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2017年7月6日 独立行政法人評価に関する有識者会議 医療・福祉WG(第7回)議事録

○日時

平成29年7月6日(木)9:59~11:54


○場所

中央労働委員会労働委員会館講堂(7階)


○出席者

真野主査、五十嵐構成員、石井構成員、石渡構成員、名里構成員、橋田構成員、松原構成員、三田構成員

○議事

 

○真野主査

 おはようございます。第7回独立行政法人評価に関する有識者会議医療・福祉ワーキンググループを開催いたします。構成員の皆様、お暑い中をありがとうございます。本日は石渡構成員が早目に退席されるとお伺いしています。

 最初に、酒光総合政策・政策評価審議官から御挨拶いただきます。よろしくお願いします。

 

○総合政策・政策評価審議官

 おはようございます。総合政策・政策評価審議官の酒光です。委員の方々にはお忙しい中、かつ大変暑くなっている中をお越しいただきまして、誠にありがとうございます。医療・福祉ワーキンググループの開催に当たり、一言御挨拶を申し上げます。

 私も昨年から担当しておりますが、独立行政法人の評価については、一昨年度から評価のやり方が変わり、今年は3年目ということになります。参考資料2などにも書かれていますが、総務大臣が定める統一ルールに基づいて評価することになり、標準がB評価、目標に対して100120%の達成状況でB評価です。それを上回る場合にA評価が基本になっています。昨年と同じですので、昨年からいらっしゃっている委員の方々は御承知かと思います。それを踏まえて、参考資料5が、1回目の平成26年度の厚労省の評価について「ややAが多いのではないか」という御指摘を受けたということもあり、統一ルールに従ってしっかりと評価しようということで昨年度は評価をしていただき、大変御苦労いただいたわけですが、ありがとうございました。

 基本的には、その結果はよかったと思っておりますが、今年度について更に総務省から、特に厚生労働省に対してということではないのですが、全省庁的な留意事項ということで点検結果が来ており、それが参考資料6です。長くいろいろと書かれていますが、要点としては2ページ目の項目21つ上のパラグラフの中に「評定の結果自体より、評定を付すに至った判断の基準、根拠、理由等が、合理的かつ明確に分かりやすく説明され、主務大臣において年度評価等の結果によって判明した独立行政法人の課題、経済社会情勢の変化を踏まえた業務、組織の見直し等の対応が行われる」とあり、これが正に重要であるということです。これはもっともな指摘だと思うので、今までもこういった方向でやってきたと思っておりますが、再度確認をした上で、今後も評価していただければ大変有り難いと思います。

 昨年度からもやっていただいていますが、具体的に目標と評価について、まず法人が達成すべき目標を明確にするということと、それに対して実績をどのように達成しているかを客観的に明らかにし、その上で評定の根拠を示して評定を付すことをお願いしたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。まだ何回かお願いすることになると思いますが、是非よろしくお願いいたします。

 

○真野主査

 本日の議事について、事務局から説明をお願いいたします。

 

○政策評価官室室長補佐

 御説明の前に、新任の構成員を御紹介させていただきます。41日付けで石井伊都子千葉大学医学部附属病院薬剤部教授・薬剤部長に、構成員として御就任いただいております。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、本日の議事について御説明いたします。お手元に配布している議事次第のとおり、福祉医療機構の平成28年度業務実績評価に係る意見聴取です。評価項目ごとに、法人側から業務実績及び自己評価について御説明いただき、有識者の皆様から、御意見、御質問を頂きたいと存じます。

 参考資料3にある「総務大臣が定める独立行政法人の評価に関する指針」を踏まえて、B評定が標準であること、A評定以上を付すには、定量的指標において120%以上の達成度が求められていること等に御留意いただきますよう、お願いいたします。

 なお、独立行政法人の評価スケジュール全体については参考資料1の別添610ページの図のとおりで、本日の意見聴取等を踏まえ、主務大臣による評価を実施することになります。事務局からは以上です。

 

○真野主査

 それでは、福祉医療機構の平成28年度の業務実績評価について議論いたします。最初に、国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項のうち、1-1「福祉貸付事業」について、福祉医療機構からポイントを絞って、ごく簡単に御説明をお願いいたします。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 福祉医療機構企画管理部長の風間です。どうぞよろしくお願いいたします。資料1-1に沿って、説明させていただきます。資料構成としては、まず2ページを御覧ください。福祉医療機構の事業体系図です。一番上にある主な政府の方針に従い、福祉・医療に関する多様な事業を一体的に実施するということで、地域の福祉・医療の向上を目指して民間活動を支援しているといった絵になっています。具体的には、次ページ以降で内容について御説明いたします。

3ページです。今回は16項目あり、事業部でいうと1-1から1-10を前半で御説明いたします。自己評定については右から2番目にあるように、先ほど御説明のあったとおり、平成269月に策定された新評価指針を踏まえ、定量目標の達成平均が120%以上、かつ質的に顕著な業績が認められるものをA評価とさせていただいたところです。私どもとしては、1-1の福祉貸付事業、1-2の医療貸付事業、1-4の福祉医療経営指導事業の3つを自己評定Aとさせていただいたところです。Aの隣にある○については、表の脚注にあるとおり、重要度が高いということです。資料の4ページ、5ページは見開きになっており、基本的にはA評価については4ページ、B評価については2ページで、文書編とデータ編という形で、見開きで御覧いただければ幸いです。

1点目の福祉貸付事業ですが、自己評定Aです。一番上の目標の内容ですが、国の福祉政策に即し、民間の社会福祉施設等の整備に対し、長期・固定・低利の資金を提供することにより、福祉・介護サービスを安定的かつ効率的に提供する基盤整備を推進するものです。具体的に目標と実績の比較は下の箱を御覧ください。まず、1点目として、介護離職ゼロ、特養待機者の解消、待機児童解消加速化プランの実現に向けて、優遇融資等を行って対応しています。次に、東日本大震災、平成28年度の熊本地震についても、通常の融資条件よりも更に優遇して対応をしています。これらにより、国の目指す福祉・介護サービスを安定的かつ効果的に提供する基盤整備を推進するとともに、従事する介護職員等の新たな雇用の創出に貢献することができたものと考えています。

2つ目は融資相談です。こちらも大事ですので、積極的に実施することとしています。もう一方で、組織の見直しの関係です。従前はNPOに対して、貸付は福祉医療貸付部で実施し、助成は助成事業部で実施するというように部が異なっていたのですが、福祉医療貸付部と助成事業部を再編して、平成28年度から貸付部内にNPOリソースセンターを創設し、こちらで福祉系のNPOに対する貸付、助成、助言を一体的に、ワンストップで対応できたことなどにより、お客様の満足度は97.5%という回答を得たところです。

3点目は、審査処理期間、資金交付処理期間についても、いずれも目標値を上回ることができました。もう一点の協調融資機関ですが、機構だけの融資では立ち行かない所もありますので、民間金融機関の力をお借りしながら対応していくということで、協調融資機関先との間で覚え書きを締結する対応を取っております。こちらも340機関まで拡大し、円滑に民間資金を活用できる体制整備を行いました。3つの部分の数値目標は全体平均では140%となり、120%を大幅にクリアしています。

 以上、年度計画を大幅に上回る実績を挙げたことから、A評価とさせていただいたところです。

 具体的なデータは5ページを御覧ください。こちらが福祉貸付事業の申込受理、貸付審査の状況です。こちらについては、平成27年度から第6期の介護保険計画での初年度ということもあり平成27年度は少し出遅れているところはありますが、3か年計画であることから、前期と同様に、尻上がりに上がっていくと思われます。このため、介護離職ゼロ、特養待機者の解消、保育所の緊急整備といったことから、需要は今後も見込まれると思われます。

6ページ、7ページが政策適合性又は重点化です。6ページの表の上の「地域における医療及び介護の総合的な確保の推進」では、地域包括ケアシステムに伴う特養整備です。こちらは、現在、特養待機者は30万人とも言われていますが、その解消に向けて286件、1,595億円、左の保育所の整備が486件、416億円の融資を行いました。左下のほうは耐震化整備を実施しています。こういったことで、地域における福祉施設の基盤整備を支援しています。

7ページは、利用者サービスの向上の観点からどのようなことを行ったかです。一番左ですが、事業計画の早期段階からの融資相談が重要であることから、これから御説明する経営指導事業においてセミナーを実施していますが、この中で、個別の融資相談会を実施すること等により、利用者ニーズの把握、機能についてもいろいろと助言をしています。

