平成14年3月7日
厚生労働省
厚生労働省及び関係省庁は、平成13年末に自由民主党、公明党、保守党の与党三党が各党の厚生労働部会等においてまとめた
を踏まえ、第一の「基本的な考え方」に基づき早急に第二に掲げる「具体的施策」を講じることとする。
その際、必要な法律改正については、通常国会に予算非関連法案として提出し、平成15年度からの実施を目指す。また、同法案に基づく予算については平成15年度概算要求に反映させることとする。
○子どもは、我が国の将来であり、その健全な育成は少子高齢化社会の中で大きな課題となっている。特に母子家庭については、母親の就労等による収入をもって自立できること、そしてその上で子育てができることが子どもの成長にとって重要であり、また、子どもを地域や社会全体で育んでいくことが併せて必要となっている。
○一方、両親の子どもに対する養育の責務は両親にあり離婚により変わるものではない。離婚等によって子どもを監護しない親に対し、その責務を果たさせる必要がある。
○このような観点から、昭和27年に戦争未亡人対策から始まり50年の歴史を持つ我が国の母子寡婦対策を根本的に見直し、新しい時代の要請に的確に対応できるよう、その再構築を目指す。
○特に、子どものしあわせを第一に考えて、ひとり親家庭に対する「きめ細かな福祉サービスの展開」と母子家庭の母に対する「自立の支援」に主眼を置いた改革を実施する。その際、離婚後等の生活の激変を緩和するために、母子家庭となった直後の支援を重点的に実施するとともに、就労による自立、子を監護しない親からの養育費の支払いの確保を重視する。
○具体的には、福祉事務所を設置する自治体(都道府県・市等)において相談、情報提供体制を整備しつつ、(1)子育てや生活支援策、(2)就労支援策、(3)養育費の確保策、(4)経済的支援策を総合的、計画的に展開する。
○児童扶養手当制度については、離婚後等の激変期に集中的に対応するものとして見直し、増大する離婚の中でもその機能が維持できるよう配慮する。また中長期的には生活保護制度や他の所得保障制度との関係やさらには養育費確保制度のあり方との関連で、児童扶養手当制度そのもののあり方を含めて給付の内容に検討を加え、必要な改革の検討をすすめるものとする。
1 必要な時に必ず利用できる保育所や放課後児童クラブ
(1)保育所への優先入所の法定化(母子寡婦福祉法)
就労、求職活動、職業訓練を行うに際し、ひとり親家庭の児童の保育所への優先入所を図る。
(2)放課後児童クラブの拡充
放課後児童クラブについてひとり親家庭の児童の優先的利用に配慮する。
2 母子生活支援施設や住宅など自立に向けた生活の場の整備
(1)母子生活支援施設の新たな機能の創設等
(2)住宅対策の充実(国土交通省)
3 親の疾病等にきめ細かく対応できる子育て支援サービス
(1)介護人派遣事業の拡充
「介護人派遣事業」(現行では、昼間、居宅において介護等を実施)について、利用者のニーズに柔軟かつきめ細かく対応できるよう、抜本的に拡充する。
(2)ショートステイ・トワイライトステイ事業の充実(児童福祉法)
児童福祉施設等で実施しているひとり親家庭の子どものショートステイ(短期入所)やトワイライトステイ(夜間)事業を法定化するとともに事業を拡充する。併せて低所得世帯のひとり親家庭の利用料徴収免除制度を創設する。
4 ひとり親家庭の相互扶助活動の支援
II 母子家庭等の経済的自立のための就労支援
1 より良い就業に向けた能力の開発
(1)能力開発に資する就業支援講習会の新たな展開(母子寡婦福祉法)
都道府県(母子寡婦団体等が委託を受けて実施する場合を含む)が実施している就業支援講習会を大幅に拡充する。このために、
(2)積極的な受講あっせんの実施
母子家庭の母等に対して、公共職業訓練の受講に関し、受講指示に加え受講推薦を積極的に実施する。
(3)自立支援教育訓練給付(仮称)の創設(母子寡婦福祉法)
指定された教育訓練講座の中から自主的に受講した場合の受講料の一部を支給する(受講料の8割、上限30万円程度)。
(4)母子家庭高等職業訓練促進費(仮称)の創設(母子寡婦福祉法)
介護福祉士、保育士等就職に有利な資格を取得するため長期にわたり専門的な訓練を受けている場合に、訓練促進費(月額10万円程度)を一定期間支給する。
(5)技能修得中の生活資金貸付け制度(仮称)の創設
公共職業能力開発施設等における技能修得期間中の生活保障のため、生活資金を貸付ける(月額14万円程度、無利子)。
(6)保育士資格の取得の促進
母子家庭の母等について保育ママ事業の補助員への就業を促進するとともに、補助員としての経験を保育士資格の取得につなげるため、
