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2017年9月14日 第127回労働政策審議会職業安定分科会 議事録

○日時

平成29年9月14日 10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎第5号館厚生労働省省議室(9階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議事

  阿部分科会長

定刻になりましたので、ただいまから第127回労働政策審議会職業安定分科会を開催いたします。本日の委員の出欠状況です。公益代表の太田委員、小畑委員、中窪委員、労働者代表の勝野委員、高松委員、使用者代表の河本委員、熊谷委員、松井委員がご欠席です。

それでは、議事に入りたいと思います。最初の議題ですが、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱について諮問です。本件については、9月8日付で厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛諮問を受けております。当分科会では、9月1日に行われた第126回職業安定分科会において、諮問に先立つ概要説明という形でご議論をいただいております。また、本要綱の同一労働同一賃金の所管に係る部分につきましては、9月12日に行われました同一労働同一賃金部会において予めご議論を頂いております。

それでは、資料及び部会での議論について事務局よりご報告をお願いします。

 

  総務課長

おはようございます。総務課長の田中でございます。私から資料のご説明をさせていただきます。

 まず、議題(1)に関連しましては、お手元の資料NO1-1諮問文、それから、資料NO1-2、9月1日の職業安定分科会で議論があった点について、それから、資料NO1-3、同一労働同一賃金部会の報告、参考資料NO1-1といたしまして、前回の職業安定分科会でもご議論いただきました概要案でございます。不足ございませんでしょうか。

それでは、まず資料の1-1をご覧ください。1枚おめくり頂きまして、諮問文付いてございます。9月8日に厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛、諮問がされてございます。1枚おめくりを頂きまして1ページでございますが、法律案の名称といたしましては、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案という事で要綱を諮問させていただいてございます。この中には、働き方改革を推進するための関係法律といたしまして、労働基準法他7つの法律が一括をされてございますが、職業安定分科会の所管の部分につきましては、まず、大きな所管の部分といたしまして雇用対策法でございまして、要綱案十八頁をお開き下さい。

雇用対策法の一部改正第三となってございます。この法律の構成全体につきましては、関係する法律をその制定順に並べておりますので、雇用対策法の一部改正第三というふうな部分になります。一、題名といたしまして、現行の雇用対策法でございますけれども、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律に改めるという内容でございます。それから、二としまして、目的等というところで、1としまして、目的規定の改正になりますが、国が経済社会情勢の変化に対応して、労働に関し、ここ現行では雇用に関しというふうになってございます。労働に関し、その政策全般にわたり、必要な施策を総合的に講ずることにより、労働市場の機能が適切に発揮され、この部分までは現行の法律であるところでございます。次の部分、労働者の多様な事情に応じた雇用の安定及び職業生活の充実、労働生産性の向上等を促進してというところが新しくなるという事でございまして、これによって、労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにし、これを通じて、労働者の職業の安定と経済的社会的地位の向上とを図るとともに、経済及び社会の発展並びに完全雇用の達成に資することを目的とするものとすることでございます。この部分の資料のNO1-2をお開き頂ければと思いますけれども、この部分につきまして、労働生産性につきまして、9月1日の職業安定分科会でご議論がございましたので、その議論は資料NO1-2にまとめてございます。労働生産性について、労働生産性の向上は、付加価値(分子)の増加によることを想定しているということ。それからここ、目的規定第一条でございますが、国の施策に関する規定で、国は本来、国民一人一人の生活の向上を目指すものであり、人を減らしての労働生産性の向上を目指すことはありえない。労働者数が減ってしまえば逆にマイナス。労働力供給制約の下では経済全体が成長するには、多様な労働力の参加が進むことが必要。三番目といたしまして、国の施策、ちょっと後程三番のところでご説明しますけれども、たとえば、長時間労働の是正、両立支援、均衡処遇の実現などがあり、いずれも労働生産性の向上につながりうるもの、さらに職業能力開発施策は、より労働生産性の向上につながるもの。労働生産性の向上は国の施策の実施を通じて促進されるもので、能力の有効発揮、さらなる能力開発等を実現するためのリソース。労働生産性が向上し、その成果が働く人に分配されることで、働き方改革の持続的発展、成長と分配の好循環が可能となる大きな目的達成のための手段。理念としての労働生産性の向上であり、計算式をもって具体的な数値を定め、基本方針等で数値目標の実現を追及するという性質のものではない。基本方針等では、これらの趣旨、考え方をしっかりと示し、懸念が払拭されるように努める。という前回の職業安定分科会でご議論がありました点につきましてこのようにまとめてございます。このような考え方の下での要綱となっているというふうにご理解いただければと思います。

資料NO1-1にお戻りいただきまして、一八頁の2のところです。こちらは基本的理念の改正の部分になります。労働者は、職務の内容及び職務に必要な能力等、職務に必要な能力ですとか経験ですとか、そういった職務遂行上必要な事項というふうなことになろうかと思いますが、この内容が明らかにされ、並びにこれらを踏まえた評価方法に即した能力等の公正な評価及び当該評価に基づく処遇その他の適切な処遇を確保するための措置が効果的に実施されることにより、その職業の安定が図られるように配慮されるものとすることでございます。次に三、国の施策、雇用対策法現行では第4条に国の施策がインデックスとして並べられてございますが、国が二の1の目的を達成するため、必要な施策を総合的に講じなければならない事項として、次に掲げるものを規定するものとすることでございます。1番といたしまして、この1番と3番が新しく追加をするものでございます。各人が生活との調和を保ちつつその意欲及び能力に応じて就業することを促進するため、労働時間の短縮その他の労働条件の改善、多様な就業形態の普及、雇用形態又は就業形態の異なる労働者の間の均衡のとれた待遇の確保に関する施策を充実すること。それから2番、この女性の部分等々につきましては、現行もございますが、子の養育又は家族の介護を行う者の職業の安定を図るため、雇用の継続、円滑な再就職の促進、母子家庭の母及び父子家庭の父並びに寡婦の雇用の促進その他のこれらの者の就業を促進するために必要な施策を充実すること。3といたしまして、疾病等の治療、疾病等につきましては、疾病ですとか負傷その他の理由というようなことになろうかと思います。疾病等の治療を受ける者の職業の安定を図るため、雇用の継続、円滑な再就職の促進その他の治療状況に応じた就業を促進するために必要な施策を充実することでございます。これにつきましては、資料NO1-2の方にいっていただければと思います。前回の議論の中でまず多様な就業形態の普及の部分につきましては、多様な就業形態を普及していくに当たっては、しっかりと保護がなされることが前提であり、そのための環境整備も施策の充実に含まれるということ。それから、現時点で積極的に普及を図るものとしては、雇用型テレワークやシルバー人材センター等が挙げられるということでございます。それから、3番の疾病等の治療を受ける者の職業の安定の部分でございますが、疾病等の治療のために休職をしてその後同じ職場に復職をされる場合につきましても、この内容に概念として含まれるという前回の分科会でのご議論があり、確認をした件について記載させていただいてございます。