 一番右は融資のポイントです。初めて御利用されるお客様については、どこが融資のポイントになるのかが分かりにくいこともありますので、こういったものを機構のホームページにガイドラインとして掲載することにより、お客様も機構もwin-winの関係になることから、積極的に開示しているものです。

2点目の民間金融機関へのノウハウの提供、協調融資の普及です。左にある民間金融機関への情報提供も、民間金融機関と会議等を行う中で経営サポートセンターと連携し、政策動向、経営動向の情報提供しているものです。右のほうは全国地方銀行協会との意見交換です。従来は全国地方銀行協会と機構とで実施していたところですが、平成28年度からは運用面、制度面のこともあるので、厚生労働省、財務省にも加わっていただきながら意見交換を実施しているものです。

 以上のことから、福祉貸付事業は自己評定をAとさせていただいたところです。福祉貸付事業については以上です。

 

○真野主査

 ただいま御説明のあった事項について、御意見、御質問はございますか。

 

○石渡構成員

 いつもいろいろな事業を展開してくださってと思っている中で、NPOリソースセンターを設置していろいろとやってくださっています。私どもも、現場で利用されている方のお声をお聞きすると、NPOのサービスの質にかなり格差があるようなことをよく聞きます。ここで行っている専門相談というのは、具体的にどのような御相談が多いのでしょうか。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 具体的には後ほど助成事業のほうで御説明させていただきたいと思うのですが、簡単に申し上げますと、例えばNPOなどの任意団体に対して全体の8割を助成させていただいている部分からしますと、法人によっては会計もうまく処理できないとか、当然ながらガバナンスも利きにくいという部分もあるので、例えば会計面について収入と支出はどのように整理したらいいのかなど、そういったアドバイスをしながら助成し、更にそれを社会福祉法人化するといった方向にいくようにアドバイスをさせていただいています。

 

○石渡構成員

 そうすると、組織の基盤作りの部分が相談の中身としては多くて、社会福祉法人への移行も方向性として審査されるという話でしたが、実際に社会福祉法人に移行した所について把握している例も増えてきているのですか。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 さほど多いというわけではないのですが、そういった形で徐々に団体として力を付けながら、行政にも認めていただき、場合によっては助成したものが制度化していくというのもあります。また、徐々に会員が増えるとか、いろいろな効果が出てきているところはあるので、そういったところを中心にやらせていただいているところです。

 

○石渡構成員

 ありがとうございました。是非、また今後よろしくお願いいたします。

 

○名里構成員

 社会福祉法人を運営しているのですが、本当に今言われているように、職員の確保が大変難しい状況の中で、この事業で社会福祉施設の基盤整備を支援というのは分かるのですが、それによって新たな雇用の創成に貢献できたというのはどういうところからなのか、何か根拠となるようなことがあるのですか。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 地方では主な産業が少ないという中で、特別養護老人ホームなどを中心に、ある意味での町づくりもできていくだろうと。地域の方々もそこで就職されて活動していく。そういう意味では、地域を活性化する効果はあると思っています。

 

○五十嵐構成員

 審査処理期間について教えていただきたいのですが、早期段階の相談から最後の決定までワンストップということで、それは非常にいいことだと思います。そうすると、そもそも審査開始から決定までの短縮というと、最初はどういう形で審査スタートのけじめというか、カウントがスタートするのでしょうか。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 都道府県の介護保険計画というものがありますが、貸付先の皆様は、まずは県に御相談に行きます。そのときに福祉医療機構を紹介されたり、利用したいということになれば、そこの段階で県とも連携を図りながら進めていく形になろうかと思います。

 

○五十嵐構成員

 そうではなくて、具体的に事業計画もできて、このような形で事業をやりたいと。それで具体的に相談するわけですよね。その段階でいろいろな相談をしながら、お互いにやって、最後に審査をして融資が決まるわけですよね。

 そうすると、相談をしながらいろいろなことを詰めるという話と、審査をするというところのけじめがないように思うのです。悪いことだと言っているのではないのですが、そうすると審査期間を短縮するという目標を評価するに当たって、スタートまでにいろいろなことを決めて、お互いにやって、審査書そのものの中身までよく相談しながら検討して、合意の上で審査を出せば当然短縮できるはずなので、短縮したという評価を審査の流れの中で、どのようにスタート時点を考えるのかという質問です。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 スタートの起点は申込書の受理で、その段階から内定が出るまでの間の日数を減らしていくことが目標になります。

 

○五十嵐構成員

 そうすると、申込書の受理というのは、事業者と相談している機構の担当者と話をして、このような形でと決まって、最終的な申込書を出すということですよね。初めて申込書を出すという意味ではなくて。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 いろいろな貸付先の皆様はいらっしゃいますが、相談せずにいきなり申込書を出す方もいらっしゃいますし、ある程度調整する方もいらっしゃいます。いずれにしても、書類が整っていれば受理しますので、その段階から再度、これでは償還が厳しいのではないかというような調整は入ることになりますので、基準としては申込書を受理した日になります。

 

○五十嵐構成員

 当然早い段階から相談して、お互いに無理のないようにというのは非常にいいことだというのと、一方で審査を短くという話になると、当然そこまでに至る相談が重要になってくると思うので、変な言い方ですが、事前に相談すればするほど公式な申請をしてからの審査期間は短くすることができると思います。特にこの数字がいいとか悪いとかではなくて、審査期間の短縮というものの考え方が、現実にいい融資をするということから考えると、だんだん難しくなっているのかなという印象を得ました。強調すればするほど、そこは逆に厳格にスタートというわけにはいかないのが当たり前になると思いますので、そこを確認したかっただけで特に何かあるということではありません。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 特に福祉施設の場合には、オープンが4月が中心となりますので、よりいいものを作っていくことが大事だと思っていますので、今後も相談については丁寧にやっていきたいと思っています。

 

○松原構成員

 また後日見ていくPMDAもそうですが、審査期間が短くなっている所というのは、相談を充実させているのです。相談を充実させることで知識がない人を教育しているわけです。前払いのところも充実させるというのは、そこも評価してあげていい部分だと思います。

 

○真野主査

 よろしいですか。では、次にいきたいと思いますが、同じように機構から説明をお願いいたします。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 次の医療貸付事業について御説明します。89ページをお開きください。目標等については、基本的には福祉貸付と同じような内容となっておりますので、目標と実績の比較の欄を御覧ください。こちらも医療施設の耐震化整備を中心に実施しているものと、医療機能分化の観点から特定病院や、基盤が脆弱である中小病院、こういったものについても優遇融資等を行いながら実施しております。福祉と同様に東日本大震災、熊本地震についても同様に対応しているところです。こういった中で、国の政策を踏まえた新しい融資メニューとして、都道府県が策定する地域医療ビジョンに基づき、病床転換の取組を行う医療機関に対して優遇措置を実施する融資制度を創設しているところです。個別相談等についても同じような状況になります。具体的には次のページを御覧ください。

 これは医療貸付事業における申込みの受理・審査の状況です。平成25年度以降横ばいという形になっております。この理由としては、地域医療構想について、都道府県が平成27年度、平成28年度において策定を順次していくという中で、施設において進むべき病床区分の方向性がなかなか定まらなかったということで少し遅れていること。もう一方では、資材の高騰や人件費の高騰などから事業計画の策定がなかなか難しいものがあったりします。さらには、診療報酬の改定が厳しい状況の中で、動向を注視しているというところから横ばいが続いているものと思われます。しかしながら、今後は、地域医療構想の策定により、病床機能の4分化の着実な達成が求められていることから、資金需要があるものと見込んでいます。耐震化についても、平成28年度は耐震化整備率が71%で、まだ3割が未耐震ということがあり、これは人の安全・安心に関わるということもありますので、こういったものに対する需要や、それから、介護療養病床の転換の関係ですが、新たな介護保険施設、いわゆる介護医療院を創設することになりましたので、こういったものに対する転換融資が見込まれると考えられます。

1011ページ、医療貸付事業における政策の適合性というものがあります。この表の左を御覧いただきますと、耐震化整備は先ほど直近の平成28年度末で、71.5%が耐震済み、未耐震が3割ということですが、国の目標としては、平成30年度までに89%という高い目標がありますので、こういったものが今後増えていくだろうと思われます。実績としては、平成28年度19件、509億円の融資を行っています。左下は中小病院に対する融資で、経営が厳しい中小病院に対して優遇融資を講じながら23件、418億円。一番右になりますが、臨床研修指定病院など特定病院という扱いにしておりますが、こういったものに対する優遇融資により25件、704億円になります。

