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2015年5月1日 肝臓機能障害の認定基準に関する検討会(第1回)

社会・援護局障害保健福祉部

○日時

平成27年5月1日(金) 17:00~19:00


○場所

厚生労働省専用第23会議室(6階)


○出席者

坂井田功構成員、高見裕子構成員、田中純子構成員、中村耕三構成員、持田智構成員、八橋弘構成員

○議題

(1)検討会の開催について
(2)現行の肝臓機能障害の認定基準について
(3)厚生労働科学研究費補助金(障害者対策総合研究事業)分担研究の結果報告について
(4)肝臓機能障害の認定基準の検討について
(5)その他

○議事

○高山課長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまから「第 1 回肝臓機能障害の認定基準に関する検討会」を開催いたします。皆様方におかれましては、お忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございます。私は社会・援護局障害保健福祉部企画課の高山と申します。どうぞよろしくお願いします。議事に先立ちまして、障害保健福祉部長の藤井より、皆様にご挨拶を申し上げます。

○藤井部長 障害保健福祉部長の藤井と申します。どうぞよろしくお願いいたします。本日は先生方、大変お忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。また、皆さんそれぞれにお忙しい立場でご活躍されていらっしゃる中で、この度はこの検討会への参加を大変快くお引き受けいただきまして、心から感謝申し上げる次第でございます。

 身体障害の認定の対象に肝臓機能障害が加わったのは平成 22 4 月からです。実はそのとき、私は企画課長の職にありまして、このような検討会をやらせていただきましたが、それ以降、今、部長として戻ってくると、 7,000 人以上の方が肝臓機能障害による身体障害という認定を受けています。一方で、肝臓機能障害の患者さんなどから、肝臓機能障害の認定基準が厳しいのではないかというようなご指摘もいただいています。この検討会では、肝臓機能障害の患者さんの現状等を十分踏まえていただきまして、その認定基準について検討を行っていただくことを目的としております。私どもは障害者総合支援法を常々運用しているわけですが、障害福祉サービスが必要な肝臓機能障害の患者さんを適切に認定していただくために、これは大変重要な検討会であると私は認識しておりますので、先生方には是非、活発なご議論をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○高山課長補佐 続きまして、構成員の先生方のご紹介をさせていただきます。資料 1 2 ページ目に名簿を添付しておりますが、ご所属についてはそちらに記載がありますので、この場ではお名前のみご紹介します。まず、坂井田功構成員です。続きまして、高見裕子構成員です。続きまして、田中純子構成員です。続きまして、中村耕三構成員です。続きまして、持田智構成員です。続きまして、八橋弘構成員です。

 続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。先ほどご紹介申し上げた、障害保健福祉部長の藤井です。続きまして、企画課長の川又です。そして、私が企画課の高山です。どうぞよろしくお願いいたします。なお、部長の藤井につきましては、公務のため、これにて退席させていただきます。どうぞご了承くださいませ。

○藤井部長 申し訳ございません。

○高山課長補佐 それでは、本検討会の立ち上げに際し、座長の選出をお願いしたいと思います。どなたかご推薦はありますか。

○八橋構成員 中村構成員に座長をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○高山課長補佐 皆様、よろしいでしょうか。

                                   ( 異議なし )

○高山課長補佐 それでは、今ご推薦のあった中村構成員に座長をお願いしたいと存じます。中村構成員の所に座長のプレートを置かせていただきます。

 それでは中村構成員、座長ということで、この後の議事進行についてよろしくお願いいたします。

○中村座長 ご指名いただいた中村でございます。ただいま藤井部長のほうからご説明がありましたように、この検討会は平成 20 年に開催されて、平成 21 年に報告書が提出されました肝臓機能障害の評価に関する検討会に続く身体障害認定における肝機能障害の認定の基準をどのように考えていくかを確実的に、あるいは現状を踏まえながら検討する大変重要な会であると認識いたしております。構成員の皆様のご協力によって、十分な議論と円滑な会の運営に務めたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 それから、開催要綱に基づくと、座長の代理を座長が指名することとなっております。それで、今、私が申し上げました、評価に関する検討会の構成員でもあり、また、今回の資料にも入っております肝硬変患者の生命予後の検討についての報告をしておられます八橋構成員にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

                                   ( 異議なし )

○中村座長 ありがとうございます。それでは、そのようなことで進めたいと思います。では早速、議事に入りたいと思いますが、まず事務局から資料の確認をお願いします。

 

○高山課長補佐 それでは、資料の確認をいたします。表紙の議事次第に続きまして、資料 1 「肝臓機能障害の認定基準に関する検討会の開催要綱」になります。そして、資料 2 「身体障害者手帳制度について」です。資料 3 「肝臓機能障害の認定方法について」、そして、資料 4 「厚生労働科学研究費補助金 ( 障害者対策総合研究事業 ) 分担研究報告書」の「肝硬変患者の生命予後の検討」についてです。そして最後、資料 5 「肝臓機能障害の認定基準に関する論点」、参考資料として「身体障害認定基準等について」で、 7 種類の資料をまとめて冊子にしています。

 以上、お手元にございますでしょうか。過不足があれば事務局までお知らせください。なお、この検討会は公開ですので、資料、議事録については、後ほど厚生労働省のホームページに掲載されることになりますので、あらかじめご了解いただきたいと思います。事務局からは以上でございます。

○中村座長 それでは早速、議事に入ります。まず議事の (1) 検討会の開催についてですが、事務局からご説明をお願いします。

○高山課長補佐 それでは、資料 1 をご覧ください。「肝臓機能障害の認定基準に関する検討会の開催要綱」です。この内容につきまして、事務局から簡単にご説明申し上げます。この検討会は、身体障害認定における肝臓機能障害の認定基準につきまして、有識者の先生方、それから関係者の方々にお集まりいただき、検討を行う会です。そして、構成につきまして、この検討会は、社会・援護局障害保健福祉部長による検討会と位置づけまして、開催についても同部長が開催することといたします。構成員につきましては、資料 1 2 ページ目に記載のある先生方です。

 それから、先ほど中村構成員及び八橋構成員に着任いただきましたが、本検討会に座長及び座長代理を置くこととなっております。先ほど行われましたが、座長は構成員の互選により選出して、座長代理は構成員の中から座長が指名することとしております。そのほか、本検討会の運営に関しては、座長が必要な事項を定めることとします。そして、この検討会の召集等については座長が必要に応じて行うものとします。それから必要に応じて、意見を聴取する必要がある場合には、参考人を招聘できることとします。この検討会の庶務、事務については、社会・援護局障害保健福祉部企画課が行うこととします。この要綱に定めるもののほかに、検討会の運営で必要な事項については座長と相談の上、社会・援護局障害保健福祉部長が定めることとしたいと思います。この検討会の開催要綱については以上でございます。

○中村座長 この検討会の開催要綱について、ご質問等がありましたらお願いいたします。特にないようでしたら、ご了解いただけたということで、議事 (2) 「現行の肝臓機能障害の認定基準について」に移ります。事務局より資料の説明をお願いします。

○高山課長補佐 資料 2 及び資料 3 をご覧ください。まず資料 2 ですが、身体障害者手帳制度についてです。 1 ページは、現在の身体障害者手帳制度の概要になります。身体障害者手帳については、身体障害者福祉法に定める身体上の障害がある方に対し、都道府県知事、指定都市の市長又は中核市の市長が交付することとされております。これは、身体障害者福祉法第 15 条によって定めるものです。

