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2016年1月29日 歯科医師の資質向上等に関する検討会 歯科医師の需給問題に関するワーキンググループ(第4回)

医政局歯科保健課

○日時

平成28年1月29日(金)14:00~16:00


○場所

中央合同庁舎第7号館1320会議室(13階)


○議題

1.論点整理について
2.その他

○議事

○和田歯科保健課課長補佐
 定刻になりましたので、ただいまより「歯科医師の資質向上等に関する検討会歯科医師の需給問題に関するワーキンググループ
( 第4回 ) 」を開催いたします。構成員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。

 まず、構成員の出席状況ですが、南構成員から若干遅れるという御連絡を頂戴しております。それ以外の方々は本日全員御出席となっております。また、本ワーキンググループにおきましては、オブザーバーとして文部科学省医学教育課の寺門課長に御出席いただいております。今回の検討会につきましては公開となっておりますが、カメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきます。

 続きまして資料の確認をお願いいたします。本日御用意している資料ですが、お手元に議事次第、座席表、構成員名簿、そのほか資料は 1 2 、また参考資料は 1 5 までを配布しております。そのほかといたしましては、これまでの検討会ワーキンググループの資料をファイルにしてつづっておりますので、御確認いただければと思います。乱丁・落丁などありましたらお知らせいただければと思います。

 それでは以降の進行につきまして、森田座長、よろしくお願いいたします。


○森田座長
 皆様、こんにちは。とても寒くて雪のうわさが出ている中、お集まりいただきましてありがとうございます。段々とこのワーキンググループも回を重ねてまいりまして、あと少しということですので、これからの御審議をよろしくお願いいたします。

 それでは早速議事に入らせていただきます。今、御紹介されましたが、資料が用意されておりますので、事務局から資料の説明をお願いしたいと思います。まずは各構成員の発言要旨を踏まえた論点整理と関連資料につきまして、資料 1 、資料 2 及び参考資料 2 に基づいて御説明をお願いいたします。


○和田歯科保健課課長補佐
 それではまず、資料
1 2 について説明させていただきます。最初に資料 1 ですが、これまでのワーキンググループにおける各構成員の先生方の発言を基に、論点整理としてまとめたものです。前回少し説明しておりますので、今回は簡単に説明させていただきます。

 まず資料 1 1 ページ目です。構成としては、 1) 3) まであります。 1 ページの 1) 歯科医療の需要についてです。ここでは人口動態との関係、各分野の需要、多様化する患者ニーズについてまとめております。 1)-1 です。人口動態との関係について、少子高齢化の進展や将来的に減少する高齢者人口も勘案した需要と供給の関連性を見ながら、歯科医師の養成を考える必要があることなどをまとめております。なお、人口動態については、次の項目の 2) 歯科医療の供給についてでも触れられておりますが、日本の人口が減少するという前提で、少子化の影響により大学全入時代となっていることなどを考慮して、多くの大学が教育も含めて供給体制について検討を行わなければいけない時代になっていることなどをまとめております。

 なお、 1 ページの中ほど、 1)-2 ですが、前回のワーキンググループにおける発言を踏まえて追加したものをアンダーラインを付して掲載しております。ここでは各分野の需要についての上から 4 つ目ですが、高齢者にフォーカスが当たりがちであるが、小児に対して食べることの支援が非常に多くなってきており、将来を担う世代の生活を支える視点も必要という論点を追加しております。

 続いて、次の 2 ページ目、 2)-2 です。こちらは歯科医療の提供体制や診療形態などについてまとめております。 2 ページ目の上から 1 つ目ですが、小規模診療所が主体であることの歯科固有の課題や、 2 つ目では、受診患者の高齢化による病院における歯科の具体的な関わりについてまとめております。

 続いて 2)-3 です。歯科医師等の養成・確保についてです。一番上の、人口動態を踏まえた適切な入学定員の設定や、上から 2 つ目の入学者の選別基準などについてまとめております。前回のワーキングにおける御発言を踏まえ、 2 ページ目の一番下ですが、 student doctor の導入については、歯科大学間でコンセンサスは取れているが、医科と比べ歯科は処置に関する内容が多く、患者さんに侵襲を与える機会が多いことなどを考慮することが必要であるという論点があげられています。

 続いて 3 ページ目ですが、高齢化社会に対応するために全身管理を主体にした教育の充実が必要であるにもかかわらず、現状では他の医療関係職種と比較しても教育に係る時間数が少ないことを記載しております。

 続いて、 2)-4 、需給推計についてです。前回のワーキングにおける安藤構成員の御説明あるいは各構成員からの御意見を踏まえ、上から 2 つ目ですが、需給推計に必要とされる各要素には幅があるが、患者数や歯科医師の稼働率などを加味し、仮に、歯科診療所に従事する歯科医師 1 1 日当たり患者数を 14.1 人に、歯科医師国家試験合格者数を 2,000 人として推計した場合は、今後、必要歯科医師数 ( 需要 ) と供給歯科医師数 ( 供給 ) のギャップは相対的に縮小し、需要が供給を上回ると推計。上から 3 つ目ですが、なお、需給推計における数字については、社会が歯科医師に何を求めるのか、歯科医師の働き方などによって意味が違ってくるので、数字で示すこと自体の限界も指摘されています。

 上から 4 つ目です。需給推計に当たっては、現状の歯科医師数や地域間の需給バランス、 18 歳人口の減少に伴う歯科大学入学時の学生の資質、受診患者の高齢化に伴う歯科治療の質の変化、高齢化の進展に伴う高齢歯科医師の稼働率の変化、女性の社会参画に伴う稼働率の変化などをどう考えるかという視点も重要ということを加えております。

 この需給推計について、少し簡単にまとめたものがあります。こちらが別に用意した資料 2 です。後ほど安藤先生からも補足的に説明があるかと思いますが、資料 2 では「歯科医師の需給推計に関して」と題し、安藤先生から説明があった内容を踏まえて、おおまかに整理させていただいたものです。

 上段から中段にかけての表として、需要、供給、それぞれ推計に用いた要素、特徴などを記載しております。また、推計に際して設定が非常に難しい(1)の (2) 歯科診療所に従事する歯科医師 1 1 日当たり患者数、供給になりますが、(4)の (2) 歯科医師国家試験合格者数、こちらについては感度分析を行っていただいたところです。感度分析に基づいて算出いただいた必要歯科医師数と供給歯科医師数を、その下の表に示しております。ここでは感度分析によってもある程度数値に幅があることを示しております。また、左の「需要」と書いてある表と、右の「供給」と書いてある表で比較することも、 1 つの考え方になるのではないかと思っております。また、この点に関しても後ほど御議論いただければと思っております。

 資料 1 にお戻りください。 3 ページ、 3) 歯科医師のキャリアパスについてです。次世代を担う歯科医師が、学生時代に臨床研修修了後の歯科医師像やその後の歯科医師像について現状と異なるようなキャリアパスが描けるような対応が必要など、あとは医科歯科連携が進む中で病院で働くための教育や研修の整備などを論点として追加しております。

 続いて 3 ページ目の (2) 歯科医師養成課程において、基本的資質を有さない学生や歯科医師国家試験を繰り返し受験する者への対応についてです。 3 ページ目の一番下になりますが、 student doctor の制度の歯学部への導入が論点として追加されております。

 次の 4 ページ目、 (3) 大学在学中で習得した知識や技術を活用した他職種での活躍の場についてです。歯科大学卒業時の選択肢を増やすことも重要という論点を追加しております。

 最後になります。 (4) その他、他職種や他分野での需給に関する取組等についてです。前回のワーキングにおける発言を踏まえ、法科大学院制度では優秀な教育機関とそうでない教育機関を分けた対応が行われており、歯科大学についても一律で議論されるべきではないが、そもそも歯科大学でこうした対応が行われていないこと自体に異和感があるという論点を追加しております。

 続いて参考資料 2 、パワーポイント、ツーアップの資料、両面のものを御用意ください。この資料は大部分は前回のワーキングと同じ資料ですので、論点になりそうな資料と修正を行った資料に絞って説明させていただきます。ページの右下のスライド番号 9 10 を御覧ください。まずスライド 9 ですが、 18 歳人口と歯学部入学定員との関係を示したものです。 18 歳人口のピークである平成 4 年を 100 としたときに、それぞれ歯学部の入学定員、あるいは 18 歳人口がどれぐらい減少しているのかを示したものです。歯学部の入学定員は約 90.4 %、 18 歳人口は 57.6 %となっております。その下のスライド 10 ですが、 18 歳人口の減少に伴い、 18 歳人口当たりの歯学部入学定員数については、今後も減少していくことが予想されております。

 続いてスライド番号 12 を御覧ください。こちらは入学定員 ( 募集人員 ) 当たりの 1 日平均外来患者数を示しております。前回も同様の資料をお示ししておりますが、横軸が歯科大学歯学部を表しております。歯学教育において臨床実習を充実することは非常に重要であると考えておりますが、ここでは 1 日平均外来患者数を入学定員あるいは募集定員で割り算しております。その場合、一番左の最も値の高い 1 番の大学を 100 とした場合の比較として示しております。最も値の高い 1 の大学はやや値が突出しておりますが、仮に真ん中の 14 15 辺りの大学を基準としても、最も少ない 29 番の大学とでは約 2 倍程度の開きがあることがお分かりいただけるかと思います。

 続いてスライド番号 13 を御覧ください。歯科医師数の年次推移ですが、こちらは昨年末に公表された平成 26 年医師・歯科医師・薬剤師調査のデータを追加しております。その結果、歯科医師の総数は 103,972 人、そのうち医療施設従事者数は 100,965 人になっております。

