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2017年12月27日 第142回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

労働基準局労働条件政策課

○日時

平成29年12月27日(木)10:00~12:00


○場所

AP新橋虎ノ門Bルーム(11階)


○出席者

【公益代表委員】

荒木委員、安藤委員、川田委員、守島委員、黒田委員、水島委員

【労働者代表委員】

櫻田委員、柴田委員、中川委員、村上委員、弥久末委員、世永委員

【使用者代表委員】

秋田委員、小林委員、齋藤委員、早乙女委員、杉山委員、三輪委員、輪島委員

【事務局】

山越労働基準局長、土屋審議官、村山総務課長、藤枝労働条件政策課長、増田監督課長、大隈労働関係法課長、中嶋調査官、大塚調査官

○議題

(1)「労働基準法施行規則の一部を改正する省令案要綱」について
(2)報告事項
(3)その他

○議事

○荒木分科会長 年末のお忙しい中、御参集いただき、ありがとうございます。委員の皆様、おそろいということですので、ただいまから第142回「労働政策審議会労働条件分科会」を開催いたします。

 本日の委員の出欠状況ですが、御欠席の委員としまして、公益代表の平野光俊委員、両角道代委員、労働者代表の川野英樹委員、八野正一委員、使用者代表の佐藤晴子委員と承っております。

 本日の議題に入る前に、前回、当分科会を開催して以降、委員に異動がございました。そこで、定足数とあわせまして、事務局より説明をお願いします。

○中嶋労働条件政策課調査官 承知しました。分科会委員の交代につきまして御報告させていただきます。

 お手元の参考資料として、労働政策審議会労働条件分科会委員名簿を配布しております。名簿順に、新しく委員に就任された方々につきまして御紹介させていただきます。

 労働者代表の委員が新たに3名就任されました。

 サービス・ツーリズム産業労働組合連合会副事務局長の櫻田あすか委員。

○櫻田委員 櫻田でございます。よろしくお願いいたします。

○中嶋労働条件政策課調査官 全日本自動車産業労働組合総連合会副事務局長の中川義明委員。

○中川委員 よろしくお願いします。

○中嶋労働条件政策課調査官 日本基幹産業労働組合連合会事務局長の弥久末顕委員。

○弥久末委員 弥久末です。よろしくお願いします。

○中嶋労働条件政策課調査官 次に、定足数について御報告いたします。

 労働政策審議会令第9条により、委員全体の3分の2以上の出席、または公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますが、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。

○荒木分科会長 それでは、本日の議題に入りたいと思います。お手元の議事次第に沿って進めてまいります。

 本日の1つ目の議題は「『労働基準法施行規則の一部を改正する省令案要綱』について」です。

 事務局から説明をお願いします。

○藤枝労働条件政策課長 それでは、労働条件政策課長でございますけれども、資料1-1、1-2について御説明させていただきます。今回、労働基準法施行規則の一部改正につきまして諮問させていただくものでございます。

 恐縮ですが、先に1-2をご覧ください。

 ページをめくっていただきまして、そこに改正の趣旨がございます。労働基準法施行規則の一部改正についてということで、救急業務に関するものでございます。

 済みません、恐縮でございますが、さらにめくっていただいて、一番最後のページ、裏に現行の条文を載せてございますけれども、御案内のように、労働基準法34条に休憩時間の規定がございまして、その3項で、使用者は、休憩時間を自由に利用させなければならない、自由利用の原則と呼んでおりますけれども、これが定められているところでございます。

 これにつきまして、40条の規定に基づいて特例がございまして、その下のところでございますけれども、労働基準法施行規則33条に、警察官とか消防吏員といった救急関係業務の方につきましては、先ほどの休憩の34条3項の自由利用の原則の適用除外とされております。救急出動等に対して即応しなければいけないということから、こういう規定になっているところでございます。今回、この規定の中に「准救急隊員」という者も加えるというものでございます。

 戻っていただきまして、恐縮です。先ほどの1ページの趣旨のところでございますけれども、救急業務につきましては、現在、消防法施行令に基づいておりまして、1台の救急車を運用するのに救急隊員3名以上というのが決められております。職務を適正に運用するために、そういった体制を必ず組まなければいけないとなっておりますけれども、過疎地域などにおきましては、この3名体制がなかなか維持できないという実情がございます。

 ただ、それが維持できなくて救急車を廃止してしまうのも、また困るという状況がございまして、今回、救急隊員2名と准救急隊員1名という形での運用を認めるということで消防法施行令が改正され、平成30年4月から、具体的には愛媛県の西予市がまず手を挙げており、この准救急隊員の運用を始めるというものでございます。

 次のページに簡単な絵をつけてございますけれども、先ほど申し上げましたように、救急体制の維持の観点で、過疎地域や離島地域、いわゆる条件不利地域と呼ばれておりますけれども、ここに限りまして、救急隊員3名でなくて、救急隊員2名と准救急隊員、これはいわゆる自治体の職員さんでありますとか消防署の事務員さんなどに一定の研修を受けていただいて、准救急隊員として任命するということが想定されておりますけれども、この2名プラス1名の体制でも救急車を運用できるようにするというものでございます。

 これに伴いまして、この准救急隊員の方につきましても、休憩時間は消防署の中で過ごしていただくことが必要になってまいりますので、先ほどの休憩時間の自由利用の適用除外につきまして、この准救急隊員を加えるという労働基準法施行規則の改正をさせていただきたいというものでございます。

 1-1に戻っていただきまして、諮問の内容でございますけれども、別紙について意見を求めることにさせていただいておりまして、見ていただきますと1行だけでございますけれども、労働基準法施行規則の一部を改正する省令案要綱ということで、第1としまして、准救急隊員について休憩時間の自由利用の原則の適用を除外すること。第2としまして、この省令は、平成30年4月1日から施行するものとすることということで諮問させていただいているところでございます。

 御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。

○荒木分科会長 ただいまの説明につきまして御質問、御意見等がありましたらよろしくお願いいたします。櫻田委員。

○櫻田委員 今の御説明ですけれども、今回、准救急隊員ということが休憩時間の自由利用の適用から除外される対象になるということになりますが、今回の措置については、過疎地域における救急業務の空白地域を解消して、発生を防止するということの対応としてはやむを得ないと思います。ただ、救急隊員の不足ということの対応としては、本来であれば常勤の消防職員を採用すべきなのではないかと考えます。今回の改正を契機に、ほかの都市にも対象地域が拡大していかないかということは懸念されるところかと思います。

 その上で、改正内容について、まず、准救急隊員は役場の職員等に講習を行った上で、常勤の消防職員として併任することを想定しているということでございますけれども、この役場の職員の方たちが長時間、過重労働にならないということが重要であると思います。例えば、通常業務後に救急業務につくということはあってはならないと思いますし、休憩時間の自由利用の適用除外ということで言えば、救急業務だけを対象とするということですとか、役場職員ということであれば、准救急隊員としての勤務を含めて、勤務時間が週38時間45分というものを超えないようにするということが大事だと思いますし、こういった適正な運用というものが求められるのではないかと思います。

 こういったことに関しましては、当該の労働組合からも意見を聞いた上でということですので、御理解いただきたいと思います。

 また、准救急隊員に関しましては、救急業務に関する基礎的な講習の課程の92時間を修了した者とあります。医師、保健師、看護師ですとか、救急標準課程の250時間の課程を修了した者も想定しているということでございますけれども、准救急隊員を創設したことによって、その救急標準課程を修了した方の時間を250時間から92時間に短縮するとか、そういったことの要件緩和がされるということはないようにしていただきたいと思います。

 あと、もう一点ですけれども、お願いになりますが、規則改正後に自治体宛ての通知や通達が発出されると思います。今、申し上げたことも含めまして、改正内容だけにとどまらずに、今の消防職員の方たちの厳しい勤務実態ということも配慮した上での内容となりますように、記載の検討をお願いしたいと思います。

 以上でございます。

○荒木分科会長 ありがとうございました。

 事務局からありますか。

○藤枝労働条件政策課長 御意見ありがとうございます。

 消防庁にお話も聞かせていただいておりますけれども、消防庁としても、あくまでこれは救急体制維持のため、あと過疎地域・離島等での空白地帯の解消という観点で行うものであって、救急体制の安全が確保されないような形になることは決して求めるものではないということでございましたので、准救急隊員に任命された方の適正な休憩時間の確保については十分配慮したいと聞いておりますし、また、今、御意見いただいた点につきましては、私どもとしても消防庁にしっかり伝達し、かつ働きかけをし、また消防庁が各自治体に通知を出すに当たっては、我々も意見を述べていきたいと思っております。

 よろしくお願いします。

○荒木分科会長 ほかには御意見ございますか。よろしゅうございますか。

 それでは、御意見はございましたけれども、今回の諮問の件については特段御異議はないと承りましたので、本日の資料No.1-1としてお配りした労働基準法施行規則の一部を改正する省令案要綱につきまして、本分科会としては妥当と認め、労働政策審議会長宛てに報告することとしたいと思います。よろしゅうございましょうか。

(「異議なし」と声あり)

○荒木分科会長 それでは、異議がないということで、そのようにいたします。

 労働政策審議会令第6条第9項の規定に基づきまして、「分科会の議決をもって労働政策審議会の議決とすることができる」と定められております。

 そこで、この規定を踏まえまして、事務局に答申案文を用意してもらっておりますので、まず、これを配布し、読み上げてもらうこととしたいと思います。よろしくお願いします。

(答申案文配布)

○中嶋労働条件政策課調査官 それでは、読み上げさせていただきます。

 

(案)

労審発第   号

平成291227

 

厚生労働大臣

 加藤 勝信 殿

 

労働政策審議会

会長 樋口美雄

 

平成291227日付け厚生労働省発基1227第3号をもって労働政策審議会に諮問のあった「労働基準法施行規則の一部を改正する省令案要綱」については、本審議会は、下記のとおり答申する。

 

 

別紙「記」のとおり。

 

(案)

 

別紙

平成291227

労働政策審議会

 会長 樋口 美雄 殿

 

労働条件分科会

分科会長 荒木 尚志

 