 交付対象者は、身体障害者福祉法に定める身体上の障害がある者と定めております。その障害の種類は、 1 ページ目にあります1から9まで大きく 9 つの種類に分かれております。視覚障害、聴覚又は平衡機能の障害、音声機能・言語機能又はそしゃく機能の障害、肢体不自由、心臓・じん臓又は呼吸器の機能の障害、ぼうこう又は直腸の機能の障害、小腸の機能の障害、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害、そして今回ご検討いただく肝臓機能障害の 9 つの種類となっております。

 障害の程度についてですが、障害に該当するかどうかの詳細については、身体障害者福祉法施行規則別表第 5 号にある「身体障害者障害程度等級表」において、障害の種類別に、重度の側から 1 級から 6 級に等級が定められています。冊子になっている参考資料の 1 ページに「身体障害者障害程度等級表」を載せてあります。先ほど申し上げた視覚障害、聴覚障害など 9 つの障害の種類及びその程度に応じて 1 級から 6 級まで、肢体不自由については 7 級という記載がありますが、内容としては 1 級から 6 級に分かれております。

 この表の一番右の列に太字で囲っているのが、今回対象となる肝臓機能障害です。肝臓機能障害については 1 級から 4 級まで等級が分かれています。 1 級は、肝臓の機能の障害により日常生活活動がほとんど不可能な状態です。 2 級は、肝臓の機能の障害により日常生活活動が極度に制限される状態です。 3 級は、肝臓の機能の障害により日常生活活動が著しく制限されるもので、その中でも、社会での日常生活活動が著しく制限されるものは除きます。 4 級は、肝臓の機能の障害により、社会での日常生活活動が著しく制限される状態です。これが、肝臓機能障害における等級です。

 資料 2 1 ページに戻ります。身体障害者手帳の平成 25 年度末時点での交付者数は、全国で 525 2,580 人です。 1 級から 6 級の内訳も記載しておりますが、一番多く交付されているのが 1 級で 160 7,534 人です。その次に多いのが 4 級で 127 8,689 人です。そのうち肝臓機能障害で手帳を交付されている方は合計して 7,125 名です。一番多いのが 1 級で 5,798 人、 2 級が 697 人、 3 級が 369 人、 4 級が 261 人という現状です。

2 ページは、参考資料でご紹介した等級表について、○を付けて、各障害における等級を示したものです。外部機能障害、内部機能障害とありますが、各障害に応じて障害の程度の等級が分かれています。

 肢体不自由について、 7 級の所は△となっております。 7 級については、 7 級に相当する障害が 2 つ以上ある場合に 6 級として手帳が交付され、単独の障害では認定対象とならないということで△となっております。資料 2 については以上になります。

 資料 3 は、肝臓機能障害の認定方法について、現行の認定基準に関する資料です。 1 ページは、身体障害者手帳制度における肝臓機能障害の経緯です。平成 20 10 月に、「肝機能障害の評価に関する検討会」が設置され、合計 7 回の検討会が開催されました。そこで認定基準についての議論がなされました。この検討会において、肝機能障害が重症化し、治療による症状の改善が見込めず回復困難になっているものについては身体障害の対象となる旨の報告書が取りまとめられました。これが、平成 21 8 24 日です。

 参考資料の 21 ページに、この時の検討会の報告書を付けております。通し番号の 24 ページに、「肝機能障害の範囲について」の上から 3 つ目の○に、今申し上げた肝機能障害が重症化し、治療による回復が見込めないものは身体障害の対象になるものと考えられる旨の記載があります。そのようにして報告書がまとめられました。

 その年の 9 11 日に開催された「疾病・障害認定審査会身体障害認定分科会」において、この認定基準も含め、肝機能障害を身体障害者手帳の交付対象範囲に追加するということで了承いただきました。それに伴い、身体障害者福祉法の政省令を改正し、平成 22 4 月から施行されてきました。

 肝臓機能障害における身体障害者手帳交付の対象者はどういう方かというと、肝臓機能障害となった原因は問わないというところがあります。その等級については 1 級から 4 級までの障害として認定されます。この 1 級から 4 級までに定められた理由としては、これまで対象とされてきた他の内部障害の等級も参考として勘案されて、 1 級から 4 級までと定められました。

 参考までですけれども、身体障害者福祉法に基づく身体障害の考え方は、 1 ページの参考 1 にある1から3が基本的な考え方になります。身体機能に一定以上の障害があること。永続する障害であること。日常生活が著しい制限を受ける程度であること。この 3 つが合致することが、身体障害の対象としてきております。肝臓機能障害の認定の基準は、参考 2 にあるように、国際的な肝臓機能障害の重症度分類 Child-Pugh 分類による血液検査の値に応じた「点数」などを踏まえ、 3 段階で最も重症のグレード C に該当する患者さんが対象であるということとなりました。この患者さんのうち、日常生活の制限の程度を考慮して、 1 級から 4 級まで等級を分けて認定することとなっております。

2 ページは、その内容について紹介したものです。 Child-Pugh 分類で最も重症のグレード C の状態が 3 か月継続していることが最低限の条件になります。それに該当している方において、日常生活活動の制限を示す項目、 2 ページの右側の四角で囲った項目の合致する数に応じて等級を分ける決め方となっております。日常生活活動の制限の項目は、 a から j の項目に分けられています。 a から c が、主に血液検査による評価です。 d から g が、症状に影響する病歴ということでの内容です。 h から j が日常生活活動に関係する症状の項目として挙げられています。

 肝臓機能障害の認定基準の考え方については、これから検討していただくものですので、もう少し詳しくご説明いたします。参考資料の 4 ページは、肝臓機能障害の身体障害認定基準の抜粋です。等級の 1 級から 4 級まで、具体的にどのような状態の方が 1 級になるのか、そして 2 級、 3 級、 4 級となるのかを詳細に記載したものです。 1 級に該当する方は、 ( ) ( ) を同時に満たす必要があります。 Child-Pugh 分類の合計点数が 10 点以上ということで、これはグレード C に該当します。それに加えて血清アルブミン値、プロトロンビン時間、血清総ビリルビン値の項目のうち 1 項目以上が、 Child-Pugh 分類の最高点である 3 点の状態が 90 日以上続くことが条件となっています。それに加え、 ( ) で、 a から j の項目のうち 5 項目以上が認められる場合が、この等級の 1 級に該当することとなっています。

2 級に該当する障害は、 Child-Pugh 分類の基準については 1 級と同様です。合計点数 10 点以上であって、血清アルブミン、プロトロンビン時間、血清総ビリルビン値のうち 1 項目以上が 3 点以上の状態が 90 日以上続く者です。そして日常生活の項目の ( ) の所が、 1 級よりも少し緩くなっていて、 a から g までの 1 つを含む 3 項目以上が認められる状態が 2 級に該当します。

3 級に該当する状態は、 Child-Pugh 分類が 10 点以上ということは変わらないのですが、この 10 点以上の状態が 90 日以上続けば、まず 1 つ目の条件が満たされることになります。 ( ) として日常生活の制限の項目が、 a から g までの 1 つを含む 3 項目以上が認められれば、この 2 つの条件を満たしたものについては 3 級に該当するものです。

4 級の内容は、 3 級と同じく Child-Pugh 分類が 10 点以上の状態が 90 日以上続くことが 1 つ目の条件で、(イ)日常生活の制限の項目 a から j のうち、 1 項目以上が認められれば 4 級に該当するものです。