11ページ、利用者サービスの向上、民間金融機関へのノウハウの提供についても、基本は福祉貸付と一体的に行っており、同様の内容となっております。審査期間、資金交付期間、こちらも平均で165%となっております。

 以上のことから、医療貸付事業についても年度計画を大幅に上回る実績をあげたことからA評価とさせていただいております。以上です。

 

○真野主査

 ありがとうございました。それでは、委員の方々から何か御質問等ありますか。よろしいですか。先ほど福祉のほうで出た論点はほぼ一緒ですので、そこは気にされつつということでしょうか。

 

○松原構成員

 今回の評価うんぬんという話とはずれる意見ですが、9ページの資料を拝見しますと、医療貸付事業の実績は、残念ながら右肩下がりです。これは過去、ここ78年で下がっているというよりも、もっと前から、下がり続けています。しかし、例えば、1998年、1999年、2000年の辺りというのは、病院は民間金融機関から貸しはがしにあって、大変苦労しました。今はたまたま金融がダブついていますので、地域に大きな産業もない中では金融機関にとり病院が貸し出したい先になっているだけで、金融情勢が変わればすぐにまた借しはがしにあうかもしれません。病院というのは社会的インフラで地域に欠かせない機関です。金融市場に病院経営が必要以上に振り回されない環境にしていくためには、やはりWAMがしっかりと融資し続ける体制を持つ続けることが非常に重要だと認識しております。今は医療貸付事業実績が下がっていますが、是非、これからもこの分野には力を入れていっていただきたいという意見です。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 私どもとしても、福祉施設、医療施設共に、なかなか報酬体系が厳しい状況の中、又は先ほどの資材高騰とか人材不足という状況の中で、なかなか建て替えができないとか、新しく施設を造れないという状況もあります。やはり機構としては、長期・固定・低利が私どもの最大の強みと考えておりますので、こういったものを積極的にアピールしながら、地域の施設の維持・存続に全力を尽くしていきたいと考えております。ありがとうございます。

 

○福祉医療機構理事長

 御意見ありがとうございます。民間との関係については、先生がおっしゃるとおり、福祉医療基盤、これは社会的共通資本であると認識しております。民間金融機関というのはガバナンスの構造として、最終的には株主資本の最大化を目指す。この行動パターンはいつも普遍です。そういう意味では、先ほどの1998年から2000年のとき、更には、2008年のリーマンをきっかけに同じようなことが起こっています。特にリーマンのときは、外貨の調達の関係で、アメリカの中央銀行と日本銀行の英断がなければ、ほとんど金融機関が淘汰されていても不思議ではなかったという状況です。そういう意味から、我々は民間金融機関と意見交換をさせていただいておりますが、政策は政策で、きちんと基盤に対する支援をする。こういう金融危機に対しては、ある一定のボリュームをいつも維持しておくことが、そのときに活動するのに必要になります。そういう意味では、政策はきちんとやらせていただく。ただ、我々の貸出しの目的は限定列挙ですので、いろいろな運転資金に対しては民間の方にも是非入っていただいて、常に視点は福祉医療基盤の利益のため、そういう観点で引き続きやっていきたいと思いますので、御支援をまたよろしくお願いいたします。

 

○真野主査

 今の御指摘は非常に重要かと思います。減っているという話が、平成26年度、平成27年度、平成28年度は長期的に減っているというのは、民間との絡みだけではないようにも思うのですが、何かこの辺の御説明はありますか。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 まず、医療関係については、病床のキャップがはめられており、なかなか新設がないという中で、基本的には建て替え需要が主流になります。そういう意味で建て替えの需要自体も、先ほどの資材高騰とか、報酬のマイナス改定等の影響があって、なかなかマインドとして建て替えがしにくいという状況の中で今、横ばいとなっています。ただ、今我慢されている方はたくさんいらっしゃると聞いておりますので、先ほどの介護医療院制度も創設され、耐震化についても高い目標が設定されているという中で、もう少し伸びていくものだと感じております。

 

○真野主査 

 ほかの先生はいかがですか。よろしいですか。また次も機構からよろしくお願いします。

 

○福祉医療機構企画管理部長

1-3、福祉医療貸付事業の債権管理部門になります。こちらはB評定ではあるのですが、資料を4枚付けておりますので、簡潔に御説明をさせていただきます。

 この債権管理については、融資後30年間の長いお付き合いがあり、現在、35,000億円ほどの債権を有している中で、やはり、適切な債権管理が重要だろうと考えているところです。12ページの目標と実績の比較の所を御覧いただくと、貸付債権の適切な管理を図るため、事業報告書等の継続的な収集・分析、経営状況の的確な把握に努めるとともに、改善計画の策定が困難な貸付先様に対しては、再建計画作成支援ツールを活用しながら、経営改善に向けた取組を実施しているところです。平成27年度の決算に基づいて、イエローゾーン先、これは今後、リスク管理債権化するおそれのある貸付先を私どもの中ではイエローゾーンと称して、こういったものに対する先に対しては実地調査を実施するなど、収支改善に向けた方策を提示しております。このような、債権悪化の未然防止に向けた取組を実施しております。

 その具体的な内容は13ページになります。平成28年度においては、期中管理の更なる高度化を実施しております。一番上がイエローゾーン先の分析、実地調査。このイエローゾーンについては平成25年度から実施しておりまして、ようやく3か年の決算実績が集まったことから経年分析を実施し、正常先ではあるが悪化している先についても、ある程度予兆が見えてくるということもありますので、こういった先に対するフォローについて、積極的に実施しております。

 再建計画作成支援ツールについては、社会福祉法人の中には、人がいないとかお金がないということで、なかなか再建計画自体が作れないというお客様もいらっしゃいますので、そういった所については、再建計画のためのいろはの資料を作りまして、これを先方様に御説明し、一緒になって再建計画に取り組んでいくといったものを実施しているところです。

 左下にありますが、個社別管理。これは大口貸付先、現行では1法人当たり50億円以上のものを大口貸付先と定義をしております。全体には38法人ほどではありますが、こういったものについては定期的に状況を把握してガバナンス委員会で報告をするという体制を整備しております。当然ながら、右の短期延滞先とか業況注視先、こういったものも短期の延滞から徐々に悪化していくというケースが出てきますので、早めにお客様に接し、気付きを感じていただきながらフォローを実施しています。そういう意味では、正常先、要注意先に対する期中管理の充実を図るなど、債権悪化の未然防止に向けた債権の期中管理を強化しています。

14ページはイエローゾーンの定義ですが、経常利益マイナス、自己資本マイナス、現預金回転期間。これは預金と売上げとの関係になりますが、こういったものをチェックしながら抽出を図っているというものです。14ページの下の経営安定化に向けた支援の所では、平成28年度からガバナンス委員会の中で、信用リスクに特化したものを抽出し、新たに設けた信用リスク分科会で集中的に議論をしていくという体制を整備しております。

15ページ、期中管理の高度化の徹底を図ることにより、平成28年度末におけるリスク管理債権比率は2.30%です。前年が2.17%ですが、平成28年度については、熊本地震に対しても積極的に対応しており、この2.3%には熊本地震分の0.2%を含んだものとなっております。熊本地震なかりせばということになりますが、2.10%で、昨年よりも下がっています。ちなみに15ページの右にある熊本地震への対応については、震災直後に熊本県下にある福祉施設、医療施設について、貸付先様に速やかに状況確認をさせていただきました。その中で、6か月間の元利金の返済猶予をお申出されたお客様は19貸付先ほどありました。こちらについては、その後フォローさせていただきながら6か月以内には13貸付先が返済を開始しております。依然として、6貸付先については、ここも特別な対応をさせていただいた部分にはなりますが、更に3年間の元利金の据え置きを行っております。今後ともフォローをしながら、一刻も早い復旧復興をしていただくように様々な支援をしていきたいと考えております。以上が債権管理になります。

 

○真野主査

 何か御意見はありますか。そうしましたら、先ほどのお話の続きになりますが、民間との相違みたいな話が出たのですが、リスク管理に関して、民間の銀行と比べて、何か気を付けられている点とか、ここが民間とは違うという特徴はありますか。

 

