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2016年7月28日 第46回中央最低賃金審議会 議事録

労働基準局

○日時

平成28年7月28日(木)
10:00~10:30


○場所

厚生労働省9階省議室


○出席者

【公益委員】

仁田会長、戎野委員、鹿住委員、武石委員

【労働者委員】

木住野委員、須田委員、冨田委員、新沼委員、萩原委員、松井委員

【使用者委員】

小林委員、高橋委員、中西委員、横山委員、吉岡委員

【事務局】

山越労働基準局長、藤澤大臣官房審議官
増田賃金課長、川田代主任中央賃金指導官
伊勢中央賃金指導官、由井賃金課長補佐、大野賃金課長補佐、成川賃金政策専門官

○議題

平成28年度地域別最低賃金額改定の目安について(答申)

○議事

○仁田会長
 それでは、ただいまから第46回中央最低賃金審議会を開催いたします。本日は、土田委員、中窪委員、渡辺委員が御欠席です。本日の議題は、中央最低賃金審議会目安に関する小委員会報告と、平成28年度地域別最低賃金額改定の目安についてです。
 本年度の地域別最低賃金額改定の目安については、目安に関する小委員会において熱心な御審議を重ねていただき、一昨日から昨日にかけての第4回小委員会において報告が取りまとめられました。委員長の私から御報告したいと思います。
 今年度の目安審議については、去る6月14日の総会において諮問が行われるとともに、目安に関する小委員会に付託されました。その後、小委員会においては、6月14日、7月14日、7月21日、7月26日までの4回にわたって会議を開催し、委員の皆様には、誠に熱心な御議論をいただいたところです。
 小委員会報告を取りまとめるべく、公益と労使各側の個別の打合せを数回にわたり開催し、取り分け第4回については、夜遅くまで御議論をいただきましたが、労使の意見の一致を得ることができませんでした。しかしながら、公益委員の見解を小委員会報告として、地方最低賃金審議会に示すように本審議会に報告することを了承いただき、お手元のとおりに報告を取りまとめた次第です。
 では、小委員会報告を事務局に朗読していただきます。