 肝臓移植を受けた方については 1 級に該当するのですが、肝臓移植を行った方で、抗免疫療法を行っている方については、抗免疫療法を必要としている期間内では 1 級に該当するという規定があります。以上が、肝臓機能障害の現行の認定基準です。以上が、資料 2 及び資料 3 の内容になります。事務局からは以上です。

○中村座長 身体障害者手帳制度、肝臓機能障害の認定の方法について、資料 2 及び資料 3 を使って説明していただきましたが、ご質問等がありましたらお願いいたします。

○八橋構成員 資料 3 3 枚目、「肝臓機能障害の身体障害者手帳交付台帳登載数の推移」ということで推移が書かれているのですが、これは累積でよろしいのでしょうか。

○高山課長補佐 大変失礼しました。 3 ページ目の説明が抜けておりました。資料 3 3 ページに、肝臓機能障害身体障害者手帳の交付の数があります。肝臓機能障害の手帳の交付は平成 22 年から始まりましたが、その時に交付された数が 5,876 人、平成 23 年度は 6,276 人、平成 24 年度は 6,556 人、これは年度末の時点での数になります。

○中村座長 累積数ということですね。

○高山課長補佐 累積数ではなく、例えば平成 22 年度末では 5,876 人ですので、平成 22 年度末時点で身体障害者手帳を交付されている肝臓機能障害の方の数になります。

○八橋構成員 その時点の数ですね。

○高山課長補佐 その時点です。

○川又課長 これは、各県から報告を頂いています。年度末現在で、各県で何人が肝機能障害で手帳を持っているかということです。年度末現在の手帳所持で台帳に登録されている数になります。

○八橋構成員 死亡された方は、登録から外れるのですか。

○高山課長補佐 外れます。

○中村座長 現時点で手帳をご利用いただいている方ということです。

○八橋構成員 正確な累積ではないけれども、 1 年間に死亡されている方もおられますので、およその累積を少し反映している要素もあると理解してよろしいでしょうか。

○中村座長 そうですね、でも確実に増えています。詳細に説明をしていただきましたので、他にないようでしたら次に進みたいと思います。何かありましたら、この資料をまた使うことになろうかと思いますが、そのような扱いにさせていただきます。

 それでは議事 (3) 「厚生労働科学研究補助金 ( 障害者対策総合研究事業 ) 分担研究の結果報告について」に移ります。昨年度、本検討会の構成員であります八橋先生が、厚生労働科学研究費補助金の障害者対策総合研究事業において、肝硬変患者の生命予後について調査研究されました。本日はその結果をご報告いただきます。

○八橋構成員 資料 4 の報告書に沿ってご説明します。研究のタイトルは「肝硬変患者の生命予後の検討」で、障害者対策総合研究事業の江藤研究班の中で検討いたしました。

 はじめに、平成 22 年度に肝機能障害が固定し、かつ永続していることを示す肝硬変の基準になる Child-Pugh 分類 C の患者を対象とした肝障害の身体障害認定制度が導入されましたが、患者団体等から、 Child-Pugh 分類 B などの肝硬変患者であっても、日常生活の制限が長期間続いている者が少なくないといった声が寄せられ、認定基準の見直しを希望する意見が多く寄せられています。

 今回この研究の中で、肝硬変患者の実態を明らかにする目的で、当院の肝硬変患者の診療録から、 Child-Pugh 分類 A B C ごとに、その実態と生命予後を検討し、肝障害の身体障害認定基準について考察いたしました。

 方法は、 2009 10 1 日から 2010 9 30 日までの期間に、当院に通院した肝硬変患者は 267 名です。登録の基準は、過去の肝生検若しくは画像検査・血液検査によって臨床的に肝硬変と診断されている症例で、かつ上記期間内に、腹部超音波検査を受けた症例です。腹水の程度を評価するために超音波を受けた症例にしています。観察期間が 1 か月未満のものは除外しています。観察開始は 2009 年から 2010 年の腹部超音波開始日を観察開始日として、最終観察日を 2013 11 30 日としています。この研究は当院の倫理委員会で承認を得ています。

 結果は、肝硬変患者 267 名の背景について簡単にご説明します。男性が 139 名、年齢の中央値は 64 歳です。肝がん合併例が 56 例で 21 %です。ポイントとなる登録時の Child-Pugh 分類 A の方は 210 名で 78.7 %、 B の方は 46 名で 17.2 %、 C の方は 11 名で 4.1 %の頻度でした。平均 3.5 年観察し、そのうち 37 名で 13.9 %の方が亡くなっています。 C に関しては、肝がんが 15 名、肝不全が 5 名、他病種は 10 名、不明が 4 名でした。

 表 2 267 名の原因別と Child-Pugh 分類 A B C 別の分布を示していますので、後でゆっくり見ていただきたいと思います。 Child-Pugh 分類 B C の患者さんは、 C 型肝炎の方が多いのがご理解いただけるかと思います。

 生存率に関しての結果は、対象例全体の累積生存率は、 1 年目が 95.8 %、 2 年目が 91.8 %、 3 年目が 87.3 %でした。 Child-Pugh 分類別に 3 年目の累積生存率を見ると、 Child-Pugh 分類 A の方は 93.5 %と比較的良好ですが、 Child-Pugh 分類 B の方は 71.0 %、 Child-Pugh 分類 C 30.7 %です。 Child-Pugh 分類 B の方は、 3 年以内に 3 割の方が亡くなり、 Child-Pugh 分類 C の場合は 7 割の方が亡くなっていたという結果です。

 図 2 は、 Child-Pugh 分類 A B C ごとに、 3 年後どのような転帰になったかを示した図になります。具体的に示すと、 Child-Pugh 分類 A の方は、観察開始時、全員で 210 名が A で、多少ドロップアウトがありますので、 3 年後で見ると、その時点の母数で見ると、 Child-Pugh 分類 A のままの方は 76.4 %です。 27 例で 12.9 %の方は Child-Pugh 分類 B に、 4 例で 1.9 %の方は Child-Pugh 分類 C に、 14 例の方は Child-Pugh 分類 A から死亡に至っています。

 同様に Child-Pugh 分類 B で見ると、 Child-Pugh 分類 A まで改善した方が 5 名で 12.8 %いましたが、 B のままの方が 35.9 %でした。 Child-Pugh 分類 C に進展した方が 20.5 %、死亡した方が 30.8 %になります。 Child-Pugh 分類 C では、 3 年後どうなったかということですが、 Child-Pugh 分類 B に改善された方が 2 例、 Child-Pugh 分類 C のままの方が 1 例、死亡された方が 7 例です。 Child-Pugh 分類 B C という括りで見ると、少なくとも Child-Pugh 分類 A に改善された方は、 Child-Pugh 分類 B の中の 5 例で 12.8 %でした。 Child-Pugh 分類 B C は不可逆的な病態であるということを明らかにしました。

 肝硬変患者さんの総死亡に寄与する独立因子は、 Child-Pugh 分類が A の方に対して、 Child-Pugh 分類 B C の方は 3.86 倍リスクが高いということ。血清 Na 値が 140 以上の方に比して、 140 以下は 3.32 倍リスクが高い。肝がんがない人に比べて、肝がんのある人は 2.33 倍リスクが高い。 HBs 抗原が陰性の方のリスクを 1 にすると、 HBs 抗原が陽性の場合は 0.08 倍ということで、これは B 型肝炎の方の予後が良いことを意味します。

