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2017年12月26日 第265回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録

職業安定局需給調整事業課

○日時

平成29年12月26日(火)10:00~


○場所

東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館
専用第22会議室(18階)


○出席者

委員

(公益代表)鎌田委員
(労働者代表)村上委員、永井委員、奈良委員
(使用者代表)高橋委員、小林委員、前川委員

事務局

小林大臣官房審議官、牛島需給調整事業課長、竹野派遣・請負労働企画官
三輪主任中央需給調整事業指導官、佐野需給調整事業課長補佐、永島需給調整事業課長補佐

○議題

(1)労働者派遣事業の許可基準について(公開)
(2)労働者派遣事業の許可について(非公開)
(3)有料職業紹介事業及び無料職業紹介事業の許可について(非公開)

○議事

○鎌田部会長 ただいまから、「第 265 回労働力需給制度部会」を開催いたします。本日は、公益代表の松浦委員、藤本委員が所用により御欠席されるということであります。

 ここで、先月、平成 29 11 21 日付けで労働者代表委員として就任されました奈良委員が本日初めての御出席となりますので、一言御挨拶をお願いいたします。

 

○奈良委員 おはようございます。全建総連の奈良と申します。前回は欠席させていただきました。申し訳ありませんでした。これからひとつ、よろしくお願いいたします。

 

○鎌田部会長 本日の進め方ですが、お手元の次第の議題 (1) について公開で御審議いただき、その後、許可の諮問の審査を行います。許可の審査については資産の状況等の個別の事業主に関する事項を扱うことから、これについては「公開することにより、特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼす恐れがある」場合に該当するため、非公開とさせていただきます。傍聴されている方々には、退席いただくことになることをあらかじめ御承知いただきたいと思います。

 本日の議事に入ります。まず、議題 (1) の労働者派遣事業の許可基準について事務局から御説明いただいた後に、質疑の時間を取ることといたします。それでは、説明をよろしくお願いいたします。

 

○佐野補佐 事務局です。資料 1 を御覧ください。「労働者派遣事業の許可基準の改正 ( ) 」の資料になります。趣旨にありますけれども、労働者派遣事業を行おうとする者につきましては、派遣労働者に対する賃金支払いの担保等といった観点から、許可基準として一定の資産要件を定めているところです。具体的には、 2 の概要に書いていますけれども、許可申請事業主に関する財産的基礎として、 3 つありますが、資産の総額から負債の総額を控除した額、これは基準資産額と呼んでいますが、この基準資産額が 2,000 万円に当該事業主が労働者派遣事業を行う ( ことを予定する ) 事業所の数を乗じた額以上であること。基準資産額が、負債の総額の 7 分の 1 以上であること。事業資金として自己名義の現金・預金の額が 1,500 万円に当該事業主が労働者派遣事業を行う ( ことを予定する ) 事業所の数を乗じた額以上であること。こういった財産的基礎の要件を許可基準として、労働者派遣事業の業務取扱要領において定めているところです。この資産要件の目的ですが、派遣労働者への賃金支払い等を確保し、派遣労働者の保護を図ることにあります。この点、地方公共団体が債務保証や損失補填をする場合もこのような目的は達成されると考えられることから、今回この資産要件を見直して、「ただし」の所ですが、「地方公共団体による債務保証契約又は損失補填契約が存在することによって派遣労働者に対する賃金支払いが担保されている場合は、資産要件を満たしていなくても差し支えないこととする」旨を追加することとしたいと考えております。

 今回このような見直しを行う契機ですが、自治体が他の事業主体と連携をして、労働者派遣の仕組みを活用して施策を推進することが今後想定されてまいりまして、例えば、国家戦略特区において、農業分野に外国人材を受け入れる制度が今般設けられたところです。

 具体的には 3 ページを御覧ください。横置きの資料です。「外国人農業支援人材の活用について」という資料です。これが今回国家戦略特区として創設されたスキームです。真ん中の受入企業、法律的には特定機関と呼んでいますが、この特定機関が外国人農業支援人材を雇用し、右側の派遣先農業経営体に派遣する。そしてその派遣先農業経営体で外国人農業人材が指揮命令を受けて農業支援活動を行う。こういうスキームになっていまして、法的には労働者派遣のスキームを活用するものとなっております。上のほうにありますが、事業全体の管理を関係自治体と関係省庁からなる適正受入管理協議会が担う。そういうスキームが今回国家戦略特区として設けられたところです。

