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遺伝子組換え食品及びアレルギー物質を含む食品に関する
表示の義務化について


 遺伝子組換え食品及びアレルギー物質を含む食品に関する表示については、関係者からの意見聴取等を経て、「遺伝子組換え食品及びアレルギー物質を含む食品に関する表示について(平成12年7月13日)」(食品衛生調査会表示特別部会報告)がとりまとめられ、パブリックコメントの募集、WTOへの通報等を行い、平成12年12月26日に開催された食品衛生調査会常任委員会の審議を経て、同調査会から厚生大臣あて意見具申がなされたところです。
 その概要は次のとおりとなっております。意見具申全体をご覧になりたい場合には、「意見具申」のクリックボタンを選択して下さい。
 今後の動向については、随時当該エリアに情報提供いたします。

(1)遺伝子組換え食品の表示

(1) 食品の表示については、

・公衆衛生の観点からは食品衛生法(厚生労働省)
・消費者の選択の観点からはJAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)(農林水産省)
により役割分担

(2) 遺伝子組換え食品の表示については、消費者の選択に資する観点から、農林水産省がJAS法の品質表示基準として、平成13年4月から表示を義務化することとされている。

(3) 一方、食品衛生法に基づく表示制度においても、安全性審査の法的義務化と一体のものとして、JAS法と同様の表示を義務付けることとしている。

ア 分別生産流通管理が行われた遺伝子組換え食品の場合
 →「遺伝子組換え食品」である旨(義務表示)
イ 遺伝子組換え食品と非遺伝子組換え食品が分別されていない場合
 →「遺伝子組換え不分別」である旨(義務表示)

※ 分別生産流通管理が行われた非遺伝子組換え食品の場合
 →「非遺伝子組換え食品」である旨(任意表示)

(2)アレルギー物質を含む食品の表示

(1) 近年、アレルギーをはじめとした過敏症(アレルギー疾患)を惹起することが知られている物質(アレルギー物質)を含む食品に起因する健康危害が散見されている。

(2) 平成11年6月には、FAO/WHO合同食品規格委員会(コーデックス委員会)総会において、アレルギー物質として知られている8種の原材料を含む食品にあっては、それを含む旨を表示することで合意され、今後加盟国において各国の制度に適した具体的な表示方法を検討することが求められることになった。

(3) 我が国では、「遺伝子組換え食品及びアレルギー物質を含む食品に関する表示について(平成12年7月13日)」(食品衛生調査会表示特別部会報告)において、「食品中のアレルギー物質については、健康危害の発生防止の観点から、これらを有する食品に対し、表示を義務付ける必要がある。」とされ、アレルギー物質を含む食品にあっては、それを含む旨の表示を義務付けることとなった。

(4) 具体的には、

ア 表示の対象範囲は「容器包装された加工食品」とする。
イ 表示方法は「特定原材料名表示(以下参照)」方式とするが、省令で定めるもの(義務)と通知で定めるもの(奨励)に分けることとする。
ウ 微量であっても含有する場合には表示を必要とする。
エ 施行は平成13年4月1日とする。ただし、経過措置として、平成14年3月31日までに製造され、加工され、もしくは輸入される食品等に係る表示については、なお従前の例によることができるものとする。

※特定原材料(下線は省令で定めるものであり、それ以外は通知で定める)

あわび、イカ、いくら、エビ、オレンジ、カニ、キウイフルーツ、牛肉、、くるみ、小麦、さけ、さば、そば、大豆、、鶏肉、落花生、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン


照会先:食品保健部企画課調査表示係 足谷(内線2452)


遺伝子組換え食品及びアレルギー物質を含む食品に関する表示について報告書

平成12年7月13日
食品衛生調査会表示特別部会

I 遺伝子組換え食品の表示の義務化について

1 表示義務化の必要性

○ 遺伝子組換え食品については、従来、「安全性評価指針」(生活衛生局長通知)に基づき、厚生大臣が個別に安全性審査を行ってきたが、法律に基づかない任意の仕組みとなっていた。
 しかしながら、遺伝子組換え食品は国際的にも広がってきており、今後さらに新しい食品の開発が進むことも予想され、未審査のものは安全とはいえないことから、安全性未審査のものが国内で流通しないよう、食品衛生法の規格基準に規定を設けることにより、平成13年4月から安全性審査を法的に義務化することとしたところ。

○ 安全性審査の義務化を着実に実施するため、食品等輸入届けにおいて安全性未審査のものが輸入されないよう適切な届出をさせるほか、輸入又は国内流通する遺伝子組換え食品のモニタリング検査(抜き取り検査)を実施することとしているが、表示制度も、食品の内容を明らかにするものであり、安全性審査の義務化と一体のものとして必要となるものである。

2 表示の考え方

○ 義務的な安全性審査制度においては、食品は、(1)審査済みの遺伝子組換え食品、(2)未審査の遺伝子組換え食品、(3)非遺伝子組換え食品の三つに分類できる。
 食品監視を徹底する観点からは、上記三種類すべての表示を義務付け、市場に流通している食品がその表示通りとなっているか否かをチェックするという方法も考えられるが、未審査の組換え食品を輸入、販売等してはならないとする義務的な審査制度の下では、未審査のものの表示を義務化する必要性はなく、また、「審査済み」である旨の表示も当然のことであり義務化する必要性はない。

○ そこで、食品衛生法においては、次のような考え方から、遺伝子組換え食品であるか、非組換え食品であるかの区分について、表示を行う必要がある。

・遺伝子組換え食品である旨表示を義務付けると、これに着目した食品監視の対象となるほか、未審査のものを何の表示もせずに販売等した場合には、義務的な審査制度の下で規格基準違反となるだけでなく表示基準違反ともなる。
・食品衛生法では、食品添加物の表示を義務付けているが、これも安全性審査を経たものであり、その上で、食品の内容を明らかに示すための表示を義務付けて消費者に食品の内容を理解できるようにしているところであり、安全性審査を義務付ける遺伝子組換え食品においても同様とするもの。
※ 分別生産流通管理が行われていない場合でも、遺伝子組換え食品が含まれていたとしても審査済みのものである必要があるが、遺伝子組換え食品が含まれている場合といない場合があるので、遺伝子組換え食品と非遺伝子組換え食品が分別されていない旨表示させる必要がある。
※ 非遺伝子組換え食品について、全て表示を義務付けることは必要がなく、事業者の事務負担も大きいので、義務表示とはしないが、その旨の表示があっても特段支障はないので、任意に表示することは禁止しない。

3 表示の具体的な在り方

(1) 表示内容

 上記2の考え方からすると、食品衛生法上必要な表示は次のとおり。

(1) 分別生産流通管理が行われた遺伝子組換え食品の場合
 →「遺伝子組換え食品」である旨(義務表示)
(2) 遺伝子組換え食品及び非遺伝子組換え食品が分別されていない場合
 →「遺伝子組換え不分別」である旨(義務表示)

(参考) 分別生産流通管理が行われた非遺伝子組換え食品の場合
 →「非遺伝子組換え食品」である旨(任意表示)

(2) 義務表示の対象

 表示の義務化には相当の準備が必要であり、関係業界が既にJAS法に基づく遺伝子組換え食品の表示の準備を進めているという実態を踏まえ、関係業界が対応可能なものからスタートするという観点から、食品衛生法の表示制度としては、平成13年4月から、当面、次のものを義務表示の対象とする。

