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2016年11月15日 第5回保育士養成課程等検討会

雇用均等・児童家庭局保育課

○日時

平成28年11月15日(火)13時30分から15時


○場所

中央合同庁舎第5号館 12階 専用第12会議室


○出席者

構成員

汐見座長、小川副座長、網野構成員、河端構成員、三代川構成員、村松構成員、山縣構成員
近喰構成員、榊原代理人(石渡構成員代理)

厚生労働省

巽保育課長、楠目企画官、川島課長補佐、鎮目保育指導専門官

○議題

○川島課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第5回「保育士養成課程等検討会」を開催いたします。
 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日は、構成員9名に御出席いただいております。阿部構成員、藤林構成員、前田構成員、矢藤構成員におかれましては、本日、御欠席との連絡をいただいております。また、石渡構成員のお申し出によりまして、代理として神奈川県次世代育成課長の榊原様に御出席いただいております。よろしくお願いします。
また、会議に先立ちまして、事務局に異動がございましたので、保育課長の巽より御挨拶申し上げます。
○巽保育課長 本日はお忙しい中、本検討会にお集まりいただきまして、御礼申し上げます。
 本検討会におきましては、昨年6月から保育士養成に係る課題について検討を行っていただいております。改めて感謝申し上げる次第でございます。
 特に昨年度から実施されております地域限定保育士試験については、構成員の皆様からの貴重な御意見を踏まえまして、本年度に保育実技講習会を導入するための制度改正を行うことができました。先般、そのための省令改正等も行ったところでございまして、御報告とともに御礼申し上げます。
 また、当面の課題としまして、福祉系国家資格と保育士養成課程試験における相互の免除等に関して御検討いただく必要があるほか、来年度には、保育指針の改定を踏まえた養成課程の見直しなどについても御議論いただく予定となっております。保育士養成に関しては、昨今、国民的関心も高く、今後も多様な課題について幅広く検討いただくことが見込まれますので、構成員の皆様におかれましては、引き続きそれぞれのお立場から御忌憚のない御意見をいただければと思っております。よろしくお願いいたします。
○川島課長補佐 続きまして、資料の確認をさせていただきます。
 配付資料といたしましては、議事次第、資料1、資料2-1と2-2、資料3については1~3、参考資料といたしまして、構成員の名簿をつけております。資料の欠落等ございましたら事務局までお申し出ください。よろしいですか。
 では、カメラの撮影はここまでとさせていただきます。
(報道関係者退室)
○川島課長補佐 傍聴される皆様におかれましては、事前にお知らせしております傍聴時の注意事項の遵守をよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に移りたいと思います。汐見座長、よろしくお願いいたします。
○汐見座長 皆さん、こんにちは。お忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。今日は、大きく3つの議事がございます。順次、滞りなく進めてまいりたいと思います。
では、まず最初に、議事の1番について、事務局から説明をお願いいたします。
○川島課長補佐 事務局でございます。資料1をご覧いただければと思います。「『保育士養成課程等検討会』ワーキンググループ開催要項(案)」をつけております。先ほど、保育課長の御挨拶においても触れさせていただきましたが、今後、福祉系国家資格の保育士養成課程、試験の相互免除または保育指針の改定に伴う養成課程の見直しなど、本検討会で検討すべき課題は多々あるという状況でございますが、それらの課題に対して速やかに対応するために、ワーキンググループを設置してはどうかということを考えています。
 この資料1の要綱(案)の「1.目的」に記載していますが、ワーキンググループにおきましては、本検討会の議論に資するための各課題の論点整理または対応の方向性などの検討をするといったことを考えています。
 「2.構成等」のところですが、ワーキンググループの構成員につきましては、保育士の養成課程・試験に関して知見のある学識経験者等から構成。ワーキンググループに座長を置きまして、座長につきましては構成員の互選により選出といったところを考えています。また、ワーキンググループにつきましては、必要に応じ関係者から意見を聴取できる。
ワーキンググループの運営に関しては、座長が必要な事項を定めるといったところで考えています。
 本日、このワーキンググループの設置につきまして、本検討会の御了承をいただければと思っています。御了承をいただけた際には、ワーキンググループの設置に向けて、構成員の委嘱手続等を進めさせていただき、また、ワーキンググループのメンバーにつきましては、座長と相談の上、決定させていただきまして、後日、構成員の皆様方にもお知らせさせていただきたいと考えてございます。説明は以上です。
○汐見座長 ありがとうございました。今の御説明のように、課題が山積しているという状況がございますので、それに速やかに対応するためにワーキンググループを設置したいということで、その要綱についての御提案です。何か御意見、御質問がございましたらお願いいたします。
 今日は、ワーキンググループを置きたいということだけで、まだメンバー等についてのことではありませんので、その枠をつくることに賛成いただけるかどうかということです。よろしいでしょうか。
 では、御意見がないようですので、このような形でワーキンググループを設けることについて了承いただいたということで進めていきたいと思います。よろしくお願いします。
 それでは、次の議事の(2)について、事務局から説明をお願いします。
○鎭目保育指導専門官 それでは、御説明させていただきます。資料2の「保育所保育指針の改定に関する中間とりまとめの概要」につきまして、御説明申し上げます。
 資料の説明に先立ちまして、保育所保育指針の位置づけについて簡単に御説明させていただきます。保育所保育指針とは、保育所における保育の内容やこれに関連する運営等について定めたものでございまして、保育所における保育の内容が各保育所の独自性や創意工夫が第一義的に尊重されるべきものである一方で、全ての子どもの最善の利益のために、全国共通の枠組みが必要ということで、この保育所保育指針において、全保育所がよるべき保育の基本的事項を定め、一定の保育の水準を確保しているものでございます。全国の保育所が、保育所保育指針に基づき、子どもの健康及び安全を確保しつつ、一日の生活や発達過程を見通し、保育内容を組織的・計画的に構成し、保育を実施しているところでございます。