次、おめくりを頂きまして、二十頁、四、事業主の責務でございます。事業主は、その雇用する労働者の労働時間の短縮その他の労働条件の改善その他の労働者が生活との調和を保ちつつその意欲及び能力に応じて就業することができる環境の整備に努めなければならないものとすることでございます。五番目が基本方針でございまして、1としまして、国は、労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにするために必要な労働に関する施策の総合的な推進に関する基本的な方針、ここは基本方針と略称しておりますが、これを定めなければならないものとすること。それから、基本方針に定める事項は、労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにすることの意義に関する事項、国の施策に関する基本的事項等とするものとすること。それから、基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならないものとすることということで、基本方針については閣議決定をするということでございます。4番といたしまして、あらかじめ都道府県知事の意見を求めるとともに、労働政策審議会の意見を聴かなければならないものとすることということで、基本方針策定の際には労働政策審議会からご意見を頂戴するということでございます。おめくりを頂きまして、5番、閣議決定をすれば基本方針を公表するということと、6番、関係行政機関への要請のところはセットになりますが、必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出等必要な協力を求めることができるものとすることということと、次の漢数字の六ですけれども、関係行政機関の長に対して、施策でその関係行政機関の所管に係るものの実施について、必要な要請をすることができるものとすることとなってございます。それから、漢数字の五のところの7にお戻りいただきまして、経済社会情勢の変化を勘案し、基本方針に検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更しなければならないものとすることでございまして、必要に応じて見直しをするという内容でございます。それから、漢数字の七、その他でございますが、その他所要の規定の整備を行うことでございまして、ここで予定をしておりますのは、それより前のところを改正することによります調整等が生じますので、その手当をする内容になってございます。それで、少し飛びまして四七頁をお開き下さい。3第九、附則という事で一の施行期日でございます。この法律は、平成31年4月1日から施行すること。全体の施行期日はこのようになってございますが、雇用対策法部分、ただし、その以下です。第三にあっては公布の日ということで、公布日施行を予定しているという内容になってございます。雇用対策法のご説明は以上でございますが、引き続きまして9月12日に取りまとめのございました同一労働同一賃金のその部会の報告に関しまして、関連する部分等のご説明をさせていただきます。

資料につきましては、資料NO1-3をご覧いただければと思います。9月12日付で同一労働同一賃金部会の部会長より職業安定分科会会長宛報告があったものでございます。9月8日付で諮問のあった件については、本部会は下記のとおり報告するということで、別添のとおり、要綱案は別添のとおりとしておおむね妥当と認めるということになってございまして、おおむね妥当というようなことでのご報告をいただいておるところでございます。それで、別添のとおりという事で、1枚おめくりを頂きますと別添で関係する部分につきまして、要綱が出てございます。これにつきましては、建議、同一労働同一賃金の建議を踏まえた法制化をするというような過程の中で、法律案全体としましては、9月8日に諮問させていただいてございますけれども、その後、法制的な整備等々をする中で、一部修正がございましたので、同一労働同一賃金、具体的には第五の派遣法の部分になりますけれども、これにつきましては、今後要綱としてはこの別添のところが該当の部分に差し替えて溶け込むというような形になろうかと思います。その前提でおおむね妥当というようなご報告を受けているというところでございます。法律案要綱につきまして少し長うございますが、かいつまんでご説明をさせていただきます。今回、同一労働同一賃金の部会の所管に係る部分に関しましては、法律としては3つございまして、労働者派遣法、それからパートタイム労働法、それから、労働契約法でございます。まず、この資料1-3の別添の要綱の1、一二頁をお開き下さい。第七といたしまして、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部改正でございます。これは、いわゆるパートタイム労働法と言われてございますけれども、題名を短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律に改めるという事でございまして、現在、短時間労働者の雇用管理の改善等を定めております法律に併せて有期雇用労働者も併せて規定をするというような一個の形となるものでございます。おめくりを頂きまして、一三頁の四の不合理な待遇の禁止でございます。事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者、これは短時間労働者と有期雇用労働者です。この基本給、賞与その他の待遇のそれぞれにについて、当該待遇に対応する通常の労働者との待遇の間において、当該短時間・有期雇用労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度、職務の内容でございます。職務の内容それから、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、待遇の性質、待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならないものとすることでございます。それから五番ですが、通常の労働者と同視すべき者に対しての差別的取り扱いの禁止でございます。職務の内容が通常の労働者と同一の短時間・有期雇用労働者であって当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されると見込まれるものについては、短時間・有期雇用労働者であることを理由として、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、差別的取り扱いをしてはならないものとすることでございます。六番が賃金ですが、事業主は、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、その雇用する短時間・有期雇用労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験等を勘案し、その賃金を決定するように努めるものとすること。それから七、福利厚生施設ですが、通常の労働者に対して利用の機会を与える福利厚生施設であって、健康の保持又は業務の円滑な遂行に資するものとして厚生労働省令で定めるものについては、その雇用する短時間・有期雇用労働者に対しても、利用の機会を与えなければならないものとすること。それから八で、事業主が講ずる措置の内容等の説明で、事業主は、短時間・有期雇用労働者を雇い入れたときは、法に基づき講ずべきこととしている措置の内容について説明をするということと、2といたしまして、求めがあったときは、通常の労働者との間の待遇の相違の内容及び理由等々について説明しなければならないものとすること。それから、こういう求めをしたことを理由として不利益な取り扱いをしてはならないということでございます。それから九といたしまして指針で、事業主が講ずべき雇用管理の改善等に関する措置の指針の関係ということでございます。それから、次の一七頁に行っていただきまして、第八が労働契約法の一部改正になりまして、現行、労働契約法20条で期間の定めがあることによる不合理な労働条件について禁止をされてございますので、それを削除するというような内容でございます。

