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医薬品情報提供のあり方に関する懇談会中間整理
「医療関係者・患者に対する医薬品情報提供のあり方に関する意見」


平成13年7月18日
医薬品情報提供のあり方に関する懇談会


 本懇談会は、医療情報に対する患者のニーズが高まる中、医薬品情報提供をより一層推進する観点から、医薬品情報提供のあり方について、具体的には別添のとおり検討項目を「医療関係者・患者に対する医薬品情報提供のあり方」、「国民に対する医薬品情報提供のあり方」、「その他」に大別した上で、本年2月以降検討を行ってきた。
 これまで、「医療関係者・患者に対する医薬品情報提供のあり方」として、1効率的・効果的な情報提供、2添付文書等の改善、3医療事故の防止、4後発品に係る情報の推進、の4項目にわたって個別的な検討を行ったが、これらについての主な意見は以下のとおりである。

≪基本的考え方≫

○ 患者が医薬品を適切に服用するためには、医薬品を処方する医師や歯科医師、調剤する薬剤師といった医療関係者を通じて、患者1人1人の病状や体質等を踏まえた、必要十分な情報が提供されることが重要である。
 そのためには、製薬企業、医薬品卸売業及び行政は、これらの医療関係者に対して、効能や副作用等の医薬品に関する情報を適切に提供するべきである。

1 効率的・効果的な情報提供

○ 医師や薬剤師等の医療関係者に対して提供される医薬品情報については、製薬企業からの各製品に係る添付文書、製品情報概要やインタビューフォーム等のほか、厚生労働省又は製薬企業からの安全性情報、副作用が疑われる症例報告に関する情報、新薬の承認に関する情報や製品の回収に関する情報等がある。
 これらの情報については、製薬企業のMR(Medical Representative)や 医薬品卸売業のMS(Medical Marketing Specialist)によって直接提供されるほか、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構により管理が行われている医薬品情報提供システムなどにおいても提供されている。こうした情報の絶対量は年々増加するとともに、ITの普及で情報へのアクセスも容易になってきているが、その一方で、実際必要とする当事者にとっては、情報が氾濫して使い勝手が悪い、あるいは、そもそも情報が届いていないなどの問題が生じている。
 これらの問題を解決するためには、情報を"階層化"することが必要である。まず、基本的な情報に関する文書があり、そして、それを補完するような詳細な情報は、例えば、ITなどで手軽に入手することができるといったように、情報に重み付けを行い階層的に整理し、ユーザーのニーズの多様性に応えられるよう、情報の提供対象者ごとに伝えるべき情報の範囲や情報伝達手段等を整理していくべきである。
 さらに、これらの情報は、必要とする当事者に届かなければ全く意味をなさないため、情報の種類別に、確実に当事者が触れられるような手だてや届け方について、ITの積極的な活用を含めて検討していくべきである。

○ 医薬品情報は、臨床の場において入院患者も含めた患者に適切に提供されるべきである。

○ 提供される情報の内容については、薬物療法の現状を踏まえ、医療関係者の薬剤情報提供を支援するために、薬物相互作用や医薬品の溶出性(溶け具合)等の情報がより一層提供されることなどが望まれる。
 なお、医薬品の溶出性に関する情報については、医薬品品質情報集(いわゆる日本版オレンジブック)があり、例えば患者の胃酸の状態等にも配慮した処方・調剤が行えるよう、この活用を推進していく必要がある。

○ 副作用情報については、現状では添付文書の全ての情報がそのまま患者に伝達されると、患者の服用に影響を与える場合があるため、副作用の情報提供の仕方や言葉の使い方について検討する必要がある。
 また、重篤な副作用を早期発見するため、早期における初期症状の情報の収集・分析や提供を含め、医薬品情報を患者・国民にどう提供していくべきかを検討することが必要である。

○ 情報提供が効率的・効果的に行われるためには、インターネットの活用を前提とした情報の標準化(名称、コード、分類、用語、形式の統一)や情報のネットワーク化を推進する必要がある。

2 添付文書等の改善

○ 添付文書については、大量の情報が記載されていて読みにくいといった指摘や、医療関係者に確実に届けられていないといった指摘がある。
 このため、ITや医薬分業の進展を踏まえ、現行の医薬品情報提供システムの活用など医師等に対しより迅速かつ確実に情報が提供される方策について検討する必要がある。また、医療関係者に提供される医薬品情報については、情報の階層化という観点から、短い時間で読みやすく理解しやすいようなものにするとともに、インターネットの活用等により必要な場合には詳細な情報についても入手できる仕組みを検討するなど、医療関係者と企業との役割の明確化を図りながら、基本的な情報である添付文書をはじめとした医薬品情報全体の提供のあり方について見直していくことが必要である。

○ 添付文書や製品情報概要等の内容については、小児等や薬物相互作用に関する事項等について市販後に得られた知見に基づき適宜改定を行うなどその内容の充実を図る必要がある。

○ 患者に医薬品を正しく理解され診療に協力してもらうためには、患者に対しても医薬品の説明書を渡すことが有効である。今後、医薬品に対する正しい知識の国民への普及啓発等に努めながら、患者への医薬品情報の提供を推進する観点から、患者向けの説明書の具体的な内容や方法について検討を行い、必要な措置を講じていくべきである。

○ 「お薬手帳」は、患者に投与されている他の薬が分かるとともに、患者とのコミュニケーションを図るためにも有効な方策の1つである。

3 医療事故の防止

○ 医薬品の表示、剤型・色、容器等については、医療事故防止の観点から、これまでも可能な改善措置をとってきたところであるが、今後とも患者側の立場に十分配慮して、一層の対応を進めていく必要がある。

○ 医薬品の誤使用による事故を防止するため、入院患者に対して間違った使い方をすればすぐ警告が出るなどの情報システムの活用も検討するべきである。

4 後発品に係る情報の推進

○ 安価で良質な後発医薬品については、その使用が促進されるよう、安全性に関する情報をはじめ価格や医薬品品質情報集(いわゆる日本版オレンジブック)による品質等の情報が、医療関係者等に適切に提供されるべきである。

○ 後発品企業においても、常に品質の確保につとめ、医療機関や薬局に対する安全性情報の提供、非汎用規格も含めた安定供給について一層の努力が求められる。

照会先 医政局経済課企画係
担当者 梶野
連絡先 03-5253-1111(内2527)


(別添)


≪検討項目≫


1.医療関係者・患者に対する医薬品情報提供のあり方

 (1) 効率的・効果的な情報提供

 (2) 添付文書等の改善

 (3) 医療事故の防止

 (4) 後発品に係る情報の推進

2.国民に対する医薬品情報提供のあり方

 (1) 薬についての教育の充実

 (2) 広告の規制

 (3) 情報の質の確保

 (4) 保険者の役割

3.その他

 (1) 国民の意識の変化

 (2) 情報の社会的効用

 (3) ITの活用による情報提供システムの整備

 (4) 情報の費用負担



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