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2017年8月23日 中央社会保険医療協議会 総会 第359回議事録

○日時

平成29年8月23日(水)8:59~9:47


○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)


○出席者

田辺国昭会長 中村洋委員 松原由美委員 荒井耕委員 関ふ佐子委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 間宮清委員 宮近清文委員 松浦満晴委員
松本純一委員 今村聡委員 松本吉郎委員 万代恭嗣委員 猪口雄二委員 遠藤秀樹委員
安部好弘委員
菊池令子専門委員 丹沢秀樹専門委員
<事務局>
鈴木保険局長 渡辺審議官 伊原審議官 迫井医療課長 古元医療課企画官
矢田貝保険医療企画調査室長 中山薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○医療機器及び臨床検査の保険適用について
○医薬品の薬価収載について
○DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について
○先進医療会議の検討結果報告について
○震災特例について
○その他

○議事

○田辺会長

 定刻より前でございますけれども、皆様おそろいのようでございますので、ただいより、第359回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。

 まず委員の出席状況について御報告いたします。

 本日は榊原委員。野口委員、岩田専門委員、横地専門委員が御欠席でございます。

 なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきますので、御協力のほうをよろしくお願いいたします。

(カメラ退室)

○田辺会長

 それでは、早速、議事に入らせていただきます。

 初めに「医療機器及び臨床検査の保険適用について」を議題といたします。

 本日は、保険医療材料等専門組織の小澤委員長にお越しいただいております。小澤委員長より、御説明をお願いいたします。

○小澤委員長

 それでは、説明いたします。

 「中医協 総-1-1」の資料をごらんください。今回の医療機器の保険適用は、C1の1区分1製品、C2の2区分2製品です。

 3ページ目をごらんください。製品名は「レメイト オーバーザワイヤー 静脈弁カッター」です。

 5ページの「製品概要」をごらんください。本品は、大腿動脈閉塞症におけるバイパス移植術において、伏在静脈の静脈弁を切開するために使用する静脈弁カッターです。

 3ページ目にお戻りください。価格につきましては、類似機能区分比較方式の場合、既収載品に比べ、ガイドワイヤーを併用することで、挿入時にカテーテルが血管の支流に外れるなどせず、目的部位へ到達可能となったこと。抜去時に血管損傷を回避することが期待できることから、主に機能自体で直接的な工夫がなされていると保材専として判断し「改良加算(ハ) 1%」の評価としました。この結果、最終的な価格を86,000円といたしました。外国平均価格との比は0.67です。

 続きまして、7ページ目をごらんください。製品名は「FreeStyleリブレ」です。

 9ページ目の「製品概要」をごらんください。本品は、通常の自己血糖測定器としての機能のほか、皮下に挿入したセンサーが間質液中のグルコース濃度を測定し、Readerでスキャンすることで間質液中のグルコース濃度を表示する機能等を持つ血糖測定器です。

 7ページにお戻りください。価格につきましては、特定保険医療材料としては算定せず、技術料の枠組みで評価することが適当と判断し、決定区分C2といたしました。このため、外国平均価格との比はありません。

 続きまして、11ページ目をごらんください。製品名は「Micra経カテーテルペーシングシステム」です。

13ページ目の「製品概要」をごらんください。本品は、カテーテルを用いて経皮的に右心室内に留置される電極一体型の埋め込み型心臓ペースメーカーです。

11ページにお戻りください。価格につきましては、既存品と構造が全く異なることから、類似機能区分なしとして、原価計算方式で算定し、臨床上有用な新規の機序や構造を有している、患者にとって低侵襲治療の推進や、合併症発生が著しく減少することなどが期待されると保材専として判断し、営業利益率の標準係数に対してプラス21%の評価としました。この結果、最終的な価格を104万円といたしました。外国平均価格との比は0.76です。

 続きまして、「中医協 総-1-2」の資料をごらんください。今回の臨床検査の保険適用はE2の2件です。

 3ページ目をごらんください。販売名は「ネフロスカラー・MPO-ANCALA)」です。

 測定項目は「抗好中球細胞質ミエロペルオキシダーゼ抗体」です。

 測定方法は「ラテックス免疫比濁法」です。

 4ページ目の製品概要をごらんください。本検査は血清または血漿中の抗好中球細胞質ミエロペルオキシダーゼ抗体を測定するものであり、これにより急速進行性糸球体腎炎の診断または経過観察に有用となるものです。既存法と比べ、汎用自動分析装置での測定が可能であり、短時間で測定結果が得られるものです。