○福祉医療機構企画管理部長 

 特徴的には、私どもの場合には、東京と大阪にしか本支店がないため、民間の銀行のように日々の管理がしにくい状況はあります。しかしながら、先ほどの短期延滞みたいな形で、毎月、元利金が返済されるときに、そこで少し遅れているというものについては、それが事務ミスなのか、それとも本当に資金繰りが厳しいのかとか、ある意味、金融機関では当然かもしれませんが、少ない人数の中では期中管理については徹底的にやろうということで対応しております。

 一方で、違う点としては、銀行の場合には不動産などを処分して回収を図るというのが先行されるかと思いますが、私どもの場合には、政策融資に加えて、施設の維持存続が機構の使命と考えておりますので、そういった部分については、債権回収を先に実施するのではなく、やはり施設の維持存続という観点から、どうしていくのがベストなのかというところを、場合によっては行政とも調整をしながら進めていくというところは、正に民間金融機関とは大きな違いがあるのではないかと考えております。

 

○真野主査

 組織の効率性という意味でも、銀行の債権管理の人数に比べると、WAMは非常に少ないとか、そういう特徴もあるのですか。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 そうですね。債権管理については、東京本部で一括で行っておりまして、顧客業務部が担当しているのですが、30名ほどで35,000億円の債権を管理しているという意味では、かなりの効率的に実施されていると考えております。

 

○真野主査

 よろしいですか。ありがとうございました。次に移りたいと思います。よろしくお願いします。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 続きまして、1617ページになります。福祉医療経営指導事業については、自己評定Aです。17ページ、これは定量目標の関係になります。セミナーを実施しておりますが、1セミナー当たりの受講者数が、中期では180人に対して、実績は224人。お客様の有用度について確認をしたところ、これも123%。個別経営診断の実績については、件数について目標設定されておりますが、こちらも120%。個別経営診断の有用度は121%。個別経営診断の平均処理期間の短縮についての達成度も含めて、一番上にあるように、達成度平均137%となり、数値目標については120%を大幅にクリアしています。

18ページ、セミナーにおける情報提供の内容の充実になります。左にあるセミナーにおける情報提供の充実の中で、どういったセミナーが有効なのかということを考えております。具体的には社会福祉法人制度改革、社会福祉法人会計セミナー、地域医療構想、このように時宜を得たテーマを選んで実施しております。左下にあるように、貸付事業と綿密に連携している機構の独自性を発揮したセミナーを開催というところでは、施設整備計画策定に対するアドバイスとか経営戦略、機能強化に資する講義、経営管理に対する優良実践事例の紹介など、いろいろなデータや知見を活用しながら対応しています。

 右のほうの、民間金融機関等への経営指導のノウハウの普及においては、民間金融機関への経営指導の研修会の開催についても積極的に行っています。左下、外部講習の講師派遣は機構の職員を派遣するというものですが、これも年間56回行っています。こういったものを実施しています。

19ページ、積極的な情報収集・分析・公表・活用です。左上にあるように、私どもは約14,000件の貸付先様がありますので、こちらから毎年、事業報告書を年1回徴収しております。これらを分析しながら、リサーチレポートという形で、年18回作成しております。その結果、4大紙をはじめとして、マスコミ記事の引用81回にもなり、業界から一定の評価をいただいているものと考えております。

 右のほうを御覧いただきますと、社会福祉法人の経営動向調査とは、日銀短観の社会福祉法人版とお考えいただければと思います。こちらも年4回ほど実施して発表しております。こちらについては、社会福祉法人の全国の大きい所、中ぐらいの所、小さな所を対象に、全体の状況を把握できるように、お客様の御協力を得ながら、400法人ぐらいの所から四半期ごとにデータを収集しています。その中で、例えば、人がなかなか集まりにくいとか、そういったものについても、今がどうなのか、将来がどうなのかを確認させていただいて公表しております。こちらについてもマスコミ引用を11回ほどされているというものです。

 その右下になりますが、個別支援プログラムです。ここは基本的には御利用様からどんなものをアドバイスいただきたいのか確認し、お客様の目的に合わせたコンサルを実施しております。こちらは年間9回ほどさせていただいております。

 中ほどの下になりますが、経営指標自己チェックシートです。これは貸付先に限らず、お客様のほうで財務データを入れることによって、機構が持っているデータと比較してどういう位置にあるのか、セルフチェックができるような仕組みもホームページ上で展開しております。こちらは1,271件御利用されております。

 以上、福祉・医療・介護サービスを安定的かつ効果的に提供できる施設の経営に資する取組を定めた年度計画を大幅に上回る実績を上げたことから、A評価とさせていただいております。以上です。

 

○真野主査

 何か御質問等ありますか。

 

○橋田構成員

 経営指導の事業ということだと思いますが、もともとWAMさんは政策融資、医療福祉に関するということでやっておられて、先ほど既に出たことですが、例えば、地域医療構想に基づいて病床転換の支援をしておられる。その他、いろいろな政策を踏まえた融資展開をしておられると思いますが、同時に、先ほどの債権管理などの問題になりますと、やはり診療報酬とか、そういうことの動きとも随分関連があるのではないか。そういうことに対しても敏感ではないかと思いますが。そういう意味で、いわゆる政策との協調と言った場合に、なかなか難しいかもしれませんが、恐らく政策等々の動向を調査・分析しながら、いろいろ経営指導もしておられると思います。その辺について何かコメントといいますか、御説明を頂けましたらお願いします。すみません、少し抽象的過ぎますが、申し訳ありません。

 

○真野主査

 どんなセミナーをやっているかとか、そういう意味ですか。

 

○橋田構成員

 政策との関係をどういうふうにしておられるのか、一般論でよろしいのですが。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 基本的には、今、何が知りたいのかというのを事前にいろいろ把握しながら、お客様のご希望に沿った内容で、その中で、具体的には先ほど申し上げましたが、社会福祉法人制度改革、透明性とか、法改正の趣旨は何なのかとか、そういったものを含めて御説明をさせていただいているものになります。あとは社会福祉法人会計セミナーとか、制度変更がありましたので、留意点とかについて、いろいろ御説明をさせていただいているというのが主な内容かと思います。

 

○福祉医療機構理事長

 ストレートなお答えになるかどうか分かりませんが、この経営指導事業は、オールジャパンベースでの福祉医療基盤の経営をきちんとさせていただきたいということで情報を発信しております。個別のコンサルティングもやっておりますが、メインのミッションは、オールジャパンベースで経営をしっかりさせるということです。

 そうなりますと、やはり公定価格で全部やっている事業の皆さんがほとんどですから、そういう意味では政策をよく分かった上で事業に入っていただく。経営分析では、要するに赤字施設の特徴とか、黒字施設の特徴、特に福祉の場合は、今、人手が集まらないところでうまくやっていらっしゃる所は経営が良いとか、そういうものがあります。そういうものを政策も含めて広く周知をしながら、その中で人手の問題、資材価格高騰への対応、それからガバナンスの問題も、うまく対処できないと、これは収入が入ってこなくなるという死活問題になります。そういうような政策を踏まえた上で、かつ経営がうまく成り立って、いろいろな政策の変化もありますし、環境の変化もあります。ここで社会福祉法人、医療施設、そういうものが荒波を乗り越えていけるような形で良い情報発信をすることを心掛けております。ケース・バイ・ケースで、そのテーマが時によって変わっているという状況です。

 

○橋田構成員

 本当に、非常に難しいことだと思いますが、大事なことをやっていただいていると思いますので、よろしくお願いいたします。

 

○真野主査

 今の話に関連して、少し突拍子もない質問になってしまうかもしれませんが、最近、例えば民間の銀行などでも、認識が間違っているかもしれませんが、健康経営とか、そういうのが熱心な所に少し金利を下げるとか、そういう記事を見たのですが、先ほどの病床転換とか、そういったことに対しての融資で、少しほかの融資と違う視点はお持ちですか。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 基本的には、私どもは調達した条件とほぼ同じ条件で融資をするのが原則です。しかしながら福祉であれば、今もいろいろ水害が発生しておりますが、地滑り地域に対する融資を無利子にするとか、そういったものも行っております。前回の東日本大震災とか、熊本地震もそうですが、例えば東日本であれば5年間無利子にするというある意味今までにない融資制度を導入しました。熊本地震についても3年間無利子を導入していますので、そういう意味では政策に連動した形で、原則は原則として、それを破る優遇融資を行っている。あくまでも政策の実現のための融資ということになるかと思います。

 

○真野主査

 今のはもちろん政策ですが、災害に対しての対策という意味合いですよね。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 熊本地震とか、東日本大震災はそうです。それ以外でも、本来であれば調達金利プラスアルファというところを調達金利まで下げるとか、そういったことを行っているものは多々あります。