この保育所保育指針につきましては、およそ10年に1度の目途で改定を進めておりまして、直近では平成20年3月に大臣告示をしているところでございます。今回の中間まとめを経て、年内を目途に最終的な報告の取りまとめをする予定でございますが、それに差し当たっての中間とりまとめが8月にまとまっておりますので、こちらの御報告をさせていただきたいと思います。
 それでは、資料2-2、冊子の形になっているもので説明をさせていただきたいと思います。まず、資料2-2の表紙をおめくりいただきまして、裏表紙に(目次)を示しております。初めに「序 保育をめぐる近年の状況」を記載しております。次に「1.保育所保育指針の改定の方向性」を記載しています。そして、5つの柱でまとめております。それを踏まえて、「2.改定の方向性を踏まえた構成の見直し」といたしまして、具体的な章構成の案についてお示しさせていただいております。最後は「3.その他の課題」といたしまして、「小規模保育、家庭的保育への対応」などについて記載をさせていただいているところでございます。
 以下、順次御説明させていただきたいと思います。右側の1ページ目の序章では、平成20年以降の保育をめぐる状況の変化について記載しております。具体的には、「子ども・子育て支援新制度」の施行、それに伴う0~2歳を中心とした保育所利用児童数の増加、子育て世代における子育ての負担や孤立感の高まり、児童虐待相談件数の増加といった課題等があることをお示しさせていただいております。
 2ページでございます。こちらは「1.保育所保育指針の改定の方向性」ということで、5つの柱で方向性をまとめているところでございます。まず、「(1)乳児・1歳以上3歳未満児の保育に関する記載の充実」ということで、この時期の保育の重要性や、ゼロ歳~2歳児の利用率の上昇等を踏まえまして、3歳以上児とは別に項目を設けるなど、記載内容を充実するという方向で全体をまとめているところでございます。
 具体的には、2ページをご覧いただきますと、「乳児・1歳以上3歳未満児の保育の重要性」でありますとか、その中の部分では、近年、国際的にも注目されている「社会情動的スキル」や「非認知的能力」などを身につけることが、とりわけ「大人になってからの生活に大きな差を生じさせるといった研究成果などから、乳幼児期、とりわけ3歳未満児の保育の重要性への認識が高まっている」といったところが述べられております。また「基本的信頼感の形成」や「学びの芽生え」といった意義についても記載しております。
 3ページ目では、さらに、「保育の内容の記載の在り方」や「考えられる具体的な保育の内容の例」を示しております。4ページ目に移りまして、2つ目の柱の「(2)保育所保育における幼児教育の積極的な位置づけ」といたしまして、保育所保育も幼児教育の重要な一翼を担っていること等を踏まえまして、卒園時までに育ってほしい姿を意識した保育内容や保育の計画、評価のあり方等について記載内容を充実すること。主体的な遊びを中心とした保育内容に関しましては、幼稚園・認定こども園との整合性を引き続き確保するといったことなどについて、まとめているところでございます。具体的には、4ページにございますが。「幼児教育の一翼としての保育所保育」の意義でありますとか、「教育内容についての記載の在り方」、また、5ページにいきまして、「教育的活動の意識的な設定」や「保護者との子どもの姿や学びの共有、卒園後の学習の接続への配慮」といったことについて記載しているところでございます。
 6ページに行きます。「(3)子どもの育ちをめぐる環境の変化を踏まえた健康及び安全の記載の見直し」におきましては、子どもの育ちをめぐる環境の変化を踏まえまして、食育の推進、安全な保育環境の確保等に関して記載内容を見直すという方向性でまとめております。具体的には6ページにございますが「健康支援」に関することでございますとか、「食育等に関する記載の充実」、また、7ページにまいりまして、「安全な保育環境の確保」や「障害のある子ども、特別な配慮を必要とする子どもへの対応」に関すること、さらに、8ページの「東日本大震災を経て、安全に対する社会的意識が高まっている」点等も踏まえ、「災害への備え」といったことについて記載しているところでございます。
 続きまして、「(4)保護者・家庭及び地域と連携した子育て支援の必要性」におきましては「『保護者と連携して子どもの育ちを支える』視点を持って、子どもの育ちを保護者とともに喜び合うことを重視する」ということや、保育所が行う地域における子育て支援の役割が重要となっていることを踏まえまして「保護者に対する支援」という今までの章を「子育て支援」に改めまして、記載内容を充実するという方向でまとめております。
具体的な記載といたしましては、「今求められている子育て支援」や「保護者と連携した『子どもの育ち』への支援』に関すること、9ページ目の「多様な保育の充実」、「虐待対策」、「地域における子育て支援事業との連携」について記載しているところでございます。
 最後の「(5)職員の資質・専門性の向上」におきましては、専門職としての保育士等の資質向上につきまして、キャリアパスの明確化を見据えた研修機会の充実なども含め、記載内容を充実するという方向でまとめております。具体的には9ページにございますが、保育士の専門性の向上と新たな課題への対応が必要となっていることでありますとか、次のページの「職場における研修機会の確保」や「キャリアパスを見据えた保育士の研修機会の充実・体系化」について記載をさせていただいているところでございます。
 続きまして、11ページ目は「2.改定の方向性を踏まえた構成の見直し」ということで、まずは「(1)構成の見直しの方向性」につきまして「大綱化の方針は維持しつつ、必要な章立ての見直し等を行うことが適当である」といったことなど、これまでの保育専門委員会での議論をまとめているところでございます。
 次のページでは「(2)具体的な章構成(案)」ということで「(1)構成の見直しの方向性」を踏まえて、今回の保育指針の改定における具体的な章構成の(案)をお示ししているところでございます。現行の保育指針が7章構成になっておりますが、(1)で示されているような方針の下、5章構成としております。
 次の13ページ目におきましては、「3.その他の課題」ということで「(1)小規模保育・家庭的保育等への対応」でありますとか、「(2)周知に向けた取組」では、解説書の作成など、周知に向けた取り組みに関すること、最後の「(3)保育の質の向上に向けて」におきましては、保育の質の向上に向けた取り組みの重要性といったことを記載しているところでございます。
 15ページ以降は参考資料ということで、名簿等をつけさせております。また、資料2-1は、今、御紹介した中間とりまとめの概要を1枚で示しているものでございますので、御参照ください。以上でございます。
