ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(医薬品等安全対策部会)> 薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会議事録(2016年11月21日)




2016年11月21日 薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会議事録

○日時

平成28年11月21日(月)17:00~


○場所

新橋8E会議室


○出席者

出席委員(15名)五十音順

◎五十嵐   隆、 石 井 明 子、 乾   英 夫、 今 村 定 臣、
薄 井 紀 子、 遠 藤 一 司、○大 野 泰 雄、 金 澤   實、
倉 根 一 郎、 小 松 康 宏、 斎 藤   充、 戸 部 依 子、
林  邦 彦、 村 島 温 子、 望 月 眞 弓、
(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(8名)五十音順

石 井 則 久、 柿 崎   暁、 國 頭 英 夫、 日 野 治 子、
槇 田 浩 史、 三 村   將、 三 宅 良 彦、 矢 野   哲 

行政機関出席者

森   和 彦 (大臣官房審議官)
佐 藤 大 作 (安全対策課長)
宇 津  忍 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)

○議事

○安全対策課長 定刻になりましたので、「平成28年度第2回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会」を開始いたします。本日御出席の先生方におかれましてはお忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 本日の部会は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入る前までとさせていただいておりますので、御理解、御協力のほど、お願いいたします。また、傍聴の方々におかれましては、静粛を旨とし、喧噪にわたる行為はしないこと、部会長及び部会長の命を受けた事務職員の指示に従うことなどの留意事項の厳守をお願いいたします。

 本日の会議の出席ですが、石井則久委員、日野委員、槇田委員、三村委員、三宅委員、矢野委員、柿崎委員、國頭委員より欠席との御連絡を頂いております。また、乾委員、小松委員におかれましては、遅れて到着される予定との御連絡を頂いております。本日は全員23名中、現時点で13名の委員が出席してございますので、定足数に達していることをこの場で御報告申し上げます。また、事務局ですが、本日、所用により武田局長は遅れて入場して、また、途中で退席という予定ですので、御容赦いただければと思っております。

 それでは、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきます。以降、議事の進行につきましては五十嵐部会長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○五十嵐部会長 ありがとうございました。雨の中お集まりいただきまして、ありがとうございます。これから議事を始めたいと思います。まず、事務局から配布されました資料について御説明をお願いいたします。

○事務局 今回の議題は全て報告事項であり、審議事項はございませんので、利益相反状況についての御報告はございません。

 まず配布資料の御確認についてですが、お手元の資料のうち「配布資料一覧」がありますので、そちらを御覧いただければと思います。議題1「医薬品等の市販安全対策について」については、資料1-1から1-4までです。議題2「医薬品等の副作用等報告の状況について」については、資料2-1から2-6と参考資料が一つです。議題3「医薬品の感染症定期報告の状況について」については、資料3-1と3-2です。議題4「その他」については、資料4-1から4-4までです。また、机上に当日配布資料1及び2がございます。漏れ、落丁等がございましたら、お申し出ください。以上です。

○五十嵐部会長 どうもありがとうございました。皆様、配布資料で何か足りないものはありますでしょうか。よろしいですか。それでは早速、議題1「医薬品等の市販安全対策について」、事務局から資料の説明をお願いいたします。

○事務局 資料1-1を御覧ください。医薬品等の使用上の注意の改訂について御説明いたします。

 平成28年8月に開催されました平成28年度第1回医薬品等安全対策部会で平成28年7月までの改訂を報告しておりますので、今回は、9月、10月に改訂通知を発出したものの一覧を御報告いたします。9月に6件、10月に9件の改訂をしております。これらの改訂につきましては、本部会の先生方に事前の御確認を頂いているものであり、また、改訂時にPMDAメディナビで配信するとともに、機構のホームページと医薬品・医療機器等安全性情報にも掲載しておりますので、詳細な御説明は省略させていただきます。

 なお、5ページ目のNo.16-38のワルファリンカリウム、8ページ目のNo.16-42のボリコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、ホスフルコナゾール、10ページ目のNo.16-44のミコナゾールについては、改訂の通知を発出した際に、同時に関連学会への本剤の改訂の内容の周知を依頼する通知を別途発出しましたので、御参考といたしまして11ページ目以降に添付しております。簡単ですが、資料1-1については以上です。

○事務局 続きまして、当日配布資料1を御覧ください。本年1025日に開催いたしました第6回医薬品等安全対策部会安全対策調査会において審議いただいた品目について御説明いたします。

 対象品目は、ミルナシプラン塩酸塩、デュロキセチン塩酸塩及びベンラファキシン塩酸塩であり、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)と呼ばれる抗うつ薬です。いずれも、「うつ病、うつ状態」を効能・効果としており、デュロキセチン塩酸塩は、糖尿病性神経障害、線維筋痛症、慢性腰痛症に伴う疼痛にも使用されております。これらSNRI、3剤の添付文書には、「重要な基本的注意」の項に「眠気、めまい等が起こることがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること」と記載され、自動車運転等の機械操作を禁止する旨、注意喚起しておりましたが、国内副作用の集積状況、海外での注意喚起の状況等を調査し、調査会において御審議いただいた結果、お示ししております改訂案のとおり添付文書を改訂して差し支えないとされました。

 ただし、眠気、めまい等の副作用が表れることがあることから、これらの副作用を含め、SNRIを処方する際に医師が注意すべき点及び患者が注意すべき点を調査会で御審議いただき、裏面にお示ししております注意点を取りまとめました。これらの注意点は、医師向け及び患者向け資材に記載し、医療現場に情報提供するよう、製薬企業に対し指示いたしました。

