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2018年3月16日 第24回政策評価に関する有識者会議 議事録

○日時

平成30年3月16日(金) 15:02~17:07


○場所

厚生労働省専用第22会議室(18階)


○出席者

菊池座長、井深委員、岩佐委員、岩崎委員、印南委員、遠藤委員、大西委員、河北委員、玄田委員、平野委員、本田委員、皆川委員、宮崎委員、内田委員代理漆原様、山田委員

○議事

 

(以下、議事録)

 

○政策評価官室長補佐 

 今日はお忙しいところ、委員の先生の皆様方、どうもありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまから、第24回政策評価に関する有識者会議を開催いたします。本日は厚生労働省における政策評価に関する基本計画が第4期になりましてから初めての全体会議でございますので、改めまして委員の先生方を御紹介させていただきます。

 事務局に近い方から、福祉年金ワーキンググループ、それから医療・衛生ワーキンググループ、労働・子育てワーキンググループというふうに並んでいただいておりまして、各ワーキンググループの中をあいうえお順という形で紹介させていただきます。若干、席が前後するかと思いますが私のほうから御紹介させていただきます。

 まず、福祉・年金ワーキンググループでございますが、岩崎委員でございます。それからあいうえお順になりますと、菊池委員でございます。菊池委員には本政策評価に関する有識者会議全体会議の座長をお務めいただいております。次に、平野委員でございます。山田委員でございます。

 次に、医療・衛生ワーキンググループに移りまして、あいうえお順に、井深委員でございます。印南委員でございます。印南委員には医療・衛生ワーキンググループの座長をお務めいただいております。大西委員でございます。河北委員でございます。本田委員でございます。宮崎委員でございます。

 最後に、労働・子育てワーキンググループをあいうえお順に紹介させていただきます。岩崎委員でございます。遠藤委員でございます。玄田委員でございます。玄田委員には、労働・子育てワーキンググループの座長をお務めいただいております。皆川委員でございます。内田委員でございますが本日は御都合がつかないということで、代理で漆原様に参加いただいております。よろしくお願いいたします。以上で委員の御紹介を終わりますけれども、本日、労働・子育てワーキンググループの渥美委員と福祉・年金ワーキンググループの藤森委員が御欠席となっております。

 始めに本日の全体会議の開催にあたりまして、政策評価官の牧野より御挨拶させていただきます。

 

○政策評価官

 政策評価官の牧野です。遠いところから失礼します。本日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。委員の皆様におかれましては日頃より厚生労働行政の推進に多大な御協力いただきまして、この場を借りまして、改めて御礼申し上げます。国民生活に密着いたしました厚生労働行政が実効性を高めていくために、政策評価で明確な目標設定と評価をきちんと行っていくということで、施策のPDCAサイクルを着実に機能させるということが非常に大事であると考えております。本日の議事といたしまして、まず、今年度からの5か年計画となっております第4期政策評価基本計画、それから毎年、策定しております事後評価の実施に関する計画という2つの計画につきまして、来年度に向けた変更点をまず、御説明させていただきたいと思っております。その後が、本日のメインになるかと思いますけれども、来年度でなくて、再来年度の夏に行います施策の事後評価に向けまして、評価対象となる13施策につきまして、事前評価についての御意見を頂きたいと思っております。特に御意見頂きたいところは、各施策の達成目標につきまして、来年度に明確な目標の下で施策が進められるように見直すべき点がございましたら、御担当のワーキングに関わらず忌憚のない御意見を頂きたいというふうに思っておりますので、本日はどうぞよろしくお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 続きまして、本日の全体会議の座長は菊池委員にお願いしておりますけれども、今後の議事進行につきましては菊池委員からよろしくお願いいたします。

 

○菊池座長

 御紹介いただきました早稲田大学の菊池でございます。よろしくお願いいたします。すみません、私が遅刻いたしまして開始時間が遅れてしまいました。厚生労働省の別の会議に出ておりまして遅刻してしまいました。本当に申し訳ございません。これから早速、議事次第の1にあります平成30年度の「政策評価に関する基本計画()」及び「事後評価の実施に関する計画()」について、事務局より説明をお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 始めに、事務局から議事次第1の平成30年度の「政策評価に関する基本計画()」、それから「事後評価の実施に関する計画()」について、御説明させていただきます。まず、来年度に向けての内容の御説明の前に、基本計画と実施計画の性格を御説明させていただきます。資料1-2が基本計画になります。それから資料2-1が事後評価の実施に関する計画となります。政策評価制度が導入されたのは平成13年度からになります。その基本法であります政策評価法におきまして各省庁は2つの計画、すなわちこの基本計画と事後評価の実施に関する計画を定めなければならないと規定されております。まず、基本計画ですが、1枚めくりますと目次がございます。政策評価の実施方法ですとか、政策効果の把握方法、実施体制に関する事項などを定めております。各省庁はこの基本計画に基づきまして個別の政策目標を作り、評価を実施して評価書を作成する。そして、作成した評価書を、ホームページ上になりますけれども、公表するという流れになっております。

 また5ページ、計画の別紙として、厚生労働省の政策目標を定めております。厚生労働省の政策を個別の施策単位、つまり政策を実現するための具体的な方策の単位に区分しまして、そちらを政策体系といった形で定めております。基本計画の期間は5年間となっております。別紙の政策体系も含めて全体につきまして、5年に1回見直しを行っておりまして、現在の基本計画は第4期となります。第4期の基本計画は平成29年度末、ちょうど1年前になりますけれども、5年に1回の見直しを行いまして策定いたしました。そうしますと、この基本計画の対象期間が平成29年度から平成33年度までの5年間になっております。

 続きまして、事後評価の実施計画に関する基本的な性格を御説明いたします。資料2-1です。事後評価の実施計画は1年ごとに定めるものですが、内容としましては初年度に実施する事後評価の対象、評価の方法などを定めるものです計画期間、評価予定、事後評価の実施方法などが定めてあります。その年度に実施する事後評価の対象、5ページ目になりますが、各年度の評価を実施する目標を定めております。こちらは平成30年度の事後評価ということになりますので、平成30年度に評価を実施するものに○付けております。

 この点について補足させていただきますと、厚生労働省では、このとおり政策目標を大体70の施策単位に区分しております。それぞれの、11個の目標につきまして、基本計画の期間である5年に1回は評価書を作成して評価を行うといったルールになっております。各目標についていつのタイミングで評価を行うのかというのは、5年に1回の見直しのタイミングで5年間分をまとめて定めております。具体的に申しますと、昨年度末の5年に1回の見直しのタイミングで、今回、A3の資料3-1がありますが、このとおり5年間分定めております。5年間分定めているのですが、来年度に事後評価を行うこととされている目標について、この事後評価の実施計画の中で、改めて平成30年度分ということを定める作業をしております。以上が基本計画と事後評価の実施計画の基本的な性格の御説明になります。

 次に、来年度に向けての変更点について御説明させていただきます。基本計画、事後評価の実施計画、いずれにつきましても評価の方法ですとか、実施体制というものは継続的なものですので、5年に1回の見直しのタイミング以外の年度は必要な変更のみを行うといった作業をしております。平成30年度につきましても、来年度に向けての変更点のみ御説明させていただきます。まず、基本計画ですが、基本計画の本文に変更はございません。別紙の政策体系、個別の政策目標に1か所だけ担当局からの意見によって変更したい箇所がございますので御説明いたします。

 資料1-1、一番上の1枚の資料になります。これは福祉・介護人材の確保に関する目標なのですが、現在、「福祉・介護人材の養成確保を進めるとともに、福祉サービスの基盤整備を図ること」といった目標がありまして、その具体策が書いてあります。今回、この目標につきまして、「福祉・介護人材の養成確保を推進すること等により福祉サービスの質の向上を図ること」といった言葉の変更をしたいという意見が担当局からきています。理由としましては、現行ですと、人材確保と基盤整備という2つの柱があるというような表現になっているのですが、究極的な目標としては福祉サービスの質の向上があるだろうということで、そこを最終目標にするということを明確化するという点です。

 それから基盤整備という言葉があるのですが、これについては一般的には施設整備をイメージしますが、施設整備というのは、今の段階でどんどん増やしていくという段階ではないというのと、国の政策目標としましては、都道府県等の計画を財政的に支援するといった立場ですので、最終目標として基盤整備という言葉があるのは政策の内容として少し齟齬があるのではないかということで、これはあくまで手段の中の「等」に読み込むことにしまして、最終目標を「福祉サービスの質の向上を図ること」という言葉にしたいという、そういった意見が来ております。こういった変更を1点させていただきたいと考えております。

 次に、事後評価の実施計画に関する来年度に向けての変更点でございますが、こちらにつきましては、別紙1のところで平成30年度分の評価の実施、目標について改めてこちらに整理させていただいた点と、あとは、時点修正になりますので、詳細な説明は省略させていただきたいと思います。議事の(1)につきまして事務局からの説明は以上になります。

 

○菊池座長

 ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問等ございましたらお願い申し上げます。

 

