEの疑いのある牛の報告(9月10日農林水産省発表)
食品:9月10日
 確定診断までの間、狂牛病の疑いのある牛が飼育されていた農場(千葉県内)で飼育された牛由来の食肉等の販売中止を千葉県に指示
食品:9月11日(第1回研究班会議及び対策本部会議開催)
 「牛海綿状脳症に関する研究」の研究班会議及び「狂牛病に係る食肉安全対策本部会議」を設置、開催。
食品:9月12日
 都道府県に対して、現在実施しているサーベイランスの徹底を要請。
医薬品・医療用具等:9月19日
(1) 平成12年12月の措置の徹底
(2) 狂牛病サーベイランスでBSE陽性と診断されたウシ由来の原料の使用禁止
(3) 原料となる国内産のウシの飼育過程で動物性飼料(肉骨粉)を使用しないよう指導
食品:9月19日(第2回研究班会議及び対策本部会議開催)
 緊急対策として、
(1) 24ヶ月齢の牛のうち、運動障害、知覚障害、反射又は意識障害等の神経症状が疑われるもの及び全身症状を示すもの全頭
(2) 神経症状が疑われないものであっても、30ヶ月齢以上の牛については全頭につき、全国の食肉衛生検査所でスクリーニング検査を行い、同検査で牛海綿状脳症の疑いのあるものについては、研究班において確定診断を行うことを決定。
日本でのBSEの発生の確認(9月22日農林水産省発表)
食品:9月27日
(1) 30ヶ月齢以上の牛に係ると畜場の使用の一時的制限につき、都道府県等を通じて、と畜場管理者等に要請。
(2) 以下の部位を除去、焼却するよう、都道府県等を通じて関係営業者に対し指導。
(1) 生後12ヶ月以上の牛の頭蓋(舌、頬肉を除く。)及び脊髄
(2) 全ての牛の回腸遠位部

平成13年 10月

医薬品・医療用具等:10月2日
(1) 平成12年12月の措置の徹底
(2) (1)に加え、日本及びBSE発生リスク不明国を原産国とする原料の使用も原則禁止する。なお、やむを得ずこれらBSE発生国等(高発生国の英国、ポルトガルを除く)を原産国とする原料を使用する場合の条件を以下のように明示した。
イ 原料のウシ等にBSEの疑いがないこと
ロ 原産国においてBSE防疫体制が組まれていること
ハ 原料のウシ等の飼育過程で動物性飼料が使われていないこと
食品:10月5日
 関係団体及び都道府県知事等を通じて、食品の製造者及び加工者に以下のことを要請。
(1) 牛由来原材料の点検及び保健所への結果報告
(2) 特定危険部位の使用又は混入が認められた場合の由来原材料変更、当該食品の販売自粛等
食品:10月9日(BSE検査の対象拡大方針決定)
 30ヶ月齢未満の牛も含めた全ての牛を、食肉処理時のBSEスクリーニング検査の対象とする方針を決定。
食品:10月16日
 BSE感染牛確認の公表時期を、「確定診断」の結果が出た段階とする方針を決定。
 (各自治体については本方針に従った対応を要請するが、各自治体の主体性を尊重する。)
食品:10月17日(と畜場法施行規則の一部改正)
 すべての牛の(1)頭部(舌及び頬肉を除く。)、(2)脊髄、(3)回腸のうち盲腸との接続部分から2m間での部分の焼却を義務付け。(ただし、(1)については、施行後1年間は脳及び眼とする。)
食品:10月18日(スクリーニング検査の一斉開始)
 全国の食肉衛生検査所(117カ所)におけるスクリーニング検査の一斉開始
食品:10月18日
 特定危険部位を含むおそれのある加工食品の自主点検の結果について、中間取りまとめを公表
食品:10月26日 (第1回牛海綿状脳症の検査に係る専門家会議)
 BSEの確認検査において、ウエスタンブロット法陰性の場合には、免疫組織化学検査の結果をみた上で確定診断を行うことを提言。
医薬品・医療用具等:10月29日(平成13年度第2回伝達性海綿状脳症対策調査会)
(1)平成13年10月2日の通知に基づく、企業による自主点検の結果及び回収等の状況を公表。
(2)平成13年10月2日の通知に基づく、回収・切替えの措置を効果的・効率的に行うため、製品のリスクに応じた優先順位を示した。

平成13年 11月

食品:11月2日
 特定危険部位を含むおそれのある加工食品の自主点検の結果について、公表
食品:11月6日(BSE問題に関する調査検討委員会)
 厚生労働大臣及び農林水産大臣の私的諮問機関として「BSE問題に関する調査検討委員会」を設置。(第1回委員会は11月19日に開催予定。)
血液:11月16日
 献血禁止対象国としてベルギー、オランダ、イタリアを追加することを決定。
CJD:11月18日(vCJDに関する調査団を英国派遣)
 vCJDの医療体制の整備を図るため、英国に専門医と行政官からなる調査団を派遣し、診療の状況と取組について調査を実施。
食品:11月19日(第1回BSE問題に関する調査検討委員会)
(1) BSEに関するこれまでの行政対応上の問題の検証について
(2) 今後の畜産・食品衛生行政の在り方について
を今後検討していくことを確認。
食品:11月21日(国内2頭目のBSE感染牛の確認)
 確認検査により、BSE陽性と判定された牛について、第2回牛海綿状脳症に関する専門家会議における確定診断により、全頭検査開始後、初めてBSE感染牛を確認。

平成13年 12月

食品:12月2日(国内3頭目のBSE感染牛の確認)
 確認検査により、BSE陽性と判定された牛について、第3回牛海綿状脳症に関する専門家会議における確定診断により、全頭検査開始後、2頭目のBSE感染牛を確認。
食品:12月25日(第4回研究班会議)
 厚生科学研究による調査の結果、背割りの際の脊髄による枝肉汚染については、背割り後の高圧洗浄で十分な効果があることを確認したが、更なる予防的観点から背割り前の脊髄の除去技術の導入を進めるべきとの意見があった。


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