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2017年10月3日 第1回「柔軟な働き方に関する検討会」議事録

○日時

平成29年10月3日(火)10:00~12:00


○場所

厚生労働省 共用第6会議室


○議題

(1)雇用型テレワーク、自営型(非雇用型)テレワーク、副業・兼業の現状と課題について
(2)その他

○議事

○飯田労働関係法課課長補佐 定刻となりましたので、ただいまより第1回「柔軟な働き方に関する検討会」を開催いたします。

 委員の皆様におかれましては、御多忙のところお集まりいただき、まことにありがとうございます。

 本検討会の進行について、座長が選出されるまでの間、事務局にて議事進行を務めさせていただきます。労働基準局労働関係法課の飯田と申します。

 まず、本検討会の開催に当たり、雇用環境・均等局長の宮川から御挨拶申し上げます。

○宮川雇用環境・均等局長 雇用環境・均等局長の宮川でございます。

 柔軟な働き方に関する検討会の開催に当たりまして、一言御挨拶申し上げたいと思います。皆様方には、柔軟な働き方に関する検討会の委員に御就任いただきましたこと、心より御礼申し上げます。また、本日はお忙しい中、御出席いただきまして、重ねてお礼申し上げたいと思います。

 テレワークにつきましては、時間あるいは場所を有効に活用できるため、子育てや介護、仕事の両立ですとか、多様な人材の能力発揮が可能となるものでございます。

 また、副業あるいは兼業につきましては、新たな技術の開発とかオープンイノベーション、あるいは起業の手段、そして第2の人生の準備など、さまざまな観点で有効と考えられているところでございます。

 働き方改革を進める上で、こうした柔軟な働き方がしやすい環境を整備することは、大変重要なことでございまして、働き方改革実行計画を踏まえまして、これらの実態を把握しつつ、課題等を整理するとともに、ガイドラインの作成等に向けまして検討を行うため、この検討会を開催することとさせていただきました。

 委員の皆様方におかれましては、幅広い観点からお知恵をいただきたいと考えております。ぜひ忌憚のない闊達な御議論をお願いいたします。

 そして、本検討会を実りあるものにしていただきますようお願い申し上げまして、挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○飯田労働関係法課課長補佐 続きまして、御出席いただいております委員の皆様方を御紹介いたします。

 御参集者名簿順に、東洋大学法学部教授の芦野訓和様。

○芦野委員 よろしくお願いいたします。

○飯田労働関係法課課長補佐 森・濱田松本法律事務所弁護士の荒井太一様。

○荒井委員 よろしくお願いします。

○飯田労働関係法課課長補佐 カルビー株式会社執行役員・人事総務本部本部長の江木忍様。

○江木委員 よろしくお願いいたします。

○飯田労働関係法課課長補佐 ロート製薬株式会社広報・CSV推進部部長の河崎保徳様。

○河崎委員 よろしくお願いします。

○飯田労働関係法課課長補佐 立教大学法学部准教授の神吉知郁子様。

○神吉委員 よろしくお願いいたします。

○飯田労働関係法課課長補佐 明治大学法学部教授の小西康之様。

○小西委員 よろしくお願いします。

○飯田労働関係法課課長補佐 リクルートワークス研究所主任研究員の萩原牧子様。

○萩原委員 よろしくお願いいたします。

○飯田労働関係法課課長補佐 東北芸術工科大学教授、日本テレワーク学会会長の松村茂様。

○松村委員 よろしくお願いいたします。

○飯田労働関係法課課長補佐 クラウドソーシング協会事務局長の湯田健一郎様です。

○湯田委員 よろしくお願いします。

○飯田労働関係法課課長補佐 以上9名となります。

 また、会議のオブザーバーとして、経済産業省経済産業政策局産業人材政策室、伊藤参事官。

○伊藤経済産業省経済産業政策局産業人材政策室参事官 伊藤でございます。よろしくお願いいたします。

○飯田労働関係法課課長補佐 経済産業省中小企業庁経営支援部創業・新事業促進課、末富課長。

○末富経済産業省中小企業庁経営支援部創業・新事業促進課長 よろしくお願いいたします。

○飯田労働関係法課課長補佐 御参加いただいております。

 続きまして、事務局を紹介いたします。

 雇用環境・均等局長の宮川。

○宮川雇用環境・均等局長 宮川でございます。よろしくお願いします。

○飯田労働関係法課課長補佐 大臣官房審議官(労働条件政策担当)の土屋。

○土屋大臣官房審議官(労働条件政策担当) 土屋でございます。よろしくお願いいたします。

○飯田労働関係法課課長補佐 大臣官房審議官(雇用環境・均等、子ども家庭、少子化対策担当)の成田。

○成田大臣官房審議官(雇用環境・均等、子ども家庭、少子化対策担当) 成田でございます。よろしくお願いいたします。

○飯田労働関係法課課長補佐 在宅労働課長の元木。

○元木在宅労働課長 元木でございます。

○飯田労働関係法課課長補佐 労働関係法課長の大隈です。

○大隈労働関係法課長 よろしくお願いいたします。

○飯田労働関係法課課長補佐 どうぞよろしくお願いいたします。

 なお、宮川局長と成田審議官は業務の都合上、中座いたしますので、御了承ください。

 続きまして、お配りいたしました資料の御確認をお願いいたします。資料といたしまして、

 資料1「柔軟な働き方に関する検討会 開催要綱」

 資料2「検討会の公開の取扱いについて(案)

 資料3「今後の進め方」

 資料4「雇用型テレワークの現状と課題」

 資料5「自営型(非雇用型)テレワークの現状と課題」

 資料6「副業・兼業の現状と課題」

 資料7「江木委員提出資料」

 資料8「河崎委員提出資料」

 資料9「湯田委員提出資料」

 そのほか座席表をお配りいたしております。

 不足などございましたら、事務局までお申しつけください。

 次に、お配りした資料にございます本検討会の開催要綱について御説明いたします。資料1をごらんください。

 1、趣旨としましては、テレワークは、時間や空間の制約にとらわれることなく働くことができるため、子育てや介護と仕事の両立の手段となり、多様な人材の能力発揮が可能となるものである。また、副業や兼業は、新たな技術の開発、オープンイノベーションや起業の手段、そして第2の人生の準備として有効である。

 働き方改革を進める上では、こうした柔軟な働き方がしやすい環境を整備することが重要であるため、働き方改革実行計画を踏まえ、これらの実態を把握しつつ、普及に当たっての課題等を整理するとともに、ガイドラインの策定に向けて、検討を行うため、有識者からなる検討会を開催するものでございます。

 検討事項としては、(1)柔軟な働き方の実態や課題の把握。(2)柔軟な働き方を普及するためのガイドラインの策定等に向けた検討。(3)その他となります。

 3、参集者ですが、検討会の参集者は、別紙のとおりといたします。検討会の座長は、参集者の互選により選出する。(3)座長は、必要に応じて関係者の出席を求めることができる。

 4、検討会の運営ですが、検討会は、厚生労働省労働基準局長及び雇用環境・均等局長が有識者の参集を求めて開催し、その庶務は、労働基準局労働関係法課及び雇用環境・均等局在宅労働課において行います。検討会は、原則として公開し、ただし、特段の事情がある場合には、座長の判断により、非公開とすることができる。

 以上でございます。

 まず初めに、本検討会の座長についてお諮りいたします。ただいま説明いたしました開催要綱にございますように、検討会の座長は、構成員の互選により選出するとしており、これに従い座長の選出を行いたいと思います。座長の選出については、事前に事務局より各委員に御相談させていただいたとおり、松村委員にお願いしたいと考えておりますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○飯田労働関係法課課長補佐 ありがとうございます。

 御賛同をいただきましたので、松村委員に座長をお願い申し上げます。

 それでは、座長に御就任いただきます松村委員より御挨拶をいただきたく思います。よろしくお願いします。

松村座長 座長に御指名されましたので、私、微力ながら務めさせていただきますので、皆様におかれましては御協力、御支援をいただきたいと思います。よろしくどうぞお願いいたします。

 今回、働き方の実現会議等で議論され、実行計画に基づいて検討会というものも置かれていると伺っておりますけれども、多様な問題を抱えておりまして、少子化の問題や高齢化の問題、そして長時間労働の問題、さらには日本の産業の生産性を上げていくということで、多様な課題を今、抱えているところです。それをテレワークという新しいツールで解決していけるのではないかということで、働き方の多様なリデザインを考える、そんな大きなテーマをいただいたのかなと思っています。ぜひとも皆様にはいろいろと御意見を教えていただければと思います。

 テレワークというのは、いつでも、どこでも、そして誰とでも働けるというツールだと思っています。といいますのは、複数の仕事あるいは複数の多様な活動を同時に実現できる新しいツールである。例えば介護や育児のようなことと仕事、あるいは仕事と地域のボランティアとか、そして今、話題になっています仕事と仕事、副業ということでございますが、そうした多様な活動が同時にできるツールなのだろうと考えております。

 このテレワークの特性を生かしまして、先ほどの課題を検討していきたいと思っておりますけれども、柔軟で、そして私たちもやっていける、やりたい、あるいは自己実現ということを叶えられるような社会の仕組みを、人生100年と言われているような超長寿社会に向かって検討していきたいと思っております。

 皆さんがワーカーですので、ワーカーがやりたいことができる社会が、結果的には日本の産業や日本の文化をつくっていくのだろうと思っております。皆様にはぜひとも予断を持たず、忌憚のない御意見をいただきまして、務めを務め上げてまいりたいと思っております。ぜひとも御協力をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○飯田労働関係法課課長補佐 ありがとうございました。

 カメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきます。

(カメラ退室)

○飯田労働関係法課課長補佐 これ以降の進行は松村座長にお願いいたします。

○松村座長 それでは、早速議題に入ってまいりたいと思います。

 初めに、本日の進め方ですけれども、事務局からこの検討会の持ち方、今後の進め方について御説明をいただいた後、雇用型テレワーク、自営型(非雇用型)テレワーク、副業・兼業の現状について御説明いただき、議論に入りたいと思います。