 なお、現在、製薬企業が情報提供の準備を行っているところですので、準備ができた段階で改訂を指示する予定でおります。

○事務局 続きまして、資料1-3「要指導医薬品のリスク評価について」を御覧ください。

 最初に4ページ、「スイッチOTC薬等のリスク評価について」を御覧ください。要指導医薬品の一般用医薬品への移行の評価につきましては、平成2512月に開催された医薬品等安全対策部会において決定された御覧の手続に則り行うこととしております。要指導医薬品のうちスイッチOTC薬及びダイレクトOTC薬については、一定期間の経過後、一般用医薬品に移行することとなりますが、移行する際には一般用医薬品としての販売の可否を確認するためのリスク評価を行う必要があります。このリスク評価については、2ポツにありますとおり、製造販売後調査及び副作用報告に基づいて、重篤な副作用の発生状況を評価し、製造販売承認の拒否事由に該当する状況にないことを確認するものですが、3ポツに基づきまして、この手続の確認は安全対策調査会で行い、その結果を本部会に御報告することとなっております。本日は、この手続に則り、本年1025日の安全対策調査会における確認結果を部会に報告するものです。3成分ありますので、順に御説明いたします。

 1ページにお戻りください。トラニラストです。販売名は、ロートアルガードプレテクトです。効能・効果は、「花粉、ハウスダスト(室内塵)などによる次のような目のアレルギー症状の緩和:目の充血、目のかゆみ、目のかすみ(目やにの多いときなど)、なみだ目、異物感(コロコロする感じ)」です。用法・用量は、「成人(15才以上)及び7歳以上の小児:1回1~2滴、1日4回(朝、昼、夕方及び就寝前)点眼してください」となっております。

 製造販売後調査の概要を御覧ください。個別に薬局と契約してモニター店舗でアンケート調査票を配って、アンケートによる調査が実施されております特別調査では、調査症例数1,058例で、副作用は9例13件、副作用発現率は0.85%となっております。内訳は眼そう痒症4件などとなっておりますが、重篤と判断された症例はありませんでした。使用者又は薬剤師からの自発報告という形での一般調査では、報告された副作用は9例16件で、内訳は、眼そう痒症6件などでした。こちらも、重篤と判断された症例はありませんでした。医薬品医療機器法第68条の10第1項に基づく副作用報告ですが、報告書のデータロック後に報告された重篤な副作用報告はありませんでした。

 以上の内容について、参考人として眼科の専門家の参加の下、調査会にて審議を行い、特段の懸念事項もないことから、要指導医薬品から一般用医薬品に移行することは問題ないと評価されました。

 次のページを御覧ください。ペミロラストカリウム、販売名はノアールPガード点眼液、ペミラストンAG点眼薬です。効能・効果は、「花粉、ハウスダスト(室内塵)などによる次のような目のアレルギー症状の緩和:目の充血、目のかゆみ、目のかすみ(目やにの多いときなど)、なみだ目、異物感(コロコロする感じ)」です。用法・用量は、「成人(15才以上)及び7歳以上の小児:1回1滴、1日2回(朝、夕)」となっております。

 製造販売後調査の概要です。特別調査では、調査症例数1,010例で、副作用が2例3件、副作用発現率は0.20%となっております。内訳は、眼部不快感2件、眼脂1件で、重篤と判断された症例はありませんでした。一般調査では、報告された副作用はありませんでした。医薬品医療機器法第68条の10第1項に基づく報告ですが、こちらも重篤な副作用報告はありませんでした。

 以上の内容について、参考人として眼科の専門家の参加の下、調査会にて審議を行い、特段の懸念事項もないことから、要指導医薬品から一般用医薬品に移行することは問題ないと評価されました。

 3ページを御覧ください。エバスチン、販売名はエバステルALです。効能・効果は、「花粉、ハウスダスト(室内塵)などによる次のような鼻のアレルギー症状の緩和:鼻水、鼻づまり、くしゃみ」です。用法・用量は、成人(15才以上)1回1錠、就寝前に服用」となっております。

 製造販売後調査の概要です。特別調査では、調査症例数3,007例で、副作用が1827件、副作用発現率は0.60%となっており、内訳は傾眠10件などで、重篤と判断された症例はありませんでした。一般調査では、報告された副作用は2例5件、内訳は、体位性めまいなどでした。こちらも、重篤と判断された症例はありませんでした。医薬品医療機器法第68条の10第1項に基づく報告ですが、こちらも重篤な副作用報告はありませんでした。

 以上の内容につきまして、参考人として耳鼻咽喉科の専門家の参加の下、調査会で審議を行いました。用法・用量が必ずしも守られていない事例が認められるため、適正使用を徹底するべく、製造販売業者に対し指導するよう委員から意見が出されましたが、その他、特段の懸念事項もないことから、要指導医薬品から一般用医薬品に移行することは問題ないと評価されました。

 なお、本日御報告いたしました3成分につきましては、要指導・一般用医薬品部会の委員にも確認済みであることを併せて御報告いたします。資料1-3については以上です。

○事務局 続きまして、資料1-4を御覧ください。ワクチン・抗インフルエンザウイルス薬の安全性に関する評価についてです。こちらにつきましては、本年9月26日に開催されました安全対策調査会と厚生科学審議会予防接種ワクチン分科会副反応検討部会との合同会議において、ワクチンの安全性について評価を頂きました。また、本年11月4日に開催されました安全対策調査会にて、ワクチン及び抗インフルエンザ薬の安全性について評価を頂きましたので、それら2点について結果を御報告させていただきます。