○岩崎委員

 岩崎でございます。この変更に関しては質問ということではなくて、意見となります。私自身が福祉サービスの現場にもおりますし、その領域について、長年、関わってまいりましたけれども、以前から、基礎構造改革のころからやはり福祉サービスの質の問題というのは取上げられていると思うのですが、それを測る指標というものが、まだまだ十分に整っていないと非常に痛感しております。ですので、外形的なものだけではなくて、提供されるサービスの質というものをきちんと図っていただくことが、そこに従事する人たちのモチベーションを上げていくということ、あるいは利用者さんたちが、その人たちらしく生活するということにつながっていくと考えますので、変更していただくということについて、非常に歓迎をいたしております。以上でございます。

 

○菊池座長

 ありがとうございました。その他、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは事務局におかれましては本日の御議論を踏まえて、平成30年度の基本計画及び実施計画を策定いただければと思います。なお、私、あわてていて御挨拶し損ねたのですが、今回、座長を拝命いたしまして、恐らく、前から長くやっているという、ただそれだけの理由での御指名だと思うのですけれども、前からいらっしゃる先生はよくお分かりと思うのですが、今回、この会議の委員の皆様、かなり大きくメンバーが変わったと認識しております。以前は、政策評価そのものの御専門の委員の皆様が相当数入っておられました。私も政策評価そのものについては素人なのですけれども、今回、大きくそこが変わったということで、私なりには政策評価そのものの方法論も大事だけれども、やはり、この厚生労働省が進めている施策そのものについての政策評価の実質的な議論を深めたいという、そういう舵を切られたのかなというように私なりに認識しております。

 その意味では今回、まさに、社会保障、労働、福祉各分野の御専門の委員の皆様にお入りいただいたということです。この次に議論してまいりますけれども、どうしても役所では、政策評価というと、後ろ向きと言ったら怒られますが、言葉を選ばなくてはいけないですけれども、様々な仕事がある中で、前向きに取り組んでいただくには難しい部分があって、しかし、政策評価をきちんとやることがこの施策を前に進めるのだという、是非、そのように前向きに取り組んでいただきたいと思います。前から一緒にやっていただいている先生方、よくお分かりいただけると思うのですが、そういう面も含めまして、どうか委員の皆様には積極的に御質問、御提言等、頂ければと存じますのでよろしくお願い申し上げます。

 それでは続きまして、議事次第の2、「平成30年度実施施策に係る政策評価の事前分析表()について」、御議論いただきたいと存じます。始めに事務局より、具体的な進め方などについて御説明をお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 資料3-1を御覧ください。先ほど、5年間分の評価のタイミングを定めているという説明で少し紹介したもので、政策評価の実施予定のローテーション表です。5か年分の基本計画期間中の評価実施時期を定めております。右に丸が付いており、それぞれの年度に政策目標の実績評価書を作成し、毎年夏に開催されるWGにお諮りすることになっております。

 本日は平成30年度の事前分析表です。評価のタイミングが5年に1回来るものですが、平成31年の夏にWGで評価書を御議論いただく政策目標について御意見を頂きたいと考えております。

 少しややこしいのですが、この年度末のタイミングで目標を見て、平成30年度の1年間の実績を見ていく、となりますと、大体、平成30年度の実績の数値が平成31年度の初夏の辺りに確定するので、平成31年の夏に評価書を作るという流れです。ですので平成31年の欄に丸が付いており網掛けになっていて灰色になっておりますが、この13の施策目標を各WGごとに区切り、医療・衛生WG、労働・子育てWG、福祉・年金WGの順番で担当部局同席の下、議論を行っていきたいと思います。

1グループごとの時間は約30分で、達成目標の内容や目標ごとに設定している測定指標の妥当性を中心として、委員の皆様から御意見を頂くという手順で進めさせていただければと考えております。大変、恐縮な話ですが、13の政策目標がありますので、時間の制約上、事前に資料にお目通しいただいているという前提で、質疑応答から始めさせていただきます。各WGごとに5シートあるいは3シートの事前分析表を付けておりますが、必ずしも目次の上からの順でなくても、ここのWGの範囲内であれば順番は問わずに御質問、御意見を賜わることができればと思っております。進め方の説明は以上です。

 

○菊池座長

 進め方について、よろしいでしょうか。それでは、事務局より説明のあった進め方で事前分析表()について御議論いただきたいと存じます。質疑対応のため、所管部局がメインテーブルに着席しますので、少々お待ちください。

(メインテーブルセット)

 

○菊池座長

 なお、本日、横に長い着席状況になっておりますので、御質問がある場合は挙手いただければ幸いです。さらに、まだきちんと御挨拶を申し上げていない委員の皆様もおられますので、もしお名前を間違えてしまうことがありましたら、どうか御容赦いただければと存じます。

 それでは、事前分析表のうち、医療・衛生WGに関連する施策について質疑を行います。対象施策目標は、資料3-2にある5つの施策目標です。施策目標ごとに担当課が作成して事前分析表が付いております。この事前分析表について、御意見、御質問等ございましたらお願いいたします。5つのテーマのどこからでも結構ですということですので、いかがでしょうか。

 

○宮崎委員

 医療WGの宮崎と申します。私は難病のことについて1点確認をお願いしたいと存じます。4ページに、達成目標の1についてということで、1、衛生行政報告例による難病法に基づく医療受給者証交付件数(アウトカム)と記載があります。今回の目標設定は、難病法が施行されてから初めての評価ということになりますか、その確認です。

 それから、なぜ、受給者証交付件数をアウトカムに持ってきたのかということについて、少々、説明いただきたいと思いました。私の想像では、難病法がうまく進捗しているかという一番基本的なベースラインが、この受給者証の交付件数と御判断されて、そのように目標に掲げられたのではないかと推察したのですが、その辺りの理由付けについて御説明いただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

 

○健康局難病対策課

 難病対策課です。恐らく、初めてではないかと思います。医療受給者証は、難病の医療費助成を受ける方が交付されるものです。こうした医療費助成を受給できる要件に該当する方が、きちんと受給できることが大事だと考えております。そういう意味で、受給者証の交付件数を指標とさせていただきました。

 あと、御参考までに、その下の難病医療の拠点となる病院の設置数との関係でも、難病の方はできるだけ早く診断を付けるようにしたほうがいいのですが、実際、これまでのところ、なかなか確定的な診断にたどり着かないという、やはり、幾つも病院を回りながら何年も掛かってようやく診断が付くという課題もありますので、できるだけ早期に診断できるように、平成30年度から各都道府県で難病医療の核となる拠点病院を定めて、その拠点病院を中心とした医療提供体制を構築することとしております。

 そういう体制を構築するという意味で2つ目の拠点病院の設置数を掲げながら、そして、体制を構築することで、難病の方が早期に診断されて、その結果として医療費助成を受けられるようになり、1の指標である受給者証の交付にも結び付くのではないかと考えております。

 

○宮崎委員

 ありがとうございました。分かりました。難病の方に関しては、福祉サービスも近年、充実してきており、まずは医療ということで、適切に医療の受給、受領が進むようにということで、こちらの目標を掲げたということですね。私は適切なように思いました。

 

○菊池座長

 ありがとうございました。ちなみに、宮崎委員、この目標値の設定の仕方については、いかがでしょうか。

 

○宮崎委員

 ここの前年度以上となっている所ですね。恐らく、書きぶりが難しいものと思います。本当に医療を必要とされている方に十分な医療が提供できているのかということで、むしろ、前年度以上とされた理由について、どのように御判断されたのか教えていただけたらと思います。

 

○健康局難病対策課

 何人という目標を掲げるのは、なかなか難しいかと思っております。やはり、要件に概当する方がきちんと受給できるということですので、目標を掲げて何人がというものではないのかなと。ただ、基本的に難病に掛かると継続的に医療費助成を受給するという方が多いので、そういう意味で増えていくと思っております。

 

○宮崎委員

 私のほうでもこうしてはという妙案がなくて申し訳ございません。

 

○本田委員

 同じ難病の所で教えていただきたいのですが、難病小児慢性特定疾病対策を推進するという中で、測りやすいというか、データがあるものを取るということは理解できるのですが、例えば、難病情報センター事業をやっていく、正しい情報を提供していく、受給者証だけではなくて適切な所にきちんと誘導できている、患者さんたちが困っていないかということを測るということもできたらいいかと思うのですが、指標として、そういうことは難しいのでしょうか。

 

○健康局難病対策課

 難病情報センターは、適切に、医療関係の情報、患者さん向け、医療従事者向け、一般向けにいろいろ情報を提供しております。あと、困っていないかどうかということは、今、指標として何か設定できるのかというと。

 

○本田委員

 相談支援みたいなものはないのですか。

 

○健康局難病対策課

 各都道府県に難病相談支援センターがありますので、そういう所でどういう相談が、どれくらいの相談がということもあるのかもしれませんが、相談件数がどれくらいということもなかなか難しいのかなと思っております。一番きちんとデータが出てきて測ることができるのが受給者証の交付件数ということで、こちらを設定させていただいているということが現状です。

 