 また、議論の冒頭では、本日資料を提出していただいた委員の皆様から資料の御説明と御意見をいただきたいと思います。

 まずは資料2、3について、事務局から説明をお願いします。

○飯田労働関係法課課長補佐 まず、資料2をごらんください。検討会の公開の取り扱いについてですが、厚生労働省の審議会等の公開の取り扱いにつきましては、例外的な場合を除き、会議を公開することとしております。本検討会におきましても原則公開とし、特段の事情により、座長が非公開が妥当と判断した場合には非公開とすることとしたいと考えております。

 次に、資料3をごらんください。今後の進め方でございます。本日、第1回、10月3日につきましては、雇用型テレワーク、自営型(非雇用型)テレワーク、副業・兼業の現状と課題、それから意見交換とし、次回の第2回、10月末ごろを予定しておりますが、企業の取り組み等のヒアリングと意見交換とさせていただきたいと存じます。その後1カ月に2回程度開催し、ガイドラインの策定等に向けた検討を行うということで考えております。年度内のできるだけ早い時期にまとめたいと考えております。

 以上でございます。

○松村座長 ありがとうございました。

 これについて特に何かございましたら、御発言をお願いします。よろしいでしょうか。

 ありがとうございました。それでは、御異論がないということですので、これで進めさせていただきたいと思います。

 次に、事務局から資料4と5について、簡単に御紹介をお願いします。

○高橋在宅労働課課長補佐 資料4の雇用型テレワークの現状と課題について、御説明いたします。資料を1枚おめくりいただき、1ページと2ページを御覧下さい。これは雇用型テレワークに係る働き方改革実行計画を抜粋したものでございます。

 2ページの点線の四角で囲われた部分を御覧下さい。ガイドラインの刷新が掲げられております。近年モバイル機器が普及し、自宅で働く形態だけではなく、サテライトオフィス勤務やモバイル勤務といった新たな形態のテレワークが増加しておりますが、現行のガイドラインでは在宅勤務に限定されております。また、テレワークにおいても様々な労働時間制度が活用できますが、現行のガイドラインでは、在宅勤務におけるみなし労働時間制度については言及されていますが、その他の労働時間制度については明確には示されておりません。

 さらに、育児や介護などで仕事を中抜けする場合の労働時間の取扱いや、例えば午前中に在宅勤務をして、午後から会社へ出勤する際の移動時間の取扱い方法の明確化、テレワークが長時間労働につながるのではないかといった懸念が指摘されているところでございます。

 こうした状況を踏まえまして、1点目としまして、在宅勤務以外の形態であるサテライトオフィス勤務、モバイル勤務の活用方法の追加、2点目としまして、携帯電話を持っていても事業場外みなし労働時間制を活用できる条件や、フレックスタイム制、裁量労働制、事業場外みなし制の利用方法の明確化、中抜け時間や部分在宅等における移動時間の扱い等の整理、3点目としまして、長時間労働対策として深夜労働の制限や深夜・休日メールの送付の抑制等の長時間労働対策例の推奨をガイドラインに盛り込むこととされているところでございます。

 3ページを御覧下さい。左上と左下の図表は、テレワークに係る政府目標(KPI)を示したものです。左上にありますテレワーカー人口につきましては、制度等に基づく雇用型テレワークの割合を平成32年までに平成28年度の7.7%から倍増させるというものでございます。

 テレワーカー人口のKPIにつきましては、昨年度までは週1日以上終日在宅で就業する雇用型在宅テレワーカーを対象としておりましたが、サテライトオフィス勤務やモバイル勤務といった新たな勤務形態のテレワークが普及している実態などを踏まえ、本年5月に見直したものでございます。

 左下にあります導入企業の割合につきましては、平成32年までに平成24年度の11.5%の3倍というものですが、直近の平成28年の割合は13.3%という状況にあります。

 右上の図表はテレワークを利用していない労働者のテレワークの実施意向を示したものですが、約4割の方が「テレワークを実施してみたい」と回答しており、その理由として、「通勤時間・移動時間が削減できそうだから」が69.3%、「自由に使える時間が増えそうだから」が67.4%となっております。

 右下の図表は企業の資本金規模別導入状況を示したものでございますが、企業規模が大きくなるほどテレワークの導入率が高くなる傾向となっております。

 4ページを御覧下さい。雇用型テレワークのメリットを示したものです。左上の図表は、労働者からテレワークのメリットについて聞いたものですが、「仕事の生産性・効率性が向上する」を回答している労働者の割合が54.4%となっており、次いで「通勤による負担が少ない」が17.4%となっております。

 左下の図表は企業からテレワークの効果について聞いたものですが、企業調査においても、「定型的業務の効率・生産性向上」を回答している企業の割合が、部分在宅やモバイル勤務の形態で高くなっております。

 また、終日在宅や部分在宅の勤務形態では、「優秀な人材の確保」や「従業員の家庭生活を両立」を回答している企業の割合が高くなっております。

 右側はテレワークの効果について、テレワーク制度を導入している企業からヒアリングをした結果を示したものです。ネスレ日本株式会社では、社員1人当たりの売上高は15%増、時間外労働は40%減、日本マイクロソフト株式会社では、このような生産性向上や時間外労働の削減の効果に加え、女性離職率が40%減少したという効果を上げております。

 また、シスコシステムズ合同会社は、生産性向上効果として約10億円、時間外労働が半減、サイボウズ株式会社では離職率が28%から4%に減少ということをそれぞれ効果として挙げているところでございます。

 5ページを御覧下さい。雇用型テレワークの課題を示したものです。左側のグラフは、労働者からテレワークのデメリットについて聞いたものですが、「仕事と仕事以外の切り分けが難しい」を回答している労働者の割合が38.3%と最も高くなっており、次いで「長時間労働になりやすい」が21.1%。「仕事の評価が難しい」が16.9%。「上司等とコミュニケーションが難しい」が11.4%となっております。

 右側のグラフは、企業からテレワークの実施の問題・課題について聞いたものですが、労働時間管理が難しいと回答している企業が、終日在宅、部分在宅、モバイルのいずれの勤務形態とも高くなっており、終日在宅、部分在宅の勤務形態については、「進捗管理が難しい」、「コミュニケーションに問題あり」と回答した企業の割合が高くなっております。

 6ページを御覧下さい。現行のテレワークガイドラインの概要を示したものでございます。冒頭でも申し上げましたが、在宅勤務に限定されております。

 また、在宅勤務には労基法、最賃法、安衛法、労災保険法等が適用されることが示されております。

 中段のところでございますが、労基法上の注意点として、点線の四角の右側に在宅勤務におけるみなし労働時間制を適用するための要件が示されております。具体的には、業務が自宅で行われること、使用者の指示でパソコン等により常時通信が可能な状態となっていないこと、作業が随時使用者の具体的な指示に基づいて行われないことの3つの要件が示されております。

 2つ目の要件につきましては、単に回線が接続されているだけで、パソコンなどから離れることが自由である場合は、「常時通信可能な状態」には該当しないこと、また、3つ目の要件につきましては、業務目的、目標期限などの基本事項の指示は、具体的な指示に該当しないことが示されております。

 次に、安衛法上の注意点として、健康診断、雇い入れ時の安全衛生教育が必要であること、VDT作業ガイドラインに留意する必要性について示されております。

 労災保険上の注意点として、在宅勤務中に業務が原因で生じた災害は、労災保険が適用されること、私的行為が原因のものは業務上の災害とはならないことが示されております。

 7ページを御覧下さい。先ほど申し上げましたように、働き方改革実行計画でガイドラインの見直し事項が明確に示されておりますので、本検討会における論点を示させていただいております。点線の四角の中に記載されている事項について検討を予定しておりまして、※印が付されている事項は、実行計画に盛り込まれているものでございます。

 実行計画には記載されていない事項としまして、黒丸の2つ目の1ポツ目のところにございますが、通常の労働時間制度で労働時間を適正に把握できる場合を明確化。黒丸の4つ目のところでございますが、テレワークにおける事業者による安全衛生管理について整理することとしております。

 また、今後のヒアリングやこれまでのニーズ調査等を踏まえ、制度的課題の抽出・整理を行いたいと考えております。

 8ページ以降は参考として在宅勤務ガイドラインをつけております。

 私からの説明は以上でございます。

○永倉在宅労働課課長補佐 続きまして、資料5、自営型(非雇用型)テレワークの現状と課題について御説明いたします。時間が限られておりますので、簡単に説明させていただきます。

 おめくりいただきまして、1ページ、2ページ目が働き方改革実行計画の抜粋になります。2ページの工程表のほうで説明をさせていただきたいのですが、上の右側の箱の真ん中くらいに「ガイドライン改定」という項目がございます。非雇用型テレワークについて、クラウドソーシングの普及に伴うトラブルなどの実態を把握した上で、働き手と発注者の相対契約を前提としている現行のガイドラインを2017年度に改定し、その周知徹底及び遵守を図るとされております。

 具体的に、1つ目、クラウドソーシング等の仲介事業者が再発注する場合にはガイドラインが適用されることを明確化すること。2つ目、仲介手数料や著作権の取り扱いの明示など、クラウドソーシングを通じて発注する際に求められるルールを明確化すること。このように指摘されているところです。

 おめくりいただきまして、3ページ、規制改革実施計画の抜粋をつけさせていただいております。真ん中のところですが、改革の内容としまして、在宅ワーカーの健康を確保する観点から、ガイドラインにおける健康確保に関する記述の充実を図るとか、このようなことが指摘されているところです。

 これまで出てきました現行のガイドラインについて先に御説明したいのですけれども、飛んで恐縮ですが、10ページをおめくりください。10ページ、在宅ワークの適正な実施のためのガイドラインというのが現行のガイドラインとなります。これは発注者が在宅ワークの契約締結時に守るべき最低限のルールとしてガイドラインを策定しているものです。