 次のページ、スライド番号 15 を御覧ください。年齢階級別の歯科医師数の推移です。こちらも先ほどの歯科医師数と同様に、平成 26 年の医師・歯科医師・薬剤師調査のデータが公表されましたので、更新しております。平成 6 年から平成 26 年まで追い掛けたものですが、ブルーが男性、赤が女性で、男性は経年的に高齢化していて、女性は全体的に数が増加しているというデータです。

 その下のスライド番号 16 ですが、昨年末に公表された平成 26 年の医療施設調査のデータを追加しております。歯科診療所については 68,592 施設となっております。

 少し資料が飛びますが、スライド番号 30 を御覧ください。主として従事している歯科医師の就業場所です。こちらも昨年末に公表された平成 26 年の医師・歯科医師・薬剤師調査のデータで更新しております。傾向はこれまでと特に大きく変わりはありませんが、特に 40 歳代以降、診療所の開設・管理になられる方が多いという傾向を示したものです。

 続いてスライド番号 33 を御覧ください。この資料も前回のワーキングでお出しした資料ですが、歯科大学 ( 歯学部 ) 新卒者の平成 27 年の歯科医師国家試験の受験状況と合格率の割合を示したグラフです。横軸は歯科大学 ( 歯学部 ) を示しております。棒グラフは受験者数と出願のみに分けておりますが、ブルーの部分が受験者数、薄いピンクの部分が実際に出願しただけで受験はしていないという方になります。折れ線グラフですが、緑の実線は国家試験の合格率、紫の破線は新卒者がどれだけ受験したかという受験者率を示しております。特に受験者率の低いピンクのウエイトが大きい大学は、相対的に合格率がやや低い傾向になっております。

 その下のスライド番号 34 です。こちらは直近 3 年分の国家試験の合格率と入学当時の競争倍率を散布図に示したものです。例えば平成 27 年に試験を受験された方が、ストレートで進級した場合には、平成 21 年に入学していることになります。入学当時の競争倍率とは 6 年前の競争倍率を示しておりますが、最低修業年限での国家試験合格率と入学当時の競争倍率には相関関係が認められることを示しております。

 スライド番号 37 を御覧ください。こちらは歯科医師臨床研修支援事業です。過去の予算事業として、歯科医師臨床研修を行う予定である既卒者などに対し、臨床研修を行う歯科大学・歯学部付属病院に対して補助を行ったものです。この事業の中身ですが、右下の囲みの中で示されているような、例えば一定期間の技術修練又は進路変更を促すセミナーなどを事業として行っていた経緯もあります。現時点では本事業は行われておりませんが、今後検討を進める上で、こうした事業なども参考になるのではないかと考えております。簡単ではありますが資料説明は以上です。


○森田座長
 ありがとうございました。それでは意見交換に入りたいと思いますが、その前に、安藤構成員より先日御説明を頂きました需給推計に関する補足資料につきまして、参考資料
1-1 1-2 に基づき御説明お願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。


○安藤構成員
 参考資料
1-2 、両面 1 枚の紙ですが、これを御覧ください。特に新しい情報がここに出ているわけではなく、前回の話の補足になります。前回ワーキンググループの会合で、今お示ししたような御報告をしたわけですが、若干その後の歯科医師が 30 年後に 5,000 人、需要が多くなるというような報道がされたり、ちょっと数字が一人歩きしているかなという印象を受けました。そういった意味で感度分析も行っていて、決して 1 点に絞っているわけではないということもお示ししたのですが、ただやはり、数字だけ出してしまうと、どうしてもそのようになってしまうのかなと思いまして、グラフを作成してまいりました。

 私がこの推計で最も言いたいことは、ほぼ同じ方法で行っておりますので、過去との比較ができる点が今回行った推計の強みであり、この方法自体が特に正確性に優れているかどうかという点に関しては、それはいろいろな議論の余地があることは大いに承知しております。

 これで御覧いただきたいのは、まず下の 4 つを見ていただきたいのですが、 1996 年から行われてきた厚生労働科学研究、森本班、宮武班、三浦班、そして今回、今回は厚生労働科学研究ではありませんので、厚生労働科学研究は過去 3 回になりますが、御覧いただくと、上のほうが供給推計になります。供給推計は何パターンか行われた場合もあるのですが、そのうち最も今回の推計に近いような方法を選んでおります。下の白抜きになっているのが需要推計です。見て一目瞭然かと思いますが、過去の推計では供給推計が需要推計値よりも大幅に上回って、これであれば歯科医師は供給過剰になるだろうというような結果が示されております。その幅が次第に狭まってまいりまして、三浦班の 2011 年、これは私と新潟大学の大内先生で行ったのですが、需要と供給がかなり近付いてきたという結果で、今回はそれが少し逆転したという傾向が御覧になれるかと思います。

 上の 2 つのグラフはそれぞれ需要と供給に分けて一堂に示したものですので、下のグラフを少し組み替えたということです。このような約 20 年間での推計の推移を一覧の図に示したということです。

 この裏については細かくは説明しませんが、推計方法の違いについて整理したものですので、大筋のところは既に説明しておりますので、細かい所を書き替えたということで、参考までに御覧いただければと思っております。以上です。


○森田座長
 ありがとうございました。それでは続きまして、高梨構成員から参考資料が同じように提出されておりますので、それについてご説明をお願いできますか。


○高梨構成員
 高梨です。本会議でもこちらの需給ワーキンググループでも、度々発言させていただいた件の法科大学院に対する補助金の傾斜配分について、お話させていただきたいと思います。これまで客観的な資料をお出ししていなかったので、昨年末に新しい法科大学院の支援に関する補助金に関する評価が出ましたので、それを簡単に説明させていただきたいと思います。

 一定の基準に即して、これは決して合格率などだけで判断しているわけではなく、それも 1 つの目安にはなるわけですが、評価について卓越して優れた取組をしているか、あと、実務家の教員をちゃんとそろえて実務に即した教育を行っているか等の観点から、それぞれの補助金申請をなさった大学というのを評価しています。早稲田大学が今回 1 位になったのですが、これは英語を使った先進的な取組をなさっているということが高く評価されて、配分率は申請に対して 145 %になっています。単純に合格率だけで申しますと、早稲田大学はトップではありませんので、これは単純に合格者が多いとか合格率が高いロースクールを高く評価しているのではなく、あくまでカリキュラムや取組というものを評価しています。

 ただ、合格率が全く評価されていないのかというと、そうではなく、それは学生の選抜の仕方、合格率は学生の選抜と学内の教育というものを示す指標になりますので、それも評価の対象には多少はなっているようです。見ていただきたいのが、一番上の 145 %という早稲田大学の非常に優れた評価に対して、一番下の右側の青い色でセルが塗られているほうは、申請に対して十分認められなかったほうです。一番下に至っては 0 %という所が 4 校、初めて出ました。

 これはやはり、はっきり申し上げれば法曹養成としての教育機関としての実質が伴っていないのではないかという評価をしていると考えて構わないと思います。やはり、ロースクールといってもそれは千差万別で、いろいろなそれぞれの理念、人的物的設備等の中で学生を教育しているわけなのですが、それに対して、一定の評価をして、それに対してふさわしい公的な支援をロースクールについて行っているということが、しかもそれはかなり厳しい形で行われているというのが、資料を御覧いただければ御理解いただけるのではないかと思います。以上です。


○森田座長
 ありがとうございました。これまでの御説明を踏まえ、論点整理の順番に沿って、大きく
2 つに分けて意見交換を行ってまいります。資料 1 について、 1 ページから 3 ページの中段に掛けて、歯科医療の需要や供給、歯科医師の養成・確保、需給推計について初めに議論し、残った時間で 3 ページの (2) から (4) に掛けて意見交換を行います。このワーキンググループの議論できる回数というのは限られていますので、更に論点として追加すべき事項などがありましたら、ここで積極的に御発言いただければと思います。

 資料 1 について、 (1) 1 3 ページの需給関係ですが、 3 ページの中段に掛けて歯科医療の需要や供給、歯科医師の養成・確保、需給推計に関して、御意見を頂戴します。また、今申しましたが、本資料にかかわらず、構成員の御説明資料に関しても、御質問のある方は御発言いただきたいと思います。それでは、どなたからでも、どうぞ。


○羽村構成員
3 ページの一番上の文章、「高齢化社会に対応するために」というのがあるのですが、高齢化社会という定義が、老年者人口が総人口の 7 %を超えた時点で「高齢化社会」と呼ばれます。それで 14 %を超えると「高齢社会」と呼ばれるのです。ですから、日本は既に高齢社会、場合によっては 25 %の高齢化率を超えているので、「超高齢社会」とも呼ばれることもありますので、この「化」は取ったほうがよろしいかと思います。「高齢社会に対応するために」としていただいたほうが、よろしいと思います。


○森田座長
 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。


○山科構成員
 安藤先生、ご丁寧な説明をありがとうございました。前回とほぼ同じ説明であったようにお聞きをしているのですが、私も前回同じような発言をさせていただいたということで、
14.1 人という数字が、固定されているために、需給のバランスとすれば需要のほうが大きくなってくるから、供給は少ない状況が生まれてくると。これはあくまでもデータに基づいた推定と思っています。

 それから、本日、過去の分と比較したデータを示していただいたということですが、現実の問題として考えていくときに、高齢社会へ向かって、もう超高齢社会ということで、高齢者が増えるということで、社会の関心はそこに一極して動いているわけです。ただ、人口動態として考えていったときに、果たして高齢者が増える、本日の参考資料 2 のスライドの 5 にありますように、 75 歳以上は 800 万人増えるというものです。逆に 64 歳までの人は 3,000 万人減ってくるわけです。医療は高齢者だけ行っているわけではなくて、全体として歯科医療を行っているわけです。全体とすれば、 3,000 万人から 800 万人引くことで、 2,200 万人はずっと減ってくる傾向にあると。御存じのように、今、 1 2,000 万人ぐらいの人口が、 100 年前から 4,000 万人ぐらいだった人口がこの 100 年間で 1 2,000 万人になって、今、人口動態の推計からいけば、恐らく今後 100 年後には 4,000 万人ぐらいの人口は減ってくるという経過にある。その途中で 2035 年を考えたりして、教育問題を考えていかなければならない。