○菊池座長

 よろしいでしょうか。

 

○本田委員

 はい。

 

○菊池座長

 いかがでしょうか。

 

○井深委員

 医療・衛生WGの井深です。1ページの初めの目標に関する測定指標について質問します。測定指標の3つ目ですが、院内感染対策講習会受講者に占める初回受講者数の割合をアウトプットにして測定すると書かれています。

 この指標を使用する理由をお聞かせください。なぜならば、これは初回の受講者の割合を高めるということが目標になるかと思います。初回がどれくらい大事なのかということで、逆に分母が増えていくとこの値は下がっていくと思うので、この指標が、初回受講者の人数を増やすことが大事だということで採用されているのであればよく分かるのですが、その辺りをお聞かせいただければと思います。

 

○医政局地域医療計画課

 医療安全のうちの院内感染対策を担当している者です。院内感染というのは、医療機関で発症する全ての感染、そこで発生するもの全てのことを言います。医療法の中で院内感染対策については、委員会を設置する、職種横断的に構成された委員会を設置すること、中で研修を実施すると幾つか条件を定めております。その職種横断的に構成する委員会のメンバーを、基本的にこの講習会にお招きして、院内感染対策の基本をお教えするという形になります。

 そうすると、まず、大事なのは、病院の中で全く御存じない方々が、どれだけその医療機関における院内感染の技術やレベルを、底上げするのかというところが重要かと認識しております。今回、この指標を用いたのは、まずは広く浅く、結局のところは1つの病院のレベルを上げても余り意味がないということで、広く浅く多くの病院で院内感染対策のレベルを全体的に上げていくという観点から、この指標を使わせていただいた次第です。

 

○井深委員

 ありがとうございました。よく分かりました。

 

○菊池座長

 いかがでしょうか。

 

○大西委員

 医療・衛生WGの大西です。今回、全体会議に出させていただくのは初めてなものですから、少しとんちんかんな発言であったら御容赦ください。資料3-2の事前分析表の6ページのハンセン病対策に関する測定指標のアウトカム、アウトプットで、年度ごとの目標値としてハンセン病資料館の入館者数、中学生向けパンフレットの印刷及び発送部数、主に人の数、物の数という数量的な指標のみが目標値や実績値として設定されております。

 過去、仕事でハンセン病訴訟に関与した経験も踏まえて申し上げると、過去のハンセン病政策に関する誤りの前提となっていた社会に残っている偏見みたいなものが、人の心の中でどれくらい改善されていくのかという数量目標に頼らない指標は、設定するのがなかなか難しいとは思います。特に、毎年の入館者数や中学校の生徒数、年度ごとによって人口の変動もあると思いますし、そういう数値目標だけではない、アウトカムやアウトプットの指標の設定方法について何らかの検討をされたのかどうか、もし御回答いただけるのであれば伺いたいと思います。

 

○健康局難病対策課

 ハンセン病対策の件ですが、差別や偏見がどれだけ改善されたのかという意味では、今、法律に基づいていろいろ取組を進めております。正に、名誉回復、そういう意味では普及啓発が大事だと思っており、今回、普及啓発の関係で、こうして目標を掲げさせていただいているところです。

 今、おっしゃられたような、差別や偏見が一般の方々の中でどれだけ改善されたのかという、今、国として調査を行っているものがあるわけではなく、そういう意味で、今、指標として立てるのがなかなか難しいという中で、やはり、普及啓発については、昨年度からしっかり取り組んでいくということで、検討会を設けながら今後どのようにするのかということを提言として盛り込みながら、今年度から、また新たにハンセン病資料館でも取組を始めています。そういうところで、まず、資料館の入館数等を目標として掲げさせていただいたというところです。

 

○菊池座長

 よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。

 

○岩佐委員

 労働WGの関係の委員の岩佐です。今の御発言に触発されての発言となりますが、労働の関係でも周知できているのかというようなことが1つの政策目標になっておりますが、得てして、それの達成方法として、なかなか指標設定が難しいので、例えば、何枚刷ったのか、何回CMが出たのか、そういうものにならざるを得ない。

 確かに、政策評価について、数値でやっていくことをベースにするというのはエビデンス的な発想から重要とも思うのですが、できれば、今のハンセン病の関係では、科学的と言えるのかどうか分からないのですが、例えば、入館者との間でどのような取組がされていて、今まで御存じなかった方がこのように変わったとか、そういうことも併せて御報告いただいて、定量的ではないですが、このように変わっていったのだというところや、そこが目標設定されて取り組まれているということが少し分かるといいのではないかと。入館者の数だけ、パンフレットだけとなると、我々も実感しにくいので可能であればその辺りも御検討いただければと思い、発言いたしました。

 

○菊池座長

 いかがでしょうか。

 

○健康局難病対策課

 定性的な目標をこの中にどのように織り込むのかということは、今、何とも申し上げられないのですが、どのようなことができるのかということは今後に向けて、更に検討していきたいと思います。

 

○菊池座長

 ただいま御指摘いただいたことは、政策評価全体に通ずる難問というか課題ではあるのですが、その中で、どのようにアウトカムをしっかり把握できるのかということが課題です。その辺りを含めて皆様から御発言いただければと思います。

 ほかにいかがでしょうか。

 

○印南委員

 医療・衛生WGの印南です。目標5の生活習慣の改善等による健康寿命延伸を図る。健康寿命の延伸はすごく望ましい目標で、これに向かっていろいろな政策手段を打ち立てていくことは分かります。

 指標の所を見ると、健康寿命そのものを測っていく、でも、これは3年に1回しか出ないのですよね。その下の達成手段、14ページの(1)で喫煙等も出てくるのですが、喫煙に関しては割ともう少し客観的な指標を測定できるのではないかと思います。もう少し大きな扱いはできないのでしょうか。喫煙の問題は割と注目を浴びているということもありますので、少し扱いが小さいのではないかと、個人的な感想で思いました。指標も比較的あるので、いかがでしょうかということです。

 

○健康局健康課

 健康課の西田と申します。御指摘のとおり、確かに喫煙に関して項目は健康日本21、国民健康・栄養調査で行っております。今回、健康増進法の改正ということで、どういう形で法律案として言っていくのかということが、まだ未確定な部分もあるということで、項目としてはあるのですが、この時点で大々的に載せるのかどうかということを、そういう意味合いでためらって、あえて載せていないというところがあります。

 今後、今国会で成立しましたらそういうところを、やはり、喫煙、受動喫煙に関して、1つの指標として項目の中に盛り込むことは重要かと認識しております。

 

○菊池座長

 それは、あり得るということですか。

 

○健康局健康課

 少し検討させていただきます。

 

○菊池座長

 ほかにいかがでしょうか。

 

○本田委員

 分からないので教えていただきたいことがあります。2ページの達成目標の医療事故等の所です。データ検索、医療安全情、報報告書・年報のWebアクセス件数が伸びると、医療の安全確保の体制整備にどのようにつながっているのか教えていただきたいです。

 

○医政局総務課医療安全推進室

 医政局の医療安全推進室です。こちらは、医療事故の発生予防、再発防止という目標2の所の達成目標です。医療事故防止のために行っている医療事故情報収集という事業は、全国のインシデントやアクシデントを収集して、再発防止のための情報を分析してまとめて医療界にフィードバックしていくというものです。

 その成果物を医療界に返していく媒体として、データ検索やリーフレットの医療安全情報、報告書があり公開しております。医療機関からこうしたものにアクセスしていただくことで、将来的に医療事故の防止につながっていくであろうということで、これはアウトカムではなくて、プロセスの中で出てくるアウトプットということで評価しております。このアクセスが増えれば増えるほど、医療機関の医療安全に対する取組が進んでいくというと解釈できるのではないかということで目標設定しております。

 

○本田委員

 関心が高いという意味でアクセスが増えるということは、そういう問題に関心が高まっているということが測れるのかと思います。それで何かをやったのかということは測ることはできないのですね。

 

○河北委員

 当事者なのでお話しにくいのですが、医療事故情報収集等事業は評価機構で行ってきている事業です。いろいろな資料を提供しており、特に、病院の医療安全管理者がどのくらいの権限を持って、院長権限を越えることもあると思うのですが、病院の中で医療安全の具体的な取組を院内で徹底できているのかどうかということが一番大切なことだと思うので、本当はそういうものを何か標準化できないかと思います。

 それから、私は産科医療補償制度も当事者です。再発防止に関しては、産科医療補償制度が始まったのは平成21年からなのですが、それによって分娩に関わる医療の質はものすごく変わりました。そこで、産科医療補償制度の再発防止の報告書が出ていて、これは、今、国際的にも活用されているものが出ているので、分娩機関でどのくらい活用しているのかということを、是非、何らかの指標にするといいのかと思います。

 それから、医薬品の所ですが、これも日本医療機能評価機構で薬局のヒヤリ・ハット事業を行っていて、今まで大体56,000薬局の中で8,000薬局が登録して、結構、いろいろなヒヤリ・ハットの報告があります。その中で、処方箋の在り方、実際に調剤に関わる事故はものすごくたくさんあるのです。今回、4月の診療報酬改定で少し点数が付くと、今まで8,000軒だったものが、今、2万軒くらいの薬局が登録し始めたので、ここのところは少しやり方を変えなければいけないと思います。