「労働基準法施行規則の一部を改正する省令案要綱」について

 

 平成291227日付け厚生労働省発基1227第3号をもって労働政策審議会に諮問のあった標記については、本分科会は、下記のとおり報告する。

 

 

要綱については、妥当と考える。

 

 以上でございます。

○荒木分科会長 ただいま配布して読み上げられた内容で、労働政策審議会長宛てに報告し、この報告のとおりで厚生労働大臣宛てに答申を行うということにしたいと考えますが、よろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○荒木分科会長 それでは、異議がないということで、そのように取り計らいたいと思います。

 では、ここで山越労働基準局長より御挨拶をいただきたいと思います。

○山越局長 ただいま労働基準法施行規則の一部を改正する省令案要綱につきまして御報告をいただきまして、まことにありがとうございました。

 今回の施行規則の改正に当たりましては、ただいまいただきました意見を踏まえまして適切に対応してまいりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

○荒木分科会長 それでは、続きまして、議題(2)「報告事項」に移りたいと思います。

 資料について、事務局より説明をお願いします。

○村山総務課長 それでは、報告事項のうち、まず資料2-1、資料2-2の予算の関係について御説明差し上げたいと思います。

 当分科会におきまして、前回、9月15日でございましたが、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱のうち、当分科会に関連する分について一つの区切りをつけていただきましたが、それまでの間の御審議の中でも、働き方改革実行計画に盛り込まれた政策を遂行する上での関連する予算の在り方についても、多々御意見を頂戴したところでございます。

 そこで、今回、去る1222日の金曜日に閣議決定されました「平成30年度予算案」、そして「平成29年度補正予算案」のうち、労働基準局関係の内容について御報告するものでございます。

 まず、30年度予算案に関して、資料2-1でございます。

 おめくりいただきまして、1ページが総括表でございます。これは、平成29年度の当初予算額と平成30年度の予算案に盛り込まれた額を比較しているものでございます。

 まず、一般会計のうち義務的経費につきましては9億円弱増えておりますが、その最大の要因は、工場型アスベスト訴訟の和解の進行に対応しました賠償償還金の増でございます。他方、裁量的経費につきましては4億円弱減少しておりますが、その最大の要因は最低賃金引き上げ支援施策の一部を、30年度予算案では労働保険特別会計の労災勘定から支弁することとしたためでございます。具体的には、新商品、新販路開拓等に共同で取り組む事業主団体に対する助成措置でありますとか、中小企業に対する専門家派遣相談支援事業といったものにつきまして、従来の一般会計から特別会計の予算に移したということでございます。

 次に、労働保険特別会計労災勘定のうち、保険給付費等に関しましては、労働災害の減少を反映して25億円強減少している一方で、労災勘定全体といたしましては、働き方改革に取り組む企業労使を支援する観点等からの社会福祉促進等事業費の増加等を反映いたしまして、95億円弱増加しているところでございます。

 なお、労働基準局関係の雇用勘定・徴収勘定に関しましては、ほぼ横ばいということでございます。

 続きまして、2ページ目以降が30年度予算案の労働基準局関係のポイントをまとめた資料です。

 1の(1)、平成30年度以降、本格化します無期転換ルールの円滑な運用に向けた支援の経費ということでございます。インターネットを含めた多様な媒体による法制度自体の周知徹底、また個別企業への就業規則改正等にかかる相談支援、労使それぞれの皆様を対象にしたセミナーの開催等に取り組んでまいります。

 2の(1)長時間労働の是正に向けた予算面での対応でございます。現行の職場意識改善助成金を時間外労働等改善助成金に改め、運輸・建設等の分野も含めまして、中小企業・小規模事業者の時間外削減に向けました省力化投資や業務見直しの取組を支援してまいります。

 また、次のポツにございますように、現行の「非正規雇用労働者待遇改善支援センター」の機能を大幅に拡充し、時間外労働の削減や賃金の引き上げに向けました中小企業・小規模事業者のワンストップでの相談支援窓口、「働き方改革推進支援センター」としてしっかり対応してまいりたいと考えております。

 次に、3ページでございます。2にございますような長時間労働傾向にある業種別の対策をきめ細かく講じていくということ。

 また、3にございますように、勤務間インターバルの導入促進等の取組に、労使にも御参画いただいている検討会の成果も反映しながら取り組んでいくこととあわせまして、4にございますように、長時間労働の是正に向けました監督指導体制の強化等にしっかり取り組んでまいります。具体的には、民間事業者を活用した36協定未届事業場へのきめ細かい対応。また、以前の本分科会でも御指摘のございました介護事業者等、労働関係の法令の周知や指導が必要な分野に対します集中的な対応、さらには労働基準監督機関の助言・指導体制の充実強化等にさまざま取り組んでまいりたいと考えております。

 続きまして、4ページでございます。2の(2)健康に働くことができる職場環境の整備といたしまして、産業医・産業保健機能の強化等を、労働安全衛生法の改正もにらみつつ進めていくということでございます。各都道府県単位に設置されました産業保健総合支援センターや全国325の地域窓口を通じました、中小企業等に対する産業保健活動の支援を強化してまいります。

 具体的には、産業医とのより有機的な連携が図られますように、産業保健総合支援センターに常勤の保健師を配置するなど、その機能強化を図りますとともに、各種研修の充実強化、また産業医の選任が法律上、義務づけられていない中小企業事業場で、産業医を選任する際の助成措置の実施を通じました中小企業支援にしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

 そして、2の(3)、平成30年度を初年度とする第13次労働災害防止計画に則した対応についてでございます。こちらの計画、別途、安全衛生分科会で公労使各側の熱心な御検討の結果、内容が概定しているところでございますが、そのポイントとして、労働災害が増加傾向にある小売業でございますとか社会福祉施設、また飲食店等には、多店舗展開に伴う特色や、災害防止ノウハウの蓄積の浅さといったことも見られるという御指摘もございます。企業・法人単位での対応も含めました、総合的な対策の強化に取り組んでまいります。

 具体的には、経営トップの方々に参集いただいて行いますセミナー等の開催でございますとか、あるいは社会福祉施設等に見られる転倒防止等に向けました研修教材の開発等に取り組んでまいりたいと考えております。

 また、次のポツにございますように、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの競技大会に向けた工事の増加への対応についても、本分科会でも御指摘いただいているところでございます。巡回指導や外国人建設就労者の対策を一層強化してまいりたいと考えているところでございます。

 また、2にございますように、本年3月から施行されております建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律も踏まえまして、一人親方の方々も含めました建設工事従事者の安全健康確保策を強化いたしますとともに、3にございますように、アスベストのばく露防止対策も含めまして、化学物質対策の徹底を図ってまいりたいと考えているところでございます。

 続きまして、5ページ、3の(1)副業・兼業の普及促進については、後ほどの議題のほうで詳しく御説明さしあげたいと思います。

 そして、4の(1)最低賃金や賃金引上げに向けました生産性向上等のための支援ということでございます。政府全体の方針として、最低賃金の年3%引上げという方針が累次、閣議決定されておりまして、28年度に続きまして、今年度も秋の地域別最低賃金の改定が、おかげさまで滞りなく進んだところでございますが、全国加重平均で25円引き上げられたところでございます。

 中小企業・小規模事業者の皆様が、生産性の向上によって、こうした引上げに円滑に対応できるように、設備投資でございますとかコンサル費用等を補助する、一般会計から支弁しておる業務改善助成金について拡充いたしますとともに、一方で、影響率の高い生活衛生関係事業者を対象とするセミナーへの専門家派遣への取組等につきましては、最初に申しましたように、特別会計のほうでしっかり対応してまいりたいということでございます。

 続きまして、もう一つの柱、多様な働き手の参画の関係が6ページ以降でございます。

 1の(1)にございますように、若者の「使い捨て」が疑われます企業等への対応強化を図りますとともに、2にございますように、治療と仕事の両立支援に向けまして、主治医と会社の連携の中核となります両立支援のコーディネーターを多様な形で育成・配置していく。また、マニュアル等の開発等も進めていく等の取組を進めてまいりたいと考えております。

 続きまして、7ページ目でございますけれども、外国人技能実習制度の適正な運用を確保するために、関係機関によります地域協議会を開催いたしますとともに、外国人技能実習機構との連携のもと、しっかりと対応を図ってまいりたいということ。

 また、第3の1にございますように、受動喫煙防止対策、健康増進法の改正等も見込まれるところでございますが、こうした対策をしっかり推進するために、法規制の施行に先立って、喫煙室の設置等を進めます中小企業・小規模事業者に対し、費用負担を助成する制度につきまして大幅な予算の積み増しを図る等、対策を強化してまいります。

 あわせて、震災復旧・復興に際しての労災防止対策、また廃炉作業従事者等の健康管理対策につきましても、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

 8ページ以降は、係数及び具体的な予算項目についての補足資料ということで、御高覧いただければと存じます。

 続きまして、22日にもう一つ閣議決定されました補正予算(案)の中で、厚生労働省関係の全体像が2-2の1ページ目でございますが、この中で労働基準行政関係のものは、赤枠で囲っております最低賃金の引上げに向けた中小企業・小規模事業者への支援ということでございます。

 これにつきましては、恐縮ですが、お進みいただきまして、7ページ目をお開きいただきたいと思います。横置きのペーパーでございます。先ほども御説明差し上げました業務改善助成金につきまして、今次補正予算におきまして、対象地域を全都道府県に拡大いたしますとともに、対象事業者も広げ、原則上限10分の7、小規模事業者については上限4分の3等の高率助成等を行いますため、29年度当初予算に計上しておりました3億円余に加えまして、補正予算に6億円を計上し、年度内、特に春闘の賃金改定等に向けてしっかりと対応いただくため、中小企業を支援してまいりたいと考えているところでございます。

 予算関係の説明は以上でございます。

○荒木分科会長 ありがとうございました。

 ただいまの説明について御質問、御意見等があれば、よろしくお願いいたします。弥久末委員。

○弥久末委員 ありがとうございます。弥久末でございます。

 今の平成30年度予算案の概要、資料2-1の4ページ目に当たるかと思いますが、(3)にこのように記載されております。「労働者が安全に働くことができる環境の整備」というところで、墜落・転落災害防止対策の充実強化に向けた検討など建設工事における労働災害防止対策の促進を図る。とりわけ、東京オリ・パラに関しては、建設工事等々が増えるということがあるので、各種建設工事における安全衛生対策の徹底を図ると御説明がありました。

