ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(職業安定分科会労働力需給制度部会)> 第242回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録(2016年9月9日)




2016年9月9日 第242回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録

職業安定局派遣・有期労働対策部需給調整事業課

○日時

平成28年9月9日(金)10:00~12:00


○場所

東京都港区芝公園1-5-32
労働委員会会館 講堂(7階)


○出席者

委員

(公益代表)鎌田委員、松浦委員
(労働者代表)石黒委員、清水委員、村上委員
(使用者代表)小林委員

事務局

鈴木派遣・有期労働対策部長、松本需給調整事業課長、手倉森派遣・請負労働企画官
戸ヶ崎主任需給調整事業指導官、小川需給調整事業課長補佐、塩月需給調整事業課長補佐

○議題

労働者派遣法改正法の施行状況等について(公開)

○議事

○鎌田部会長 それでは定刻となりましたので、ただいまから第 242 回労働力需給制度部会を開催いたします。

 本日は公益委員の橋本委員、使用者代表の秋山委員、高橋委員が所用により御欠席されるということでございます。本日の進め方ですが、お手元の次第にある議題「労働者派遣法改正法の施行状況等について」、公開で審議を行います。

 それでは、議事に入りますので、カメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。御協力をお願いいたします。

 それでは、本日の議事に移ります。「労働者派遣法改正法の施行状況等について」、事務局から説明を受けた後に、質疑の時間を取ることといたします。なお、本日の部会では、事務局より平成 24 年改正法や平成 27 年改正法による改正後の施行状況等に関する関係資料について説明を受け、その内容に係る質疑応答を行いたいと思います。それでは、事務局から御説明をお願いいたします。

○小川補佐 事務局でございます。お配りの資料につきまして、御説明させていただきます。資料 1 、厚生労働省では労働者派遣法について、平成 24 年改正、平成 27 年改正により新たに設けられた規定についての対応状況を把握するため、都道府県労働局を通じた施行状況調査を実施しました。今回は、この調査の結果について御報告します。調査期間ですが、平成 28 2 1 日~ 4 30 日までとなっています。調査方法ですが、都道府県労働局の需給調整指導官が、指導監督の際に実施したヒアリング調査の結果、また説明会等に参加した派遣元事業所に対して実施したアンケート調査の結果、これらを集計したものとなっています。調査対象は、総論の部分を見ていただければと思いますが、派遣元事業所 1,112 事業所です。このうち労働者派遣事業の許可を受けているのが 385 事業所、 ( ) 特定労働者派遣事業が 727 事業所となっています。

 では、平成 24 年改正法施行状況調査から御説明します。平成 24 改正で措置された事項、具体的には日雇派遣の原則禁止、グループ企業派遣の 8 割規制、離職後 1 年以内の派遣の禁止、均衡待遇、マージン率等の公開、待遇に関する事項等の説明、派遣料金の明示、中途解除された場合の措置、労働契約申込みみなしについて調査を実施しています。順を追って説明させていただきます。

 まず 1 ページ目、 2. 日雇派遣です。平成 24 年改正法施行前に日雇派遣を行っていたと回答しているのは、全体の 29.3 %に当たる 326 事業所でした。次ページ、 2.(2) 、これらの事業所については改正法施行後、例外的に認められた形での日雇派遣の継続、こちらが 68.4 %、日々紹介への移行、こちらが 18.1 %、派遣労働者の雇用期間を延長、 26.7 %、短期の派遣をやめる、こちらが 36.5 %など、それぞれに対応を図っている状況ということです。 (3) 、派遣労働者の雇用期間を延長した事業所については、 30 日超から 3 か月までの間で、雇用期間を延長したケースのある事業所が多い結果となっています。 (4) 1 か月当たりの平均就業日数ですが、 15 日以上としている事業所が多いという結果が出ています。