 2の定義ですけれども、在宅ワークとは、情報通信機器を活用して、請負契約に基づきサービスの提供等を行う在宅形態での就労というふうに現段階では定義をしているところです。

 3のところでは、注文者が守るべき事項として、契約条件の文書明示、文書保存ですとか、契約条件の適正化のために、例えば報酬の支払い期日は長くても60日以内としましょうとか、そういったことが記載されています。ですので、現行のガイドラインは、注文者と受注者、働き手の二者間を想定したガイドラインという構成となっております。

 戻って恐縮ですが、4ページをお願いいたします。今、定義のところで紹介しました在宅ワークの現状について簡単に御説明いたします。在宅ワーカーの属性について示したものになります。2013年度の推計では、在宅ワーカーは126.4万人いるのではないかと推計しております。性別は男女およそ半々ずつぐらい、年齢層はかなり幅広く存在しているという実態がございます。

 資料に1点修正がございます。左下の性別のところと真ん中の年齢のグラフですけれども、n値が「1,236」と書かれているのですが、正しくは「2,515」になりますので、恐縮ですが、訂正をお願いいたします。

 おめくりいただきまして、5ページ、上のところが仕事の内容についてあらわしたものになります。かなり多種多様にわたっているのですけれども、多いところで言うと、設計・製図が一番多くなっておりまして、次いでデータ入力。そのほかにもシステム設計・開発、プログラミングですとか、文書入力、添削、採点、ライター、このようなものが比較的多いこととなっております。済みません。ここのn値も「1,236」となっているのですが、「2,515」になりますので、訂正をお願いいたします。

 下のグラフが月の平均収入をあらわしたものになります。在宅ワークによる平均的な月収は5万円以下というところが最も多くなっております。ただ、これは在宅ワークによる月収となりますので、世帯収入とかそのようなものとは違うというところに留意が必要になるかなと考えます。

 続きまして、6ページ、在宅ワークを始めた理由です。「都合のいい時期、時間に働けるため」という回答が最も多く、次いで「スキルや趣味を生かした仕事をしたいため」「自分がやった分だけ報われ、働きがいがあるため」、このような回答が多くなっているところです。

 下、企業における活用状況ですけれども、在宅ワーカーに仕事を発注している企業や過去に発注経験のある企業は約1割となっておりまして、発注したことのない企業が大半という結果になってございます。

 下の右側、企業が在宅ワーカーの活用に期待するメリットとしては、「専門業務への対応」「人件費の削減」「繁忙期への対応」、このような回答が多くなっております。

 おめくりいただきまして、7ページです。ワーカーと発注者のトラブルについてあらわしたものになります。いずれのトラブルについても「経験がない」という在宅ワーカーが多いです。下の青い棒グラフのほうです。ただ、「仕事内容の一方的な変更」とか、「報酬の支払い遅延」「不当に低い報酬額の決定」については、比較的トラブルの経験を有するというワーカーが多いような結果となっております。

 8ページの図は受発注の実際のイメージを示したものになります。ここでは、わかりやすいように成果物を納品するパターンのみで示させていただいています。上の直接発注というところが、ワーカーが発注者から直接業務を請け負って納品するというタイプでして、現行のガイドラインが主に想定しているのがこのタイプとなります。

 真ん中、仲介事業者を通じた発注のマル1としているのですけれども、これは仲介事業者が発注者から一度業務を請け負って、その業務をワーカーに再発注して、できた業務を取りまとめ、発注者に納品するというタイプになります。

 一番下、仲介事業者を通じた発注のマル2は、仲介事業者がワーカーと発注者の仲介やマッチングの場の提供を行った上で、ワーカーが発注者から業務を請け負って納品するというタイプでして、上との大きな違いは、発注者とワーカーが直接契約を結ぶ。その間に仲介事業者が入って、点線の「斡旋等」とありますけれども、これは、する場合もしない場合も想定されるかとは思うのですが、二者の契約に仲介事業者が入っていくという形を想定しております。一般的に言われるクラウドソーシングというのも、大きくはこの類型に入るのではないかと考えているところです。

 おめくりいただきまして、9ページ、クラウドソーシングについてです。今、ちらっと触れてしまったのですけれども、※印で書いてあるとおり、一般的にクラウドソーシングとは、クラウドソーシング事業者が運営するウエブサイト上で発注者とワーカーをマッチングさせる仕組みではないかと考えています。これをイメージにしたものが右下の図になります。クラウドソーシングは、市場規模がここ数年で急速に拡大しておりまして、左下のグラフを見ていただいてもわかるとおり、これは民間の研究所が出している予測になるのですけれども、ここ数年で急速に右肩上がりをしているというところがございます。

 次のページは先ほどのガイドラインを示したものになりますので、11ページをお願いいたします。簡単ですが、検討の視点ということで御用意させていただきました。ガイドラインの前回の改定時が平成22年になるのですが、少し昔のことになりますので、そこからの状況の変化などを踏まえて、検討に当たっては、例えば以下のような視点があり得るのではないかということで、御用意しております。

 ○の1つ目と2つ目につきましては、実行計画に書いてあることを引用しているものになります。一番下の○ですけれども、モバイル機器の普及等により、自営型(非雇用型)テレワーカーの働き方も多様化しているが、どのように考えるかということです。例えば今は在宅ワークと在宅に限定している要件になるのですけれども、モバイル機器が普及していますが、このまま在宅だけでいいのかどうか。このような視点もあるのかなと考えております。ただ、本日は1回目となりますので、御自由に御議論をいただければありがたいなと考えているところになります。

 次のページ以降は参考資料になりまして、13ページからは現行のガイドラインの本文をあらわしたものになります。ですので、詳細な説明は省略させていただきます。

 最後に16ページをおめくりいただきまして、平成27年度今後の在宅就業施策の在り方に関する検討会報告書の抜粋をつけさせていただいています。これは厚労省の委託事業で行ったものになるのですけれども、この中で「在宅ワークの適正な実施のためのガイドライン」の見直しの方向性ということをまとめていただいております。詳細は、長いので割愛させていただこうと思うのですが、こういったものも議論の参考にできるのではないかと考えております。

 例えば18ページの下から2つ目の○ですが、在宅ワークの定義は、メディアで働くフリーランスのように仕事の一部を在宅で行う者も対象とすることから、現在の在宅形態での就労に限定しないことが適当ではないか。このように指摘されているものがございました。このほかにも、契約条件の変更ですとか、定義にこういうものを追加したほうがいいのではないかとか、さまざまな提言をいただいていますので、御紹介したいのですけれども、時間の関係上、この説明はここまでとさせていただこうと思います。

 私からの説明は以上になります。

○飯田労働関係法課課長補佐 次に、資料6「副業・兼業の現状と課題」を説明させていただきます。まず、1ページですが、上の四角囲みの中、「副業や兼業は、新たな技術の開発、オープンイノベーションや起業の手段、そして第2の人生の準備として有効である」として、働き方改革実行計画に書かれております。

 現状ですが、副業・兼業を希望する方は近年増加している一方で、これを認める企業は少ないということで、労働者の健康確保に留意しつつ、原則副業・兼業を認める方向で副業・兼業の普及促進を図るとされています。

 具体的には、2ページをごらんいただければと思うのですが、2ページの右の緑の四角の中で具体的な施策が書かれております。「ガイドラインの策定」と「モデル就業規則の改定」とありまして、本検討会では、今年度中にこの2つを検討し、その過程で指摘された制度的課題を把握することまでを行うこととしたいと考えております。

 ガイドラインの策定につきましては、副業・兼業のメリットを示すということと、それから長時間労働を招かないよう、労働者や企業が労働時間や健康をどのように管理すべきかということを盛り込んだガイドラインを想定しております。

 モデル就業規則につきましては、副業・兼業を認める方向での改定を考えたいと考えております。

 次に、3ページ、副業・兼業の推進につきましては、各種の閣議決定文書でも言及されておりまして、ごらんのとおりでございます。

 4ページ、副業・兼業の現状として、まず働き手側から見たものでございます。左上のグラフですが、副業を希望する方は年々増加傾向にある。左下が、一方、現に副業している方は減少傾向にございます。

 右上のグラフ、副業を持っている方の本業の内訳は、自営業、正社員、パート・アルバイトなど多様になっております。

 右下については、副業している方の所得階層別で見た割合ですが、中間所得者層の副業割合が低くなっております。

 次に、5ページをごらんください。副業している就業者数の変化を2002年と2012年で比べたものになります。「正社員」「非雇用型」を本業としている副業者が減少している一方で、「パート・アルバイト」や「派遣・契約社員」などを本業としている副業者が増加しております。さらに、就業者全体の数の増減と比較しても「正社員」の減りが大きく、「パート・アルバイト」の方の増加が見られるというところでございます。

 次に、6ページをごらんください。副業している方の本業の業種でございますが、建設業と製造業の割合が2002年と2012年で比べると減少傾向にございます。一方で、右側のほう、「医療、福祉」「飲食・宿泊」などでは増加傾向にございます。

 7ページをごらんください。左上のグラフですが、副業・兼業を行う理由としては、「十分な収入」と「自分のやりたい仕事」「スキルアップ、資格の活用」等が挙げられております。

 右上のグラフですが、副業・兼業している方の約6割が今後も兼業・副業を続けたいと希望しており、本業への影響もプラスという認識、これは下のグラフになりますが、プラス認識の回答、「スキルが高まった」「視野が広くなった」「多様なアイデアが出る」と回答している方が6割ということでございます。

 次に、8ページをごらんください。副業・兼業している方の所得でございますが、上のグラフ3段目が雇用者全体の年収の分布になります。雇用者全体に比べて、上の2つのグラフ、副業している方については、高所得者の割合が大きい傾向にございます。