 このスキームにおいて、労働者派遣の形態を活用して行うことになりますので、特定機関(受入企業)は派遣業の許可を取得している必要がありますが、この制度の設計を行う過程で、規模の小さな自治体においては資産要件を満たす事業主体が存在しない可能性もありますけれども、施策の推進を図る自治体が一定の責任をもって事業を進める場合には、そうした自治体の施策の推進に支障がないようにすべきといった議論がありました。こうしたことも踏まえ、資産要件について検討を進めてきた結果、言わば第三セクターのような形で、自治体が事業体を設立して労働者派遣を行うという方法も想定されましたことから、今般の資産要件の見直しを行うこととしたところです。なお、自治体が施策を推進する上で、派遣というスキームを活用して事業を行うことは、必ずしも今申し上げたような国家戦略特区に限定されるわけではありませんので、今回の見直しは特区に限定しない案としております。

1 ページに戻ります。今申し上げたのが今回の見直しの背景ですけれども、適用期日は来年の 1 1 日を予定しているところです。資料の説明は以上です。

 

○鎌田部会長 ありがとうございます。この件につきまして御質問、御意見がありましたらお願いいたします。

 

○村上委員 説明ありがとうございました。特区の仕組みについて確認させてください。 3 ページの図ですが、国家戦略特区での事業なので、派遣先の農業経営体が特区の区域内にあるということが条件で、その特定機関のほうは、当該自治体の中になくてもいいという理解でしょうか。別の都道府県などにある派遣事業者がこれらの条件を満たした上でこの活動をするということも可能なのか、あるいは事業所を持ってなくてはいけないのか、その点を確認させていただきたいと思います。

 

○牛島課長 今日お配りしている参考 1-2 があります。直接の担当ではないというところは御了承いただければと思います。参考 1-2 が、先日内閣総理大臣決定ということで特定機関等に関する指針という形で決定されたものです。これの 2 ページの第 5 1 、特定機関はこれこれと書いていますが、事業実施区域内又はこれに隣接する市町村の区域内に所在する、括弧は飛ばします、派遣事業を行う本社又は直営の事業所が要件になっています。ただし、括弧の中ですが、これから当然自治体が認定区域計画を策定してまいりますので、その中で別途定めた区域がある場合には当該区域内というような縛りがかかっていますので、具体的には実施区域内に事業所があるところ、ただし計画の中で何も書いてない場合は、その隣接市町村に事業所の所在地又は本社がある場合は可能となっているようです。こうしたところに沿っての運用になってこようかと思います。当然のことながら、新たな派遣事業主が労働者派遣事業を行うということであれば許可を取っていただくというところは、当然派遣法のスキームの中で担保していくという形になってまいります。

 

○鎌田部会長 よろしいですか。

 

○村上委員 はい。直接担当ではないということですが、追加でもう 1 点伺います。今回の指針の中で、 3 ページの図の中でも、雇用契約の中で派遣する外国人農業支援人材は、日本人と同等額以上の報酬額となっております。これについては一体どうやってやるのだろうかという疑問もあるのですが、それはさて置き、派遣法がかかるということは、同一労働同一賃金の改正された法についても適用されていくという理解でよいでしょうか。

 

○牛島課長 村上委員から御指摘があったのは、資料 1 3 ページの、特定機関と外国人農業支援人材に両矢印が書いてあって、雇用契約の所の 2 つ目のポツの所と理解いたしました。日本人と同等額以上の報酬額というのは、家事支援の既存のスキームでも同じような要件になっておりまして、この農業特区の中でどのようにここを確認していくかというところは、解釈通知がまだ、内閣府でまだ検討中ということで、確定していない状況になっております。基本的には家事支援と同じようなスキームの中で確認をしていくことになろうかと思います。あと派遣法の適用はこの特区のスキームの中でもありますので、同一労働同一賃金の法案が通って適用されるという状況になったときは、そちらも履行していただくことが必要になってくると、法制度上はそういう形になってきます。

 

○鎌田部会長 よろしいですか。ほかにありますか。

 