○汐見座長 ありがとうございました。今、事務局から、この間にとりまとめられました保育所保育指針の改定に関する中間とりまとめの内容についての御説明がありました。 この中間とりまとめの内容について何か御質問はございますでしょうか。既に8月に明らかになっているものですから、お読みいただいたことがあるとは思いますが、この際、ここで何か御質問したいということがございましたら、どうぞお願いします。
 網野構成員、お願いします。
○網野構成員 非常にいろいろな議論あるいは方向を積み重ねてここまで方針をまとめられたということについて、大変敬意を表しております。
 これから、いよいよ具体的に本文をしっかりと書き上げていくプロセスが重要になるかと思いますが、現在の指針からいわゆる大臣告示という形で、特に大綱化した内容で、しかも必ず解説を詳しく作っていくという流れになっていると思います。現在の指針において、記載された内容からもう一歩探る必要があったかと思っているのは、従来の指針はガイドラインです。国の通知であっても、それぞれの保育所あるいは地域によっても自治体によっても、独自のものを裁量を含めてという趣旨が含まれていて、ある意味では許容されていた部分もあると思いますが、今回から告示がされたということで、やはり国が示す重要な基準という重みが断然に増えたと思います。
 その点で、具体的な文章を表現する中で、例えば、これはどの保育園でも共通の基準として遵守してくださいというような趣旨とか、これはそうしなくてはいけませんというような、いわゆる遵守すべきことと、裁量を含めてこういうことも考えてもいいというような段階の表現と、それから独自にそれぞれの保育園や保育者の独自性・主体性を尊重して、このようなことをどんどん進めていただいてよろしいのではないかというふうな、大きく3つの内容がいろいろ含まれる可能性を感じます。
 文章をしっかり固めていく中で、何かそのようなものが分かる表現にした方がよいのか、それとも現在のように、例えば、「何々とする」というような表現は、特に遵守すべきというふうに受け止めるものだと思います。あるいは、「ねばならない」といった表現は完全にそのような趣旨になっていますが、指針ですので、ある程度は主体性・独自性を本当に尊重し、自治体によっても、何々県版のようなものを仮に作ってもいい部分もあるのかもしれませんけれども、そこまでは許容しないような趣旨なり表現になるのでしょうか。そのあたりをお聞きしたいところです。
○汐見座長 大変、大儀で微妙な問題かもしれませんが、今、お答えできる範囲でお願いします。
○楠目企画官 失礼いたします。御指摘いただきましてありがとうございます。先生が言われた現行の指針でも、文末の表現等を書き分けている部分がございまして、その中で「何々しなければならない」といった遵守しなければならないことを明らかにしているところと、「努めるものとする」といった努力義務になるところと、それ以外のところというような、大きく3つのように書き分け、区別させていただいているところではありますが、受け取る側によって取り扱いが分かりにくいところも確かにあるかもしれませんので、解説等も含めて、より分かりやすい形になるように努めてまいりたいと思います。
○汐見座長 今の網野構成員の御意見は、今の指針も一応、義務と努力義務とそれ以外の形には書かれていますが、現場もしくは自分たちで考えて工夫してほしいというところを促すような記述というのを考えてほしいということでしょうか。
○網野構成員 はい。今おっしゃった趣旨は重要だと思います。
○汐見座長 悩ましいところです。このことについて何かありますか。
○楠目企画官 指針、告示という形での文章なので、指針本体で書き切れる部分と、解説で補わなければいけない部分とそれぞれあると思いますので、工夫したいと思います。
○汐見座長 御存じだと思いますけれども、例えば、幼稚園教育要領では、計画と評価というのは総則の中に入っています。3章立てで、保育指針は4章をそれだけのために取り出し、保育課程という言葉を入れたりして、年次の計画等をつくるという形でかなり細かく書いています。
 保育課程という言葉は保育指針の中では重要なキーワードでして、幼稚園教育での教育課程に当たる言葉で、今度、全体的な計画という表現に変わりますが、ともかくどういう子どもたちを育てたいのか、そのためにどういう保育活動を大事にしていくのかという、その園の基本方針をまずしっかりつくりなさいというものです。その上で、それに基づいた計画を作っていくということで、かなり細かく書かれています。
 ところが、幼稚園の方は、教育課程を作れということを書いて、計画を作ることについて、余り細かく書いていないのはなぜなのかというようなことを尋ねたことがありますが、結局、そこのところは大事なものは押さえておくけれども、中については現場の主体性を大事にしたいので、各園ごとの特色のある計画を期待するということで、枠を作って厳しく要求するけれども、中身についてはあまり細かく書かないということだそうです。
 ですから、今の網野構成員がおっしゃったことが、現場の主体性を引き出しながら、しかし、ここは必ず押さえてほしいということをうまく書くことが大事なのだろうと思ってお伺いしました。私はそちらのほうもやっていますので、本当におっしゃることはよく分かりますが、また相談させてください。その他にございませんでしょうか。
○河端構成員 0~2歳の利用率の上昇を受けて、3歳未満の保育の内容を充実させたという点は大変よかったのではないかと思います。ただ最近、待機児童問題が非常に大きく取り上げられていますが、待機児童となった場合の対応とか、そういうことに関する指針というのは議論されたのでしょうか。子育て支援という意味でも、待機児童を抱えた親、特に待機児童の約9割は0~2歳が占めていますので、そういった場合、例えば、保育所が一時的に受け入れるとか、そういったことというのは指針で何か議論をされたのかどうかを教えていただきたいと思います。
 あと、些細な質問ですが、乳児というのはゼロ歳を意味するのでしょうか。乳児だけ「乳児」と書いてあって、ほかは「0歳」「2歳」と書いてあるので、一般の人には乳児が「0歳」を意味するのか分かりづらいかもしれないなと思いました。以上です。
○汐見座長 鎭目専門官、お願いします。
○鎭目保育指導専門官 今回の保育指針に関する議論では、保育所における保育の基本たる保育士についての議論が中心ですが、待機児童の問題等についても説明しております。その中で、緊急的に一時保育をする場合などもあり、広く保育所が行っている活動全体について、御議論をいただいておりますけれども、特に待機児童がいる場合の対応というような形での議論は直接的にはされていません。社会保障審議会の「保育専門委員会」では、基本的には保育指針の内容の改定の議論を中心にさせていただいているところです。
 それから、乳児につきましては、法律上はゼロ歳児ということになっておりますので、乳児と書いてある場合は、そういう意図で使っていますが、確かに「0歳から」と書いてある場合、少し分かりにくい場合があるかもしれませんので、説明等をする際、留意していきたいと思います。