 副業者の職種ですが、下のグラフになります。経営・ビジネススキル系や研究開発・技術・エンジニア系、クリエーティブ・専門職系など、個人の専門的な知識・経験を要する職種が多い傾向にございます。

 次に、9ページをごらんください。副業・兼業者の週の労働時間を比べたものでございます。3段目のグラフになりますが、就業者平均38.7時間に比べますと、副業・兼業者の労働時間は平均と差がない状況にあります。副業・兼業者のほうが、40時間以上、紫の部分より右ですが、比較的長い週労働時間の方の割合が大きくなっております。

 副業している方の1週間の平均労働時間は、約半数の働き手が週平均1~9時間となっております。

 次に、10ページをごらんください。企業側から見た現状でございます。副業を認めていない企業は85.3%。副業・兼業を認めるに当たっての企業側の懸念としては、「本業がおろそかにならなければ認める」「情報漏えいのリスク」「競業、利益相反」などが挙がっております。

 次に、11ページをごらんください。「企業が副業・兼業について政府に期待すること」というアンケート回答でございます。「労働時間算定に関する取り扱いの明確化」と「社会保障関係の手続の簡素化」が多く挙がっております。

 次に、12ページをごらんください。副業・兼業のメリット・デメリットということでございますが、経済産業省中小企業庁で昨年度行われました「兼業・副業を通じた創業・新事業創出に関する研究会」の提言において示されております。以下のとおり、副業・兼業に関する企業と従業員にとってのメリット・デメリットが整理されております。ごらんいただければと思います。

 次に、13ページをごらんください。モデル就業規則になります。モデル就業規則ですが、これは常時10人以上の従業員を使用する使用者が作成するものでございまして、監督署に届け出なければならないとされております。各事業場における就業規則の作成・届け出の参考とするために、厚生労働省でモデル就業規則を掲載しております。

 副業・兼業に係る記載としましては、下の四角囲みですが、第11条、許可なく他の会社等の業務に従事しないこととなっておりまして、それが第62条で懲戒の事由ともなっております。

14ページをごらんください。今回、モデル就業規則の改定の検討を行うに当たりまして、裁判例や学説を参考にしたいと考えております。裁判例や学説においては、勤務時間以外の時間をどのように過ごすかは基本的に労働者の自由であることが示されております。

 例外的に副業・兼業禁止が可能となるケースとしては、本業への労務提供上の支障がある場合、企業秘密が漏えいするなど、企業秩序に影響が生じる場合などが示されております。

14ページ以降、具体的な裁判例と、学説を17ページにつけておりますので、参考にしていただければと思います。

18ページをごらんください。副業・兼業を取り巻く現行制度でございます。まず、労働時間につきましては、今、労働基準法第38条で、事業場が異なる場合にも労働時間は通算するということになっております。それは事業主が異なる場合も通算することと解釈しております。

19ページをごらんいただければと思うのですが、この労働時間の通算の規定が適用される方は、この図で言いますと、○の方になります。本業と副業でそれぞれ労働時間規制が適用される方について通算されるということになりまして、この図の×の方、例えば自営業やフリーランサーという働き方で副業している方にはこの通算規定はされないということになります。

 次に、20ページをごらんください。労働者の健康確保対策に関しての現行制度をまとめてございます。これは事業場ごとに、例えば健康診断の実施や医師からの意見聴取などを事業場ごとにやるということになっております。

21ページをごらんください。労災保険については労働者の就業形態にかかわらず適用されるということで、副業している方にも適用されることになります。一方で、複数就業している方の労災保険の給付額につきましては、事故が発生した就業先の賃金分のみを算定基礎としておりますので、全ての就業先の賃金合算分を補償することはできないということになっております。

 次に、22ページをごらんください。雇用保険についての取り扱いですが、雇用保険は、適用事業場において1週間の所定労働時間が20時間以上である場合に適用されます。同一の事業主のもとで20時間以上であれば雇用保険は適用されますが、複数の雇用関係を合算して20時間以上となっても雇用保険は適用されないということになります。

 下の社会保険、厚生年金保険と健康保険においても同様の取り扱いとなっております。

 最後に、23ページをごらんいただければと思います。副業・兼業の論点ということで、今回御議論いただきたいということについてまとめております。まず、現状についてどう捉えるかということ。次に、副業・兼業の推進の方向についてどうしていくかということ。労働者、企業それぞれのメリットや留意点は何か。最後に、労働者、企業、政府それぞれがどう対応していけばよいかということを論点として挙げております。

 以上でございます。

○松村座長 ありがとうございました。

 それでは、事務局の説明を踏まえまして議論に入りたいと思います。

 まず、江木委員、河崎委員、湯田委員に御提出いただいた資料の御説明と、3人の委員の御意見をお願いしたいと思います。

 それでは、江木委員からお願いできますか。よろしくお願いします。

○江木委員 それでは、当社の事例を御紹介いたします。資料7をごらんください。当社では、働き方改革の一環としましてモバイルワーク制度を取り入れております。本日はその御紹介になるのですが、本題に入る前に、モバイルワーク導入の狙いというところをきちんとお伝えしておきたいので、少しだけお時間をいただいて、当社の方針について御紹介させてください。

 資料7の2ページ目をごらんください。こちらが当社の経営方針でございます。当社は、1949年に創業して以来60年間ずっとオーナー経営が続いておりまして、2009年に初めてオーナー経営でない新しい経営体制となりました。そのタイミングで経営方針も一新しまして、継続的成長に大きくかじを切りました。個人の成長なくしては企業の成長はないということで、成長に非常に焦点を当てまして、人事の方針もそこから大きく変えてまいりました。

 3ページ目をごらんください。こちらが当社のポリシーをまとめたものになります。一つ一つ簡単に説明いたします。まず、何といっても成果主義。Pay for Performanceです。当社ではプロセスではなく、結果を評価しております。ですから、当社には人事考課がありません。2010年度にやめてしまいました。全員が直属の上司と年に一度Commitment Accountabilityという目標確認書を結びます。評価はそれだけです。目標を設定し、その進捗をレビューすることは、人が成長するための必要条件という考え方でございます。

 2つ目、会社は学ぶところではない、学んだことを使って成果を出すところだということで、ただし、カルビーでしか教えられないじゃがりこやえびせんの製造技術など、営業ノウハウなどは教えますが、当社の研修制度は非常にシンプルになっております。だから、「仕事が終わったらすぐ帰れ」と言います。そして、家族との時間や社会とのネットワーク、自分の学びの時間をしっかりとりましょうと。そういったライフの充実こそが個人の成長につながるという考え方でございます。

 そして、個人の成長なくして企業の成長なし。だから、Diversity Inclusion。そしてライフ・ワーク・バランスに本気で取り組んでいるということでございます。

 4ページ目が当社のライフワークスタイルについての考え方をまとめたものでございます。人の成長というのを因数分解しますと、充実したライフ、効率よく仕事をして成果を上げた人を評価する成果主義。この両輪があってこそ人は成長するという考え方です。このように、当社では個人の成長のために働き方改革に取り組んでおります。

 5ページのグラフは、新体制になってからの当社の業績の推移でございます。業界全体が横ばいの中、当社はおかげさまで毎年増収増益を続けております。

 次の6ページは、Diversity Inclusionの最優先課題として女性の活躍を推進した結果、女性の管理職比率が2010年度は11名、たったの5.9%だったものが、直近では66名の24.3%まで上昇しておりますというグラフです。実はこの66名のうち3割以上がワーキングマザーでございます。

 では、9ページをごらんください。この経営方針を実現するためのオフィスに縛られない働き方改革制度について御紹介をしたいと思います。当社では、本社及び地域事業本部のオフィスは全てフリーアドレスとなっております。丸の内本社では、出社するとダーツという座席割り振りシステムにIDカードをぴっとかざしまして、一日の仕事の段取りによって座席のタイプとその時間、きょう何時間このタイプの座席で仕事しようかというのを選択します。座席のタイプは3つありまして、4人がけのオープンなテーブル席。おしゃべりオーケーの席と、3人がけで、間にパーティションがあるソロ席、手元は見えないけれどもおしゃべりオーケーという席と、選挙の投票所のように隣と遮断されている集中席というのがあります。集中席というのは2時間しか使ってはいけない。集中席では電話もおしゃべりもNGということです。一日の初めに、きょうはどの席でどのように業務を行うかと計画を立てることによって、タイムマネジメント、効率的な働き方を意識づけております。

 営業職は、オフィスに立ち寄らない直行直帰のスタイルでございます。通勤時間を営業時間に転換することで移動時間のロスや移動のストレスを軽減して、大切なお客様との時間を大切にするということを目的としています。

 ここからやっと本題でございます。2014年度より当社は在宅勤務制度を導入しました。目的は、オフィスに出勤しないことで通勤時間の有効活用を行うことということでございます。当社の特徴としましては、育児や介護に限定しておりません。新卒3年目以上で、時給社員は除くのですが、それ以外の社員は、利用申請をして、直属の上司が認可すれば、誰でも利用ができます。認可のポイントというのは、この人は自律的に、会社、オフィス以外でしっかり生産性を上げて仕事ができるかどうかという上司の判断となります。

 導入当初、2014年度は週2日まで、自宅に限るという制限をつけておりました。初年度は、丸の内本社にいる300名中50名が利用しました。2年目は100名が利用して、結構評判もよかったということで、ことしの4月からは回数と場所の制限を撤廃しまして、規程の名前も「モバイルワーク」規程に改定し、かなり柔軟な制度としております。丸の内本社では現在300名中約半数が利用登録をしているという状況でございます。

 最後に、7月24日に実施しました「モバイルワークデー」、当社の取り組みについて御紹介したいと思います。10ページからになります。当社は、モバイル規程の枠を超えて徹底的にやろうということで、入社、新卒3年目未満の者も、時給社員の者も、上司がいいと言ったらできるだけみんなやろうということで、この日に向けて情報システム部門と人事部門で連携をして、説明会を何回か繰り返して実施しました。