 まず、資料1-4の1ページ目です。こちらは、ワクチンの安全性、ワクチンの副反応報告の状況についてです。本年3月から本年6月までの副反応報告の状況について集計した結果が表1のとおりとなっております。細かい数字が並んでおりますが、縦軸に各ワクチンがありまして、右側に、医療機関からの報告として何件あったのか、企業からの報告として何件あったのかということをまとめております。また、括弧内は死亡の数となっております。細かい数字の説明は省略させていただきますが、これまでに報告されている各ワクチンの副反応報告の状況と比べて大きな差はなく、新たな安全対策措置を取る必要はないとの評価を頂いております。

 ページをおめくりいただきまして、同じくワクチンの項ですが、()死亡症例の評価についてです。今回の評価対象期間中に同時接種の1例と、単独接種の症例で死亡症例が2例報告されました。専門家に御評価いただいた結果としてですが、いずれの症例についても、ワクチン接種と死亡との直接的な明確な因果関係は認められていないと評価を頂いております。また、13価肺炎球菌ワクチンと、ヒブワクチンの6か月間の10万接種当たりの死亡例の報告頻度は、いずれも0.1から0.25であり、対応を速やかに検討する目安とされている10万接種当たりの値としての0.5を下回っていることを確認しております。

 続きまして、2番の抗インフルエンザウイルス薬の副作用報告状況についてです。こちらは、()にありますとおり、11月4日の安全対策調査会において、インフルエンザ罹患に伴う異常行動の発現に関する平成27年度の調査結果について御報告しました。その中におきまして、インフルエンザ罹患時の異常な行動の発生状況は従来の報告とおおむね類似しており、抗インフルエンザ薬の使用の有無、種類にかかわらず発生しているという結果を確認しております。

 3ページ目ですが、続きまして、()です。こちらは個別の剤につきまして、製造販売業者から報告された抗インフルエンザ薬ごとの異常行動の報告数及び死亡症例数の集計結果となっております。死亡症例の7症例につきましては、ラピアクタで生じたアナフィラキシーショックによる死亡症例1例を除き、情報不足等で抗インフルエンザ薬との因果関係を評価できないとなっております。

()です。今まで御説明しました結果を踏まえまして、「抗インフルエンザ薬の処方の有無、種類にかかわらず、異常行動の注意喚起に引き続き努めていく必要がある」との評価を委員の先生方から頂いております。安全対策調査会において御確認いただきました内容は以上です。資料1のシリーズは以上です。

○五十嵐部会長 どうもありがとうございました。それでは、ただいま御説明いただきました資料1-1から1-4までにつきまして御意見、御質問を頂きたいと思います。特にございませんか。よろしいですか。それでは、議題1の報告につきましては、これで終了したいと思います。ありがとうございました。

 続きまして、議題2に移りたいと思います。医薬品等の副作用等報告の状況について、資料の御説明をお願いいたします。

○事務局 資料2-1「医薬品医療機器法第68条の12の規定に基づく薬事・食品衛生審議会の副作用・感染症等の報告について」を御覧いただきながら御説明させていただきます。今回の報告期間についてですが、平成28年4月1日から平成28年7月31日までです。前回の報告期間は、平成2712月1日から平成28年3月31日までです。

 一つ目ですが、製造販売業者からの報告について御報告いたします。()には、医療用医薬品、医薬品たるコンビネーション製品、要指導医薬品、一般用医薬品、医薬部外品、化粧品の国内症例の副作用等報告件数をお示ししており、その内訳は、別の資料ですが、資料2-2にまとめております。()には、医療用医薬品、医薬品たるコンビネーション製品の外国の副作用等報告件数をお示ししております。()には、外国での新たな措置の報告件数を示しており、その内容は資料2-3にお示ししております。()には研究報告の報告件数をお示ししており、報告された文献等のリストは資料2-4にお示ししております。

 二つ目です。医薬関係者からの副作用について御報告いたします。ワクチン類を除く医薬品の副作用報告とワクチン類の副反応報告とに分けてお示ししており、これら重篤症例については企業若しくは独立行政法人医薬品医療機器総合機構が詳細調査を行うものとしておりますので、重篤症例の件数及び重篤症例のうち、機構が詳細調査を行った報告件数についてお示ししております。また、機構が詳細調査を行った報告の内訳については資料2-5にまとめてお示ししております。

 なお、御説明した1つ目と2つ目につきまして、今般、副作用等報告の取扱いについて定めた平成28年3月31日付け審査管理課長・安全対策課長通知が発出され、医薬品の副作用報告での被疑薬の取扱いが変更になったことから、資料2-2、2-5のこれらの報告の取りまとめ方についても変更となりました。具体的には、これまで、疑われる被疑薬について副作用等ごとに件数を集積していたものを全ての被疑薬について副作用ごとに件数を集計することと変更しておりますので、御報告いたします。

 最後に、3番目の副作用救済給付又は感染症救済給付に係る報告について御報告いたします。報告期間内に救済給付に関する決定がなされたもののうち安全対策に活用されたものの件数を、副作用救済給付、感染症救済給付に分けてお示ししております。なお、その内訳については資料2-6にまとめてお示ししております。資料2-1から2-6までについては以上です。

○五十嵐部会長 どうもありがとうございました。ただいまの事務局からの資料2-1から2-6までの御説明につきまして、何か御意見、御質問はございますでしょうか。よろしいですか。それでは、議題2の報告もこれで終了したいと思います。どうもありがとうございました。

 続きまして、議題3に移りたいと思います。医薬品の感染症定期報告の状況につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。

○事務局 資料3のシリーズの感染症定期報告関連です。資料は、3-1、3-2、あと、当日配布資料2ということで一枚紙、こちらは前回の本部会の資料の抜粋になります。この3つの資料をお手元に御準備ください。