 医療においては、高齢者が増えるという概念は大事ですが、結局は人口が減ってくるという点、特に 18 歳時の人口、受験者も減ってきているにもかかわらず、定員があることを認識すべきと思います。供給がいつまでもその供給に合わせた形を保持したまま推計としていろいろな施策を考えるうえで高齢社会における歯科の役割が需要としては伸びていくということはわかりますが、現時点で具体的にそれが、どうなっていくかもしっかり考えなくてはいけないのですが、なかなか難しい点があると思います。

 過去のデータに基づいて分析していくということですが、単一のデータだけでは駄目で、今ありますように、 NDB のナショナルデータベース等を含めて十分にいろいろな幾つかのデータを勘案していく必要があると思います。必ずしも 14.1 人というのが間違っているわけではありませんが、果たしてそれで過剰かそうでないかという判断をするのは、少しいかがなものかと。これは前回のときもそういう話になってきたわけで、今回は感度分析も行っているわけですが、総合的なデータの集約が必要だと考えます。

 具体的に今回の中医協で示された NDB データを用いると 27 年度については 14.1 人で計算をする必要はないというようなデータも出ており、必要があれば今後提出させていただきたい。そういうものを総合的に勘案してこの計算をしていただけたらと思っています。

 何回も言うようですが、歯科医師会とすれば、正に供給過剰であるのではないかという意味合いをいつも言っているわけですが、むしろ逆に、その反発として需要が非常に拡大するという一方的な考え方を、ここで余りにも早急に作る必要はないと私は感じていますので、現状をしっかりと見ていただいて、現場の診療の体系をもう少し考えていただけたらと思っています。


○森田座長
 ありがとうございます。


○安藤構成員
 ちょっと説明させていただきます。これはいわゆる診療所に勤務している歯科医師全体の平均ですので、大学病院等で本当に少しの人数しか診ない人も人数的にはかなりいますので、そういった値ですので、開業医の先生方の実感からはある程度乖離した数字であるというのは、数字の出し方としては多少致し方ないところがあります。

 過去の推移といいますか、患者調査と医師・歯科医師・薬剤師調査の人数で、要するに患者調査で出てくる推定患者数を、診療所に勤めている歯科医師の数で割った、単純なそういう数ですが、過去のデータを見てみますと、そういう点での一致度は患者調査と数字自体はぶれていませんので、 14 人だと少ないから 15 人にしようとか、そういうところもほんのちょっとあるかもしれませんが、そういう点では統計的に申し上げますと、かなり正確なところはあります。ですから、この人数の設定によって、それぞれの年度の傾向がぶれているということは非常に考えにくい点がありますので、一応そこは説明させていただきます。


○森田座長
 ありがとうございました。


○川添構成員
 今、まとめの
2 ページから 3 ページにかけての 2)-3 2)-4 、あるいは (2) に関連して、大学の側、教える側からすると、とにかく入学時の学力に始まって、卒業する直前のレベルといいますか、究極的には国家試験の合否が、どうやら絶対評価ではなくて相対評価の要素が大きくなってくるきらいがあり、これには学生は入学時の希望に燃えた状態が、非常に卒業のときになって失望していく感じの学生が非常に多いような気がします。特に私立歯科大学の学生を見ていますと、優秀な学生であっても、必修の問題で不合格になるということがあるので、その年によって数が増えたり減ったりすることはあるのでしょうが、資質向上といいますか、とにかく質を担保しないといけない、将来ともレベルアップしないといけない。

 そういったときに歯科学、歯科の狭い出題範囲といいますか履修範囲の中での問題と、更に全身管理とか、救急の問題とか、だんだんと高齢者に対する教育として、広げないといけない。あるいは、口腔衛生の問題をどんどん広げないといけないというふうになってきたときに、その専門、 2 年生、 3 年生、 4 年生の段階でどこまで教えれば、あるいはどこまで学習すれば自分は胸を張れる歯科医師になれるのだろうかと。今、これが非常にぐらついているので、どこかそういうところをひとつ、 3 ページか 4 ページに、評価はいろいろなところで評価をすべき、これは資質向上のために評価すべきですが、その出題範囲ではなしにレベル範囲を教育目標とするためにも、教師にとってもそれをするために、ここまで習えば最小限、一応の歯科医師になれるというところを早く決めないと、教育がうまくいかない気がします。以上です。


○森田座長
 ありがとうございます。今は、
3 ページの (2) にお話が及んだかと思いますが、今はその上の 2) の需給を議論しています。また後でその点について触れたいと思います。ほかにいかがでしょうか。


○高梨構成員
2 ページの一番上の「単純に人口比で多いから供給を減らす」、これは何度も私が発言させていただいており、それで書いていただいていると思うのですが、実は今、我々の業界は、第1回で需給問題で失敗した先の先達の業界からやってまいりましたと御挨拶したとおり、完全に需給バランスが崩れた中でやっていて、非常に困っています。

 来月の 3 11 日に日弁連臨時総会が開かれて、合格者の数を 1,000 人まで減らすという緊急動議が一部の弁護士から出されたものですから、そこでそれを審議しなければならない状況になっています。ただ、このような動議が出さされても、多くの弁護士は合格者の人数は1500人以上は必要だろうと考えています。なぜ、そのように考えているかというと、刑事弁護に人手がまわるようになった等、人数を増やしたことのメリットもあるわけです。

 しかし、デメリットも生じました。合格者を増やしたことで生じた最大の問題は、 OJT のシステムがないまま合格者を増やしたために、資格はあるけれども弁護士としての能力に疑問のある弁護士を生み出してしまったということにあります。質を担保できるようするための育成、供給体制が、十分でなかったことは、大きな反省すべき点であると思います。

 これに対して、一部の合格者を減らせという人たちは、明らかに自分たちの経済的状況が悪くなったからと露骨に言い始めているのです。これは明らかに国民の理解は得られないと私は思っています。だから、そうではなくて、いかに優秀な法曹は、極端な話、全員優秀だったら、何人送り出してもいいわけです。だけど、それを送り出す供給には明らかに限界があることを悟ったわけです、最初 3,000 人と大風呂敷を広げましたが。実際、 1,500 人でも、今は OJT のシステムは効いていないから、育てられるのかどうか分かりません。それでも意欲に燃えた若い人たちを何とか育てる仕組みを作って、優秀な法曹を供給していくという観点から、 1,500 人は何とか歯を食いしばって頑張っていこうとしています。

 ですので、繰り返し申し上げていますが、先達の業界から来て申し上げるとすると、単純に人数だけの需給バランスで、供給が多いから駄目だという議論は、国民の理解は全く得られないと思います。それは、既得権益者を守るギルド的な発想だという批判に耐えきれないと思います。やはり供給のことを考えるときは、むろん需給バランスが、安藤先生に作っていただいたものが 1 つの有力な判断材料のベースになることは間違いないと思います。ただ、そこにおいて、どうしたら優秀な人を供給できるのかという観点から供給体制を見直す。単純に需給だけで供給体制を見直すことは、先に厳しい御批判を国民から受けた業界の人間として言うと、老婆心ながら批判に耐えきれない御議論ではないかと思います。

 ですので、今日、法科大学院の傾斜配分の話をさせていただいて、優秀なプロフェッションに対する公的支援、それはどうしても公的なソースを投入しないと社会的に必要なプロフェッションを育てられないのですから、そこにいかに力をうまく入れられるかという話をしたかったので、提出しました。

 繰り返しになりますが、供給というのは、質を担保するという観点からの幾ら供給できるのかという観点がないと、単純に需給だけで御議論していると、それが有力な判断材料になることは間違いありませんが、第三者の批判には耐えられないのではないかということを、重ねて申し上げたいと思います。すみません、長くなりました。


○森田座長
 ありがとうございました。


○山科構成員
 今、正におっしゃっていました数の問題から質の問題に転化していくこと、これは非常に重要なことです。現実の歯学部の入学定員と
18 歳の人口は、先ほど申し上げましたが、これはかなり大きな乖離があるわけです。要は、 18 歳時の受験時の人口は減っているにもかかわらず、今、平成 4 年から 20 数年たっても 90.4 %にしか定員は削減にもなっていないし、その経緯がずっと続いているわけです。受験者の 18 歳の人口が減るということは、極端に言えば間口が非常に広がっている、誰でも入れると。

 データが示されていますが、入学時の倍率と国家試験の合格率はある程度連動しています。しっかりと質を担保するためには、大学の教育をしっかりとしなければならないのですが、現実の問題として、国家試験の合格率だけを見ても、如実に 18 歳時の若人の人口は減ってきているにもかかわらず、定員はへっていないところがあると考えます。

 ただ、先ほどから何度も言うようですが、数の論理も重要ですが、質的な論理はおっしゃられるとおりです。だから、そのことも踏まえて、質をしっかり担保しようと思うと、現実の定員の削減もある程度視野に入れないと、需給バランスの中で国家試験の受験者における最終年限での合格率が低下していることも、今、歯科医師の国家試験の 6 年間の 50 数%になっている現状がありますので、ここは教育と定員の問題もしっかりとこの中で現実の問題として考えなければいけないと思います。これは提言として言います。


○森田座長
 ありがとうございました。


○栗原構成員
 同じような話になりますが、先ほどの
14.1 人という数についてですが、これは患者数として先ほど御説明があったとおりで、これは間違いないと思うのですが、平均的に 7 時間働いたとしたら、 1 時間で 2 人診ている計算になるかと思うのですが、そのキャパシティーとして歯科診療所で質の高い歯科医療を提供する、担保した上で患者を診たとして、もう少しキャパシティーとしては持っているのではないかと考えられると思うのです。また、もともと親委員会の、歯科医師の資質向上が目的になったワーキングですので、そこら辺にもしっかりとしたフォーカスを置いて、需給を考えておく必要があるのではないかと感じます。ですから、ある程度幅のある数字が出されていかないといけないという気はするのですが。