 御承知のとおり、2020年に向けた建設工事が増加している中、きのうの報道でも、東京オリンピックに向けた建設工事の関係で4人の方が労災の認定を受けているということもありました。また、今年、新国立競技場の建設工事を請け負う建設会社の23歳の若い社員が過労自殺をするという、非常に悲惨な状況にもなっているところであります。

 安全衛生対策や労働時間管理について、厚生労働省におきましては、関係者ともぜひ連携していただいて、労働者が安全に働くことができる実効ある環境の整備をぜひ進めていただきたいと思っています。私どもも建設関係の仲間が約5,000人おりますけれども、御承知のとおり、非常に今、活況を呈している中で、なかなか休みもとれない非常に過酷な状況の中で仕事をしているというのが現状であります。こういった状況を踏まえ、国民の安心・安定、幸せは安全と健康であると思っておりますので、環境整備に向けて徹底的な対策を講じていただきたいと思います。

 以上です。

○荒木分科会長 ありがとうございました。

 ほかに御質問、御意見ございますでしょうか。 輪島委員。

○輪島委員 ありがとうございます。

 事務局に質問です。資料2-1、3ページ目です。4長時間労働の是正に向けた監督指導体制の強化の3つ目のポツですけれども、点検指導員等を増員と書いてありますけれども、どのぐらいの増員、どのような体制になるのかというところをお聞かせいただきたい。

○荒木分科会長 事務局からお願いします。

○村山総務課長 それでは、弥久末委員からの御意見に対します私どものお答えと、今、輪島委員からいただきました御質問への回答をあわせて申し上げたいと思います。

 まず、弥久末委員からは、建設労働者の方々の安全対策、とりわけ2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の準備工事に向けた対応の決定ということをいただきました。大変重要な点であると考えておりますし、しっかり対応していきたいと思っております。

 この点につきましては、かねてから労働災害防止に向けまして、局・署におけます巡回指導等に努力してまいったところではございますけれども、そうした中で、先ほど委員からも御指摘がございましたように、長時間労働に伴う過労自殺事案等が発生して、社会的に大きな課題となるなど、新しい状況も生じてきている。これにきっちり対応しなければいけないと考えているところでございます。当該案件に関しましては、既に公表もしておりますが、関係の事業者に対する監督指導の徹底を通じまして、違法な長時間労働につきましては、厳しく対応・是正を図ってきているところでございます。

 また、建設業の場合、重層的な下請構造の中での安全衛生管理、また労働時間管理をめぐるさまざまな課題があるわけでございます。そうした意味で、元請事業者によります健康管理体制の整備でありますとか、元請の方々、下請の方々、連携していただいて、そこに行政機関も効果的に連関する形での労働時間管理の徹底等の取組を、省庁、JFC、自治体等の連携のもとに推進しているところでございます。

 こうした中で、昨日も2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の大会施設工事の安全対策協議会が開催され、私どもも対応しているところでございますけれども、その際にも厚生労働大臣政務官から、改めて災害防止対策について徹底の呼びかけもさせていただきましたし、また、そうした会合の準備の過程では、お集まりの関係の労使の皆様方にもさまざまな場で御参画いただいているところでございます。

 先ほど御説明さしあげました30年度予算に盛り込まれている内容も含め、またこうした日ごろからの運用の徹底も含めまして、しっかりと対応してまいりたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

 それから、2点目でございますけれども、輪島委員から、3ページ、4の3つ目のポツの36協定をしっかりとチェックしていくための体制の強化について、具体的にはどのようなことを考えているのかという御質問をいただきました。

 まず、この直接のお答えに入ります前に、労働基準監督行政を一番ベースで支える労働基準監督官の増員につきまして、この分科会でも、御指摘もいただいてきているところでございます。30年度の予算案に盛り込まれております監督官の定員の関係につきましては、夏の段階で100人の新規増員の要求をしたのに対して、75名の新規の増員が査定されているということでございます。その他、過重労働調査官なども含めまして、労働基準監督署で監督に従事する職員体制の充実を図っているということ、これがまず前提としてあるということでございます。

 その上で直接の御質問でございますけれども、労働基準監督署等に配置しております時間外及び休日労働協定の点検指導員、これは社会保険労務士や企業OBの方々等を非常勤の国家公務員として任用して、36協定のしっかりとしたチェックを図っているものでございますけれども、現行の予算上、198名配置しておりますが、働き方改革法案の御答申をいただいたということも踏まえ、これを300人に増員するということを30年度予算で盛り込んでいるところでございます。

 また、時期的にも、特に36協定の提出というのは新年度が始まる前に集中するということがございますので、それも漫然と配置するのではなくて、そこに重点的に特に配置する等の工夫も、限られた予算の中で対応していきたいと考えているところでございます。これ以外にもさまざまな非常勤職員がおりますけれども、労働時間関係のところについては、しっかりとした対応に取り組んでいるということを申し上げておきたいと思います。

 また、後段の労働基準監督官のOBの活用に関しましては、非常勤職員として、もちろん再任用をまず行うということがあるわけでありますけれども、その上で65歳を超えて、なお活用できる者については、非常勤職員として予算上の枠としては54人の枠をとって、こうした体制の強化も図ってまいりたいということでございます。いずれにいたしましても、限られた人的資源を最大限効果的に活用できるよう、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。

○荒木分科会長 輪島委員。

○輪島委員 御説明ありがとうございました。

 今、総務課長も触れられましたけれども、今後、来年の通常国会には働き方改革関連法案が提出される予定と伺っておりまして、法律が通った後は、改正法に基づく、さまざまな様式の変更というものがあります。企業側としては36協定の提出に伴って、例えば就業規則の不備であるとか、さまざま御指摘いただいて、きちんと出していきたいと思っておりますので、受付が混乱することのないように御対応いただきたいと思っております。

 もう一つ、前回にも申し上げましたけれども、電子申請の件について、就業規則の届出、36協定の届出等々も、まだまだ数字として低い状況なので、もう少し周知していただきたい。何となく私どもの感覚として、監督署に提出して、ぽんと受理の判こを打っていただくと安心するということですが、そういうところもITで対応できるようなこともあるのではないかと思っておりますので、その点も含めて、ぜひ十分な体制で対応していただきたいと思っています。

 その点で、もう一つ、2ページの1の非正規雇用の処遇改善の(1)無期転換ルールでございますが、まさに来年3月とか、特に有期特措法の関係も含めて、申請等々が多いのではないかなと思っております。直近の課題もありますので、ぜひ十分な体制で対応していただきたいとお願いしておきたいと思います。

 以上でございます。

○荒木分科会長 今の点について、村山課長。

○村山総務課長 貴重な御指摘ありがとうございます。

 電子申請を適正な形で、しかもきちんとした利用を広げていくということは、大変重要な課題でありますし、これはひとり労働基準行政に限らず、政府全体を通じてe-ガバメントを進めていくということは大きな課題になっているところでございます。労働基準行政システムの見直しなども含めまして、総合的な対応にしっかり努めてまいりたいと考えているところでございます。

 また、2点目としていただきました無期転換ルールの関係でございますけれども、25年4月から施行されて、いよいよ5年ということでございますし、また今、御指摘のありました有期特措法に関しましては、特に第2種の類型、すなわち高齢者の方々については、30年4月から無期転換権の本格的な発動ということを企業がにらみながら、申請が急増しているという実態にございます。受け付ける局の体制にも工夫を凝らしながら、また労使の皆様方にも周知に御協力いただきながら、制度の適正な利用・活用に向けまして、今後とも周知や局・署の体制整備に努めてまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

○荒木分科会長 ほかに御意見、御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、ただいまの件は以上といたしまして、次に資料3につきまして事務局より説明をお願いいたします。

○村山総務課長 資料3でございますが、資料3-1、3-2、3-3と3部の構成になっております。主たる本日御報告し、御意見を頂戴したいのは、3-2と3-3で、後ほど労働関係法課長のほうから御説明さしあげますが、その前提といたしまして、去る12月8日に閣議決定されました政府文書「新しい経済政策パッケージ」につきまして、資料3-1でごく簡単に御紹介申し上げたいと思います。

 この政策パッケージのバックグラウンドとなっております政府の会議体が2つございまして、人づくり革命の関係が1ページの人生100年時代構想会議、生産性革命の関係が2ページの未来投資会議ということでございます。

 この新しい政策パッケージの趣旨に関しましては、3ページに、衆議院解散直前と総選挙後、それぞれの総理の記者会見等での発言について抜粋して掲載しておりますので、御高覧いただければと思います。

 人づくり革命部分のポイントは、4ページにございますように、消費税率10%への引上げによる増収分を使途変更して教育無償化等に充てていく。また、来年夏に向けての検討継続事項としてリカレント教育等が挙げられている等の内容でございます。

 それから、5ページでございますが、生産性革命の関係に関しましては、事業承継の集中支援等の中小企業支援策、また企業の収益性向上・投資促進による生産性革命対応としてコーポレート・ガバナンス改革等。その上で、各論といたしまして、さまざまな分野に関する提言がなされており、3の(5)にございますように、成長分野への人材移動と多様で柔軟なワークスタイルの促進という項目もおさめられていることを御確認いただければと思います。

 その上で、経済政策パッケージ全体の目次や全文等につきましては、6ページ以降を御参照いただければと思いますが、本分科会の関係につきましては、10ページをお開きいただきたいと思います。

 「新しい経済政策パッケージ」、3の(5)成長分野への人材移動と多様で柔軟なワークスタイルの促進のうち、2多様で柔軟なワークスタイルの促進でございます。このうち、最初の2つの項目、テレワーク、そして雇用関係によらない働き方は、雇用環境・均等分科会関係でございますので、御確認いただければと思いますが、その上で、当分科会関係の閣議決定内容について読み上げる形で説明させていただきたいと思います。