 まず、感染症定期報告の概要について御説明いたします。感染症定期報告は、医薬品医療機器法第68条の24に基づき、製造販売業者が製品又はその原材料による感染症に関する最新の論文等を報告する制度です。今回の報告では、本年の4月から本年の7月末までに企業から報告された結果を取りまとめてございます。こちらの報告が提出された全体については、重複を排除しない形としては資料3-2で一覧としておりまして、合計は351件ありました。これらについて、既に報告済みのものを除き、感染症ごとにまとめたものが資料3-1となっております。こちら、重複を排除しますと、今回、初めて報告されたものが文献等として60件ありました。全体として、今回、比較的報告が多かったものといたしましては、1ページ目にありますインフルエンザの関係、あとは、2ページ目の下段のほうから30ページ目辺りまで続きますが、ジカウイルスの関係が件数としては多かったということです。

 全委員の先生方には事前に資料を送っておりますが、特に国立感染症研究所の倉根委員、石井則久委員。国立医薬品食品衛生研究所の石井明子委員には資料を事前に御確認いただき、コメント、御意見を、これまでにもお願いしているところです。今回につきましては、倉根委員及び石井明子委員よりコメントを頂けると伺っておりますので、よろしくお願いいたします。資料3のシリーズにつきまして、御説明は以上です。

○五十嵐部会長 ありがとうございました。それでは、倉根委員と石井委員からコメントをお願いいたします。

○倉根委員 感染研からのコメントは資料3-2でもよろしいですか。

○五十嵐部会長 はい。

○倉根委員 資料3-2の10ページの。これ、番号を振っていないのであれなんですけれども。

○事務局 先生、よろしいでしょうか。

○倉根委員 はい。

○事務局 今から御指摘いただく部分ですが、前回既に報告されているものでして、今回、資料3-1には載っておりません。このため、当日配布資料2の一枚紙を準備しておりますので、こちらをご使用いただけますでしょうか。

 

○倉根委員 失礼しました。当日配布資料2で言いますと、43番です。この論文はうちの職員に見てもらいました。血液中のプリオン除去効果があると言われているマコファルマ社製フィルターの有効性を調べたという報告です。実験的にスクレイピープリオンを感染させた動物をドナーとして、その血液をフィルターで処理して、その後にレシピエントの動物に輸血して、そしてフィルターで見ますと、プリオンがフィルターでは完全には除去されないという実験が得られたということです。ヒトの変異型CJDプリオンがスクレイピープリオンと同じ挙動を示すかどうかはまた議論としてあろうと思いますが、本論文は医薬品等の安全対策のために以下の点で幾つか重要であろうと。

 すなわち、同フィルターについては既に同様にスクレイピープリオンを用いた実験で、血液中のプリオン除去方法に関しては白血球除去を行うだけよりもフィルターの併用は不完全ながら一定の効果はあるという論文が既に、2012年「PLoS ONE」という学術雑誌に掲載されているのですが、以前の報告と今回の論文の結果が異なっているというわけではなくて、今回の論文のほうが、より慎重な論調となっているということです。先の論文、「PLoS ONE」、2012年の論文と、この論文、Transfusion2015年の論文では論調が少し異なっているので、両方とも、結果としては重要だと思われますが、それを総合しますと、やはりマコファルマ社製のプリオン除去フィルターでは、日本での市販は不明で分かりませんが、プリオンが完全には除去されない可能性もあるということです。今後、このフィルターの性能については、更にまた安全対策を加える、あるいは更に情報を得ていく必要があるのではないかという結論です。

○五十嵐部会長 コメント、どうもありがとうございました。続きまして、石井委員からコメントをお願いいたします。

○石井()委員 まとめのほうの資料の55番を御覧ください。バルトネラ症に関する報告です。

○五十嵐部会長 資料3-1ですか。

○石井()委員 はい。ダニに関するものですが、この報告では吸血ダニではなく、ヒトを咬むダニが、人獣共通感染症の可能性のあるバルトネラ菌の宿主である可能性が報告されております。これまでダニ由来製品は生物由来製品に指定されておりませんが、このような新しい知見を踏まえまして、今後、ダニ由来製品に関しては、こういった菌の混入の否定について考慮する必要があると考えます。

○五十嵐部会長 どうもありがとうございました。ただいまお二人の委員からコメントも頂きましたが、資料3のシリーズに関しまして御質問、御意見を頂きたいと思います。

○事務局 最初に頂いた御意見について事務局からお答えさせていただいてよろしいでしょうか。

○五十嵐部会長 はい。ではお願いいたします。

○事務局 倉根先生、石井明子先生、御意見を頂きましてありがとうございます。まず、倉根先生から御指摘いただきましたプリオンのフィルターの関係です。血液関係につきましては、本医薬品等安全対策部会のほか、血液事業部会でも同じように感染症の定期報告ということで報告させていただいている次第です。御指摘につきましては、血液事業部会運営委員会の委員の先生にも御確認いただきましたところ、次のようなコメントを頂きましたので、御紹介させていただきます。

 「日本においては、今まで血液製剤によるvCJDの感染事例がなく、現在のところ、緊急性はないのであろう。プリオンフィルターは高価なものであることから、費用対効果の観点からも、我が国では採用についての議論までには至っていない。

 なお、このほか、WHOは、輸血用血液製剤について各国国内での需給の達成が勧奨されていることから、最もvCJDリスクの高いイギリスにおいても自国の血液で輸血用血液製剤を製造しているはずであろう。」

