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医薬発第 1069 号
平成13年10月2日
各都道府県知事 殿
厚生労働省医薬局長

ウシ等由来物を原料として製造される医薬品、医療用具等の
品質及び安全性確保の強化について

 ウシ及びその他類縁反芻動物(以下「ウシ等」という。)由来物を原料として製造される医薬品、医療用具、医薬部外品及び化粧品(以下「医薬品、医療用具等」という。)については、欧州におけるウシ伝達性海綿状脳症(BSE)の発生動向を踏まえ、ウシ等に由来する原料(以下「ウシ等由来原料」という。)を用いて製造される医薬品、医療用具等(以下「ウシ等由来医薬品、医療用具等」という。)に関し、平成12年12月12日付け医薬発第1226号厚生省医薬安全局長通知(以下「局長通知」という。)及び平成13年4月24日付け医薬発第438号厚生労働省医薬局長通知、平成13年9月19日付け医薬発第997号医薬局長通知をもって、製造業者、輸入販売業者及び外国製造承認取得者の国内管理人(以下「製造業者等」という。)において品質及び安全性確保対策を講ずるよう通知したところである。今般、国内でのBSE感染牛の発生が確定したこと等を踏まえ、ウシ等由来原料を使用する医薬品、医療用具等に対する一層の安全対策を強化するための予防的な措置として、これらの承認の取扱いについては次のとおりとするので、貴管下関係業者に対して指導方お願いする。なお、平成13年9月19日付け医薬発第997号医薬局長通知を廃止する。

1.局長通知の記の2に該当するウシ等由来原料を含む医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療用具の取扱い

 局長通知の記の2に該当する原料を使用した製品が、市場で使用されないことを確認するため、各製造業者等の責任において状況を把握し、万が一市場に存在する場合においては、別記様式1により、平成13年10月9日までに、ファックスにて当局まで報告されたいこと。それらの製品については、各製造業者等において回収を行い、薬事法(昭和35年法律第145号)第77条の4の3の規定に基づき当該回収措置について報告されたいこと。ただし、医療上の必要性に基づき薬事・食品衛生審議会での評価等により、医療機関等への情報提供を行うことを条件として例外的に使用を行うことが認められているものを除く。

2.原産国、使用部位等からみて使用することが認められないウシ等由来原料

 以下のいずれかに該当するウシ等由来原料を医薬品、医療用具等の製造に使用してはならないこと。また、当該原料を使用した医薬品、医療用具等を輸入してはならないこと。

(1) BSE の発生が認められた国又は発生のリスクの高い国として別表1 右欄に掲げる国並びに別表1及び別表2のいずれにも該当しない国(以下「リスク不明国」という。)を原産国(誕生、飼育及びと殺を行う地域。以下同じ。)とするウシ等由来原料。ただし、次に掲げるものを除く。

(1) 平成8年4月17日付け薬審第224号に基づき、羊毛及びラノリン等の羊毛由来物及び米国における規制に準拠し、別表1の高発生国以外の国を原産国とする乳由来物

(2) (1)以外で、BSE の発生が認められた国、発生のリスクの高い国又はリスク不明国を原産国(別表1の高発生国を除く。)とするウシ等由来原料をやむを得ず使用する場合には、次のすべての条件を満たすこと。

(ア)以下のとおり、原料のウシ等にBSEの疑いがないことを証明する当該国又は当該国を含む地域の政府等公的機関の発行する文書を入手できること。

1)当該原料又は原料となっているウシ等の動物について、サーベイランス等で報告されたBSE感染動物(サーベイランス体制が実施されるまでの間はBSEの疑いのあるもの)及びその属する動物群の動物が原料として使用されていないこと。

2)BSEに関する届出義務があり、感染動物が廃棄される規制となっている原産国であること。

3)原産国においてBSEの疑いのある動物を臨床的に又は研究室で診断することが義務づけられている原産国であること。

4)動物性飼料(反芻動物の肉骨粉等をいう。)の使用を禁止している原産国であること。

(イ)以下のとおり、(ア)の原産国においてBSE防疫体制が組まれていることを政府等公的機関による証明書又は製造業者により認証できること。

1)BSE高発生国のBSEのウシ等の動物の輸入を行っていないこと。

2)BSE感染動物の仔の輸入を行っていないこと。

3)BSE発生国からの動物性飼料の輸入を行っていないこと。

(ウ)動物性資料使用禁止後に誕生したウシ等に由来する原料であること又は動物性飼料を使用したことがないウシ等に由来する原料であることを、政府等公的機関の証明書又は企業において認証できること。