○森田座長
 ありがとうございます。


○安藤構成員
 繰り返し申し上げましたように、
14.1 人というのはそういう意味ではなくて、あくまでも全体を丸めて、すごく大きな人も小さな人もみんな丸めてやったというものですので、大企業も小企業も全部入ったものですので、今おっしゃった観点でやるのであれば、もっと別の形で出さなくてはいけません。あくまでも 1 つの目安ですから、この数字に縛られないでいただきたいと思っています。


○栗原構成員
 それは理解しています。


○羽村構成員
 論点を戻して、歯科医療を取り巻く状況を踏まえた対応が
1 ページにありますので、その中の歯科医療の需給について意見を述べます。 1)-3 に書いてあるように、「多様化する患者ニーズ」ということで、現在、歯科医療だけではなくて医療のニーズが非常に広がって多様化しています。それを 6 年間の実際の教育で全て網羅できるかというと、これは全く不可能です。これについて反論される方はいらっしゃらないと思います。その 6 年間の教育だけで歯科医の資質を問うていいのかどうかも、これは問題になると思っています。

 というのは、私は常にここの会で話していますが、実は高齢者だけにどうしてもフォーカスが当たりがちですが、 1)-2 4 番目に小児に対してもフォーカスを当てるべきだと書かれています。少子高齢化だから子供は無視していいということでは全くないのです。子供たちも実は非常にニーズが多様化して、それに対応する歯科医をどうやって育てていくのかも議論すべきと思います。では、現状の歯科医がそれをできるのかどうか。できるならば、どういう教育をしているのかということになりますので、質の担保というと、非常に広い範囲である。ただ単に学生たちの教育だけを言うのはいかがなものかという気がしています。

 ですから、高齢者だけにフォーカスを当てないで、もう少し広く見てほしい。特に、子供が少なくなっているだけ、保護者の方々の要求も非常に高くなっています。これは医療だけに限らず、衣食住全ての部分で高まっているのは間違いないことです。今それが問題だから、高齢化が問題、高齢者が増える、減るということだけではなくて、全体をまた見ていただきたいと思います。需要が当然広がっているということは、医療の供給体制、特に歯科医療の供給体制も、今と同じまま行くのは全く考えられないことになります。これが 10 年後、 20 年後、本当に私たちがそれを見据えて論じているかということも、自分たちで問わなければいけないと思います。


○森田座長
 よろしいですか。ほかにいかがですか。まだ御発言のない方で。


○伊藤構成員
 私は専門家ではないのでは分かりませんが、戦後
70 年になってきて、私の子供の頃は、歯医者さんはそれこそ朝 4 時から起きて並ばないとできなかったものが、今こうして過剰になってきているのは、先生方のお話にも一部ありました。今、羽村先生がおっしゃられたように、確かに人生を過ごしていく中で、歯はひょっとしたら一番大事なのかもしれません。

 これからの社会も含めて、 2)-4 3 番目に書いてあります、社会がいったいどういうお医者様を求めているのかが一番大事な話だと思っています。これは教育も含めてだと思いますが、そこのニーズに当てて教育をしていただかなければいけません。また、これは高梨先生がおっしゃられたとおりの話で、人口だけの話ではなくて、そこに需要があるわけですので、そういうのを業界として育てていただく、対応していただくのが、私はこれは一番大事なことではないかと思います。

 全部自歯という年代がだんだん増えてきていますし、確かに子供に対してお母さん方の指導、でも、そうかといって全部が皆さん良い歯を持っているのかというと、そうではないかもしれません。そのあたりも推計では分かりませんので、あくまでも数字だけのお話になりますと、これはどれがいいのかは私ではなかなか判断しかねるところがあるのではないかと思っています。とにかく人生を送っていただくための大事な歯科ですので、どこが求められているのかと。その姿を私どもに示していただいた上で、果たしてそれはいったいどれだけケアに掛かっていくのかとか、そうした推計が必要ではないかと思っています。

 先ほど栗原先生がおっしゃられました 14.1 人という数字に、だから私はこだわる必要はないと思っていますし、本当に 30 分で治療が済むのか、それこそもっと時間がかかるのか、実際のところこれも分かりません。どれが適切なのかは分かりませんので、これは何度も何度も通わなければいけないという基本的な常識のようなものがありますが、果たして本当にそうしたものが社会に受け入れられるのか。予約が 30 分単位であるから、 30 分の治療が終わったら、もう帰ってくださいと言われるのか、きちんと治して帰していただけるのか、これもまた違ってくるのかもしれません。歯科医師の先生方に社会がどういうことを求めていくのかは、これからだと思っていますので、是非、対応をいただければと思います。


○森田座長
 ありがとうございます。ほかにいかがですか。


○西原構成員
 私は資質向上の検討会議のワーキンググループで専門医をまとめさせていただいているのですが、今回配られた資料のパワーポイント原稿の厚めの資料で、皆さんのお手元にあるスライド
31 を御覧いただきますと、少子化の中で優秀な学生を歯学部教育に入れる入学試験、そして卒業試験等々も含めて 6 年間の教育で、国家試験を受ける資質があるかどうかということで問うて、また、その後、歯学部教育の中で研修医が 1 2 年ということになります。その後の資格を持って研修医を終えた人たちのリカレント教育あるいは再教育も含めて、どのようなシステムが世の中にあるかというと、学会主導型の専門医しかないという現状の中です。「一気通貫でシームレスに」という言葉はいいのですが、それを議論する組織があるかということになると、歯科の場合、大学、歯科医師会、学会を束ねる日本歯科医学会、この三者が膝を突き詰めて話をしてきたかと問われたときには、これはノーなのです。ですので、これは喫緊に資質向上でいろいろ語られる部分を解決したいのならば、まず、そこでの会議体で歯科医師が目指す方向性をトータルで考えないと、各論で歯学系について、文部科学省、厚生労働省だけが語っていても、これはたどたどしい議論に終わるのではないかという思いを今回強く残しています。

 もう一つ、入口で山科構成員から指摘がありましたように、少子化で、学生を入れるということに関しては、文部科学省は高大連携の関連から、既にここ 5 年から 10 年を見据えてセンター入試の見直し、これは社会的に大きな問題ですので、いろいろ議論されていますが、大学に対して、この高大改革を通じて大学改革が求められていることは、国立大学の場合は国大協、私が所属している公立大学の場合は公大協、そして私立も恐らくは歯科大学のみならず多くの大学の集合体である私大協で述べられ、我々は社会に対してアドミッションポリシーとデュブロマポリシーとカリキュラムポリシーを明確に提示して、高校生にとって魅力ある学部だということを見せなければ勝ち抜けませんよということを明確に文部科学省が提示しています。今度、教育のレベルアップを 29 大学がそれを真摯に語り合って、その上でいろいろな会議体で決めていかないと遅れを取ることになります。これも猛省の余地が残されている気がしています。

 さらに、地道に素早くやらねばならないことであるという前提で、この需給問題も胸襟を開いて、幅広い会議体で話をして、このような場で有機的な話合いができて人数が決まらないと、患者にとっても不幸ですし、受験生にとっても不幸ということのスパイラルは何ら解決されないのではないかと思っています。このようなことは、親委員会でお話しようかと思っていたところで、すみません、各論というよりも総論的になって恐縮です。以上です。


○森田座長
 それでは、ほかに御発言はありますか。


○小枝構成員
 先ほど山科委員からもお話がありましたように、
18 歳人口が減っていくという中で今の大学入学の定員が変わっていかないという状況、そして現状でいろいろなことで考えていったときに、やはり国民に対して絶対的な質の担保ということを主張していかなければ、いつまでも理解も得られないということは事実だと思います。

 その中で、大学教育の中では、その 2,000 人を確保していかなければいけない理由というのは何だろうか。後段の (2) の所にかかってきてしまうかもしれませんが、やはりそれはある程度の一定の教育の質を維持していく。今、現状を維持していくということが大学教育の中で第 1 の問題になっているからだと考えます。そして、今これで、入学定員、入学者の合格率が 63. 数パーセントということは、やはりどれだけ教育をしても、それに追い付かない者が当然出てきているというのが現実なわけで、そう考えていくときに、では、どうしたらいいだろう。大学教育の質を向上させていく、だけれども、大学経営を考えればそれに応えるだけの学生を確保しなければいけないという現実から考えたときに、そこのところが一番ポイントなのではないかと私は考えています。

 現状、今、恐らく、羽村委員は言われないと思いますが、その取り残されているような学生さんの教育にどれだけ教育の現場で忙殺されているかということもあると思いますし、その部分が質の高い教育に振り向けられれば、更に良い歯科の教育というのが担保できるのではないかと思っています。ですから、大学の安定した教育環境しいて言えば経営環境、そこの所に対しての補助、援助ということが必須だと考えます。経営の安定というところを図った上で、どうしていくか。 18 歳人口が減るから入学者に合わせた補助も減らしていくかということではなくて、入学者数を減らしても質の高い教育ができる体制を確保し需給問題を考えていくことが今の歯科教育の中バランスを保つ唯一のポイントではないかと私は考えています。


○羽村構成員
 名前を出していただいたので、発言させてください。今も
2,000 人という数値が出てきますから、もう 2,000 という数字が決まっているならば、この合格率は変わらないのですよ。いくら良い教育をしても、 2,000 人しか合格しないのですから。ですから、数値を最初に決められて論議をすると、これは全く意味がない。申し訳ないですけれども。先ほど高梨委員から、司法試験の合格率も確かに 1 つのパラメーターであるけれども全体でない、というのが非常に私は心に響いています。やはり幾つかのパラメーターのうちの 1 つとするのはいいことだと思いますけれども、既に数が決まっているということが大前提になったならば、この合格率ということは全く無意味です。既に学生はいるわけですから、その学生たちに対して質が低いとか、この学生たちは出来が悪いとかということは全く言えないと私は思います。これからのことはまた別ですが、現状で言われるのは、ちょっと心外です。