それで、一頁に戻っていただきまして、労働者派遣法の関係でございます。パートタイム労働者、それから有期雇用労働者についてこのような改正をいたしますが、派遣労働者についても基本的には同じ内容の改正でございます。ですけれども、労働者派遣につきましては、派遣先が存在するという事で異なる部分がありますのでその異なる部分について、一定の同じくルールを設けるといった内容になってございます。順にご説明いたします。一は待遇に関する情報の提供等ということで、労働者派遣の役務の提供を受けようとする者は、労働者派遣契約を締結するに当たっては、あらかじめ、派遣元事業主に対して、派遣労働者が従事する業務ごとに対象労働者の賃金、その他の待遇に関する情報等々を提供しなければならないものとすることということと、派遣先でどういう労働者等の比較をするのかという比較対象労働者ですが、労働者派遣の役務の提供を受けようとする者に雇用される通常の労働者であって、業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度、職務の内容です。当該職務の内容及び配置の変更の範囲が、労働者派遣に係る派遣労働者と同一であると見込まれるものその他の当該派遣労働者と待遇を比較すべき労働者として厚生労働省令で定めるものをいうということになってございます。それから、3といたしまして、派遣元事業主は、1の情報の提供がない時はその者との間で労働者派遣契約を締結してはならないものとすることでございます。4といたしまして、派遣先は、1の情報に変更があったときは、遅滞なく、派遣元事業主に対して情報を提供するということでございます。それから5といたしまして、労働者派遣の役務の提供を受けようとする者及び派遣先は、当該労働者派遣に関する料金の額について、派遣元事業主が二の1に、これからご説明します不合理な待遇の禁止等でございます。その規定を遵守することができるものとなるように配慮しなければならないものとすることとなってございます。二といたしまして、不合理な待遇の禁止等でございまして、ここは先ほどパートタイム労働法等々でご説明させていただいた不合理な待遇の禁止に相当する部分でございます。1といたしまして、派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する派遣先に雇用される通常の労働者との待遇との間において、職務の内容、職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならないものとすることということで、パート法の均衡待遇の規定と並んだものでございます。それから2といたしまして、派遣元事業主は、職務の内容が派遣先に雇用される通常の労働者と同一の派遣労働者であって、当該労働者派遣契約及び当該派遣先における慣行その他の事情からみて、当該派遣先における派遣就業が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該派遣先との雇用関係終了がするまでの全期間における通常の労働者の配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されると見込まれるものについては、正当な理由がなく、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該通常の労働者の待遇に比して不利なものとしてはならないものとすることということで、均等待遇と並んだ規定でございます。3番でございます。3番が派遣労働者に特有の規定でございます。派遣元事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合と書いてございます。その組合と次に掲げる事項を定めたときは、1及び2は、(一)に掲げる範囲に属する派遣労働者の待遇については適用しないものとすること。1、2は先ほど申し上げました派遣先との均等均衡待遇でございます。ただし、(二)、(四)若しくは(五)に掲げる事項であって当該協定で定められたものを遵守していない場合又は(三)に関して当該協定の定めによる公正な評価に取り組んでいない場合は、この限りではないものとすることということで、協定に定められた内容を、遵守をしていない場合についてはこの限りではないということが書いてございます。ここの部分について9月10日の諮問から変更になって修正になっているところでございます。(一)といたしまして、その待遇が当該協定で定めるところによることとされる派遣労働者の範囲。(二)といたしまして、その賃金の決定の方法。イといたしまして、派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額として厚生労働省令で定めるものと同等以上の賃金の額となるものであること。ロ、派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験等の向上があった場合に賃金が改善されるものであること。(三)派遣元事業主は、(二)の賃金の決定の方法により賃金を決定するに当たっては、職務の内容、職務の成果等々を公正に評価し、その賃金を決定すること。(四)(一)に掲げる範囲に属する派遣労働者の待遇(賃金を除く)の決定の方法。おめくり頂きまして、待遇の間において、当該派遣労働者及び通常の労働者の職務の内容当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適当と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違が生じることとならないものに限るということで、待遇について不合理と認められる相違が生じることとならないもの、ということです。(五)派遣元事業主は、(一)に掲げる範囲に属する派遣労働者に対して第30条の2第1項の規定に基づく教育訓練を実施すること。(六)(一)から(五)までに掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項。4、3の協定を締結した場合には、その雇用する労働者に周知をすること。次三、職務の内容等を勘案した賃金の決定で、派遣元事業主は、派遣先に雇用される通常の労働者との均衡を考慮しつつ、その雇用する派遣労働者の職務の内容等々を勘案し、賃金を決定するように努めなければならないものとすることですが、その雇用する派遣労働者につきまして、二の2の派遣労働者、二の3の協定で定めるところによる待遇とされる派遣労働者は除くということになります。次いで四番、就業規則の作成の手続で、派遣元事業主は、派遣労働者に係る事項について就業規則を作成し、又は変更しようとするときは、あらかじめ、派遣労働者の過半数を代表すると認められる者の意見を聴くように努めなければならないものとすること。五としまして、待遇に関する事項等の説明で、派遣労働者として雇い入れようとするときは、あらかじめ、当該労働者に対して、文書の交付その他の方法によって、(一)に掲げる事項を明示するとともに、省令で定めるところにより、(二)に掲げる措置の内容を説明しなければならないものとすることでございまして、(一)は労働条件に関する事項のうち、基準法第15条第1項に規定する省令で定める事項以外のものであって省令で定めるもの。それから(二)、二の1から3まで及び三により措置を講ずべきこととされている事項に関し講ずることとしている措置の内容です。2が派遣元事業主はということで、労働者派遣をしようとするときは、あらかじめ、その派遣に係ります派遣労働者に対して、文書の交付により(一)に掲げる事項を明示するとともに、(二)に掲げる措置の内容を明示しなければならない、協定に係るもの以外ですけれども、基準法15条1項に定める事項等々でございます。3ですが、派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者から求めがあったときは、比較対象労働者との間の待遇の相違の内容及び理由、それからこの法律に基づき措置を講ずべきこととされている事項に関する決定をするに当たって考慮した事項を説明するということと、そういうふうな求めをしたことを理由として解雇その他不利益な取り扱いをしてはならないものとすることでございます。それから、派遣先への通知ということで、派遣先に通知しなければならない事項に協定対象派遣労働者であるか否かの別を通知することと、七の派遣元管理台帳につきましては、こういうふうな別を記載しなければならないこととしています。八、適正な派遣就業の確保です。1、派遣先は、その指揮命令の下に労働させる派遣労働者について、当該派遣労働者を雇用する派遣元事業主からの求めに応じて、その業務と同種の業務に従事するその雇用する労働者が従事する職務の遂行に必要な能力を付与するための教育訓練については、当該派遣労働者が既にその職務に必要な能力を有している場合、その他の場合において派遣労働者に対してもこれを実施する等必要な措置を講じなければならないものとすること。教育訓練に関する規定です。2は福利厚生施設です。業務の円滑な遂行に資するものとして省令で定めるものについては、その指揮命令のもとに労働させる派遣労働者に対しても、利用の機会を与えなければならないものとすること。それから3で、第40条第1項に定めるもの並びに1及び2、先ほどの教育訓練、それから福利厚生施設です。このほか派遣先は、その指揮命令のもとに労働させる派遣労働者について、当該派遣就業が適正かつ円滑に行われるようにするため、適正な就業環境の維持等々のその利用に関する便宜の供与等必要な措置を講ずるように配慮しなければならないものとすること。それから4で、派遣先は、第30条の二の規定による措置並びに二の1から3まで及び五の3の措置が適切に講じられるようにするために、派遣元事業主の求めに応じて、当該派遣先に雇用される労働者に関する情報等々、必要なものを提供する等必要な協力をするように配慮しなければならないものとすることということでございます。派遣先管理台帳につきましても、協定対象派遣労働者であるか否かの別を記載していただくということでございます。それから、十、紛争の解決です。苦情の自主的解決としまして、派遣元事業主は、派遣労働者から苦情の申し出を受けたとき、それから、派遣先に対して申し出た苦情の内容が派遣先から通知をされたときは、その自主的な解決を図るように努めなければならないということでございます。それから、2の紛争の解決の促進に関する特例といたしまして、二及び五についての派遣労働者と派遣元事業主との間の紛争、それから八の1及び2についての紛争については、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律を適用せず、3及び4によるものとするものということで、紛争の解決の援助につきまして、都道府県労働局長の紛争解決援助、それから4、調停の仕組みが新たに設けられるところでございます。この3、4の仕組み等々につきましては、現行のパートタイム労働法でパートタイム労働者につきまして適用となっているものを派遣労働者についても同じような枠組みを設けるというものでございます。次いで十一、公表でございまして、勧告、公表の対象に必要な規定を加えるということと、所要の規定の整備を行うことでございます。最後一七頁に行っていただきまして、この法律の施行期日、平成31年4月1日でございます。経過措置といたしまして、パートタイム労働法、それから、労働契約法の改正の部分につきましては、中小企業事業主につきましては、平成32年3月31日までの間、旧法の適用が必要な部分については適用になるということで、中小企業事業主につきましては、平成32年4月1日からパート法、契約法の改正がスタートとすることとなってございます。それから、検討規定といたしまして、施行後5年を目途として、必要な検討を行うという内容でございます。それで、表紙にお戻りを頂きまして、この法律案要綱の内容で、これを所管いたします同一労働同一賃金部会では、おおむね妥当というような結論に至ったということでご報告を頂いておりますことをあらためて申し添えさせていただきます。ちょっと長くなりましたが説明は以上です。