 これらの結果から考察しました。今回 Child-Pugh 分類 A B C ごとに、肝硬変患者の生命予後を検討したところ、 Child-Pugh 分類 C の患者の 3 年目の累積生存率は 30.7 %と低く、本認定基準の対象者の 7 割が 3 年以内に死亡していることが明らかとなりました。現行の認定基準をそのまま継続した場合、その福祉サービスを受給できる期間の受給可能な対象者は限定的と考えます。肝移植を行っていない肝硬変患者を対象とした場合、肝機能障害の 1 級から 4 級までの等級に関係なく、 Child-Pugh スコアで 10 点以上の分類 C が、現行の肝機能障害の身体障害基準の必要条件となっております。今後は、本基準の再検討が必要と考えています。

 仮に Child-Pugh 分類のスコアで 7 点以上の分類 B Child-Pugh 分類 B に基準を引き下げた場合でも、この集団での 3 年目の累積生存率は 71.0 %と必ずしも高くありません。また、この集団で 3 年後に病態が改善した者の頻度は 12.8 %であり、残りの 87.2 %の患者の病態は、現状維持か病態が悪化していました。そのようなことで、 Child-Pugh 分類 B C は基本的に不可逆的な変化と判断しました。

 結論としては、今回、肝硬変患者の実態を明らかにする目的で、 A B C ごとにその実態と生命予後を検討し、肝障害の身体障害認定の基準について考察を行いました。 Child-Pugh 分類 C 3 年目の累積生存率は 30.7 %と低く、本認定基準の対象者の 7 割が 3 年以内に死亡していました。現行の認定基準をこのまま継続した場合、その福祉サービスを受給できる期間の対象者は限定的と考えます。また Child-Pugh 分類 B C の病態は、基本的に不可逆であり、その中から Child-Pugh 分類 A まで改善する例は少ないと考えられました。 Child-Pugh 分類のスコアで 10 点以上の分類 C を必要条件とする現行の認定基準は、今後は 7 点以上の分類 B に基準を引き下げる等の改正を行うことで、肝硬変患者が適正に本制度の恩恵を享受することが可能と考えた次第です。以上です。

○中村座長 今、結果と考察並びに結論も述べていただきまして、ありがとうございました。今の八橋構成員の報告につきまして、ご質問等ございましたらお願いしたいと思います。よろしくお願いします。先生、この対象になった 267 名は国立病院機構長崎医療センターに通院された方ということですね。

○八橋構成員 当院の患者さんです。

○中村座長 そうしますと、あとは、こういうデータが全国にあるわけでは必ずしもありませんが、今日は肝臓のご専門の先生方が多数お見えになっていますので、このデータの示すところについて、ご意見なり実感なりをお聞かせいただけると有り難いと思いますが、いかがでしょうか。どういう順番でお聞きしていいか分からないのですが、お願いしてよろしいでしょうか。持田構成員、お願いします。

○持田構成員 データに関しての質問です。 Child-Pugh 分類 B の患者さんは 46 名で、この中で、その後に Child-Pugh 分類 A になったり、 B のままでいたりする患者さんが約半数を占めていますね。これらの患者さんのベースラインでの Child-Pugh 分類の点数はどのぐらいだったのでしょうか。 B から C になったり、死亡したりした患者さんと、ベースラインでの点数が違ったのかどうか。また、死亡した患者さんの死因が何であったのか。肝不全になって亡くなったのか、がん死なのか。今後議論する上では、これらが重要になると思いますが、いかがでしょうか。

○八橋構成員  Child-Pugh 分類 B で改善した 5 例の方は前のスコアが 7 点ということで、ちょうど A B の境界領域の方です。それと死因に関しては肝不全死と肝がん死がほとんどです。

○持田構成員  Child-Pugh 分類 C になった 8 例の患者さんは、ベースラインの点数が多くは 8 点、 9 点ですね。

○八橋構成員 そうです。

○持田構成員 そこら辺の点数で、 Child-Pugh 分類 B の患者さんを分けて考えることはできますか。

○八橋構成員  Child-Pugh 分類スコアで、より点の高い人のほうが B の中でも予後が悪いし、 Child-Pugh 分類 C の中でも 12 点、 13 点の方は非常に予後が悪いということで、ある意味、 Child-Pugh 分類スコアというのは予後と相関すると改めて実感した次第です。

○中村座長 今先生がおっしゃったのは、連続的なもので人為的に A B と分けているところがあるというところですかね。

○八橋構成員  Child-Pugh 分類スコアでは 5 つの項目をそれぞれ評価して、最高点は 15 点になります。ただ、改めてこのスコアというのは非常によくできたスコアだなと思います。 Child-Pugh 分類 A というのも 6 点までなのです。だから 2 点が 1 個の場合は A にとどめている。ただ、 2 点のものが 2 つあると Child-Pugh 分類 B になります。 50 年前に作られたスコアですが、世界的にずっと使われているのと、なかなかこれに代わるものがなく、それなりによく考えられていると思いました。

○中村座長 よく分かりました。ありがとうございました。ほかにご質問なりあれば、どうぞ。田中構成員、お願いします。

○田中構成員 この対象者の背景についてですが、全国の肝硬変の患者さんを調べるわけにいかないので、先生が担当された肝硬変患者さんですけれども、この患者背景の B 由来、 C 由来、そのほかの由来の割合はどんなものなのでしょうか。先生の所は全国の肝硬変患者さんを反映していると考えて、よろしいでしょうか。

○八橋構成員 当院での B 型肝炎の患者さんの頻度が 33 %です。 2008 年の肝臓総会で報告された肝硬変患者 3 3,000 例の検討では、 C 型肝炎由来が 60.9 %、 B 型肝炎は 13.9 %、アルコールが 13.6 %との頻度ですので、この全国平均と比べると当院は B 型肝炎の頻度が高いということになります。ただ、 Child-Pugh 分類 B C になってくると B 型肝炎の方の数が少なくなります。現時点で予後のことが問題となるのは C 型肝炎由来の肝硬変の方だと思います。

○中村座長 田中先生、それでよろしいですか。

○田中構成員 ほかの先生方の意見を聞かせていただけますか。

○中村座長 分かりました。

○坂井田構成員 私の知っている限りでは沖縄だけが違って、あそこの肝硬変の原因はアルコールなど生活習慣に関連したものがすごく高いです。あとは、ほとんど八橋先生が言われたとおりだと思います。

○持田構成員 八橋先生のデータを見て、 Child-Pugh 分類 B の患者さんが比較的少ない集団だと思いました。我々の施設では、もう少し Child-Pugh 分類 B の患者さんがの比率が多い印象があります。八橋先生の施設では B 型肝炎の患者さんが多かったことが、 Child-Pugh 分類 B C の患者さんが少ないことの原因でしょうか。

○中村座長 持田構成員の所ですと、 C の比率が多いと。

○持田構成員  Child-Pugh 分類 B の方の比率はもう少し多いと思います。八橋先生のデータは Child-Pugh 分類 A の患者さんがかなりを占めていますよね。我々の施設の比率と少し違うのではないかとの印象がありました。

○中村座長 ほかに、いかがでしょうか。高見構成員、いかがでしょうか。

○高見構成員 私どもは外科ですので、普段、目にしているのは Child-Pugh で言えば A だけなのです。ある程度進行してきた患者さんが B C になってくるという格好です。この割合というのは私たちにとっては、むしろ特別なというか、これは内科の集団なのかなと思います。日頃、目にしていて、永続する障害というよりも進行していく障害なのだというのは常に印象として感じています。八橋先生のこのご報告というのは、 3 年後にこれだけ予後が悪くなってくるというのを、きちんと数字で表していただけたのかなということで非常に分かりやすい結果だと思います。

