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II 研究成果

1. エストラジオール−17βの健康リスク評価

研究「畜産食品中残留ホルモンのヒト健康に及ぼす影響に関する研究」


平成11年度研究報告
分担研究者:三森国敏(国立医薬品食品衛生研究所)

総括要約(Summary)

動物における発がんデータ

 エストラジオール−17β(E2)を長期間投与した場合の実験動物における発がん性に関しては、発がん性陽性の十分な証拠があるとみなされる。E2の腫瘍に対する修飾作用については、イニシエーターの有無に依存しているが、一般に、E2は子宮、乳腺腫瘍に対してはプロモーター作用を示し、肝腫瘍に対しては抑制作用を示すと結論される。E2がイニシエーション活性を有することを立証する発がん実験の証拠は今までのところない。

厚生科学研究報告書

1 動物における発がんデータ

1) エストラジオール-17βのみあるいは他の化学物質との併用による発がん
性:エストラジオール-17β(E2)およびそのエステルを以下の投与経路
で種々の動物に投与された報告が既になされている。

○経口投与:マウス
○ 皮下あるいは植込み投与:マウス、ラット、ハムスター、モルモット、サル、ブタ
○ 膣内投与:ウサギ
○ 脾臓内投与:マウス
○ 新生児期暴露:マウス

 経口投与では、マウス乳腺ウイスル(murine mammary tumor)の高度感染の有無にかかわらず、子宮(子宮内膜および頸部)の腺癌および乳腺腫瘍の発生率が増加している。
 皮下投与では、マウスでは乳腺、下垂体、子宮、子宮頸部、膣、リンパ球の腫瘍および精巣間細胞腫の発生率が増加している。ラットでは乳腺および下垂体腫瘍の発生率が増加している。エストラジオール・ジプロピオネイト(estradiol dipropionate)の場合にはラットに浸潤性の下垂体腫瘍が増加している。E2およびテストステロンの併用投与でラットに前立腺癌が増加し、一方、E2の埋植投与では膵臓外分泌の腫瘍が抑制されている。ハムスターでは、去勢および非去勢雄ならびに卵巣摘出雌にE2処置すると悪性腎腫瘍が高率に発生したが、非卵巣摘出雌にはこのような変化は認められていない。E2の去勢雄における腎発がんには、血清のE2の急激な上昇と強い相関が認められる。モルモットでは、子宮および腹腔内に瀰漫性線維性筋腫様病変が観察されている。ブタでは、卵巣摘出動物にエストラジオールを埋植投与すると、眼球のメラノーマの大きさが、未処置動物に比較して増加している。
 E2とレボノルゲストレル(levonorgestrel)の併用膣内投与では、ウサギの子宮に脱落膜反応および脱落膜肉腫が発生している。
E2の脾臓内投与では、1日齢マウスの精巣を脾臓に隣接移植することにより、移植片内に典型的なライディッヒ細胞腫が生じている。
 マウス新生児への皮下投与では、後に子宮頸部および膣に前腫瘍性および腫瘍性病変が発生し、乳腺腫瘍の発生率が増加している。マウスを用いた実験では、E2の新生児期暴露によるアデノーシスと扁平上皮癌の早期発生には直接的な関連がないことが明らかにされている。新生児期にジエチルスチルベストロール処置した卵巣摘出マウスでは加齢とともに膣上皮の層状化が持続し、出生後にE2を埋植投与することによりこの変化は有意に増加している。

