行事予定・イベント  報道発表資料  厚生労働省ホームページ

平成14年5月27日

農薬危害防止運動の実施について

1 運動の目的

梅雨に入り病虫害などの発生が増加し、農薬を使う機会が多くなるこの時期を中心に、農薬の散布中における事故防止や農作物の安全性の確保、生活環境の保全を推進する運動を全国的に展開します。農薬を正しく使うため、農薬取締法、毒物及び劇物取締法等関係法令や農薬の性質及び作用、適正な使用方法、保管管理などについて、周知徹底を図ります。

2 実施主体

厚生労働省、農林水産省、都道府県、保健所を設置する市及び特別区

3 実施期間

平成14年6月1日から同年6月30日まで

4 実施事項

(1) 国が実施する事項
(2) 都道府県が実施する事項

問い合わせ先
厚生労働省医薬局審査管理課
化学物質安全対策室
毒物劇物係
担当:中村(内線2798)


医薬発第0524001号
14生産第1573号
平成14年5月24日

    都道府県知事
 各 保健所設置市市長  殿
    特別区区長

厚生労働省医薬局長

農林水産省生産局長

平成14年度農薬危害防止運動の実施について

 農薬危害防止運動の実施については、従来から格別の御配慮をいただいているところであるが、依然、農薬の散布中の事故は後を絶たず、また、農薬の用途外使用や無登録農薬の違法な販売、使用等の事例もみられる状況にあり、さらに、昨年は土壌くん蒸剤の不適切な使用に起因する事故もみられたところである。このような中で、近年、国民の健康の保護や生活環境の保全、農産物の安全性の確保に対する社会的関心が高まっており、農薬の適正な使用及び保管管理の徹底が強く求められている。
 このような状況にかんがみ、本年においても、国及び地方公共団体の緊密な連携の下に、関係諸団体の協力を得て、農薬危害防止運動を全国的に実施することとし、別紙のとおり農薬危害防止運動実施要綱を策定したので、貴職におかれても本運動の趣旨を御理解の上、特段の御配慮及び御協力をお願いする。


別紙

農薬危害防止運動実施要綱

第1 趣旨
 農薬の安全かつ適正な使用の確保及び適切な保管管理の徹底は、農業生産の安定のみならず、国民の健康の保護及び生活環境の保全の観点からも極めて重要である。
 このため、従来から、農薬取締法(昭和23年法律第82号)及び毒物及び劇物取締法(昭和25年法律第303号)に基づく取締り等必要な施策の実施に努めてきたところである。
 しかしながら、依然、農薬の散布中の事故は後を絶たず、また、農薬の用途外使用や無登録農薬の違法な販売、使用等の事例もみられる状況にあり、さらに、昨年は土壌くん蒸剤の不適切な使用に起因する事故もみられたところである。このような中で、近年、国民の健康の保護や生活環境の保全、農産物の安全性の確保に対する社会的関心が高まっており、農薬の適正な使用及び保管管理の徹底が強く求められている。
 農薬による事故等は、農薬に関する正しい知識の欠如に起因する場合が少なくないので、農薬の性質及び作用、その危害の防止方法、その適正な使用及び保管管理の方法等を広く周知徹底させるとともに、関係法令等の周知を図ることを目的として、農薬危害防止運動を実施する。