○中村座長 ありがとうございます。田中構成員、お願いします。

○田中構成員 持田構成員がおっしゃったように施設によって違うと思いますが、今回は Child-Pugh 分類 A Child-Pugh 分類 B Child-Pugh 分類 C ということで推移がどうなるかを見るわけですから、その比率はあまり関係ないかなと思います。その中での推移がどうかということで、今、おっしゃったような生存率を見ていけばいいと思っています。

○中村座長 分かりました。ほかの先生方のご施設で、今、話題になるのは Child-Pugh B の方が A になるということは、かなりよく経験されることかどうかということです。今のご発表だと 7 点ということで、 B の中でも比較的良い方が 3 年後に改善していたと。悪い人は悪化する傾向があったということで、かなり明瞭な話ですけれども、今、 A B C ということで分けるとすると、ほかの施設で B が良くなると、そういう人がいるという印象があるかどうかです。いかがでしょうか。

○高見構成員 きちんと日常生活の管理と、あと不足分の処方での補給などでかなり改善してくる患者さんは多いと思います。ただ、八橋先生がおっしゃったようにあくまでも 7 点と、 8 点になるとちょっと厳しいかなという印象はあります。

○中村座長 分かりました。坂井田構成員、いかがでしょうか。

○坂井田構成員 全く一緒で、多分、この 7 点という人は 6 点とか 7 点を行ったり来たりしている人が、たまたまそのときに 7 点で捉えているのだろうと私は思います。うちでも 8 点とかになると、高見先生がおっしゃるとおり、そのくらいになると改善することはありませんので、たまたま境界領域におられた方が引っ掛かっていて、何らかの原因で亡くなられたのかなと思います。全体としては、 point of no return と我々はよく言うのですが、 B のある所からは不可逆的に進行していくという考えで、私は一致しています。

○中村座長 田中構成員、その辺はいかがですか。

○田中構成員 私は臨床ではありませんので、そういうご意見を頂いて、ありがとうございました。

○中村座長 分かりました。持田構成員、いかがですか。

○持田構成員  B 型肝炎の患者さんは、核酸アナログ製剤が非代償期でも使えますので、長いこと投与していると肝機能は良くなります。しかし、 C 型肝炎の患者さんは、非代償期になると現状では DAA 製剤を使うことができません。 B 型肝炎と同じような肝機能の改善をも望むことができないのが現状です。先ほどから Child-Pugh 分類 B の患者さんでは肝機能が比較的良くなる場合があるというのは、このような治療法の現状を反映しているのではないかと思います。

○坂井田構成員 共同研究をしているのですが、勧告が今年 1 月に出ましたけれども、 B 型肝炎ウイルスによる肝硬変の患者で、今、持田先生が言われた核酸アナログを使った患者さんの予後を、かなり信頼度の高い論文にされています。 Child-Pugh 分類 A を除き B C であれば、もちろん飲まない人に比べて飲んでいる人の生存率はいいですが、核酸アナログ製剤を服用して血中ウイルスが検出されなくても、それでも B C は右肩下がりになると発表されています。先ほどから繰り返していますが、 B になれば不可逆だと考えても私はいいのではないかと思います。

○中村座長 ありがとうございます。ここはまた少し議論が要ると思います。というのは、身体障害ということにしようとなると、永続的な障害というのが基本的な前提条件になっていますので、前回の評価のところも同じ議論があったのではないかと思いますが、どこからを永続的な障害があるかということで、前回は恐らく C というご判断で今のような基準ができているということだったと思います。

 ただ、当時は今の八橋先生のような論文なりエビデンスがありませんでしたので、大変厳しいところに条件設定をされたのは、やむを得ない事情であったのではないかと思います。今回の八橋先生のご報告を見ますと、かなりの規模のデータが追加されたということで、それを踏まえて、この検討会はどういうふうに考えていくかということになるのではないかと今のご報告をお聞きしながら考えていたわけですが、ほかにこの報告につきましてご意見等はございますか。

○八橋構成員 数年前の検討会で私が発言したように記憶しているのは、当時、どれぐらいの方が対象になるかということで、肝硬変の方は 20 30 万人おられるだろうと。なおかつ、肝がんでなった方の頻度で Child-Pugh 分類 A B C の頻度を見ますと、 Child-Pugh 分類 C の方が 10 %だったのです。 20 30 万人の 10 %ということで、 2 3 万人というような推定になるのではないかと発言しました。多分、議事録に残っているかと思います。

○中村座長 それは Child-Pugh 分類 C の方の数ですね。

○八橋構成員  Child-Pugh 分類 C の方です。それぐらいの方がこの受給を受けるのではないかという推定だったのですが、ただ、それはある 1 点ポイントの話で、いわゆる時間的なことを考えていなかったです。要するに進行性に悪くなる、亡くなっていくということは、その時には議論していなかったと思います。 7 年前にこの制度が作られましたけれども、実際、移植以外の方は、ほとんど受給できていない現状を踏まえると、 Child-Pugh 分類 C というのは亡くなる数か月前の対象者がほとんどですから、その方を対象とした現行制度下では、今まで何も医療的なサービスが受けられなかったと想像します。私、そういう意味で7年前のことを反省しており、今回、時間的な軸で肝硬変患者さんの生命予後を検討したという経緯です。

○中村座長 そうしますと、私が聞いていいかどうか分かりませんが、 7,000 人ぐらいという数の中に移植の方がどのくらいになりますか。先ほど 4,000 人ぐらいという数字がどこかにありましたかね。移植の方のではありませんでしたか。今、議論をして、移植でこの障害の認定を取られるというルートと、そうでなくてなられる方と、基本的に大きく 2 つに分かれる状況になっているわけですね。

○高山課長補佐 そのとおりです。

○中村座長 そういうことですね。そうしますと、この 7,000 人の中に移植の方とそうでない方がおられる。

○持田構成員 肝臓機能障害を肝移植を前提とした制度と見なすのか、そうでなくて、もう少し肝予備能の良い患者さんの生活の質を上げるための制度と見なすのかで,議論がかなり違ってきます。脳死肝移植の適応評価では、むしろ Child-Pugh 分類 C の患者さんを 13 点で分けて、これ以上の患者さんはより緊急性が高い点数にしています。 Child-Pugh 分類 B の患者さんを区分するという発想は、肝移植を対象とした議論では出てきません。しかし、より肝予備能のよい患者さんの日常生活と考えた制度と見なすと、全く議論が違ってくると思います。どこを中心にこれから議論するかというのを、もう 1 回再確認させていただくと話がしやすくなると思います。

 また、肝移植の評価で Child-Pugh スコアは、身体障害者としての診断で使っているスコアとは異なっています。肝移植の場合は、プロトロンビン時間を 50 %と 80 %で区分しますので、身体障害者の診断では A B の患者さんが、肝移植の対象としては B C と重く診断されることになります。

 

○八橋構成員 優しくなる。

○持田構成員 緩い基準です。

○中村座長  40 70 ではなくて。

○持田構成員  50 80 で区分します。このため、 Child-Pugh 分類 B の患者さんも、肝移植のレシピエントとしては Child-Pugh 分類 C になって、緊急性 6 点で適応となる場合があります。

○中村座長 田中構成員、お願いします。

○田中構成員 あと、先ほどの累積か累積でないかで 7,000 という数ですが、これは年度末に交付されている人数ですから、先ほどから議論になっている、登録したけれども亡くなられた方も含めた累積の数が分かると、どれぐらいの方が手帳をもらわれて、亡くなられて返したかという数の出入りが分かると思います。そうすると、もっと申請の中身が分かってくるかと思いますが、なかなか出せない数字なのかもしれません。