 ということです。また、そのほかのコメントとして、

 「ただし、血漿分画製剤については、血液凝固因子製剤のように生涯にわたって使用される製剤もあり、また、一つのロットが多数の患者に使用されることから汚染があった場合に多数の患者にリスクを生じるという懸念がありますので、プリオンフィルターの使用によるプリオン蛋白の不活性化除去が今後の話として期待されるであろう。ただし、その技術的な話として、凝固因子製剤については分子量が大きいということからフィルターにトラップされやすいこと、また、プリオンのみ吸着することが技術的に難しいということで、フィルターを使った不活性化除去の技術はいまだ途上段階です。

 ということで、実際に導入したとしても完全にリスクが予防できるということではなくて、潜在的なリスクを下げるという意味であろう」ということです。また、そのほかのコメントとしましては、

 「一方で、プリオン蛋白質の遺伝子型では、Val129タイプを持つ人が遅発的に発症してくるリスクが危惧されており、将来、我が国でvCJD患者数が再び増加してくる可能性を完全には否定できないため、こういったプリオンフィルター導入に向けた技術開発の必要性はあると考えている。」といったコメントを頂いております。以上が委員からのコメントですが、事務局から少し補足させていただきます。

 vCJDのリスク管理につきましては、血漿採取国である日本、米国においては、欧州滞在歴のある献血希望者を一定の基準で除外しているということです。また、日本、米国につきましては、国際獣疫事務局(OIE)においてBSEのリスクが無視できる国ということで認定されている状況です。

 以上が倉根先生からの御指摘に対する事務局からの回答です。

 また、石井明子先生から頂いた御指摘ですが、ダニ由来製品といたしましては、医薬品としてあり得るのがアレルギーの減感作療法に用いるものやアレルゲンの確認用の医薬品といったものがあるかと存じ上げております。頂いたコメントにつきましては、担当部局のほうに情報共有させていただきたいと思います。以上です。

○五十嵐部会長 どうもありがとうございました。では、これに関しまして何か御質問、御意見はいかがでしょうか。特にございませんか。よろしいでしょうか。それでは、議題3の報告はこれで終了したいと思います。ありがとうございました。

 では最後ですが、議題4「その他」に入りたいと思います。事務局から資料の説明をお願いいたします。

○事務局 それでは、資料4-1を御覧ください。パリペリドンパルミチン酸エステル持効性懸濁注射液(ゼプリオン)については、20131119日の販売開始から2014年4月16日までに21例の死亡が報告されたことから、参考資料にお示ししております、安全性速報を発出しております。

 現時点でも本剤の死亡症例では情報不足が多く、安全性速報の発出時と同様、本剤と死亡との因果関係は不明です。それを踏まえて今般、ゼプリオンに対する更なる安全対策の必要性と、具体的な安全対策の内容に関して、専門的な立場から統合失調症の診断や薬物治療に関する我が国の現状、及び国内外の安全性情報等を踏まえた御意見を頂くため、本年8月26日付けで公益社団法人日本精神神経学会に協力依頼を行いました。今後、学会から更なる安全対策について御意見を頂きましたら、安全対策調査会にお諮りする予定でおります。資料4-1については以上です。

○事務局 続いて資料4-2を御覧ください。薬用石けんに関する取扱い等について御説明します。1枚目の報道発表資料は本年9月30日に公表したものです。この資料に即して御説明します。

 経緯としては本年9月2日、米国食品医薬品局(FDA)がトリクロサン等19成分を含有する抗菌石けんを米国において1年以内に販売を停止する措置を発表しました。この米国での措置を踏まえ、国内の関連業界団体であります日本化粧品工業連合会と日本石鹸洗剤工業会が、これらの成分を含有する日本国内の薬用石けんに関し、これらの成分を含有しない製品への切替に取り組むよう、会員各社に要請をしました。

 厚生労働省としても、この切替の取組を促すために、2枚目以降に通知をお示ししていますが、製造販売業者に対して、製品を1年以内に代替製品に切り替えるための承認申請を求めるとともに、その申請があった際には、承認審査を迅速に行うことを通知しました。また併せて、トリクロサン等を含有する薬用石けんの流通状況の把握を行うため、製造販売業者に対して流通の有無の点検も求めています。

 なお、FDAの措置の詳細、製品の流通状況等については、来週、1128日開催予定の安全対策調査会にて御報告する予定としています。資料4-2については以上です。

○事務局 続いて資料4-3を御覧ください。ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)製剤使用時の劇症1型糖尿病に関する周知について御説明します。ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)は免疫チェックポイント阻害薬といわれる抗悪性腫瘍剤で、本年9月に根治切除不能な悪性黒色腫の効能効果で承認されました。販売名はキイトルーダ点滴静注20mg、同点滴静注100mgで、製造販売業者はMSD株式会社です。

 本剤は本年1月28日付けで劇症1型糖尿病に関する注意喚起を行いましたニボルマブ(遺伝子組換え)と同様の作用機序を有しておりまして、臨床試験で1型糖尿病の発症が認められ、添付文書の重大な副作用としても注意喚起していることも踏まえまして、ニボルマブと同様に、平成281024日付けで劇症1型糖尿病に関して注意喚起を行いました。

 劇症1型糖尿病は、1週間前後以内に急激に進行してケトアシドーシスを起こし、適切な対応がなされなければ致死的な状況になる病態ですので、1型糖尿病の副作用について適切に対応がなされるよう、改めて注意喚起を行うとともに、2ページ目にあります別記1の関係団体、学会へ通知を発出しました。また、糖尿病専門医との速やかな連携が重要であるため、3ページ目にありますが、日本糖尿病学会へ、本剤を使用する医療関係者等からの相談に対し御協力いただきますよう依頼をしました。資料4-3については以上です。