 実際に病院の中で処方されて使われている医薬品と、処方されて地域で使われているものを少し分けながら、きちんとした対策を立てたほうがいいのかと思うので、ヒヤリ・ハット事業の報告書を、是非、読んでいただきたいと思います。

 

○菊池座長

 ありがとうございます。よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。

 

○印南委員

 先ほど、言い忘れたことがあります。今の事例でも登録薬局数の話が出ていましたが、喫煙については2年前の診療報酬改定でニコチン中毒の点数が引き上げられました。実際の治療件数や患者数が割と出るのではないかと思うのですが、そういう関連の数値をこちらに使うということはいかがなのでしょうか、局が違うから難しいかもしれませんが。

 

○菊池座長

 いかがでしょうか。

 

○健康局健康課

 健康課の西田です。ニコチン中毒の患者数を指標として、例えば、受動喫煙、喫煙の患者のアウトカムとして出すのかということに関しては、局をまたぐ問題にもなるので今のところお答えするのは難しいかと思います。

 

○印南委員

 一応は、同じ目的で診療報酬上も手当しているわけですよね。

 

○健康局健康課

 そうです。また保険局と相談でしょうか。

 

○菊池座長

 所管が複数にわたる、あるいは、局をまたぐ施策について、それを目標としてどのように立て、どこがそれを管理してというのは、ここの政策評価の課題ではあるのですが、受け止めていていただければと思います。

 ほかにいかがでしょうか。

 

○宮崎委員

 同じく生活習慣病の所で14ページです。達成目標の14項目挙がっています。一番上の行を見ると数行説明があり、施策大目標10という所には、「幅広い年齢層において」という書き込みがなされております。なので、生活習慣病の改善等による健康寿命の延伸に向けて幅広い年代層でというところが、ここの施策で重視している点かと思うのですが、今、達成目標で掲げている点が、受け取った印象としては20歳から60歳ないし64歳くらいの方たちの目標が中心になっています。もう少し若い年代層、具体的には子どもたちの生活習慣に関わる目標が1つくらいあってもいいのではないかと思ったのですが、いかがでしょうか。

 

○健康局健康課

 御指摘としては、確かにごもっともです。あえてここに2064歳という、いわゆる働き盛りを出したことに関しては、そこの年代の指標達成がなかなか難しく伸びが悪いということもあり、この政策を通じて、こういう悪いところの年代の方々を特にフォローアップしたいという思いもあり載せました。

 未成年、子どもに関しては、健康局だけではなく、ほかの局とも連携して、確かに、今後の幅広い年齢層と書いてある以上、課題として1つ挙げなければいけない。あとは、もちろん、65歳以上の高齢者に関しても、なかなか単局での対応は難しいところではあるのですが、省内で検討という形になるかというところです。

 

○菊池座長

 ほかにいかがでしょうか。

 

○政策評価官室長補佐

 他局にまたがるような政策、調査については、扱いが難しいということを菊池座長から御示唆いただいたので、その点について事務局から補足説明をいたします。

 今回、健康づくりに関しては健康局ということで担当していただいております。70のシート、目標の中には複数の部局にまたがるような目標もありますので、他局からデータ等を頂き書き込むということもしております。この目標についても、先ほど印南委員から御提案のあった診療報酬のデータから出てくる患者数を、この目標に関して測定指標、あるいは参考指標として盛り込むべきだとなった場合、ここに追加することは可能です。もともと、先ほどの議論で喫煙に関する指標を入れたほうがいいのかどうなのかということがあるので、その点を健康局に持ち帰って検討していただき、その過程で患者数をこのシートに入れたほうがいいのか検討をお願いしたいと思います。

 留意しなければいけないのは、特に、これは健康づくりという目標ですので、かなり幅広く何でも入って来てしまうと、どこに重点を置いているのかということが分かりにくくなってしまう部分があります。改めて、この施策実現のための背景や課題を見て、入れ込むべき指標とそうではない指標を分けて、受動喫煙に関しては、今、法案を提出中なので、その動向を見ながら指標として入れるべきものを入れるということで、局で検討していただきたいと思います。以上です。

 

○菊池座長

 よろしいでしょうか。今、事務局からお話がありましたように、委員の皆様から指標に関わる様々な御指摘があり、中でも今お話があった喫煙に関する、かなり具体的な直近の施策の推進に関わるような御指摘がありました。これは事務局へのお願いになるかもしれませんが、委員から出た御提案に対しては何らかの言いっ放しではなくてフィードバックというか、事務局を通じてでも結構なので、それをしていただければと思います。

 つまり、言ったまま、あれはどのようになったのだろう、結局全てが取り入れられるわけではないですが、結局、検討したけれど今回はこういうことでという、何らかの我々に対するフィードバックがあったほうが委員の皆様にとっても、そうだったのかということになるのではないかと思っております。

 

○政策評価官室長補佐

 フィードバックをどういう形でやるのか考えさせていただきたいと思います。

 

○菊池座長

 何らかの形でということで、よろしいでしょうか。それに反対なさる委員はおられないと思うので。では、そういう形で今日の議論を踏まえて、必要に応じて事前分析表の修正を行っていただければと存じます。どうも御苦労さまでした。

 それでは、次のテーマの労働・子育て分野に移ります。メインテーブルの入替をお願いいたします。

(メインテーブル入替)

 

○菊池座長

 それでは、労働・子育てワーキンググループに関連する施策について質疑を行います。対象政策目標は資料3-3にあります5つです。政策目標ごとに担当課が作成した事前分析表が付いておりますが、これにつきまして御意見・御質問等ございましたらお願いいたします。

 

○玄田委員

 ちょっと申し上げにくいというか、どちらかというとまず政策評価官室へのお願いということになるのかもしれません。いただいているこの事前分析表のうち、各項目について背景と課題という欄がございます。ただ、労働・子育てワーキンググループに限らず書いてある内容は課題だけなのです。多分、この辺りは全部簡潔に課題を書くようにという指示の下、適切に書かれていて、その面では課題は非常によく分かりました。ただ、背景はほとんど書かれていないような気がいたします。ですので、背景が何かということをどういうように認識されているかが分からないと、目標の立て方に対する説得性がない。

 今後の課題として考えていただきたいのですが、ここは飽くまで実現のための課題を書いていただく欄にして、一方、例えばそれこそ概要の部分についてはほかのワーキンググループを含めてかなりスペースがあるわけです。もしかしたら、これとは別に背景の部分というのは別に書いていただくようなことをしないと、背景がここには全く書かれていないということは、全般を通じて申し上げたいと思っております。

 最初の質問としては、私自身は背景というものがよく見えなかったと思うのですが、それぞれの課題の中で特に今我々が認識しておかなければならない、つまり評価する際に必要と思える背景について、恐らく一言で言うのは難しいと思うのですが、もし何か御意見があればそれを踏まえた上で改めてコメントしたいと思います。背景について何か御指摘や補足などございますか。

 

○菊池座長

 この点に関しては、従前は個別テーマについてまずプレゼンテーションがあって、その上での議論という形だったので、そういった背景については、事前のプレゼンテーションの中で説明があった上での議論だったかもしれないと、今思い出しています。いかがでしょうか。書き方については今後検討していただくことにして、今の玄田委員からの求めもありましたので簡単に、12分程度でお願いできればと思います。

 

○労働基準局安全衛生部計画課

 順番に御説明させていただきます、安全衛生部計画課です。私どもの施策の背景ということで言うと、労働者の安全と健康の確保という大きな目的があり、最終的には労働災害をゼロにするために政府、それから労使で一緒に取り組んでいこうという大きな流れ、政策的背景があります。その中で、特に私どもとしては労働災害防止のための5年間の計画を作って、目標を立てて災害を減らしていくという取組を今度、第13次の計画を立てるわけですが、昭和33年からずっとやってきているわけです。

 そういう取組の中で、一定の目標を達成するために様々な施策を掲げ、私ども政府としても取り組んでいくし、それに呼応して労使にも取り組んでいただく。そういう中での私どもの目標設定ということです。

 

○労働基準局労働保険徴収課

 労働保険徴収課です。資料3-5-18ページ、背景をお開きください。ここの背景ですけれども、労働保険徴収というのは、もともとは労災保険と雇用保険の保険給付をするための保険料を集めるのが労働保険適用徴収という形になります。当然、税の公平性などもありますので、いかに収納率を上げるとか、いかに適用促進をやっていろいろな方から取るかがそもそもあります。そういう形で徴収をし、そのあと各労災保険と雇用保険の財源にするという形です。

 