○中村座長 事務局、それはいかがですか。

○高山課長補佐 この 7,125 人につきましては、年度末時点で手帳をお持ちの方ですので、亡くなられている方はカウントされていません。ですので、この数は生きて手帳をお持ちになっている方になります。亡くなられて手帳を戻された方の数まで、この数字から把握はできない状況です。

○中村座長 先ほど持田構成員も言われましたが、どのくらいの比率があるかを考えた上でやっていく必要があるということなので、移植を受けておられる方の数は、どこかで概数でもあれば。

○高山課長補佐  1 級の手帳を受けていらっしゃる方の約 7 割が肝臓移植によって受けられた方ということです。

○中村座長  1 級の方の 7 割。

○八橋構成員 今、年間の肝移植は 500 例前後ではないですか。

○中村座長 どこかで聞いたのは、 400 というのを聞いていましたけどね。

○八橋構成員 初年度に 5,800 人取得されて翌年増えていないということは、この制度ができて初年度に、今まで移植されている方は手帳を取得された。移植されている方は長期生存可能ですので、そういう方は、ある程度数が変わらないのではないか。年間、新たに移植されている方の分は増えるのかもしれませんが、移植した時点で 1 級の手帳がもらえます。ただ、移植でない方、いわゆる今回議論されている方というのは実は数百名に留まるのではないか。死亡されている方もおられるのでなかなか数字が読めないですが、初年度で 5,000 名あって、次が 300 名か 500 名しか増えていないことを踏まえると、いわゆる移植以外の方で受給されている方はかなり少ないと私は推定します。

○中村座長 坂井田構成員、次に田中構成員、お願いします。

○坂井田構成員 事務局が 7 割とおっしゃったのですが、それは年度ごとずっと 7 割なのですか。多少ずつ増えていっているのではないでしょうか。私たちの感覚としては八橋先生が言われたとおり、多分、お亡くなりになっていて年度末にはないけれども、移植をされた方だけは累積が増えていっていると、そういう大まかな数字は出ないのでしょうか。 1 級だけでも結構ですけれども。

○高山課長補佐  7 割という数字は、 1 級で手帳を受けている患者さん全員の中での割合ということなので、年度ごとで何割移植の方がいらしたかというところまでは、申し訳ありませんが、今、手元に数字を持ち合わせておりません。

○中村座長 そうですね。そしたら、これは次回以降のときに少し事務局に、お手間でしょうが調べられる範囲で手術件数と、手術によって取得されている方と、そうでない方の比率ですね。つまり肝移植を受けない方で、この制度を利用できている方がどのくらいいるか。 C に限ってしまったところもあり、それはやむを得ない事情でエビデンスがなかった時代ですが、その時代にどのくらいの受給状況であったかも分かると、今、八橋構成員の報告で、 B に緩和した場合ということのリアリティが非常に出てくるような気がいたします。事務局のほうで少しご検討いただくということでお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

○高山課長補佐 はい。

○中村座長 その他、今の八橋構成員のご報告につきましてご意見、ご質問等ございますか。肝臓のご専門の先生方から見て、施設間の B 型、 C 型、ウイルスのタイプの違い等々を入れても、およそ納得できる数字と理解してよろしいですか。

 ありがとうございます。では、そういう理解をさせていただきます。この資料は非常に重要な資料になりますので、今後もこの資料に立ち戻ることがあるかと思いますが、一旦、ここでこの話を切り上げて、議事 (4) 肝臓機能障害の認定基準の検討に移りたいと思います。事務局よりご説明をお願いいたします。

○高山課長補佐 お手元の資料 5 をご覧ください。肝臓機能障害の認定基準に関する論点ということで、今後、ご検討いただきたい内容につきまして事務局で取りまとめたものです。 3 点ほどございます。 1 点目は、今回の資料 2 及び 3 でお示ししましたけれども、現行の肝臓機能障害の認定基準について、どのように評価されるかということ。 2 点目として、厚生労働科学研究で八橋先生が研究され、そしてご報告いただいた「肝硬変患者の生命予後」の検討の結果について、どのように考えるか。 3 点目として、今後の肝臓機能障害の認定基準をどのように考えていくべきかについて、ご意見を頂ければと思っております。事務局からは以上です。

○中村座長 ありがとうございました。ご説明のあったところに既に踏み込んでしまったところも少しあろうかと思いますが、改めて現行の肝臓機能障害の認定基準について、ご意見、ご質問等はございますか。私は肝臓の専門ではありませんので肝臓の専門の方にお聞きしたいのは、現在、この肝臓機能障害で身体障害の書類というのを、かなり先生方は書いておられるでしょうか。

○八橋構成員 私自身は実は 1 枚も書いたことはないです。というのは、基準に該当されている方は実は既に生活保護の受給者なのです。

○中村座長 なるほど。

○八橋構成員 肝硬患者さんで症状を伴う場合には仕事もできなくて、そのままでは生活ができないということで生活保護を受けている方がほとんどという状況です。現行のまま身体障害の基準を変えないと生活保護の制度に依存したままになるのではないかと思います。

○中村座長 なるほど。

○八橋構成員 今の制度下では、多分、移植の外科の先生が一番書かれているのではないかと思っています。

○中村座長 持田構成員、いかがでしょうか。

○持田構成員 私も、原則的に肝移植を念頭において、その適応となるような患者さんの診断書を書いています。それ以外の患者さんに診断書を書くことは、めったにないのではないかと思います。私は昨年まで埼玉県で審査委員をしていたのですが、そこでも Child-Pugh 分類 B の患者さんの申請があったりして、主治医の先生は患者さんのどうしてもというお願いに応じて、無理を承知で診断書を書いているのではないかと感じることがあります。現行の制度と、患者さんのニーズとはかなり乖離しているのではと、審査委員としても思っていました。

○中村座長 分かりました。高見構成員、いかがでしょうか。

○高見構成員 私は、この書類を準備している期間中に患者さんの状態が悪くなってきて、結局、提出する前にお亡くなりになったという経験があります。ですから、持田先生がおっしゃるように移植の方というのは、この中ではある意味恵まれた方々であって、移植という恩恵を受けた後で障害を持たれて長い期間、この障害認定の恩恵に授かれる方であり、私の経験した患者さんのように、移植も受けられない肝機能の悪い方々、あるいは受けても本当に短期間であるというところで、恐らく患者さんの団体からも陳情があるのではないかと思いますから、そこは母集団として全く違うのではないかというのがあります。それぞれの集団で障害認定を受けてから、どのぐらいの期間、その恩恵を受けられているかという期間を数字として出していただけたら、すごく分かりやすいのではないかと思います。

○中村座長 これは事務局、出るものなのでしょうか。

○高山課長補佐 申し訳ありません。そのようなデータがあるかどうか確認をさせていただく必要があります。

○田中構成員 先ほど申し上げたように、申請した数と年度末に今使っている数が分かれば差引きで、ある程度分かるのではないかと思います。それで肝臓移植でもらった人と、もらっていない人の別があれば、足し算引き算で出るので、交付して申請した数と年度に残っている数と、その中の肝臓移植をした数があれば推移は見えてくると思います。そうすると生存の期間とかも見えてくるのではないかと思います。