○事務局 続いて資料4-4、市販直後等安全性情報収集事業について御説明します。本事業は新たに承認された医薬品のうち、新規性が高いものや、国内外において使用経験が少ないものなど、特に市販直後の安全性確保が必要と判断される医薬品について、医療機関での採用から6か月間、その医薬品の販売状況、使用状況、及び副作用の発現状況、また、製造販売業者が行う市販直後調査の状況などの情報を、毎月1回、医療機関より提供いただき、必要な対応を図ることを目的としています。

 今回は調査が終了したソホスブビル及びヒドロキシクロロキン硫酸塩について御報告します。まずソホスブビルについて御説明します。販売名はソバルディ錠400mg、製造販売業者はギリアド・サイエンシズ株式会社です。販売開始は平成27年5月25日。平成2711月まで市販直後調査が実施されていました。効能又は効果は、資料1ページ目の上ほどに記載しているとおりです。

 調査に御協力いただいた医療機関は、群馬大学医学部附属病院、神戸市民病院機構神戸市立医療センター中央市民病院、昭和大学病院の三つの医療機関です。これらの医療機関における当該医薬品の使用状況、副作用発生状況、製造販売業者の活動等について、平成27年6月から平成28年5月まで、各医療機関の採用から6か月間の状況について御報告いただきました。

 使用状況については、対象医療機関の合計で約100名の患者に使用されています。有害事象、副作用について、対象医療機関では肝機能障害、倦怠感、黄疸、食欲低下、下痢、貧血、ヘモグロビン低下、めまい等が認められたと連絡を頂いています。

 製造販売業者の活動については、医療機関への訪問頻度、情報提供がなされている旨、報告がありましたが、一部の施設から、薬剤部DI室への連絡が不十分である、安全性情報について、MRによる説明が不十分である、資材が見づらいとの御意見を頂きました。調査期間終了後、製造販売業者に対し、MR教育状況、市販直後調査の体制、各施設に対する情報提供の状況について確認を行ったところ、市販直後調査の実施に当たっては、各施設において適切な頻度で訪問し、本剤の情報提供及び副作用情報の収集に努めていることが報告されました。また、指摘を受けた点については、今後改善し、適切に情報提供が行われるよう対応したいとの企業からの見解が示されました。

 次に裏面ですが、ヒドロクロロキン硫酸塩について御説明します。販売名はプラケニル錠200mg、製造販売業者はサノフィ株式会社です。販売開始は平成27年9月7日。平成28年3月まで市販直後調査が実施されていました。効能又は効果は、資料2ページ目の上ほどに記載しているので御確認ください。

 調査に御協力いただいた医療機関は、大阪大学医学部附属病院、東京大学医学部附属病院、大阪府立急性期・総合医療センターの三つの医療機関です。これらの医療機関における当該医薬品の使用状況、副作用発生状況、製造販売業者の活動等について、平成2710月から平成28年6月まで、各医療機関の採用から6か月間の状況について御報告いただきました。使用状況については、対象医療機関での合計で約40名の患者に使用されています。有害事象・副作用について対象医療機関からは、感冒、下痢、掻痒症、強膜炎、眼瞼浮腫、皮疹、紅斑等が認められたと連絡を受けています。

 製造販売業者の活動状況については、医療機関への訪問頻度、情報提供、副作用情報の収集には一定の評価がありましたが、一部の施設からは、薬剤部DI室への連絡が不十分であったと。また、本剤の重要な特定されたリスクとして眼障害が挙げられているのですが、添付文書の警告の項で、眼科医との連携により定期的に眼科検診を行うよう求められているため、医療機関、処方医だけでなく眼科医への情報提供も力を入れるべきとの御意見を頂いています。

 調査期間終了後、製造販売業者に対し、情報提供の体制、その活動状況について聴き取りを行ったところ、情報提供及び副作用情報の収集に当たって、適切な頻度で訪問し、適正使用のお願い、副作用情報の収集に努めていたとの報告がありました。また、指摘を受けた点については改善し、適切に情報提供が行われるよう対応したいとの企業見解が示されました。

 調査品目についての御報告は以上です。なお、本事業は昨年度調査開始品目である当該2品目の調査報告をもって終了しました。これまで調査に御協力いただきました関係者の皆様には、厚く御礼申し上げます。資料4-4については以上です。

○五十嵐部会長 どうもありがとうございました。それでは、資料4-1から資料4-4までについて、何か御意見、御質問はいかがでしょうか。

○倉根委員 資料4-4で、例えば製造販売業者による活動状況というのがあって、このように改善すると書いてあるのですが、実際に改善したかどうか、あるいはそれが病院等に反映されているかどうかというのは、確認するのですか。

○安全対策課長 この事業は市販直後調査を対象にしています。市販直後調査というのは、いわゆる販売後6か月間の重点的な医療機関に対する情報提供ですとか、副作用報告の回収という部分を行う事業ですので、その市販直後調査6か月間のパフォーマンスを、実際に市販直後調査を受けている医療機関側から見て、きちんとやっているかどうかというのを評価していただくというのが、この事業の趣旨です。

 すなわち、6か月しかこの調査はやっていませんので、当該品目に対しての改善状況というのは、残念ながら見ることができませんので、例えば、この企業が次の新しい品目を上市して、市販直後調査をやる際にこういった前回指摘されたことが適切に対応できているかどうかというところを、また別の定点観測の中で見てくるという形で、これまで対応してきていた部分です。

○五十嵐部会長 ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。

○望月委員 資料4-3について教えていただきたいのですが、重大だと思われる副作用については、先ほどのパリペリドンの注射で、例えばブルーレターが出たりとか、イエローレターが出るという形で、企業が主体で重大な副作用について注意喚起をするというのが、これまで私の知るところではあったのですが、恐らく過去に何回かこういう形で、安全対策課長から直接関係学会とか、あるいは直接、衛生主管部などに対して、こういう注意喚起情報というのが最近出されているのだと思うのですが、これの位置付けと、それから企業が医師や薬剤師等に発信するブルーレター、イエローレターとの位置付けみたいなものを少し教えていただきたい。私、実は学生には、こういうものが出ているというのは教えていないので、どう捉えたらいいのかというところを教えていただけたらと思います。