○小枝構成員
 失礼しました。


○羽村構成員
 その上でどんなパラメーターがあるかと言うと、私は前回までは余り賛成はしなかったのですが、例えば、学生が診れる患者数をどれだけ病院で確保しているか、そういう形のしっかりとしたパラメーターで出す、それで評価するというのは賛成です。何度も言いますが、私は決まっているとは思わないですが、歯科医師国家試験合格者数が決まっているというような大前提でお話をされてしまうと、これは今の学生たちはかわいそうです。これから社会に出て社会貢献をしようとする人たちを、最初から否定するわけですから。歯科医師として本当に期待されて出て来るのと最初から否定されて出て来るのとでは、彼らはどうなるかというのは、もう自明の理です。全く自分のためにだけしか働かないという可能性さえも私は考えてしまいます。我々は歯科医師として、卒業生、新卒者、若しくは学生たちが社会のために貢献するためにはどうしたらいいかということを考えるのが、私はこの場だと、需給問題の
1 つの大切な WG だと思いますので、それを頭から否定するというのは、避けていただければと思います。


○森田座長
 今、数字が決まっているかどうかについてですが、鳥山課長、よろしくお願いします。


○鳥山歯科保健課長
 歯科保健課長でございます。羽村先生はよく御存じだと思いますが、国家試験は、事前に合格率や合格者数を決めて実施しているものではございません。あくまでも合格基準に合致した方が合格するということで、結果的に前回の国家試験では、切りのいい
2,000 人程度であったということです。

 それと関連してですが、先ほど和田から説明させていただいたパワーポイントの資料 33 をもう一度御覧いただきたいと思います。こちらはいわゆる現役の方々の 29 歯科大学歯学部別の受験者数と出願のみの方の人数を示したものです。したがって、入学定員のほうは、これは決まっておりますが、国家試験にどれだけ出願されるか、あるいは実際に受験されるかについては、私どもは事前の予測ということはできませんので、あくまで出された結果をもって判断しているということです。

 それと、先ほど国家試験の合格者数などは事前に決まっていないということを申し上げましたが、昨年度の国家試験の実績で申し上げると、現役で国家試験を受験した人数、これは出願ではなく、その方々がちょうど約 2,000 人ぐらいだったということです。これは何も私どもが調整したわけではなく、結果的にそういう数字でした。

 もう 1 点は、先ほど高梨先生から法科大学院における OJT という御発言がありましたので、これも和田から説明をさせていただいたパワーポイントの資料の 12 ページの入学定員 ( 募集人員 ) 当たりの 1 日平均外来患者数、これに関連しての発言が今、羽村先生からございましたが、私どもはやはり平均外来患者数というのが歯学教育における OJT 、すなわち臨床実習の大きな指標になるものと考えております。以上です。


○森田座長
 どうぞ。


○小枝構成員
 誤解がないように、今後のことということで御理解いただきたいと思います。まず、第
1 に一番担保しなければいけないのは、現状の教育機関の経営的な安定だというように私は考えます。それがあって、いろいろな形で減らしていくという前提がなければ、やはりそこのところの質は全体的に下がっていくだろうというところが私の意見です。ちょっと応援したつもりで言ったのですけれども。


○森田座長
 どうぞ。


○山科構成員
 非常に教育の問題にまで入っているので、本日の先ほどのパワーポイントの
12 ページ、確かに入学定員と 1 日当たりの外来患者数の比率が挙がっています。これは 1 つの指標として出ているわけですが、極端に言えば、大学の大学病院等における実習については、患者数だけで推し量れるものでもないし、教職員、いろいろな関係者の数もありますし、施設の大きさにもよります。ただ、これは数字としてここへ割り算して出てきた数字なのです。今後、教育というのは、例えば教員の数も大切ですし、質的なものと施設も関係ありますし、そういう状況で患者数だけで割り切れるものではない、そういう総合的なことも考えてやはりやっていかなければいけないと考えます。

 本日のこの論点の最後のほうに 1 点入れていただきたいのは、やはり教育機関としての教職員の今後の養成とか教育、大学病院等における教育機関の教育者、教育する側の養成等も踏まえたものを提言としてここの中に挙げていただいたら、より充実したものが出来上がるのではないかと思います。


○森田座長
 ありがとうございます。次の後半のほうにも入っていると思いますので、余り気にしないで御発言ください。


○栗原構成員
 先ほど西原先生から総論的なお話があって、パワーポイント
31 の所で、これは皆さんよく御存じかと思いますが、前回も私がいろいろと発言させていただきましたが、卒後、教育する場、教育を受ける場として、大学病院というのは大きな役割を果たしているのですが、医科と違いまして、歯科大学あるいは歯学部附属病院がある場所が非常に偏在していて、その研修、いわゆる定められた研修、卒後研修を終わった後の教育の場というのが非常に限られていると。確かに羽村先生が言われるように、どんどん高度化してきておりますし、専門医として求められていることも多いのです。やはりこれまでの歯科医療の提供体制だけではなくて、もう少し違う形の提供の仕方ができるようなことを考えていく必要があるのではないかと。それによって、 6 年間だけではなくて、更に資質を向上するというところに果たす役割が出てくるかと思います。もちろん高齢社会になっている、あるいは超高齢社会になっているわけで、地域でどういう体制をつくるかはもちろん大切ですが、それと併せて考えていく必要があるのではないかと思います。以上です。


○森田座長
 ありがとうございます。どうぞ。


○川添構成員
 先ほどの。


○森田座長
 すみません、先ほどのご説明を続けていただけるということですね。


○川添構成員
 そうです。それも言い足りないのですが、それとまた違って、パワーポイント
12 番の病院のあれに、山科委員も栗原委員もこれだけでは測れないと言いますが、これは 1 つの良い方法ではないかと私は考えています。というのは、非常に分かりやすいのですね。ただし、歯科大学とか歯学部が少ない所とか、国立は定員が少ないということが少しありますが、そういう場合は、少し中規模の病院でも研修医を大分引き受けている所がありますから、そういうところでトレーニングすれば、歯科医師の資質向上のレベルというのは、やはり知識教育と臨床教育の 2 つが相まってはじめて患者さんから満足を受けると。どうしてもこの需要は測りにくいのですが、まず患者数がこれだけ 10 倍も開きがあるとか、地域にもよるのでしょうけれども、この辺りから精一杯それぞれの医療機関が、もっと患者数を診ないと、何か診療室で横で問題集を解いているということも一時よく言われてきたので、それでは 1 年の研修医を厚労省で受けたとしても、患者さんはまだ新前の歯科医を十分育てきれてない、 7 年間かかっても育てきれていないということですから、これをまずどんどん促進すれば、私はこの右側の少し低い所も段々、割合に短い時間に向上してくるのではないかと思います。

 問題は知識教育のほうはもう少しコア・カリとか、そういったことで、どこまでの範囲をやれば本当に十分と言えないまでも満たされるのかということがどんどん変わってきていると思いますね。特に全身管理の知識は国家試験にいきなりボンボン出る。インプラントの治療でも、まだエビデンスもないのにどんどん出ている。教科書もほとんどなされていない。こういう状況で難しくなってきていて、もう、どこまで勉強すれば受験生は知識は十分なのか。だから、患者なんか診ている時間がないということになっているわけです。これを是非、知識教育の 1 つのあれに。


○森田座長
 どうぞ、課長。


○鳥山歯科保健課長
 今の川添先生の御発言の内容ですが、実は私ども、今、国家試験の制度改善について検討しておりまして、今年度に取りまとめたこの結論を基に、来年度、国家試験の出題基準の改訂を予定しております。通常、この国家試験の出題基準の改訂については、これまで
4 年のサイクルで実施しておりました。

 一方で、今、川添先生の御発言の中にもありましたように、歯学教育モデル・コア・カリキュラム、本日は寺門課長にお越しいただいていますが、私ども、文部科学省から今年度末から医学、歯学のモデル・コア・カリキュラムの改訂にも着手することを聞いております。来年度、偶然ではありますが、国家試験の出題基準と、モデル・コア・カリキュラムの改訂が同時並行になりますので、文部科学省と十分連携を図りつつ、教育内容の充実に資したいと思っております。


○森田座長
 どうぞ。


○高梨構成員
 教育と試験の話で、こちらの業界の話を少しだけさせていただきます。昔、司法試験が、なぜロースクール制度が導入されたのかと、ロースクールの悪口ばかり言っているようで申し訳なかったのですが、もともと非常に極端な相対評価の試験だったのです。合格率が
2 %とか 1 %とか、現代の科挙と言われていた時代もありました。私の受かったときは、もう 3 %ぐらいにはなっていましたが。

 それで、極端な相対評価の試験をするとどうなるかというと、それなりに優秀な人材が相対評価の試験を受けようとすると、みんなそれなりに知識はどんどん頭の中に入れてくるわけです。そうすると、昔の昭和 40 年代の司法試験というのは、足切りの択一試験というのがありまして、マークシート型で、次の 1 5 までで正しいものはどれでしょうというような、そういうレベルの試験だったのです。でも、最後の頃は、それを 60 問を 3 時間で解かなければいけないのですけれども、 1 問が 1 ページあって、大量の長文があって、穴があって順番がばらばらになっていて、それを全部並べ替えて、穴埋めして、その穴埋めで入れた言葉の文言の順番を次の 5 択から選んでくださいというような、すごいアクロバティックな試験になってしまったのですね。これに対応するために司法試験予備校でみんなそういう訓練を受け始めました。それが悪循環になって、どんどんパズル的な要素の試験になってきた。これでは本当の法曹、これで法曹選抜していいのかという議論になって、プロセス重視で、理論をちゃんと教えつつ実務教育もきちんとするロースクールを作ろうという一大改革がなされた。