 3ページ目にお戻りください。保険点数につきましては「D014 自己抗体検査 27 抗好中球細胞質ミエロペルオキシダーゼ抗体」の276点を参考点数としております。

 続きまして、5ページ目をごらんください。販売名は「ジーンシリコンDNAチップキットUGT1A1」です。

 測定項目は「UDPグルクロン酸転移酵素遺伝子多型」です。

 測定方法は「PCR法と核酸ハイブリダイゼーション法を組み合わせた方法」です。

 6ページ目の製品概要をごらんください。本検査は、塩酸イリノテカンの投与対象となる患者の全血より抽出した、ゲノムDNA中のUDPグルクロン酸転移酵素遺伝子多型を測定するものであり、塩酸イリノテカン投与後の副作用発現の危険性を予測できることが期待されます。

 5ページ目にお戻りください。保険点数につきましては、「D006-7 UDPグルクロン酸転移酵素遺伝子多型」の2,100点を参考点数としています。

 今回、御説明いたします内容は以上でございます。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 事務局から補足があればお願いいたします。では、企画官、お願いします。

○古元医療課企画官

 特に補足はございません。

○田辺会長

 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまの説明に関しまして、何か御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。

 では、平川委員、お願いいたします。

○平川委員

 1点、質問がございます。医療機器の保険適用のうちの、カテーテルペーシングシステムのところですけれども、基本的に革新性の評価で新規の機序や構造について評価がかなりあると思っていますが、このペースメーカーそのものに対しての革新性といいますか、新規の機序や構造があるのかどうかについて質問したいと思います。

○田辺会長

 では、企画官、お願いいたします。

○古元医療課企画官

 お答えいたします。

 ペースメーカーそのものの機能といたしましては、シングルチャンバーということで、従来よりあるものと同様の機能でございます。

○平川委員

 同様の機能ということですか。

○田辺会長

 では、企画官、お願いします。

○古元医療課企画官

 ペースメーカーとしての機能そのものは、シングルチャンバーというもので、従来よりあるペースメーカーと同様の機能でございます。今回は、患者様に対して非常に侵襲が小さいでございますとか、合併症の発生率が少ないといったところの評価だという認識でございます。

○田辺会長

 では平川委員、お願いいたします。

○平川委員

 低侵襲性が機能的に見て大変革新的だというのは十分承知をしていますけれども、ペースメーカーそのものの機能は今までと同じだというところに関していうと、それ自身を含めて評価されている気がしますので、もう一回、説明をしてほしいと思います。

○田辺会長

 では、企画官、お願いいたします。

○古元医療課企画官

 失礼いたしました。補足させていただきます。

 構造が一体化されている部分が、今回は従来のペースメーカーとは異なる革新性のある部分でございまして、電気刺激という意味では、シングルチャンバーという形式ではございますが、そういったあたりの評価もということでございます。

○田辺会長

 平川委員、いかがでございますか。

○平川委員

 機能評価がかなり高いものですから、営業利益率も補正で高くしておりますし、今回はこれでいいとは思うのですけれども、この新規の機序、構造が、本体そのものもかなり革新性があるのだという観点で説明を受けた気がしましたので、今後、もう少しわかりやすい説明をしていただければと思います。

 以上です。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ほかはいかがでございましょうか。では、猪口委員、お願いいたします。

○猪口委員

 血糖の測定のリブレという機械なのですが、これは体液をはかるので血糖値とは違うと思うのですけれども、これで120回測定する場合の加算がつくということなのですが、実際はこの機器を用いて血糖を測定するのは何回ぐらいを予想しているのか。また、その血糖値と体液の血糖の相関はちゃんと認められているのか、その辺を教えていただけますでしょうか。

○田辺会長

 では、企画官、お願いいたします。

○古元医療課企画官

 お答えいたします。

 まず、血糖値の測定回数につきましては、資料の7ページにございますが、こちらの在宅の管理料の加算という形で評価をした点数でございます。医師の指示に従い、血糖の測定の月の回数が決まってくるということだと思います。