○伊㔟中央賃金指導官
 それでは、朗読いたします。中央最低賃金審議会目安に関する小委員会報告。平成28年7月26日。1 はじめに。平成28年度の地域別最低賃金額改定の目安については、累次にわたり会議を開催し、目安額の根拠等についてそれぞれ真摯な議論が展開されるなど、十分な審議を尽くしたところである。
 2 労働者側見解。労働者側委員は、最低賃金の水準が最低賃金法(昭和34年法律第137号)第一条に規定する法の目的を満たしているかどうかという観点から議論することが必要であると述べ、賃金改定状況調査の第4表に基づく最低賃金の引上げ幅の議論のみならず、最低賃金のあるべき水準を重視した議論が必要であると主張した。
 また、目安制度の目的が、地方最低賃金審議会が地域別最低賃金を決定する際の基本的事項や、賃金水準の全国的整合性を図ることであること等を踏まえれば、地域間格差を拡大する目安を示すことは不適当であり、その縮減を図ることが重要であると主張した。
 さらに、生産年齢人口の減少など人口動態の変動を踏まえた上で、労働生産性を高めつつ、労働の質や量の変化に応じて、最低賃金水準を引き上げることが重要であると主張した。
 また、家族の生活に必要な賃金水準を確保するとともに、所得格差に歯止めをかける観点からは、現在の地域別最低賃金の水準は不十分であり、特に地域における労働者の生計費と賃金を重視しつつ、雇用戦略対話の全国で最低でも800円、全国平均1,000円という目標到達へ向け、早期にその道筋を示す目安額とすべきであると主張した。
 労働者側委員としては、上記主張が十分に考慮されずに取りまとめられた下記1の公益委員見解については、不満の意を表明した。
 3 使用者側見解。使用者側委員は、わが国の景気は緩やかな回復基調にあるものの、国内総生産(GDP)の約6割を占める個人消費は伸び悩むとともに、為替は円高傾向にあり、イギリスのEU離脱問題などによって、世界経済の不透明感が一層増している中、テロへの世界的な不安などと相まって、日本経済の先行きに関する懸念は高まっていると主張した。また、中小企業については、倒産件数は減少しているものの、企業数は、2009年の420万社から2014年には381万社に減少するなど廃業は依然として多く、人手不足や事業継承の問題も深刻化しており、総じて厳しい経営状況にあると主張した。
 また、使用者側委員としては、近年の最低賃金が、景気や経営の実態とは関係なく、いわゆる「時々の事情」によって大幅な引き上げが行われ続けてきたとの認識を示し、地域別最低賃金の近傍で働く労働者が増加している中で、中小零細企業の経営体質を強化する支援策が拡充されることなく、最低賃金を大幅に引き上げることへの懸念を表明した。
 また、「ニッポン一億総活躍プラン」(平成28年6月2日閣議決定)における最低賃金に関する記載については、最低賃金を毎年自動的に3%引き上げることを意味するのではなく、名目GDP成長率が3%を下回る場合は、当該経済状況に配慮し、最低賃金の引上げを抑えるものであるとの認識を示すとともに、「ニッポン一億総活躍プラン」の検討を始めた昨年秋と比べて、我が国経済の状況や、中小企業を巡る経営状況が悪化している点を考慮すべきことを主張した。
 使用者側委員としては、中小企業、小規模事業者全体の生産性向上が達成されておらず、政府の支援施策も不十分である中で、各種統計データに基づかずに、引上げの具体的な根拠が説明できない目安を示すことになれば、地方での審議において大きな混乱を招くことになると主張した。
 その上で、今年度の最低賃金の決定にあたっては、最低賃金法の原則である、地域における労働者の生計費、賃金及び通常の事業の賃金支払能力の3要素に基づき、最低賃金引上げの前提条件である名目GDP成長率、中小企業や小規模事業者の生産性向上に向けた支援の状況、取引条件の改善等に関する状況を踏まえながら、各種統計データ、特に、中小零細企業の賃金引上げの実態を示す賃金改定状況調査結果の第4表のデータを重視した議論を行うべきであると主張した。
 使用者側委員としては、上記主張が十分に考慮されずに下記1の公益委員見解が取りまとめられることについて、不満の意を表明した。
 4 意見の不一致。本小委員会(以下「目安小委員会」という。)としては、これらの意見を踏まえ目安を取りまとめるべく努めたところであるが、労使の意見の隔たりが大きく、遺憾ながら目安を定めるに至らなかった。
 5 公益委員見解及びその取扱い。公益委員としては、今年度の目安審議については、平成23年2月10日に中央最低賃金審議会において了承された「中央最低賃金審議会目安制度の在り方に関する全員協議会報告」の4(2)で合意された今後の目安審議の在り方を踏まえ、加えて、「ニッポン一億総活躍プラン」、「経済財政運営と改革の基本方針2016」(平成28年6月2日閣議決定)及び「日本再興戦略2016」(同日閣議決定)に配意し、諸般の事情を総合的に勘案し、下記1のとおり公益委員の見解を取りまとめたものである。
 目安小委員会としては、地方最低賃金審議会における円滑な審議に資するため、これを公益委員見解として、地方最低賃金審議会に示すよう総会に報告することとした。
 また、地方最低賃金審議会の自主性発揮及び審議の際の留意点に関し、下記2のとおり示し、併せて総会に報告することとした。
 さらに、政府において、中小企業・小規模事業者の生産性向上等のための支援や、取引条件の改善等に引き続き取り組むことを強く要望する。
 また、行政機関が民間企業に業務委託を行っている場合に、年度途中の最低賃金額改定によって当該業務委託先における最低賃金の履行確保に支障が生じることがないよう、発注時における特段の配慮を要望する。
 記。1 平成28年度地域別最低賃金額改定の引上げ額の目安は、次の表に掲げる金額とする。平成28年度地域別最低賃金額改定の引上げ額の目安。ランクA、都道府県、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪、金額は25円。ランクB、都道府県、茨城、栃木、埼玉、富山、長野、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、広島、金額は24円。ランクC、都道府県、北海道、宮城、群馬、新潟、石川、福井、山梨、岐阜、奈良、和歌山、岡山、山口、香川、福岡、金額は22円。ランクD、都道府県、青森、岩手、秋田、山形、福島、鳥取、島根、徳島、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄、金額は21円。
 2(1)目安小委員会は、今年度の目安審議に当たって、平成23年2月10日に中央最低賃金審議会において了承された「中央最低賃金審議会目安制度の在り方に関する全員協議会報告」の4(2)で合意された今後の目安審議の在り方を踏まえ、特に地方最低賃金審議会における合理的な自主性発揮が確保できるよう整備充実に努めてきた資料を基にするとともに、「ニッポン一億総活躍プラン(平成28年6月2日閣議決定)、経済財政運営と改革の基本方針2016(同日閣議決定)及び日本再興戦略2016(同日閣議決定)に配意した」調査審議が求められたことに特段の配慮をした上で、地域別最低賃金の最高額に対する最低額の比率が低下してきたこと、影響率が高まる傾向にあること等、諸般の事情を総合的に勘案して審議してきたところである。
 目安小委員会の公益委員としては、地方最低賃金審議会においては、地域別最低賃金の審議に際し、目安を十分に参酌することを強く期待する。
 (2)生活保護水準と最低賃金との比較では、前年に引き続き乖離が生じていないことが確認された。
 なお、来年度以降の目安審議においても、最低賃金法(昭和34年法律第137号)第9条第3項に基づき、引き続き、その時点における最新のデータに基づいて、生活保護水準と最低賃金との比較を行い、乖離が生じていないか確認することが適当と考える。
 (3)目安小委員会の公益委員としては、中央最低賃金審議会が今年度の地方最低賃金審議会の審議の結果を重大な関心をもって見守ることを要望する。以上です。


