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2017年10月26日 モデル事業実施自治体ヒアリング(意見交換会)

○日時

平成29年10月26日(木)10時00分~16時30分


○場所

厚生労働省内共用第6会議室


○議題

(1)モデル事業の進め方等の講演
(2)事業実施自治体による先行的事例の照会
(3)グループ・ワークによるモデル事業の効果的な進め方の討議等

○議事

 

<体制整備>

【広域・市町村連携】

・広域連合は市町村にとって遠い存在であり、これまで連携はなかったが、衛生部門と広域連合がモデル事業を通じて初めて協議した。

・広域連合ではデータを活用し、どのように市町村に事業を実施してもらうかが課題。市町村の理解を得るのが難しい。

・データをグラフ化しながら、市町村に示すなど様々な努力をしている広域連合もあり、他の広域連合にも参考になるよう提示してもらえると良い。(広域の役割、市町村の悩み相談会等の例)

・地域によってはKDBデータが使えず、広域連合との連携が課題である。

・専門職が広域連合にはおらず、事務職が企画しているが、相談できる専門職等のネットワークがあると良い。

【庁内連携】

・庁内でも連携できる部署、できない部署がある。機構改革により連携が取りやすくなったり、マニュアル作成を機に連携をとるようになったりした部署もあった。介護部署などの他部署でもメリットを感じると円滑に連携できることもあった。

・事業を実施している部署と広域連合、国保・介護担当の連携があまり取れていない。情報を持っているところとの連携が課題である。

・福祉部門だけではなく、財政部門との連携についても参考にさせてもらいたい。

・事業実施に際し、介護の情報が必要であるが、個人情報保護との関係で他部署との情報共有に難しさがある。

・専門職がいない場合は、専門職の協議会の立ち上げや具体的な専門職名についてガイドラインに記載されると進めやすい。

【外部との連携】

・専門職の確保が難しく、他部署の専門職にも協力を求めにくかったため、委託方法を選んでうまくいったところもあった。

・行政と歯科医師会の連携が非常に重要であり、歯科医師やケアマネージャーへの説明が必要となるが、理解度を深めていただくための工夫が必要である。(口腔・訪問歯科)

・医師会・薬剤師会との関係構築が重要となり、そこに行政が間を取り持つような関係が求められる。行政から(事業協力の)通知等がないと実施は難しいようである。(服薬)

・地域づくりの観点からも商工会等との連携が必要である。

 

→ 庁内や関係機関との連携がないと進まない事業であるが、お互いWIN-WINになること、連携相手にとっても価値があるという示し方が必要である。

→ 昨年と比べ、「こういう風によくしたいから」といった前向きな意見が多かった。広域連合の構造上の問題であるが、市町村にとって広域連合と連携することはメリットがあること、広域連合に派遣されることをキャリアラダーの1つとして位置付けるなどイメージアップを図るべき。

 

<具体的な事業実施>

【対象者の抽出・選定】

・抽出基準については、やりやすいところから取り組むことも大切であると思った。介入する上で効果的な対象集団を見つけることが肝心であると思った。何年間か事業を実施すると、どの集団を対象とすると効果的かが分かるので、何年か事業を実施して基準を変えることも必要であると思った。

・対象者の抽出基準がこれで良かったか、自身の市町での抽出がこれで良かったかについて、妥当性を確認できる記載がガイドラインにあると良い。

・高齢者の保健事業のフローによると介護保険のサービスを受けている人は保健事業の対象とならないということであるが、口腔や栄養での支援を受けていない人は支援対象となる旨の記載がガイドラインにあると良い。

・対象者抽出にKDBが使えると便利であるかもしれない。ただし、健診のデータは、KDBではタイムラグがある。

・抽出基準により絞っていくと参加者数が減ってしまうことがある。直接、訪問・掘り起しをすることも考え得るが、マンパワーの関係で難しい。

→ 保険者による事業であるから、集団全体を見て対象者を把握することが基本コンセプト。具体的なアプローチ方法、基準については提示していきたい。通常使われる問診等のチェックリストが必要であり、さらに電子化されることも必要である。KDBも抽出等に役立つよう改修をしてもらっているところ。