 

○真野主査

 ありがとうございました。ほかの委員はありますか。

 

○石井構成員

 今のところと関わっていて、ちゃんと私も理解し始めてきたのですが、そうなりますと、民間金融機関への経営指導といったものは、民間のやり方とWAMとは根本的に違う。そして、指導といったところでどういうふうに折り合っていくのか。もちろん、政策指導をお伝えするところはクリアでいいと思いますが、それによって、何か納得されてプラスアルファ、何か良いことがあるとか、そういったことがあったら、むしろ報告されたほうがいいのではないかと思いました。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 基本的には、民間金融機関というのは、通常の融資は当然ながらよく周知はされているということだと思いますが、福祉施設、医療施設についての収支予想とか、今、どういう状況にあるかなど、特別の業態については、なかなか知識が乏しい部分があるかと思いますので、そういう意味では政策の動向とか報酬体系とかについては先方様もかなり興味がある部分です。もう1つは、福祉医療の14,000法人ほどのデータを持っているのはWAMしかありませんので、こういったものからどういう状況にあって、どうすればどう改善するのか、そういったものについては、かなり興味がある部分であろうと考えております。

 

○真野主査

 よろしいですか。この後はまとまっている話なので、一個一個ではなくて、10までまとめて御説明いただいて、まとめて議論にしたいと思います。よろしくお願いします。

 

○福祉医療機構企画管理部長

20ページと21ページで助成事業です。助成事業については、NPO等における民間の創意工夫ある活動や、地域に密着したきめ細かな活動に対して助成していくものです。NPOに対しては、御承知のとおり、国の援助が直接受けにくい部分がありますので、そういう隙間の部分に対して、私どもの助成で力を付けていただきたいと考えているところです。

 目標と実績の所で、特に21ページを見ながらになります。1点目の定量目標については、21ページの下にあるように、今申し上げましたNPO、それから任意団体というものに対し、80%の目標に対して実績は85%。決定まで早くすることによって、活動が長くできるというのがありますので、こういうものを目標に入れているというものです。全体的にも計画に対して118%の達成率となっています。

21ページの上は、平成28年度の助成の採択の状況です。要望は事業数、件数で457件に対して、採択は128件。金額も22億円に対して6億円です。6億円自体は予算額との関係がありますが、採択の件数、金額とも3割以下になっている状況です。

21ページの中ほどの、平成29年度の募集要領の所に、赤で3つ書いてありますが、ここが大きな点になるかと思います。平成29年度の募集に当たっては、利用者の一層の利便性の向上を図るため国と協議をして、募集期間を3か月前倒ししたことになります。この結果、助成先が丸々1年間活動ができるような仕組みを構築したというのは大きな部分です。助成テーマの見直しの関係では、平成2862日に閣議決定された、国の重点施策である「ニッポン一億総活躍プラン」の項目に合わせた助成テーマを設定しました。モデル事業では、過去の助成の中で良いものがありますので、こういうものを横展開していくというのも必要だろうと考えて、こういうモデル事業の構築を図っています。

 先ほど申しましたNPO・任意団体となると、その基盤と言いますか運営自体もなかなか厳しいものがありますので、そういう中では助成金支出管理システム、これはExcelベースにはなるのですが先方にお渡しし、こうやって管理したらいいですよみたいなことをいろいろアドバイスしながら、ガバナンスの強化に向けた取組も図っているのが助成事業になります。

 次は、22ページで1-6の「退職手当共済事業」です。こちらも自己評定はBになります。退職手当共済事業については、社会福祉事業に従事する職員の確保と定着化に大きく寄与する事業と考えております。現在では、共済契約者数約17,000法人になります。全体の社会福祉法人で施設を運営しているのが2万法人ほどありますので、全体の85%ぐらいをカバーしています。被共済職員数は83万人ぐらいになっており、かなり大きな事業展開をしています。年間の退職金の支給額は、直近では1,040億円、退職者数は75,000人ぐらいになります。

 こういう中で、22ページの目標と実績の比較を見ると、今申し上げました退職金支給総額1,040億円というのは前年度を上回るという状況の中でも、平均処理期間の短縮を図るため、いろいろな措置を講じた結果、目標50日以内に対し、平均処理期間42.9日となっております。

 そういう1つの取組として、新規加入法人のうち、電子届出システムを利用していただければ、システムの中でいろいろなエラーチェックができていくことになります。そうすると、お客様のほうもミスが事前に防げる、機構のほうも照会する手間が省けるということもあり、双方の負担軽減に大きく寄与しています。もう1つは、平成284月に共済法が改正されました。この結果、そういう制度の変更部分については、多様な手段を用いて周知を図るということで、制度改正に対し、円滑に対応することができました。

23ページを簡単に御説明いたします。システムについても、基本的にはどこを直したらいいのかというのは、お客様の声を聞きながらシステムを直していく。平成28年度からナビダイヤルの導入だとか、FAQの改訂だとか、充実を図っています。こういった結果、処理期間については42.9日で実施できたということになります。

24ページは、心身障害者扶養保険事業です。目標と実績の所を見ると、やはり事業の安定的な運営を着実にしていくことが重要になります。将来にわたる障害者に対する年金給付を確実に行うため、決算を踏まえて、外部有識者からなる財務状況検討会で財務状況の検証を行って、検証結果を取りまとめ、これを厚生労働省、地方公共団体へ報告をする。それから親の会など、障害者関係団体へも公表させていただきながら、事業の透明性の確保を図っております。

 一方で運用についても重要であると考えております。25ページにあるように、外部有識者により構成された、心身障害者扶養保険資産運用委員会の議を経た上で、運用に関する基本方針に基づき、パッシブ運用をしています。この委員会の中で、いろいろフォローアップをしながらやっています。25ページの左にあるように、ベンチマーク収益率はおおむね確保できました。その結果、平成28年度についてはマイナス金利等の影響もあって伸びておりませんが、1.35%を確保できたというものです。

24ページの一番下です。機構の自主的な対応につきましては、地方公共団体の事務がバラバラになっている所もありますので、こういうばらつきについて指導させていただきながら、事務処理の標準化を図りました。その結果、地方公共団体の事務処理の遅延防止につながったことから、B評価とさせていただきました。

26ページはWAM NET事業です。目標と実績の比較の欄の目玉としては、平成27年度末における社会福祉法の改正に伴い、整備が法定化された社会福祉法人の財務諸表等電子開示システムの構築について、厚生労働省とも調整をしながら、機能の設計、プログラム構築を経て試行運用し、本格実施前の説明会も開くなど、重層的な対応をさせていただき、平成296月から本格稼働に向けた準備を整えることができました。

 もう1つは時宜を得たコンテンツを作る中で、熊本地震の関係だとか、生活困窮者自立支援制度に関するコンテンツを新設して質の向上を図る。もう一方でお客様の声を聞きながら見やすくしていく。例えば、WAM NETのレイアウトの全面リニューアルをさせていただいたり、授産品・芸術品ギャラリーという部分について、サイトの見出しだとか、要約をまとめる機能などを追加するなどの利便性を図りました。こういう取組により、ヒット件数年間1億件を超えました。こういうことから、利用者満足度も97%ということで、中期計画の定める数値目標を達成しました。

27ページは、今申し上げた内容と重複しますが、一番左上の、社会福祉法人の財務諸表開示システムについては、WAMのインフラ基盤というのは性能やセキュリティなど、国が求める要件は具備していることから、WAMが実施するということになったものです。本格稼働に向けた準備を丁寧に行いながら、今年の6月から実施しているものです。全国の2万の社会福祉法人がここに参画してまいりますので、今後大きなデータとなります。

 右のほうで機構業務の効率化です。今申し上げました性能だとかセキュリティという意味では、WAM NETは極めて優れた基盤でありますので、こういうものを、他の事業でも共通に使っていくことを考えております。例えば業務用の掲示板だとか、メルマガについても助成事業とか、いろいろな事業で活用する。それから、お客様に対して、例えば社会福祉法人とか医療法人という切り口で特定でき、連絡ができますので、そういう意味からして診療報酬の改定であれば、医療法人の皆様を中心に確認をする。先ほどの社会福祉法人のWAM短観みたいなものも社会福祉法人に限定して確認する、といったものに活用しております。