○中村座長 そうですね。今のことはできるかどうか、ちょっと考えていただきたいと思いますが、しっかりエビデンスなり数字が推定できる根拠があるほうがというか、実際はないと困るということですね。そして肝臓の専門の先生方から言うと、この制度が十分機能しているのは限られた領域であって、一般的に肝硬変になって肝硬変が進んでいく方については、あまり利用されていないのではないかという心配もあると、そういうご意見ではないかと思います。もしそうであれば由々しきことですので、しっかり確認してという感じを持ちますが、いかがでしょうか。八橋先生、どうでしょうか。

○八橋構成員 正にそのとおりだと思います。移植されている方はこの制度の恩恵を受けていると思いますが、移植以外の方では私はかなり少ないと思います。

○中村座長 分かりました。では、現行の肝機能障害認定の基準がどのようにワークしているか、有効性について少し疑義が出たということですので、これを持ち越して少し調査に時間がかかるかもしれませんし、今後に重要な視点として使っていきたいと思います。なければ次の 2 番ですが、厚生労働科学研究の八橋先生のご報告の結果について、これは今、先生方からありましたように、およそそうであろうということですが、今のお話は専門でない者が聞いていると、非常にグラディエントに流れているところで 7 点と 10 点とあると、 8 点、 9 点というところは B C という分類でいいのか。それを更に細かく切るのかというのが出てくるとややこしい話になりますが、この辺はいかがでしょうか。しかし、これを見ると極めて明瞭ですね。亡くなられる方の比率も 30 70 90 幾つという非常に明確な差が出ますし、大変立派なご研究を今回、ご報告いただいたと思っていますが、特にご質問等、ございませんか。

○持田構成員 生命予後と言いますか、肝移植の適応を考える上で点数を区分するのと、患者さんの QOL の観点で点数を区分するのは評価する指標が異なり、今回提示された資料では QOL を見るための指標が欠けるのではないかと思います。 SF-36 などを指標として、 Child-Pugh 分類 B の中でも点数ごとに違うかどうかなどを検討する必要があります。そのような研究をされている方もいると思うので、そういうデータも少し参考にしてディスカッションするのがよろしいのではないかと思います。

○中村座長 八橋先生、お願いしてよろしいでしょうか。

○八橋構成員 肝硬変の患者さんの QOL を評価する指標として SF-36 とかいろいろあるのですが、私、若干専門でないので本当は後で訂正が要るのかもしれませんけれども、平尾班という医療経済を検討する研究班があり、その中で私がアンケート調査をおこなった 6,300 人の中で約 1,000 人の肝硬変の方を対象に QOL 調査をしています。 EQ-5D を用いています。田中先生、この指標はポピュラーですか。

○中村座長  EQ-5D

○八橋構成員  EQ-5D のスコアは、私の理解では、 1 という方が正常な方で、 0 という方が亡くなっている方で、 0.9 0.5 という形がありますけれども、非代償性の肝硬変の患者さんが 0.6 前後になります。ただ、腹水があると 0.5 とか。

○中村座長 悪くなるのですね。

○八橋構成員 悪くなる。私が幾つか調べた限りでは、リウマチの患者さんが 0.7 、乳がんの患者さんが 0.8 とか、リハビリを必要な脳卒中の患者さんで 0.5 という数字があります。いろいろな他疾患と比較する上で、特に欧米ではこれが使われていて、肝硬変の患者さんは 0.5 から 0.7 の間に非代償性の方がおられると理解しています。

○中村座長 非代償性というのは、肝硬変と考えればよろしいですか。

○八橋構成員  B C の方です。

○中村座長  B C ということですね。

○田中構成員 費用対効果を計算するときのスコアで、健全な人が 1 、そうでなく非常に悪いのが 0 というのでスコア化して、費用を計算するときのスコアです。だから、ほかの疾患と比較して考えてみるのが一番いいかと思います。

○中村座長 そうですね。それはどうしてかと言いますと、内部障害については同じ身体障害の中でも肢体不自由とは少し違う状況があります。ほかとの比較で、公的なものですから公平性というのが担保されなければいけませんから、それを担保する資料が、今回、検討していく中でそろえられるようであれば、できるだけそろえて補強したほうがいいように私も思います。八橋先生、今の話ですと、そういうデータは先生の所におありですか。

○八橋構成員 平尾班の報告書に、我々のデータもあるのですが、もう既に肝硬変の患者さんの効用値は引用されているようで、ある程度確立した数字なのかなと思います。

○中村座長 もしよろしければ、この会議に正式に出していただくことは可能ですか。

○八橋構成員 平尾先生に来ていただいて説明いただくのが、いいのかなと思っています。

○中村座長 そうですね。

○田中構成員 平尾先生の研究班の報告書ですから、普通に使えると思います。

○中村座長 確かに肝機能障害を、身体機能障害という手帳のところに入れようとすると、 1 つは障害が永続性があるかどうかということです。一定以上で永続性があるか。それがいわゆる Child-Pugh 分類 C であるということ。それから日常生活に著しい制限があるというのが、もう 1 つの条件になるわけです。そのことについては現行を見ますと、 3 つの血液データと、先ほどご説明がありましたが、あれは事務局、どれでしたか。

○高山課長補佐 認定基準のうち、日常生活活動の制限を示す項目です。

○中村座長 これですね。肝臓機能障害の認定方法、資料 3 2 ページに、 a b c が検査で、 d e f g がそれに関わる既往歴というような病歴、もう 1 つが現在の症状で、 3 つです。この 2 つに分けて、今までの方法は上の検査値を割と重視しているのです。等級を決める際に、この 3 つがイーブンではなくて、検査のほうを重視した格好の等級の決め方になっていますが、決して今の効用値を用いたものではなくデータがなかったので、このくらいのアンモニアの値があればいろいろ厳しいだろう、あるいは血小板の値が幾つであれば厳しいだろうということで、日常生活の重症度を決めていたということですが、そこも、もしデータがあればしっかりそこを補強するのがいいのではないかと思います。そういうご指摘もありましたし、八橋構成員からそういう資料の存在の話もありましたので、これも次回以降に出せる形でご検討いただくことを、事務局にお願いしてよろしいでしょうか。

○高山課長補佐 はい。承知しました。

○中村座長 ありがとうございます。宿題ばかりお願いして申し訳ありません。それでは、この八橋構成員の報告については、それでよろしいですか。ありがとうございます。その次が今後の対応方針について、これは具体的にはどういうことになりますか。

○高山課長補佐 こちらにつきましては、今後の肝機能障害の認定基準の方向性をどのようにするべきかについて、先生方のご意見をいただければと思います。

○中村座長 なるほど。そうすると確定的なことではありませんが、できればフリートーキング的にでも、今後、どういう点に注目しなければいけないか。今までのところも ADL ですね、効用値といったもののデータがほしいということ。それから移植と移植でないものを分ける必要があるということが出ましたが、そのほかに何かご意見はございますか。

○田中構成員 分からないので臨床の先生にお伺いしたいのですが、今、治療が非常に進んできていて、肝硬変患者さんへの治療は、将来、どうなるかということを考えた上で、いろいろなことを考慮する必要があるということが 1 点あると思います。

○中村座長 そうですね。八橋構成員、お願いいたします。

○八橋構成員  C 型肝炎の抗ウイルス薬が劇的に良くなっています。恐らく Child-Pugh 分類 A の患者さんでも、かなりの確率でウイルス駆除でき、その予後も良くなる。しかし、 Child-Pugh 分類 B C に関して日本では治験が行われていません。そういう意味で、当分、この治療は Child-Pugh 分類 B C では、受けられません。