○雇用環境・均等局勤労者生活課

 勤労者生活課の平嶋です。私どもは福利厚生を担当しております。全般的に福利厚生は縮小傾向があるわけですが、その中で2つ、中小企業の退職金共済制度がまず1つ目にあります。就労条件総合調査によりますと、中小企業(30人から99人の企業)では退職金の制度導入率72.0%、1,000人以上だと93.6%ということで、中小企業ではまだまだ退職金制度で立ち遅れが見られるということで、その普及促進を図っております。財形制度につきましても、現在、財形制度のメリットというのは金利に対して非課税ということなのですが、金利そのものがほとんど付かないという状況の中で苦戦しているところですが、普及促進を図っております。以上です。

 

○職業安定局雇用保険課

 雇用保険課長です。資料は11ページをお開きください。雇用保険制度というのは、労働者が失業した場合に求職活動中の生活を保障するのがコアな業務です。一番最低限で言うと給付を適正にするということなのかもしれませんが、そもそも失業の予防でありますとか、再就職するにしてもできるだけ早く良い条件で就職していただくというのが当然目指すべき方向だということを踏まえ、目標を早期再就職を図ることと適正給付に設定しております。

 

○人材開発統括官特別支援室

 人材開発統括官です、資料は13ページになります。主に障害者の方の職業訓練が事業としてあります。ここにも背景として少し書いておりますが、障害者の新規求職申込件数が右肩上がりで増えております。平成19年度、ハローワークへの障害者の登録者数が108,000人だったところ、28年度には192,000人とほぼ2倍になっているような状況です。その分就職件数も伸びてきているわけです、そういった背景があります。

 あと、特に精神障害者、あるいは発達障害者の求職者の伸び率が高い。特に精神障害者の場合には、平成26年度に障害種別でいけば身体障害者の求職登録件数を逆転して、今、一番多いような状況です。いろいろな就職支援メニューの中の1つとして、障害者訓練を効果・効率的に展開していきたいということです。

 

○菊池座長

 それでは玄田委員、お願いします。

 

○玄田委員

 ありがとうございました、背景で大分イメージが持てるようになりました。その上で、改めてもう1点伺いたいのですが、平成30年や31年度ということを考えた時、特に労働・子育てワーキンググループの重要な背景としては未曾有の人手不足という現状がある。それは多分、恐らくいろいろな意味で目標について影響を与える可能性があるのではないか。特に、人手不足で就業機会が非常に増えるので、そういう意味では例えば障害者の就職率などが比較的追い風になることも考えられるし、再就職に関しても比較的早期で決まる可能性も高い。中小企業なども人を確保するためには福利厚生を含め、労働条件を改善していかないと人手不足に本当に太刀打ちできない。そういう意味では、目標設定についてはある意味で高めに設定して然るべき時期に来ているような印象もございます。

 一方、例えば冒頭あった労働災害など考えますと、ある意味では非常に危険性のあるといいますか、人手不足が深刻化する中でむしろ労働災害が起こる可能性は、かなり懸念しなければいけない。

 あと、ハローワークを通じた再就職ということになりますと、むしろ人手不足の中でハローワークに来るのは非常に就職が困難な人が残る可能性があって、もしかしたら早期の就職については難しくなる可能性もあり、非常に判断が難しくなるわけです。今回の目標設定の中で人手不足が非常に深刻化するということが目標設定の中でどういうような考慮されたのか、それとも余りされていないのか、どちらでも結構ですので、もしお考えがあればお聞かせいただきたいのですがいかがでしょうか。

 

○労働基準局安全衛生部計画課

 まず労働災害の部分からでございます。第13次の労働災害防止計画については、去年の夏から今年にかけて労働政策審議会の安全衛生分科会でも議論をしてきましたが、例えば建設現場などで、今、需要は増えているわけです。人手不足だから経験の少ない人がどうしても入ってくる。そうすると、経験の少ない人が災害の要因になってくるので、それをどうやって抑えていくかということを、政策としてやっていかなければいけないということです。そういう背景の中で、私ども死亡の目標については、前の5年と同じ15%減少するという目標を掲げてやっていくことにしているところです。

 

○労働基準局労働保険徴収課

 適用徴収に関しましては、人手不足と直接関係してきませんけれども、結局労働保険料をきちんと納めていただくことにつきましては、少なくとも収納率が上がっていかなければ駄目なものですから、皆さんから公平に保険料をいただくということに尽きるかと思っております。

 

○雇用環境・均等局勤労者生活課

 中小企業の退職金への新規加入者につきましては長期トレンドと労働力需給要因、制度改正要因で回帰分析しまして、それに基づいてトレンドを出しております。先行きについては、5年間の目標なので、その間恐らくサイクルが一巡すると見られますので、先行きについてはプラスマイナスゼロで置いて目標を立てております。

 

○職業安定局雇用保険課

 雇用保険課です。雇用保険を受給されている方をもとにした指標ですので、まさに先生から御指摘がありましたように、就職困難者も含まれているということも前提としつつ、早期再就職の割合というのは、ハローワークの取組も拡充していることもあり、ここ数年、ずっと右肩上がりということもあって、11ページの指標で暫定値という形にさせていただいております。これは実績が上がってきているということから、当然、実績を踏まえてこれを伸ばす方向で率を高める目標を設定する考えです。

 

○人材開発統括官特別支援室

 資料13ページになりますが、障害者の職業訓練の場合、大きく分けて職業能力開発校の施設内で行う訓練と民間企業等に委託して行う訓練、2つあります。資料13ページ、真ん中の1のところが施設内訓練になります。こちらについては従来の目標、就職目標率65%を平成30年度は70%に引き上げたところです。

 一方、2の委託訓練につきましては目標率55%を掲げておりますが、なかなか実績が伴わないような状況が続いております。要因としては、やはり法定雇用率の引上げ等の影響もあって、民間企業における障害者の就職意欲が高まっていることから、なかなか就職するのに難しい障害者の方がこの委託訓練に入ってきている。いわゆる重度的な障害者の方が増えてきていたり、障害種別で言うとやはり精神や発達障害者の受講生の割合が増えてきております。施設内の訓練であれば専門の指導員がいるわけですが、民間企業等への委託となるとなかなかそうした訓練ノウハウもちょっと乏しいところがありますので、委託訓練のほうについては現状維持の55%という目標率にさせていただいております。

 

○遠藤委員

 大きく2つございます。1つ目は今し方、お答えをいただいたことの関連で申し上げたく思います。資料のページで申し上げますと13ページ、職業能力開発校における修了者の就職率と委託訓練修了者における就職率について目標設定の背景・現状ということで御説明をいただきました。後者の民間企業等における委託訓練の状況というのは、決してここ5年程度の話ではなく、その前の期も含めてなのですが、やはり就職される方の割合は芳しくない。

 芳しくないというのはどういうところに背景があるのかというところは、いろいろ議論がされてきているのですが、なかなかこれといった即効策がないまま現状につながっている。ただし、一方で重要性ということで言えばやはり受け皿を拡大していくということと、その後常用雇用に移っていく場合、双方にとっての働きやすい環境づくりという意味合いでは大変重要な機会になっているということです。

 何を申し上げたいかと言うと、基本計画の中で55%というように定められているから55%で行くということの裏返しとして、やはり40%台、しかも27年度、28年度で言えば下がっているのですが、下がっているのがより働くことに難しさを抱えた方々が労働市場に入ってきているというだけでは説明の付かない部分の数値の低下だと思っております。2013年に続いて2018年の4月で、2期続けて過去にない形で法定雇用率の引上げが行われる現状にあって、政策における後ろ支えといったようなものがない限りにおいては、実雇用率の引上げというのは大変厳しい状況にあることを繰返し申し上げているところでございます。数値自体をどうこう言うつもりはございませんが、その対象として、属性として、あるいは傾向としての説明ばかりに終始するのではなく、具体的な対策といったことについても御検討いただきたいと思います。これが1点です。

 次に雇用保険に関わるところ、11ページからでございます。1つ目として御質問です。11ページの中の背景・課題122のところです。前半を飛ばして後半ですが、失業等給付を適正に給付するというように書いてあります。この「適正な」の意味合いなのですが、たまたま今回、同じようなくだりの部分が8ページにございました。8ページの背景・課題、前半部分を御覧いただきたいのですが、労働者に対する迅速な保険給付を確実に実施すべくという形で書かれております。お尋ねの中身なのですが、11ページに戻って、この「適正な」の意味合いの中には、該当者に対する給付についての、時間的な観念といったものが含まれているのかどうかが1点目です。

 それから、先ほど玄田先生から御指摘があった部分に関わることなのですが、完全失業率がこの1年間を通じて、直近の数字で言えば2.8%という、正に1990年代前半における状況になりつつある中にあって、早期の再就職の割合というのは恐らくこのままの傾向が続くし、より改善の度合いも見込めると思っております。

 そうすると、真逆にある方々の実態はどうなのかというのは常に意識されてくるわけです。端的に申し上げれば、1年以上求職活動している方の絶対数は減っているにせよ、一定割合残っているという現状がある中にあって、その方たちに対する施策あるいは施策の効果といったものをどう見ていくのかということについては、労働市場全体を見た時にやはり重要なポイントになるのではないかと思っております。後段は意見です、以上です。

○菊池座長

 何かございますか。

 