○仁田会長
 皆様の御尽力によりまして、先ほど御報告した小委員会報告を取りまとめることができました。重ねて御礼申し上げたいと思います。
 なお、この報告にもあるとおり、小委員会としては、政府が中小企業、小規模事業者等の生産性向上のための支援や取引条件の改善に引き続き取り組むことなどの要望をさせていただいております。今年の答申においても、この趣旨を盛り込みたいと考えております。ここまでの内容について、何か御意見等はありますでしょうか。よろしいでしょうか。
 また、今回の目安小委員会の審議の中で、地方最低賃金審議会に対して、今回の目安の考え方について丁寧に説明すべきだとの御意見があったことを踏まえまして、公益委員見解の考え方についての補足説明を、委員長の私から地方最低賃金審議会にお伝えしたいというように考えております。お手元に資料として配付しております。読み上げます。
 平成28年度の中央最低賃金審議会目安に関する小委員会報告についての補足説明。中央最低賃金審議会目安に関する小委員会委員長。平成28年度の中央最低賃金審議会目安に関する小委員会報告5の公益委員見解を取りまとめた趣旨等について説明します。
 本年度の地域別最低賃金改定の引上げ額の目安を示すに当たっては、従来の考え方に沿って、最低賃金法第9条第2項に規定する労働者の生計費、賃金及び通常の事業の賃金支払能力の3要素に関し、統計資料等に基づき検討を行いました。
 審議の中では、各種統計データ等に基づく調査審議を基本とし、賃金改定状況調査の第四表を最大限重視すべきであるとの意見や、引上げ額の議論だけではなく、最低生活賃金として賃金の絶対水準を重視した議論をすべきであるとの意見がありました。
 公益委員見解を取りまとめるに当たっては、非正規雇用の増加傾向、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の賃金格差といった状況も踏まえて「ニッポン一億総活躍プラン」等が取りまとめられ、これらに配意した調査審議が求められたことについては、最低賃金法第1条の「賃金の低廉な労働者の労働条件の改善を図る」という法目的にも鑑みると、何らかの対処をすることが必要であると考え、こうした観点から審議を行ったものです。
 また、本年度の目安の金額が、従来と比較して高い水準にあることも踏まえ、今後、中央最低賃金審議会において、最低賃金の引上げが及ぼす影響について慎重に検討していく必要があると考えます。
 各地方最低賃金審議会においては、これらの内容も踏まえて、本年度の地域別最低賃金の審議が行われることを期待します。
 これに関して、何か御意見はありますか。よろしいでしょうか。特にないようでしたら、この補足説明については、答申が取りまとめられた際には事務局から地方最低賃金審議会にお渡ししていただきたいと思います。
 それでは、当審議会としての答申を取りまとめたいと思います。いかがでしょうか。特に御異議はありませんか。