2) 発がん物質との併用によるE2の発がん性:E2の発がん性について、N-methyl-N-nitrosourea(MNU)、N-ethyl-N-nitrosourea(ENU)、3'-methyl-4-dimethylaminoazobenzene(3'-Me-DAB)もしくはmethylchlanthrene(MCA)を用いたマウス二段階発がんモデル、およびMNU、2-acethylaminofluorene(AAF)、diethylnitrosamine(DEN)、7,12-dimethylbenz[a]anthracene(DMBA)、N-nitrosobutylurea(NBU)もしくはazaserineを用いたラット二段階発がんモデルによる検討がなされている。
 マウスでは、E2はMNUによる子宮内膜発がんに対して促進作用を示したとの報告がある。血清中の高いE2レベルと低プロジェステロンレベルの持続がマウスの子宮内膜腺癌に重要であることが示されている。逆に、E2は3'-Me-DABによる肝細胞腫瘍およびMCAによる子宮頸部癌の発育を抑制したと報告されている。
 ラットでは、高用量E2の単独投与もしくはE2とプロジェステロンの併用投与により、MNUによる乳腺癌の発育が抑制されたとの報告がある。
卵巣摘出ラットへのE2およびMNU併用投与では膣乳頭腫が誘発され、E2の膣におけるプロモーター作用が示唆されている。部分肝切除、AAFおよび四塩化炭素処置後にE2を投与したSolt-Farberモデルラットでは、E2はラット肝臓にイニシエーション作用を示さないことが報告されている。E2はDENによるラット肝発がんにおいてプロモーター作用を示さなかったと報告されている。E2で前処置することにより、発がん物質の染色体への影響は亢進され、肝細胞のDEN感受性が増加している
(Pretreatment with E2 increased hepatocyte susceptibility towards DEN action probably by enhancing the accessibility of the genome to the carcinogen.)。卵巣摘出もしくは非摘出雌性ラットをDMBA処置しても、胸部腫瘍の発育とE2用量との間に明らかな相関はないとの報告がある。ラットを用いた実験では、E2によりDMBA誘発胸部腫瘍の発生時期が延期したと報告されている。また、ある実験では、活性MARKカスケードがDMBA誘発ラット乳腺癌のE2依存性発育において重要なメカニズムであることが示唆されている。E2は、NBUでイニシエーションを行った去勢ラットの誘発性肝腫瘍に影響を及ぼさないが、下垂体腫瘍を誘発する可能性があることが示されている。E2処置は、アザセリンでイニシエーションしたラットの膵臓前腫瘍病変の発育を強く抑制するとの報告がなされている。

3) E2についての動物に対する発がん性評価:エストラジオール−17βを長期間投与した場合の実験動物における発がん性に関しては、発がん性陽性の十分な証拠があるとみなされる。E2の腫瘍に対する修飾作用については、イニシエーターの有無に依存しているが、一般に、E2は子宮、乳腺腫瘍に対してはプロモーター作用を示し、肝腫瘍に対しては抑制作用を示すと結論される。E2がイニシエーション活性を有することを立証する発がん実験の証拠は今までのところない。

問題点・今後検討すべき点:E2のイニシエーション作用の有無を明確にするための実験動物を用いた発がん実験の実施が必要である。

2 研究結果

4) JECFAの最近の評価:
 1986年の第32回JECFAにおいて天然ホルモンの17β-estradiol(E2)は「ADIおよびMRL特定せず」と評価されたが、それから既に12年の歳月が流れており、新たな科学的情報が蓄積されてきたことから、1999年の第52回JECFAは、このホルモンについて再評価を行い以下のとおりに結論付けられた。

○ E2は、実験動物の実験成績およびヒトの疫学的データから十分な発がん性の根拠が示されており、特に、E2の代謝物であるカテコールには遺伝子障害性があるとの報告から、ヒトへの遺伝毒性を介した発がんリスクの懸念が欧州共同体(EC)から出されている。

○ しかし、1987年以後の文献およびヒトの疫学的データを収集し、検討した結果、E2は、遺伝毒性の可能性があるが、ヒトおよび実験動物での内分泌関連臓器での発がんは、ホルモン・リセプターを介した非遺伝毒性的な発がんメカニズムによるものであるとの結論が出された。

○ また、牛肉中のE2レベルは、外因性E2が投与されたとしても、適切な休薬期間を設ければ、内因性E2の生理的変動の範囲内にあることから、E2投与による牛肉への有害影響は考えにくいとの結論が出された。

○ さらに、ヒトでの臨床用量で内分泌学的に何ら異常をおこさない用量(5μg/kg)が明確にされていることから、ヒトの臨床用量に比べれば畜産食品中に含まれるこれらのホルモンの量は著しく低く、これらの食品の摂取により消費者に有害な作用を誘発する危険性は殆どないが、E2についてADIを設定し、許容範囲を明確にすることが決定された。

○ 例えば、ヒトでの閉経後のestradiol-17βの臨床用量でヒトに内分泌学的に何ら異常をおこさない量(5μg/kg)から安全係数100(個人差10と年齢による感受性の差10)を除してE2のADI(50ng/kg)を設定している。