○汐見座長 他にございませんでしょうか。
これから文章化が始まりますので、実際にどのような文言になるのかということがまだ共有されていませんので、議論するとしてもすごく一般的なことになると思います。今、河端構成員がおっしゃってくださったことについては、私はそちらの方も参加していますが、例えば、今度の第4章ですが、「子育て支援」という章の中で論点になったことは、10年前に比べて地域子育て支援拠点のような、集いの広場等の発展が著しくなって、数千カ所も出てきています。保育所はそれでなくても忙しいので、在園時・在所時の家庭の支援をするのは当然ですが、地域の親の支援をどこまでやれるのか、やるべきなのかということも一つの論点になりました。
 結論として申し上げますと、保育所が持っている様々なリソースを生かした地域の子育て支援はなくてはならないものであろうということで、例えばその一つに、働きたいのだけれども、一時保育の形で切り抜けている方等がたくさんいらっしゃいます。そういう方が地域の支援拠点などで利用されているところといわばタイアップすると言うのでしょうか、そのリソースを保育園も含めて利用者がうまく利用できるように、もう少し上手にネットワーキングするといった形をもう少し強めた上で、保育所がやはり地域の子育て支援をしっかりやるということについては、改めて強調しようということになったわけです。その中に今、おっしゃっていただいたことについて、解決のための努力が入っている可能性があり、そのようなニュアンスの議論になったわけです。待機児童問題を直接議論するということについては、指針としては書けないという形になっています。
 他にはどうでしょうか。特になければ、今日はもう一つのところも大事なものですから、議事(3)に移りたいと思います。
では、続きまして、この議事の(3)について事務局から御説明をお願いいたします。
○川島課長補佐 事務局でございます。お配りしております資料3-1、見出しのところがピンク色になっている横の紙1枚のものをご覧いただければと思います。
 「保育士のキャリアパスに係る研修体系等の構築に関する調査研究事業(概要)」においてその検討を行っているところでございます。その概要を1枚にまとめた資料になっています。この検討に当たっての「背景・目的」といったところで、資料の上段で整理していますが、まず、今年の6月に閣議決定されました「ニッポン一億総活躍プラン」におきまして、キャリアアップの仕組みを構築するということが掲げられているところでございます。また、「保育所保育指針の改定に関する中間とりまとめ」、先ほど説明させていただいたものですが、そちらにおきましても「保育士のキャリアパスの明確化を見据えた研修機会の充実を図ること」が課題とされているところでございます。これらのことを踏まえまして、「保育士が職務内容に応じた専門性の向上に目標を持って取り組めるよう、保育者のキャリアアップにつながる研修体系や研修システムの構築について検討」しているといったものでございます。
 具体的な調査研究の内容といたしましては、大きく3つございまして、「保育士のキャリアパスや研修体系に関する先行研究・都道府県等における先行事例の調査・収集」といったものが1つ目でございます。もう一つが「有識者や関係団体等で構成する調査研究協力者会議」といったものを設置いたしまして、この協力者会議の中で「研修体系及び研修の実施体制」について検討をしているといったものでございます。メンバーにつきましては、資料の下に構成員として書いています。内容の3点目といたしましては、この協力者会議の最終まとめを踏まえまして、周知を図るためのシンポジウムを開催するといった、大きく3つの内容となっています。
 この後ろに、3-2と3-3で資料をつけていますが、こちらの「調査研究協力者会議における議論の中間的な取りまとめ(概要)」といたしまして、取りまとめていますので、その御報告をさせていただきたいと思います。3-2の見出しのところが青の横の1枚紙でございますが、こちらは(概要)をまとめたものでございまして、実際の取りまとめについては、3-3で実際の文章がございますので、3-3をご覧いただければと思います。
 「はじめに」といたしまして、この議論に当たっての現状や経緯を簡単に載せていますが、○の2つ目でございます。近年、子どもや子育てを取り巻く環境が変化し、保育所に求められる役割も多様化・複雑化する中で、保育士には、より高度な専門性が求められるようになっているところでございます。そして、各種の研修機会の充実によって、その専門性を向上させていくことが重要となっています。
 3つ目の○でございますが、現在、保育現場においては、園長、主任保育士の下で、初任後から中堅までの職員が、多様な課題への対応や、若手の指導者を行うリーダー的な役割を与えられて職務にあたっており、こうした職務内容に応じた専門性の向上を図るための研修機会の充実が特に重要な課題となっているところでございます。
 このような状況を踏まえまして、この調査研究協力者会議におきましては、一般から中堅の保育士を対象とした地方公共団体や保育団体が実施する研修につきまして、保育現場で必要な専門性や研究事例等を踏まえつつ、保育士のキャリアパスを見据えて、リーダー的な役割を求められる職員への研修として体系化する方向で議論を行ったといったところでございます。
 その議論の具体的な内容といたしましては、次の「1.研修分野・時間数」でございますが、まず、その専門的な対応が求められる分野として、6分野が考えられるといったところでございまして、「乳児保育」「幼児教育」「障害児保育」「食育・アレルギー対応」「保健衛生・安全対策」及び「保護者支援・子育て支援」の6分野」が考えられ、この各分野におけるリーダー的職員の養成、育成のための研修が必要となっています。
 次の2ページ目に行きまして、リーダー的職員につきましても、一定の経験を経て、主任保育士の下でミドルリーダーの役割を担う保育士に対しては、6つの分野に加えまして、マネジメントやリーダーシップに関する研修も必要であるとしております。
 これらの専門的な分野別の研修とは別に、実習経験の少ない保育士試験の合格者、または潜在保育士が受講できるような『保育実践』の研修も設けることも考えられます。
 研修の時間数ですが現在、都道府県で実施されている中堅保育士に対する研修の時間数等を参考にしまして、それぞれ15時間程度、2日~3日程度を目安とすることが適当であるとしています。これらの各分野における研修を「保育士キャリアアップ研修(仮称)」といたしまして、保育士の研修体系に位置づけていくことで、研修機会の充実を図ることが適当とされています。
 具体的な研修の内容のイメージといたしましては、また後ほど触れさせていただきますが、別紙4ページ以降にイメージとしてつけております。