○職業安定局雇用保険課

 まず11ページの御質問と御意見につきまして、まず御質問の件、適正に給付というのは遅きに失してはいけないというのは当然ですので、そういう意味で適正の中には可能な限り速やかにという点が含まれるものだという認識です。

 後者ですけれども、先ほど玄田先生が御指摘になったこととも同根だと思うのですが、今の情勢で就職できない方に対する支援というのは、それこそ正にハローワークの使命だと考えております。雇用保険の給付そのものには給付日数という、言わば保険である以上の制約はあるのですが、可能な限り日数の範囲内で就職していただけるような支援を行うのはもちろんですけれども、できるだけ失業を予防するという観点での能力開発施策でありますとか、また給付日数が切れた後の、更なるハローワークでの就職の御支援というのは丁寧にやっていかなければいけないというのは、当然の認識として御意見を重く受け止めております。

 

○人材開発統括官特別支援室

13ページ、障害者の職業訓練のうち、委託訓練のほうでどういうような手段で今後就職を上げていくかということですが、1つは各都道府県の拠点校に就職支援を行う専門の職員等も配置しております。そういった職員に対してハローワーク等との連携を深め、もう少し梃入れをしていきたいと考えております。

 あと、一部のコースでは、就職した場合に障害者1人当たり幾らか上乗せするようなインセンティブの支給なども行っておりますが、そういったことも含めて考えていきたいと思います。いずれにしても、今、委託訓練については事業の実施に当たって各都道府県にどのような課題があるかについて、年明けにアンケート調査を実施しましたので、その結果を踏まえて30年度以降の予算に反映させるものは反映していく、制度改善だけでできるものは制度改善していくということを改めて検討していきたいと考えております。

 

○菊池座長

 いかがでしょうか。

 

○皆川委員

 皆川です、よろしくお願いいたします。特にお聞きしたいところが資料の1ページ以下、「労働者が安全で健康に働くことができる職場づくり」でございます。こちらは、大括りの目標としては、労働者が働く環境がより安全で健康な働き方ができるようにというところだと思います。達成目標として具体的に挙げられておられるのが、労働災害における死亡者数と労災死傷者数となっております。こうした目標を立てること自体は、従来からの目標の在り方として適切だろうと思うのですが、実際、達成手段のところで挙げておられる施策の中には、御覧いただければお分かりのように非常に多岐に渡る政策が入っております。中には、直接労働災害の防止や労災が起こらないように、啓発も含めた取組を内容としている政策もたくさん挙げられているわけです。その一方、必ずしも労働者の労災と直接にリンクしない、しかし労働者の働く職場の環境がより安全で良くなるものにというところに向けた取組に対する施策も、いろいろ含まれているというように拝見しました。

 いろいろな側面で切り方があると思います。例えば、職場の受動喫煙防止に関する政策や対策も入っております。問題は受動喫煙がなるべくなくなることが直接的に、労災の数に反映してくるのかどうか。労働災害と見られる場合ももちろんあるでしょうけれども、労災を超えて、労働者の傷病に関わるところに関しても、より効果が見込めるような施策であるというようなところもあろうかと思います。

 また、施策の中には例えば女性の働き方、雇用均等行政の情報化推進経費など、あとは非正規雇用、例えば短時間労働者の均等啓発事業というものも含まれているわけです。こうした政策がまずいと言っている趣旨では全然ないのですが、労働者の働き方、様々な雇用形態も含めた幅広い労働者の働き方をよくしようという意味での政策とすることがよろしいかと思います。

 端的に申しますと、最終的な達成目標のところが労災の数ということになっております。これで政策全体の達成目標としては適切だと思うのですが、そのほかに今申し上げた必ずしも労災に収斂しないような施策目標を何らか達成する指標というのは、御検討されたのだろうと拝察は申し上げるのですが、いかがでしょうかという点をお伺いしたいと思います。すみません、長くなりました。

 

○労働基準局安全衛生部計画課

 ありがとうございます。なかなか悩ましいところは、様々な事業を労災保険法の中で労働者の安全や健康を確保するための事業という、附帯事業の1つのジャンルとしてやっている部分があります。今回、ここで掲げられている施策については、その事業として行われている施策ということです。更に難しいのは、私には、それぞれの事業が労災保険法の安全や健康を確保する事業として適切かどうかを判断する立場にないというところがややこしいのです。ただ、それぞれの労災の附帯事業として行われている事業については、今回よりももう少し細かなパッケージごとに、一応労災の附帯事業の運営のための懇談会がございまして、こちらで目標設定をして評価をするということで、更に細かなパッケージとしてはやっているということです。

 我々、大きな目標としてはやはり労働者の安全と健康で、たくさん目標を並べることもできないことはないですが、最も大きな私どもの政策パッケージとしての目標を立てるとすると、やはり死亡者であり死傷者ということになってくるということです。

 

○岩佐委員

 岩佐です。今の関連で発言させていただきます。目標との関係で関連性があるかという観点もそうなのですが、いざ評価をさせてもらう側からすると、一杯書いてあると何をしようとしているのかがよく分からないというか、ここの分野は専門ではないですが、例えばもちろん労災でお亡くなりになる方が1人でも減るというのが目標ではあるのだけれども、例えばこの事業の中で見せていただくと東電の原発の話などが出てくる。これはきっと新しい論点として出てきているので、ここはしつかり取り組まないと逆に増えてしまうという問題もあるので、そういう意図で入れておられるのかなと。

 それから伝統的に労災というのはなかなか減らない部分があるかもしれないけれども、この何年間でこういう観点でやって減らしてみようということでこういう事業が入っているとか、意図が分かるといいのではないか。要するに、減らしていくためのこの何年間の中のポイントはここだと考えているといので、だから事業がこれとこれですと言われるとこちらも評価というか、確認がしやすいのですが、関連するものが全部挙がってくると、特にこの何年間の中で労災を減らしていくというところのどこがポイントなのかが、ちょっと分かりにくいところがある。ですから御説明をいただくか、若しくはポイントを絞った形で事業が挙がっているほうが、私としても分かりやすいのかなと思いました。

 

○労働基準局安全衛生部計画課

 全体の事業と目標の整理ということでは一旦考えさせていただきます。

 

○菊池座長

 今、複数、御意見をいただきました。部局の中では更に細かい指標を設定してやっておられるお話もあったかと思いますが、それはそれとして、全体としての厚生労働省の施策、全体として見れば、ただそこは外から見えない部分もあります。具体的にこういうものを挙げたらいいのではないかというのがあれば御示唆いただければと思います、その辺も含めて少し御検討いただくことはできないですか。

 

○内田委員代理漆原様

 すみません、代理で出席させていただいて、ちょっと意見を述べさせていただきたいと思います。今の安全衛生部分について、分かりにくい原因になっている要因の1つは、安全衛生の施策の途中に他の分野の施策が混在してしまっていることがあると思います。メンタルヘルスの対策であればそれはそれで一箇所にまとめてもらったほうが、全体で読む時に分かりやすいので、そういった工夫をお願いできないかと思っております。以上です。

 

○菊池座長

 ありがとうございます。

 

○山田委員

 私は福祉・年金ワーキンググループなのですが、専門が社会保障と労働政策ですからそちらの観点から幾つかコメントを差し上げたいと思います。

 まず1ページ目、これも先ほどからいろいろと議論がありますけれども、2ページ目の(7)に書いてありますとおり、精神障害による労災支給決定件数というのは増加傾向にある。先ほども御意見がありましたが、メンタルヘルスについては、非常に重点化してやろうというおつもりであるならば、達成目標について何らかの指標は入れるべきだと思いますので、こちらは何らかの指標を入れていただきたいというのが1点目になります。

2点目は8ページの資料になります。これは達成目標の2、○が付いているところですが、未手続事業対策により労働保険に加入した事業場数、これは年金保険や健康保険もそうですが相当数の未手続事業場が残されているという問題がある。これは単なる収納率の話ではなく、ソーシャル・ダンピングというか、入るべきものを免れている事業場数があるということであれば、何らかの形で推定して何パーセント入れるか、何パーセント入れたかという形でむしろここは掲げる。アウトプットではなくアウトカムの指標として入れたほうがいいかと思います。

13ページについては測定目標の12について、先ほどから障害者委託訓練修了者における就職率をどう見るかという議論がありました。施策実現のための背景・課題、13ページの上に「障害者の障害特性を踏まえつつニーズに」と書いてあるので、当然ながら障害者の障害特性に分かれた指標が必要になるかと思います。そうしないと非常に重度の方が出てきて、要するに就職率が下がっているのかそうではないのかは、こちらとしては判断ができません。こちらは何とかして分けて書いていただきたい、私からは以上です。

 

○菊池座長

 ありがとうございます、何かコメントはございますか。

 

○労働基準局安全衛生部計画課

 先ほどお話のあったメンタルヘルスの目標設定という話、先ほど申し上げた全体の事業と目標設定全体の中でどうするかという話の中で検討させていただきます。

 