 また、血糖値と間質液中のグルコースとの相関でございますが、血液中の血糖値が間質液に反映されるまでには、一定のタイムラグが生じることもわかっておりまして、今回はあくまでも血糖測定の補助的な位置づけという整理でございます。

○田辺会長

 では、猪口委員、お願いします。

○猪口委員

 そうすると、これは実際は120回以上の測定の加算になっていますから、血糖を120回以上はかった上でこの機械を使うということですか。

○田辺会長

 では、企画官、お願いします。

○古元医療課企画官

 失礼いたしました。ごらんいただいておりますのは、資料の8ページかと存じますけれども、希望準用技術料いたしましては、120回以上測定する場合とされておりますが、今回御提案を申し上げていますのは、7ページにお戻りいただきまして、下の「準用技術料」で、月20回以上測定された場合は400点から、120回以上の場合には1,500点といった、6段階の評価のいずれかで算定するという御提案でございます。

○猪口委員

 わかりました。

○田辺会長

 よろしゅうございますか。

 ほかはいかがでございましょうか。では、間宮委員、お願いいたします。

○間宮委員

 この測定の回数のことなのですけれども、月20回だとすると、はからない日もあったりするのですが、これは腕にセンサーをつけて、患者としては、割と便利に自分の状態がわかるとは思うのです。そうすると、月にというか、1日に食事は少なくとも3回するでしょうし、それ以外にもはかるとすると、1日に5回はかったとしたら、その分をかけたらもっと数としては多くなると思うのですけれども、そのあたりは月20回とか40回が想定されるものなのでしょうか。

○田辺会長

 それでは、企画官、お願いいたします。

○古元医療課企画官

 2つに分けて御説明させていただきたいと存じます。

 まず、今回御提案申し上げてございますのは、間質液中のグルコース測定につきましては、血糖自己測定の参考値として用いるということでございまして、例えば、指先を穿刺することにより血液を実際にとって、血糖を測定することに対する評価でございます。

 また、回数につきましては、主治医の先生の御判断で血糖の測定回数が決まってくるものと認識してございます。

○田辺会長

 よろしゅうございますか。では、間宮委員、お願いします。

○間宮委員

 それは医師の判断ということですけれども、回数を指定する基準みたいなものはあるのでしょうか。

○田辺会長

 では、企画官、お願いいたします。

○古元医療課企画官

 そこは主に糖尿病のコントロールということになると思いますが、その方の程度でございますとか、これまでの経過といったものをもとに、主治医の方が判断されることになると思います。

○田辺会長

 では、間宮委員、お願いいたします。

○間宮委員

 ということは、何か特にいろいろ血液の測定などをした基準以上とか、そういうことはないということですか。あくまでも医師の独自の判断ということになるのでしょうか。

○田辺会長

 では、企画官、お願いします。

○古元医療課企画官

 失礼いたします。7ページにございます、C150の血糖自己測定器加算につきましては、従来よりある加算でございまして、そういった科学的根拠に基づいて、主治医の方が、その患者さんの糖尿病のコントロールに必要な回数を毎月指示して測定され、それに基づいた算定されるという意味では、これまでと変わらない形でございます。

○田辺会長

 よろしゅうございますか。

 ほかはいかがでございましょうか。

 では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

○田辺会長

 それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと存じます。

 次に「医薬品の薬価収載について」及び「DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について」を一括して議題といたします。

 まず「医薬品の薬価収載について」ですが、本日は薬価算定組織の秋下委員長にお越しいただいております。秋下委員長より、御説明をお願いいたします。

○秋下委員長

 薬価算定組織委員長の秋下です。

 私から、今回検討いたしました新医薬品の算定結果について御報告いたします。

 資料「中医協 総-2-1」をごらんください。今回の報告品目は、資料1ページの一覧表にありますとおり、7成分10品目です。

 それでは、算定内容について御説明いたします。

 まず、1番「ビプレッソ徐放錠」です。資料2~3ページをごらんください。本剤は「双極性障害におけるうつ症状の改善」を効能・効果とする内用薬です。

 本剤は、規格違いの同一成分「セロクエル100mg錠」を最類似薬とした「規格間調整」により算定しました。その結果、本剤の算定薬価は、50mg1錠が71円、150mg1錠が18860銭となりました。