第2 名称
 農薬危害防止運動

第3 実施期間
 原則として、平成14年6月1日から同年6月30日までの1か月間とする。

第4 実施主体
 厚生労働省、農林水産省、都道府県、保健所を設置する市及び特別区

第5 実施事項
 1 国が実施する事項
 厚生労働省及び農林水産省は次に掲げる事項を実施する。
(1) 広報誌等による啓発宣伝
 国の広報誌やポスター等多様な広報手段を活用するとともに、報道機関の協力も得つつ、本運動の普及徹底を図る。また、関係法令等の趣旨の周知徹底を図るとともに、特に農薬散布者の不注意等に起因する事故を未然に防止するため、散布作業従事者を対象として、別記「農薬による事故の主な原因及びその防止のための注意事項」の周知徹底を図る。
(2) 正しい知識の普及
 農薬の適正な使用や保管管理、中毒時の応急措置等について解説した資料を作成及び配布し、農薬に関する正しい知識の普及に努める。
 2 都道府県等が実施する事項
   都道府県、保健所を設置する市及び特別区は次に掲げる事項を実施する。
(1) 広報誌等による啓発宣伝
 都道府県の広報誌やポスター等を用い、本運動の啓発宣伝を行うほか、報道機関等の協力も得つつ、本運動の普及徹底を図る。
(2) 児童及び生徒に対する本運動の趣旨の普及
 教育委員会の協力を得て、学校薬剤師等が中心となって管下の小学校の児童及び中学校の生徒に対し、本運動の趣旨の普及を図る。
(3) 講習会等の開催
 毒物劇物取扱業者、農薬販売業者、防除業者、農業者、ゴルフ場関係者その他の農薬使用者を対象に、農薬の適正な使用及び保管管理の方法、その危害の防止対策、事故発生時の応急措置、事故発生事例及びこれに対する診断治療事例並びに関係法令等に関する講習会等の開催により、農薬の正しい知識の普及を図る。
(4) 医療機関等との連携
 関係医療機関等に対して、農薬の使用に伴う事故における症状及びその応急措置等の資料を配布し、万一事故が発生した場合の処置体制を万全にするとともに、今後の事故防止対策に反映させる等の観点から、医療機関等との連携を密にし、事故の状況を的確に把握する。
(5) 農薬の適正使用等についての指導
 農薬販売業者、防除業者、農業者、ゴルフ場関係者その他の農薬使用者に対し、農薬取締法や毒物及び劇物取締法に基づく立入検査等を実施し、無登録農薬の違法な販売及び使用を取り締まるとともに、農薬の保管管理、処分等に関し、その適切な取扱いについて指導する。特に、最近事故及び事件が多発している地区に対しては、重点的に指導を行う。
 農薬取締法第12条の6に基づき農林水産大臣が公表している農薬安全使用基準等に基づく適正な使用方法の徹底を図る。
 農林水産航空事業の実施主体に対して、当該事業の実施に当たり、関係法令を遵守し、危被害の未然防止の徹底を図るよう指導する。
 防除業者、農業者、ゴルフ場関係者その他の農薬使用者に対し、農薬使用状況等(使用薬剤の名称、数量及び保管状況、使い残しの農薬及び空容器の処理状況、使用器具の管理状況等)及び万一事故が発生したときにはその状況等を作業日誌等に記録するよう指導する。
 農薬の散布作業に従事する者に対し、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(昭和25年法律第175号)に基づき有機農産物の生産を希望する農家の生産ほ場周辺で作業する場合には農薬の適正な使用を徹底するよう指導する。
(6) 散布作業従事者の健康管理に関する指導
 農薬の散布作業に従事する者に対し、その健康の管理に十分留意させるとともに、特に病害虫の共同防除に従事する者に対しては、作業の前後に必要に応じて健康診断を行うよう指導する。
(7) 環境への危害防止対策
 適宜、農薬使用場所周辺の公共用水域の水質の調査等を行い、その結果を活用して防除業者、農業者、ゴルフ場関係者その他の農薬使用者を指導するとともに、農薬安全使用基準において定められた使用方法その他の事項の遵守の徹底に努め、魚介類の被害及び河川、水道水源等の汚染の防止等環境の保全を図る。
 居住区域と近接した地域における農薬の散布作業に従事する者に対し、周辺住民の健康及び生活環境の保全に留意し、農薬の適正な使用方法を厳守するよう指導するとともに、周辺住民等に対しても農薬に対する正しい理解が得られるよう、必要な情報提供等に努める。
 土壌くん蒸剤の臭化メチルについては、特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律(昭和63年法律第53号)第20条第1項の規定に基づく特定物質の排出抑制・使用合理化指針に基づき、その使用量及び放出量の削減並びに代替薬剤や代替技術の円滑な導入・普及を強力に推進する。