 ですので、先ほど羽村先生がおっしゃっていましたし、川添先生の、 OJT をやらなければいけない現場の後ろで問題集を解いてる学生が出てくるということは、相対評価の試験がもたらしている弊害だと思います。極端な相対評価の国家試験をすると、教育がねじ曲がるというのは、我々の経験しているところで、それを改正しようとして、ロースクール制度、プロセス重視、理論と実務をうまく融合させた教育機関を作りました。でやはり極端な相対評価の試験というのは、学生の意欲を失わせたり、教育をねじ曲げたりするバイアスになるのではないかということを申し上げたいです。


○森田座長
 ありがとうございます。


○川添構成員
 高梨委員にお聞きしたほうがいいのかどうか分かりませんが、司法試験とか法科大学院について、昨年
11 月かに、ある新聞に法科大学院の現状で、今後どうするかということを「腹をくくった」というような表現で、それは 70 %合格率か、何かその中での試験の、とにかく 70 という基準があって、現状、今までで、国立も私立も入れて 70 点をクリアしていたのは 4 校だけであるということです。それでこの 3 月末までに、何とかそれを基準にして整理を行うことに腹をくくったと、そういう記事を読みました。多分コピーしてあると思いますが、それはお聞きになったことはありますか。


○高梨構成員
 それは多分、事実上やはり補助金の傾斜配分によって導こうとしているところが、そこのところに向かっていたということだと思います。制度設計の失敗の話をすると長くなるのですが、もともとそんなにロースクールをたくさん作る予定はなかった、作る予定ではなかったのがたくさん出来てしまったというのがあります。何でそれがうまくいかなかったかと言うと、ロースクールのない法学部は学生さんが来ないだろうという考えで、今まで司法試験合格者とか
OB とかに法曹を抱えていないような大学にまでどんどんロースクールが出来ていって、なかなか教育がしにくい、教育機関としての実質を備えにくいところができてしまいました。それをもう一回補助金の傾斜配分という形で整理していくということです。そのプロセスに今あるということだというように御理解いただいたほうがいいと思います。


○川添構成員
 もう
1 点です。 4 ページのまとめの (4) 2 つ目の「法科大学院では、」という所の 2 行半、この意味を私は理解していないのですけれども、これはどういう意味でしょうか。「法科大学院では、常に外部のチェックを受ながら評価を出しており」、ここまでは分かります。「優秀な教育機関には行政的なサポートが手厚く」、これはまずどういうことですか。


○高梨構成員
 簡単に言うと、補助金のことです。


○川添構成員
 そうですか。


○高梨構成員
 それは先ほど補助資料で御説明した所の。それで事実上、ロースクールは学生さんのお支払いもかなり高いのですが、教員と学生のバランスから言うと、学費だけでは運営できない状態になっています。


○川添構成員
 そうでない場合は、退場していただく形に。


○高梨構成員
 自動的に、補助金が来ないということは、事実上、店仕舞いをしないとやっていけないし、合格実績が少ない所は学生も来にくいですから、そういった形で、間接的に淘汰していく流れがつくられています。補助金の傾斜配分というのは事実上そういう機能を持っているという。


○川添構成員
 それは自主的に、大学のほうで、ということですね。


○高梨構成員
 最後は、法科大学院がやめるやめない、募集を停止するしないは、法科大学院が御判断なさっています。別に文科省がやめろと言っているわけではないのです。ただ、やはり教育機関としての中身から見て、要するに公的なリソースを投入するにふさわしくない所は、必然的に運営ができなくなってやめていくという流れが今できていて、多分もう少し減って、適正な規模になるのではないか、その流れにある最中だという理解でいいと思います。


○川添構成員
 はい、分かりました。


○鳥山歯科保健課長
 法科大学院の合格率について、私も新聞情報しか持ち合わせていませんが、合格率
70 %というのは、確か 1 回の合格率ではなく、 3 年間か 5 年間、いわゆる累積合格率の数字です。


○高梨構成員
 累積合格率です。


○鳥山歯科保健課長
 私どもの歯科医師の国家試験の合格率とは、少し数字の意味合いが違っていたと記憶しております。


○高梨構成員
3 回以内に受かった人がどれぐらいいるかという話なので。


○川添構成員
 そうですか。


○高梨構成員
1 回の試験で受かっているいないだともっと低い確率になります。


○森田座長
 どうぞ。


○羽村構成員
 需給問題の
WG なのですが、どうもちょっと違うところの話をしているような気がします。


○森田座長
 そちらも議題に入っていますので、関連すると思っております。


○羽村構成員
 需要と供給で、どうしても需要のことのほうが論議としてはおろそかになっている気がします。供給のほうがもちろん論議は簡単だと思いますので、供給のほうだけにどうしてもいきがちなのですが、需要は人数だけで判断することは絶対いけないと思います。日本の人口が減るから歯科の需要が減る。それでいいのですかと。もう未来永却、今と同じ歯科医療の体制が続くのですか。過去から昭和
59 年の体制がそのまま続いてるのですかというと、今ははっきり言って違うと思います。

 また、その需要に対して、供給される歯科医も、全てできる人というのは段々少なくなってきていると思います。それぞれのエキスパート。ですから専門医のスペシャリストのことがまた構想上に挙がっていると思います。需要が広がれば、実は需給問題は全く問題なくなるわけです。ただ、もちろん国庫の問題、その医療費の問題等々あると思いますが、今、現実に日本の国民が歯科の問題でどういうことが問題になっているかというと、それに対して、本当に 100 %、我々は応えているかというと、そうではないというように思います。

 いろいろな統計が出ていますが、貧困家庭と裕福な家庭では、口の中の健康状態も全く違うと。では、貧困家庭をどうするか、では、裕福な家庭の人たちは無視していいのかというと、またそれは違うと思います。ですから、問題は解決されていない状態で、ただ供給だけを狭めるという論議では、私はこの場所にはそぐわないと思います。ですから、供給、隠れたニーズを探し出すというのは、これは我々、例えば、大学人、研究者の仕事であると思います。それはもう広がっていますし、社会に対するチャレンジもしているというように自負しておりますので、その供給が先細りだということの論議だけで話をするのもいかがなものかと思います。


○森田座長
 ありがとうございます。安藤委員、それから南委員にお願いします。


○安藤構成員
 需要の議論が不十分だということを受けて、お話したいと思います。歯科医療の需要といっても幾つかのパターンがあります。古典的なものは、虫歯があってそれを修復する、あるいは歯が失われて義歯を入れるといったもので、これらは供給量が歯科医師の数と比例するのです。歯科医師がたくさんいれば、たくさん治療ができるし、少なければ、少ないということで、ある意味、計算も非常にしやすいのです。それが、昔は圧倒的に疾患が多かったところが、歯科医師が増えて、また、ちょっと疾患も減ってきたということで対応できてきたことは、ある一定の成果があったということは間違いないと思います。それだけではなくて、予防的な処置を歯科医院で行うとか、あるいは有病者の方へ訪問診療とかという形でニーズの内容も大分変わってきていますが、これらのものは実際、供給によって需要が変わってくるという側面も非常に強いものです。

 例えば予防処置などは、患者さんの側から自然発生的に何とかしてくれと言うわけないですよね。サービスが提供されるという体制が整って、そういったことが見える化され、うまくいったという方が現れて、口コミで広がる、という循環で広がっていく性質のものです。今、実際に歯科医院の現場で起きていることでよく耳にするのは、歯科衛生士が足りないということです。これは歯科衛生士の数がゼロだから困るとか、 1 人だからとかということではなく、とにかく足りないということのようなのですが、正に歯科医療のサービスの質が変わってきているということだと思います。

 訪問診療も供給体制の影響を受けます。今までの歯科医院、歯科医療供給体制は、 1 人開業制というのが何となく原則で、私たちが教育を受けたときは、もう暗黙の前提で君たちはそういうようになるのだという感じの教育でした。それで、実際、私たちが習った頃は、何と開業医の開設者の 3 分の 1 30 代だったのです。ですから、ちょっと上の先輩というロールモデルがたくさんいましたので、大変分かりやすい状況でした。そこが今、変わってきています。また、 1 人開業制のモデル自体も現実に行われている内容が変わってきています。しかし、大学で教えていることはどうも基本的には 1 人開業制というのは暗黙のというか、ほかにモデルの作りようがないのかというところがあると思いますので、そういった辺りの是正を図っていくということが重要です。

 話を戻しますが、需要の質というのは変わってきていますので、供給とのリンクが非常に強くなってきています。どちらがどうだというように言えなくなってきていると思います。また、歯科医師の数だけで、歯科医療の需給を決められるものでもありませんので、そういった辺りをどう見ていったらいいのか、また、国の収集するデータとか活用するデータ等も含めて、例えば定期的に予防ケアで受診している人の数は、はっきり言って、まだ分からないというか、きちんとした統計がありませんので現状がよく分からないというところがあります。そういう面で歯科医療の質を議論するための情報が全国レベルで不十分という状況があります。そういった観点で、歯科医師数ということだけではなく、少し話を広げて議論をしないと、多分、同じ話がぐるぐる回ってしまうのではないかと思っています。以上です。


○森田座長
 南委員、どうぞ。


○南構成員
 私は少し先に失礼するので、所感も含めて一言述べさせていただきます。今、安藤先生が言われたことともちょっと重なる部分があるのが
1 点です。医療というのは「供給が需要を呼ぶ」という非常に特殊な領域です。ですから、需要が問題だというのは、よく理解はするのですが、 1 ページ目の「多様化する患者ニーズ」は、やはり供給とリンクしているニーズです。新しい治療法にこういうのがあるから、といったことがいろいろ目に触れるようになって、それに誘導されてくる需要というのも非常に多くなっているわけです。ですから、純然たる需要を算出することは現代ではなかなか難しいのではないかという印象があります。