○ 遺伝子組換え農産物が存在する種類の農産物である食品及びこれを原材料とする加工食品

※ ただし、次の加工食品については、それぞれ次のような問題があることから、当面義務表示とはしないものの任意に表示することを禁止しないこととし、今後、検証技術の向上、国際的議論の推移等をみるとともに、関係者の意見を聴いた上で、具体的内容、実施時期を検討し、状況が整えば表示義務化を実施していくこととする。

・組換えDNA及びたんぱく質が除去、分解されているもの
 ex.醤油、大豆油、コーン油、コーンフレーク、マッシュポテト等
 (組換えか否かを検査する技術的な検証が困難であることや、組換えDNA及びたんぱく質が除去、分解されている場合まで表示させる必要性があるかという考え方もあることから、当面JAS法と同様の整理で義務表示としないこととする。)

・主な原材料となっていないもの
 (含有量がごく少量な場合まで表示させることは現実的でなく、何らかの線引きが必要であるが、当面JAS法と同様の整理で、全原材料中重量が上位3品目で、かつ、食品中に占める重量が5%以上のものに限り義務表示とする。)

※ 表示例

ア 分別された遺伝子組換え食品の場合(義務表示)
(1) 品名 大豆加工食品
(2) 原材料名 大豆(遺伝子組換え)
(3) 内容量 50グラム
(4) 品質保持期限 2000.6.1
(5) 保存方法 10度以下で保存
(6) 製造者 ABC株式会社 東京都千代田区××町

イ 遺伝子組換え食品及び非遺伝子組換え食品が分別されていない場合(義務表示)
(1) 品名 大豆加工食品
(2) 原材料名 大豆(遺伝子組換え不分別)
(3) 内容量 50グラム
(4) 品質保持期限 2000.6.1
(5) 保存方法 10度以下で保存
(6) 製造者 ABC株式会社 東京都千代田区××町

(参考) 分別された非遺伝子組換え食品の場合(任意表示)
(1) 品名 大豆加工食品
(2) 原材料名 大豆(遺伝子組換えでない)
(3) 内容量 50グラム
(4) 品質保持期限 2000.6.1
(5) 保存方法 10度以下で保存
(6) 製造者 ABC株式会社 東京都千代田区××町


(参考) 食品衛生法の表示の基本的考え方

 食品衛生法第11条においては、公衆衛生の見地から表示につき必要な基準を定めることができることとされているが、食品に関する適正な表示は、消費者や関係事業者に対し的確な情報を与え、合理的な認識や選択に資するものであり、さらには、行政庁の迅速かつ効果的な取締りのためにも不可欠のものであり、公衆衛生の見地からの表示の機能は、主に次のように整理できる。

○ 消費者への情報伝達機能

ア 表示事項に留意しなければ健康危害が生じるおそれがある場合の表示(ex.品質保持期限、保存方法等)
イ 公衆衛生の見地から、消費者が食品の内容を理解し、選択するための表示(ex.添加物)

○ 流通事業者等への情報伝達機能

ア 販売し、又は営業上使用する際に留意すべき情報
 (ex.品質保持期限、保存方法等)
イ 製造者が付けた表示により、販売者が容易に消費者に情報提供できるようにする機能

○ 基準遵守促進機能

ア 表示させることによる事業者に対する心理的効果
 (ex使用した食品添加物をすべて表示させることにより、規格基準外の添加物を使用することに心理的な障壁となる。)
イ 行政当局等が規格基準遵守の確認の際に利用する情報
 (ex.表示されている食品添加物について、その使用量を試験して、規格基準への適合を確認する。)
※ 食品衛生法の表示とJAS法の表示との関係については、JAS法が消費者の選択に資するための表示であるのに対し、食品衛生法は上記のように公衆衛生の見地からの表示(ex.表示事項に留意しなければ健康危害が生じるおそれがある場合の表示、公衆衛生の見地から消費者が食品の内容を理解し選択するための表示等)であり、法目的が異なる。


II.アレルギー物質を含む食品に関する表示について

1.表示義務化の必要性

○ 近年、アレルギーをはじめとした過敏症(以下「アレルギー疾患」という。)を惹起することが知られている物質(以下「アレルギー物質」という。)を含む食品に起因する健康危害が散見されている。こうした危害を未然に防止するため、表示を通じた消費者への情報提供の重要性が高まっているが、現行の食品に関する表示制度は、含有量などによってその原材料の表示義務が課されない場合などがあり、食品中のアレルギー物質の有無を知るには不十分であると考えられる。

○ このようなことから、平成11年3月5日の食品衛生調査会表示特別部会「食品の表示のあり方に関する検討報告書(平成10年度)」において、「食品中のアレルギー物質については、健康危害の発生防止の観点から、これらを有する食品に対し、表示を義務づける必要がある。」とされたところである。

○ さらに平成11年6月には、FAO/WHO合同食品規格委員会(コーデックス委員会)総会において、アレルギー物質として知られている8種の原材料を含む食品にあっては、それを含む旨を表示することで合意され、今後、加盟国において各国の制度に適した具体的な表示方法を検討することが求められることとなった。

○ したがって、これらの国際的な動向も踏まえ、消費者の健康危害の発生を防止する観点から、食品衛生法(昭和22年法律第233号)においてもアレルギー物質を含む食品にあっては、それを含む旨の表示を義務付けることが必要であると考える。

2.表示の対象範囲と表示方法

(1)対象範囲

○ 未加工食品にあっては、過去からの食経験によりアレルギー物質を含む食品であるか否か消費者自身が判断することが可能であるが、加工食品にあっては、外見上からは食品中のアレルギー物質の有無を判断しにくいことから、表示の対象範囲は「容器包装された加工食品」とすることが望ましい。

(2)表示方法

○ 原理的には、多くの食品の原材料はアレルギー疾患の原因となりうるが、厚生科学研究費補助金による研究により、重篤なアレルギー症状を惹起した症例を検討した結果、重篤なアレルギー症状を惹起した原材料はいくつかの特定の原材料に限られていた。
 このことから、表示の方法は、過去の健康障害などの程度、頻度を考慮して重篤なアレルギー症状を起因する実績のあった食品について、その原材料を表示させる「特定原材料名表示」方式とすることが適当である。

○ また、特定原材料に指定された原材料を用いて食品を製造若しくは加工した場合には、それら製造された食品の原材料に必ず当該原材料名を表示しなければならない。

○ なお、アレルギー疾患を有する者は、一般に自らどのような物質で症状を誘発するか認識しており、原材料表示をもって食品中のアレルギー物質の有無を判断できることが多いことから、「アレルギーを誘発する恐れのある材料が含まれています。」などのアレルギーに関する警告表示まで表示する必然性は少ないと考えられる。

(3)含有量との関係

○ 食物アレルギーについては、人によっては舐める程度でアナフィラキシー症状が惹起されるなど、極微量のアレルギー物質によって症状が生じることがあることに鑑み、アレルギー物質を含む食品にあっては、その含有量にかかわらず当該原材料を含む旨を表示する必要がある。

○ ただし、高価な原材料が特定原材料である場合、含有量等の表示がないと、ごく微量が含有されているだけでも、あたかも多く含まれ高価な食品であるかのような誤認を消費者に与えるおそれもあることから、表示に当たっては、例えば5%未満、エキス含有など、それらの含有量、形態に着目した表示も併せて記載されることが望ましい。

3.特定原材料

○ 我が国における過去の健康危害の実情を調査し、過去に一定の頻度で血圧低下、呼吸困難又は意識障害等の重篤な健康危害が見られた症例から、その際に食した食品の原材料の中で明らかに特定された原材料を、特定原材料とする。

○ 特定原材料は以下のとおりとする。

あわび、イカ、いくら、エビ、オレンジ、カニ、キウイフルーツ、牛肉、牛乳、くるみ、小麦、さけ、さば、そば、大豆、卵、チーズ、鶏肉、ピーナッツ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、リンゴ

○ なお、特定原材料の指定に当たっては、コーデックス委員会においてアレルギー物質として以下の8種の原材料(及びそれを含む食品)を表示対象品目として表示することが昨年の7月合意されたところであり、その整合性にも配慮することが望ましい。.