 

  阿部分科会長

ありがとうございました。

それでは本件につきまして、ご質問、ご意見がございましたらご発言ください。

はい、久松委員お願いします。

 

  久松委員

雇用対策法の一部改正の目的等について2点質問させていただきます。前回の案文では、職業の安定と職業生活の充実が法律の目的として並列に記載されていました。一方で、今回の法律案要綱では、職業の安定と経済的社会的地位の向上という、大目的を実現するための手段として、雇用の安定、職業生活の充実、労働生産性の向上が位置づけられています。本条文の構造を前回から変更した考え方についてまずお聞きしたいことと、また、職業の安定と雇用の安定の使い分けについてもお聞きしたいと思います。宜しくお願いします。

 

  阿部分科会長

はい、ではご質問ですので事務局お願いします。

 

  総務課長

ご質問にお答えをいたします。職業の安定、9月1日にご説明したときは、職業の安定と職業生活の充実を並列する形にしてございました。その後9月1日での議論、それから、法制的な審査、検討を行う中で、職業の安定の概念の中では現行の雇用対策法でも労働力の需給が質量両面にわたり均衡することを促進して職業の安定というようなつながりになってございます。それから、各他法、様々な法律の中でも職業の安定は使われておりまして、その中で私たちが前回ご説明した職業生活の充実ということで、質の観点を加えたいというふうに思っておりましたけれども、職業の安定の中にはやはり、他法の例、それからこういった側面を見ても広く職業の何て言うんでしょう、質というふうな面も既に含まれていると、そういうようなことであれば職業の安定と職業生活の充実というようなことは、法制的関係の観点からもやはり並べて規定をすることができないということで、法律の構造としては、職業の安定を目指すというのは、これまでもこれからも変わらないというような形で整理をさせていただきまして、職業の安定というのを大目的のところに残すというようなことにしました。その上で、やはり今後、その考えに当たって、その質の面、職業生活の充実というような形で質の面を更に今回の改正の中には更に発達させたいというようなことがございまして、その第1条目的規定を改正するに当たりましては、雇用の安定ということで、雇用契約、仕事に就いてその仕事で安定して働く、雇用のバランスというような概念とそれとセットで雇用されているところの仕事が充実するというようなことを並列の規定で書かせていただくことによって、雇用の場がそれから質が充実するというようなことを表現できるのではないかということでそういうように判断させていただいたものです。

 

  阿部分科会長

はい、久松委員よろしいですか。

 

  久松委員

その件についてはわかりました。加えてですが、雇用の安定及び職業生活の充実、労働生産性の向上等とありますが、この「等」とは具体的にどのような内容を指すのか確認させていただきたいと思います。

 

  阿部分科会長

はい、それではお願いします。

 