○安全対策課長 ありがとうございます。大変貴重な御指摘を頂いたと思います。こういう注意喚起ですとか、周知という部分については、その紙がどういう位置付けなのかということをよく考えながら出していくというのは非常に重要なことであろうかと思っています。

 先生が御指摘のように、イエローレター、ブルーレター、緊急安全性情報、安全性速報という部分については、まず頂いた副作用報告等々から、緊急に安全対策が必要なものという位置づけになっているものです。黄色と青で、急ぎ度合とか、そういった部分に多少の差はありますが、まず緊急に対応をとらなければならないもの、かつ、それによって添付文書を改訂していくというのが、イエローレター、ブルーレターの役割ということになっています。

 安全対策課長からお知らせをしていくものというのは、基本的には添付文書改訂を伴わないのだけれども、例えば副作用に対する注意喚起において複数の領域の違う学会の先生方にクロスして注意を頂く必要があるようなものとか、そういったものに対してより入念的に、学会の関係者の先生方にお知らせをするというのが、主たる通知の目的ということになっています。

 今回のペムブロリズマブの件については、ニボルマブのときにも同様の注意喚起をしているものでありますが、ニボルマブと同様にペムブロリズマブ、要するに皮膚がんとか、そういうものにお使いいただいた場合でも、糖尿病については専門の診療科という部分では糖尿病の関係ということになりますので、今回の別記の配布先を御覧いただいても、皮膚の関係の学会と腫瘍系の学会、こういう所にそれぞれ出させていただいて注意喚起をさせていただくようなことを地道にやらせていただいているという状況です。

○望月委員 分かりました。もしかしたらペムブロリズマブの場合は、最初からの添付文書上に、この1月に糖尿病の注意喚起はされてしまって、前のニボルマブのときのような新たな改訂にならない可能性があって、注意喚起が埋もれてしまう可能性もあるということもあって、こういうのが各関係団体に出されたという認識でよろしいでしょうか。

○安全対策課長 実はニボルマブの際にも、使用上の注意改訂の通知は、劇症1型糖尿病でも行っていますが、やはり同じように診療する学会を横断的に注意が必要ということで、同様の通知を出させていただいております。

今回、確かにペムブロリズマブについては、治験中の有害事象の報告から、既に承認時点の添付文書には、1型糖尿病は既に記載があり、承認時点でも既に使用上の注意としては書かれているものですが、やはり同様の副作用ということですので、これも要するに領域横断的に注意をしていただく必要があるだろうということで出させていただいているという状況です。

○望月委員 分かりました。私たち医療機関側の受け止め方としては、企業の側から来る上に、さらに行政の側から注意喚起されるということは、それはかなり強く受け止めなければいけないという意識で、受け止めるということで考えればよろしいですね。

○安全対策課長 あらゆる注意喚起については、どんなものであっても注意深く受け止めていただきたいと思っているので、どうぞよろしくお願いします。

○五十嵐部会長 ありがとうございます。劇症1型というのは、1型糖尿病の中でも非常に急激に発症して、ものすごく重篤になりますので、このくらいの注意喚起をして然るべきではないかとも思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございました。

○遠藤委員 資料4-4にまた戻ってしまうのですが、私は日本病院薬剤師会から来ているのですが、二つの定点調査で、両方とも薬剤部DI室への連絡が不十分という記載があります。医師のほうにどの程度情報提供しているのかを、薬剤部が分かって言っているのかどうかが分からないのですが、我々の中でいろいろお話をすると、どうしても薬剤部への企業さんの情報提供が、不足しているのではないかと言われる薬剤部長さんがかなり多いです。最近は病院の薬剤部は、薬物治療に関してはかなり重要な位置を占めていると思っています。外来や病棟などにも薬剤師が常駐しているので、情報がきちんと医師や他の医療従事者、患者さんに伝えられる状況にあるので、是非この2社だけではなくて業界全体に、きちんともれなく薬剤部にも情報提供するような行政指導のようなことをお願いできればなと思うので、よろしくお願いします。

○安全対策課長 先生が御指摘のように、このDI室の訪問の件は、この事業を数年間続けてきましたが、実は毎回、この報告書の中で指摘され、それごとに業者に対しても指導しながらやってきたのですが、なかなか一向にそこの部分については、同じ指摘が繰り返されてきているという状況です。

 本事業は一定の成果を得つつ、昨年度で終了という一つの節目ですので、そういった点については改めて、どういった形で情報提供するのが適切なのかも含めて、少しこちらのほうでも検討させていただきたいと思います。貴重な御指摘を頂きまして、ありがとうございました。

○遠藤委員 よろしくお願いします。

○五十嵐部会長 今村先生、どうぞ。

○今村委員 資料4-2の薬用石けんですが、FDAはどういう副作用があったから販売中止としたのかということを教えてください。日本では副作用はないけれども、FDAの措置を受けて日本でも止めたということでしょうか。FDAが言ったから止めたというのは、ほかの先進諸国でもあるのですか。

○安全対策課長 トリクロサン入りの石けんの成分切換えの件については、来週の調査会で少し詳しい情報提供をさせていただくことで今、用意をしています。概要を申し上げると、まずトリクロサンを含む薬用石けんについて、海外での臨床試験の結果がありまして、石けんを使わない方々と、普通の石けんを使っている方々、それとトリクロサンを含む薬用石けんを使っている方々をランダム化して、対照試験がやられまして、その結果で、下痢とか様々な感染症の発生頻度というものを、1年間、追跡調査をして比較をしています。