1)グルテンを含む穀類及びその製品
2)甲殻類及びその製品
3)卵及び卵製品
4)魚及び魚製品
5)ピーナッツ、大豆及びその製品、
6)乳・乳製品(ラクトースを含むもの)
7)木の実及びその製品、
8)亜硫酸塩を10mg/kg以上含む食品

○ しかし、コーデックスの表示対象品目は、分類の概念というべきものであり、食品の原材料の個々別に表示を行ったとしても、矛盾しないと考えられる。
 なお、この度の調査により特定原材料に指定する食品原材料は、結果的にコーデックスの表示対象品目のうち、1)〜7)に該当した原材料になっている。
 8)については、調査設計が2年以上も前ということもあり、必ずしも十分な調査ができなかったため、今後は、十分な調査を行うことが必要である。

○ 今後は、国内の健康危害に係る実態調査及び文献調査結果並びにコーデックス委員会での表示対象品目の改正に応じ、適宜特定原材料の見直しを行うことが望まれる。


参考

*表示例*

表示例図


2000年10月19日

食品衛生調査会
委員長 寺田 雅昭 殿

食品衛生調査会常任委員
小沢 理恵子(日本生活協同組合連合会)

アレルギー物質を含む食品の表示についての提案

 日本生協連は、この問題に関して全国生協組合員の切実な要望であると同時に、生協事業にとっても大きな影響のある問題であるとして実務面の検討を行ってまいりました。その内部検討を踏まえて、商品実務面で実現性がありかつ患者にとっても一歩前進である制度を実現する観点で以下の内容を提案するものです。
 いずれにしても、この問題は食物アレルギーの実態が少しずつ解明され、その影響が国民の公衆衛生上見過ごせないことが分かってきた段階です。それだけに食品に携わるものとして将来にわたって取り組むべき問題として捕らえねばならないと考えています。私どもはその取組みの第一歩として今回の表示を捕らえており、患者にとって表示だけで不十分の部分はそれを補う仕組みを関係者で構築することが必要になると考えています。ぜひ今回の表示制度検討が、表示以外の仕組みも含めた患者対応の全体的な進展を促すものになることを期待するものです。
 なお以下の提案は、国内での生産を前提として組み立てたものです。海外生産品の輸入・海外生産加工原材料使用については、より困難な問題がでる可能性が高いと考え、別途の検討が必要であることを申し添えます。

1.表示制度の基本的考え方

 制度として確立すべき項目は以下の点と考えます。(詳細は2項で述べます。)

(1)食品添加物の表示のように原材料メーカーにも表示の義務を課すことが必要です。
(2)具体的な表示制度の範囲を定めるために、24原材料を実態に応じて指導の強弱をつけること、表示を義務づける原材料名を詳細に指定することが必要です。
(3)一部の追跡が困難な原材料について、例外的な省略規定、可能性表示の規定(原材料限定)が必要です。
(4)その他、検証のための規定、表示スペースの制限を考慮した省略規定などきめ細かい規定が必要です。

2.提案する規定の内容と理由

(1)食品衛生法による指定24原材料表示義務の導入、表示義務の原材料製品への適応の拡大

 食品衛生調査会表示特別部会の報告書では、最終製品への表示の義務化が盛り込まれています。
 しかし最終製品への表示という目的を果たすためには、原材料段階での使用原料の変動や表示義務の無い副剤の問題を把握することなしに実現は困難です。この点から、原材料業者までさかのぼって表示義務を課すことが、趣旨を実現するために必須の事項と考えています。

(2)具体的な表示原材料名の指定による表示の範囲を定めること

 一口に24原材料といってもその原材料名だけでは、受け取る側により様々な解釈ができてしまいます。つまり食物アレルギー患者にとっては、重篤な症状が出やすい原材料とそうでないもの、原材料の加工度で抗原性が異なり症状が出るものと出ないものなどが存在しています。事業者にとっては、いかに指定原材料の由来のものでも、その処理方法から明らかにアレルゲンにはならないのではないかと考えるものもあります。こうした解釈の違いによる表示制度のあいまいさを残さないために、24原材料を実態に応じて強弱をつけ重点となる原材料を明らかにすること、24原材料の加工原料については、制度として表示を義務付ける具体的な原材料名を指定することが必要と考えます。
 具体的には別表に例示するA、B、C区分のものが義務表示として指定すべき原材料にあたると考えます。D区分についてはその加工度合いから抗原性が高くないのではと考えられるものです。D区分については、基本的には義務対象外としながら任意規定((6)に記載)の推奨を提案いたします。(A〜D区分の詳細は、各業界の聞取りを踏まえた決定が必要と考えます。)

(3)具体的な表示方法

 基本的に原材料表示欄の(2)で指定した原材料名にカッコを付けて、由来の24原材料を記載する方法を提案いたします。ただし原材料名に24原材料が表現されている場合(例:大豆油など)は、カッコ以下を省略できることが妥当と考えます。

(記載する事例):
 肉エキス(豚、牛)
 ウスターソース(りんご)
 カスタードクリーム(卵、牛乳)

(記載を省略できる事例):
 小麦でん粉
 大豆油
(4)一部の追跡困難な原材料について、例外的な省略規定、可能性表示の規定が必要
(1)一部の限定した原材料への「可能性表示」規定
 24原材料由来の二次(三次)原料の中には、使用する原材料がその時々で変動するものがあります。こうしたものの表示は、変動の度に表示を変更するのは無理があるため「可能性表示」に頼らざるをえません。
 しかし「可能性表示」を無制限に拡大すると、PL面からの企業防衛、原材料調査の負担回避を理由として、製造者は十分な調査を行うこと無く安易に「可能性表示」を実施することにもなりかねません。こうした安易な可能性表示は、ある患者にとって従来症状のでなかった商品でも「可能性表示」により食べることができないものになってしまうなど、選択の幅を狭めることになる恐れがあります。
 こうした弊害を避けるため、「可能性表示」を実施できる原材料とその条件を限定する必要があります。具体的には、可能性表示はその性格上一括表示枠外とし、以下に示すような内容に限定すべきと考えます。
○対象原材料:別表B,C、D区分で原材料の変更がありえるものに限る。
(事例:エキス(魚介、肉、野菜)、動植物油脂、動植物たん白、でん粉、ソース、ゼラチン、コラーゲン、たん白加水分解物)
○表示事例:一括表示枠外に「魚介エキスはエビ、カニを含む可能性があります。」等
(2)例外規定
 上記の(1)(2)を基本としながらも、添加物製剤や調味料製剤などの微量原料のキャリーオーバー、製剤商品の副剤、工程による移染といった極微量の原材料については調査が困難なことが予想されます。こうした原材料は表示義務対象とせずに、調査が可能なものについては任意規定として推奨する必要があります。