 2番「カナリア配合錠」です。資料4~5ページをごらんください。

 本剤は「2型糖尿病」を効能・効果とする、テネリグリプチン及びカナグリフロジンの配合剤であることから、「新医療用配合剤の特例」により算定しました。その結果、本剤の算定薬価は、1錠が30030銭となりました。

 次に、3番「オルミエント錠」です。資料6~7ページをごらんください。

 本剤は「既存治療で効果不十分な関節リウマチ」を効能・効果とする内用薬であり、本剤と効能・効果、薬理作用が類似する「ゼルヤンツ錠」を最類似薬とした「類似薬効比較方式(I)」により算定しました。その結果、本剤の算定薬価は、2mg1錠が2,69460銭、4mg1錠が5,223円となりました。

 4番「アメナリーフ錠」です。資料8~9ページをごらんください。

 本剤は「帯状疱疹」を効能・効果とする内用薬であり、本剤と効能・効果が類似する「ファムビル錠」を最類似薬とした「類似薬効比較方式(I)」により算定しました。その結果、本剤の算定薬価は、1錠が1,46970銭となりました。

 次に、5番「スピンラザ髄注」です。資料1011ページをごらんください。

 本剤は「乳児型脊髄性筋萎縮症」を効能・効果とする注射薬であり、適切な類似薬がないため、原価計算方式により算定しました。

 本剤は、新規作用機序医薬品であり、先天性の遺伝子変異による致死的な脊髄性筋萎縮症に対して治療手段を提供する初めての医薬品であること、希少疾病用医薬品であることなどを踏まえ、平均的な営業利益率のプラス35%の評価が適当と判断しました。その結果、本剤の算定薬価は、1瓶が9,320,424円となりました。

 6番「ジフォルタ注射液」です。資料1415ページをごらんください。

 本剤は「再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫」を効能・効果とする注射薬であり、本剤と効能・効果が同一の「ムンデシンカプセル」を最類似薬とした「類似薬効比較方式(I)」により算定しました。その結果、本剤の算定薬価は、1瓶が89,632円となりました。

 最後は、7番「ケイセントラ静注用」です。資料1617ページをごらんください。

 本剤は、ビタミンK拮抗薬投与中の患者における、急性重篤出血時の出血傾向の抑制などを効能・効果とする注射薬であり、効能・効果、薬理作用が類似する「PPSB-HT静注用」を最類似薬とした「類似薬効比較方式(I)」により算定しました。

 本剤は、希少疾病用医薬品に指定されていることなどから、市場性加算(I)に該当し、10%の加算を適用することが適当と判断しました。その結果、本剤の算定薬価は、500国際単位1瓶が35,004円、1,000国際単位1瓶が65,225円となりました。

 以上です。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 引き続き、事務局から補足と「DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について」に関する御説明をお願いいたします。

 では、薬剤管理官、お願いいたします。

○中山薬剤管理官

 それでは、総-2-2の資料をごらんください。

 今回、御審議いただきます「カナリア配合錠」につきましては、2成分が配合されておりますけれども、それぞれ2成分は「テネリア錠」「カナグル錠」という形で既に承認されておりまして、2剤の併用という形で、実際のところ、実質的に1年以上の臨床使用経験が認められるものに該当いたしますので、新医薬品に係る処方日数制限を設けないこととしてはどうかという御提案をさせていただくものでございます。

 以上でございます。

○田辺会長

 引き続きまして、医療課長、お願いいたします。

○迫井医療課長

 医療課長でございます。

 総-3でございますけれども、これは通常の新薬の収載等に関しまして、高額な医薬品につきまして、DPCの取り扱いを整理しているものでございます。

 詳細な御説明は避けますけれども、通常行っておりますとおり、総-3は、8月31日収載予定の今回の新薬のほか、文字が小さくて恐縮ですが、総-3の2に書いてございますけれども、これまでの間、幾つか効能追加でございますとか、公知申請等にかかるものも含めまして、包括範囲に該当するもの、あるいは高額薬剤として別途算定するものについて整理しているものでございます。その考え方を、総-3の参考にお示ししております。