○田中構成員 受けられないということは非可逆性と、戻らないという考え方でいいということでしょうか。それには 5 年とか 10 年のスパンとかある。

○八橋構成員  C 型肝炎の方でウイルスが駆除されないと Child-Pugh 分類 A の方はある一定の確率で B になり、その次に C へと進行します。しかしウイルス駆除に成功すると、 Child-Pugh 分類の A の方は Child-Pugh 分類 A のままにとどまるに思われます。手帳受給の対象者数は今後、減っていくと思いますが、そこに至るまでに患者さんが毎日亡くなっている現状を踏まえると、早急に対策を立てないといけないと思っています。

○田中構成員  Child-Pugh 分類 B になって治療されて A に戻るということが、将来、たくさん起こり得るのか、それはほとんど起こらないのかは、考えておかないといけないと思います。

○中村座長 今のは肝炎の治療でなく、肝硬変になられた方に対するウイルスの駆除という話ですか。

○田中構成員 はい、そうです。

○中村座長 そうすると、良くなる可能性があると、未来にそういう明るい希望もあるということですね。

○八橋構成員 将来的にはそうだと思います。ただ、今もそうですが、良くなる方と悪くなる方が2極化して、分かれていくと思います。

○中村座長 身体障害になると永続的かということが基本的になりますので、治療効果が望めるということは大変有り難いことですが、それで基準が変わるようなら、それはそれで何かの対策を考えなくてはいけないということです。永続性でないと言ってしまう言い方と、一定程度あれば永続性として再認定というような形で、それは担保しておかないと、ほかの疾患との公平性が保てないときには、そういうやり様もあると思います。そのためにも治療効果があるほうが、もちろんうれしいわけですが、それの効果がどのくらいかと。

○田中構成員 将来のことなので分からないと思いますが、一応、それを検討したということは大事だと思います。

○中村座長 そうですね。そのことに関する資料なり、何らかの意見は今回の中に入れて、どういう議論をして、どういう根拠に基づいてどういう判断をしたかというのは、是非、入れておきたいと思います。ですから見通しでも将来の展望といったいい話は、是非、書きたいと思います。先生、もしよろしければその情報をいただければ事務局にでも届けていただいて、資料にしていただけると有り難いと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。

○高見構成員 ただ、非常に治療効果の高い C 型肝炎の治療が世に出てきて、まだ去年の秋からですから 1 年もたっていないような状況です。 Child-Pugh B C の方が、将来、確実に減ってくることは予測できていますけれども、それがどれぐらいの割合でという実際の数値というのはまだ出ていませんから、それを資料として待つ間に、今の B C の方の救済のチャンスがどんどん遅れていくのであれば、今、先々のことまで考えるのはちょっとどうかなという印象はあります。

○中村座長 そうですね。ありがとうございます。

○八橋構成員 今も Child-Pugh 分類 A の方には内服薬だけのお薬は処方可能ですが、 Child-Pugh 分類 B C は対象外なのです。副作用の問題があるので禁忌なのです。そういう意味では、将来の治療になってきます。○中村座長 なるほどね。

○田中構成員 なので、そのことをちゃんと記載しておけばいいかと思います。

○持田構成員 参考になるのは、特に B 型肝炎の患者さんだと思います。 B 型肝炎では核酸アナログの登場で、肝移植しないといけない患者さんが、肝移植を回避できたといった報告も多数発表されています。先ほど坂井田先生から話がありましたように、中には良くならない方もいらっしゃるのですが、良くなる方もたくさんいますので、特に B 型肝炎の場合には、再審査して肝予備能が良くなったら取り下げるといったことを考えなくてはいけないのではないでしょうか。ただ、 C 型肝炎では非代償期で抗ウイルス薬が使えませんから、当面は考える必要がないでしょう。

○中村座長 質問ですが、そういうのは今、例えば肝臓の先生の中でガイドラインとか、標準治療というようなことにはなっていないでしょうね。そんな早ければなっていないですよね。

○八橋構成員 明記されていないです。だから、 C 型肝炎の Child-Pugh 分類 B C の方の治療法は現時点ではないのです。

○中村座長 分かりました。今、高見構成員からありましたように、確かにそれを待ってこれを決める理由はないように思います。現実的に困っている方をどうするかをしっかり先にやらなければいけませんので、それはそれとしてまたご研究いただくなり、ただ、現状、どういう動きがあるかについて、要するに治療すると良くなることをどのくらい考えたかは、この検討会の結論の中に入れておく必要はあろうかと思います。ほかによろしいでしょうか。決めなくてはいけないこと、あるいは検討したほうがいいことがございましたらお願いします。ないようですから、資料 5 につきましては、ここまでにさせていただきたいと思います。

 先ほど事務局からご説明があったのですが、今後の予定についてはどういうふうに考えたらよろしいでしょうか。

○高山課長補佐 今後の予定につきましては、関係団体等からのヒアリングなどを行えたらと思っております。それを踏まえた上で今後の認定基準について、どのようにするべきかご検討いただければと思っております。

○中村座長 そうしますと、ヒアリングをするというのは決めておられるわけですね。その後にまた議論して、この会で一定の成案なりが得られた場合、その後の手続はどういうふうになりますか。正式に決まるまでにどういうプロセスが想定されているか確認させていただきたいと思います。

○高山課長補佐 この検討会で取りまとめがなされた後につきましては、疾病・障害認定審査会の身体障害認定分科会という会があり、そこに今回の検討会でまとまった内容を諮りまして、今回の基準案についてご了承いただく形になります。ご了承いただいた後に、改正の手続に移ることになります。

○中村座長 ありがとうございます。今、お聞きのように、次は身体障害の認定する分科会での議論に付されますので、ここでの議論は先ほどの永続的な障害という認定がどのようなエビデンスを持って、もし緩和するのであればかなりしっかりしたものがここから出ないと、そこはなかなか通らないのではないかと思いますので、是非、しっかりした議論をしていただきたいと思います。つまり肝臓機能のほうから見るのではなく、障害という一般的な手帳のほうから見たときに、ほかの疾患との公平性が担保されたものが成案として挙がらなければ認められないことになります。ここでは肝臓の専門の方がおられるわけですが、身体障害というときに一定以上の障害が永続的に続き、著しく日常生活に制限があるということが、 C B になることで揺らがないかということです。そのことの議論をここでしっかりしておく必要があると考えていますので、是非、今後の議論の基本的なところでお願いしたいと思います。以上でよろしいでしょうか。それでは、一応、予定いただいたものについては議論ができたのではないかと思います。あと事務局からお願いしたいと思います。

○高山課長補佐 本日はご議論いただきましてありがとうございました。次回以降の開催予定についてですが、各構成員の先生方の日程の調整をさせていただきまして、事務局から追ってご連絡をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。

○川又課長 今日もいろいろなデータなどの宿題を頂きましたが、我々も限られた時間の中、どこまでできるかということはありますけれども、例えば自治体のサンプル調査をしてみるとか、可能な限り議論に資するようなデータを集める努力をさせていただきたいと思います。また、先生方のほうでもお持ちのいろいろなデータとか、こういう研究がある等ということにつきましては、先生方のほうからも是非情報を頂ければ非常に助かりますし、次の議論の際の材料として提供できるものがあればいろいろ教えていただきたいと思います。また、この間、いろいろご相談もさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○中村座長 課長、ありがとうございました。それでは、本日はこれで閉会といたします。活発なご議論をいただきまして大変ありがとうございました。閉会といたします。

(了)

 

 


(了)
<照会先>

厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課人材育成・障害認定係

03-5353-1111(内線3029)

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