 次の「2.研修の実施方法」「3.実施主体」「4.その他」とありますが、こちらの2以降の項目につきましては、今後、この協力者会議で具体的な議論を進めるといったこととしているものでございます。ただ、現時点におきまして、各構成委員から出た意見といたしまして、ある程度、整理されたものを記載していますが、具体的にはこれから内容を詰めていくといったものになっています。
「2.研修の実施方法」につきましては、講義形式のほか、演習やグループ討議等を組み合わせるといったこと、また、効果的な演習やグループ討議を行うため、各園の創意工夫や課題を持ち寄って、自園の保育内容と関連付けた研修内容とするといったことが考えられるとしています。研修を階層化し、標準的な内容の研修のほか、より高度な研修も設けることも考えられます。
 次の○でございますが、研修の受講後にレポートを提出させる」または「理解度を確認するためのテストを実施するといったことにより、研修内容を着実に身につけるような工夫もすることも考えられるとしております。
 「3.実施主体」でございますが、原則、都道府県とするとしており、政令指定都市や中核市も実施主体とするかどうかについては今後、検討を必要としているところでございます。多くの受講ニーズに対応するため、都道府県が適当と認める団体に委託する方法のほか、保育団体や保育士養成施設等が実施する研修を都道府県が認定する方法等も考えられるといったところも御意見をいただいています。
 「4.その他」といたしまして、保育士キャリアアップ研修(仮称)」の創設にあたっては、研修機会を保障するため、必要な環境整備を行うべきであること、将来的には、特定の分野について、より高度な専門性を持つ保育士を評価する仕組みを検討することが必要と考えられること、最後に、キャリアパスと研修体系の構築は、保育士が職場に定着しやすい環境整備となるほか、身に付けた技術が評価されることにより、人材交流の活性化による多様なキャリア形成や離職した後の職場復帰の促進等でも有効と考えられるといったことをまとめています。
 4ページに行きまして、先ほど触れました「分野別研修の内容(イメージ)」でございます。先ほどの6分野プラス2分野に、それぞれの各分野におきまして、分野ごとの内容につきまして、いくつか柱立てをしています。右側については、「具体的な研修内容(例)」として記載してございます。例えば、「乳児保育」につきましては、「内容」については「乳児保育の意義」「乳児保育の環境」「乳児への適切な関わり」など、5つの柱立てをしています。「具体的な研修内容(例)」につきましては、イメージの表の上に※で記載させていただいてございますが、到達目標なども考えながら、引き続き、幅広く検討していくといったこととしていまして、今後、研修の実施体制について、検討を加え、年内を目途に最終の取りまとめを行っていただくといった予定としています。説明については以上になります。
○汐見座長 ありがとうございました。おそらく、こういう形で検討されていて、今ここまで来ているということについては、これまで余り情報が出ていなかったと思いますので、初めて聞くという方もいらっしゃるかもしれませんが、今の御説明にあったように、一億総活躍プランの中で、キャリアアップの仕組みを作ろうということと、保育士の給与を4万円程度上げるということについて具体化を考えるという内容が盛り込まれているという中で出てきた案でございます。
何でも結構ですので、中身を正確に理解するために御質問をいただきたいと思います。これは最終的にはいつ頃に報告がまとまると考えてよろしいでしょうか。
○川島課長補佐 今年の12月下旬を目途に最終まとめを行う予定としています。
○汐見座長 実施は来年の4月からということを考えておられるということですか。
○川島課長補佐 来年の4月からを想定しています。
○汐見座長 養成校はまた大変になりますね。山縣構成員、お願いします。
○山縣構成員 今まであまり資料を見たことがなかったので、不勉強で申しわけありません。とりあえず2、3つお伺いしたいのですが、これは個人へのインセンティブは、賃金格差を埋めるというところで見えているような気がしますが、これだけの研修を現場から離れてやっていただくとなると、今度は事業者へのインセンティブがないと出さないのではないかというのが1点目です。事業者インセンティブがどこかに組み込まれる可能性があるのかどうかということを教えてください。
 それからもう一つは、想定されている時間数で言うと、6分野について各2~3日ということは、3週間強、1カ月弱のものを想定すると、これは単年度なのか、複数年度なのか。単年度で1カ月弱出てしまうと、現場は大変なのではないかなという感じがありますので、どう考えているのでしょうか。
 最後の3点目ですが、マル1からマル6までの全体が一つのパッケージとして認定されるのか、分野ごとにとりあえずマル1のパッケージが終わり、マル2になるという組み合わせ、分担が可能なのか。その3つを教えていただけないでしょうか。
○汐見座長 お願いします。
○巽保育課長 まだ中間取りまとめでございますので、具体的に6つの分野についての研修をどうやっていくのかというところまで議論はしておりません。実際、先ほど事業者にどういうようなインセンティブをかけるかという質問がありましたけれども、例えば雇い上げのような公定価格に乗せるとか、いろいろなやり方があると思います。ただ、来年から施行するという話ではありますが、実際、これから研修体系をどうするのかということで議論し、初年度からどれだけ研修を受けられるかということも考えながら、このキャリアアップの仕組みを作っていかないといけませんので、現実的にはキャリアアップという仕組みと、もう一つは現場の実態も踏まえながら、施行していくという形になってくると思います。
 受けるのかどうかという6つの分野につきましても、これをすべからく受けるのかどうかということについても、現行の研修を体系化し、この6つになったわけでございまして、それをどのようにキャリアアップにつなげていくかということにつきましても、これからの議論になっていくところでございます。
 いずれにしましても、具体的な仕組みにつきましては、予算編成過程でこれから議論されていくところでございますので、保育士のキャリアアップを促進していくということと、もう一つは、あまり現場の混乱を生じさせるのも問題がありますので、そこに留意しながら、最終的にはキャリアアップの体系化ということを進めていくことが我々に必要なのではないかと思っています。
 山縣構成員にも当然、御懸念はあるとは思いますが、我々はそういうことも意見集約しながらやっていく必要があると思っております。
○汐見座長 さまざまな御質問があると思いますが、どうぞ御自由にご発言ください。山縣構成員がおっしゃってくれましたけれども、不勉強ではなくて、今回初めて出たということなので、私たちも皆、初めてだと思います。
 では、村松構成員、お願いします。
○村松構成員 今のお話を伺っていて、現場は一体どのようにしてこの研修に出すのだというお話を伺って、確かにそうだなと思いつつも、やはりキャリアパスという仕組みをこれから作っていかないと、私たちの資格そのものの社会的認知というものもなかなか進んでいかないのかなと思います。