○労働基準局労働保険徴収課

8ページです。先ほどお話がありました、未手続事業場における加入した事業者数のアウトプットではなくアウトカム目標ということですが、実はこれは待っているのではなく、こちらから積極的に未手続きのところに行って加入勧奨・加入促進をさせ、件数を上げています。放っておきますとどんどん増えていくものですから、それをいかにこちらから行って手続きをさせて加入させるかでアウトプットという形にさせていただいております。

 

○山田委員

 ごめんなさい、アウトプットかアウトカムかという、どういうように仕分けるかという話をしているのではなくて、いわゆる未手続事業場数が相当にのぼることを認識されておられるのであれば、その事業場数のおよその数か何かを挙げた上で、何パーセントをそういった形で入れたか。要するに、パーセント表示をしたほうがよろしいのではないかというコメントでした。

 

○労働基準局労働保険徴収課

 分かりました、そういう形で今後検討させていただきたいと思います。

 

○人材開発統括官特別支援室

13ページ、障害者の就職率についてそれぞれの障害種別ごとにということですが、これについてはちょっと検討させていただきたいと思います。大きく分けて例えば身体、知的、精神というような括りであれば検討もできるのかなと考えております。

 

○菊池座長

 時間が迫っております、岩崎委員でラストということでお願いします。

 

○岩崎委員

 私も他分野の委員ですが、13ページのところでちょっとお聞きしたいことがあります。福祉サービスの分野で今、就労移行支援という事業などかなり数が多くなって、違う問題が生じていると思います。それによって、結構こちらに上がっていらっしゃるような訓練校や委託訓練などの就職率も低くなるということにもつながっているのかと思います。実際に評価をなさる時、福祉サービスの領域では最近就労したということだけではなく、その後どれぐらい定着したのか、それが随分数字として重要になってきていると思います。その辺りのことというのはいかがなのでしょうか。

 

○人材開発統括官特別支援室

 現行では、就職した場合、例えばその方が雇用保険の被保険者ということになるのであれば被保険者番号で追い駆けて、データ分析ができるかどうかを含めて検討させていただきたいと思います。

 

○菊池座長

 福祉サービスの分野では定着支援がきちんと給付化されているという流れがあるので、それと就労、障害者雇用との平仄が合っているのかという御指摘でもあるのかなと拝聴いたしました。よろしいでしょうか。それでは、担当課におかれましては、本日の御議論を踏まえて、必要に応じて事前分析表の修正を行っていただければと存じます。どうも御苦労様でした。

 それでは次のテーマ、福祉・年金分野に移りたいと思います。メインテーブルの入替えをお願いいたします。

(メインテーブル入替)

 

○菊池座長

 それでは、福祉・年金WGに関連する施策について質議を行います。対象施策目標は、資料3-4にある3つの政策目標です。先ほど玄田委員から御指摘いただいたことは、私も確かにそうだなと思いましたので、それぞれ簡単に、12分で結構ですので、施策実現のための課題が書かれていますが、その課題の背景になる部分について、もう少し膨らませて御説明いただければと思います。そして、測定指標としてこの指標を挙げたという、その辺りの理由を最初にそれぞれお伺いできればと思います。まず、認知症施策からお願いします。

 

○老健局認知症施策推進室

 老健局認知症施策推進室です。施策実現のための背景・課題ですが、施策の概要にも記載のとおり、我が国の認知症高齢者の推計ということで、約500万人の認知症の方がいらっしゃいます。また、2025年には約700万人の方が認知症になるという推計があります。高齢者人口が約3,500万人と考えますと、約7人に1人が認知症になるということです。

 こちらには書いておりませんが、年齢が上がっていくと有病率が上がってきて、例えば85歳、90歳と健康に長生きをしていくと、2人に1人ぐらいの頻度で認知症を発症するという中で、1つ目は、誰もが身近なものである認知症について、認知症とともに生きていくときに優しい社会、生きていきやすい社会を作るためには、まず普及・啓発がベースとして大事だろうということで、普及・啓発に係るものを1番目として書いております。

 その先として、認知症になった後に医療・介護、そのほかインフォーマルなサービスにつながっていく必要があるわけですが、そういう意味で、認知症は進行性の状態ですので、その状態にふさわしい場所で適時・適切に医療・介護を受けられるようにということで、それを2つ目の柱にしております。

 その上で、指標については、認知症サポーターは認知症政策「新オレンジプラン」という国家戦略に基づいて進めていますが、その普及・啓発における柱となる施策ですので、そちらの進捗状況、アウトプットのものですが、そちらを指標としております。2つ目の指標は、医療等の従事者について、専門医だけではなく、地域のかかりつけ医から病院で勤務する一般の従事者も含めて、認知症に関する対応力を向上していただくことが必要であろうと、そうすることでそれぞれの場所で適切な対応ができるということにつながってくるだろうということで、そのような指標を立てております。

 

○国際課

 国際課です。国際課の業務は、国際機関を通じて国際貢献をする、あるいは国際的な知見を活用して日本の厚生労働省の政策の企画立案の参考にするということです。

 保健分野ですが、1つ目がWHOへの拠出です。これによって、途上国の感染症対策や、最近は国連のSDGsUHC(Universal Health Coverage)2030年までに達成することになっていますが、日本は御案内のように世界に冠たる国民皆保険を保持している国で、UHCを世界で達成する上でも日本がリーダーシップを取っていくというものです。感染症対策や制度作りについても貢献していきたいということです。

OECDについては、先ほど申し上げたように、厚生労働省の雇用や医療、社会保障といった分野の政策の企画立案について、国際的なデータ、あるいはOECDの分析等も活用して反映させていただいているということです。

ILOについては、下の目標3に書いてありますように、国際労働機関が行う各事業の設定計画を達成することを通じて、アジア・太平洋地域のディーセントワーク実現に寄与することが具体的な内容です。

 上に戻って、4ですが、顧みられない熱帯病、余り疾病率が多くなかったり、ビジネスとしてなかなか採算性が取れない薬、結核やマラリアの治療薬の研究開発等については、先進国において需要が少ないということで、必ずしも十分になされていないということで、ここに対しててこ入れをしております。簡単ですが、以上です。

 

○厚生科学課

 厚生科学課です。私どもは、国立試験研究機関の適正かつ効果的な運営を確保することということで、今回上げさせていただきます。

 御存じのように、試験研究機関にはそれぞれの目的があり、全部で4か所あります。大別すると、国民の健康や安全、感染症等の対策をしていく医薬品食品衛生研究所と感染症研究所があります。それとは少し方向性が違いますが、国の社会保障制度をはじめとする各種政策の基礎資料的なものとして、社会保障・人口問題研究所があります。そのほかに、特に公衆衛生の観点からの地方自治体職員等への研修や各種研究を行っている国立保健医療科学院があります。この4つについて、今回はそれぞれの行っている施策目標を掲げさせていただきました。簡単ですが、以上です。

 

○菊池座長

 それでは、御質問、御意見等ありましたらお願いします。

 

○山田委員

1ページ目の11-1-3、施策実現のための背景・課題は、今御説明いただいたとおりなのですが、そのときの容態に最もふさわしい場所で医療・介護等が提供されるということが課題になっていて、それに対応する目標は認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供になるのではないかと。確かに、2ページの達成目標2については、御説明のとおり、こうしたことが行われていけば達成されるとは思いますが、もう少しダイレクトな指標が必要ではないかというのがコメントです。具体的には、認知症の方が一体どこにいらっしゃるのか、精神病棟に入っているのか、それとも在宅でやっているのか、そういった情報がないと、目標2がどのように達成できているかどうかは、国民からはなかなか見えてこないと思いますので、是非そちらの指標を入れていただけるようにお願いしたいと思います。

2つ目は、6ページ目の13-1-1についてです。私がたまたま関わっていたものですので、非常に細かいコメントになりますが、施策実現のための背景・課題の3で、「国の社会保障制度をはじめ」という所の中ほどに「社会保障給付費の推移」と書いてあるのですが、これは厳密に言うと、平成24年から基幹統計の指定を受けて社会保障費用統計になっております。古い表現が残っておりますので、非常に細かいことで恐縮ですが、修正いただければと思います。

 

○菊池座長

 コメントはありますか。

 

○老健局認知症施策推進室

 認知症の方がどこにいるか、直近のもので整理をしていないので、モニターすべき指標としては御指摘のとおりですが、目標としては今なかなか設定しづらいところがあります。また、こちらに掲げている目標は「新オレンジプラン」の目標とも重なるように設定しているところもあるので、御指摘のとおり、今、認知症の方がそれぞれの希望に沿った環境で過ごせているのかというのは重要な視点だと思いますので、そういう視点でどういうことがモニターできるか、少し検討させていただければと思います。

 

○菊池座長

 ほかにいかがでしょうか。

 