 その結果は11ページですが、300名中約8割がモバイルワークしたものですから、丸の内オフィスはこのようにがらーんとして、大成功ということでございました。

 では、実際利用した人の意見はどうだったかということで、12ページにそのアンケート結果を簡単にお示ししております。利用者の多くが業務効率、ライフ・ワーク・バランスにつながったというふうに実感しております。「業務効率が上がった」と答えた者は7割。それから「ライフ・ワーク・バランスが向上した」と答えた者が約9割おりました。

13ページをごらんください。では、今後もやりたいですかといった質問に対しては、初めてやった人間も含めて、9割以上が今後もやりたいと。週に2日以上はやりたいというような意見がありました。

 最後の14ページ、こういった従業員の声を踏まえまして、今後は毎月1回は「モバイルワークデー」ということで、規程の枠を超えた運用をする日にしていこうということを決定しております。今月から毎週第3水曜日は「モバイルワークデー」という規程外の運用といたします。目的としましては、業務効率、ライフ・ワーク・バランスの向上に加えまして、災害時などの緊急時の練習ということもやっております。

 実施後、何をレビューするかというと、その枠を広げたいなと思いました。もっと自由度をアップしたいということで、2月、3月にはまた経営のほうにレビューとともに再提案という予定でおります。

 以上、簡単ですが、当社の事例報告とさせていただきます。

○松村座長 ありがとうございました。

 では、続いて、河崎委員お願いします。

○河崎委員 ロート製薬の河崎です。

 ロート製薬の働き方改革の御説明を簡単に申し上げます。資料8をごらんください。6ページ、ロートのやっている働き方改革の方向と目的だけ先に押さえてからお話をさせていただきます。6ページに高度成長期とか平成とかいうグラフが出ていますが、我々の企業は毎年経営企画から出てくるのは105%。昭和の時代の右肩上がりを今も延長しなければならないという一つの常識にはまってしまっている。我々は目薬メーカーですから、人口は減っていっています。目薬の数は目の玉の数と一緒だとすれば、前年比は98%が相当。では、この7%をどう埋めるのかといったときに、創意工夫とイノベーションと経営企画は必ず言う。では、おまえら、やってみろと言いたくなるのですけれども、ここで昭和の価値観を変えなければいけない。これに大きく気づかせてくれたのは東日本大震災です。あのときに僕たちは被災地に入りましたけれども、あのときに経営者が気がついたのは、ビジネスだけではだめだと。もっと地域とか人の役に立っていかないといけないということに多くの会社が気がついたと思います。我々の働き方改革は、それまでは社員の健康を守るとか生産性を上げるとか、こういうことでやっていたのですが、そのときから物すごく社会性を考えるようになりました。これが一番の基本であるということを押さえておきます。

 では、何をやっているのかということですが、女性の比率を上げていくとか、意見が言えるようにするとかいうことはいろいろあるのですけれども、一つ大きかったのは、製薬会社なのですが、売り上げの60%は今、化粧品になっています。ということは、僕らみたいなおっさんは、薬は語れるのですが、化粧品は語れない。では、若い女性がどんどん物を言える環境をつくっていかないと、ロート製薬の変化についていけない。必然的に女性が意見を言いやすい、若い子が意見を言いやすい環境をつくらざるを得ませんでした。

 3ページの右上の社員証は、山田邦雄という会長兼CEOです。「くにおさん」と書いていますが、ロートにはさんづけ運動がありまして、もう20年近く前です。正式役職はありますけれども、社内で役職で呼び合うことは、今は皆無です。社長、会長は自分の部屋を持ちません。全部普通のフロアで普通に仕事をしますとか、こういうワイガヤ方式の大部屋方式。それと中間管理職を飛び越えて、社長、会長が歩いているのをつかまえて提案オーケーとか、こういうことをやってきました。それが15年ぐらいたってようやく少しずつ定着してきた。環境的にはそういうのがベースにあったと思います。

 働き方改革で大きくやったのは7ページにあります「4+1制度」というのを以前大きくやりました。これは震災の大分前の話なのですが、組合から社員の有給休暇の消化が足りないと言われて、その有効な策をということでやるのですけれども、会社がやるときは、必ず生産性とか社員の成長につながるような施策を打ちます。4日有給をとれば、会社が1日プレゼントしましょうということで、1週間休みがとれる。土日前後を入れますと、9日間の休日がとれます。連続休暇です。これが全社員、年中いつでもとれるということです。製造業ですので、工場はどうしても一斉に休まなければいけないので、夏休み、正月休みはありますけれども、それ以外に1週間とりなさいと。ただし、このプレゼント1日は、日ごろ会えないお父さん、お母さん、あるいはじいちゃん、ばあちゃん、お世話になった恩師とか友達、あるいはこの間に若い子は特に海外旅行をしてほしいと。安い旅行代のときにアジアの国々に行けば、いろんなことに気がつくでしょうということで、英語の集中教育をするでもよしということでプレゼントをした。これが今も続いています。これの所得率は今、70%ぐらいかな。8割を目指していますけれども、これによって大きくロートは動き出しました。

 これは仕事を抱え込まないという自然な流れが出てきまして、チームで仕事をするという流れです。つまり、1週間休みますので、営業といえども、自分にしかわからないことがあれば、お客様に御迷惑をかける。日ごろからのコミュニケーションに随分変化があったり、こういう制度がありました。

 よくよく見ると、実は完全週休二日を1965年に実行した会社は同じ大阪の会社で、松下電器さん。幸之助さんでした。このときはみんなにばかにされながら、「一日休養、一日教養」という言葉で、社員に国際化に向けて勉強してほしいのだ、だから一日プレゼントするのだというふうにやったことを後に知りました。気持ちは同じような制度です。

 その後、震災が起こって、そしてロートが会社のいろんなミッションを考え直すわけですが、薬でもうける製薬会社をやめますという発信を昨年の2月22日、創業記念日に記者発表しました。それは薬の開発をやめるということではなくて、薬だけでは人々を幸せにできないと。本当は薬のない世の中がいいのだと。ということは、健康になるためのエビデンスのある提案ができる製薬会社になりますと。こういう提案をしたのですけれども、そのときに若い子に問いました。どうすれば、そんな会社になれると。

 ロートにはARK(あしたの・ロートを・考える)という制度があります。比較的若い人を中心に、公募制によって会社の課題を半年ないし1年かけて会社に提案するという制度なのです。僕たちがもっとスピードを上げて成長するためにどんな制度が要るかという提案があった中の一つが、社外のチャレンジワーク。副業を認めてほしいということと、もう一個、社内のダブルジョブ制度。社内で営業に籍を置きながら人事もやらせてほしい。総務をやりながら営業もさせてほしいと。複数の部署に籍を置けるという制度の提案がありました。これは会社が押しつけたものでは全くございません。若い子たちのアイデアから出てきたものです。それを会社が、わかった、では、やろうと言っただけのことでございまして、昨年の2月22日に発表したのですけれども、当初は新しいコーポレートアイデンティティーを発表する場で、ついでにやったこれに火がついて、創業118年の老舗の薬屋が兼業にかじを切ったみたいなことになったのです。

 これの中身は、入社3年目以降、それから土日と平日の夜に限るということが条件です。これはいずれ週に1日、2日休んでもいいようなものに変えていけたらいいのですけれども、当面は自分の業務以外の時間に限らせてねということから始めました。

 申請制です。つまり、許可制ではありません。会社がノーを言うことはありません。ただし、自分の所属するチーム、あるいは上司には相談してから申請してねとお願いはしております。そして、成果、評価の対象とは一切しないことを約束しています。そして、会社はあっせんも何もしません。NPOでやろうが、自分の趣味が高じて人に教えてお金をいただけるようになろうが、いいことじゃない、頑張れと。20万円以上の雑所得が入ったら確定申告の必要がある。わからないだろうから、そのときは会社が手続を教えるよと。こういう応援はしていくということです。

 したがって、そこには労務管理は発生しません。土日、魚釣りとか山登りをしてへろへろになって、月曜日から仕事をしている人もいますが、楽しい趣味をやった人のほうが成果はいいですね。同じことです。自分のやりたくない副業は今のところは全くないようです。お金のためにという人がおるのだったら、副業があろうがなかろうが、やらざるを得なかったら黙ってやっているでしょう。つまり、この制度の一番大きなポイントは社員の自律です。これを変えたかったのです。これからの時代、がむしゃらに働いても右肩は上がらないという時代に入ったときに、労使、会社と社員の関係を考え直さないといけない。だから、時間と空間から解き放つということがこのガイドラインを作成するテーマになっていますけれども、ここに労務管理という要素を会社がやるべきである。副業だからということで土日も。こういう概念に縛られていると、恐らく身動きがとれないのではないかと思います。社員を信じることと、社員の自律を後押しすること。自己責任です。これがうまくかみ合ったときに社員の中に多様性が生まれ、イノベーションのネタが育っていくのではないかと信じて我々はやっております。

 以上です。

○松村座長 ありがとうございました。

 それでは、湯田委員、お願いします。

○湯田委員 では、お配りしております資料9をごらんください。あわせて、事務局のほうから説明いただきました資料5の9ページも見ていただけるとよいかと思います。私からは、事務局から説明がありましたクラウドソーシングというものはどのような概要になっているかということと、幾つかの取り組みから見えてきた状況、それに対して業界としてはどのような対応をし始めているかについて、お話しさせていただきたいと思います。

 まず、資料9の4ページを開いていただきますと、クラウドソーシングの基本的な仕組みについて記載しております。クラウドソーシングというのは、定義がまだ定まっていない面もあるものの、一般的にはインターネットを通じて発注者、ここでは業務委託という形で記載しておりますが、業務を依頼したいという方と、私、仕事できますという主に個人の方々がウエブ上で手を挙げた方とが、契約も支払いもウエブ上でできることにより、いわゆるテレワークにて様々な仕事を依頼することができ、いろんな方々が場所や時間にとらわれずに仕事ができるという仕組みであり、「クラウドソーシング」という言葉でくくられているものでございます。