 労働者が一つの企業に依存することなく主体的に自身のキャリアを形成することを支援する観点から、副業・兼業を促進する。このため、モデル就業規則の改定やガイドラインの策定を本年度内に行うとともに、働き方の変化等を踏まえた実効性のある労働時間管理の在り方や労災補償の在り方等について、労働者の健康確保に留意しつつ、労働政策審議会等において検討を進める。

 そして、右側に移っていただきまして、3解雇無効時の金銭救済制度の検討。解雇無効時の金銭救済制度について、

「透明かつ公正な労働紛争解決システム等の在り方に関する検討会」の検討結果を踏まえ、可能な限り速やかに、労働政策審議会において法技術的な論点についての専門的な検討に着手し、同審議会の最終的な結論を得て、所要の制度的措置を講じる。

ということでございます。

 その上で、全体について、以上の各施策について、必要な予算・税制上の措置、制度改正を行い、実施状況を検証しつつ、必要な事項について、来年夏を目途に更なる具体化を図るということで、PDCAサイクルを回しながらのフォローアップ規定が入っているということでございます。

 資料3-1は以上でございます。

○大隈労働関係法課長 引き続きまして、労働関係法課長でございます。

 まず、資料3-2を御説明させていただければと思います。今の経済政策パッケージに入っていた2つのうちの1つでございますが、紛争解決システムの在り方に関する検討会の報告についてということでございます。

 表紙をめくっていただきまして、これまでの検討の経緯を図にした資料がございます。左側にこれまでの閣議決定文書、右側に厚生労働省の動きということですが、もともと「日本再興戦略」改訂2015で、予見可能性の高い紛争解決システムの在り方について具体化に向けた議論の場を立ち上げて検討を進め、結論を得た上で、労政審の審議を経て、所要の制度的措置を講ずる。というところから始まっております。

 これを受けた形で、右側の厚労省内の検討会を立ち上げたということでございまして、平成2710月から、労働法の先生、経済学者、労使の皆様、民事法学者、弁護士等22名にお集まりいただきまして、荒木先生に座長を務めていただいたものでございます。

 検討事項としては、大きく2つございまして、現行の個別労働関係紛争等の改善に関する事項と、解雇無効時における金銭救済制度の在り方と必要性ということで、20回検討を重ねて、報告書がことしの5月に取りまとめられたということでございます。

 この件についての御報告でございますけれども、報告書がその後についてございます。かなり大部のものでございますので、ポイントを絞って御説明させていただければと思いますけれども、大きく2つに分かれておりまして、前半部分が現行のシステムの改善に対する事項でございます。4ページから始まる部分でございます。

 ここは現行の仕組みの評価が書いてございますが、まず1のアは、労働局で行っております個別労働関係紛争解決制度でございます。これについては、裁判に比べて簡易で迅速、無料の仕組みで、一定の機能を果たしているという評価をいただいておりますけれども、国民にとって更に身近で利用しやすい仕組みとすることが必要という指摘をいただいております。

 それから、地方自治体における紛争解決制度もございますが、こちらについても公労使三者構成の委員会という特徴も生かしつつ行われておりますが、認知度が低いとか、取扱件数が少ないといった課題の指摘がございました。

 それから、2は司法による制度ということで、労働審判ですけれども、これも全体的には有効に機能ということですが、利用者にとって予見可能性が低いといった課題が指摘されております。

 それから、3でシステム間の連携ということで、労働局の仕組み、自治体の仕組み、労働審判など複数の仕組みが整備されているところでございますけれども、国民にとってどの仕組みを利用したらいいのかわかりにくいといった指摘を受けてございます。

 5ページ以降、かなり細かい運用の改善に係る事項が書いてございますけれども、5ページで言うと、労働局の紛争解決制度についてでございます。ここは、fのあたりに、あっせんの参加率向上のための取組について検討することが必要といった御指摘であるとか、6ページのgからhのあたりですが、もっと認知度を高めるための方策を講じることが適当である、あるいは、hですが、労働局の職員や相談員の労働相談のスキルの向上を図ることが適当といった御指摘がございました。

 それから、その下の(イ)は予見可能性の部分で、これは時間的予見可能性、処理期間の目安を外部に公表していくことが適当だということと、bのところでは、金銭的予見可能性ということで、目安となる解決金額の水準を示すこと等を検討することが適当という意見がございましたので、記載しております。

 その次に、地方自治体の紛争解決制度について、同様に議論がございましたけれども、ここは労働局の紛争解決制度と共通する部分がございまして、7ページの上のところですけれども、認知度の向上を図ることが必要というのが一番上にございますし、bでは、職員のスキルアップを図ることが必要といった指摘を受けております。

 その下の(イ)で、予見可能性についてございますが、これも労働局について言われているものと同様の御指摘がございました。

 それから、7ページの下の2からは労働審判についてでございます。これは、8ページの(ウ)の最後で、年齢のみで制限せずに能力・適性のある方が労働審判員として登用されるような運用が適当であること、(エ)で、労働審判員の研修の充実といったことが指摘されております。

 イの金銭的予見可能性については、同様の指摘でございます。

 それから、9ページ、システム間の連携ということでございます。(ア)から(イ)にかけてのところでございますけれども、いろいろな紛争解決の仕組みがあるということですが、まず、労働局の窓口に来ることが考えられるので、窓口でたらい回しになるようなことがないように留意しながら、当事者の求める解決方法を適切に案内するような工夫が必要であるといった御指摘を受けているところでございます。

 それから、11ページからが大きな2つ目でございます。解雇無効時の金銭救済制度についてでございます。

 ここは、最初、11ページの(1)のア、解雇をめぐる紛争についての実態の記載がございます。解雇が裁判で無効になった場合でも、職場復帰しないで退職する労働者が一定数存在すること、今の労働局のあっせん、あるいは労働審判などでは、解雇をめぐる紛争の多くが金銭で解決されている実態があるといった実態についての記載がまずございます。

 それから、イですけれども、この検討会の検討に当たって、制度導入にはいろいろな御意見があるという中で、まず制度がどういう仕組みだったらあり得るのかという在り方を検討して、その上でその必要性について検討を行うという順番で検討するという旨が書いてございます。

 それから、ウで、どういう観点で検討するかということで、これは例えば労働者の保護が図られるとか、当事者の納得を高めるとか、紛争の未然防止とか、迅速な解決に資するような仕組みが可能なのかどうか。あるいは、濫用的な利用を防止できて、既存のシステムにマイナスの影響を与えることのないような仕組みが可能かといった観点で検討を行うという前提でございました。

 一番下にも再度書いてございますが、仮に制度を導入した場合、どのような点が考え得るかについて、この後、様々な意見をいただいております。制度の必要性とは切り離して、この部分は理解する必要があるということでございます。

13ページ以降、具体的に、例えばこういう仕組みがあったらどうかといった議論がずっと続いてございますけれども、ここはかなり長くなりますが、38ページに、後の部分で議論されている仕組みの図がございますので、こちらでごらんいただければと思います。ここで議論されたのは、労働者申立制度と使用者申立制度の枠組みということで、まず労働者申立制度の枠組みとして、例1、例2、例3ということが議論になったところです。

 例1は、解雇が無効であるとする判決を要件とする金銭救済の仕組みで、そのすぐ下に(1)で図がついておりますけれども、まず地位確認請求で判決で解雇無効が確定した後から、金銭救済を労働者が申し立てていくという流れの仕組みでございます。これについては、現行の訴訟制度のもとでは、1回的解決と呼んでおりましたけれども、裁判を1回で済ますという仕組みはなかなか難しいのではないかといった御指摘があったところでございます。

 あと、例2ですが、これは最近、解雇を不法行為とする損害賠償の裁判例が出てきているということを踏まえた仕組みが考えられないかどうかといった議論がございました。これについては、解雇された後、労働者が損害賠償を請求して、訴訟になった場合は判決で損害賠償請求を命じられるということですが、この後、使用者が損害賠償を支払ったとして、そのことが労働契約の終了と法律的に結びつくのかどうかといったところで議論がございました。

 それから、次の39ページですけれども、例3ということでございます。実体法に労働者が一定の要件を満たす場合に金銭の支払を請求できる権利を置いた場合の金銭救済の仕組みということで、この場合ですと、解雇された後に労働者が金銭救済を請求して、仮に訴訟になったとすると、判決で解雇無効に相当するような場合に、一定額の金銭救済支払いを命ずるという判決を出して、その後、使用者が金銭を支払ったら労働契約が終わるという仕組みが考えられるのかどうかという議論でございました。これについても報告書の途中の部分に書いてございますが、法律的な論点など、さまざまな議論があったところでございます。

 それから、その下に使用者申立制度の枠組みが書いてございます。これは、平成15年に検討されたときのものを再度書いてございます。これについても議論がございましたけれども、現時点では容易ではない課題があって、今後の検討課題とすることが適当ということが報告書の中で記載されているところでございます。

 こういった案について議論して、結論として、恐縮ですけれども、30ページをごらんいただければと思います。金銭救済制度についての議論で、仮にこういうものをつくるとしたらどうかという議論がずっとあった上で、30ページの片仮名のコというところが、最後に必要性について議論したところでございます。

 解雇無効時の金銭救済制度の必要性については、金銭の水準その他の制度設計の仕方によるということが1つ言われ、また、この検討会における委員のコンセンサスが必ずしも得られたわけではないという旨も記載され、その後に、大きく分ければということで、3つの意見が並んでございます。

 1つ目が、先ほど御説明した「例1」を中心に使用者申立も含め検討すべきとの意見がまずありまして、もう一つは、先ほどの「例3」を中心に検討するという意見もございましたし、今回、さまざま検討したが、やはり導入するのは困難であるという意見があったということで、3つの意見を並べてございます。

 その後、「しかし」ということで、解雇紛争についての労働者の多様な救済の選択肢の確保等の観点からは一定程度認められ得ると考えられ、ということで、この金銭救済制度については、法技術的な論点や金銭の水準、金銭的・時間的予見可能性、現行の労働紛争解決システムに対する影響等も含め、労働政策審議会において、有識者による法技術的な論点についての専門的な検討を加え、更に検討を深めていくことが適当という形になっております。