○ 一方、MRLについては、牛へのこのホルモン投与により、各種組織への残留濃度は生理的変動値を大きく上回ることはなく、検出限界に近い場合もあったと報告されている。

○これらの残留中央値から理論的最大一日摂取量(TMDI)を算出すると、それはADIの多くても2%に到達せず、安全域が非常に広いことから、標的動物に動物薬適性使用規範に準じてこれらが投与されている限り、MRLを特定する必要はないと結論された。

○ただし、E2の総摂取量については、TMDIなどから計算された「過剰摂取量」を超えないよう考慮すべきであることが勧告された。

問題点:年齢差による感受性の差として安全係数10を使用しているが、性成熟に達した女性に比較し、未成熟な女児ないし閉経を迎えた女性のエストロジェン量が1/10の範囲に入るものとは考えられないことから、安全係数が10で適切か否かについては今後の検討が必要である。


2 エストラジオール−17βの生殖発生毒性

厚生科学研究「畜産食品中残留ホルモンのヒト健康に及ぼす影響に関する研究」

平成11年度研究報告
分担研究者:寺本昭二((財)残留農薬研究所)

1 生殖毒性、催奇形性

 エストラジオール−17β(E2)の生殖毒性は、大規模且つ綿密に設計されたラットの一世代生殖試験の中で調べられている。E2(純度98−100%)を0、0.05、2.5、10および50 ppmの濃度で飼料中に混合しP世代の雌雄のラットに7週齢から開始して10週間投与した後に交配し、その後もF1児を離乳するまでの間妊娠および哺育期間を通してE2を投与している。
 F1世代のラットには、親動物と同じ濃度のE2を離乳後11週間投与している。10 ppm(0.527-0.691 mg/kg/日に相当)以上の用量で、P世代の雌雄の動物に強い一般毒性的影響(摂餌量と食餌効率の低下に伴う体重の増加抑制、貧血など)とともに明らかな生殖毒性が認められている。雌では、投与開始後血中のE2濃度が上昇するために性ホルモンと下垂体ホルモンの濃度が変化し(プロラクチン上昇、プロゲステロンとLHは低下)、卵巣の萎縮や大型卵胞減少、黄体減少、および持続発情による発情周期長の延長が引き起こされる。一方、雄でもホルモン濃度の変化(プロラクチン上昇、テストステロン、LHおよびFSHは低下)とそれに伴う精巣と副生殖腺の萎縮、精巣の精子細胞数減少、精巣上体精子数の減少(無精子症または乏精子症)と運動性の低下が起きる。従って、これらの動物の交尾能は著しく阻害され、ほとんど交尾できないか交尾したとしても全く妊娠には至らない。精巣の精子細胞数減少は、精祖細胞の障害に基づくものとは異なりE2の投与を中止すればほぼ回復する。2.5ppm(0.139-0.173 mg/kg/日に相当)の用量でもP世代の動物に一般毒性的影響が認められ、軽度なホルモン濃度の変化と、発情周期長の延長や着床数の減少が起きるが、交尾率や妊娠率は対照群とほぼ同じである。しかし、得られたF1児の哺育期間中の体重増加は抑制され、離乳後のF1動物にも親動物と同様の一般毒性的影響やホルモン濃度の変化がみられるほか、雄の性成熟遅延と精巣上体精子数の減少、雌では性成熟の促進と発情周期長の延長が認められる。
 最低投与量の0.05 ppm(0.003 mg/kg/日に相当)では、P世代雌のプロゲステロン濃度と雄のテストステロン濃度に対照群と比較して低値がみられるものの、下垂体ホルモンには変化がみられないこと、およびF1世代では測定したすべてのホルモン濃度が対照群と同レベルであることから、ほぼこの用量が血中ホルモン濃度の変化に関する無影響量と考えられる。この用量では、P世代の雌雄の動物に一般毒性的影響は全く認められず、生殖能力にも異常はみられない。また、胎児期から乳児期、幼児期を経て性成熟に至るまで一貫してE2に暴露されたF1世代では、雄の性成熟、精巣や副生殖腺の重量および病理組織学的検査結果、ならびに精子検査の結果に異常は認められない。F1世代の雌についても、雄と同様に検査したほとんどの指標で問題の無い結果が得られている。これらの雌の性成熟完了日齢に平均値で1.6日の短縮がみられるが、完了日齢の幅は対照群の26-37日に対して26-35日とほぼ同じである。また、発情周期に関しても、68日間の観察期間中に発情休止期の延べ日数の減少と発情期の延べ日数の増加がみられるが、周期性は全く正常であり平均周期長も5.0±0.75日で対照群の5.2±0.50日とほぼ同じである。従って、これらの変化についてはE2投与との関係は明らかでない。
 E2の催奇形性に関しては、ラットの一世代生殖試験の0.05 ppm投与群と2.5 ppm投与群でF1児が得られているが、2.5 ppm投与群で出生時低体重が認められるものの子宮内胚死亡はみられず、奇形の発現もみられない。尿道下裂や停留精巣などの雄の生殖器系の異常は認められないほか、雄の雌性化の検出に用いられる肛門生殖突起間距離も対照群とほぼ同じである。別の小規模な実験では、オスモティックポンプを用いてラットにE2を15または30ng/時の用量で妊娠10-13日に連続皮下投与し、子宮内胚死亡の増加を認めているが、生存胎児に外表奇形はみられない。一方、妊娠13-16日に40 ng/時(母動物の血中エストラジオール濃度は約2倍に上昇する)を同じように皮下投与すると、胎児と胎盤の発育が阻害されるが、子宮内胚死亡はみられず胎児の外表にも先天奇形は認められない。
 以上のことから、E2はラットにおいて性ホルモンと下垂体ホルモンの血中濃度を明らかに変化させる用量で一般毒性的影響とともに強い生殖毒性を引き起こすが、血中ホルモン濃度をほとんど変化させない用量では一般毒性的影響はみられず、明らかな生殖毒性や重度の奇形の発現もみられないと結論される。