(5)検証のための規定、表示スペースの制限を考慮した省略規定などきめ細かい規定が必要

(1)検証
 すべての食品(原材料)業者は、商品への表示または納品書等の付属文書により上記の指定24原材料の内容を伝えなければならないといった確実に検証が可能な記述が必要です。
(2)表示スペースを考慮した省略規定
 同一24原材料で複数の原材料を重複して使用する場合は、以下のように加工度の少ない原材料を表示すればその他の原材料の由来表示は省略することができる規定が必要です。
 つまりA区分の原材料を表示した場合は、以下B〜D区分の原材料を使用しても表示を省略できることができる。同様にB区分の原材料について表示をした場合はC、D区分は省略できるなど、A→Dの順でアルファベットの若い区分の原材料を表示した場合はそれ以下の区分の原材料を使用しても表示を省略できる規定が必要です。こうした規定ができると、患者には影響が無いうえに、表示スペースが拡大することを最低限に抑えることができると考えます。
 また原材料として24原材料の使用が広く知られているものは、その原材料名を指定して省略できる規定が必要です。
(事例)ホワイトソース

原材料: 小麦粉、バター、でん粉、ショートニング、ラード、脱脂粉乳、食塩、クリーム、白ワイン、たん白加水分解物、牛乳、香辛料、酵母エキス、カゼインNa
 
小麦: 小麦粉(A区分)が表示されているので、でん粉、たん白加水分解物に小麦が使用されていても表示は省略可能とする。
牛乳: 牛乳(A区分)が表示されているので、バター、脱脂粉乳、クリーム、カゼインNaには牛乳表示は省略可能とする。

(事例)マヨネーズ→「マヨネーズ(卵)」とせずに「マヨネーズ」のみで可能

  豆腐→「豆腐(大豆)」とせずに「豆腐」のみで可能

(6)任意表示規定(推奨規定)

 義務を課さないD区分や、例外的に省略できる添加物製剤や調味料製剤などの微量原料のキャリーオーバー、製剤商品の副剤、工程による移染などについて、特別の調査や契約により表示が可能な場合は、できる限り表示を行うことが望ましい。
 また上記の表示が基本的に不要な原材料については、可能性の情報も含めできる限り、電話での問合せ対応やインターネット等による情報提供などを行うことが望ましい。

(7)猶予期間について

 以上のように、この規定は多くの業界に詳細な調査を要求するものです。またほとんど全ての加工商品に表示変更を強いるものであることからも包材の切り替えの猶予期間も含めて相当期間の猶予が必要です。以上の点から最低2年間の猶予期間を設けることを提案いたします。

3.その他

(1)食品添加物の表記名に「大豆」「卵黄」等を使用できるようにしていただきたい。

事例:
 植物レシチン→「大豆レシチン」
 レシチン →「卵黄レシチン」

といったような表記が可能になれば、アレルギーの面からは十分な情報となります。

(2)制度の開始時に患者向け(医師経由)に、表示の内容を説明する普及物が必要と考えます。
 (私どもへの問合せでは、「乳酸カルシウム」は乳製品か?といった原材料の基礎知識に属するものも相当数あります。こうしたものは表示ではカバーできません。)
(3) 制度の定着・今後の見直し、他の手段による情報提供などのために、この機会をとらえて関係者の懇談の場を設定することを提案いたします。

以上


(参考資料)

アレルゲンの特定および表示の実務上の困難点(COOP商品のアレルゲン調査業務の経験から)

1.製造者段階で、アレルゲンに関する知識が必ずしも十分に普及していない。(使用する原材料がアレルゲンに関連するかどうかの判断ができるかどうか。)

2.複雑な加工原料には、様々な形でアレルゲン関連食品が使用されている場合があり、一定の知識の上にたってもなお、把握が難しいケースが存在する。(下記「実例」参照)

3.複数の基原農畜産物を臨機に使い分けて製造される製品が存在する。(下記「事例」参照)

4.原料メーカーがアレルゲンに関わる原料を変更した場合、川下ユーザーはそれに応じて直ちに表示を変更すべき事例が発生しうるが、包材の調達、廃棄などに時間的コスト的な無理が大きい。

※ 加工原材料におけるアレルゲン特定の困難例

[実例] (原料メーカーの提出する原料規格書記載例から)

(例1)調味料製剤
グルタミン酸Na20.0%、リボヌクレオチドNa3.0%、グリシン3.0%、DL―アラニン2.5%、コハク酸Na(無水)1.0%、食品素材(動植物たん白加水分解物等)70.5%

・この例に限らず、表示義務のない添加物以外の食品原料については、製剤中の大半を占めていても、ユーザーに対して詳細が明らかにされていないのが普通。

・ たん白加水分解物の原料は、原料事情などにより、品質差の発生しないない範囲で随時変更されていく実態があるようである。(問合わせを行なったところ、その時点で使用されているものだけが回答され、後日改めて問合わせすると異なる原料が使用されていた例あり。)

(例2)野菜エキス
たまねぎエキス95%、食品素材5%

・ この例では、食品素材は「大豆粉」そのもの。野菜エキスというイメージからデキストリン等の一般的な賦形剤を想像するところで、なかなか気づきにくい例の1つ。

(例3)加工油脂
食用植物油脂59.8%、食塩0.2%、水40.0%、乳化剤適量、香料適量、βカロチン適量

・加工油脂類の原料も、原料相場、製造時の気温などで臨機に変更されることがある。

(例4)ヨーグルト香料
ヨーグルト香料(合成)0.6%、ミルク香料(合成)3.3%、生クリーム53.4%、リパーゼ0.6%、水42.1%

・ 香料は、天然系と化学系の香料原体が混用されることがあり、しかも香料原体の組成そのものがノウハウに属することがあり、確認の難しいものの1つ。

・香料は、例3のように加工用原料のさらに原料として使用されることもあり、このあたりまでの遡及は相当困難を伴う。


24品目基原原材料の表示区分例示(試案→詳細は要検討)