 その次に、1つパラグラフがついてございますけれども、あわせて出た意見として、現行の労働審判制度が有効に機能しているということで、こうした現行のシステムに悪影響を及ぼす可能性があるという御指摘、労使の合意による解決でなければ納得感を得られないということ、企業のリストラの手段として使われる可能性があるといった理由で、この金銭救済制度を創設する必要はないとの意見があったことを、今後の議論において、十分に考慮することが適当であるということもあわせて記載してございます。

 それで、32ページに報告書全体の結びがございます。「おわりに」の2つ目のパラグラフで、これは厚労省に対して、この報告書を踏まえて、紛争解決システムについて労政審における検討を進めて、所要の措置を講じることが適当とされているところでございます。これにあわせて、先ほどの「新しい経済政策パッケージ」がまとめられたというところでございます。これについては、なかなか難しい課題も多いと思っておりますけれども、今後の検討の進め方につきましては、事務局としては、本日の御議論を踏まえて検討させていただきたいと考えているところでございます。

 資料3-2関係は以上でございます。

 続きまして、資料3-3でございます。これも先ほどの経済政策パッケージに書かれていたもののもう一つでございますが、柔軟な働き方に関する検討でございます。

 資料3-3、表紙をおめくりいただきますと、働き方改革実行計画の抜粋がございます。今回、経済政策パッケージに入っておりますけれども、ことしの3月の実行計画の時点で、既に取り組むべきこととされていたものでございます。

 これの2枚目の緑のほうをごらんいただければと思いますけれども、この働き方改革の会議での議論ですが、左上に働く人の視点に立った課題というものがございます。副業・兼業を希望している人は多いが、希望どおり行うことができないといった議論があって、ここは副業を希望している方の数などが書いてあって、副業を認めていない企業は85%となっております。

 こうした議論があって、右側に矢印が出ておりますが、今後の対応の方向性ということで、ここは副業・兼業を通じた起業が開業率の向上に寄与するとか、新技術の開発とかオープンイノベーションといったことに資するという話、あるいは、第2の人生の準備としても有効といった議論の中で、ガイドラインの策定あるいはモデル就業規則の改定など副業・兼業の普及を図るといったことが書かれております。

 具体的に取り組むべきことは、その下に4つ並んでおりますけれども、最初にガイドラインの策定ということで、これは普及促進の観点から、副業・兼業のメリットを示す、その他、留意事項を書いたガイドラインを2017年度に策定するというのが1つです。

 その次に、モデル就業規則の改定ということで、これも普及促進という観点から、モデル就業規則を2017年度に改定するということを記載しております。

 その次が制度検討ということで、これは雇用保険とか社会保険、労働時間の管理とか労災保険給付の在り方などについて、複数就業者の場合についての制度的な検討、今のままでよいのかどうかといったことも含めた検討をするという旨が書かれております。

 下の工程表の矢印にもありますとおり、ガイドラインの策定とモデル就業規則の改定は2017年度中。制度的検討は、さらに先まで含めたタイムスパンとなっております。

 1枚めくっていただきまして、厚労省内に検討会を立ち上げて検討を進めておりました。これは、2017年度内に対応すべきとされたガイドライン、それからモデル就業規則の改定に対応するための検討会でございます。そちらにございます構成員で、これはテレワークと副業・兼業をまとめて柔軟な働き方という形での検討会でございますが、第1回は10月3日からスタートいたしまして、企業や労使団体の皆様などからのヒアリング、それから委員の方々の意見もたくさんいただいた上で、第6回、1219日ということで、座長一任という形で報告書を取りまとめということでございます。

 その後、若干の字句修正をいたしまして、その次についている報告書、これが1225日付けですけれども、既に公表させていただいているところでございます。

 通し番号の4ページはテレワーク関係で、雇用環境・均等分科会関係でございますので、恐縮ですけれども、5ページの(2)からが副業・兼業でございます。

 最初のところは、先ほどの働き方改革会議の資料にもございましたとおり、副業・兼業を希望する労働者が増えているとか、多くの企業では認めていない現状にあるといった実態が書いてございます。

 2つ目のパラグラフですけれども、これは委員の方などから意見がございましたけれども、副業・兼業を行う理由といっても、いろいろなものがある。自分がやりたい仕事であるからやっているという方もいらっしゃれば、収入の確保が厳しいので、十分な収入を確保するためにといった方など、さまざまですし、業種や職種によっても、仕事の内容も収入もさまざまですけれども、ここで普及促進という対象は、自身の能力を一企業にとらわれずに幅広く発揮したいとか、スキルアップを図りたいといった希望を持つ労働者がいるので、そういう方については、その希望に応じて幅広く副業・兼業を行える環境を整備することが重要といった考え方が示されております。

 ただ、その場合であっても、もちろん長時間労働等にならないよう留意が必要だということでございます。

 その次のパラグラフ、「このため」から始まるところですが、この報告書の別添3、4として、ガイドラインとモデル就業規則の改定案がついているという形になります。

 それから、次に「また」から始まるパラグラフがありますけれども、そもそも現行制度のもとでも、こういう複数就業の場合の労働時間の管理などの取扱いがなかなかわかりにくいという御指摘もあったので、このガイドライン、それからモデル就業規則とは別に、早期に具体的な整理を示すべきであると言われております。

 あと、「なお」書きのところですが、この検討会の中で結論を出すべき課題ではなかったものの、制度的課題についてさまざまな御指摘がありましたので、こちらにテイクノートする形で記載されております。労働時間・健康管理、労災保険、雇用保険・社会保険についての御意見がございましたので、これは今後、別途検討を行うということでございます。

 それから、ヒアリングの中では、現行の労働時間ルールを遵守すべきとか、安全配慮義務との関係に留意すべきといった御意見がありましたので、こちらもあわせて記載させていただいております。

 最後に、その他というところで、ここは今後、ガイドラインを周知することになってまいりますが、できるだけわかりやすいパンフレットを作成するという形で進めてほしいということが委員から言われておりますので、最後に記載しております。

 それから、通しページの7ページ以降にガイドラインがついてございますが、今まで申し上げてきたような現状の記載等がございまして、2に促進の方向性ということで、働き方改革計画でメリットも盛り込むこととなっておりますので、労働者側のメリット、企業のメリットといったところを、委員の方とかヒアリングでいただいたようなものでまとめさせていただいているところでございます。

 それから、通しページの8ページから3番で企業の対応がございますし、通しページの10ページ、4番の労働者の対応というところでございますが、いずれについても、企業と労働者で十分にコミュニケーションをとりながら、働き過ぎにならないように留意しながら進めてほしいといった内容が盛り込まれております。

 最後、11ページは、5番でその他の現行制度、これは確認的に、現行の仕組み、労災保険、雇用保険などの仕組みが記載されているところでございます。

 あと、もう一つ、モデル就業規則ですけれども、13ページ、14ページにかけてでございます。

 まず、14ページが現行のモデル就業規則でございますが、11条の遵守事項の6号で、許可なく他の会社等の業務に従事しないことということが労働者の遵守事項になってございますが、今回、普及促進という趣旨ですので、この6号の部分は削った上で、前の13ページの改定案ですが、65条を追加する。これはモデル就業規則の一番最後の部分に追加するという形ですけれども、基本的に他の会社等の業務に従事することができるのだけれども、事前に届出を行うものとし、なおかつ、3のところで、一定の場合に該当する場合は、会社は、これを禁止・制限できるということで、4号並べておりますが、このあたりは裁判例などで出ているものを列挙したところでございます。

 それから、※印に書いてございますが、労働者の副業・兼業を認めるか、就業規則にどう規定するかは、労使間で十分に検討する必要があるといった補足的な内容もあわせて記載することを予定しているところでございます。

 資料3-3については以上でございます。

○荒木分科会長 ありがとうございました。資料3-1から3-3まで御説明いただきました。

 それでは、ただいまからは、今、説明のありました3-1の「新しい経済政策パッケージ」における解雇無効時の金銭救済制度に関する部分について、及び3-2の「透明かつ公正な労働紛争解決システムの在り方に関する検討会」の報告について、この2つの点について御意見、御質問等をいただければと思います。3-3については、後ほど議論するということで、まずは3-1と3-2について御質問、御意見等をお願いいたします。柴田委員。

○柴田委員 ありがとうございます。柴田でございます。

 「新しい経済政策パッケージ」の中の解雇の金銭解決制度に関しては、資料10ページのタイトルでは、「成長分野への人材移動と多様で柔軟なワークスタイルの促進」という中の1項目で掲げられているということでございますが、今、説明もありましたが、御案内のとおり、この「解雇無効時の金銭救済制度」につきましては、不当解雇であっても、会社が解決金さえ支払えば解雇できるルールであるということでありまして、雇用の流動化ということとはそもそも局面が違うのではないかと思っております。にもかかわらず、成長分野への人材移動の項目で記載されていることについて、位置づけとしていかがなものかと、まず申し上げておきたいと思っております。

 資料9ページの「生産性革命」という項目の中に、「IoT、ビッグデータ、ロボット、人工知能などの新しいイノベーションの登場」とありますけれども、これらを生み出すのは当然、人でありまして、何よりも人への投資がより重要になってきていると思っております。そういった意味で、「解雇無効時の金銭救済制度」は、これからの時代に本当に必要なのかという観点から考えると、課題として挙げられていることに疑問を持たざるを得ないと思っております。

 今も説明がありましたけれども、現行の紛争解決システムで十分であり、またその改善で十分であると思っておりますし、過去、長年にわたって議論されてきたものの、なお論点がさまざまあるということからすると、これ以上検討する必要はないのではないかと思っております。資料5ページの(5)には、人材のキャリアアップとかキャリアチェンジ等、いろいろな施策が書かれておりますけれども、むしろ、転職しやすい環境を整えるということですとか、キャリアアップの施策など、未来志向に立って人材を後押しするということの検討に労力の投入をしたほうがいいのではないかということを申し上げておきたいと思います。