 園長の下に主任がいても、あとはみんな同じ保育士という並びの現実もありますので、このような研修をきちんとやることで、ミドルリーダーというような枠ができるということに関しては、現場の保育士たちは、単なる年功序列ではなく、意欲と力量を評価された上でのミドルリーダーになっていくということであれば、情に流されたものではなくて、整合性のある資格、立場になっていくのかなと思います。
 いずれにしても、一法人一施設とか、いろいろな形の保育所があるので、その中で全国的にこういうような流れがありますよということを示していただけるということは、一つの指針のような形になります。私は園長ですけれども、それによって園長たちの認識が変わっていくことがやはり一番大きな狙いだと思います。
 一人一人の保育士のキャリアを積み上げていきたいのだけれども、それをどのようにして公平な目でみていくかということに関しては、やはりこういうものがあるということが一つの目安になるということもありますので、それが何らかの形で手元にあって、このような専門性を育ててきましたので、これを評価してくださいという形になっていけば、分かりやすいものになっていくと思います。民間の園長としての思いですけれども、以上です。
○汐見座長 ありがとうございました。特に御質問とかではないですか。
○村松構成員 はい。
○汐見座長 御意見でも御感想でも結構です。全体としては、この「保育士養成課程等検討会」に密接に関わるテーマですので、従来からの課題であったことを一歩前に出そうということです。
 網野構成員、お願いします。
○網野構成員 キャリアアップ研修でリーダー的な職員を養成する。例えば、ミドルリーダーという例も挙がっておりまして、本当にこれまで不十分であったところだったと思いますが、2つほど御質問と意見も踏まえてお話しさせていただきたいと思います。
 1つは、どちらかというと中間段階での研修が全体的には不十分であったという背景があると思いますが、園長とか主任とか、マネジメントに深く関わる分野での研修の体系、まさにキャリアアップの重要な部分だと思いますが、そのようなことについて、今回、調査研究の対象にはなっていませんが、今後、国として全体のキャリアアップ研修というときに、園長や主任の研修について、どのような捉え方をされているのか。今後、そのあたりも当然、視野に含んだ強化を図るのかどうかについて、ひとつお聞きしたいと思います。
 もう一つは、今、保育士だけではありませんが、さまざまな分野で勤務体制の多様化が進んでおりますので、例えば、保育士と言いましても、常勤で雇用されている中でも勤務体制が違っていたり、まして非常勤という場合には多様な仕組みで雇用されている状況がどんどん増えているかと思います。どちらかというと、毎日出勤して、仕事をするという状況ではなくて、本当に必要な日あるいは時間ということでお仕事をする保育士も増えているように思います。
 待機児童対策として、これだけ雇用の促進が叫ばれているときに、もう少し有効に保育士が働けるような環境を整えていく必要があるのではないでしょうか。例えば、そのように見ていきますと、いわゆるオーソドックスな常勤の職員を対象とした研修は非常に目に見えやすいのですが、今、議論されているところで言いますと、先ほどの資料の1ページの下の「1.研修分野・時間数」というところの2ページでは、2番目の○で、このほか、専門的な分野別の研修とは別に、保育所における実習経験の少ない保育士試験合格者や潜在保育士が受講できるような「保育実践」の研修を設けることも考えられるということが書かれています。このことも大事ですが、むしろ、その前に多様な勤務体制で取り組んでおられる保育士全体に念頭に置いたとき、毎日8時間勤務の体系で仕事をしていない方々も十分に活用できるような仕組みも考えますと、やはりキャリアアップとか将来の様々な活躍も期待されますので、そのあたりの工夫などについて、どのように考えておられるのか。例えば、しばらく職を離れているけれども、再雇用にぜひ応じたいという人のために不可欠な研修があると思います。そのようなものや、あるいは様々な勤務体系の方々にも十分参加できるリフレッシュ研修とか、時にはリフレイン研修のようなものも本当に視野に入れていかないといけないと思います。
 長い説明になりましたが、以上の2つについて、御意見を聞かせていただければと思います。
○汐見座長 どなたかお答えいただけますか。では、企画官、お願いします。
○楠目企画官 1点目の園長や主任保育士の研修については、国としても、現在、委託事業の中で研修を実施しており、それに倣って都道府県等でも実施されている一方で、その中間の一般の保育士の部分については、内容がまだ各県でまちまちの部分があり、さらに、今回の保育指針でも新しく求められる分野などが示されていることも踏まえまして、今回の調査研究では中堅の職員の部分についての研修体系を対象にしております。
根本の問題として、園長先生や主任研修、初任者の研修についても、まだ課題はあると思いますので、将来的な課題として受け止めさせていただきたいと思っております。
 それから、働き方が多様になっていることも視野に入れてということを御意見としていただきましたが、今回、一定程度、標準化された研修を整備していくことで、その修了者の情報を、例えば、保育士・保育所支援センター等の情報と合わせて活用していくようなことも案として出ています。そういった中で短時間勤務の方や潜在的な保育士として職を求められている方が、キャリアアップの仕組みにおいて、新しく働く際に、研修により、こういうことを身につけているということを証明していくということもできるようになると思いますし、一定程度、質の整った研修を整備する中で、先生がおっしゃっていただいたような多様な働き方をしている人たちのステップアップにもつながるようなものにはなると思います。そういったことを中心に今回は検討しているものではないことも確かにございますので、ご指摘のあった課題も含めて引き続き検討を進めてまいりたいと思います。
 また、まだ中間取りまとめなのでイメージができていないというところは、先ほど課長から申し上げたとおりですが、山縣構成員から御質問があったところを少し補足させていただきますと、この議論をされている中で保育団体の方等も含めて議論させていただいていますので、イメージとしては、この6分野を単年度で全部というように研修に出すというのはなかなか難しいところがありますので、今の都道府県が実施しているものの実態でも、大体、中堅の職員の研修を15時間程度でやっているといったことも参考にしながら、今回、御検討いただいていますが、議論している中のイメージとしては、例えば1分野について、今年は受けたら、何年か後にまた受けるとか、一気に何十時間というのを1年間で取るということではなくて、少しずつ取っていくようなイメージです。そのような中でそれぞれ分野別の研修を整備してはどうかという共通のイメージを持ちながら、検討を進めているという状況です。