 簡単ですが、以上でございます。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ただいまの説明に関しまして、何か御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。

 では、今村委員、お願いいたします。

○今村委員

 総-2-1の、新医薬品の5番目のスピンラザについて、幾つか御質問と確認がございます。

 これは、遺伝性の致死的な疾病に対する、本当に新しい効能のお薬ということで、患者さんにとって救いになるとは思います。

 まず、これは5ccが1アンプルになっているのですけれども、用法・用量を見ると幅があって、9.612mgということですから、4~5ccを使うということなので、もし4ccの使用となると、1ccは金額でいうと200万ぐらいになるのだと思うのですけれども、これは廃棄するという理解でよろしいのですか。

○田辺会長

 では、薬剤管理官、お願いいたします。

○中山薬剤管理官

 実際の使用としては、連続して使用することは不可能だと思いますので、実質的には残った部分については使用できない形になるかと思います。

○今村委員

 もう一点ございます。これは「乳児型脊髄性筋萎縮症」から、ことしの29年9月に「脊髄性筋萎縮症」に対象が変更になるということは、対象疾病は乳児からいわゆる成人の方までふえるという前提でよろしいのでしょうか。

○田辺会長

 では、薬剤管理官、お願いいたします。

○中山薬剤管理官

 今回、対象となっているのはI型ということで、生後6カ月未満で症状を発症する方が対象となっておりますけれども、今後、適用がふえるのはII型、III型といった領域でありまして、II型については生後6か月から12カ月の間に発症される方、III型については小児期または青年期の早期に発症する方が対象になる状況かと思います。

○今村委員

 使用について、できればぜひガイドラインのようなもので、青年の方については考えていただきたいと思っています。

 私も医師ですので、脊髄腔内の穿刺は非常に行うことが多い診療科であったのですけれども、やはり長期間にわたって麻痺のある方で、脊髄腔に穿刺できなかった。お薬は先に吸っておいて、用意はしていたけれども、実際上は使用できないことになると、1,000万近いお薬が無駄になってしまうわけで、脊髄腔穿刺と、脊髄液がきちんととれたことを前提にしてお薬を吸っていただかないと、非常に無駄なことになってしまうと思っていますので、そういった使用法についての縛りをかけることはできるのでしょうか。

○田辺会長

 では、薬剤管理官、お願いいたします。

○中山薬剤管理官

 本剤を開発している企業におきまして、実際の本剤の使用方法についてのガイドラインと申しますか、使用方法に関しての資料が医療機関に提供されることになっています。その中を見ますと、髄腔に針を刺しまして、実際に投与する薬液量である4~5mL分の脳脊髄液を抜いてから投与することになりますけれども、脳脊髄液がとれることを確認してから、実際の薬剤を使用する、抜いて注入する形で使用されることになっております。

○今村委員

 安心しました。ありがとうございました。

 最後にもう一点。今回、これは全く新しいお薬で原価計算方式になっているわけで、実際に外国の価格から比べるとかなり安い値段だとは思うのですけれども、ここで書かれている製品総原価「6,883,400円」という価格ですが、これは日本国内で出てくる新しいお薬の原価計算方式とは多分、違うのだろうと思っていて、これはアメリカの法人が日本の法人への売値をここに書かれているという理解でよろしいですか。

○田辺会長

 では、薬剤管理官、お願いいたします。

○中山薬剤管理官

 製品総原価につきましては、いわゆる実際の製造に係る経費ですとか、日本国内における治験の費用、PMSの費用といったものを勘案した上で、この額が設定されていることになります。

○今村委員

 伺いたかったのは、このバイオジェン・ジャパンがアメリカの会社から購入してくるときの価格とイコールですかということです。

○田辺会長

 では、薬剤管理官、お願いいたします。

○中山薬剤管理官

 購入する価格を移転価格と申しますけれども、その移転価格に研究開発費とPMS費の部分を加えたものが製品総原価の形になっているとお考えいただければいいかと思います。

○今村委員

 ということは、必ずしも向こうから日本に販売してくる価格だけではなくて、それにある一定の経費が乗ってこの価格になっているという理解ですよね。

○田辺会長

 では、薬剤管理官、お願いいたします。

○中山薬剤管理官

 この製品総原価は、そういう位置づけになっています。

○今村委員

 アメリカという言葉は、たまたまこの薬がそうなのだと思うのですけれども、要するに、言い値と言ったら言葉は悪いですが、ある意味、そういうものが根拠になっているということですよね。