 以上です。

○荒木分科会長 ありがとうございました。

 ほかに御意見、御質問いかがでしょうか。村上委員。

○村上委員 ありがとうございます。

 資料3-2、今、御説明いただきました「透明かつ公正な労働紛争解決システム等の在り方に関する検討会」の報告でありますけれども、検討会に1年半参加していた立場から申し上げたいと思います。今、柴田委員からもありましたように、私どもとしては解雇の金銭解決制度と言っておりますが、政府では「解雇無効時の金銭救済制度」という言葉を使われております。これが本当に必要なのかという観点から、私どもはこの検討会に参加してきたところであります。

 解雇の金銭解決制度は必要ないという立場でありますけれども、そうは言いましても、検討会におきましては、過去2回に検討されたことも含めて、考えられ得る案や論点について提示されたので、こうした論点について真面目に議論に参加したつもりであります。私どもとしては、解雇された労働者がどういう状態にあるのかとか、紛争解決システムはどういうふうに機能しているのかということを熟知した立場で参加してきておりまして、4人の委員は、いずれも労働相談、労働委員会や労働審判など紛争解決の現場に携わってきた立場から、検討に参加してきたものであります。

 そういった中で、結論としては、もう検討する必要はないのではないかということは変わりません。先ほど御説明いただいた際、報告書の結論部分は御説明いただいたのですが、検討会報告書28ページのオのところで、労働側の意見がほぼ網羅されているかと思っております。労働審判制度が有効に機能している中で、こういった制度を導入すると調停や和解というものが成立しなくなって、かえって紛争が長期化するといった悪影響があるのではないかということなどです。

 また、報告書29ページにあるように、企業のリストラの手段として使われることや解雇の選択肢を増やすことにつながるといった懸念を述べてきたところであります。こういった懸念というのは、この検討会の議論を通じて払拭されることはなかったというのが、私どもとしての考え方であります。

 そういう中で、先ほど柴田委員も述べられたように、これ以上、議論にエネルギーを注ぐ必要があるのだろうかということを私どもとしては考えているところであります。

 むしろ、この検討会の中では、報告書前半部分で現行のADRの問題についても改善の必要性を述べてきたところでありまして、例えば個紛法に基づく労働局でのあっせんについても、反対意見もありましたけれども、原則として当事者の方には出頭していただくということにしたほうが、より解決の方向性につながり制度の信頼性が高まっていき、理解も深まっていくのではないかということです。

 あるいは、不当な解雇とか不用意な解雇というのも多く見られるところでありまして、こういうことを防ぐためにも、解雇権濫用法理や禁止されている解雇について、きちんと知っていただくということを行えば、紛争自体が減っていくのではないかということも述べてきたところであります。

 また、資料3-2の9ページでは、現行の労働局や労働委員会など個別紛争解決システム間の連携について書かれております。(カ)では、労働相談・個別労働紛争解決制度関係機関連絡協議会等の活用ということもありまして、こういったことは大変重要だと思っており、この協議会等に地域の労使団体も参加することで、より制度の認知度とか制度の特徴などを理解していただくことや、最近どんな紛争があるのかといったことについても、情報の共有化が図れるのではないかと思っておりまして、こういった、今できることこそ、先に行っていくべきではないかと考えております。

 検討会においても、いろいろな意見を出していたところでございますので、そういったことを先に行っていただきたいということが今回、申し上げたいことでございます。

 以上です。

○荒木分科会長 ありがとうございました。輪島委員。

○輪島委員 ありがとうございます。

 資料3-2でございますけれども、事務局に御質問させていただければと思います。

 まず、5ページ、村上委員もちょっと触れていましたfです。法的措置の要否にかかわらず、現在も行われている被申請人に対するあっせんの参加勧奨ということですけれども、あっせんは企業側にとってはあくまでも任意でありますが、企業側があっせんに参加できるような雰囲気、怖くないのですよという。そこで企業側も対応するということのお勧めをきちんとしていただきたいと思っているところでございます。

 また、3行目ですが、あっせんの参加率向上のための取組について検討するということですけれども、この検討状況について、どういうふうになっているのかということと。これは意見ですが、参加率の向上だけを目的にするということにならないようにしていただきたい。

 それから、8ページですが、先ほど課長からも御説明があった(ウ)と(エ)でございますが、高年齢職業安定法の要請に基づいて、企業側では60歳以降の継続雇用ということで、人事・労務の御経験の方も企業にとどまって継続雇用の対象になるということで対応しているわけですけれども、一方で、労働審判員になるということになりますと、現行では68歳までが一応の上限になっておりまして、2期4年ないし1期2年ぐらいで、せっかくさまざまな経験を積んできて、これからいろいろというところも、年齢の要件で退任せざるを得ない。

 特に、使用者側のほうは、年齢的に少しハンディという事情がございますから、その点から、ぜひこの年齢の制限、生涯現役社会、100年構想会議でもあり、100歳までということではありませんが、年齢要件のところを御検討いただきたいというところです。

 それから、(エ)の労働審判員制度は、ある意味で非常に円滑に、それから国民に定着した有用な制度と私ども、理解しておりまして、その点で言うと、非常に成功したものを継続していく必要があるだろうと思っております。その点では、現在の労働審判員の方々の研修をさらに充実していく。こういうことだったら、どういうふうに対応するのかということを含めて、さまざま研修ニーズというものがあるのではないかと考えておりまして、ここにありますような研修とか経験交流等をより充実していっていただきたいということで、具体的にどういうものをお考えになっているのかという点をお聞きしたいと思います。

 以上です。

○荒木分科会長 御質問でしたので、事務局からお願いします。

○大塚労働関係法課調査官 労働関係法課調査官でございます。

 今、3点御質問があったかと認識しておりますけれども、まず1点目のあっせんの参加率向上の取組状況についてでございます。こちらは、夏の組織再編で雇用環境・均等局のほうに所管が移りましたので、担当当事者として申し上げがたいものがあるのですけれども、今まであっせんの参加率向上のための取組といたしましては、各労働局において、あっせんの被申請人、これは多くは使用者の方々ですけれども、その方々への連絡に際しまして、あっせんの手続の流れとか労働局が行うあっせんの性質、すなわち任意であることなどもお伝えしながら、ただ、1回話をしに来ていただきたいという形で、積極的に電話勧奨等のプラスアルファの取組をしてきたところであります。

 現在、雇用環境・均等局のほうにおきまして、この報告書を踏まえて、具体的に今までの運用に何か追加で改善できることがあるかどうかを検討していると承知しておりますので、また状況に応じまして労使の皆様方に御相談があるのではないかと思っております。

 2点目の労働審判員の年齢要件につきましても、これも担当が最高裁といいますか、御指摘がありました68歳という年齢要件につきましては、最高裁の規則のほうで定められているところでございます。この検討会におきましては、先ほど輪島委員から御指摘がございましたように、68歳を超えての労働審判員の就任についても御意見いただいたところであり、報告書にもその旨、記載しておりますけれども、私どもといたしましては、この報告書の内容を最高裁事務総局あるいは法務省のほうにも情報提供いたしまして、検討していただきたいという形でお願いしているところでございます。

 今後も、その状況ですとか、あるいは必要に応じて最高裁と意見交換していくことはやぶさかではございません。

 最後の、研修、経験交流事業についてですけれども、これも労働審判制度の運用にかかわるものでございまして、担当当事者として申し上げる立場にはなかなかないものでございますけれども、現在、国の事業という形ではない形で、労働審判員のOBOGの方々と現役の審判員の方々との経験交流が既に始められていると承知しております。具体的にこれに国としてどのようにかかわっていくのかということについては課題ではないかなと思っておりまして、広くADRという観点から、雇用環境・均等局のほうでどうするのか、私ども労働基準局としては、必要な情報共有・連携を図りながら見守っていきたいと考えております。

 以上でございます。

○荒木分科会長 よろしいですか。

 ほかに御質問、御意見等、いかがでしょうか。どうぞ。

○安藤委員 今、輪島委員からありました審判員の年齢の要件のことですけれども、68歳という上限を引き上げる、また撤廃するということを検討するに当たって、もし検討するのであれば、それに伴うデメリットということも考えておかないといけないと私は、経済学を専門とする立場からは思います。と申しますのも、年齢で決めるというルールには、一定の合理性があると解することができるからです。

 なぜかといいますと、もしそうではなく、かなり上限を引き上げて個人の判断能力などを問うという形になると、あなたは判断能力が落ちたから1期のみで更新しません。あなたはまだまだ判断能力があるから3期やってもらいます、4期やってもらいます。このような意思決定を誰が行うのか、またそこに納得感があるのか。このあたりのことをきちんと考えないといけないということも必要かなと思いますので、どのような仕組みにすると、先ほどおっしゃっておられました経験を生かすという観点の必要性も理解しますが、引き上げる、または撤廃するなどが検討される場合には、繰り返しになりますけれども、それに伴うデメリットがないかということも重々検討していただければと思います。

 以上です。

○荒木分科会長 輪島委員。

○輪島委員 ありがとうございます。

 今のは、大変重要な御指摘だと思っております。基本的に私ども使用者側の委員750人、全員を一括で商工会議所と全国中小企業団体中央会さんと協力して推薦しておりますが、その推薦作業の中で、そういう意味では、ある程度のスクリーニングはさせていただいているという実態はあると考えております。

 以上でございます。

○荒木分科会長 ほかにはいかがでしょうか。秋田委員。

○秋田委員 報告書はいろいろな御意見が列記されているということなので、これについてはさまざまな意見があるのだというのは十分理解しております。

 例えば、3-2の5ページのe、あっせんに関して書かれているのですけれども、今、いろいろあっせんの話も出ましたけれども、現状を改善するため、あっせんの参加の任意性を見直し、参加を確保する措置を講ずることやといった意見もあったということなのでしょうけれども、あっせんはあくまであっせんで、これの任意性をなくしていくと、これは全く別の制度になってしまうと思うので、こういった基本的な概念については、きちんと守っていただければと思います。その上で、いろいろな意見を踏まえて、新たな措置が必要なのかどうかということも論議すればいいと思います。