 クラウドソーシングは、昨年値でおよそ330万人の方々が登録され、9ページにありますように、矢野経済研究所の推計では、2013年に215億だった市場規模が、本年は1,350億と、およそ6.2倍の大きさになっています。

 また、2020年には2,950億ほどの規模になるということで、BPOの市場自体が4兆円ほどを想定しておりますので、20分の1ぐらいは個人の業務受託というところが日本のフィールドになってくると推測されます。

 そのような中、5ページにありますように、クラウドソーシングで発注されているものは基本的に業務委託契約のため、システム開発やデザインが多いものの、最近では写真や動画の撮影依頼、キャッチコピーやネーミングの考案なども依頼されています。先ほどの自営型テレワークの資料にて説明があった在宅ワークについては、パソコン等を使って在宅でという定義で御説明がありましたが、それだけではなくフィールドワークを含んだものや、パソコンを使わずともできるようなものも含めてクラウドソーシングで発注されることが多くなっています。

 6ページを見ていただきますと、クラウドソーシング事業者は、日本にも100を超えるサービスがあり、海外ではもっと広がっています。

 真ん中に記載ありますのが総合型と言われるクラウドソーシングサービスで、様々な業務範囲や業務形態をサービス範囲としているものです。あわせて、周囲に記載あるものが特化型と言われるもので、右上からデザインに特化したクラウドソーシングであったり、動画の制作に特化しているものがあったり、または共創やアイデアを募集しますという比較的シンプルな業務を依頼しているものまであります。

 実際の仕事の流れを7ページに記載しております。発注者がウエブ上で仕事を依頼すると、それに対して受注者が、これぐらいの価格で、これぐらいの期間で、これぐらいのバックボーンがあってできますということを記載して応募し、契約をウエブ上でし、業務の納品をして、支払いをするという流れになります。

 クラウドソーシング事業者によっては、この契約のときに電子契約を締結できるようにしていたり、支払いの際に企業の方が直接支払いするのではなく、クラウドソーシング事業者が収納代行契約として支払いをまとめるということも機能として提供しています。これにより、企業の方が例えば100人の方に支払いするといったとき、従来は100人分の支払いの口座情報を登録し、支払調書や源泉徴収の対応準備をする必要があるということで、個人の方に小額で多量に発注するというのは難しかったものが、このようなICTの仕組みを使うことによって発注がしやすくなるという工夫が行われています。

 8ページをごらんください。クラウドソーシングでは、非対面で仕事をされる方が非常に多く、一度も会ったことがない方々と仕事をすることとなります。そのようななか、受注者としては、発注する方は本当にお金を払ってくれるのか、納品の際の取り扱いはどのような条件かなど不明なときもあります。そのような点を解決するべく、クラウドソーシングの多くの事業者はエスクローと言われる前払いの仕組みを提供することにより、発注者が一時納品されたものを、検品の結果、一方的に却下し、不当に支払わないということがないよう、受注者の保護ができるファイナンスの仕組みも備えています。

 9ページに依頼形式のパターンを記載しております。業務委託といいましても、サービス事業者によっては契約方式の設計が少し異なっています。総合型と言われるサービス事業者はこの3つの形式を提供しています。一番左のプロジェクト型が一般的に言われる外注です。まずは相見積もりをとり、気に入ったワーカーの方と契約をし、契約をした後で業務履行し、検収されるというものです。比較的長期にわたるもの、単価が高いものは、プロジェクト型での発注が多くなっています。

 コンペ型は、コンテスト制のような形式で、例えばロゴやネーミング、キャッチコピーという完成品に近いものが複数出され、そのうちの一つを発注者が選んで買い取るというものです。コンペ型は業務委託契約だけではなく、著作権譲渡契約という形式で提供している事業者もいます。

 タスク型は、細かい仕事を一気に行う、データ分類やデータ入力に使われています。近年ではAIの教科書データをつくるために、画像に何が映っていますかというような非常に簡易な業務も発注されています。

 企業の利用については、プロジェクト型の発注数が多いものの、大企業の利用としてはコンペ型が多いという傾向がみられます。これは業務委託として大企業が利用する際は、下請法や納税観点の留意が必要ということもあり、プロジェクト型の利用を控えているという課題もあります。

 3つのタイプについては、10ページから15ページにて詳細を記載していますが、こちらでは説明を省かせていただきます。

 続いて、推進活動を政府の事業とも連携し実施した際に見えてきたことを、17ページ以降に参照資料として挙げております。

まず、17ページで、いわゆるフリーランスといわれる雇用関係によらない働き方に関する研究会を昨年、経済産業省で行ったときの資料にて、雇用関係によらない働き手を活用する企業はおよそ2割となっています。

 クラウドソーシングの事業者のレポートでは、現在、副業をしている方は、2017年の調査で1,122万人というレポート結果もあり、そのうちネットを通じて仕事を受けている方は155万人ほどと推計しており、資料6の8ページにて説明があった副業の方が減っているというものとは違う傾向を協会では捉えています。これは前の調査が2013年、2014年に行われているものが多く、クラウドソーシングは2013年以降に利用が伸びているという背景があります。よって、まさに今どのような状況になっているかを、定義等も整理したうえで、調査していくべきと思っております。企業にとっては、副業者や個人事業主に依頼することで、17ページ右にあるような自社では採用できなかった方にアプローチできる、専門スキルを持った方が活用できるという声があがっています。

 一方、18ページに活用に際する問題点について記載しており、活用していない企業としている企業別に感じる課題点の差について、19ページに記載しています。活用している企業は、活用のメリットについて、活用後より理解が進み、デメリットと感じていたものの懸念点は減っているということがグラフから見えます。まさに認知や一歩実践してみるというのが必要な状況にあると思います。

20ページでは、実際に中小企業の方々に利用いただいた方へのアンケートを記載しており、75%の方がクラウドソーシングサービスは有意義だと感じ、中小企業の経営課題の解決にも寄与するという回答を挙げているのですが、21ページの記載のように、実際に進める際には様々な課題もあります。企業へ紹介しても、必要となるITや発注のスキルが不足しているという場合もあり、これらの課題に対応していくべき時期になっていると感じております。

 あわせて、発注者だけではなく、受注者となるワーカーの方々にも同じことが言え、現在、330万人ほど登録されている方の中には、初めて個人事業主として働く方や自分が自営型ワーカーに当たっていることを認識されていない方も多く、そのような方々に対して認知を広げるのとあわせ、契約や税務など間接的な業務スキルの育成もする必要があります。しかしそのような教育は、なかなか民間の事業者だけでは難しいところもあり、政府として間接業務スキルの向上に向けた施策にも着手していく必要があると捉えております。

 最後に、当協会として直近取り組んでいるものを、26ページ、27ページに挙げています。働き方改革実行計画にも、クラウドソーシングサービスの中でも、適正に事業運営の整備取り組みをしているという事業者を優良事業者として認定を行っていくことについて言及されており、協会としてもガイドラインを16年3月に策定し、10月よりクラウドソーシングの優良事業者の認定項目を定めて認証を開始しているところです。

 このような活動をすることで、安心して利用いただけるようにしつつ、事務局資料にてメリットとデメリットのところで指摘のあったクレームが発生している事柄についても、プラットフォーマーが間に入ることによって、懸念事項に対応し改善しているものもあります。プラットフォーマーが今後何を提供していくかということも整理しつつ、民間事業者だけでは対応難しいところもあるため、今後対応すべき課題の整理と対応方向性を検討していきたく思います。

 以上で説明を終わらせていただきます。

○松村座長 ありがとうございました。

 それでは、今、3人の委員から御意見をいただきましたので、ほかの皆様からもいただきたいと思います。お手元の名簿の順に従って芦野さん、荒井さんの順に、お一人5分ほどで御意見をお願いしたいと思います。

 それでは、よろしくお願いします。

○芦野委員 東洋大学の芦野でございます。

 問題点がたくさんありますので、どこからどう意見を述べたらいいかというところもありますが、先ほどの厚生労働省の資料5を中心した自営型テレワークの現状と課題について、私のほうから補足等を含めてお話をさせていただければと思います。

 まず、私の専門は民法であります。民法では、人々が自分自身の役務を提供して働く方法としては、今回のことに関連するようなものとしては、大きく3つに分けることができます。一つが雇用契約と言われるもの。もう一つが請負契約と言われるもの。もう一つが委任契約と言われるものです。

 テレワークに関しては、実はこの3つはどれも関連するところでありまして、なかなか難しいところではありますが、厚生労働省の資料5の8ページのところでは、「請負契約等」という形で、専ら請負契約、さらには在宅ワークの定義の中で「通信機器を利用して請負契約に基づき」とあるように、請負契約が該当するだろうと考えられております。

 では、請負契約とは一体どのような契約なのかということでございますが、基本的には請負契約というのは、自由で対等で平等な当事者間で契約を結ぶということを想定しております。ということは、一体どのような特徴があるのかと申し上げますと、一つが役務提供を行う者が負う債務です。これは単に役務を提供すればいいのではなくて、請負契約では仕事を完成させるということが義務になります。

 一方、役務の提供の方法としてです。これは雇用などとは異なり、独立してみずからの判断で行うことができるとなっております。請負契約の大きな特徴としてはそのような2つのところがあります。この2つの特徴が、今回検討しなければならない問題について、その契約をどのように発展させるか、あるいは契約当事者、さらにはその関与者をどのように発展させるかというところに有用なところがある一方で、しかしながら、どこまで自由のままでいいのかどうかという問題が出てくるのではないのかなという気がしております。

