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平成14年3月7日

ガルシニア抽出物を継続的に摂取する健康食品に関する
情報提供について


(照会先)
医薬局食品保健部企画課
新開発食品保健対策室
池永室長
小平室長補佐(2457)
森田衛生専門官(2458)

食発第0307001号
平成14年3月7日

(関係団体の長) 殿

厚生労働省医薬局食品保健部長

ガルシニア抽出物を継続的に摂取する健康食品に関する
情報提供について

 近年、ガルシニア抽出物(ガルシニア・カンボジア(Garcinia Cambogia)の乾燥果皮を水抽出したエキス又は当該エキスを乾燥し粉末化したものをいう。以下同じ。)を含有する食品が健康食品として流通、販売されていますが、今般、国立医薬品食品衛生研究所において、ガルシニア抽出物のラットに対する1年間の長期毒性試験を実施した結果、ラットの精巣に影響が認められたとする中間報告がなされました。
 本中間報告書について、平成14年3月1日に開催された薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会毒性・新開発食品調査部会合同部会において、検討がなされ、別添1のとおり、消費者が過剰摂取しないよう、適切な情報提供を行うことが重要という御意見をいただきました。
 この合同部会での御意見を踏まえ、下記事項について、ガルシニア抽出物を継続的に摂取する全ての健康食品に対してすみやかに対応されるよう、貴傘下会員に周知徹底されるようお願いします。
 なお、合同部会においては、更に実施すべき試験として、ホルモン量に対する影響、原因物質の究明等の試験が挙げられたところであり、新たな試験成果が得られた場合には、再度合同部会を開催し、改めて安全性を検討します。
 貴団体におかれましても、こうした試験の実施や文献等情報の入手に積極的に取り組まれるとともに、試験結果や入手した情報については、新開発食品保健対策室あて御提供願います。

  1. 過剰摂取を控える旨の注意喚起を表示や説明書等により、当該食品を利用する消費者に見やすく且つわかりやすく行うこと。

  2. ホームページ等を通じて、一般の消費者にも過剰摂取を控える旨の注意喚起に努めること。

  3. 現在流通している健康食品の摂取目安量の上限と考えられる値(ヒドロキシクエン酸に換算して1日1人当たり1.5g)を超えている場合は、摂取目安量を減少させること。


(別添1)

薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会
毒性・新開発食品調査部会合同部会の結果等について

平成14年3月
厚生労働省医薬局食品保健部

1. いわゆる健康食品に利用される食品材料についての長期摂取による健康影響を検討することを目的として、ガルシニアパウダー注1)の長期の安全性について、国立医薬品食品衛生研究所に試験を依頼していたところ、本年2月4日、中間報告書が提出された(別添2、概要は別添3)

注1:ガルシニアパウダー
 ガルシニア(Garcinia Cambogia)は、インドやスリランカなどに自生する常緑樹。果皮を乾燥したものは、インドやスリランカでは酸味付けのスパイスとしてカレーや魚の漬け込み等に長年にわたって利用されている。
 ガルシニアパウダーは、ガルシニア乾燥果皮から水で抽出したエキスを乾燥粉末化したもの。ガルシニア乾燥果皮中には、ヒドロキシクエン酸が大量に含まれており、このヒドロキシクエン酸には、糖質から脂肪を合成する生体内の酵素活性を抑制する作用があり、ヒトの体重減少や血中脂質改善に有効であることが報告されたことから、ダイエット用「健康食品」として利用されるようになった。

2. この中間報告では、ガルシニアパウダーを飼料に0、0.2、1.0及び5.0%の割合で混入し、52週間(1年間)連続的に雌雄のラットに摂取させたところ、5.0%の投与群(平均摂取量は2,460.9mg/kg/day)の雄において、精巣への影響が強く示唆された。また、さしあたりの無毒性レベルは1.0%(平均摂取量は462.6mg/kg/day)とされている。

3. 同報告の提出を受け、3月1日(金)に薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会毒性部会・新開発食品調査部会合同部会を開催し、ガルシニアパウダーを含有する健康食品の安全性及び必要な対応についての意見を聴いたところ、主な意見は以下のとおりであった。

(1) 周辺情報を勘案すると、ラットでの52週間の連続投与において、さし当たりの無毒性レベルを1.0%(462.6mg/kg/day)としていることについては、妥当と判断する。しかしながら、現時点ではデータが不十分であり、ADI(1日摂取許容量)を示すのは適切ではない。
(2) ガルシニアパウダーの人への影響について評価を行うためには、原因物質の究明やホルモン量に対する影響等のさらなる試験が必要であり、そうした研究成果が得られた上で、再度合同部会を開催し、改めてその安全性を検討する。
(3) 消費者に対しては、高用量の知見であるとはいえ、ラットの精巣への影響がみられたことから、その事実を広く周知することが重要である。
(4) 現在流通しているガルシニア抽出物を含有する健康食品の摂取目安量注2)の範囲で摂取されるならば、直ちに問題があると判断するまでの情報は得られていないものの、このような健康食品は、消費者がダイエット効果を強く期待して、摂取目安量を大幅に超えて摂取することが知られており、また、カプセル等の形態で高濃度に含有されていることから容易に大量に摂取する傾向も認められる。したがって、消費者に対する過剰摂取への注意を喚起するための適切な情報提供を行うことが適切な対処法と考えられる。

注2:ガルシニア抽出物を含有する健康食品の摂取目安量
 ガルシニア抽出物を継続的に摂取する健康食品の摂取目安量については、中間報告書に記載されているように、ヒドロキシクエン酸に換算し、1日1人当たり0.5g〜1.5g(体重50kgの人とすると、10mg/kg/day〜30mg/kg/day)程度ということである。ラットの試験において、さしあたりの無毒性レベルは、ヒドロキシクエン酸として306.2mg/kg/day(体重50kgの人として計算すると、1日当たり約15gに相当)とされており、健康食品の摂取目安量の約10倍に相当することになる。


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