→ 対象者抽出はまだ難しい。対象者がいるかを把握するために全地域3年かけて回るといった方針でもよいのでは。

【介入】

・手紙により先に市民に案内等を行うと、電話・訪問の受け入れが良い。広報・PRが大切。

・抽出したものの、介入が断られることもあり、事例に学んで工夫することが必要である。

・介入方法として、多職種連携によりサポート体制をつくることが必要なので、そうした地域づくりが重要であろう。

・対象者抽出の方法・基準は実施地域でまちまちであり、ガイドラインには、抽出基準だけではなく、事業の手法としても「松竹梅」というように難易度などでランク分けして類型別のエビデンスが示されると良い。

・処方薬が56剤では対象者が多くなるので、人口規模別に10剤等の基準があるとよい。(服薬)

【評価】

・参加者が少ないと非介入群の設定も難しい。

・「生活の維持ができた」ということも介入の効果であるため、80歳以上の人には「生活の維持」で評価することも必要では。

・参加者の心身の状態が悪化しても、非介入群の悪化の程度よりも軽ければ良いのが分かる記載があると良い。

・改善の確認を行うには数か月以上の時間を要する部分がある。

・テーマごとに評価指標の具体例があると良い。

・栄養ではMNA-SF等をガイドラインに載せてもらえるとありがたい。

・複合的取組で、複数の専門職が関わると、評価基準の選定が難しい。

・参加者の満足度も一つの指標として良いのではないか。

・口腔・訪問歯科では受診につながるほど歯科医療費は上昇する。しかし、健康維持により内科的医療費が下がる。トータルの視点が必要。

・事業評価については、数値による評価基準の設定が難しい。アウトカムは健診データを用いると年度をまたぐことが多く、苦慮することが多い。そうした判断基準、評価基準の具体的な例示があると良い。

・ガイドラインには具体的数値があると良いし、優先順位の考え方を掲載してほしい。

・介入の期間が3か月の場合、改善を評価するには最低6か月の期間が必要ではないか。

・設定した目標に対する評価や数値だけではなく、参加者の気持ちがどうなったかというような評価、基本チェックリストでの項目のチェックも必要では。

・給付費等が見えると財政的な効果を訴えられるが、難しいか。

・評価では未受診者が受診につながったことも評価すべきではないか。また、途中で参加を終了した者の評価をどう考えればよいか。

・評価データを入手するまでにタイムラグが生じ、健診を受けていない人の評価ができない。

・生活保護に至る前に支援ができた介護に繋いだということをどのように評価するのか。

→ 医療費効果等は1自治体のデータで示すのは無理がある。モデル自治体には負担を掛けたが、データを収集し、まとめて分析したことにより、対象がどのような人か、翌年どう変化したか等が見えるような手応えを感じている。高齢者の保健事業は心身の状態の維持も大切で、この事業により状態を維持できていることを示すためにも引き続きデータ提供等に協力をお願いしたい。

→ 評価の手法については悩んでいる自治体が多く、事業ごとの評価例や数値目標、指標の考え方などがあるとよいが多い。

 

<その他>

・進捗管理シートはチェックリストとして使えるため役に立つが、シートへの記入が負担ではある。大・中・小項目にしてもらえると優先順位が分かりやすい。日付の記入も負担感があるので月のみの記入でよくするとか、時系列に進行しなくてもよい旨記載するとか、負担感を軽減するようにして欲しい。

・今回この意見交換会に参加できなかった自治体職員への展開をどうしていくか。資料及び意見等のHP掲載やメーリングリスト等で情報提供を行うべき。


    「→」は、座長の助言等。

 


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