 結局、請負契約というのは、明治時代につくられた民法のころは、例えば大工であるとか専門手工業者などが念頭に置かれていました。すなわち、専門家が想定されていました。ですので、自由な裁量で働くことができると同時に、仕事の完成までやるのだという重い責任が負わされていたわけです。

 しかしながら、現在の在宅ワークの現状を見ますと、これが必ずしも当てはまらない場合があります。もともと在宅ワークは、一方の側面としては、家内労働的な観点から、これは在宅ワークに当てはまりませんが、テープ起こしであったものが、テープに入っているものをワープロソフトのデータとして完成させて、それをインターネット、メールなどを利用して送信する。さらには、現在では直接データとして与えられているプラットフォームに入力するなどのような形で、役務の提供の仕方、あるいは目的となっている仕事、目的物が大分変わってきております。

 となると、従来は専門家でなければできなかったものが一般の人でも容易に行うことができるような種類のものがふえてきました。すなわち、従来内職で捉えられていたような専門性が薄い人から、一方では、先ほどの厚労省の説明のほうでもございましたが、フリーランスのようなもともと専門性が高いような両方の極端なタイプの人、さらにはその間にあるさまざまなグラデュエーションが含まれてきているわけです。

 となると、現代社会においては3つの変化が出てきているのだろうと思っております。一つが、一体どのようなものが完成したと言えるのかという完成概念が大分多様化してきているであろうということです。

 続きまして、今度は役務の提供の仕方であります。先ほど申し上げたように、ワープロソフトで仕事を完成させる、それを送信するということから、直接データ入力する。場合によっては、与えられたプラットフォームの中で共同で作業しながら何かを完成させていくということも出てくるかもしれません。

 3つ目は当事者の変容です。厚労省の資料の8ページのところにあるように、従来は直接発注型、相対する二当事者間を想定していました。しかしながら、仲介事業者などが入ることにより、下請としての三当事者が想定され、さらにはプラットフォームの提供などのクラウドソーシングを行う会社が出てくることによって、仲介や下請、元請とは異なるような関与者も登場してくるようになりました。これらのものを同じくくりの中で検討していかなければならないというところが今後の問題なのだろうと思っています。

 また、これまでの取り組みとしましては、契約内容の明確化というのも一つ行われてきたところだろうと思います。これは先ほどのお話でも出てきましたが、役務提供者に契約の当事者であるということを認識させるようにする。例えば契約当事者であるから、このような権利を持つというだけではなくて、このような義務を負うのだ。例えば完成したものに欠陥があったような場合には修補義務を負う場合があるのだよ、あるいは債務履行責任を負う場合があるのだよということを明確に理解させるということも行われてきたのかなと思います。

 となってきますと、今後は先ほどのお話でも出てきたようなワーカーと言われる人たちが契約の当事者としてどのような権利を持ち、どのような義務を負うのかということをさらに明らかにすると同時に、先ほど言った3つの変容、変化に対応できるような契約モデルをどこまできちんと示すことができるのか。法律的な観点からは、先ほど申し上げたとおり、自由と、一方では規制であるとか是正という観点も出てくるかもしれませんが、私は、とりわけ契約の観点から、発展というところに目を向けながら、今後皆さんと検討していければなと思っております。

 以上です。

○松村座長 ありがとうございました。

 それでは、荒井さん、お願いします。

○荒井委員 弁護士の荒井でございます。よろしくお願いいたします。

 検討会の臨むに当たり、簡単ですけれども、意見を述べさせていただければと思っています。実務家として、企業様の働き方改革について御相談を受けることも非常に多くなってきたと感じておりますが、一方で、働き方改革の議論が進んだがゆえにということだと思いますけれども、現場では混乱や戸惑いも非常に感じているというところです。これは何でかといいますと、一見すると矛盾する2つの施策が混在していると感じています。

 一つは、労働時間をしっかり区切っていく、管理していくのだという方向性。いわば公私を厳密に分けた上で管理を行っていくということ。例えばサービス残業については、今まで実務の中で曖昧だったものもあるかもしれませんけれども、これは明確に「公」なのだと区別した上で、管理し、効率化を図っていくのだという方向性。

 しかし、他方、このように公私を区別していくというのが当然なのだという働き方のもとでは、なかなか働くことが難しい方も現実にはいらっしゃるのではないか。そういった労働の実態、もしくはやられている労働自体が公私を厳密に分けていくというのがなかなか難しい、もしくは実態にそぐわない方というのもいらっしゃるのではないか。例えば育児をされている方は、在宅で勤務するほうが便利かもしれない。そうした方に御活躍いただくためには、公私を必ずしも厳密にしない、もしくは曖昧にしていたほうが実は働きやすいということもあるのではないかと感じています。

 この2つの方向性はそれぞれ正しいわけですけれども、適用されるべき場面が異なっておりますので、今、どの議論をしているのかということで、これを現場、実務においてもしっかり説明を行っていくということが非常に大事なのではないか。そうでなければ、せっかく制度を用意しても、全然違う観点、真逆の方向性からの意見で適用が難しくなってしまうということが起きるのではないかと感じています。

 この柔軟な働き方の検討会においては、ある意味公私の厳密な区別がなかなか難しいところでの議論と理解しておりますので、そういった観点で副業にしてもテレワークにしても検討させていただきたいと思ってございます。

 以上です。

○松村座長 ありがとうございました。

 それでは、神吉さん、お願いします。

○神吉委員 立教大学の神吉でございます。よろしくお願いいたします。私は労働法を専門としておりますので、その観点から少々お話します。

 労働法は、基本的には労働者であるか否かで適用の有無がゼロか100かで決まっていきます。テレワークに関しては、「いつでも、どこでも、誰とでも」と、場所と時間に縛られない特徴を座長もおっしゃられましたけれども、労働法は、まさに労働者か否か、労働時間か否かという二項対立で整理することが大前提となってきました。

 そういうなかで、今、荒井委員から言われたように、実態からすると曖昧さを残したほうが良さそうな部分に関しても、ギリギリ労働時間かどうかを詰めていくことが必要とされてきました。曖昧に残すと何が問題になるかというと、割増を含む賃金の算定の話、それから使用者側の安全配慮義務の範囲、それからテクニカルには労災の適用といった問題にかかわってくるので、どこまで現行法の枠組みを発展させていくかという将来的な課題にもなります。具体的には、現在、事務局からの資料にもありましたように、みなし労働時間の適切な適用も重要です。

 つまり、テレワークについては、雇用型か非雇用型かで対応が変わってきます。雇用型に関しては、自由な働き方の自律的な労働者をつくっていくためには制限を外すべきとの議論がいつも俎上に上るわけですけれども、労働法上の制限というのは、制限であると同時に保護でもあるわけです。規制を外す、制限を外すということは、保護を外すことでもあるわけで、自由は何で担保されるかと考えていったときに、ただ制限を外すことで即人間は自由になるわけではなく、一定の最低限の部分が保護されているからこそ、自分の自由な選択を思い切ってすることができる側面もあると思います。

 ですので、制限を外すに関しても工夫が要るだろう。いきなりばらばらの個人にして、「では、自由にやってください、自律的にどうぞ」ということにはならないだろうと思いますので、そのあたりの配慮が必要です。特に底辺への競争が促されてしまうと、それは健全な社会、経済の発展にもマイナスです。

 非雇用型に関しましては、在宅ワークのガイドラインを広げていく方向性、モバイルサテライト型に拡大するとか、仲介事業者の責任を明確化すること自体に異存はないのですが、潜在的な広がりが気になっています。「サービスの提供」に純粋な役務の提供まで含めていくと、例えばいわゆるUber型の旅客輸送とか物流とか、そういった範囲まで広がっていくかもしれない。どこまで広げるかが一つ論点になろうかと思っています。

 最後に、トラブルをどう解決していくかに関して、例えば雇用型であれば労働組合というふうに、当事者が自主的に解決する仕組みが制度化されています。また、個別労働紛争解決の仕組みも整ってきていますが、非雇用型に関しても、事業協同組合を活用したり、あるいは下請法との関係を整理するなかでトラブル解決に関しても工夫が必要かと思っています。

 以上です。

○松村座長 ありがとうございました。

 それでは、小西委員、お願いします。

○小西委員 明治大学の小西です。

 私からは主に副業に関して思ったことを述べさせていただきたいと思います。副業に関して、就業規則でというお話があったかと思いますが、そういう形で就業規則にどう定めるかという問題以外のところを少し考えてみました。具体的には時間外労働命令との関係がどうなるのかというのは若干気になっています。当該労働者が副業を持っているという場合に会社は時間外労働命令を出すことができるのか。副業といっても、雇用型もあれば、自営型もあるわけですが、そういう場合は一体どう取り扱われるのかというところが気になっているところです。

 労働法の中では、例えば配転などにおいて、家庭生活に配慮するような裁判例が出つつあるところですが、副業に関してもこういうことが妥当するのか、家庭生活と副業とのバランスというか、そのあたりはどう考えていくのかというところが気になったというか、問題意識としては持っています。

 そのほか、副業を会社が許容した、受忍したという場合に、先ほど神吉委員からも話があったかと思いますが、その結果、長時間就業することになってしまったという場合にどうなるのか。損害賠償請求は認められるのか。その前提として、当該会社には安全配慮義務違反が認められるのか、安全配慮義務の内容はどういう内容になるのかというところも関心のあるところであります。労使間の問題としてはそういうところであります。

 そのほか、社会保険、労災保険、雇用保険についても若干お話しさせていただきますと、給付額の問題については、厚生労働省さんの取りまとめの資料で書かれていたところですが、社会保険を考えるに当たっては、給付額のほかに、適用されるかどうか、そして認定が認められるかどうかというところが気になるところであります。