○田辺会長

 では、薬剤管理官、お願いいたします。

○中山薬剤管理官

 移転価格の内訳については、明らかにならないという実態がございます。ただ、そこについては今回、ドイツで既に薬価が決まっていることもあって、ドイツに対する移転価格をお示しいただいた上で、我が国の移転価格の妥当性については確認しているという状況です。

○今村委員

 わかりました。

○田辺会長

 よろしゅうございますか。

 では、松本吉郎委員、お願いいたします。

○松本吉郎委員

 同じところの同医薬品のことなのですけれども、この営業利益のところですが、通常の14.7%にプラス35%された、1.35を掛けたパーセントが19.8になるという解釈だと思うのですけれども、これまでの決め方の経緯と、このパーセントが妥当かどうかに関しましては、お考えをお聞きしたいと思うのです。

○田辺会長

 では、薬剤管理官、お願いいたします。

○中山薬剤管理官

 営業利益率の加算の部分につきましては、今回お示ししておりませんけれども、既にポイント制という形で、一定のポイントによって何%にするかについての文書が別途ございます。これは公表されていますけれども、そういったものに当てはめて考えますと、今回は今までにない非常に新しい治療法を提供する医薬品であることですとか、小児の適用を明確に含む希少疾病用医薬品であるといったことなど、評価されるポイントがありますので、そういった点をポイント制で積み上げた結果、35%が妥当な形になっているということであります。

○田辺会長

 よろしゅうございますか。

 ほかはいかがでございましょうか。では、松本純一委員、お願いいたします。

○松本純一委員

 6番目のジフォルタ注射液ですけれども、これは類似薬があって、類似薬効比較方式で値決めをしているのですけれども、値決めをするとき、1日薬価に合わせるのがルールだったと思うのですが、これは剤形が違うからかもしれませんけれども、比較薬の1日薬価と算定薬価の1日薬価が随分違うように思うのですが、この辺の詳細をお聞かせ願えますか。

○田辺会長

 では、薬剤管理官、お願いいたします。

○中山薬剤管理官

 やはり注射液と内用薬では、同じ成分だとしても、実際の薬価としては差が生じることは、一般的にあり得る話であります。したがって、そこでどういったものを参考にすべきかということで、同じような薬効であるとか、薬理作用であるとか、いろいろな点を加味しまして、ここの14ページの真ん中にあるように、「ラステット注」について、注射剤とカプセル剤があるということで、その剤形間比でこれぐらいの差が生じる値がつけられていることを踏まえまして、今回の算定をさせていただいたことになります。

○田辺会長

 では、お願いいたします。

○松本純一委員

 これは、そういう意味ではラステットの注射液とカプセルは、効能・効果はこれとは違うけれども、この間で同じだからということですね。

○田辺会長

 では、薬剤管理官、お願いします。

○中山薬剤管理官

 ラステット注は一応、もっと広い効能・効果を持っていますけれども、このジフォルタの効能・効果も含む形の薬剤だということです。

○田辺会長

 では、どうぞ。

○松本純一委員

 ジフォルタと効能・効果は同じなのですか。

○田辺会長

 では、薬剤管理官、お願いいたします。

○中山薬剤管理官

 効能・効果は悪性リンパ腫でございます。

○松本純一委員

 ですので、違うけれども、ラステットの注射薬とカプセルが同じで、その値段の格差がこうであるからという意味でこれを使ったということですね。

○田辺会長

 では、薬剤管理官、お願いいたします。

○中山薬剤管理官

 おっしゃるとおりです。

○田辺会長

 よろしゅうございますか。

 では、松本吉郎委員、お願いします。

○松本吉郎委員

 4のアメナメビルですけれども、これまでの同様の抗ウイルス剤の場合、例えば、アシクロビルにしても、ファムシクロビルにしても、帯状疱疹に加えて単純性疱疹あるいは性器ヘルペスと、両方の効能・効果ということで出ていると思うのですけれども、このアメナメビルに関しましては今後、例えば半量にして、単純性疱疹とか性器ヘルペスに対して適用拡大があるということで理解してよろしいのでしょうか。

