各都道府県労働局長 殿
厚生労働省職業安定局長 (公印省略) |
平成13年4月1日の改正雇用保険法の施行以後、極めて厳しい雇用失業情勢の長期化により雇用保険を取り巻く状況が大きく変化する中で、平成14年4月5日から、労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会において、雇用保険制度の在り方について議論が重ねられ、7月19日に「雇用保険制度の見直しについて(中間報告)」として中間的なとりまとめが行われたところである。
この中間報告では、前回制度改正後の予想を超える雇用失業情勢の悪化等の短期的な雇用、失業の動向に加え、労働移動の増加、雇用就業形態の多様化等中長期的な労働市場の構造的変化に対応し、その機能を十分に発揮できるようにするため、制度全般の見直しが必要とされている。また、当面の対応として、現行制度の範囲内で実施することが可能な、雇用保険受給資格者(雇用保険法(以下「法」という。)第15条第1項に規定する受給資格を有する者をいう。以下「受給資格者」という。)の早期再就職の促進等に係る措置については、制度本体の改正に先行して早急に実施に移すことが適当とされたところである。
このような中間報告の趣旨を受けて、失業認定申告書(PDF 94KB)(雇用保険法施行規則(以下「則」という。)第14号様式)等の改正について、本日、「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令(平成14年厚生労働省令第114号)」が公布されたところである。
ついては、失業認定の的確な実施、受給資格者の早期再就職の促進等に係る当面の対応と措置について下記のとおり定めることとしたので、その取扱いについて遺漏のないよう特段のご配慮をお願いする。
第1 | 趣旨・概要 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1 | 趣旨 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
雇用失業情勢が依然として厳しい状況にあり、さらに倒産・解雇等の非自発的理由による離職者が増加傾向にある中では、雇用のセーフティ・ネットとしての雇用保険制度の安定的運営を確保しつつ、その十分な機能発揮を図ることが極めて重要であり、現行制度の範囲内で実施することが可能な、受給資格者の早期再就職の促進等に係る措置については、制度本体の改正に先行して早急に実施に移すことが必要である。 これまでも受給資格者に対する的確な基本手当の支給や職業相談、職業紹介等の充実を図ってきたところであるが、制度の趣旨に適った基本手当の支給と職業相談、職業紹介をはじめとした求職活動への支援等とを、相互の連携を図りつつより一層積極的に推進していくという観点から、今般、失業認定等の業務取扱について以下のとおり必要な改正等を行うこととしたものであること。 |
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2 | 概要 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
今般、1の趣旨を踏まえ、受給資格者の早期再就職を一層促進するため、基本手当に係る失業の認定の際の業務取扱等について必要な改正等を行うとともに、職業相談、職業紹介等をさらに積極的に実施することとしたものである。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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3 | 施行日 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
上記2のうち(1)のイの(イ)「求職活動実績に基づく失業の認定」、ハの「雇用保険加入手続の有無の確認に係る照会手続」、(2)「職業指導・職業紹介関係業務について」及び(3)関連部分については、平成14年9月20日から施行する。 |
第2 | 雇用保険関係業務の改正等について | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1 | 失業の認定業務に係る改正等について | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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2 | 法第32条の給付制限の一層的確な運用について | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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3 | 雇用保険加入手続の有無の確認に係る照会手続について | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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4 | 不正受給の防止、厳正な対処について 失業等給付の不正受給は、雇用保険制度の目的・趣旨を損ない、制度全般に対する信頼を失墜させ、その円滑かつ適正な運営を大きく阻害する行為である。不正受給の防止及び早期摘発に一層努めること。また、確認された不正受給に対しては、厳格な納付命令の運用、悪質な事案の告発などにより厳正に対処すること。 |
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5 | 未適用事業所に対する適用促進等について 雇用保険制度の健全な運営の確保、費用の公平負担及び労働者の福祉の向上等の観点から、未適用事業所に対する適用促進及び被保険者となるべき労働者に係る適正な加入手続の促進はきわめて重要な課題である。 なかでも、私立学校教員については、本年3月29日に閣議決定された「規制緩和推進3か年計画(改訂)」において「現在、低い加入水準にとどまっている私立学校教員等については、雇用保険への加入を速やかに促進する。」とされており、都道府県労働局においては、これに先だって昨年から、全国一斉に集団説明会の開催や個別の私立学校に対する加入勧奨を行ってきたところである。その結果、私立学校教員の新たな加入は徐々に増加しつつあるものの、総体的には依然として低い加入水準にとどまっており、引き続き適用促進の取り組みを積極的かつ継続的に進めることが必要である。 これらのことから、制度の一層の周知徹底、事業主に対する助言・指導等により、未適用事業所に対する適用促進等を今後一層、着実かつ迅速に進めること。 |
第3 | 職業指導・職業紹介関係業務について | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1 | 職業指導等の積極的実施 安定所は、当該安定所において受給資格者の早期再就職を促進するため、次により、これらの者を対象とする再就職支援を強化することとする。 |
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2 | 法第33条の給付制限期間中の者に対する就職支援 法第33条の給付制限期間中の者の就職支援についても、上記1の(2)により、早期あっせん対象者と計画支援対象者に分類して、それぞれにあった支援を行うこと。特に、計画支援対象者については、当該給付制限期間中から計画的な求職活動を促すため、遅くとも初回講習のあと早期に計画を策定すること。 |
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3 | 的確かつ早期の公共職業訓練受講指示及び訓練受講者等に対する職業指導・職業紹介の徹底 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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4 | 求人者に対する周知 第2の1にあるとおり、今般、基本手当の失業の認定に係る業務取扱い等について必要な改正を行うことに伴い、従来、時間をかけて再就職先の選定を行った後に求人応募を行っていた求職者が、求人に応募することによって、直接求人者と接触し、労働市場の状況を体感しつつ、自分にあった再就職先を選定しようとすることが多くなると見込まれる。 また、求人に対する応募が増加すると同時に、求職者が、求人事業所及びその事業主等に直接接触して、自らの再就職先として当該企業が適当であるかを検討することとなる結果、求人者が採用を希望しても求職者から断られる可能性も高くなるなど、募集・採用の在り方に大きな影響を与える可能性がある。 以上を踏まえ、安定所は、求人者に対し、次の点について、適宜、注意喚起を行うこと。 なお、安定所の職業紹介に際しては、求職者が特定の求人への応募を強く希望した場合であっても、当該求人の提示する条件に求職者が合致しない場合には、安定所窓口においてむやみに紹介を行わないことは当然であり、必要に応じて求人者に対して条件緩和指導を行いつつ、求人者の選考の負担を軽減し、安定所による職業紹介に対する信頼を向上するよう努めること。 |
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(記の第4以下 略) |