○汐見座長 ありがとうございました。山縣構成員、お願いします。
○山縣構成員 先ほどのものに対する回答をありがとうございました。私もその方が現実的だと思います。一方で、現実的なのですが、賃金格差を埋めるというときに、一部だけだったら埋められるのかとか、6セットで6分の1ずつ埋めていくのか、そういう技術的な問題を細かく検討しないといけないだろうなという感想です。
 もう一つは、本当に丁寧に私は議論していただいていて、マル1からマル6まで非常に重要だと思っています。それから、質を上げる話も当然、重要ですが、今の部分だけをミドル研修という表現で時間数を見たら、これは主任保育士より上の研修をしているではないかと思います。主任保育士はこれよりもっと上位の研修をしないといけないという感想です。これはなかなか大変だと思いました。
○汐見座長 では、小川構成員、お願いします。
○小川副座長 この中堅というのは一体、何年目ぐらいの方から研修を受けることができるというイメージなのでしょうか。1年に1つずつだと、これは6年かかりますよね。例えば、5年目からでいいのか、10年目からなのか。そんなに長くやっている人はそういないから、もっと早く3年目ぐらいからいいのか。そのあたりの動機づけにもなるためには一体どこからにするのか。そして、中堅と言うと、まだ3年ぐらいの人は中堅ではないだろうとは思いますが、そのあたりはどのようなイメージをお持ちでしょうか。
○巽保育課長 先ほど、議論の中でもありましたけれども、そもそも今、保育士の体系の中で園長、主任保育士、保育士というものしかありませんので、その主任保育士と保育士の中でキャリアアップの仕組みをつくることによって、専門性を磨いてもらって、保育の質を上げていくということがあると思います。
 実際、保育士が大体7.6年ぐらいの平均勤続年数になっていて、実際に若くして辞めてしまっていることもございますので、小川先生がおっしゃるように、そこに対するインセンティブも考えながら設定していく必要があると思っています。つまり、主任保育士ぎりぎりまで対象にしないということではなく、できるだけ保育士さんのモチベーションが上がるような仕組みが必要だと思っております。
○汐見座長 これから、まだかなり検討しなければいけないことがたくさんありそうですけれども、大きな方向としては、いろいろな可能性を切り開くということが期待されます。
 多分、山縣構成員がおっしゃってくださったように、従来は曖昧だったところが、底上げしなければいけないとか、保育所の場合、所長が保育士資格を持っていなければいけないという要件がございませんので、これは幼稚園と差があるということです。だから、先ほど網野構成員がおっしゃったように、所長とか主任のキャリアアップではないですが、研修を並行してやっていかなければならないということが出てくる可能性があります。議論していくといろいろなことにつながっていくのだと思いますが、いずれにしても、今、課長がおっしゃったように、日本の保育制度というのは保育士しかいません。あとは、所長と主任もいなくてもいいわけです。そのため、これだけとったら、例えば、うちの乳児保育主任は誰だというような形のポストができる状況になっていくのだと思いますが、そのためには一つ一つでいいのか、6つ全部取るのか。あるいはこれとこれをとったらというようなこととか、また細かく決めていかなければいけないことが次々と出てきます。
 ただ、それはどこかがやってくれるというのではなくて、この会が最終的に責任を持って進めていかなければいけないというところもありますので、ぜひ積極的に関心を持つと同時に、どんどん意見を言っていただきたいと思っています。
 網野構成員、お願いします。
○網野構成員 今の議論の中で本当に大事なのは、リーダー的職員というときの受けとめ方として、具体的にはこの科目数全部を網羅して研修を受けるということが大事な部分もあるかもしれませんし、もう一つは、障害児保育の分野で本当に中核的に仕事を続けていきたいというような方にとって、専門性とキャリアを積み上げるという趣旨が両方含まれているような気がします。
 例えば、乳児保育もいろいろなことを最初は経験して、乳児保育が一番というような場合に、それをキャリアアップにつなげる出発点なり、その積み上げの中でこれを生かしていくとすれば、毎年、乳児保育だったら乳児保育の研修に、いろいろな形式があると思いますが、ゼミナール形式の場合には毎年どんどん参加するとか、いろいろなことが想定できると思います。
 そうすると、保育士養成校の場合で常に議論されてきましたが、例えば、4年制大学の場合は、2年間の間で基本的なものを全部しっかり学んで、3年生以上になったら、やや専門的な分野に特化して深めることの重要性がしばしば議論されています。それを進めている学校も結構あるわけですが、そのような趣旨からいいますと、まさに主任や園長が果たすリーダーシップ的なものとは異なった、専門性を深める機会としては、時期的には一番望ましいという気がしていまして、それをさらに積み重ねていけば、その方にとっての自分自身の保育士としてのアイデンティティーもより高まっていくと思います。義務的に全ての科目を履修するということではなくて、研修すれば何らかの恩恵があるという点も含みつつ、もう一つの今申し上げたような点も重視してはいかがかなと思いました。
○汐見座長 そういう形で、どうぞ御意見・御要望を出していただければと思います。
 村松構成員、お願いします。
○村松構成員 今のお話を伺っていて、そういう多面的な考え方もありかなと思いますが、実際の問題としては、保育園の中というのは、今年は乳児の担任だったけれども、来年は幼児になるというように、いつも固定的にその年齢を担当するばかりではなく、加えて、職員間の相性などもあるので、いつも乳児の担当というわけにはいきません。
 その上で、この6つの柱を改めて読ませていただいて、乳児保育・幼児保育に関しては、どの保育士もきちんと専門性を高めてほしいと思う一方で、障害児保育や保健衛生、子育て支援といったところについては、専門性に特化した保育士がいても良いと思います。例えば、子育て支援であれば、支援センターの担当の保育士になれますし、障害児保育のことを極めれば、障害児が入ってきたとき、それから、配慮を必要とする子が入ってきたときの手だても専門的に一緒に考えてくれる人がいるとか、そういうことを考えると、6つの柱はとても大事な柱なのですが、分野を選択して専門性を高めることをできればよいと思いましたが、いかがでしょうか。
○楠目企画官 先生がおっしゃっていただいた内容の議論もございまして、中間的な取りまとめの中でも、最後の3ページの「4.その他」になりますが、2つ目の○で、この6つの分野におけるリーダー的な活動をする人がいる一方、特定の分野について、より高度な専門性を高めてもらうことも大事ではないかという議論もされておりますので、御意見を承ってまいりたいと思っております。