○荒木分科会長 ありがとうございました。

 ほかにはいかがでしょうか。

 個別紛争解決の改善について、報告書で言うと1のほうについてたくさん意見をいただきましたけれども、2のほうについては、使用者側から何か御発言ありませんか。

 それでは、小林委員。

○小林委員 私も検討会に参加させていただきました。22回のかなりの回数を重ねた会議でありまして、私自身も大変勉強させていただきましたので、本当に感謝しているところです。

 ただ、この検討会、労側の主張も、確かにいろいろ反対意見もありましたし、承知しているところでございます。前半の改善点のところは、先ほど村上委員が言っていた、先にできることというものが多分幾つもあると思いますので、より検討を深めて、先にできることはぜひとも進めていただけるように、事務局にお願いしたいと思います。解雇無効時の金銭救済制度について、労側が反対だと言われたのは承知しており、学識経験者や政府の一体的に進めてほしいという意見があるのも聞いていたところでございます。

 ただ、法律上の面では、かなり細かいことで、まだまだいろいろ議論が必要なことがあるのではないかというのを使側も感じており、公労使の中で話し合う分科会で検討するにはまだまだ早い状況でもあると思いますので、ぜひともというわけではないですけれども、閣議決定等にもあるように法学者の先生方を中心に検討するという提案もありますから、検討するのであれば、まずはそちらのほうで検討していただいて、その後、この分科会等で検討するような手続が必要ではないかと感じているところでございます。

 以上です。

○荒木分科会長 ありがとうございます。

 ほかにはいかがですか。杉山委員、どうぞ。

○杉山委員 ありがとうございます。

 労側の方からの議論自体が要らないという御意見、重々承知しておりますが、この制度につきましては、商工会議所としては賛成しております。労働者側にもマイナスばかりではなく、プラスの部分があると思います。その部分を考えていただいて、先ほど小林委員が言われたように、専門家の方に委ねて、もう少し議論を深めていただいて、この場に持ってきていただくような形をとっていただけないかなと思っております。

○荒木分科会長 ほかにはいかがでしょうか。村上委員。

○村上委員 今、小林委員と杉山委員から御意見いただいたところでありますが、解雇の金銭解決制度について、この検討会でもさまざま論点があって、大変難しい議論がございました。裁判実務上、どのような枠組みとするのか、もし解決金というものを構成するときに、その解決金の性格は何なのかということをめぐっても大変難しい議論があって、こうした点についての整理がほとんどできていないことが現れているのが、この報告書ではないでしょうか。報告書では、どのような考え方があるのかということは意見として書いてありますけれども、きっちり整理できているかというと、全然整理できていないのではないかと考えております。

 そういう整理のための検討ということを、おそらく、小林委員はおっしゃったのではないかと思いますけれども、検討をされることはあっても、検討会に委ねるとか、制度導入ありきで検討するということではないと思っております。杉山委員から、「労働者にとっても、プラスの部分がある」とのご発言があり、検討会の場でも、「泣き寝入りしている労働者の救済につながる」ということをよく言われたのですが、議論している限り、そういうものにつながるという確信は全く持てないでいたのが、この20回の検討会でございました。

 そういう中での議論ということでありますので、私どもとして、ここに割くエネルギーはもう必要ないのではないかという考え方は変わるものではありませんけれども、仮に検討するのであれば、法技術的な論点の整理ということになろうかと思いますが、それはあくまで議論の整理ということであって、結論を縛るとか、そういったものではないということをぜひ要望しておきたいと思います。

 以上です。

○荒木分科会長 ほかに御意見はありますか。輪島委員。

○輪島委員 ありがとうございます。

 私もこの検討会に参加させていただいて、大変勉強になりました。その点で言うと、今、村上委員がおっしゃったとおりで、まさに30ページのコのところに書いてあるようなことが、この検討会の結論だったのではないかと考えているところでございます。1パラの最後のところですけれども、有識者による法技術的な論点についての専門的な検討を加えということでございますので、さらに法技術的な論点を深めていただきたいと思います。

 私どもとしては、先ほど余り紹介されませんでしたけれども、使用者申立てについても、私どもとしては何度か注文といいますか、意見を述べたのですけれども、検討会では、使用者申立てについては諦めてねという発言もあって、そういう意味ではニュートラルな法技術的な論点を今後期待したいと思っているところでございます。

 以上です。

○荒木分科会長 ほかにはいかがでしょうか。

 さまざまな御意見いただきましたけれども、先ほど御紹介がありましたとおり、この検討会報告書では、制度を設計するとした場合にはどういう問題点があるかということを、これまでの検討も踏まえつつ、かなり深く整理したところではあります。そういう点で、論点は出そろっているかと思いますけれども、他方で今、御指摘もありましたとおり、法的な整理については、まだまだ深めるべき点が残されているというのもそのとおりでございます。検討会でも、先ほど例がありましたけれども、金銭解決の解決金の趣旨とか、そういうことについても決まらないことは、どういう制度であるかというのもはっきりしないということもございました。

 そういうこともありまして、先ほど御紹介いただきました報告書の30ページあるいは「経済政策パッケージ」においても、法技術的な論点について専門的な検討を行うべきだとまとめられているところであります。このようなことを踏まえますと、法技術的な論点についての専門的な検討について、さらに有識者による議論を行うべきではないかと考える次第であります。この点、事務局にこの対応をお願いしたいと考えておりますけれども、事務局としてはいかがでしょうか。

○山越局長 ただいま分科会長から御指摘いただいた点につきまして、私どもといたしまして、有識者に検討いただく場を設ける方向で検討していきたいと思います。

○荒木分科会長 それでは、そういうことでよろしくお願いいたします。

 続きまして、3-1の「新しい経済パッケージ」における副業・兼業に関する件、及び3-3「柔軟な働き方に関する検討会」の報告について御意見、御質問等があればよろしくお願いいたします。弥久末委員、お願いします。

○弥久末委員 どうもありがとうございます。

 資料3-3の報告書等に関しまして、一言御要望申し上げたいと思います。検討会の資料等につきましては、「柔軟な働き方」の普及・促進の観点が非常に色濃く出ているというのがこの中身だと思っています。

 そもそも「柔軟な働き方」ということに関しましては、自営型テレワークにおける就労者の法的保護の問題、また副業・兼業における社会・労働保険の適用など、法的に未整備な項目が非常に多いと考えております。加えて、今、政府が進めております「働き方改革」の中で長時間労働を是正していこうとしている中で、この兼業・副業ということも、やり方によっては長時間労働につながるものになるのではないかと思います。要は、今、考えていることと、やろうとしていること、非常に違和感を禁じ得ないというのが現状であります。

 特に、副業・兼業ということにおきましては、11月に行われました検討会の労使ヒアリングの中でも、本業と副業があわさることによる長時間労働の問題ということも提起されておりますし、先ほどもありました安全管理という面についても非常に問題があると理解しているところであります。それにもかかわらず、こうした形で報告がされて、普及促進をはかることについては、もう少し検討していくべきではないかなと考えているところであります。

 また、かけ持ちパートとか、収入の問題で兼業・副業せざるを得ない人もあろうかと思います。こうしたさまざまな実態も捉えまして、引き続き検討を行っていくべきだと思っています。

 この報告書の5ページ、6ページにも、労災保険の給付額の算定の問題とか、雇用保険・社会保険の問題について、検討すべき課題であるとされています。働く者の視点、労働者の視点、就業者の視点から、ぜひとも積極的な検討をお願いしていきたいと思っています。

 最後になりますけれども、この内容が個々の人のキャリアアップ等々につながる以前に、安全衛生の問題や長時間労働の問題がある中で、要はどんどん働かせるということにつながらないような検討を含めてお願いしていきたいと思っています。

 以上、要望でございます。

○荒木分科会長 ありがとうございました。

 ほかにはいかがでしょうか。世永委員。

○世永委員 私のほうからも柔軟な働き方に関する検討会の副業・兼業について発言させていただきます。

 以前も自動車運転業務についての話をさせていただいたと思います。ドライバーに対する副業等については、休憩・休息のための時間の把握が困難となるおそれがあります。現行、過労運転の防止を定めている輸送安全規則というものがあるのですけれども、その中には、「休憩または睡眠のための時間および勤務が終了した後の休息のための時間」を十分に確保するよう、事業者が勤務・乗務時間を定めて運転手に従事させるということが必要になっています。

 しかし、現状では、ドライバー個々の労働時間の管理も完全にできていないという状況にあります。手前どもの資料で大変恐縮ですけれども、本年5月に47都道府県で、高速道路や一般道で7,980名のドライバーからアンケートをとりました。「時間外労働の把握はできていますか」ということですけれども、この項目に対しては、「残業はしているが、時間はわからない」という回答が19.4%、1,545名でした。残業の支給状況についてでありますけれども、「残業はしていても支給されない」という報告が13.4%、1,066名となっています。これが現状です。

 あわせて、副業を認めた場合、長時間労働を起因とする重大事故の発生ということについても危惧しております。つまり、自動車運転ということでありますと、社会に対する約束事である安全が確保できないというおそれもあります。業種によっては、副業が認められない産業もあるということをぜひ御理解いただきたいと思います。

 以上です。

○荒木分科会長 ありがとうございました。

 ほかにはいかがでしょうか。秋田委員。

○秋田委員 ありがとうございます。

 この問題に関して、労働時間管理の在り方と労災防止の在り方という課題がそのままになっているというのが、我々も課題が非常に大きいと感じています。

 1つ、事務局に御質問したいのですけれども、この中にも書いてあるのですが、労災が発生した場合に、2つの事業場の片方で発生した場合は、そちら側の給付になるというお話でした。例えば、2時間働いている事業所のほうでけがをして、本来は6時間、別のところで働いていますというときには、その2時間分のほうの給付がなされるということですね。

 そうすると、そこで労災が発生した場合は、残りの6時間働けなくなった分は民事で損害賠償を起こすということが想定されますけれども、いかがでしょうか。2時間の事業主の労災で、それが無過失か、過失かわかりませんけれども、過失があれば、それによって残りの6時間の労働ができなくなったので、労働者としては、2時間の事業主のほうに民事で損害賠償を起こすということです。現状の制度の中でそういうことが発生した場合、そうなるのではないかと推測するのですけれども、どうでしょうか。