○平野委員

1つは認知症の件ですが、認知症の分野は広い意味での基本目標として地域づくりのような目標が立っています。認知症の例だけではなくて、子どもの話や障害の話も、大きな基本目標は、今、地域づくり、社会づくりという用語が出ています。社会づくりや地域づくりといわれる政策目標の達成を何で図るのかというのが一番厄介で、私は地域福祉のことをやっていますが、地域福祉研究者はちゃんと指標を出していないではないかと、ときどき言われるので、なかなか痛し痒しなのですが。質問ですが、できるだけ地域づくりが明確になっていくような指標にどのように直していくかは、是非方向性としては考えていただければと思います。

 その点で、認知症サポーターというのはその地域づくりをやる1つの主体で、この人数(目標値)は適切かなと思いますが、今年ちょうど介護保険事業計画の見直しの時期で、私も幾つかの市町村の計画課題を調査したところ、研修を受けてサポーターにはなるのだけれども、活動の場がないというのが事業計画上の最も重要な政策課題だと回答してくれたのです。そういう意味では、ここの人数の実際の活動率というか、そこまで少し踏み込むと、地域づくりにより近づいていくのではないかと思うのです。市町村の単位としては、この事業はかなり普及したと思いますし、実績も上がっていると思いますが、研修を受けた後なかなか活動の機会がないというのが市町村の現状になっています。ですので、最初に申し上げたいろいろな意味での社会づくりや地域づくりをやるときの、その人たちが活動する内容をどういう形で把握するか、なかなか難しいですが、そういうところに踏み込んでいただければというのが1点です。

 もう1点は、先ほど局をまたぐというお話もありましたが、認知症対策の場合も、非常に広範な、ここに書いてありますように「総合戦略」という表現があって、そういう意味では認知症の分野が総合戦略性をもう1つの軸として持っているとすれば、そのことに対する評価指標を今後どう考えていくのかというのが、もう1つの論点になるのではないかと思っております。

 

○老健局認知症施策推進室

 ありがとうございました。1点目の社会づくり、地域づくり、認知症で言えば「新オレンジプラン」の副題も「認知症高齢者等に優しい地域づくりに向けて」と付けているとおり、認知症高齢者にとってどう優しい地域になっているのかを指標で評価すべきだという御指摘は、他方面からも頂いております。老健事業などを活用しながらどういう評価指標が立てられるか、チャレンジはしているところです。まだ、すぐにこの指標でというところまでは至っておりませんが、海外には幾つかそういう指標もあると聞いておりますので、引き続き研究をしていきたいと思います。

2つ目のサポーターの活動については、御指摘のとおり、活動したいというサポーターがしっかり活動につながっていくことが重要だと考えております。昨年7月に、新オレンジプランの改定を行った際も、数値目標の更新だけが少しクローズアップされておりますが、文章の内容の所も見直しをしており、サポーターについては具体的な活動につながっていくことを重視したいということで、取組としては御指摘のとおりです。また、好事例としても各地の取組を収集したり、フォローアップとしての研修を盛り込んだりといったことに取り組んでおります。ただ、サポーターとして活動の任意性も大事にしたいという声も一方で強くあり、具体的には見守りや認知症カフェ等、様々な場面で活動していただいている事例も積み重なってきてはいるのですが、今後、一層そうした具体的な活動につなげていくというところを、どういうやり方でやっていくかは御指摘も踏まえながら考えていきたいと思います。

 

○菊池座長

 ほかにいかがでしょうか。時間の関係がありますので、岩崎委員、漆原代理と続けて御質問を頂いて、まとめて所管課で対応していただくという形にさせていただきます。

 

○岩崎委員

 認知症サポーターの数は出ているのですが、サポーターのキャラバンメイト、養成研修を主催する側の立場の方たちの数も公表されていますね。地域包括ケアシステム等いろいろな構想の中で、非常に主体的に研修に関わろうと考えてくださる方たちの数も非常に目安になると思うので、それは入れないのでしょうか。

 

○内田委員代理漆原様

4ページのILOについて、順番的には分担金、義務的拠出金と来るようなイメージがあったのですが、拠出金が先になっている理由は何かあるのでしょうか。その理由として、例えばアウトカムなりアウトプットなりとの関係であえてそのようにしているのかお教えいただければと思います。プロジェクトに関係してこのようになっているのかどうかについてお伺いしたいと思います。

 

○老健局認知症施策推進室

 認知症サポーターの養成については、委員が御紹介くださったように、キャラバンメイトを養成して、そのメイトが地域で、基本的には小さな集団で、かなり密接な中で講座を行っていただくというやり方で、非常に重要な役割を担っていただいております。数値としては、もしかしたら間違っているかもしれませんが、この数字の中にメイトの数とサポーターの数を合わせた数字だと思います。その内訳として、分けて目標とするかどうかは、今までメイトの養成数を目標として定めたことが、実施団体とのあれでもなく、サポーターを養成するためにメイトの養成をしているというやり方で来ましたので、分けて目標とするのは少し慎重に検討したいと思いますが、数値としてはメイトの数も公表しておりますし、この内訳で把握できるはずだと思います。

 

○菊池座長

 「思います」ということなので、違っていたら後で修正してください。

 

○老健局認知症施策推進室

 すみません、確認させていただいて、もし違っていれば訂正いたします。

 

○国際課

ILOについてですが、御指摘ありがとうございます。まず分担金と拠出金の差ですが、分担金は義務的経費で、国際機関に加盟している国が、大体はGDPなのですが、GDPに応じて分担金を義務的経費として必ず拠出するということです。拠出金は任意の、ボランタリーの拠出金で、国際機関が行う事業、プロジェクトに対して、加盟国がその事業は大事だと思って、この事業をやってほしいというときに拠出金で付けているというものです。

 この順番については、余り深い意味はないというのが回答なのですが、今回の達成目標のディーセントワークについては、正に拠出金事業で、日本としてアジア・太平洋地域においてディーセントワークを普及するのは大事だということで、任意拠出金でやっている事業で、そういう意味で、今回、分担金でなく、達成目標のほうに拠出金でやっている事業を掲げているので、上のほうに書かせていただいたということです。

 

○菊池座長

 よろしいでしょうか。それでは、担当課におかれましては、本日の御議論を踏まえて、必要に応じ事前分析表の修正を行っていただければと思います。どうも御苦労さまでした。御退室いただいて結構です。

(所管部局退室)

 

○菊池座長

 すみません、私の仕切りがよくなくて、少々時間をオーバーしております。もう1つ、議事3「その他」ということで事務局より報告事項があるとのことですので、よろしくお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 事務局からの報告事項が2点ございます。1点目ですが、参考資料4を御覧ください。政策評価制度をめぐる動きということで、政府全体の動きを御紹介します。こちらにありますとおり、「証拠に基づく政策立案(Evidence Base of Policy Making)」を推進していく取組が、今年度、政府の方針として決定されております。毎年6月に発表する経済財政に関する基本方針、いわゆる骨太の方針において、本年度は証拠に基づく政策立案の推進を一体的に推進することとされております。具体的な内容はこれからですが、政策評価に関しては真ん中の四角の総務省行政評価局とある部分の取組になります。総務省行政評価局が政策評価制度の担当なのですが、既存の政策評価の中でデータ分析の妥当性をチェックするとともに、実証的共同研究を行うこととしており、厚生労働省も参加することとしております。また、取組の進捗等があれば会議でも御報告いたします。

 もう1点ですが、参考資料5を御覧ください。今日の会議でも、菊池座長から「会議で出た意見について、進捗を委員の皆さんへきちんとフィードバックするように。」というお話がありました。それに関連する資料でもあるのですが、夏のワーキンググループで、各ワーキンググループから御意見を幾つか頂きました。夏は実績評価のタイミングで評価書を御議論いただいたのですが、評価書を議論していく中で目標や指標設定についても御意見を頂きました。その各意見について、現状どのような検討状況になっているかを整理したのが参考資料5です。個別の検討状況をこちらで御報告する性格のものではないのですが、中長期的な検討事項も多くありましたので、今回からは年度末の全体会議で会議資料としてまとめることにより御報告することとしました。

 中長期的なものも多いのですが、まずは現時点で、平成30年度の事前分析表においてどのように対応するのかという観点でまとめております。中には引き続き検討中のものや、頂いた御指摘そのままの対応ではなく、担当課で持ち帰ってこのように対応するといったものもあります。いずれの回答についても、会議で御指摘を頂いたことによって目標、指標の設定が改善されたものと思いますので、今後もこうした形で、会議で頂いた御意見を政策評価の改善につなげていきたいと思っております。事務局からの報告は以上です。

 

○菊池座長

 よろしいでしょうか。それでは、以上で予定しておりました議事は全て終了しました。本日は、大変熱心かつ有意義な御審議を頂きましてありがとうございました。

 それでは、事務局から今後のスケジュールについて説明をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 議事1にありました平成30年度の基本計画()及び実施計画()については、省内の決済手続を経て今月中に策定し、公表させていただきます。

 議事次第2の事前分析表については、御意見、御指摘を多々頂きましたので、それについて省内で対応したいと思います。最終的には夏をめどに公表というルールになっていますが、対応した結果については、また委員の皆様に御報告させていただきます。事務局からは以上です。

 

○菊池座長

 それでは、これをもちまして、本日の会議は終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。

 

 

 


(了)

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