  総務課長

この労働生産性の向上等の「等」の部分でございますが、現行の法律を見ますと、労働力の需給が質量両面にわたり均衡することを促進しているというようなところになってございます。それを今の働き方改革の推進等々のその考えから置き換えていくに当たりまして、色々な事情を抱える人の雇用が安定し、職業生活が充実するということと、労働生産性の向上ということに整理したわけでございますが、それ以外にも何か具体的にこれということではないのですけれども、何かもしそれ以外のものがあればというようなことで等を念のために規定をさせていただいているものでございますが、今後の法制的な審査の過程の中で、あえて明示をする必要がないというようなことになればこの「等」については取ってしまっても大きな変更はないのではないかというふうに思っております。

 

  阿部分科会長

よろしいですか。はい、ありがとうございました。

それではその他いかがでしょうか。はい、じゃあ村上委員どうぞ。

 

  村上委員

今、久松委員とのやり取りの中で、今回示された法案要綱のつくりが前回示された資料と比較すると労働生産性の向上というものが、法律の大目的である職業の安定や経済的社会的地位の向上などの手段であるということは分かりやすくなったと思います。ただ、前回も指摘致しましたが、本日資料1-2にまとめていただいたように、働き方改革の柱の一つは労働生産性の向上であったとしても、それを法案に盛り込むということについては、唐突な印象を受けましたし、また、その生産性の向上を盛り込むことで労働強化といった懸念があるということについては、やはり十分認識しておく必要があると思っています。資料1-2でも整理頂いたように、労働生産性の向上が意味することが、例えば数値目標を設定するといったことにならないように是非今後の議論の中でも明らかにして頂きたいと思いますし、基本方針や施行通達の中でしっかりと示していくことが重要だろうと思っておりますので、是非宜しくお願い致します。

 

  阿部分科会長

はい、ありがとうございました。では、鎌田委員。

 

  鎌田委員

私は派遣法の細かなことで確認ですこれは。本当に細かなことで技術的な確認です。まず、何が聞きたいかということで、一頁ですけれども、待遇に関する情報の提供等ということで、漢数字の一、算用数字の1、労働者派遣の役務を受けようとする者はということで、通常いうところの派遣先ですけれども、ただ、派遣法の使い分けと言いまして、いわゆる派遣先と労働者派遣の役務の提供を受けようとする者、とりわけ26条では派遣先という用語ではなくて労働者派遣の役務の提供を受けようとする者ということで使い分けてあるわけですけれども、私の理解では、この労働者派遣の役務の提供を受けようとする者というのは、いわゆる派遣先より広くて、派遣先というのは事業許可を受けた派遣元事業主から労働者派遣を受けるものということですが、26条の労働者派遣の役務の提供を受けようとする者、これは事業許可を持っている者に留まらずに、当事者が相手方に対して労働者派遣をすることを約する契約を結んだものということで広くなっているんですね。それがあの以前からそうなんで特に問題はないんですけれども、そしてこの要綱もですね、そういった様な使い分けも全体に今ぱぱっと見ただけですけれども、しっかり使い分けられていて問題ないんですけれども、ただ1点確認なんですけれども、二頁のですね算用数字の5のところですけれども、ここはですね、内容としては当該労働者派遣に関する料金の額について、派遣料金の額について派遣元事業主は二の1及び2、これはいわゆる先ほどからのご説明の不合理な待遇の禁止に係る規定でありますけれども、これを遵守することができるものとなるよう配慮しなければならないものとすることとなっています。この不合理な待遇の禁止等は、もちろん派遣先の通常の労働者の待遇との関係で不合理なということになっていまして、相手先が派遣先なんですね、不合理な方が。ですから、この場合、遵守しなければ、算用数字の5に戻りますけれども、派遣先は、不合理な待遇の禁止を派遣元が負っている限りにおいて遵守しなければならない、つまり、料金決定においても遵守しなければいけないというそういう仕組みになっているわけですよね。ただ、さらに労働者派遣の役務の提供を受けようとする者ということで、さらにそのこれもくっついてますよね。だからここの部分は、いわゆるその不合理な待遇の禁止等でいう相手先の派遣先よりも広い範囲をこの派遣料金に関する遵守については、広く捉えているんですよねということで、それはそれで問題ないんですけれども、そういう政策決定があったということでいいのかと思いますが、どうもすいません細かいことで。ちょっと確認をさせていただければ有難いです。

 

  阿部分科会長

じゃあお願いします。

 

  有期・短時間労働課長

有期・短時間労働課長でございます。今のご指摘の点、基本的に派遣の役務の提供を受けようとするものと派遣先と分けているところは、派遣契約を締結する前の段階とその後というところでの書き分けでありまして、待遇の情報ですとかそういったものにつきましては、派遣契約を締結する前の段階でそういったやり取りというものがなされることが想定されますので、そういったことを受けて派遣の役務の提供を受けようとする者は情報提供をしなければならないということで一項ではそういう規定をしています。あと五項で両方書いていますのは、派遣料金の額の配慮は派遣元が派遣先均等均衡方式の場合であっても、労使協定方式の場合であっても義務を遵守できるような料金設定をするような配慮をしてくださいということではあるんですけれども、ここも派遣契約の締結の段階もそうですし、締結した後の派遣先の労働者の待遇の変更というのも想定されますので、派遣契約の締結前、それから締結の後の双方の時点を抑えるという意味でここは派遣の役務の提供を受けようとする者及び派遣先という形で書いているということでございます。

 

  鎌田委員

どうもありがとうございます。わかりました。私の誤解に基づくものだということがわかりました。そうすると結局その派遣契約を締結しようとする者ですから、締結した後についてもこの五項の配慮義務は、結局はやっぱりその通常の派遣先だけを特定して考えているということになりますよね。ということで理解しました。

 

  阿部分科会長

はい、どうぞ。矢木委員。

  矢木委員

私は資料1-1の雇用対策法の一部改正、ページで言うと一八頁から一九頁にかけてです。基本的理念、目的等のところの2でございまして、前回の分科会でも、労働側委員より申し上げておりますが、基本的理念に追加される内容としては、ここに書かれているように、2、「労働者は、職務の内容及び職務に必要な能力等の内容が明らかにされ、並びにこれらを踏まえた評価方法に即した能力等の公正な評価及び当該評価委に基づく処遇その他の適切な処遇を確保するための措置が効果的に実施されることにより、その職業の安定が図られるように配慮されるものとすること」という表現になっておりまして、基本的理念に追加されるには、若干内容が細かすぎるような印象を受けております。そもそも、評価や処遇は、各社が行う人事戦略そのものだと思っておりまして、国の施策として本当にここまで記述する必要があるのかについてお伺いしたい。本条項を基本理念に掲げた意味合いについて伺わせていただければと思います。