○汐見座長 他にどうでしょうか。河端構成員、お願いします。
○河端構成員 キャリアパスということですが、就職する保育施設の種類によって大きく異なる印象があります。例えば、認可保育所のキャリアパスと、認可外保育所に就職した場合のキャリアパスと、入った時点で若い保育士の将来のキャリアパスのイメージが大きく異なるのではないかと思います。
 例えば、給与体系でいえば、私は保育士の詳しい給与体系は存じ上げないのですが、全体で見れば全産業の女性労働者との賃金差が4万円程度あるということですが、保育士の中でも相当な賃金格差があるのではないかと思います。例えば、公立の認可保育所に常勤として就職した場合の賃金と比較して、認可外保育所に常勤として入った場合の保育士の給与はどの程度下がるのかを私は存じ上げないのですけれども、キャリアを積めば積むほどその差が大きくなってくるのではないかという印象がありますが、保育士の中での賃金格差という点について、教えていただきたいと思います。
○巽保育課長 経営実態調査を実施していまして、平均年収は、園長で640万円、主任保育士で460万円、保育士で310万円程度となっています。
○河端構成員 それは認可保育所でしょうか。
○巽保育課長 認可保育所です。今回の処遇改善の話につきましても、これは公定価格の処遇改善加算ということで、これまで行ってきているものと同様、基本的には認可保育所での処遇改善になります。認可外の保育所は基本的には直接契約でやられていて、保育料の中で運営することになります。我々としても、保育の質が確保されている認可保育所のほか、新制度では小規模保育等ができましたので、基本的には新制度に基づく仕組みの中での処遇改善だと考えているところでございます。
○河端構成員 例えば大学でも、任期なしで雇用される教員と任期付きで転々といろいろな大学に行かなければいけない教員や、ドクターを取ってもポスドクとして不安定な雇用でキャリアを積んでいく人など、様々なルートがありまして、職業として書く欄は一見一緒であっても、終身雇用の契約をしている教員と、そうでない教員とのキャリアパスが大きく異なります。そういうことが保育士についても、ある程度当てはまるのではないかという気がしました。
○巽保育課長 現実的には、常勤と非常勤の職員がいて、昨今、特に、非正規化というのが問題になっています。保育人材の確保ということで、特に、派遣というような形で保育所で働いている保育士もいます。こうした中、来年度の処遇改善加算の2%の部分については、基本的には常勤、非常勤に関係なく、公定価格に加算するというような形で対応する予定です。
 非常勤につきましては、我々は、できるだけ保育の質を上げるという意味では、正規職員が望ましいと思っていますが、例えば、先ほどの資料3-3の報告書の中で、一番最後に書かれていますが、身に付けた技能が評価されることによって、例えば、「離職した後の職場復帰の促進等でも有効と考えられる」ということが書いてあります。Aという研修を受けたら、その人はAという研修を受けていることを評価するという仕組みを作ることによって、職場復帰も円滑になるということを期待しています。先ほども言いましたように、今は保育士という資格しかないので、研修を受けているということについても、先ほど、障害児保育の話がありましたが、自治体ごとに研修をやっている状況ですので、もう少し、国として体系化して、それを評価していくことが望ましいのではないかということで考えております。
○汐見座長 ありがとうございました。では、山縣構成員、お願いします。
○山縣構成員 今、議論を聞きながら、先ほどの私の発言を修正した方がよいと思いましたので、お伝えさせていただきます。
冒頭で賃金格差のことがあったので、保育士の質の向上と処遇改善をセットで考え過ぎたと思い、反省しています。まず、村松構成員がおっしゃったように、質の向上ということを考えたら、専門分野に特化した人がいてもよいのではないか。どういう組み合わせでもよいのではなくて、そこの中での状況を踏まえて、その後に処遇改善案を議論した方がよいと思いました。
並行して考えると、非常に混乱してしまいますので、まず、保育士として、今、どういうレベルの研修が必要なのかをきっちり議論いただいた方がよいと反省しています。
○汐見座長 関連しますが、片一方の手段にするような感じではなくて、これはこれとしてきちっと議論した方がよいということですね。私も当然そうだと思います。
 小川構成員、お願いします。
○小川副座長 ここで申し上げるのは申しわけないですが、本当に質の良い保育士はこれが行われていくことによって増えていくと思います。そうすると、世の中の人は自分のお子さんが保育園に行けないという場合に、みんな無認可に行かざるを得なくて行っていますので、そういう人たちはより認可園を希望するという声が高まると思います。
 そのようなときにどのようにしていったらいいのか。普通の母たちの話をよく聞く機会がありますが、保育士の質を上げる研修は絶対に必要ですが、もっと認可園を増やしてほしいという声が高まると思うので、きとんとした研修を積んだ保育士たちがいる園を充実させていかなければいけないなということを感じました。
○汐見座長 そうですね。いろいろ連動して新しい動きが出てくる可能性があります。ただ、この検討会としては、こういう形で進めてくださっていますので、それを受けた上できちんとした評価もしなければいけないと思いますので、意見をまとめたり、あるいは次の段階というものを構想することもやっていかなければいけなくなります。ですから、これについては、ともかく、正確に理解した上で、きちっとまたどこかで議論するということをやりたいと思います。
 本日は、こういう形で進んできていて、懸案だったことが一歩前に進むことが期待されるということになりましたので、関心を持って、しっかりと見届けていきたいと思いますが、必要な御意見はどんどん寄せていただきたいと思います。
この件について、これだけはということがないようでしたら、今日はそういう形で進んでいるという報告が中心でしたので、このあたりにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、今日は御議論ありがとうございました。では、次回の日程等について、事務局よりお願いします。
○川島課長補佐 事務局でございます。
 構成員の皆様方、本日は貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。
次回の検討会の日程につきましては、別途、日程調整の御連絡をさせていただきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。
○汐見座長 それでは、今日はどうもありがとうございました。

(了)

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