別記

農薬による事故の主な原因及びその防止のための注意事項

1 農薬による事故の主な原因

(1) 農薬の保管管理が不良であるため、老人、子供等が誤って飲んだこと。
(2) 散布作業前日及び散布作業後に飲酒又は夜更かししたこと。
(3) 病後、睡眠不足時等体調の優れない状態で散布作業に従事したこと。
(4) 農薬用マスク、保護メガネ等の防護装備が不十分な状態で散布作業に従事したこと。
(5) 炎天下で長時間散布作業に従事したこと。
(6) 散布者の不注意により、散布途中で喫煙したこと又は散布後農薬が付着した手で食事をしたこと。
(7) 防除機等の点検不備により薬液を浴びたこと。
(8) 定められた使用方法以外の方法による散布等農薬を不適正な方法で使用したこと。

2 農薬による事故防止のための注意事項

(1) 農薬の使用に当たっては、容器の表示事項等をよく読んで、安全かつ適正に使用すること。また、使用に関し不明な点がある場合は、病害虫防除所等に相談すること。
(2) 安全な場所に鍵をかけて保管する等農薬の保管管理には十分注意すること。
(3) 農薬を他の容器(清涼飲料水の容器等)へ移し替えないこと。
(4) 散布作業前日及び作業後には、飲酒又は夜更かしをしないこと。
(5) 体調の優れない、又は著しく疲労しているときは、散布作業に従事しないこと。
(6) 農薬の調製又は散布を行うときは、農薬用マスク、保護メガネ等防護装備を着用し、かつ、農薬の取扱いを慎重に行うこと。
(7) 散布に当たっては、事前に防除機等の十分な点検整備を行うこと。
(8) 風下からの散布、水稲の病害虫防除の際の動力散粉機(多孔ホース噴頭)の中持ち等はやめ、農薬を浴びることのないように十分に注意すること。
(9) 農薬を散布するときは、散布前に関係者に連絡し、必要に応じ立札を立てることなどにより、子供その他の散布に関係のない者が作業現場に近づかないよう配慮するとともに、居住者、通行人、家畜、蚕等に被害を及ぼさないよう、風向き等に十分注意すること。
(10) 散布作業は、風の強くない、朝夕の涼しい時間を選び、2〜3時間ごとに交替して行うこと。
(11) 農薬の散布によってめまいや頭痛が生じ、又は気分が少しでも悪くなった場合には、医師の診断を受けること。
(12) 作業後は、手足はもちろん、全身を石けんでよく洗うとともに、眼を水洗し、衣服を取り替えること。
(13) 使用残りの農薬を不注意に廃棄したり、不要になった農薬を放置したりすると、思わぬ事故を引き起こすことがあるので、その処理に当たっては関係法令を遵守して適正に行うこと。また、散布に使用した器具及び容器を洗浄した水は、河川等に流さず、散布むらの調整等に使用すること。特に、種子消毒剤等農薬の廃液処理に当たっては、周辺環境に影響を与えないよう十分配慮した処理を行うこと。
(14) 農薬の空容器、空袋等の処理は、廃棄物処理業者に処理を委託する等により適切に行うこと。
(15) クロルピクリン剤等土壌くん蒸剤の取扱いについては、表示された使用上の注意事項を遵守すること。また、薬剤が揮散し周辺に影響を与えないよう風向きなどに十分注意し、被覆を完全に行うこと。
(16) 水質汚濁の防止に関する安全使用基準、水産動物の被害の防止に関する安全使用基準及び水質汚濁性農薬の使用規制に関する都道府県知事の規則を遵守し、水田周辺の養魚池における淡水魚又は沿岸養殖魚介類の被害及び河川、水道水源等の汚染の防止等環境の保全に万全を期すること。


トップへ
行事予定・イベント  報道発表資料  厚生労働省ホームページ