品目 A区分 B区分 C区分 D区分 対象外
あわび あわび、あわび加工品 あわびエキス      
いか いか、いか加工品 いかエキス      
いくら いくら、いくら加工品        
えび えび、えび加工品(あみも含む) えびエキス、あみ類エキス   えび香料、えび色素  
オレンジ オレンジ、オレンジジャム、オレンジ果汁等(うんしゅうみかんも含む?)   ウスターソース類 オレンジ香料、オレンジ色素  
かに かに、かに加工品 かにエキス   かに香料、かに色素、かに殻、キトサン  
キウイ キウイ、キウイジャム、キウイ果汁等     キウイ香料  
牛肉 牛肉、牛肉加工品 牛肉エキス、牛骨エキス 牛ゼラチン、コラーゲン、ヘット、牛血漿たん白 たん白加水分解物  
牛乳 牛乳、乳製品(乳等省令に定めるもの、およびそれを他の原料と混合したもの)   乳たん白、カゼイン(Na) たん白加水分解物、乳清ミネラル 乳清焼成Ca、乳糖
くるみ くるみ、くるみ加工品   くるみ油    
小麦 小麦、小麦加工品(小麦粉、パスタ、麺、パンなど)、小麦胚芽 しょうゆ、しょうゆ加工品(つゆ、たれ)、麦みそ(大麦は対象外?) 小麦たん白、小麦でん粉、小麦胚芽油、マーガリン類、ショートニング、加工油脂、 たん白加水分解物、発酵調味料(小麦醸造物)、穀物酢(小麦) しょうちゅう(蒸留酒)、小麦若葉
さけ さけ、さけ加工品 さけエキス   プロタミン(保存料)  
さば さば、さば加工品 さばエキス      
そば そば、そば加工品        
大豆 大豆、大豆加工品 しょうゆ、みそ、トウバンジャン等 大豆たん白、大豆油、マーガリン類、ショートニング、加工油脂、マヨネーズ、ドレッシング類 たん白加水分解物、アミノ酸液、大豆繊維、大豆レシチン  
卵、卵製品(うずら卵など他の鳥卵は除く?) マヨネーズ 卵たん白 卵殻未焼成Ca、 卵殻焼成Ca
チーズ 牛乳の項に含む        
鶏肉 鶏肉、鶏肉加工品(他の鳥肉は除く?) 鶏肉エキス、鶏骨エキス 鶏脂 たん白加水分解物  
ピーナッツ ピーナッツ、ピーナッツ加工品   ピーナッツオイル    
豚肉 豚肉、豚肉加工品 豚肉エキス、豚骨エキス 豚ゼラチン、コラーゲン、ラード たん白加水分解物  
まつたけ まつたけ、まつたけ加工品 まつたけエキス   まつたけ香料  
もも もも、ももジャム、もも果汁等   ウスターソース類 もも香料  
やまいも やまいも、やまいも粉        
りんご りんご、りんごジャム、りんご果汁等   ウスターソース類 りんご香料、りんごポリフェノール、りんごパルプ、りんご酢  


アレルギー物質を含む食品に関する表示について報告書

平成12年11月30日

食物アレルギーの実態及び誘発物質の解明に関する研究班
主任研究者 海老澤 元宏


1. はじめに

 近年、アレルギーをはじめとした過敏症を惹起することが知られている物質(以下「アレルギー物質」という。)を含む食品に起因する健康危害を未然に防止するため、表示による情報提供の要望が高まってきている。これらの問題を含め、食物アレルギーの実態及び誘発物質の解明に関する研究を厚生省の免疫・アレルギー研究事業において検討してきた。
 昨年度までの研究成果をもとに、食品衛生調査会表示特別部会は、平成12年7月13日に「遺伝子組換え食品及びアレルギー物質を含む食品に関する表示について」の報告書を公表した。その中で、消費者の健康危害の発生を防止する観点から、食品衛生法においてもアレルギー物質を含む食品にあっては、それを含む旨の表示を義務付ける必要があるとの考えにより、表示義務化の必要性を提言している。
 そこで、実際に表示を義務化することにより生じる諸問題について、今年度から発足した「食物アレルギーの実態及び誘発物質の解明に関する研究班」(以下「研究班」という。)の中の「アレルギー物質を含む食品の表示に関する検討グループ」にて検討を行ったので、その内容について報告する。

2. 表示規定について

 報告書では、表示の方法を過去の健康危害などの程度、頻度を考慮して重篤なアレルギー症状を起因する実績のあった食品について、その原材料を表示させる「特定原材料名表示」方式とし、実状調査をもとに24品目の特定原材料を示している。
 しかし、24品目中でも実際のアレルギー発症数、重篤度等に差異があるため、法令で厳しく表示を義務付けるものと、通知で表示を奨励するものとに規定を分けることが現実的であると考え、以下のように分類することが適切であるとの結論に達した。

・厳しく法令で規定する特定原材料

 卵、乳又は乳製品、小麦については、症例数が多いこと、また、そば、ピーナッツについては症状が重篤であり、生命に関わることがあるため特に留意が必要であると考え、これら5品目を法令として定めるべきであると考える。
 なお、チーズに関しては牛乳とともに乳又は乳製品とするなどして1品目とすることが適切である。

・ 表示を奨励する特定原材料

 あわび、イカ、いくら、エビ、オレンジ、カニ、キウイフルーツ、牛肉、クルミ、さけ、さば、大豆、鶏肉、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、リンゴの18品目については、アレルギー症状を引き起こすものの、症例が少ないか、先の5品目より少なく、また現段階では科学的知見が少ない品目もあることを考慮に入れ、厚生省から通知等により、関係者へ幅広く表示を奨励していくことが望ましいと考える。なお、これらは時代の変化とともに改訂されるものであり、研究班でもさらに実態調査・科学的研究を行い、新たな知見や報告による検討を行っていくものである。
 なお、ゼラチンに関しては、牛肉・豚肉由来であることが多く、これらは特定原材料であるため、既に表示することが必要であるが、パブリックコメントによる単独表示(「ゼラチン」としての表示)の要望も多いため、1品目として項目を立てることが望ましい。

3.アルコール類の取扱いについて

 アルコール類については、摂取時の反応がアレルギーによる反応かアルコールによる作用かの判断が難しく、現在の知見では検証が難しい。よって、今回は特定原材料表示を求めぬが、今後、新たな報告や事例を調査し検討していくこととする。また、牛乳の乳漿から製造される工業用アルコールについても、アレルギーを起こすという知見は得られていないので、アルコールと同様に表示は求めぬが、今後さらに検討していく必要がある。

4.蒸留等の精製過程を経る食品について

 一般に加工食品は、加熱・濃縮・ろ過・蒸留等、様々な製造・精製過程を経て最終製品となる。製造・精製過程においてアレルギー物質が変性することにより、アレルゲン性が減少、若しくは消滅する可能性が考えられる。しかし、全てのアレルギー物質を特定できているわけではなく、その物質のどの部分にアレルゲン性があるかの知見も少ないことにより、どの製造・精製過程を経ればアレルギーを引き起こす危険性がなくなるとは言い切れない。よって、今回は特定原材料表示を求めぬが、個々の食品についてさらに調査を行い、アレルゲン性の有無を科学的に判断する必要がある。
 ただし、過去の症例をみて、アレルギーを起こすことが明らかな加工食品については、表示により判別できるようにするべきである。

<個別例>

(1) 「乳清(ホエイ:チーズの製造に際して得られる液体)」について
・乳清には蛋白が入っているので、アレルギーを起こすことが知られていることより、乳成分を含む旨の表示が必要である。
(1) 「大豆油」について
・大豆油については、使用した食品には可能な限り大豆油の表示をするべきであるが、大豆油でアレルギーを起こすとの明らかな知見を調査した上で、さらなる検討も必要である。
(1) 「乳糖」について
・乳糖については、本来精製が完全であり、蛋白質の残存がなければ発症しないと考えられ、乳糖と表示されるのであれば乳成分を含む旨の表示は必要ないと考えられるが、今後の調査で蛋白の残存の知見や症例が判明したとき再検討を行う。