 労災保険についてですけれども、過労死の認定基準として100時間という時間が言われていたりしているわけですが、ある会社とある会社、それぞれでは100時間をオーバーしないけれども、通算すると100時間を超えるという場合は、現在労災ではどう取り扱われるのかという問題も含めて、これは労災として取り扱うべきなのかどうかというところが大問題としてあるかと思います。労災保険制度というのはもともと使用者の労災補償責任というところから出発しているというところも含めて考えた場合に、使用者の責任というカテゴリーで考えていくのか。メリット制も考えていくのか。もしくは、それというよりも、労働者、働き手の保護を考えていくのかというところも気になっているところであります。

 雇用保険に関してですけれども、雇用保険が受給される、認められるには失業という要件を満たす必要があるかと思いますが、副業している人がその仕事をしなくなったという場合に、現在ではまた別の仕事があったら失業保険がおりないということなのですが、そういう取り扱いをどう考えるのか、副業の促進という関係でどう考えるのかというところが気になっているという次第であります。

 私からは以上です。

○松村座長 ありがとうございました。

 それでは、萩原委員、お願いします。

○萩原委員 リクルートワークス研究所の萩原です。

 私の専門は労働経済学でして、データで実態を把握して、その結果をもとに提言をするというスタイルで研究活動をしています。最近は、公的統計だけではなかなか捉えられない最近の働き方であったり、変化を捉えたいということで、2年前に全国就業実態パネル調査、全国の4万人を対象に、毎年追跡して調査をするというパネル調査を立ち上げました。そのデータを活用して、働き方改革がどれぐらい進んでいるのだろうかとか、雇用型テレワーク、副業の実態について、最近は検証して発表しています。

 きょうは初回ということで、その中から特に雇用型テレワークと副業について、実態を共有させていただきたいと思っています。雇用型テレワークで言うと、労働時間が長くなるのではないのと懸念されているわけですが、テレワークをしている人の労働時間と、テレワークをしていない人の労働時間を比べた場合、平均はテレワークをしている人のほうが長いのですが、テレワークをしている人を、会社から認められてテレワークをしている人と、認められていないけれどテレワークをしている人とを分けて検証したら、会社から認められてテレワークをしている人は、テレワークをしていない人と比べて労働時間に差がなかったのです。要するに、テレワークをしている人の労働時間を単純に集計してしまうと、テレワークというのは長時間労働になるよねと言われるけれども、ちゃんと分けて検証したら、会社から認められたテレワークでは、決してそんなことはないということがわかったということです。

 副業のほうは、私たちのデータでは公的統計よりも副業をしている人が多くて、聞き方の違いによる影響もあるかと思うのですけれども、この1年間に副業経験がありますかという聞き方をすると、雇用者の十数%が副業をやったことがあると答えています。ただ、週にどれぐらい副業していますかと聞くと、週で答えられるほど定期的にやっていませんという割合が高いので、単発のものをやっているという人を捉えた場合は、公的統計よりも高くなるということがわかった。

 働き方改革実行計画の中では、副業が第2の人生の準備につながる、同じ企業の中だけでは学べなかったことが外で学べる、越境した学びの効果があるということも副業の目的と置いているわけですが、成長実感で学びの効果を検証したところ、副業をやっている人のほうが、さらに本業の経験を生かして副業をやっている人のほうが、成長実感が高いという結果がデータで示されました。

 働き方改革というのは、進捗やその効果がわからないとなかなか進まないのかなと思っているので、私の役割は、議論する際の材料として、データも活用しながら実態を明らかにして、共有することかと思っています。

 よろしくお願いします。

○松村座長 皆さん、ありがとうございました。

 残り時間が非常に短くなってきておるのですが、私からも少しだけお話しさせていただきたいと思います。この検討会で議論することは、いろんな課題もたくさん出てくるわけですし、今までやってきたことから新しい制度に移るわけですので、そうした課題をたくさん議論すること、出していただくことが一番肝要かと思います。

 テレワークということで一言だけなのですけれども、テレワークの働き方というのは、変わったのではなくて、新しい働き方が加わったと思っています。ですので、テレワークで働けるものというのは、当然ながら建設とか製造とか、テレワークできないところも多々あるわけですので、働き方が一つふえたということだと思います。

 もちろん、コンピュータ、ITが発展して新しい産業が生まれて、そして新しい仕事が生まれて、そして新しい働き方が生まれているということだと思うのですが、インターネットの特徴は、マスメディアからスモールメディアということですので、我々ワーカーは、何々会社の松村とか、そういう言い方ができなくなって、単なる松村というふうになっていく可能性があるわけです。ですから、所属のあるいは分類のスタイルが変わってくるのがインターネット、コンピュータの世界だと思いますけれども、その流れで最近では人材のサイトがたくさんできていますので、名前で働くような時代がやってくるのではないか。そうしてみたときに、今回出てきた教育をどうするのかとか、さまざまなトラブルにどう対応するのかということが課題になってくるのかと思います。

 もう一つは、テレワークの2つ目ですけれども、先ほどいつでも、どこでも、誰とでもとお話ししましたが、テレワークは2つ以上の仕事を一緒にできるわけです。そういう意味で、家事と仕事、あるいは地域のボランティアと仕事、あるいは仕事を2つ、3つ、そして副業ということが出てきているわけですけれども、結局、複数の仕事なりやりたいことを一番いいところでやるわけです。家事と仕事をするのはどこがいいかといえば、在宅ですし、ボランティアと仕事を一緒にやるのはどこがいいのかといえば、ボランティアの現場だったり、公民館とか図書館とか、そういうところかもしれませんし、仕事と仕事といえば、コワーキングスペースのようなところかもしれません。

 最近見ていますと、副業といいますのは、仕事のかたわら、土日にマルシェというような、好きな人たちが集まって、自分のつくったものを売るとか、喫茶店をやるとか、そういうところに土日に出店する。そういうものが高じて自営業として喫茶店を始めたり、あるいは移住者などに多いのですけれども、地元のまちで喫茶店で始めたとか、お店を始めたとか、そういう人も多いわけです。それが自己実現だと思いますと、いろんな副業のスタイルがあっていいのではないかと思いますし、テレワークはそういうことをさせてくれるツールだと思っています。

 副業を考える、あるいはテレワークを考える、あるいは在宅勤務を考える、多々あるのですけれども、今、申し上げたようなテレワークというものを考えると、そういう方向に行ってしまう可能性がありますので、そういうところで皆さんの御意見をいただければよろしいのかなと思っております。

 残り時間10分ほどになってしまいました。若干事務局からもございますので、5~6分というところですが、最後にもう少し話したい、意見を述べさせてほしいという方がいらっしゃいましたら、残り5分ぐらいで進めたいと思いますが、いかがでしょうか。先ほどちょっと言い残したということがあれば。

○荒井委員 言い残したわけではないのですが、質問をさせていただこうと思います。

○松村座長 では、どうぞ。

○荒井委員 先ほど河崎委員のほうから、副業について、基本的には届出制だという話があったかと思うのですが、その際に、一応上司の方と相談してというお話があったと思うのですが、制度として上司への相談というのはある意味必要になってくるという理解でしょうか。

○河崎委員 制度としてというよりも、その人の例えば体とか今、抱えている業務上の課題とか、そういうことを把握できるよきアドバイザーから、副業をやりたいという気持ちはわかるけれども、アドバイスをもらえる、こういう緩いセーフティーネットをどう仕掛けるかといったときに、身近な人の相談をしてから申告してくださいという形でしたということです。

○荒井委員 そうすると、何か届け出の中で上司の意見はこう言っているということがあるわけでは必ずしもないと。

○河崎委員 現実はそれを集計する人事部門は上司の人に大丈夫ですかというヒアリングはするようにはなっていますけれども。

○荒井委員 ありがとうございます。

○松村座長 ありがとうございました。

 ほかにいかがでしょうか。では、神吉委員、どうぞ。

○神吉委員 今、ちょうどその話が出たので便乗させていただきたいのですが、例えば平日の夜だったりすると、兼業だと時間外労働になってしまう場合が高いと思うのですが、河崎さんが把握していらっしゃる限りで、例えばこの副業をすると、それは時間外労働に当たりますよということは上司のほうからあったりするのでしょうか。

○河崎委員 法的にどうかということはあれなのですけれども、我々は時間外労働という捉え方を全くしていなくて、夜に本人の意思で誰かを家庭教師して収入を得ることがあっても、それは時間外労働という形で会社が労務管理の範疇にあるとは考えていないのです。法的にそこがどうかというのは、顧問弁護士に相談しながらやっていますけれども、議論のあるところかもしれないですね。

○神吉委員 ありがとうございます。

 労基法38条との関係で、今は事業所を通算するということなので、ちょっと気になりました。ありがとうございます。

○松村座長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。湯田委員、どうぞ。

○湯田委員 様々なデータが、どの時間軸の中でとられたデータなのかをきちんと見ていく必要があると思いました。ここ2~3年で働く人の意識や、活用する企業のスタンスも大分変わってきています。過去のデータを見ながら考えるということも必要にはなるものの、昨今の副業の広がりのなかでは、自分が副業していると認識されていない方々もいます。企業においても、例えばボランティアが有償だったら副業になるのかなど、ふわっとした定義のなかで議論されている場面が多くあると見受けています。

 そのようななか、もう少し言葉の定義を整理していくということが必要だと思います。また、活用推進のムーブメントを適切につくっていくためには、成功例をお伝えしつつも、こことここは気になるというグレーのところも出てくると思います。そのような点はどう解決しているかという事例を今後の検討会の中で抽出し、伝えていくことが必要になると感じながら、皆さんの御意見を聞かせていただきました。

 以上です。

○松村座長 ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、時間にも近づいてまいりましたので、きょうのところは以上にさせていただきたいと思います。また次回もございますので、そちらに回したいと思います。

 それでは、次の日程について、事務局からお願いします。

○飯田労働関係法課課長補佐 次回の日程については、10月末をめどに調整中でございます。確定次第、開催場所とあわせて追って御連絡いたします。

○松村座長 ありがとうございました。

 これにて第1回「柔軟な働き方に関する検討会」を終了いたします。

 本日は、お忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございました。


(了)

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