28ページと29ページは、年金担保貸付事業・労災年金担保貸付事業になります。目標と実績の所を見ると、平成224月の行政刷新会議、いわゆる事業仕分け、その後の閣議決定により、廃止の方向性が打ち出されました。その後2回にわたる制度改正により、事業規模の縮小を図るという計画に基づき、そこを淡々と実施をしてきたものです。

29ページは、今申し上げました2回の制度変更を踏まえて、一番右にある平成28年度の貸付実績は、年金担保貸付事業、これは1年間で9万人が利用して495億円を融資しています。下の箱は、平成28年度末の貸付実績残高です。年金担保の貸付期間は最長2.5年になりますのでストックになりますが、22万人が今現在でも利用していて、残高では700億円ほどあり、一定の資金需要は根強く存在しております。

 このような中で、平成28年度においては、利用者1万人に対してアンケートを実施させていただき、その結果を国が策定する廃止計画に反映していただくために厚生労働省に説明し、それから機構のホームページで公表しています。

 その下の部分は貸付制度の周知と、返済条件の緩和になります。やはり制度について知らない方もいますので、パンフレットの内容の充実、電話による問合せということで、自動応答システムを導入し、こちらについては24時間、365日対応しています。幾ら借りられるのか分からないというお客様に対応するために、新たに融資限度額計算シミュレーションを機構ホームページに公表し、自分で入力することによって借入可能額が分かるような利用者サービスの向上を図っています。

30ページは、承継年金住宅融資等債権管理回収業務です。基本的には回収したものを、国の年金特会にお返しをしていく業務です。既に平成17年に新規融資は止めておりますので、平成17年度以降は着実な回収を図っています。そういう中で目標と実績ですが、破綻した保険会社に代わり、関係金融機関が転貸法人に対して弁済を行う現行の第三者弁済契約の期限というのが平成29年度に到来することになります。こういう関係もありますので、関係者と協議・調整を進め、特に10年間の存続ができない転貸法人7法人については、多くの交渉を重ねることにより、最終的には、7法人における理事会において基本合意書、平成29年度予算に計上すべき合併関連経費の了承が得られました。

 その他に承継年金住宅融資の貸付先に対しても、定期的なフォロー、それから短期延滞債権についても調整を行いながら、場合によっては保証履行や担保処分を適切に行っております。また、破綻した転貸貸付先に関わる部分についても、債権譲渡手続等を完了することにより、業務委託にかかる経費900万円の削減を図ることができました。こういう取組により、最終的には、安定的な年金給付財源の確保に寄与しております。

30ページの一番下です。承継教育資金貸付あっせん業務というものがありましたが、これは平成20年度から業務が休止しております。法律的に、当分の間実施するというものが明記されていたのですが、今回の法律改正により、平成28年度末をもって廃止ということになりましたので、法律上も明記されました。

31ページは、年金承継住宅の関係です。平成184月から、機構へ業務承継されております。一番左にあるように、当時は37,300億円ほどの貸付残高がありました。これを年々回収を図り、一番右下にある平成28年度、現在6,718億円となり、この差額3613億円を、年金の給付財源に充てております。

 簡単な説明ですが、以上です。

 

○真野主査

 ありがとうございました。幾つかまとめましたが、何か御議論、御意見はありますか。こちらは、みんなB判定となっています。

 

○名里構成員

WAM NETなのですけれども、社会福祉法人は制度改革で非常に混乱しています。そんな中でこちらの電子開示システムのほうに入力が大変難しく、本当に混乱しているという声を聞いております。運用については、平成28年度でいろいろ試行されたということが書いてあります。もう始まってしまっているので、今は皆さんがどのようにやられているのかと思うのです。その運用状況というか、それを今後確認していきながら、なるべく混乱のないようにというか、大変なので簡略にできればと思います。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 私どもとしても、法人によってはパソコン自体も不慣れな方もいらっしゃると聞いておりますので、まずは準備段階から、丁寧に説明会を開いています。本番前の段階においても、全国を回りながら説明会を開いています。もう一方で、そういう説明会の内容については、私ども機構のホームページにおいて、操作のマニュアルも公表しております。また、操作動画についても実際に掲載させていただきながら対応させていただいています。

 そうは言っても所轄庁や法人においても分からない部分がありますので、機構としてはコールセンターを設置し、そこで積極的な対応をしています。期限までに間に合わないという社会福祉法人もありますので、コールセンターの対応も2か月ぐらい延長対応していきます。6月末現在での入力完了が、2万法人のうちの14,000法人ぐらいが完了しています。まだ終わっていない所については、厚生労働省を通じて、所轄庁に連絡をさせていただきながら、なるべく早めの入力承認をしていっていただければと考えています。

 

○真野主査

 他の先生はよろしいですか。よろしければ次に移ります。次は業務運営の効率化に関する事項、財務内容の改善に関する事項、その他業務運営に関する重要事項です。2343つに分かれていますので、22つを最初にまとめて説明をお願いします。

 

○福祉医療機器企画管理部長

32ページと33ページです。2-1「業務・システムの効率化・情報化の推進」です。こちらについては業務・システム最適計画に基づき、入力作業の委託業務の調達については、一般競争による業者選定を行うことにより、経費の削減を図っております。

 それから、情報化推進計画に基づき、今私どもが運用している事業報告・経営分析システムについて、先ほど申し上げました社会福祉法人の財務諸表の電子開示システムの構築と併せ、入力を2回するのはあり得ませんので、私どものシステムを修正していくなど再構築を実施し、既存報告様式の簡素化、報告内容の見直しなど、顧客の利便性を図っております。

3点目は、先ほどの社福の電子開示システムの関係です。こちらも先ほど申し上げましたように、試行運用の際にもいろいろ御意見をお伺いしました。ここはこのようにしたほうがいいのではないか、といった内容を聞きながら、本システムを稼働する前に、システムの見直しを図らせていただいたものです。もう1つ、専門性の向上については、CIO補佐官等による研修も積極的に実施しています。

34ページと35ページの経費の節減です。34ページで、一般管理費の節減ですが、これについては年3%の削減が求められております。平成28年度は4年目になりますので12%が目標になりますが、これを大幅に上回る21.5%減。こちらについては次の○の(1)本部の事務所賃貸借契約の更新に当たり、交渉を行ったことにより、2,200万円減にすること等により、21.5%削減しました。業務経費35.7%の削減ですが、もともとは年1%の削減の4年目になりますので、4%の目標に対して、35%という大幅な減になっています。これは昨年も御説明させていただきましたけれども、WAM NETの新システムの構築に当たり、稼働環境にクラウドを導入することにより運用保守経費を大幅に削減でき、結果35.7%の削減を図っています。

2つ目の○の(2)になりますが、福祉医療貸付事業における元利金の回収をする際に、お客様から振り込んでいただくか、又は機構負担による口座振替えをしていただくのどちらかになります。口座振替えに当たっては、銀行と交渉をした結果、手数料を20%削減することができて、年間では400万円を超える削減を果たすことができました。

 下から2つ目の契約の適正化については、契約監視委員会における点検を適正に行い、公正かつ透明な調達による、適切・迅速・効果的な調達を推進できました。それから給与水準の関係ですけれども、基本的には人勧とリンクする形になるのですが、適正化に向けて機構独自の制度として、特別都市手当の据置きというのを長年続けております。もう1つは、55歳を超える職員の給与体系の見直し、いわゆる役職定年の年齢の更なる引下げを行っております。こういった人件費削減の取組を実施し、ラスパイレス指数については99.5ポイント、国家公務員を100とした場合に99.5ポイントという水準まで下げています。

35ページの左下の随意契約の適正化の表を御覧ください。ブルーの帯になっている所の2728年度の件数の欄です。平成27年度は6件、平成28年度は10件で4件増えております。こちらについては、職員の転勤に伴う、宿舎の賃貸借契約の更新をかけなくてはいけないことから、この4件含まれております。残りの6件については、継続的な業務・システム保守だとか、決算にかかる官報掲載といったやむを得ない部分があるのですが、今回はそれに加えて、宿舎全廃をしたことに伴い、URの更新が4件増加しています。

2番については以上です。

 

○真野主査

 ありがとうございました。この2番について御質問とか御意見はありますか。

 

○石渡構成員

 経費の削減について努力されている中で、WAM NETのクラウドのお話も出ました。先ほどもWAM NETの新しい情報をいろいろ盛り込んでという中で、すみません、最近私が学会誌の論文を読んでいると、WAM NETから施設情報を得て、いろいろな展開をしているような論文を読むことがすごく増えたと思います。やはり、信頼性みたいなものがいろいろな所に広がっているのかなと感ずるのです。多分、今後もいろいろな期待がWAM NETに寄せられることが多いかと思います。そういういろいろな声を把握して、この情報を充実させるみたいなことに御尽力いただければというお願いをしておきます。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 ありがとうございます。御趣旨に沿って対応させていただきます。