2 今後の問題点

 E2の生殖毒性試験と催奇形性試験の報告はまだ少ないので、今後もデータを蓄積していかなければならない。
 生殖毒性試験では一般に妊性に関する指標より性成熟や発情周期に関する指標の方が鋭敏とされているので、0.05 ppm群のF1雌ラットにみられる性成熟と発情周期の微細な変化についてE2投与に関連するものかどうか、また仮に関連するとすれば毒性学的にどのような意味をもつか明らかにしておかなければならない。
 高用量のE2投与後の性ホルモンと下垂体ホルモン濃度の変化がラットで明らかにされているが、低用量での変化についてさらにデータを蓄積するとともに検出感度を高める工夫も必要である。また、ホルモン濃度の変化と発現する毒性的影響の関係はP世代、F1世代ともに性成熟後のラットで明らかにされているが、可能ならば乳児期や幼児期、性成熟期といった発生段階ごとの調査も必要である。
 骨組織に対する影響は調べられていない。
 胎児の奇形学的検査は外表検査が主体で、内臓奇形と骨格奇形についても詳細な検査が必要である。


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3 エストラジオール-17βの遺伝毒性

厚生科学研究「畜産食品中残留ホルモンのヒト健康に及ぼす影響に関する研究」

平成11年度研究報告

分担研究者:林 真(国立医薬品食品衛生研究所・変異遺伝部)