○荒木分科会長 事務局、お願いします。

○大塚労働関係法課調査官 まず、労災保険制度の複数の事業場で働く場合の労災の適用の在り方につきましては、労働者の就業形態にかかわらず、事故が発生した事業主の災害補償責任を担保することになりますので、今、秋田委員が御指摘の2時間の事業場と6時間の事業場があったときに、2時間の事業場のほうで労災事故が発生したときには、まず労災保険制度としては2時間分の労災補償がなされることになります。

 その場合に、労働者が6時間の部分の事業場で働けなくなった分を、2時間の事業場のほうに民事で損害賠償請求できるかどうかという点につきましては、請求自体はできると思いますけれども、それが認容されるかどうかは、その2時間の事業場で働いた際に、その事業主側にどのような責任があったのか。その事業主側が講じた措置あるいは講じなかった措置と、そのけが、あるいは6時間の部分の事業場で働けなくなったこととの間の相当因果関係が認められるかどうかとか、そういう民法上の要件に基づいて、その責任が2時間の事業主側に認められるかどうか、その個々の判断によるものと考えております。

○荒木分科会長 よろしいでしょうか。どうぞ。

○秋田委員 個々の事案については、まさにおっしゃるとおりだと思いますけれども、全体的にはそういう課題がそのままになっている現状の法制度の中で、ガイドラインだけが時間的に先行するということなのでしょうか。

○荒木分科会長 事務局。

○大塚労働関係法課調査官 今般、取りまとめられましたガイドラインにつきましては、これはあくまでも現行法令の規定ないしは解釈に基づいて、事業主側あるいは労働者側が留意すべき点をまとめたものと御理解いただければと思います。そして、今、秋田委員から御指摘がありましたように、労災補償制度あるいは労働時間の問題など、さまざまな制度的課題があることも、この検討会では指摘されたところでございまして、それは今後、必要な制度的検討を必要に応じて有識者の方々にも参集いただきながら検討していくといった流れになるものと思います。

○秋田委員 そうしますと、現状のガイドラインはそういう課題がありますということを事業主の方あるいは労働者の方にも十分周知を図った上で、これを実行するということでないと、後でトラブルあるいは問題になるということがあり得ますので、よろしくお願いします。

○荒木分科会長 今の点、大変重要だと思います。現行法のもとでのガイドラインということで、同時に現行制度における問題点も指摘されているということは、ぜひ踏まえて周知いただければと思います。

 ほかにはいかがでしょうか。輪島委員。

○輪島委員 ありがとうございます。

 資料3-3でございますけれども、1120日、3ページにありますように、私どもはヒアリングの機会をいただいて参加させていただきました。副業・兼業について、ずっとこれまで御指摘があったように、総労働時間管理、それから安全配慮義務の履行、そして秘密保持など、解決されるべき問題は多々あると、そのときにも申し上げているところでございます。資料にあるとおり、85%の企業が兼業・副業について禁止しているという実態もあるということでございます。

 経営者としては、社員に対して、自社の仕事を一生懸命やってほしいという気持ちがあると思っております。近年、経済界としても働き方改革ということで、そこも一方で法律の対応も含めて強力に進めているところなので、就業時間中、働いている間は、これまで以上に仕事に集中してもらいたい。そして、生産性を上げてもらいたいと考えているというのは当然だと思いますし、会社が終わった後、これはワーク・ライフ・バランスということで、休日とか心身をリフレッシュすることに使うということも、一義的な経営者の願いではないかなと思っております。

 その点で、今、御指摘があったように、イノベーションの創出とかベンチャー企業の活性化というメリットの側面があるということは承知しておりますけれども、個社の事情によって、副業・兼業ということを企業が認めることについては、個々の企業の判断だと考えておりますけれども、全体として、私ども経団連として、会員企業全体に副業・兼業を推奨する立場ではないということは、改めて申し上げておきたいと思っています。

 その点から、資料3-2の2ページにあります、また今、秋田委員からも指摘があったとおり、右側の箱の3つ目の、複数の事業所で働く方の保護や副業・兼業の普及促進に関する制度検討、来年度、この制度検討が行われると聞いておりますので、その点、さまざま今、指摘があった点も含めて、しっかり検討していただきたいとお願いしておきたいと思います。

 以上です。

○荒木分科会長 ありがとうございました。

 ほかにはいかがでしょうか。村上委員。

○村上委員 今、輪島委員からも今後の検討に当たって、ぜひ留意していただきたい事項としておっしゃっていました。私どもとしても、弥久末委員が発言されましたけれども、副業・兼業の形態はさまざまございます。促進というのは、どちらかといえばホワイトカラーの業務を念頭に置いておっしゃっている方が多いのではないかと思われるのですが、必ずしもホワイトカラーの労働者だけというわけではなく、現場で働いていらっしゃる方々もさまざまいるわけです。資料の11ページでは、副業・兼業に関わるその他の現行制度について記載があり、先ほど発言がありましたように、労災保険の給付や各種保険制度の問題なども指摘されたところであります。

 それだけではなくて、長時間労働者に対する医師の面接指導の問題とか、化学物質のばく露の問題といった、いろいろなところで働いている労働者の問題もあるわけで、こうした点も含めて、ぜひ御検討いただきたいと思っております。

 以上です。

○荒木分科会長 ありがとうございました。

 ほかにはいかがでしょうか。

 この問題は、労働条件分科会が管轄している問題と非常に密接に関係しておりますので、その点の連絡を密にしながら、政府としては検討を進めていただきたいと考えております。

 それでは、資料3-1から3-3については以上ということで、次の議題に移りたいと思います。

 資料4についてでありますが、事務局から説明をお願いします。

○藤枝労働条件政策課長 資料4について御報告させていただきます。「賃金等請求権の消滅時効の在り方に関する検討会」についてでございます。

 この問題は、7月の当分科会でも御報告させていただきました。めくっていただきまして、そのときと同じ資料をつけさせていただきましたけれども、御案内のように、民法の一部改正がございまして、いわゆる債権の消滅時効につきまして統一化等が図られたところでございます。一般債権につきましては、今までの短期消滅時効が廃止され、2にございますように、権利行使できることを知った時から5年間、行使することができる時から10年間行使しないときに時効が消滅するということで統一的な整理がされたところでございます。

 これに伴いまして、労働基準法115条に、この民法の消滅時効の特則として賃金債権等に係る消滅時効の規定がございますので、ここについてどう考えるかという検討を行う必要が出てまいりました。これにつきましては、まず専門的な法技術的な検討をしていきたいということを7月にも御報告したところでございますけれども、最後のページ、1枚つけてございますけれども、昨日26日に「賃金等請求権の消滅時効の在り方に関する検討会」を開催することといたしまして、第1回を開催したところでございます。

 1の趣旨・目的のところは、先ほど申し上げたとおりでございますけれども、この賃金等請求権の消滅時効の在り方に関しまして、法技術的に実務的な論点整理をこの検討会で行っていただくことを予定しております。

 メンバーにつきましては、最後の裏のページですが、安藤委員、水島委員も御協力いただきまして、岩村先生に座長をお願いしておるところでございます。

 今後、実務家からのヒアリングなどもしていただいた上で、一定の論点整理を行っていただき、夏ごろをめどにまとめていただいて、当分科会での審議につなげていきたいと思っておりますので、以上、御報告させていただきます。

○荒木分科会長 ただいまの説明につきまして御質問、御意見等、ございますでしょうか。中川委員。

○中川委員 中川でございます。ありがとうございます。

 消滅時効の在り方ということで言うと、民法改正を受けての検討ということで承知しております。その上で、2点だけ意見を申し上げたいと思います。

 まず、1つ目として、労働者保護という観点では、民法の短期消滅時効がなくなるのであれば、労基法で規定する賃金等請求権の消滅時効も本則同様5年にすべきではないかという立場です。

 もう一点は、議論の対象となる請求権をどうするかという点でございまして、未払い賃金請求権を始めとする労基法115条の対象となる請求権だけではなくて、労災や年金関係の消滅時効の在り方についても横断的に検討すべきではないかということで、以上2点、意見として申し上げたいと思います。

 以上です。

○荒木分科会長 ありがとうございました。

 ほかに御質問、御意見等、いかがでしょうか。輪島委員。

○輪島委員 ありがとうございます。

 民法の問題は、そのとおりだと思うのですが、労基法115条についての考え方の整理と私どもとしては理解しておりまして、その点で、中川委員から御指摘があったとおり、労働者保護という観点が大事だと思っておりますが、一方で、企業にとっての取引安全という観点もあると私どもは理解しておりまして、そういう意味では、115条はその2つの観点から民法の規定を修正していると理解しているところでございます。

 今度、新しい検討会が発足するということで、今、御報告いただきましたので、私どもとしては、労働者の保護と企業取引にとっての取引安全という2つの重要な観点を踏まえて御検討いただきたいとお願いしておきたいと思っております。

 以上です。

○荒木分科会長 事務局から何かございますか。

○藤枝労働条件政策課長 ありがとうございます。

 検討内容につきましては、今、輪島委員からも御指摘があったように、今の労働基準法115条が定められた趣旨も当然御紹介しつつ、今後どうあるべきかという議論を、期間の問題も含め、していただこうと思っております。

 また、先ほどございましたように、他の労働関係法、労災保険等の消滅時効の問題もございますけれども、まず、この検討会で115条の賃金等の請求権についての考え方を整理していただき、その検討結果を受けて、他の部分については、それぞれの所掌に応じて検討がなされるものと考えております。

 以上でございます。

○荒木分科会長 ほかに御質問、御意見、いかがでしょうか。

 

 その他、何かこの場で御発言があれば承りますが、よろしゅうございますか。

 それでは、本日は以上といたしたいと思います。

 最後に、 次回の日程等について事務局から御説明をお願いします。

○中嶋労働条件政策課調査官 次回の労働条件分科会の日程、場所につきましては、調整の上、追ってお知らせをいたします。

○荒木分科会長 それでは、以上をもちまして第142回「労働条件分科会」を終了いたします。

 なお、議事録の署名につきましては、労働者代表は村上委員、使用者代表は三輪委員にお願いいたします。

 本日は、お忙しい中、どうもありがとうございました。

 


(了)

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