5.食品添加物について

 特定原材料由来の食品添加物であり、過去の症例により、アレルギー反応が起こることが明らかな添加物については、特定原材料が判別できるような表示を記する必要がある。また、特定原材料由来の食品添加物であっても、その成分を精製することによるアレルゲン性の変化が明らかとなってないものに関しては、今後科学的に検証する必要がある。しかし、原則としては特定原材料を用いて製造した添加物については、現時点で抗原性試験等によりアレルゲン性のないことが明らかである場合以外は、その特定原材料由来である旨が判別できるような表示がなされることが望ましいと考える。
 アレルギー反応が起こることが明らかであり、特定原材料由来である旨の表示が必要な添加物の例として、リゾチーム、カゼインナトリウム、レシチン類がある。
 卵殻カルシウム(焼成、未焼成)については、詳細を調査した例がないこと、また、大豆油から抽出したトコフェロール等、特定成分だけを抽出している場合のアレルゲン性の変化については明らかでないため、今回は表示は求めぬが、今後さらなる検討を要する。

6.香料について

 香料については、単一物質ではなくほとんどのものが数十品目を微量に調合することにより得られる混合物であり、配合割合が他に提示されることがなく、使用している香料に特定原材料を含むか否かを確認することは現状では困難である。
 よって、表示の必要性については今後の検討課題であり、現時点では基本的には「香料」と記載するのみで、特定原材料を記載する必要はない。但し、香気成分以外に法令や通知で定められる24品目を原材料としてつくられた副剤を使用している際には特定原材料を可能な限り表示することが望ましい。

7.特定原材料の含有量が微量な場合の表示について

 食物アレルギーについては、人によっては極微量のアレルギー物質であってもアナフィラキシー症状を起こすこともあるので、その含有量に関わらず当該原材料を含む旨を表示する必要がある。
 よって、微量でも特定原材料が含まれる場合は表示する必要があり、現在表示が免除されている食品添加物についても、表示をする必要がある。
 しかし、24品目の中にも重篤度等の差異があるため、法令で定める5品目については、最終製品にまで表示を行うこととし、ゼラチンを含めた通知の19品目については可能な限り表示するように努めることが望ましい。

8.特定原材料の個々の範囲について

 特定原材料となっている24品目の中には、対象となる範囲の判断が難しいものがある。なかでも卵については、鶏卵のみを示すのか、その他の鳥類の卵も含めるのかの判断が難しい。しかし、卵については交差反応が認められていることにより、鶏卵のみでなく、あひるやうずらの卵等、一般的に使用される卵についても表示の対象とするべきである。その他、えび、さけ等については、交差反応を調べた報告がないため、今後検討していく必要がある。
 現在ある科学的知見は、RASTにしろ、狭い項目しか調べていないので、特定原材料となっている品目については、それぞれの種や属等を限定した範囲でしかアレルゲン性の裏付けが得られない。よって、特定原材料については、今後さらなる研究により、アレルゲン性の交差反応の範囲等を調べていく必要がある。

9.読み替え表示について

 限られた表示スペースに特定原材料表示を行っていくことには限界がある。よって、その表記から使用されている特定原材料が連想(読み替え)できるような一般的(常識的)な表記なら認めてもよいのではないかと考えられる。しかしながら、漢字表記等、広く一般消費者が理解できないような表示方法となっては無意味であるので、一般消費者を対象に調査が必要である。


食物アレルギーの実態及び誘発物質の解明に関する研究班
「アレルギー物質を含む食品の表示に関する検討グループ」

海老澤元宏 国立相模原病院臨床研究センター
薬物・食物アレルギー研究室長
近藤 直実 岐阜大学医学部小児科教授
池澤 善郎 横浜市立大学医学部皮膚科教授
飯倉 洋治 昭和大学医学部小児科教授
小倉 英郎 国立療養所東高知病院院長
柴田留美子 国立療養所南福岡病院小児科医長
赤澤 晃 国立小児病院アレルギー科医長
眞弓 光文 福井医大小児科教授

(順不同)


アレルギー物質を含む食品の表示についての考え方

平成12年12月26日

1.対象範囲

 アレルギーをはじめとした過敏症(以下「アレルギー疾患」という。)を惹起することが知られている物質(以下「アレルギー物質」という。)については、飲食に起因する健康被害の発生防止の観点から、これらを有する食品に対し、表示を義務づける必要がある。このため、食品衛生法においては、JAS法では規定されていない流通過程の食品及び食品原材料にも表示が義務づけられているところであり、アレルギー表示についてもこの原則に準ずるべきである。よって、アレルギー物質を含む食品の表示の対象範囲は、食品衛生法第11条〔表示の基準〕の規定に基づく食品衛生法施行規則別表第3に定める食品又は添加物であって販売の用に供するものであり、容器包装された加工食品とする。

食品衛生法第11条(表示の基準)による表示
 ⇒ 公衆衛生の見地から表示につき必要な基準を定めることができる。

JAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)による表示
 ⇒ 一般消費者の選択に資することを目的とする。

2.表示規定について

 部会報告書では、表示の方法を、過去の健康危害などの程度及び頻度を考慮して、重篤なアレルギー疾患を惹起する実績のあった食品について、当該食品を原材料として表示させる「特定原材料表示」方式とし、実態調査をもとに24品目の特定原材料を示している。
 しかし、これら24品目の中でも実際のアレルギー発症数、重篤度等に差異があるため、法令で厳しく表示を義務付けるものと、通知で表示を奨励するものとに分けることが現実的であるとの指摘を「食物アレルギーの実態及び誘発物質の解明に関する研究班」から受けたところである。これに対し、次回見直しまでの間、以下のように対応をとることとした。

(1) 表示制度導入につき、始めは24品目の中でも特に重篤度・症例数の多い5品目の表示について省令で取り決め、適宜特定原材料の見直しを行うこととする。

(2) 24品目の中で、アレルギー物質を含むことが知られていて、アレルギー疾患を引き起こすものの、症例数が少ないか、あるいは、多くても重篤な例が少ないものであり、現段階では科学的知見が少ない19品目に関しては、通知により表示を行うことを奨励すること。


<省令/通知による規定>

規定 特定原材料名 理由
省令 卵、乳、小麦 ・ 症例数が多いもの。
・ なお、牛乳およびチーズは、「乳」を原料とする食品(乳及び乳製品等)を一括りとした分類に含まれるものとする。
そば、落花生 ・ 症状が重篤であり生命に関わるため、特に留意が必要なもの。
通知 あわび、いか、いくら、えび、オレンジ、かに、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、さけ、さば、大豆、鶏肉、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご ・ 症例数が少なく、法令で定めるには今後の調査を必要とするもの。
ゼラチン 牛肉・豚肉由来であることが多く、これらは特定原材料であるため、既に牛肉、豚肉としての表示が必要であるが、パブリックコメントによる「ゼラチン」としての単独の表示を行うことへの要望が多く、専門家からの指摘も多いため、独立の項目を立てることとする。

※なお、特定原材料を示す名称の記載方法等については、さらに他法令との整合性を考慮していく必要がある。

3.含有量が微量な場合の表示について

 食物アレルギーは、人によっては舐める程度でアナフィラキシー症状が惹起されるなど、極微量のアレルギー物質によって発症することがある。よってアレルギー物質を含む食品にあっては、その含有量にかかわらず当該原材料を含む旨を表示する必要がある。
 但し、実際の表示に関しては、JAS法と異なる点も含め、以下の点に留意して表示すること。