 研究課題:エストラジオール−17βの遺伝毒性

 エストラジオール−17βの遺伝毒性に関しては多くの試験がなされており,陰性,陽性双方の結果が報告されている.また,エストラジオールの安全性に関してはIARC(1999)の優れたレビューがある.IARCの評価を中心に主な試験結果を表に示す.
 細菌を用いた復帰変異試験の結果は代謝活性化系の存否に係わらず陰性である.
 ほ乳類培養細胞を用いた不定期DNA合成試験等によるDNA損傷性に関しては代謝活性化系非存在下で弱陽性との報告もあるが,陰性の報告が複数あり,総合的に見て強いDNA損傷性はないものと考えられる.
 ほ乳類培養細胞を用いた遺伝子突然変異試験に関しても多くの報告があり,ほとんどのものは陰性であるが,チャイニーズハムスター由来細胞株V79を用いたhprtを標的とした試験(Rajah and Pento, 1995),およびヒトの乳がん細胞MCF-7を用いたMTX抵抗性を指標とした試験系(Thibodeau et al., 1998)において,それぞれ10-10,10-8Mという非常に低濃度で陽性との報告があり,注目される.ただし,V79細胞を用いた試験の結果は用量相関性が逆転している,観察された実際の変異コロニー数が少ない(詳細なデータは示されていない)など,結果の判定に疑問が残る.また,MTX抵抗性に関しても,1用量のみの試験であり,用量反応関係が示されていない,陽性反応も非常に弱く統計学的にも有意となっていない,可逆的な反応である,レセプターを介した反応ではない,等の理由から問題となるような反応では無いと考えられる.
 培養細胞を用いたSCE試験は陰性である.染色体の構造異常誘発性に関して陽性との報告があるが,非常に高用量であり,用量依存性も認められない.しかし,染色体の数的異常誘発性,特に異数性の誘発が認められる.これに伴い,in vitroでの小核誘発性も報告されており,数的異常に起因すると考えられている動原体を有する小核の誘発性が認められる.
 マウスのBALB/c 3T3,C3H 10T1/2,シリアンハムスター胎児細胞等を用いた細胞形質転換試験の結果は陽性であった.ヒト末梢リンパ球培養細胞を用いたSCE試験,染色体異常試験では陰性であったが,異数性の誘発,微小管の形成阻害,およびそれに起因すると考えられる小核の誘発性が観察されている.
 In vivoの試験系において,シリアンハムスター腎臓細胞においてDNA切断が認められている.しかし,陰性との報告もあり,種差,標的臓器における感受性の差が認められる.
 細胞遺伝学的指標に関しては陽性との報告もあるが再現されず,十分にバリデートされた系では陰性の結果となっている.
 陽性の結果が得られているのは,マウスのuterine cervixとuterine horn上皮細胞,cervico-vaginal上皮細胞,シリアンハムスターのrenal cortical細胞,renal tubular細胞のみであった.
 また,エストロジェンで誘発したシリアンハムスター腎腫瘍細胞で,ミニサテライトの不安定性が観察されたとの報告もあるが,自然発生の腫瘍細胞と比較していない(正常組織と比較)ので,エストロジェンに起因するものかどうか結論付けられない.
 以上を要約すれば,遺伝子突然変異誘発性は無いか,あっても非常に弱い;染色体の数的異常誘発性および細胞形質転換作用が認められる;生体内での細胞遺伝学的損傷性に関しては結論付けられない.
 これらの結果を総合的に判断すれば,エストラジオール−17βの遺伝毒性を疑わせるような結果も得られているが,遺伝毒性を評価するための評価系として充分バリデートされた試験においては陰性であり,明確な結論付けは困難であるが,もし遺伝毒性があったとしても強いものではない.
 今後,さらにエストラジオール−17βの遺伝毒性について精査する場合には,非常に低い濃度でのin vitro遺伝子突然変異誘発性の再現性,in vivoにおける染色体の数的異常誘発性の確認が先ず行われるべきであろう.


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(39) Yamafuji, K, S Iiyama and K Shinohara (1971) Mode of action of steroid hormones on deoxyribonucleic acid, Enzymology, 40, 259-264.


「3 エストラジオール−17βの遺伝毒性」の表


4 エストラジオール-17βのDNA障害

厚生科学研究
「畜産食品中残留ホルモンのヒト健康に及ぼす影響に関する研究]

平成11年度研究報告

分担研究者:若林敬二(国立がんセンター研究所 がん予防研究部)

1  エストラジオール-17βによるDNA付加体形成について

 Cavalieri et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 94, 10937-10942 (1999) Estradiol (E2)はP-450により代謝されて2-OHE2及び4-OHE2になる。これが更に代謝活性化等をうけて、E2-2,3-quinone, E2-3,4-quinoneに変換される。これらカテコールキノンがDNAと反応して、付加体を形成するが、2,3-quinoneより生成される付加体(dAやdGと結合する)は安定であり、3,4-quinoneより生成する付加体(4-OHE2-1(a,b)-N7Gua)は不安定でdepurinateする。このために生じたapurinic siteがmutationを引き起こし、細胞のがん性変化を誘発すると考えられる。
 本論文では、この不安定なN7Gua adductをcatechole estrogen-3,4-quinone又は4-OHE2をP-450やパーオキシデース等により活性化させてDNAと反応させ、in vitroで4-OHE2-1(a,b)-N7Guaが生成されることを確認した。又、SDラットの乳腺にE2-3,4-quinone及び4-OHE2を投与して、生体内においてもN7Gua adductが生成していることを明らかにした。

・Cao et al., Chem. Res. Toxicol., 11, 917-924 (1998)


参考文献

(1) Cavalieri, E.L., Stack, D.E., Devanesan, P.D., Todorovic, R.,Dwivedy, I., Higginbothan, S., Johansson, S.L., Patil, K.D., Gross, M.L., Gooden, J.K., Ramanathan, R., Cerny, R.L. and Rogan, E.G., Molecular origin of cancer: Catechol estrogen-3, 4-quinones as endogenous tumor initiators. Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 94, 10937-10942(1997).