 

  阿部分科会長

はい、では事務局お願いします。

 

  総務課長

今回の法改正と言いますか、その前提としての働き方改革ですけれども、多様な事情を持った方が多様な事情に応じて納得して働けるというようなことで労働参加の向上というところでございます。そういうような多様な事情のある方もない方もその事情に応じて満足して働いていただくというようなことを進めていくためには、当然のことながらその働きについては一般論として適正に評価をされなければならないというようなことがございますので、そういうふうな理念をここに書きこんだものでございます。多様な事情を持った人が、雇用の場だけではなくて職業生活の充実も図られるようにするというようなことのためには、もちろん個別にどういうふうに評価をするかどういうふうに処遇をするかというのは、各法もございますけれども、基本的には各企業の労使の中でどういうように決めていかれるかということでございますが、理念としてはやはり、職務とか能力とか、その人のパフォーマンス等々は公正に評価をして公正に処遇をしてくださいというようなことになろうかというふうに思いますので、そういうように職務の内容、職務に必要な能力等を明確にして、それに基づいた評価とその処遇というのを一般的に確保していただくように配慮されるというようなことを理念として書き込んだもので、ご懸念になっておられることが個別の企業のやり方がどうかというようなことなのであれば、これはあくまでも基本的理念として一般的な規定で、個別具体的にこういうやり方をしてくださいというようなことを規定しているものではございませんので、雇用対策法の基本理念の中で法律的な解釈としてはとくに、問題はないかと思っています。

 

  阿部分科会長

よろしいですか。その他いかがですか。柴委員どうぞ。

  柴委員

私は資料の1-1の一九頁にあります、三、国の施策の1項について申し上げたいと思います。多様な就業形態という記述について、これを見ると、国が非雇用型の就業形態についても積極的に普及するように見えてしまいます。今でもフリーランスやノマドワーカーと言われるような働き方がある中で、多様な就業形態が指すところについては、前回の分科会でも委員間で見解が異なっていたというふうに聞いています。そうした中で資料1-2に記載されている通り、保護されることが前提ということであるとか、現時点で積極的に普及を図るものとして、雇用型のテレワークやシルバー人材センター等が明記されたことについては理解したいというふうに思いますが、現時点でという記述があると、IT中心に様々な技術革新が進んでいくと想定できない働き方も今後生じてきます。ウーバーのドライバーはどうなんだとかですね、そうしたこともあり、今後の動向を注視していく必要があるだろうと思っていますし、本条項は個々人の事情を踏まえた労働参加率の向上を目指して追加されたものであり、雇用型労働から非雇用型労働への置き換えを進めるべきでないと思います。この法案自体が目的に掲げている通り、雇用の安定とか職業生活の充実につながるものとするならば、この多様な就業形態の普及という記述がカバーする労働者の領域をいたずらに広めるものであってはならないというふうに思います。また、いわゆる雇用類似の就労者の法的保護の検討については、労働政策の大きなテーマのひとつとなっており、働き方改革実行計画の中でも示されている通り、今後有識者会議を設置して中長期的な検討がなされるものとなっていると思います。非雇用型の就労者についても最低報酬や労働災害補償、安全衛生などの観点がしっかり保護がなされるように環境整備をお願いしたいと思います。

 

  阿部分科会長

ありがとうございました。玄田委員。

 

  玄田委員

いくつかあるんですけれども、最初は先ほど久松委員の仰った労働生産性の向上等のところで、私自身の理解したところをちょっと伺いたいんですけれども、今後の状況を踏まえたいわばのりしろ的な役割で様々な解釈があり得るというふうに理解しているんですが、おそらくこの雇用対策法の改正がうまく機能した将来的な暁には、常に生産性が向上し続けることだけが目標なのか、それとも、「等」の部分には例えば労働生産性の高水準での持続といった様な事も本来は将来的には入り得るんではないかと、十分に存分に能力を発揮して、それが安定的に持続して発揮できている状況というのは多様な就業形態の選択の中で一つの理想としてあり得るんではないかというふうに思うわけです。特にこの改正の目的というのを国民の皆様によく理解して納得していただくためには、将来的には伸ばせる人はどんどん伸ばしていけるけれども、思う存分持続的に発揮できているという状況も一つの大事なところなんだというふうな、やや幅広の解釈をした方が法律に対しては理解が出来ると思いますし、一方で、向上ばかりが強調されるとやはり労働強化の懸念にも繋がると思いますので、「等」をどう解釈するかについては先ほど久松委員のご指摘のとおり、幅広くかつ分かりやすいご説明をされるとよりいいのではないかと思うんですけれども、そういう理解でいかがでしょうか。

 

  阿部分科会長

事務局お願いします。

 

  大臣官房審議官(職業安定担当)

先ほど総務課長からお答え申し上げましたが、現行の条文がですね、1条1項で労働力の需給が質量両面において均衡することを促進してというふうなことです。質量両面での均衡という言葉を今回もう少し気持ちを表現したいなということでありました。そこで雇用の安定と職業生活の充実、そして労働生産性の向上という要素に分解をいたしまして、先ほどの話で高水準の生産性が維持されればそれでいいじゃないか、したがって、そこは「等」というふうに、「等」と呼べる余地としてあるんじゃないかというお話だと思うんですけど、そこは我々としては労働生産性の向上というところで、広くですね読むことも可能じゃないかと。それから、さっきの需給両面にわたり、質量両面にわたり均衡するというのであるなら、抜け落ちているものはいったい何があるかなということですけど、結局はその次に能力を有効に発揮してっていう言葉に続いておりまして、なんていうか本当の意味で自分が経済社会に適応できて、自分の力を発揮できるようなそういう環境って言うことだと思うんですけど、たぶんそれは職業生活の充実ということを入れたことによって、おそらく相当部分はカバーできているんじゃないかという思いがありまして、結論はですね、したがってこの「等」というふうに今要綱で入れさせていただいているわけですけれども、今後法制的な議論をしていく中で、本当に何があるのかっていうですね、明示できないけれどもとりあえず何かありますって言う言い方もなかなかできないものですから、ちょっとすれ違いになって恐縮なんですけれども、大体思いとしてはですね、これで言い足りているのではないかと、ただ、先生のご指摘ももちろん仰る通りですけれども、我々としては、それをここで含めて解釈することも不可能ではないのかなとそんな思いであります。