 その結果で、トリクロサンを含む石けんと含まない石けんで、そういった公衆衛生上の予防効果といったものに差がなかったというものが根拠にあります。一方で、トリクロサンを含む薬用石けん自体で、何か安全性において副作用報告が来ているかというと、そういうものは一切ないのですが、言ってみれば環境中に対して、こういったものが耐性菌を生むようなインパクトを持っているとか、そういった部分と、あと、動物実験をすると、いろいろな毒性がそれぞれ出てきたりはするのですが、それが直接人間に外挿できるようなものでは必ずしもないわけですが、そういう安全性の懸念を完全には否定できなかったということです。有効性の観点からすると普通の石けんと差がない、環境に対する負荷があるという、その2点が一番大きな懸念ということで、アメリカにおいてはこの石けんの販売をやめるというディシジョンを取ってきているということです。

 我々日本政府としても独自の判断ということで、今回、切換えをお願いすることになっていますが、やはりアメリカの措置を参考にして様々な対応をとるということは、我が国に限らず、やはりいろいろな影響力がある行政の結論といいますか、措置ですので、様々な中で我々もアメリカの措置を参考にしながら、これまでもやってきているということです。

○今村委員 分かりました。薬用石けんというのは、所管は厚生労働省なのですか。

○安全対策課長 所管は厚生労働省です。

○今村委員 そうですか。そしたら、有効性があるかどうかの判定というのは特にしていなくて、販売の許可というのをするということなのですね。

○安全対策課長 薬用石けん自体、非常に古くからある石けんで、言ってみれば昭和40年代ぐらいから薬用石けんというものを標榜した形での製品が、国内で流通しています。基本的には石けん+抗菌効果、成分の抗菌効果というものがきちんと証明できれば承認をしてくるという形でやってきているものです。厳密な意味で、先ほど紹介した臨床試験のように、従来型の石けんとの公衆衛生上の予防効果みたいなものを比較するような、そういったヒューマンスタディを要求していたようなものではなかったというものです。

○今村委員 では、申請があれば基本的に認可をするということですか。

○安全対策課長 抗菌力が何らかの形で証明されているものを配合している製品であれば、承認をしてきたということです。

○今村委員 2点目の、ほかの先進国での対応というのはどうなのでしょうか。

○安全対策課長 今回、トリクロサンの石けんについては、EUでも同様の対応がなされてきています。ですので日・米・EUという観点からすると、今は3極が同じような対応をしているという状況にあります。

○今村委員 理解できました。

○五十嵐部会長 どうもありがとうございました。そのほかはいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、今日の議題は以上で終了したいと思います。事務局から連絡事項がありましたらお願いします。

○事務局 ありがとうございました。連絡事項ですが、今回の薬事・食品衛生審議会の部会をもちまして、現在の医薬品等安全対策部会は本日が最後になります。

来年の1月に薬事・食品衛生審議会委員の改選がありますので、恐れいりますが、五十嵐部会長から一言御挨拶を頂けますでしょうか。

○五十嵐部会長 この委員会は様々な分野の専門家の方にお集まりいただきまして、医薬品の安全について御討議をいただく会だったのですが、皆さんの御協力で大変スムーズに運営ができましたことを、心から感謝したいと思います。

 今回で終了になる先生方におかれましては、長い間、御尽力いただきましてありがとうございました。委員として、また来年も引き続きお続けになる先生方については、これからもどうぞよろしくお願いしたいと思います。本当にありがとうございました。

○事務局 ありがとうございます。それでは、最後に審議官の森から一言、御礼の挨拶を申し上げます。

○審議官 長時間の御審議、本当にありがとうございました。事務局側からも先生方に御礼を申し上げたいと思います。この医薬品等安全対策部会は、非常に幅広い製品について本当に世界中でいろいろなことが起きてくる、そういう内容をしっかり御審議いただきまして、患者さん、あるいは患者さんにならない、今日の薬用石けんなどは、むしろ健康な方を相手にした、公衆衛生上のいろいろな懸念に対して、しっかりオープンな議論をしていただいて、その中で取るべき措置が必要なものについては、しっかり取るということで、御意見をずっと賜ってきたと思います。

 今年の初めから私も審議に出させていただいておりますが、ここの場においても高額な医薬品のお話まで御心配いただいたり、國頭先生は今日は御出席になっていないのですが、でも、やはり非常に大事なことについて、本当に忌憚なく先生方から貴重な御意見を賜りまして、そのことがやはり医薬品や医薬品に関連する製品が国民のために役に立つように、ずっと目を配っていただいて本当にありがとうございます。

 委員の任期というのはいろいろ決まりがありまして、その中で今回御卒業いただくことになる先生もいらっしゃいますが、ここで御議論いただいた視点というのは、これまでも、これからも国民、患者を守るためには非常に大事な視点ですので、この部会におけるお仕事については御卒業ということですが、これからもこういった観点に御関心を持っていただく専門家として、また御指導いただければと思います。本当にこれまでお世話になりました。ありがとうございました。

○事務局 それでは、次回の部会開催日程は、審議会の委員の改選後、改めて先生方の御都合をお伺いした上で、御連絡差し上げます。どうぞよろしくお願いします。以上です。

○五十嵐部会長 それでは、今日の部会はこれで終了とします。どうもありがとうございました。

 


(了)

備考
本部会は、公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 安全対策課 課長補佐 荒木(内線2752)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(医薬品等安全対策部会)> 薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会議事録(2016年11月21日)

ページの先頭へ戻る