 果たして多様化しているのか、一般の医科も含めて、生活習慣病の一環で、保健や予防などについていろいろなことが語れるようになっています。もちろん羽村先生も言われたように、今の状況が向こう 50 年続くわけではないということも折り込まないといけないというのはもちろんですが、国の財政状況とか、医療保険事情とかいろいろなことも考慮すると、相当高次の方程式を解くような話になっていきまして、需要と供給をクリアに語ることは非常に難しくなっていると言わざるを得ないと思います。

 そういう中で、ワーキングに参加していて強く印象付けられたことは、国民が希望している歯科医の在り方と実態のかいりです。非常に珍しい専門的な領域のことよりは、先ほど西原委員も言われましたが、基本的な口腔保健とか、歯科治療の部分で、口腔ケアをきちんとする、そういう基本的なところに歯科医の非常に高いニーズがある。にもかかわらず、それについての情報が少ないという議論が非常に多かったわけで、歯科医療の質を含めた需給の議論というものを、是非、歯科の先生方の中から提起していっていただきたいというのが私の御願いです。


○森田座長
 ありがとうございます。大分、大学の教育の話にシフトしているのですが、オブザーバーの寺門課長のコメントは。


○寺門文部科学省医学教育課長
 どうぞ、お進みください。よくお話を聞きたいと思いますので。我々側の調査研究協力者会議でするフォローアップは、厚労省の方にも来ていただきながら進めておりますが、さらに、今の御議論を聞くと、足りない点等があれば、引き続き強力にその点をやっていかなければいけないという認識を新たにしました。


○森田座長
 分かりました。この議論はいかがでしょうか。私は進行役ですけれど、ちょっとコメントをさせていただきます。私自身は社会保障・人口問題研究所におりますから、人口の話は耳に入ってくることが多いのですが、少なくとも短期的にはともかくとして、長期的には我が国の人口はかなり減ってまいります。これは需要の形がどうなるかも含めてですけれども、基本的にお客さんの数が減ってくることは前提になり得ると思います。

 もう一つは、教育のほうもそうですけれども、 18 歳人口が減ってきた場合、大学の入学者が定員に比べて入りやすくなってくるということです。これは歯学とかロースクールだけではなくて、全般に普通の大学でもそうなってきています。今、多分今年ぐらいですけれども 18 歳人口は 120 万人ぐらいいると思います。これが 18 年後ですけれど、昨年生まれた赤ちゃんが 100 8,000 人ですので、 18 歳までの間に少し減りますから、そう考えた場合に、正にいまの定員のままで言えば 400 人に 1 人ぐらいですか。医科のほうは全部で医師は医学部定員が 9,200 人ぐらいですけれど、今度増やすことになりまして、 100 人に 1 人となるわけです。これが国際的に見てもそうですけれども、医療需要も含めて、それだけの数をどう考えるか。実は私は医科のほうもやってるものですから、この需給のほうを少し長期的に考えていかなければならないと思います。

 子供たちはどんどん減ってまいります。 2050 年か 2060 年ぐらいになりますと、私どもの推計では、多分 50 万人ぐらいしか生まれないということになりますので半分になります。多分歯科もそうですし、医科のほうも当面需要が増えるであろうというのは高齢化です。ただし高齢者のピークが大体 2040 年ぐらいになります。それから後は急速に減ってまいります。歯科医師の方は何歳までおやりになるか知りませんけれども、大体 20 代半ばからで、今皆さん先生方も長生きされますから 50 年やるとしても、それで時間軸を入れた総量という話も出てくるのかなと思っております。これはある意味では推計でそこまでできるのか難しいところですけれども、少なくともかなりの御高齢でも実際に開業して現場で地域医療を支えていらっしゃる方が今でもたくさんいるということを考えたときに、どのように考えるか。

 ここからちょっと余計な情報ですけれども、ヨーロッパに行って同じようなことで少しそういう議論を向こうの医療政策の担当の方としたことがあるのですが、彼が最初に言ったのは、医師 1 人を養成するためにどれぐらいコストが掛かるのか。その人たちが何年間働いて国民のためにどれぐらい貢献するのか。そういう計算をされまして、仮にそこから出たのは、私の単なる情報提供だと受け止めていただきたいと思いますけれども、その意味でいうと、 1 人当たりの養成に非常にコストが掛かる医師には、医師にしかできないことをやってもらう。それ以外のことについては養成のコストがもう少し低い方にも担当してもらうと。そうした形で将来の人口とニーズを考えながら、バランスを取っていくというような話を聞きました。これは医師の場合もそうですけれども、実は大学もそうですし、一番ある意味厳しくなってくるのは大学教員が大変なことになってくるということです。何を申し上げたいかと言いますと、そうした長期トレンドで見た場合に、我が国の人口の減り方はやはり念頭に置かざるを得ないのではないかということが 1 つ。

 もう一つは、逆に言えばリソースに余力があるから質をもう少し考慮する、これはいいチャンスだと思います。質と言った場合も、先ほど南委員がおっしゃいましたけれども、経済学的に言うと情報の非対称性のあるようなサービスにおいて、なかなか需要というものを最初から特定するのは難しいと思います。それをどう考えるかというときに、やはりもう少しきちんとした、エビデンスというところまではいかないかもしれませんけれども、どこまで需要を考えていくか、というようなことも詰めた議論が必要なのかなと思っております。

 もう 1 点申し上げますと、私も去年の夏まで中医協に参加しておりましたけれども、その観点から言いますと、人口が減ってくるということは、当然ですが保険料と税金を払う人が減ってくることになります。これもどう考えるかということです。更に申し上げますと、これは歯科のほうでも多少問題になっていますけれども、医科のほうではかなり大きな問題になっていますのは、地域の偏在の問題です。これ全部を入れての方程式は南委員のおっしゃるようになかなか難しいですけれども、幾つか先ほどからの御議論を伺ってきて感じましたのは、軸を立てて長期的に考えていく。あるいは、もしここで今の需給のことを考えるときには、どれぐらいのタイムスパンを考えていくのかと。その辺も少し頭において御議論いただければと思った次第です。


○安藤構成員
 長期的に捉えるのであれば、現実は置いておいて、こういう方法が最もいいのではないかというようなことを考えてもいいと思っています。歯科疾患の場合、世代による差は非常に大きいという特徴があり、専門家の間ではそういう必要性という話がよく出ます。今の歯科医療体制は、歯科疾患が非常に多くて、どうやって治療を賄っていくかという体制で過去に作られたものがずっと続いてきたわけです。子供の虫歯などもかなり減ってきていますし、もっと減らそうと思えばいくらでも減らす方法はまだまだあると思いますし、歯周疾患の予防などもある程度可能だと思いますので、そういうところで予防を中心とすれば、森田先生が今おっしゃったような歯科医師ではない別のマンパワーでもある程度いけるということは可能かと思いますので、そういった面も、そういう方向にしなければいけないということとは別に考えてもいいのではないかと思っています。


○山科構成員
 安藤先生に出していただいた参考資料
1-2 の、 1996 年の森本班と 2005 年の宮武班と。現在まで 20 年ぐらいの経過の中で、現在と推計する指標が違うこともあるのですが、このようにかなり図は人によって、 2011 年は先生も関与しておられるデータですが、昔のことだからそれは知らないと言われればそれまでなのでしょうが、森本班の頃と需給のこの部分が乖離していたものが段々ひっついて、今度は逆転と言っていると。こういう想定の中である程度流れが見えるのですが、このような違いが出ている根拠はどのように読み取ったらいいのですか。


○森田座長
 ちょっと補足させていただきます。需要推計は大体同じカーブでぶれは少ないと思いますけれども、供給推計が随分下のほうに変わってきた要因というのは何か、先生の御質問の趣旨はそういうことだと思います。


○山科構成員
 そうです。


○安藤構成員
 そこのところは、ちょっと細かいところまではまだ検討はしてなくて、出てきた表をそのままグラフ化したということですが、もう少しよく見てみたいと思います。需要に関しては恐らく見込みの違いで、実際にこの
2000 年以降から患者数が増えてきていますので、それをベースにしたかということと、あとは将来的に歯の数が増えてきて高齢者の患者が増えるというところは当初の森本班、宮武班に入っておりませんので、その違いだということははっきり言えると思います。供給は国試だけでは説明できないと思いますので、もう少し、国試の影響プラス高齢歯科医師が辞めるタイミングなども少しあるのかもしません。ちょっと、よく見てみたいと思います。


○川添構成員
 このまとめの
2 ページの 2)-3 3 つ目にもありますように、医科歯科連携というのは、前回のワーキンググループではがんがん意見が出て、今ここにまとめられてあると思うのですが、今日はほとんどその意見が出ないのですけれど、よく我々歯学部の附属病院、単科の附属病院を持つ者としては、この意見は附属病院では医科歯科連携は可能だけれども、開業医では難しいのではないかと、今後の課題がまだ大分困難を持っていると、そのようなことで終わっているような気がするのです。それを少しでも、やはりこの医科歯科連携を高齢者はどんどん必要になってくるのですね。どこからか意見を出さないと進まないような気がします。医学部の附属病院はあまり歯科と連携をやりましょうとか、受皿をつくっていますという話はそれほど積極的ではないようにも聞こえます。そうするとこの医科歯科連携はやれるのかなという気がするのですけれど。


○羽村構成員
 医科歯科連携と狭めないのがよろしいと思います。地域連携で、特に歯科医は地域で開業されている先生が多いですから、地域での連携をどのようにしているかという観点もないと、病院の中だけの話になってしまいます。現実的に歯科医が必要とされているのは地域連携なのですね。地域連携ができる、またそこの中に入ってきてくれる歯科医が。