 

  玄田委員

この議論中でも「等」がどうなるかも含めて引く続き検討されるというふうに理解しました。

もう1点だけよろしいですか。資料1-3に方のパートタイム労働法改正の分の一三頁のところで伺いたいんですけど、有期雇用の部分を含む、ある種拡大をするという点については、私自身は望ましいと思っているんですが、例えばこの短時間雇用者の定義、一三頁、二の定義の1の通常の労働者の所定労働時間に比して短いのは短いというのは、労働契約上短いというふうに規定されているというふうに考えるのか、実際上短いのか、普段短い状態があるのか、場合によっては短いこともあるのか、この短いというのが現行法どう解釈されているのかというのをまず教えていただけますでしょうか。

 

 

  阿部分科会長

では事務局お願いします。

 

  有期・短時間労働課長

そこの企業で働いている労働者の契約上の労働時間というところで見ているという考え方でございます。

 

  阿部分科会長

はい、わかりました。

 

  玄田委員

そうなりますと、やはり契約上短くなっているが、実際には通常の労働者と同じような労働時間で均衡待遇が出来ていない部分は、まさにこの法律の中で適切な調整をしていくということになろうかというふうに理解しました。その上で伺いたいというか、要望なんですが、次の有期雇用労働者の定義についても、期間の定めのある労働契約を締結しているということで、こちらも労働契約ベースのものだというふうに理解しております。ただ、2012年に総務省の統計局が実施した就業構造基本調査を見ますと、実は自分自身が有期契約なのか無期契約なのかわからない。また、おそらく有期契約なんだけれども何年の契約期間になっているのかわからないという労働者が実は445万人、全雇用者の8%。呼称非正規の方は16%を占めているという、そういう結果が初めて公表されて、7月の連合の調査の中でもそうですけど、実際には労働基準法が規定しているような労働条件の明示というのが、隅々まで行き亘っているかというとかなり厳しいというか、法律が遵守されていない状況が予想されます。そうなりますと申し上げたいのは、もちろん有期雇用労働者に対しての適切な対応は必要なのですが、有期雇用という段階にすら至っていないという労働者が現実にいたときに、いわば期間不明とでもいうような労働者に対して、この法律は何か有効な手立てになるのかどうか、それとも、有期契約かどうかわからない場合には、有期雇用労働者と一緒にみなすには問題があるのかどうか、期間不明の存在に対してこの法改正というのは何か今のところ検討をなされる状況にあるのかということを教えていただけますでしょうか。

 

  阿部分科会長

では、事務局お願いします。

 

  有期・短時間労働課長

ご本人もなかなか契約が、期間が有期なのかどうかわからないというようなご指摘だと思うんですけれども、ただ、労働基準法上は、雇入れる際の労働条件の明示という中で期間の定めがあるかないかというのはちゃんと明示しなければならないとなっております。この法律も適用にするに当たって、自分が適用になるのかどうかわからないというような方がいらっしゃれば、労働局にご相談とかいただければ、どうなっているのか確認するというようなことは出来るのかなと思っておりますし、どうなっているのかわからないという方に対するご支援というのは労働局の方でも相談にのっていきたいと考えております。

 

  玄田委員

基準法でそういう明示があること自体私自身も存じ上げてないのですが、現実問題として445万人もいらっしゃっていて、今の話ですとやや意地悪な言い方をすると、相談しない方が悪いじゃないかと、相談センターに来ない方が悪いじゃないかというふうになりかねなくて、現実には非常に大きな交渉力の違いなどによって、なかなか労働条件の通知すらないとか、そういうことがたくさんあるというのが監督行政の中でも現実問題としてご存知だと思うんですよね。だから、この有期雇用ということにターゲットを絞ることは極めて私は大事だと思っています。だからこそ、自分が有期なのか無期なのか、私自身は正規非正規の呼称問題の一つの課題は、自分自身の契約に関する意識というものが十分に普及しないまま、なんとなく呼称、正規か非正規ということに問題がすり替えられた面があるのではないかと思っておりますので、是非この法立をする中で、今仰った労働監督行政の適切な執行も含めて期間不明がなくなって有期契約、中でも比較的臨時日雇い的な短期ではなくて、ある程度安定的な有期雇用が広がるような方向をこの法律の中でも大前提の条件として機能していただきたいということを申し上げたいという話です。

 

  阿部分科会長

ありがとうございました。

その他いかがでしょう。はい、林委員。

 

  林委員

資料NO1-1の雇用対策法の一部改正の国の施策一九頁のところにもう少し触れさせていただきたいと思います。この国の施策の1項についてですが、この条文は新たに追加された目的規定の達成に向けて、労働政策全般に関する国の一般的な施策を規定したものだということは理解しております。一方で、個別的課題に対応するための施策を規定している2項、3項の条文の中に、職業の安定という言葉がきちんと明記されています。これは法律の大目的であるということで明記をされていると思っておりますが、一方で、1項のところには、各人が生活との調和を保ちつつその意欲及び能力に応じて就業することというところが書かれているものの、この職業の安定、とくに安定という記載がないというところが少し気になるところでございます。先ほどの柴委員の発言にもありましたように、多様な就業形態の普及というような文面がありますと、やはり国が非雇用型の就業形態を積極的に普及するのではないかという懸念があるということもあります。また、久松委員のご質問に対する回答の中で、職業の安定という言葉の中には質ということも含まれているというご回答があったかと思いますので、やはりこの安定と質ということを第1位に書いていただくということがやはり基本ではないかと思います。一般的施策を規定する1項だからこそ、2項、3項にあるように職業の安定又は質というような言葉を入れていただくべきではないかと思いますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

 

  阿部分科会長

はい、それでは事務局お願いします。

 

  総務課長

現行の法律の改正の規定との並び等々になろうかと思います。この1のところに職業の安定というふうな文言は確かに出て参りませんけれども、当然のことながら、国の施策は目的を達成するために実施をするものを書いてございますので、この施策につきましても、職業の安定を究極の目的としているものというようなことでは変わりはございません。現行の条文の規定を見ますと、職業に就く職業指導とか職業紹介をやるとかですね、能力開発をやるといったような規定につきましても、こういうような一般的に皆さんについてこういうことをやりますと書く規定の中では、当然職業の安定のためにやるわけですけれども、あえてその職業の安定のためというふうな用語を使った形では書いてございませんので、これは並び替えてもこのような規定になろうかと思います。むしろ個別の属性について書いてあるところについては、原文の条文の建て付けとして何とかの職業の安定を図るためというような形で書き下してありますので、これはちょっと改正法案として入れていくにあたってはちょっと法制的な観点からもこのような記載になろうかと思います。