(1)微量表示

・ 微量でも特定原材料が含まれる場合は表示すること。

・ キャリーオーバー及び加工助剤について

(1) 省令により表示を義務づけるとされた5品目については、キャリーオーバー及び加工助剤についても最終製品まで表示する必要がある。
(2) 他の19品目については、可能な限り表示するように奨励すること。
加工助剤 : 食品の加工の際に添加される物であつて、当該食品の完成前に除去され るもの、当該食品の原材料に起因してその食品中に通常含まれる成分と同じ成分に変えられ、かつ、その成分の量を明らかに増加させるものではないもの又は当該食品中に含まれる量が少なく、かつ、その成分による影響を当該食品に及ぼさないものをいう。
キャリーオーバー: 食品の原材料の製造又は加工の過程において使用され、かつ、当該食品の製造又は加工の過程において使用されない物であつて、当該食品中には当該物が効果を発揮することができる量より少ない量しか含まれていないものをいう。

(2)可能性表示の禁止

・ 「可能性表示」(May contain:入っているかもしれません)は認めないこと。

 「可能性表示」を認めると、PL法対策としての企業防衛、あるいは製造者による原材料調査の負担回避のねらいから、製造者によっては十分な調査を行わずに安易に「可能性表示」を実施することにもなりかねない。こうした安易な可能性表示を認めると、患者にとって症状の出ない商品についても「可能性表示」により特定原材料を含む旨の表示が行われるため、かえって選択の幅を狭める恐れがある。

(3)特定原材料複合化の禁止

・ 原則として省令や通知で定める特定原材料名(別紙:「特定原材料」の表記方法読み替えリスト)に則り、記載すること。


<大項目分類名使用の禁止例>

正しい表示 禁止される表示
「穀類(小麦、大豆)」又は
「小麦、大豆」
穀類
「牛肉、豚肉、鶏肉」 「肉類」「動物性○○」
「りんご、キウイフルーツ、もも」 果物類、果汁

* 但し、製造工程上の理由などから次の食品に限って下記のように表示することができる。

例外規定表示
たん白加水分解物(魚介類)

(4)高級食材の誇大表示の禁止

 特定原材料のうち、高価なもの(あわび、いくら、まつたけ等)が含まれる加工食品については、ごく微量しか含有されていないにもかかわらず、あたかも多く含まれるかのような表示が行われると消費者に誤認を生じさせるおそれがあることから、表示に当たっては、例えば「エキス含有」など、それらの含有量、形態に着目した表示も併せて記載されることが望ましい。


<表示例>

特定原材料名 表示例
あわび 「あわび粉末」使用
まつたけ 「まつたけエキス」入り

 消費者への正しい情報提供の場として、それが主要原材料であるかのような誤解を与えないように表示することが望ましい。

(5)添加物の表記方法について

・ 添加物のうち、過去の症例や知見によりアレルゲン性が無いことが明らかなもの以外は、使用された特定原材料が判別できるように表示すること。

1) 原則として「物質名(〜由来)」と記載する。
2) 乳化剤、調味料等の一括名で表示する食品添加物の場合は、一般的に「一括名(〜由来)」と記載する。
3) 別名又は簡略名で、「卵」「大豆」「乳又は乳製品」等を意味する表現が認められている食品添加物の場合は、その名称をもって特定原材料表示に変えることができる。
・ アレルゲン性が不明のものについては、今後さらなる調査・検討が必要である。アレルゲンであるか否かについては、症例やアレルギー発症機序から検証し、低分子物質の抗原提示性も含め検討する必要がある。

・ 特定原材料由来の食品添加物であっても、抗原性試験等によりアレルゲン性のないことが明らかである場合には、表示は免除される。抗原性試験については、「食品添加物の指定及び使用基準改正に関する指針」によるものとする。

・ 添加物の安定化のため、特定原材料から製造される食品を使用する場合は特定原材料の表記をすること。(例:添加物であるトコフェロールを扱いやすくするため大豆油で希釈する場合)

【事例】「大豆」「卵黄」等を使用した食品添加物について

卵黄より製造される「レシチン」 → ○「卵黄レシチン」
大豆より製造される「植物レシチン」 → ×「大豆レシチン」
→ ○「植物レシチン(大豆由来)」
  ○「乳化剤(大豆由来)」
卵白より製造される「リゾチーム」 → ×「酵素」
→ ○「リゾチーム(卵由来)」
  ○「卵白リゾチーム」
牛乳より製造される「カゼインナトリウム」 → ○「カゼインナトリウム(牛乳由来)」
×「ミルクカゼインナトリウム」
乳清を精製濃縮した「ラクトフェリン」 → ○「ラクトフェリン(牛乳由来)」
大豆由来の乳化剤を使用し、一括名で表示する場合 → ○「乳化剤(大豆由来)」
 (特定原材料が大豆のみの場合)
大豆由来の乳化剤、牛乳由来の乳化剤及びその他由来の乳化剤を併用した場合 → ○「乳化剤(大豆、牛乳由来等)」

(6) 香料の表記方法

・ 香料に関しては、実際にアレルギー疾患を引き起こしたという知見が乏しいため、現時点では特定原材料表示は求めないが、今後さらに調査・検討が必要である。

・ しかしながら、香気成分以外に特定原材料24品目を原材料として製造された副剤を使用している際には、可能な限り表示することが望ましい。

(7) アルコール類の取扱い

・ アルコール類については、摂取時の反応が特定原材料のアレルゲン性によるものかアルコールの作用によるものかを判断するための知見が現在得られていない。よって、現時点では表示の義務の対象としないが、今後さらに報告・症例の調査に基づき検討していくものとする。

・ 牛乳の乳漿から製造される工業用アルコール(主に食品の製造時に用いられるアルコール)についても、アレルギー疾患を引き起こすとの知見は得られていないので、同様にさらなる検討が必要と考えられる。

4.具体的な表示方法

(1)特定原材料の読み替え表記の設定

・ 読み替え表記及び包括表記について次のように表記することができる。

(参考資料1−4 参照)
読み替え表記: 特定原材料と表記方法や言葉が違うが、特定原材料と同じものであることが理解できる表記
(卵 → 玉子 とできる等)
包括表記: 一般的に特定原材料より製造されていることが知られているため、特定原材料表記の必要は無いと考えられる食品
(するめ → 「いか」より製造されると理解できる)

(2)表示スペースを考慮した省略規定

 24特定原材料を重複して使用する場合は、以下のように省略できることとする。

(1) 特定原材料を単に混合する等の方法により使用し、製造されている複合原材料(例えば、事例1におけるフラワーペースト)を用いた複合調理加工品(事例1におけるシュークリーム)に関しては、消費者の誤認を与えない限りにおいて、全ての原材料(複合原材料の原材料を含める)を重量割合の多い順に表示できるものとする。

【事例1】括弧をはずして表記する場合

複合調理加工品 原材料名 省略可能な表記例
シュークリーム 、牛乳、砂糖、小麦粉、でんぷん(小麦粉)、フラワーペースト(卵、小麦粉、牛乳、大豆)、食塩 、牛乳、砂糖、小麦粉、でんぷん、大豆、食塩
サンドイッチ パン(小麦粉、卵)、卵、トマト、レタス、マヨネーズ(卵、植物性油脂、醸造酢) 小麦粉、卵、トマト、レタス、植物性油脂、醸造酢