(2) Roy, D. and Liehr, J. G., Estrogen, DNA damage and mutations. Mutat.Res., 424, 107-115 (1999).

(3) Yu, F.L., Zheng, W.Y., Wang, M.Y., Bender, W., Cheerva, A. and Miller, J., The effect of 17β-estradiol-DNA adducts on the replication of exon # 5 of the human suppressor gene p53. FEBS Letters, 454, 7-10 (1999).

(4) Jankowiak, R., Zamzow, D., Stack, D.E., Todorovic, R., Cavalieri, E.L. and Small, G.J., Spectral characterization of fluorescently labeled catechol estrogen 3,4-quinone-derived N7 guanine adducts and their identification in rat mammary gland tissue. Chem.Res.Toxicol. 11, 1339-1345 (1998).

(5) Cao, K., Devanesan, P.D., Ramanathan, R., Gross, M.L., Rogan, E.G. and Cavalieri, E.L., Covalent binding of catechol estrogens to glutathione catalyzed by horseradish peroxidase, lactoperoxidase, or rat liver microsomes. Chem. Res. Toxicol. 11, 917-924 (1998).


2 エストラジオール-17βによる8-OH-dG生成について

・ Han et al., Cancer Res., 54, 5515-5517 (1994)

 エストラジオールを雄シリアンハムスターに投与すると、腎臓に腫瘍が誘発される。そこで、50 mg/kgのエストラジオールをハムスターに投与すると、4時間後に腎臓の8-OH-dG生成量はコントロールの2倍になった。肝臓においては、100 mg/kgのエストラジオールを投与した場合に1-2時間後にコントロールの4倍になることがわかった。更に、25 mgのエストラジオールを含むミニポンプを皮下に挿入して、3日間化合物をハムスターに投与した際には、腎臓中の8-OH-dG量がコントロールに比較して50%上昇することがわかった。


参考文献

(6) Mobley, J.A., Bhat, A.S. and Brueggemeier R.W., Measurement of oxidative DNA damage by catechol estrogens and analogues in vitro. Chem.Res.Toxicol. 12, 270-277 (1999).

(7) Han, X. and Liehr, J.G., Microsome-mediated 8-hydroxylation of guanine bases of DNA by steroid estrogens: correlation of DNA damage by free radicals with metabolic activation to quinones. Carcinogenasis, 16, 2571-2574 (1995).

(8) Han, X. and Liehr, J.G., 8-Hydroxylation of guanine bases in kidney and liver DNA of hamsters treated with estradiol: Role of free radicals in estrogen-induced carcinogenesis. Cancer Res., 54, 5515-5517 (1994).