2 母子家庭の母の状況に応じた就業あっせん
(1)ハローワークにおける就業あっせん等
(2)母子寡婦団体における就職情報の提供や無料職業紹介の実施
(3)都道府県・市等における求人情報の提供、相談
福祉事務所を設置する自治体(都道府県・市等)に、母子自立支援員(仮称)を新たに配置し、児童扶養手当の手続きを行う際などに、ハローワークと連携して、求人情報の提供や就職・能力開発に関する相談等を実施する。
3 所得の増大に結びつく雇用機会創出のための支援
(1)事業主に対する常用雇用転換奨励金の創設(母子寡婦福祉法)
新規に母子家庭の母をパートとして雇用し、常用雇用に転換する場合(OJTを実施した後)に一定額を支給する常用雇用転換奨励金(30万円程度)を創設する。
(2)特定求職者雇用開発助成金の活用
失業した母子家庭の母など就職が困難な求職者を雇い入れる事業主に対する特定就職困難者雇用開発助成金について、その対象をパートタイム労働者にも拡大することとしているが、母子家庭の母には、パートタイム労働者が多いことから母子家庭の母についても事業主に対する周知を徹底するなど、その活用を推進する(賃金の1/4〜1/3程度、一年間支給)。
(3) 母子福祉団体が行う事業に対する支援(母子寡婦福祉法)
母子福祉団体が、母子家庭の母等の福祉の増進を図るための事業(社会福祉事業、無料職業紹介事業等)を行う場合の貸付制度を創設する。
(4) 母子家庭の母等の起業資金の助成
母子家庭の母等が中心となって起業する場合、起業に要する経費の一部を助成する。
(5)国又は、地方公共団体による雇入れの促進等
4 母子家庭等就業支援センター事業(母子寡婦福祉法)
母子福祉団体等を活用して、母子家庭の母等に対して、相談から就業支援講習会の実施(1の(1))、就職情報の提供等(2の(2)(1))に至るまでの一貫した就業支援サービスを提供するため母子家庭就業支援事業(いわゆる「母子家庭等就業支援センター事業」)を創設する。
III 子どものしあわせを第一に考えた養育費確保
1 養育費支払いについての社会的気運の醸成(母子寡婦福祉法)
(1)別れた親の養育費支払いの責務の明確化
(2)啓発活動の促進
母子福祉団体、NPOなどの関係団体によるシンポジウムなど養育費の支払いについての広報・啓発活動を実施するとともに、国、地方公共団体においても子どものしあわせの観点から積極的に啓発活動を促進する。
2 養育費についての取り決めの促進
(1)養育費のガイドラインの作成
個別ケースにおいて慰謝料や財産分与とは区別した形で必要かつ適切な養育費の額が取り決められるよう、養育費の額やモデル様式等に関するガイドラインを作成し、養育費がより円滑に確保できるようにする。
(2)各種相談制度の充実(母子寡婦福祉法)
(3)情報提供(母子寡婦福祉法)
養育費取得のための手続、相談窓口支援策について、行政(児童扶養手当関係窓口や婚姻関係窓口)及び関係団体(母子寡婦団体等)による情報提供活動を実施する。
3 養育費取得のための司法手続へのアクセスの確保
(1)民事執行制度の強化(法務省)
権利実現の実効性をより一層高めるための民事執行制度の見直しの一環として、養育費などの定期的な少額債務の履行確保に向けて制度の見直しを図る。
1 母子寡婦福祉貸付金の充実(母子寡婦福祉法)
2 児童扶養手当の見直し(児童扶養手当法)
離婚の増大に伴い、受給者が増大する中、合理化、効率化を行い、自立を支援する制度とし将来にわたり機能できるよう、以下の改正を行う。
1 国の基本方針(母子寡婦福祉法)
2 都道府県・市等の自立支援計画(母子寡婦福祉法)
3 都道府県・市等における総合的な支援
4 その他
就業支援策の事業に関する補助金については、将来にわたり必要な額を確保するものとする。
第一 基本的な考え方
○急速に離婚が増大する中で、母子家庭等ひとり親の下で監護、養育される子どもたちが増えている。
第二 具体的施策
I 安心して子育てできるサービスと生活の場の整備
また、現行の母子福祉団体に対する事業資金の貸付対象事業を拡大する。
IV 自立を支援する経済的支援体制の整備
また、その際、返済しやすい償還条件とする。
V 国、地方公共団体による総合的な自立支援体制の整備
・施策の基本となるべき事項
・都道府県・市等が作成する自立促進計画の指針となるべき事項
・その他
・施策の基本となるべき事項
・その他
照会先:雇用均等・児童家庭局家庭福祉課企画係
電話 代表03-5253-1111 内線7888
就業までの一貫した就業支援サービスの提供
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