○川添構成員
 その中に歯科医が入るのですね。


○羽村構成員
 はい。ですから大きな中のところになります。


○川添構成員
 歯学部では教えなければいけない、医学部では教えているのですから。地域連携というモデルはどこで教えるのですか。


○羽村構成員
 モデルを大学で教えなければいけないです。


○森田座長
 少しその辺につきまして。


○鳥山歯科保健課長
 御存じかと思いますが、一昨年、地域における医療・介護総合確保推進法というものが成立いたしまして、全国において地域包括ケアを推進すべく私ども各種施策を実施しているところです。したがいまして、歯科医師もそれぞれの地域において、医師や看護師あるいは介護系の職員と連携をして事業を実施していただきたく、各都道府県に基金を設けていただいております。この基金を基に医科歯科連携事業等を進められています。平成
26 年度からですが、実施をされているということです。

 あともう一点、診療報酬上の対応につきましては、和田のほうから説明をさせていただきます。


○和田歯科保健課課長補佐
 平成
24 年度の診療報酬改定におきまして、周術期の口腔機能の管理に係る評価が導入されて以降、病院内にとどまらず、診療所と病院の連携が進んでいると捉えています。また、平成 26 年度改定ですが、医科のほうから積極的に歯科の患者さんを御紹介頂くような仕組みで、医科の点数表にも医科歯科連携を進める取組について、あくまで診療報酬の対応ですけれども、導入しておりますので、先ほど課長のほうからあった基金と診療報酬の両面で医科歯科連携を進めているということです。


○川添構成員
 あれはいきなりそういう医療活動として、地域でそれぞれ構築されて、やっているように思うのですが、それの地域教育とか、カリキュラムはどこで教えているのですか。


○羽村構成員
 先生、それは大学です。


○川添構成員
 いや、もう
2 年になるのに、それを作ろうではないかという波が来ないです。


○羽村構成員
 それぞれの大学で、例えば九州歯科であれば九州歯科でその地域のために講義科目、もしくは実習科目は両方とも組んでいる所は多いというように私は聞いています。


○西原構成員
 森田先生が、人口が減っていく云々の事例として、ヨーロッパのお話をされたかと思います。私はヘルシンキ大学と連携協定を結んでいる関係で聞き及んだのですが、フィンランドは、極端に歯科大学を減らして、その余波でまた少し増やしているのです。それは減らした要因がいわゆるパーソナルプリベンション、個々の患者さんの予防という概念で、御承知のようにキシリトールも開発した所ですから。その上で、う蝕が減りました。その次に、ソーシャルプリベンションという観点で歯科医師がやる役割があるのではないかという議論が展開され、また少し考えが変わってきました。

 そうすると 2025 年に向けて、正に 25 年問題を抱える中で医科と歯科がどう連携していくかということが、やはり歯科の学際領域にとって重要なことであると思います。今、川添先生が、各大学はどうしているのですかというお話をされましたが、私どもは教育のみならず臨床で、口腔保健健康長寿推進センターというのを学内に立ち上げて、一方で福岡県が条例の基でつくっているセンターとタイアップして、福岡県で、いわゆる CCRC 事業を展開しています。設置団体が福岡県ですので、綿密に連絡をして、この CCRC 事業を教育にどう反映させるかということを考えています。羽村先生がおっしゃったように、各大学はいろいろな意味で工夫はしているのだと思います。その情報交換が大学でもない、それで更に今申し上げたように歯科医師会との間でも行われていないというのは、歯科が向かう方向性を 1 つにできない理由なのかなという気がします。それを変えていくのがまず喫緊の課題の 1 つではあると思っています。


○森田座長
 ちょっと余計な情報を提供しますと、中医協の議論でもうかなり過去のことなので私は忘れていたのですが、やはり歯科と医科の連携の話が出ましたときに、病院における連携というのは比較的進むと思いますけれども、在宅における連携、正に地域包括ケアの場合に非常にこれが難しいということで、それなりの加算ないし何なりの措置は取っているのですが、基本的にお
1 人でやっていらっしゃる先生が在宅診療のために出ていくということがなかなか難しいし、そのタイミングその他を進めるための、今の西原委員のお話に結びつくのですが、医科との情報の共有が非常に難しいということで、進まなかったというようなお話が中医協では出ておりました。

 そこは今のお話でそのとおりだと思いますけれども、もう少しうまく情報連携をして、つなげていく仕組みというものを考え、それ以前に関係者で是非お話合いをしていただくことが必要と思いました。


○栗原構成員
 関連して、厚労省に教えていただきたいのですが、このパワーポイントの
27 枚目の資料で、「地域医療連携推進法人制度について ( 概要 ) 」というのがありますけれども、これは私はよく理解していないので、実際にどれぐらい既に動いているシステムなのでしょうか。


○鳥山歯科保健課長
 この施行は確か平成
29 年度からであったというように、まだ法律そのものが施行されておりません。法律そのもの、医療法は改正されましたが、まだ実績はありません。


○栗原構成員
 こういったものがやはり地域でつくられていくと、情報共有も大分うまくいくのかなという気がしますけれども。これは是非やっていかないといけないという気がします。


○森田座長
 残り時間が段々少なくなってまいりましたが、どのようにまとめたらいいか苦慮しているところです。ここはというか、これまでのことを含めて御発言がありましたら是非お願いしたいと思います。司会の不手際もありまして、教育とその需給と少し拡散したところもなきにしもあらずですけれども、ただ御発言の内容を聞いている限りではかなり密接に関連していると思います。まだある意味で残っている論点としては、
3 ページの下の (2) の辺りとか、 (3) の所について御発言が少ないと思います。


○山科構成員
 もちろん臨床をやっていますが、座学中心として教育を受け、国試を頻回受験している面から察すると、臨床の現場から非常に長期間にわたって離れてしまう。再度、教育をして、そういう状況を脱した上で試験を受けるというような、こういう新しい試みは必要かなと思います。要点は、どういう教育をするかというようなこともありますし、それから、誰がどこでどれぐらいの期間をするのかも、ある程度将来について、今までは
10 年たっても受験の可能性があるので、例えば 5 年をもう限度とするかとか、いろいろ幾つかの考え方はあろうかと思うのですが、まずはそのようにもう一回教育して受験にもっていくという、この試みは非常にいいと考えます。臨床現場から長期間離れた人を、ただ国家試験合格したからとすぐまた現場に戻ってくださいというのは非常に大きな困難性どころか危険性すらを帯びると思いますので、そういう再教育の場をある程度確保して受験に臨んでいただくような、そういう場を設けるのは非常に有効かなと思っております。


○森田座長
 ほかに御意見はいかがでしょうか。なかなか御発言がしにくい雰囲気もありますが。


○鳥山歯科保健課長
 山科先生の御発言に関連して、少し補足の説明をさせていただきます。今の歯科医師国家試験に合格した者は、
1 年以上の臨床研修が必修化されております。しかしながら、国家試験の浪人生などについては、山科先生の御発言のように臨床のブランクが長いですので、通常は在学中に、マッチングというもので、臨床研修を希望する臨床研修施設に希望を出して、お見合いのようなものを実施するわけですが、浪人生、特に多浪生の場合はそもそもマッチングそのものを応募しない方、あるいは仮に無事に臨床研修施設を見付けたとしても、なかなかそこでの臨床研修の指導医の方が非常に御苦労されるというようなことを聞いておりまです。


○羽村構成員
 確かにそのとおりだと思います。高梨委員が
OJT という言葉を使われているので、臨床研修が OJT 、確かにそのとおりですけれども、学生時代の病院実習も OJT なのです。ですから、その学生時代の OJT がきちんとしていれば、言い方として本当に申し訳ないのですが、治療技術は別にして、患者さんとコミュニケーションを取って主訴を引き出す、またはその生活の問題点を引き出すことについては、私は何ら低下しないと思うのです。ただし、国家試験に受かりますから、新たな知識は得ているとは思いますけれども、現場に合った知識というのはかなり遅れてくる可能性がありますから、それに対しては臨床研修の期間できちんとサポートしていくということになると思うのです。

 ですから今回でも私どもの教育機関の質のことを盛んに言われて、非常に私ども大変心苦しいところではありますけれども、学生時代にいかにしっかり質の高い OJT をしているかも教育機関の評価として入れていっていただければ、私どもとしては非常に有り難いなと。多浪者に対する対策の 1 つとしてそれがあるのではないかと思います。


○森田座長
 時間があまりなくなってまいりましたが、この辺で終わりにさせていただいてよろしいですか。それでは、今回またいろいろな御意見が出たと思いますけれども、それを基にしまして、次回は少し論点整理をさせていただきたいと思っております。論点整理に際して、今日御発言をされなかった論点、あるいはこういう資料もということで考えておられる委員の方は、そのときに御提出いただければと思っております。

 なお、特に需給の推計に際して、本日各構成員の御意見のように、いろいろな考え方があると思いますので、これにつきましては安藤構成員、あるいは事務局から提出されました資料を基にしまして、私のほうで事実関係を、どういう考え方があるかということについての事実と、考え方を整理させていただきまして、この親委員会の「歯科医師の資質向上等に関する検討会」で、最終的な政策的な判断も含めて御議論をいただくということで調整をさせていただきたいと思っております。ここでは需給調整をこうしろというのではなくて、こういう意見があって、こういう意見もあって、それを整理するとこうなるという形でまとめさせていただければと思いますけれども、よろしいでしょうか。

                                  ( 異議なし )


○森田座長
 ありがとうございました。最後になりますが、事務局から何かありますか。


○和田歯科保健課課長補佐
 次回のワーキンググループの日程につきましては追って連絡をいたします。事務局からは以上です。


○森田座長
 本日の検討会はこれで閉会とさせていただきます。構成員の皆様、貴重な御意見を賜りまして、どうもありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。


(了)

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