| 確定給付型の企業年金について、受給権保護等を図る観点から、労使の自主性を尊重しつつ、統一的な枠組みの下に必要な制度整備を行う。これにより、公的年金を土台としつつ、確定拠出年金と相まって、国民の自助努力を支援する仕組みを整備する。 |
1 制度の枠組み
(1) 企業年金の新たな形態として、規約型(労使合意の年金規約に基づき外部機関で積立)と基金型(厚生年金の代行のない基金)を設ける。
(2) 老齢給付を基本とし、障害給付、遺族給付も行うことができることとする。
(3) 給付や積立などについて必要最低限のルールを定めた上で、労使合意に基づき、より柔軟な制度設計を可能とする。
(4) 税制上の措置
2 受給権保護のための措置
(1) 積立義務:将来にわたって約束した給付が支給できるよう、年金資産の積立基準を設定する。
(2) 受託者責任の明確化:企業年金の管理・運営に関わる者の責任、行為準則を明確化する。
(3) 情報開示:事業主等は、年金規約の内容を従業員に周知し、財務状況等について加入者等への情報開示を行う。
3 その他
(1) 厚生年金基金について、代行を行わない新企業年金への移行を認める。
代行返上の際には、一定の条件の下に現物による返還を認める。
(2) 適格退職年金については、経過措置を講じて、10年以内に企業年金制度等へ円滑に移行できるようにする。
I 趣旨
今後の本格的な高齢社会の到来を控え、公的年金を土台としつつ、老後の備えに対する自主的な努力を支援していくことが必要である。このため、既に提案した確定拠出型の年金制度の創設に加え、確定給付型の企業年金についても、受給権保護等を図る観点から、労使の自主性を尊重しつつ、統一的な枠組みの下に必要な制度整備を行う。
II 概要
○ 確定給付型の企業年金について、積立基準、受託者責任、情報開示等統一的な基準を定め、これを満たすものについて承認を行い、あわせて税制措置の整備を行う。
○ 厚生年金基金については、厚生年金の代行を行わない他の企業年金制度への移行を認める(規制緩和)。
○ 新規の適格退職年金契約は認めず、既存のものは一定の十分な経過期間(10年間)を設け、他の企業年金制度等に移行する。
III 確定給付企業年金法
受給権保護等を図るため、新たに確定給付企業年金法を制定する。
1 制度の枠組み
<基本的な仕組み>
規約型企業年金
労使が合意した年金規約に基づき、企業と信託会社・生命保険会社等が契約を結び、母体企業の外で年金資金を管理・運用し、年金給付を行う企業年金
基金型企業年金(企業年金基金)
母体企業とは別の法人格を持った基金を設立した上で、基金において年金資金を管理・運用し、年金給付を行う企業年金(厚生年金の代行は行わない)
※規約型、基金型のスキーム図は別紙に添付。
(1) 制度の開始
○ 企業年金を実施しようとする企業は、労使の合意に基づき、制度の内容を規定した年金規約を作成し、厚生労働大臣の承認(基金の場合は基金の設立認可)を受ける。また、複数企業により、規約を定めることができるものとする。
○ 規約型の場合は、企業は、掛金の払込み及び積立金の管理などに関する契約を信託会社・生命保険会社等と締結しなければならない。
(2) 対象者・加入者資格
(1)対象者
(2)加入者資格
(3) 給付
(1)給付の内容及び支給要件
(2)給付の基準
(4) 掛金
○ 事業主は、年金給付及び一時金たる給付に要する費用に充てるため、掛金を拠出しなければならない。
○ 掛金は、事業主負担を原則とし、本人拠出については、年金規約で定める場合に、加入者本人の同意を前提として可能とする。
(5) 資産運用
○ 年金資産の運用は、安全かつ効率的に行われなければならない。
○ 資産運用は、原則として、信託会社、生命保険会社、投資顧問業者等が行う。
○ 資金の管理運用の体制が整っていること等の条件のもとに、基金は自ら資産運用を行うことができる。
(6) 制度の終了
○ 制度は、次の場合に終了(解散)する。
2 受給権保護
(1) 積立義務
(2) 受託者責任
○ 加入者等の受給権保護を図る観点から、事業主等企業年金の管理・運営に関わる者について、加入者等に対する忠実義務、分散投資義務などの責任を規定するとともに、利益相反行為の禁止などの行為準則を明確化する。
(3) 情報開示
○ 事業主等は、従業員に対し、年金規約の内容を周知しなければならない。
○ 事業主等は、掛金納付状況、資産運用状況、財務状況について加入者等への情報開示及び厚生労働大臣への報告を行わなければならない。
3 制度間の移行
(1) 確定給付型の制度間の移行
○ 規約型、基金型、厚生年金基金各制度間で、制度を移行し、年金資産を移換することができる。
○ 厚生年金基金から規約型、基金型へ移行する場合、代行部分については、一定の条件の下に現物による返還を認める。
(2) 確定拠出年金制度への移行
○ 規約型、基金型の年金資産を個人ごとに分配し、確定拠出年金(企業型)へ移換することができる。
4 その他
○ 支払保証制度等については引き続き検討。
IV 税制措置
○ 税制措置は次の通りとする。
V 既存制度の取扱い
1 適格退職年金の取扱い
○ 新規の適格退職年金契約は認めない。
○ 既存の適格退職年金については、一定の十分な経過期間(10年間)を設け、他の企業年金制度等に移行するとともに必要な経過的措置を講じる。
2 厚生年金基金制度の見直し
○ 確定給付企業年金法の制定に伴い、厚生年金基金の受給権保護の規定等についても必要な見直しを行う。
VI 施行期日
○ 平成14年4月1日
ただし、厚生年金基金からの移行については、公布の日から2年6ヶ月以内の政令で定める日。
基金型のスキーム図
積立を確保するための仕組み