※ 事例中の★、▲、◎、●等の印は、当該事例を見やすくするためのものであり、実際の表示には必要ない。

(2) 通常、原材料が混合されているものや、一緒に食べられるもの(単一惣菜、サンドイッチ等)については、加工品の特定原材料について、JAS法の表示を行った上で、原材料表示の最後に括弧を付して、(大豆、小麦、…、…を原材料の一部として含む)等、特定原材料を使用している旨を記載することにより表示とすることができる。なお、複合調理加工品を複数詰めあわせて販売されているもの(弁当等)については、別途省略規定を必要とする。

【事例2】下記表記について

複合調理加工品 原材料名 省略可能な表記例
ポテトサラダ じゃがいも、にんじん、ハム(豚肉、食塩)、マヨネーズ(卵、大豆油、醸造酢)、たんぱく加水分解物(豚肉)、調味料(アミノ酸) じゃがいも、にんじん、ハム、マヨネーズ、たんぱく加水分解物、調味料(アミノ酸)
(原材料の一部として、豚肉、卵及び大豆油を含む)
五目豆 大豆、にんじん、れんこん、しいたけ、ごぼう、砂糖、醤油(大豆、小麦)、酒、みりん、大豆油、食塩、調味料(アミノ酸)、乳化剤(大豆由来) 大豆●、にんじん、れんこん、しいたけ、ごぼう、砂糖、醤油、酒、みりん、大豆油、食塩、調味料(アミノ酸)、乳化剤
(原材料の一部に小麦を含む)

※ 事例中の★、*、◎、●等の印は、当該事例を見やすくするためのものであり、実際の表示には必要ない。

(3) 原材料名に特定原材料名及び読み替え規定に定める表記が入っているときは、それをもって特定原材料表記とすることができる。
 → 大豆油、小麦でんぷん等

(3)表記方法について

 食品衛生法においては、容器包装を開かないでも容易に見ることができるように当該容器包装又は包装の見やすい場所に記載することとしている。従って、別添の添付文書等によるアレルギー物質を含有する旨の情報提供のみでは、表示とはみなさない。

(4) 乳等省令との整合性

・ 特定原材料のうち、乳を原材料とする食品の表示に関しては、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和26年12月27日厚生省令第52号)」(以下「乳等省令」という)に準ずるものとする。ただし、一般的に乳成分を含むことが理解されにくい原材料名については別に「乳製品」又は「乳又は乳を主要原料とする食品」である旨を併記すること。

・ 乳等については、別紙のとおり読み替え表示とすることができる。


<乳等省令29項目について>

● 乳
「生乳」 さく取したままの牛の乳
「牛乳」 直接飲用に供する目的で販売する牛の乳
「特別牛乳」 牛乳であって特別牛乳として販売するもの
「部分脱脂乳」 生乳、牛乳又は特別牛乳から乳脂肪分を除去したものであって、脱脂乳以外のもの
「脱脂乳」 生乳、牛乳又は特別牛乳からほとんどすべての乳脂肪分を除去したもの
「加工乳」 生乳、牛乳若しくは特別牛乳又はこれらを原料として製造した食品を加工したものであって、直接飲用に供する目的で販売するもの(部分脱脂乳、脱脂乳、はっ酵乳及び乳酸菌飲料を除く)

● 乳製品
「クリーム(乳製品)」 生乳、牛乳又は特別牛乳から乳脂肪分以外の成分を除去したもの
「バター」 生乳、牛乳又は特別牛乳から得られた脂肪粒を練圧したもの
「バターオイル」 バター又はクリームからほとんどすべての乳脂肪分以外の成分を除去したもの
「チーズ」 ナチュラルチーズ及びプロセスチーズ
「濃縮ホエイ(乳製品)」 乳を乳酸菌ではっ酵させ、又は乳に酵素若しくは酸を加えてできた乳清を濃縮し、固形状にしたもの
「アイスクリーム類」 乳又はこれらを原料として製造した食品を加工し、又は主要原料としたものを凍結させたものであって、乳固形分3.0%以上を含むもの(発酵乳を除く)
「濃縮乳」 生乳、牛乳又は特別牛乳を濃縮したもの
「脱脂濃縮乳」 生乳、牛乳又は特別牛乳から乳脂肪分を除去したものを濃縮したもの
「無糖れん乳」 濃縮乳であって直接飲用に供する目的で販売するもの
「無糖脱脂れん乳」 脱脂濃縮乳であって直接飲用に供する目的で販売するもの
「加糖れん乳」 生乳、牛乳又は特別牛乳にしょ糖を加えて濃縮したもの
「加糖脱脂れん乳」 生乳、牛乳又は特別牛乳の乳脂肪分を除去したものにしょ糖を加えて濃縮したもの
「全粉乳」 生乳、牛乳又は特別牛乳からほとんどすべての水分を除去し、粉末状にしたもの
「脱脂粉乳」 生乳、牛乳又は特別牛乳の乳脂肪分を除去したものからほとんどすべての水分を除去し、粉末状にしたもの
「クリームパウダー(乳製品)」 生乳、牛乳又は特別牛乳の乳脂肪分以外の成分を除去したものからほとんどすべての水分を除去し、粉末状にしたもの
「ホエイパウダー(乳製品)」 乳を乳酸菌ではっ酵させ、又は乳に酵素若しくは酸を加えてできた乳清からほとんどすべての水分を除去し、粉末状にしたもの
「たんぱく質濃縮ホエイパウダー(乳製品)」 乳を乳酸菌で発酵させ、又は乳に酵素若しくは酸を加えてできた乳清の乳糖を除去したものからほとんどすべての水分を除去し、粉末状にしたもの
「バターミルクパウダー」 バターミルクからほとんどすべての水分を除去し、粉末状にしたもの
「加糖粉乳」 生乳、牛乳又は特別牛乳にしょ糖を加えてほとんどすべての水分を除去し、粉末状にしたもの又は全粉乳にしょ糖を加えたもの
「調整粉乳」 生乳、牛乳若しくは特別牛乳又はこれらを原料として製造した食品を加工し、又は主要原材料とし、これに乳幼児に必要な栄養素を加え粉末状にしたもの
「はっ酵乳」 乳又はこれと同等以上の無脂乳固形分を含む乳等を乳酸菌又は酵母ではっ酵させ、糊状又は液状にしたもの又はこれらを凍結したもの
「乳酸菌飲料」 乳等を乳酸菌又は酵母ではっ酵させたものを加工し、又は主要原料とした飲料(はっ酵乳を除く)
「乳飲料」 生乳、牛乳、若しくは特別牛乳又はこれらを原料として製造した食品を主要原材料とした飲料であって、「生乳」「牛乳」「特別牛乳」「部分脱脂乳」「脱脂乳」「加工乳」まで及び「乳製品」に掲げるもの以外のもの

5.施行期日及び経過措置について

(1) これらの改正規定は、平成13年4月1日から施行する。

(2) 経過措置として、平成14年3月31日までに製造され、加工され、若しくは輸入される食品等に係る表示については、なお従前の例によることができるものとする。

(3) 対応実施が可能なものについては、平成14年3月31日以前であっても表示に努めること。

6.その他

・ 製造元となる事業者は、表示を基本的に必要としない原材料について、可能性の情報も含めできる限り、電話での問い合わせ対応やインターネット等による情報提供などを行うことが望ましい。

・ 表示が正しくなされているか等を検証する方法は、書類による追跡調査とする。

・ 今回の改正の内容を消費者に周知徹底するための方策を、さらに検討する必要がある。


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