 

  阿部分科会長

はい、よろしいですか。その他いかがでしょう。鎌田委員。

 

  鎌田委員

資料の1-3の一七頁の第八でですね、労働契約法の一部改正ということで、今回の短時間それから有期労働者に係る法律の制定に伴いまして、労働契約法のこれは20条だと思うんですが、これについては削除することということでありました。これは部会等でどういった議論があったのかということも含めてちょっとご紹介を頂きたいんですが、パートタイム労働法というのは、基本的には行政取締法としての位置づけであったと。今回この新たに短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律のそういった性格は維持されているであろうというふうに思うわけであります。そこで一方ですね、労働法はとくに20条は、これは言うまでもなく民事的な効力を主として規定したもの、広域裁判規範を前提にした規定ということでありました。これをですね、削除して短時間及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律で定めるということでありますので、そうすると、その条文の法的性格に関しての議論がどのようにされていたのかということをちょっとご紹介いただければ有難いと思います。

 

 

  阿部分科会長

ではお願いします。

 

  有期・短時間労働課長

同一の部会に置きましても、今回の20条の削除と今回8条に書き換えた形で置くわけですが、その際の民事的な効力についてのお尋ねもありました。私どもとして今回こういう形で立法いたしましたときの考え方としては、労働契約法の20条は、現行の施行通達におきまして、「法20条は民事的効力のある規定であること。法20条により不合理とされた労働条件の定めは無効となり、故意、過失による権利侵害、すなわち不法行為として損害賠償が求められると解されるものであること」というような形で示されておりますけれども、こういった契約法20条の施行通達で示された解釈と同様の効果があると認識しているというような形でお答えをさせていただきました。

 

  阿部分科会長

よろしいですか。その他ご意見ご質問ございませんでしょうか。

それでは、委員の皆様からのご質問ご意見出尽くしたと思います。それで、今回の働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱についてですが、厚生労働省案は当分科会所管関係についてはおおむね妥当、同一労働同一賃金部会の所管部分については、部会報告のとおりとし、その旨を私から労働政策審議会会長にご報告申し上げたいと思いますがよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

ありがとうございます。それでは、報告文案の配布をお願いします。皆様のお手元に配布された報告文案により、労働政策審議会会長宛報告することとしてよろしいでしょうか。

ありがとうございます。それではそのように報告をさせていただきます。

ここで事務局からご挨拶がございます。

 

  職業安定局長

一言御礼申し上げます。委員の皆様方には、法律案要綱のご了承を頂きましてありがとうございました。このご答申に基づきまして、法律案を作成しまして今月中にも開催される見込みの臨時国会に提出する予定でございます。今後各法律につきまして、その施行について省令等の制定が必要になってまいります。適時のタイミングでお諮りをしたいと考えておりますので、引き続きご指導を宜しくお願いします。簡単ではございますが、御礼とさせていただきます。誠にありがとうございました。

 

  阿部分科会長

ありがとうございました。

それでは、次の議題に移らせていただきます。次の議題、雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱についてです。本件も諮問です。本件につきましては、9月14日付で厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛諮問を受けております。

それでは事務局より説明をお願いいたします。

 

  地域雇用対策課長

地域雇用対策課長でございます。宜しくお願い致します。資料2-1でございます。1枚おめくりを頂きますと、本日諮問をいたしますのは、雇用保険法の施行規則の一部を改正する省令案要綱でございます。平成28年4月14日及び16日に発生をし、熊本県を中心に甚大な被害を発生させました平成28年熊本地震につきましては、発生以来その修復に向けて各市町村様々な施策事業を実施しております。それの一環といたしまして、資料2-2をご覧いただければと思います。ポンチ絵になってございますが。事業主の雇入れ支援といたしまして、地域雇用開発助成金に関し、熊本県内の事業主につきましては、下段の方に書いてございますけれども、助成額の額をほぼ倍額にすると。あるいは、設置・設備等の費用に修繕修理等の経費も参入するといった特例の措置を講じているところでございます。この特例措置は、熊本地震からの復旧復興にかかる経費4,000億円超を含む、平成28年度第二次補正予算が成立いたしました直後の昨年1019日から施行いたしておりまして、1年間、すなわち今年の1018日までに計画書を熊本労働局に提出した場合に本特例措置が適用されることとなるものでございます。他方で、熊本県の状況を見ますと、現在も引き続き災害復旧事業を、継続実施をしております。また、道路等の社会インフラの完全復旧についてもまだ相当な期間を要するといったようなことを熊本県からも聞いております。そうした状況を踏まえまして、熊本県からの本特例措置の期限の延長といった要請があるところでございます。こうした状況に鑑みまして、本特例措置の適用を受けるために必要となる来月18日までの計画書の提出が困難な状態である事業主といったものが、相当程度おられるだろうといったことも想定されるため、この計画書の提出期限を来月18日までから今年度末平成30年3月31日までに延長しようとするものでございます。資料2-2のポンチ絵で申し上げますと、赤字で書いてございますが、こちらが現行は291018日までといったものを30年3月31日までに期限延長するといったものでございます。宜しくお願い致します。

 

  阿部分科会長

はい、ありがとうございます。この件につきましてご質問ご意見ございましたらご発言ください。よろしいですか。

はい、それではとくにないようでしたら、当分科会は厚生労働省案を妥当と認め、その旨を私から労働政策審議会会長にご報告申し上げたいと思いますが宜しいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

ありがとうございます。それでは報告文案の配布をお願いいたします。皆様のお手元に配布された報告文案により労働政策審議会会長宛報告することとして宜しいでしょうか。ありがとうございます。それではそのように報告をさせていただきます。

本日予定されている議題は以上で終了いたしました。本日の分科会はこれで終了いたしたいと思います。本日の会議に関する議事録につきましては、労働政策審議会運営規定第6条により、分科会長の他、お二人の委員に署名を頂くこととなっております。つきましては、労働者代表の柴委員、使用者代表の吉岡委員にお願いしたいと思います。本日もお忙しい中お集まりいただきましてどうもありがとうございました。


(了)

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