 

○真野主査

 他にはいかがでしょうか。一般管理費と業務経費の削減は、ものすごく中期目標を上回っていますが、諸々の状況を考えて、自己評価はBということなのでしょうか。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 目標期間の最終年度には経費を節減するという目標はあるのですが、毎期の目標設定はないことから、そこはやむを得ないと考えております。

 

○真野主査

 よろしいようでしたら、3をお願いします。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 引き続いて3-1「財務内容の改善に関する事項」です。目標と実績の比較の所です。私ども運営するために運営費交付金を国から頂戴していますが、それとは別に、自己収入の確保を1つの目標として挙げております。こちらについては利用者の負担に配慮しつつ、適切なサービス、料金体系を確保することとしています。事業目的を損なわない範囲で、自己収入の確保に努めた結果、予算額を上回る自己収入、具体的には経営指導事業とWAM NETのバナー広告といったものですが、予算額を上回る自己収入を確保することができました。

 次は、債券発行の関係です。福祉・医療貸付事業と、年金担保貸付事業については、貸付けの財源の一部を自己調達していることになりますので、こういうものについては投資家様に細かな情報提供をしながら説明をさせていただく中で、積極的なIR活動を行った結果、円滑な資金調達をすることができました。

3点目の不要財産の国庫納付については、事務・事業見直しの基本方針に基づき、宿舎の全廃目標がありましたので、これについて順次対応させていただき、平成28年度には、1つ残っていた宿舎の売却が完了し、全ての宿舎の売却手続が完了することができました。

37ページで、当期利益の状況です。1つだけ申し上げますと、例えば一般勘定で若干の欠損金が出ております。これは先ほどの話になりますが、東日本大震の優遇メニュー、具体的には5年間の無利子というのがありますので、こういうものに対しては、当然有利子で調達しておりますので、そこで逆鞘が発生することになります。こういうものを、会計上は欠損金で処理し、その財源としては国から東日本大震災のときに142億円の出資金を頂いておりますので、そこを実質的には取り崩しするもので、会計上の話でここは欠損金が出ています。

 右のほうの保有資産の見直しですが、今申し上げたとおり平成293月に1件残っていた日野宿舎の売却が完了しました。最終的には、今年度中に国庫納付をするということで、全ての手続が完了します。

3は以上です。

 

○真野主査

 ありがとうございました。こちらについて何か御意見はありますか。

 

○五十嵐構成員

 当期利益の状況の説明なのですが、これは当期純利益ではなくて、当期総利益でこの数字自体説明されていますよね。財務諸表を見ると、当期純利益ではない。前中期目標期間繰越積立金取崩額で赤字を補填して、この2つの勘定がゼロになっているわけです。ここは、当期純利益で説明されたほうがよくないでしょうか。説明していただきたいと思うのです。

 

○真野主査

 どうしましょうか。お答えに窮するのであれば。これは数字だけの話だから、後日でも。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 後日御説明ということでもよろしいでしょうか。

 

○五十嵐構成員

 そういう細かい話を伺っているのではなくて、先ほど一般勘定だけ、これは私も評価委員の時代に見ました。これは構造的な形で赤字になるというのはよく理解しています。逆に、承継債権管理回収勘定がうんと黒字になるのも、これも仕組み上の形で、数字上たくさん黒字が出るということです。言ってみれば、当期損益の状況自体が、本当の意味で普通イメージする当期損益が良かった、悪かったということではないということがあります。逆に年金担保貸付と労災年金貸付勘定が赤字だったのを、前中期目標期間繰越積立金取崩額で補填してゼロになったと。赤字になったのはどういう理由でということを説明していただければよいかと思います。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 年金担保自体は、確かに単年度では赤字が出ております。過去の積立てをもって、ここでは「-」という形になっております。そもそもの目標としては、年金担保等については、中期目標期間の中で均衡するような金利に設定しており、単年度では赤字ではありますが、過去の利益を充当している形になっております。

 

○真野主査

 それでよろしいですか。

 

○五十嵐構成員

 説明していただければ結構です。

 

○真野主査

 他の先生方はよろしいですか。よろしいようでしたら最後の4の項目についてです。3つですのでまとめて御説明ください。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 最後の4番目です。3項目あって、3839ページが「効率的かつ効果的な業務運営体制の整備」です。目標と実績の欄を御覧いただきますと、トップマネジメントを補佐する経営企画会議というのは、原則として月2回開催しております。この中で経営理念の共有と、新たに平成28年度から、理事長から機構運営哲学、行動の指針というのを提示しました。それから全役員による平成28年度の重点目標の指示、その他重要案件に対して迅速かつ的確な経営判断を行っています。一方で役員連絡会を、原則として毎週火曜日に開催しております。こういった中で、機構内での情報の共有化や問題意識の統一の徹底を図っています。結果的に理事長の意向が、組織運営に反映される統制環境が整っていると感じております。

 もう1つは○の2つ目です。先ほどのイエローゾーン先などが取扱いになりますが、組織の弾力的な見直しという観点から、平成29年度から貸付先の業況改善に向けた要因分析を専門的に行う部署として、事業サポート係を創設しております。もう一方で一番下になりますが、平成28年熊本地震への対応については、WAMとしてはいろいろな事業を一体的に実施しておりますので、各事業の連携の下に、効果的な運営を図ったものです。

40ページの4-2が、「リスク管理の充実」です。こちらはガバナンス委員会の関係です。ガバナンス委員会については毎月実施しており、リスク管理に係る各種モニタリング活動の報告といった意味で、PDCAサイクルを回す仕組みができております。その結果、必要があれば関連規程の見直しを図るなど、効果的・効率的にガバナンスが発揮できる体制を構築するという観点から実施しているものです。

 そのうち、ガバナンス委員会における審議機能の一部を、先ほど申し上げた福祉医療貸付の信用リスクに特化した信用リスク分科会を設置して、更なる高度化を図っています。2つ目として、コンプラのプログラムに基づき、機構内コンプライアンスの徹底を目的とした研修を実施しております。BCPの関係では、初動訓練などを行いながら検証確認を行っています。

 情報セキュリティの関係については、41ページを御覧ください。右側になりますが、情報セキュリティ対策の推進については、技術的な対策としてはネットワークの2重化とか、プリンター出力機能の認証機能を実施しながら対応させていただいております。

42ページの4-3は「人事に関する事項」です。人事に関する指標については、目標値を達成することができました。2つ目は先ほど申し上げた部分と重複いたしますが、管理職の参事制度を見直し、対象年齢を引き下げました。それから課長代理職の副参事制度を導入するなど、組織の活性化に向けた取組を実施し、役職定年の引下げを実施しております。

 人事評価についても、引き続き評価結果を昇給・賞与に反映するとともに、役職員に対する研修についても、基礎的知識研修等々を実施しながら、特に金融業務がメインということもありますので、貸付部門に所属する職員を対象とした通信教育を継続して実施するなど、職員研修内容の充実を図っています。

 

○真野主査

 御質問はいかがでしょうか。私からすごく細かい話ですが、41ページのメールの話で、「フリーメールの遮断」と書いてありますね。要は、Yahoo!メールやGmailを遮断してしまうということですね。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 はい。

 

○真野主査

 そうすると、外部でGmailを使って送った人は届かなくなるということですか。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 基本的にhotmailGmailは届かないという形になります。ただし、どうしても業務上必要ということであれば、登録をすることによって送受信ができる仕組みを取っておりますが、原則的には遮断をすることでセキュリティ強化を行っています。

 

○真野主査

 ここで議論することではないかもしれませんが、最近私が別の所で経験したのが、Gmailというのは表面上Gmailになっていなくても、Gmailのシステムを使っているようなケースが結構あります。うちの大学がそうです。そういうことがあると、表面上はきちんとしたメールできちんとした人間が発信していても、たまたまGmailを経由しているものがみんなブロックされてしまうと、結構大変かもしれないと今思ったのです。これは専門的な話なので、もしあれでしたら御検討いただければと思います。

 

○福祉医療機構企画管理部長

 セキュリティを確保しながら検討させていただきます。

 