○奈良委員 この許可基準の見直しについては、国家戦略特区での外国人農業支援人材の活用以外にも、基本的には派遣事業において通用する話になるということだったのですが、そうした場合、例えば、地方自治体による債務保証や損失補填契約が存在をする事業者が派遣事業を行っていて、経営破綻をした場合に、賃金の保証というのはどこまで担保されるものなのでしょうか。一般的にそういう損失補填契約等で、優先債権として派遣労働者の賃金がきちんと保証される枠組みというのが、この見直しの規定だけで担保されるものなのでしょうか。

 

○牛島課長 債務保証契約なり損失補填契約となると、自治体での手続となり、地方議会できちんと議決を取った上で履行していただく形になってまいりますので、私どもとしてはそうした地方議会の議決を経て結ばれている契約ということであれば、そこは適切に履行がなされていくべきであるというところです。ですので、そうしたところを踏まえ、こういったケースが今後出てくるのかどうかは推測になってきますけれども、きちんと履行していただく形でフォローしていきたいというのが私どもの気持ちというか考えです。

 

○奈良委員 一番気になるのが労働者の賃金で、不払い等が意外と発生してしまうということの危険性です。例えば私たちの建設業では、公共工事においても非常に多くのこういう賃金の不払い案件とかが出てくるわけで、自治体発注、公的機関の発注工事であってもそういうことは起こるわけです。派遣事業で、きちんとこういう債務保証なり損失補填契約を結んで派遣事業を行っているということであれば、しかも自治体の議会の議決もあれば、何らかのときには、優先してその賃金が保証されるというように考えてよろしいのですか。

 

○牛島課長 ここで求めている契約というのは、当然のことながら、この資産要件に代替する形で位置付けられるべき契約になってきますので、債務保証、損失補填、ここの中で、例えば一定部分しか見ませんと。そのような契約であれば当然この対象からは除外される。そういう意味では、この特定機関が、生じてしまった損失部分については基本的には全額を見てもらうという内容が、この資産要件の例外としての契約というように位置付けるべきと考えておりますので、そうした運用を通して、適切に、少なくとも派遣労働者に不利益が及ばないようにするというのは非常に大事な視点だと思っておりますので、そういったところで履行確保をさせていただければと考えております。

 

○奈良委員 ありがとうございます。

 

○鎌田部会長 よろしいですか。ほかにありますか。私が今話を聞いていて、確認したいと思うのですが、地方公共団体の債務保証契約、損失補填契約というのは、恐らく派遣会社、地方公共団体と受入企業との間で結ばれるわけですよね。そうしますとその補填したり保証するというのは、契約当事者間ということで考えれば、地方自治体から支払い不能になっている会社に対しての債務履行ということになります。聞きたいのは、それが確実に労働者に渡るかどうかということを考えて、ちょっと疑問になるということであれば、この債務保証契約と損失補填契約プラス第三者のための契約という形で、直接労働者が地方自治体に対して、その部分について請求するというスキームは考えておられるのでしょうか。それとも、今のところはそんな細かいところまでは考えていないと。

 

○牛島課長 恐縮です。今、部会長のお話にあったような、第三者のためにする契約というところまでは現時点では想定はしておりません。特区という形で自治体で議会の議決を経ていくと、当然のことながら、議会でそうした審議をするときには、そこで働くであろう派遣労働者についての不利益が生じないことも加味した上での議決になるはずですので、そうしたところを前提にこの要件で、当面は派遣労働者の保護という観点でも確保がされるのではないかというのが私どもの考えです。どういう案件が出てくるかに応じて、もしまた見直しが必要だということであれば、またそこの部分については、御意見を頂きながらの改善というか見直しはしていくべきであるとは思っております。

 

○鎌田部会長 はい、分かりました。ほかにはありますか。特になければ、議題 (1) の労働者派遣事業の許可基準については、事務局案のとおり改正するということでよろしいでしょうか。

 

                                    ( 了承 )

 

○鎌田部会長 はい、ありがとうございます。それでは、そのような形にしたいと思います。

 公開部分は以上です。議事録の署名は高橋委員と永井委員にお願いいたします。事務局から連絡事項はございますか。

 

○永島補佐 傍聴者の皆さまに御連絡申し上げます。傍聴者の皆さまにおかれましては、委員の随行の方が退席された後に、事務局の誘導に従って御退席ください。よろしくお願いいたします。

 

                        

 


(了)

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