(異議なし)


○仁田会長
 では、事務局から答申案の配付をお願いします。


(事務局答申案を配付)


○仁田会長
 それでは、答申案を朗読してください。


○伊㔟中央賃金指導官
 朗読いたします。(案)。平成28年7月28日。厚生労働大臣塩崎恭久殿。中央最低賃金審議会会長仁田道夫。平成28年度地域別最低賃金額改定の目安について(答申)。平成28年6月14日に諮問のあった平成28年度地域別最低賃金額改定の目安について、下記のとおり答申する。
 記。1 平成28年度地域別最低賃金額改定の目安については、その金額に関し意見の一致を見るに至らなかった。
 2 地方最低賃金審議会における審議に資するため、上記目安に関する公益委員見解(別紙1)及び中央最低賃金審議会目安に関する小委員会報告(別紙2)を地方最低賃金審議会に提示するものとする。
 3 地方最低賃金審議会の審議の結果を重大な関心を持って見守ることとし、同審議会において、別紙1の2に示されている公益委員の見解を十分参酌され、自主性を発揮されることを強く期待するものである。
 4 政府において、中小企業・小規模事業者の生産性向上等のための支援や、取引条件の改善等に引き続き取り組むことを強く要望する。
 5 行政機関が民間企業に業務委託を行っている場合に、年度途中の最低賃金額改定によって当該業務委託先における最低賃金の履行確保に支障が生じることがないよう、発注時における特段の配慮を要望する。
 別紙1、別紙2は、先ほど読み上げたものです。以上です。


○仁田会長
 ただいまの答申案について、御意見等はありますでしょうか。特にないようでしたら、この(案)のとおり、答申を取りまとめたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。


(異議なし)


○仁田会長
 それでは、そのようにさせていただきます。答申を山越労働基準局長にお渡ししたいと思います。答申を用意してください。


(仁田会長より答申を山越労働基準局長に手交)


○仁田会長
 それでは、一言御挨拶をお願いいたします。


○山越労働基準局長
 それでは、御挨拶を申し上げさせていただきたいと存じます。ただいま仁田会長から本年度の目安について答申をいただきました。この答申を取りまとめていただきまして、委員の皆様に、心から感謝を申し上げたいと思います。大変ありがとうございました。
 本年度の調査審議におきましては、「ニッポン一億総活躍プラン」、「経済財政運営と改革の基本方針2016」及び「日本再興戦略2016」に配意しつつ、地域別最低賃金の最高額に対する最低額の比率が低下してきていること、影響率が高まる傾向にあることなど、諸般の事情を総合的に勘案して、大変、真摯に御議論を尽くしていただいたと承知しております。
 今後、この答申については、各都道府県労働局に伝達をしまして、各地方最低賃金審議会における地域別最低賃金額の改定審議が円滑に進められますようにしてまいりたいと考えております。皆様方の御尽力に心から感謝を申し上げますとともに、大変長時間にわたる御審議をいただいたことに御礼を申し上げたいと思います。本当に、どうもありがとうございました。


○仁田会長
 どうもありがとうございました。ほかに何かありますでしょうか。


○須田委員
 今年の審議は完徹しないで済みましたけれども、時間以上に中身の濃い審議であったと受け止めています。労側としては、目安水準決定に当たっての見解は小委員会報告に記載されているとおりですが、一言。
 地方最低賃金審議会において円滑に審議がなされることを期待して、小委員長から説明、補足が発出されるということについては受け止め、我々自身も地方最低賃金審議会の労側委員に周知徹底していくことを申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。


○仁田会長
 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。ないようでしたら、以上をもちまして、第46回中央最低賃金審議会を終了いたします。本日の議事録署名委員として、新沼委員、吉岡委員にお願いいたします。本日は、どうもお疲れさまでございました。
 


(了)
<紹介先>

労働基準局賃金課
最低賃金係(内線:5532)

代表:03-5253-1111

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