○真野主査

 そうですね。今はとにかくメールでやることが多いので、全部そちらから届かないとなると、結構困ることもあるかもしれませんね。ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。では、これで4-3まで全て終わりましたので、次の話に移りたいと思います。

 次に、法人理事長・監事からのヒアリングということで、最初に法人の監事より、業務の監査結果等を取りまとめた監査報告について御説明を頂くとともに、監査等を踏まえた現在の法人の業務運営の状況や今後の課題、改善方針等についてコメントをお願いいたします。

 

○福祉医療機構監事(太田)

 それでは平成28事業年度の監事監査結果と、当機構の業務運営の状況等について意見を述べさせていただきます。監事監査結果については、お手元の資料の1-4の監査報告に記載のとおりです。この監査報告については、厚生労働省令で定められた記載事項に準拠し、総務省から出ている記載例等を参考にして作成しています。監査の状況ですが、我々監事は役員会、経営企画会議及びガバナンス委員会、役員連絡等の重要な会議に加え、審査会及び情報システム委員会等の主要な委員会等へも出席しております。

 そういった重要な会議や委員会には、ほぼ全て出席しております。それに加え、理事長決裁書類は全て内容確認等を実施しております。その辺を通じて当機構の意思決定過程及び業務執行の状況を、現場において日々監視・モニタリングをしています。さらに監事として重要なリスクがあると認められる事項の業務執行に関しては、書面監査及び担当部署のヒアリング等を通じて、監査を実施しております。その結果、重大な問題点や著しく不当な事実は見当たっておりませんので、平成28年度の業務執行は総じて適正に実施されていることを、監事として確認しております。

 次に、業務運営の状況です。先ほど来の業務実績評価の説明にもあったとおり、当機構においては理事長の強いリーダーシップの下で、各業務目標の進捗及び実績管理やコンプライアンス関係の徹底等について、監事として内部統制が有効に機能していると思っております。全体として、ガバナンス体制も高度なものになっておりますし、経営陣の的確なマネジメントにより、各事業それぞれが求められる役割を適切に果たし、しっかりと成果に結び付けていると評価しております。

 最後に課題等です。当機構の顧客である社会福祉法人、医療法人等は、近年の介護、診療報酬の減額改定や準拠法の改正への対応及び職員の採用難等より、厳しい経営環境にあると考えています。当機構としては地域の福祉、医療基盤の維持・向上や信用リスク管理の強化を図っていくという観点からしても、各部門が連携・協力して顧客の支援体制を充実し、より早い段階から経営を支援していくことが今後の重要な課題ではないかと考えております。以上、簡単ではございますが、監事の意見とさせていただきます。

 

○真野主査

 ありがとうございました。これは質問などをするわけではないので、次にいきたいと思います。次に、法人の理事長から日々のマネジメントを踏まえ、現在の法人の業務運営の状況や今後の課題、改善方針についてコメントを頂ければと思います。

 

○福祉医療機構理事長

 理事長の中村でございます。私ども機構の使命は、国の政策実施機関として地域の福祉医療基盤の進化・発展と、安定の実現に貢献することですので、日頃より福祉医療政策の早期実現を目指し、業務運営が効率的かつ効果的であるように努めているところです。日々のマネジメントを踏まえた現状認識については、機構の業務運営及び内部統制ともにPDCAサイクルがしっかりと機能し、組織の健全度は高いものであると認識しております。

 機構の運営に当たっては、まず機構の経営理念である民間活動応援宣言を掲げ、福祉医療基盤に従事する民間活動を支援することを、役職員が広く共有して臨んでおります。その上で平成28年度からは、機構運営哲学として「永続する進化」を明示しております。業務の更なる有効性・効率性をはじめ、内部統制も含め、立ち止まることなく使命全うのために進化し続けることの重要性を発信しております。

 さらに課題に迅速かつ適切に取り組むために、職員に対して3つの行動の指針を示しております。1つ目は、課題に対して受け身や待ちの姿勢になることを極力減らし、自ら解決に向け動き出す能動性です。2つ目に、社会経済情勢や福祉医療基盤、更に個別課題についても将来の姿や展開を想定しながら活動する将来予見です。3つ目として、目的遂行のため、機構内外の知恵や執行力を最大限活用するダイバーシティーの活用を示して実践させております。業務における指示や会議運営などの多くの局面において、この指針を明示することにより、更なる実践力の強化につなげております。

 また、平成22年に総務省から出された、独立行政法人における内部統制と評価に関する研究会の報告をベースにして、機構の内部統制への取組の適切性や有効性について自己点検を行い、ガバナンス会議において結果を報告することも今年度より開始し、内部統制の更なる充実・強化にも取り組んでいるところです。

 今後の課題ですが、政府の「ニッポン一億総活躍プラン」や「まち・ひと・しごと創生基本方針2016」に基づき、少子高齢化や地域包括ケアシステムの強化などの政策方針を定める中、政策の実施・実現の一翼を担う機構として、環境変化も前広に捉えながら進化し続けることだと思っております。このことは結果として福祉医療基盤を支える福祉医療施設が、今後想定される厳しい報酬改定や後期高齢者人口の2025年までの増加と、その後の2040年代からの高齢者人口そのものの減少も含めて、大きな環境の変化に対して強靭な組織適応力を発揮し、経営の安定性を保ち、福祉医療基盤を混乱なく堅持することにつながらなくてはならないと認識しております。

 また、未来投資会議などにおいて、ICTの一層の活躍が推進される中、業務においてもWAM基盤の活用により、国が進める社会福祉法人制度改革の一環としての社会福祉法人の財務諸表開示や、障害福祉サービスの情報の公共システムを構築し、一元的かつ正確な情報提供を行うための取組を推進してまいります。年間1億ヒットを超え、セキュリティレベルの極めて高いWAM NETには、圧倒的な数のユーザーに効果的に情報を伝えるICT媒体としての機能がありますし、福祉医療基盤における事務のICT化へ貢献する機能もあります。さらには社会福祉法人の財務諸表公表など、基盤の見える化を促進する機能も担っております。この3つの機能のいずれにおいても進化・発展を遂げ、福祉医療基盤がICTにより社会に広く理解され、効率的に活用されて機能することにも寄与させたいと思っております。

 最後になりますが、社会的弱者への支援については、新たな課題が様々に出現する中、大きな枠組みとしての国の弱者支援政策の隙間を柔軟に埋めるNPOなどの使命感の高い人々による民間活動が、機構の助成により更に効果的かつ安定的になることも必要と考えております。有識者会議の委員の皆様には、本日の機構の業務実績評価を通じて多くの御意見を頂き、大変ありがとうございました。多様な御知見に基づく御意見は今後の業務運営の改善と、機構としての更なる進化を図る上での指針とさせていただきたいと思います。また、本日のこの場が私どもにとって有益な気付きの場となりましたことに、重ねて御礼申し上げます。誠にありがとうございました。

 

○真野主査

 今の御発言及び全体を通して、何かよろしいですか。どうもありがとうございました。今回は公益性といったところまで踏み込んだ議論もできて、非常に実りある会だったと思います。以上をもって閉会になりますが、最後に福祉医療機構の平成28年度業務実績評価に係る今後の取扱いについて、事務局から御説明いただきます。

 

○政策評価官室長補佐

 本日、法人から説明のあった業務実績及び自己評価に対して、構成員の皆様から寄せられた御意見、法人の監事及び理事長のコメント等も踏まえ、厚生労働大臣による評価として決定いたします。その評価結果については、法人に通知するとともに公表いたします。決定した内容は後日、構成員の皆様にもお送りいたします。なお、福祉医療機構については、本年度が中期目標期間の最終年度に該当します。そのため、82日水曜日開催予定の第10回医療・福祉WGにおいて、中期目標期間の最終年度に実施される中期目標期間終了時に見込まれる業務の実績の評価、いわゆる中期目標期間見込み評価等について、御意見を賜ることとしておりますので、またどうぞよろしくお願いいたします。

 本WGの次回の開催は、712日水曜日の10時からを予定しております。場所は本日と同様、中央労働委員会7階講堂です。議題としては医薬品医療機器総合機構の平成28年度業務実績評価について、御意見を賜ることとしております。最後に、本日配布した資料は非常に大量にわたります。委員の皆様で送付を御希望される場合は、事務局より送付いたしますので、机上にそのままにして御退席いただきますようお願いいたします。

 

○真野主査

 それでは、本日はこれまでにさせていただきたいと思います。長時間にわたり、熱心な御討議を頂きましてありがとうございました。

 


(了)

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