○田辺会長

 では、薬剤管理官、お願いいたします。

○中山薬剤管理官

 現時点では、効能拡大の試験を実施している状況ではないということです。

○田辺会長

 よろしゅうございますか。

 ほかはいかがでございましょうか。

 では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

○田辺会長

 それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと存じます。

 次に、報告事項でございますけれども「先進医療会議の検討結果報告について」を議題といたします。

 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。

 では、企画官、お願いいたします。

○古元医療課企画官

 それでは、資料の総-4に基づきまして御説明をさせていただきます。御報告でございます。

 今回、承認されました先進医療Bの技術でございますが、総-4の1ページ目に記載のとおり、整理番号115「重症全身性硬化症に対する自己造血幹細胞移植」の技術でございまして、本技術にかかる費用は表に記載のとおりでございます。

 技術の概要につきましては、資料の6ページをごらんください。本技術は、通常の薬物治療に抵抗性の皮膚及び内臓病変を有する重症の全身性硬化症を対象としております。これらの症例に対しまして、免疫抑制剤でございますシクロホスファミドの全身投与を行った上で、末梢血幹細胞を動員し、抽出した末梢血幹細胞の分離の際に、CD34陽性細胞だけを分離して、保存いたします。その後、再度シクロホスファミドを用いた移植前処置の上で、先ほど保存いたしました造血幹細胞を移植する技術でございます。

 造血幹細胞移植を行う際の大量のシクロホスファミドが適用外であり、また、CD34陽性細胞を分離する医療機器が国内未承認となってございます。

 ロードマップにつきましては、7ページをごらんください。CD34細胞を分離する医療機器につきましては、7ページの一番上のところでございますが、「医療ニーズの高い医療機器等選定品目」に挙がってございまして、現在、医師主導治験が行われてございます。そちらの承認を見込んだ上で、本試験の結果及び追加の治験を経て、適応拡大を目指す予定とのことでございます。

 次に、シクロホスファミドのロードマップにつきましては、8ページのとおりでございます。

 なお、本技術につきまして、先進医療会議における評価でございますが、総合判定は「適」となってございます。

 以上、御報告させていただきます。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ただいまの説明に関しまして、何か御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。よろしゅうございますでしょうか。

 では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件にかかわる質疑はこのあたりとしたいと存じます。

 次に、被災地における特例措置についてを議題といたします。

 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。

 では、医療課長、お願いいたします。

○迫井医療課長

 医療課長でございます。

 総-5-1と5-2をあわせて御説明したいと思います。

 総-5-1は東日本大震災、総-5-2は熊本地震でございますけれども、いずれも医療機関の被災等がございましたので、幾つか医療保険に関しましては、特例措置を実施いたしております。

 まず、総-5-1からでございますけれども、東日本大震災に係るさまざまな対応の中で、一番上の1コマ目でございますが、現時点で5つの保険医療機関、これは半年ごとに御確認をいただいておりますけれども、医療機関としては1つ減っておりますが、県別で3県ございますので、岩手、宮城、福島につきましては、歯科も含めましてこのような医療機関数になってございます。1コマ目と2コマ目の表の中は、実際に利用されております特例措置につきましての一覧でございます。

 おめくりいただきまして、3~4コマ目は既に活用されておりませんが、これまで対応してまいりました特例措置の一覧表でございます。

 御報告、それから御了解いただきたい内容は5~6コマ目でございますけれども、後ほど御説明します熊本地震につきましては、発災後まだ1年余ということでございますが、東日本大震災につきましては一定期間経過をいたしております。見ていただきましたとおり、特例措置の活用も減少傾向ではございますけれども、依然として適用されているということでございます。

 5コマ目に、そのあたりの事情につきまして、現地からの整理、ヒアリングについてまとめておりますけれども、見ていただきましたらわかっていただけると思うのですが、一定程度、医療機関が閉鎖したり、あるいは現場のニーズに対応し切れず特定の医療機関に集中していることが現状としては記載されてございます。一方で、既に御案内のとおり、発災後6年経過をいたしておりますので、この特例につきまして、どのような取り扱いをしていくのかを今後、御検討いただく上でも、現場の対応の見通しについては一定程度、情報が必要と事務局としては考えております。