(エ)と畜場等でのサーベイランスの対象とならない原料については、(ア)から(ウ)までと同様の方法により、企業等において認証できること。

(2)本邦と同等の水準にあると認められる医薬品の製造若しくは輸入の制度又はこれに相当する制度を有している国(例えば、日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH )参加国(カナダ及びEFTA 加盟国を含む。)、オーストラリア及びニュージーランド)が使用を禁止しているウシ等由来原料と同一の原産国であるウシ等由来原料(ただし、上記(1)の(1)又は(2)の場合を除く。)

(3)原産国にかかわらず、以下の部位を使用したウシ等由来原料

 脳、脊髄、眼、腸、扁桃、リンパ節、脾臓、松果体、硬膜、胎盤、脳脊髄液、下垂体、胸腺又は副腎

3.承認等の取扱い

 ウシ等由来医薬品、医療用具等については、上記2に該当するウシ等由来原料を使用している医薬品、医療用具等の製造・輸入を行わないこととし、可及的速やかに適合する原料を使用したものの製造・輸入に切り替えること。切り替えを行ったこと又は行うことに対して、平成13年12月28日までに次のいずれかの一部変更承認申請等の措置を講ずること。

(1)上記2の(1)、(2)及び(3)のいずれにも該当しない原料への切り替えに必要な承認事項の一部変更承認申請を行うこと。上記2の(1)(2)の条件を満たすことを証明する場合は、別紙様式2に従って添付書類を整備し、一部変更承認申請に添付すること。

(2)(1)の措置を講ずることができない場合は、承認整理届けの提出等必要な手続きを行うこと。

4.ワクチン類の取扱い

 ワクチン類については、ワクチン類の製造工程に用いられるウシ等由来原料はリスクの低い部位であること、当該原料は、相当程度希釈されていることからも、現時点での知見に基づけば安全性において懸念はないと考えられているが、念のため、今後製造するものに関しウシ等由来原料を上記2に該当しないものに可及的すみやかに(遅くとも平成14年3月29日までに)切り替えるとともに、平成14年3月29日までに上記3の(1)又は(2)のいずれかの措置を講ずること。

5.その他

(1)上記3に規定する承認事項の一部変更承認申請については、優先的に審査を行うこととする。

(2)国内での狂牛病サーベイランス等により、BSE感染の疑いのあるウシ等が報告され、当該ウシ等と同じ農場で飼育されたウシ等及び当該ウシ等の飼育に用いられた飼料と同一の動物性飼料を使用していることが明らかとなったウシに由来する原料を医薬品、医療用具等の原料としている場合は、医薬局安全対策課に連絡すること。


別添

別表1 BSE発生国又は発生リスクの高い国

  国名
BSE発生国 英国*、ポルトガル*、スイス、フランス、チェコ、アイルランド、オマーン、オランダ、ベルギー、デンマーク、ルクセンブルグ、ドイツ、ギリシャ、イタリア、スペイン、リヒテンシュタイン、日本
BSE発生リスクの高い国 アンドラ、アルバニア、オーストリア、ボスニア・ヘルチェゴビナ、ブルガリア、ノルウェー、クロアチア、ユーゴスラビア、フィンランド、ハンガリー、マケドニア、モナコ、ポーランド、ルーマニア、スロバキア、スウェーデン、サンマリノ、キプロス、エストニア、リトアニア、スロベニヤ
(注1)米国連邦規則第9巻第一章第98条第18項(米国農務省告示)(9CFR Ch.I §94.18)をもとに、新たに米国で輸入制限国となった国、欧州委員会の地理的BSEリスク評価結果(GBR)クラスIII(高発生国以外の国及びリスクの高い国)となった国を追加。(下線部)
(注2)*はBSE高発生国


別表2 BSE発生リスクの低い国

  国名
BSEのリスクの
低い国
アルゼンチン、オーストラリア、ボツワナ、ブラジル、チリ、コスタリカ、エルサルバドル、ナミビア、ニカラグア、ニュージーランド、パナマ、パラグアイ、シンガポール、スワジランド、ウルグアイ、カナダ、コロンビア、インド、ケニア、モーリシャス、ナイジェリア、パキスタン、米国
(注3)欧州委員会の地理的BSEリスク評価結果(GBR)クラスI及びII


別紙様式1

厚生労働省医薬局 御中 FAX: 03−3508−4364

製品に関する調査票

◎ 平成12年12月12日付け医薬発第1226号通知に適合しないウシ等由来原料を使用したもので、市場に存在するもののリスト

様式1


別紙様式2

様式2


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