3  補遺1.MeIQx投与量とDNA付加体生成、8-OHG生成、GST-P-positive foci及び肝発がん性との相関性

 MeIQxの発がん性が認められた濃度(400 ppm)とその濃度の1/10 (40 ppm)〜1/1,000 (0.4 ppm)量のMeIQxを餌に混ぜてF344雄ラットに1週間投与した。ラットの肝臓よりDNAを分離し、生成したDNA付加体を32P-ポストラベル法で調べた。0.4, 4, 40及び400 ppm MeIQx投与によるDNA付加体生成量は、各々、107 nucleotide当たり0.04, 0.28, 3.36及び39.0であった。MeIQx-DNA付加体は発がん濃度の1/1,000量の投与によっても認められ、DNA付加体とMeIQx投与量との間には直線関係があることがわかった(1)。さらに、Turteltaub等はaccelerator mass spectrometry を用い0.4 ppmよりもさらに4000倍の低濃度のMeIQx投与によっても、マウス及びラットの肝臓にDNA付加体が生成することを報告している(2,3)。このことは、MeIQxによるDNA付加体生成には閾値がなく、たとえ低濃度の曝露でもヒト体内のDNAに付加体が生成することを示唆するものである。事実、ヒトの組織のDNA中にMeIQx-DNA付加体が検出されている(4,5)。
 一方、F344雄ラットに0.05, 0.2, 0.8, 3.2, 12.5, 50及び200 ppm MeIQxを含む飼料を1週間投与した後、肝臓中の8-OHGレベルを調べた。その結果、8-OHGは用量依存的に増加することがわかった。そのレベルはコントロールが105 dG当たり0.24であるのに対し、0.05, 0.2, 0.8, 3.2, 12.5, 50, 200 ppm投与群では、各々、105 dG当たり0.25, 0.31, 0.56, 1.01, 2.43, 3.49, 10.84であった(6)。
 次に、0.001〜100 ppm MeIQxを含む飼料を21日齢雄F344に16週間投与し、肝臓のGST-P-positive fociの生成を調べた。その結果、10及び100 ppm MeIQxの投与ではGST-P-positive fociの生成増加が認められたのに対し、0.001〜1 ppmの濃度ではその上昇は認められなかった(7)。
 さらに、100, 200及び400 ppm MeIQxをF344雄ラットに56週間投与し、その肝発がん性を検討した。その結果、HCCの発生率は100, 200及び400 ppmで各々0, 45及び94 %であった。尚、100 ppm投与群のadenomaの発生率は17%であった(8)。
 以上のごとく、種々の濃度のMeIQxを投与すると、肝臓におけるDNA付加体及び8-OHG生成は用量依存的に増加した。一方、MeIQx投与量とGST-P-positive foci発生及び肝発がん性との間には直線的な相関性は無いことがわかった。


参考文献

(1) Yamashita K., Adachi M., Kato S., Nakagama H., Ochiai M., Wakabayashi K., Sato S., Nagao M. and Sμgimura T. (1990) DNA adducts formed by 2-amino-3,8-dimethylimidazo[4,5-f]quinoxaline in rat liver: dose-response on chronic administration. Jpn. J. Cancer Res., 81, 470-476.

(2) Turteltaub KW, Felton JS, Gledhill BL, Vogel JS, Southon JR, Caffee MW, Finkel RC, Nelson DE, Proctor ID, Davis JC. (1990) Accelerator mass spectrometry in biomedical dosimetry: relationship between low-level exposure and covalent binding of heterocyclic amine carcinogens to DNA. Proc Natl Acad Sci U S A. 87, 5288-5292.

(3) Frantz CE, Bangerter C, Fultz E, Mayer KM, Vogel JS, Turteltaub KW. (1995) Dose-response studies of MeIQx in rat liver and liver DNA at low doses. Carcinogenesis, 16, 367-373.

(4) Totsuka Y, Fukutome K, Takahashi M, Takahashi S, Tada A, Sμgimura T, Wakabayashi K (1996) Presence of N2-(deoxyguanosin-8-yl)-2-amino-3,8-dimethylimidazo[4,5-f]-quinoxaline (dG-C8-MeIQx) in human tissues. Carcinogenesis., 5, 1029-1034.

(5) Mauthe RJ, Dingley KH, Leveson SH, Freeman SP, Turesky RJ, Garner RC, Turteltaub KW. (1999) Comparison of DNA-adduct and tissue-available dose levels of MeIQx in human and rodent colon following administration of a very low dose. Int J Cancer. 80, 539-545.

(6) Kato T, Hasegawa R, Nakae D, Hirose M, Yaono M, Cui L, Kobayashi Y, Konishi Y, Ito N, Shirai T. (1996) Dose-dependent induction of 8-hydroxyguanine and preneoplastic foci in rat liver by a food-derived carcinogen, 2-amino-3,8-dimethylimidazo-
[4,5-f]quinoxaline, at low dose levels. Jpn J Cancer Res., 87, 127-133.

(7) Fukushima S, (1999) Low-dose carcinogenicity of a heterocyclic amine, 2-amino-3,8-dimethylimidazo[4,5-f]quinoxaline: relevance to risk assessment., Cancer Lett., 143, 157-159.

(8) Kushida H, Wakabayashi K, Sato H, Katami M, Kurosaka R, Nagao M. (1994 ) Dose-response study of MeIQx carcinogenicity in F344 male rats. Cancer Lett., 83, 31-35.


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