 そこで、まず総-5-1の東日本大震災につきましては、6コマ目でございますけれども、今お話ししましたとおり、今回、10月1日から今年度いっぱいの特例措置につきましては延長していただいたらどうか。ただし、6コマ目に○が4つございまして、下線を引いてございますが、発災から6年が経過しておりますので、この特例措置の解消につきまして、一定のめどを立てていただく必要があろうかということで、現に利用されております特例措置について、継続利用できることとするのだけれども、それぞれの医療機関で一定のめどを示していただきたい。このような対応をさせていただいたらどうかというのが、東日本大震災に係る総-5-1でございます。

 引き続きまして、総-5-2でございますが、熊本地震でございます。同様に一覧表で整理いたしておりまして、1コマ目は、これは適用地域は熊本県のみでございますけれども、5つの保険医療機関が利用されているということでございます。

 2コマ目は、既に利用されておりませんけれども、特例措置の全体像でございます。これは3コマ目までございます。

 先ほどの東日本大震災と同様に、4コマ目に現在の特例措置の利用状況について整理しております。熊本地震の場合には、先ほど申し上げましたとおり、発災後1年経過いたしておりますけれども、主には建物の被害の関係が中心でございますので、当然、一定の建設等を含めまして、再建には時間がかかる。ただ、それが解消できれば、ある程度、この特例措置については利用されなくなる状況だというのが全般的な理解でございます。

 そこで、5コマ目に記載しておりますけれども、熊本地震につきましては、この10月1日以降、同様に半年ごとにこれは御確認をいただいているわけでございますが、今年度いっぱい、4コマ目で見ていただきました状況で、ある程度の利用のめどが恐らく立つという理解のもとで延長していただいたらどうかという御提案でございます。

 以上、2つにつきまして御了解いただければと思っております。

 事務局からは以上でございます。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ただいまの説明に関しまして、何か御質問ございましたらよろしくお願いいたします。

 では、松本吉郎委員、お願いいたします。

○松本吉郎委員

 特例措置の継続に関しましては、非常に御配慮はありがたいと思いますし、賛同いたしたいと思いますけれども、まだ東日本大震災に伴いまして、医療機関もまだ経済的な打撃から立ち直っていないところが多々ございますので、そういった面でも今後とも、十二分な御配慮をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ほかはいかがでございましょうか。では、万代委員、お願いいたします。

○万代委員

 特例措置を引き続きということでは、東日本大震災に関しましても、熊本地震に関しましても賛成いたします。

 ただし、東日本大震災につきましては、6年を経過したということで、その認識については共有するものでありますけれども、6コマ目の○の4つ目の最後のところの「解消時期の一定の目途を示していただく」という点でございます。それ自体は大切なことだと思いますが、特に3~4コマ目にある中で、人の配置についてはなかなか難しいこともあろうかと想像します。

 したがいまして、人の配置に関して、一定程度の時期を示すことは重要だと思いますけれども、それがその医療機関を縛ってしまうことのないように配慮していただきたいと思いますし、今後、この中医協の場におきましても、そういったことも十分勘案しながら、この特例措置を考えていくことが必要かと考えています。

 以上でございます。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ほかはいかがでございましょうか。よろしゅうございますか。

 ほかに御質問等もないようでございますので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

○田辺会長

 それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと存じます。

 本日の議題は以上でございますけれども、事務局から「その他」として資料が提出されておりますので、事務局より御説明をお願いいたします。

 では、医療課長、お願いいたします。

○迫井医療課長

 医療課長でございます。

 これは総-6にお示ししておりますが、DPC/PDPSの対象病院と準備病院につきましては、改定時期に合わせまして募集することとしたいと思いますので、このような対応をしておりますということを御紹介させていただきます。

 以上でございます。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ただいまの説明に関しまして、何か御質問等はございますでしょうか。よろしゅうございますか。

 では、ほかに御質問等もないようですので、本件にかかわる質疑はこのあたりとしたいと存じます。

 本日の議題は以上でございます。なお、次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、本日の総会はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。


(了)
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