2-1.(1) 、例外的に認められた形で日雇派遣を実施している事業所ですが、いわゆる 17.5 業務で実施している事業所が 38.4 %となっています。 2-1.(2) 、業務の種類ですが、事務用機器操作が 41.8 %、受付・案内が 42.9 %と多くなっていまして、そのほかの業務についてはデータのとおりです。日雇派遣が認められている属性の範囲で実施している事業所は、 2-1.(1) を御覧いただければお分かりになりますけれども、 86.3 %となっています。 2-1.(3) 、具体的な属性の種類ですが、 60 歳以上が 61.8 %、学生が 67.7 %、世帯収入 500 万円以上が 68.6 %となっています。 (4) 、生業収入が 500 万円以上、世帯収入が 500 万円以上の年収要件の確認方法ですが、所得証明書の写しが 49.4 %、源泉徴収の写しが 69.8 %となっていますが、本人からの申告と回答している事業所も 54.3 %ある状況です。 2-2.(1) 、日々紹介については、大半の事業所で実施されていないという結果になっています。

 次ページ、 3 、グループ企業 8 割規制のところです。改正法施行前にグループ企業への派遣割合が 80 %を超えていた事業所ですが、全体の 4.3 %に当たる 48 事業所でした。 (2) 、いずれの事業所でもグループ外の企業との取引を増やすなど、何らかの対応が行われているということが結果として出ています。

4. 離職後 1 年以内の派遣の禁止です。改正法施行後に離職後 1 年以内の派遣禁止に該当するとして派遣先から通知があった事業所ですが、全体の 1.7 %に当たる 19 事業所から回答がありました。改正法施行後ですが、派遣先や派遣労働者に確認している事業所が多い。ただ、特段対応していない事業所も 24.2 %あるという結果が出ています。

5 ページ、 5. 均衡待遇についてです。改正法施行後に派遣労働者の均衡待遇を図るために配慮されている内容としては、 (1) の回答結果のとおりですが、賃金について派遣先の労働者との均衡、一般の労働者の賃金水準の勘案、職務内容や成果等の勘案などに配慮されているほか、教育訓練、福利厚生について派遣先の労働者との均衡に配慮されているという結果が出ています。 (2) 、賃金については、基本給を考慮しているという事業所が最も多く、続きまして通勤手当、職務手当、賞与等が考慮されているという状況です。 5.(6) 、均衡待遇を進める際の課題ですが、派遣先の労働者の待遇に関する情報が手に入らないとした事業所が全体の 22.2 %、派遣労働者と同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準が分からないとした事業所が全体の 21.8 %、待遇を改善するための原資が不十分とした事業所が全体の 28.9 %となっています。一方で、全体の 44.3 %の事業所は特にないと回答しているという状況です。 (7) 、均衡待遇を進めるに当たり、派遣先の社員との均衡を重視するとしたのが全体の 13.7 %、派遣労働者間の均衡を重視するとしたのが全体の 51.1 %となっています。一方、両者のバランスを取るとした事業所が全体の 43.7 %ということでした。

6. マージン率等の公開です。事業所全体の 72.7 %でマージン率を公開、その他、労働者派遣に関する料金の平均額を公開しているのが全体の 71.0 %、派遣労働者の賃金の平均額を公開しているのが全体の 66.3 %という結果が出ています。ただ、いずれの事項も公開していない事業所も全体の 14.7 %あったという状況です。 (2) 、公開していない以外を選択している場合、公表している事業所についてどのような方法で公開しているかという問いですが、 73.3 %が事業所への書類の備え付け、 27.6 %が自社ホームページとなっています。 (3) 、派遣料金におけるマージン率ですが、 20 %~ 40 %の間で回答した事業所が大半を占めているという結果になっています。

7. 待遇に関する事項等の説明です。 7.(1) の表を見てください。改正法施行後、全体の 85.6 %に当たる 952 事業所で、労働契約締結前に派遣労働者に対し派遣労働者として雇用した場合における賃金額の見込みを説明しているという結果が出ています。また、 84.7 %の事業所で待遇に関する事項を、 72.4 %の事業所で労働者派遣制度の概要を説明しているという結果が出ています。

8. 派遣料金の明示です。改正法施行後、全体の 86.6 %に当たる 963 事業所で派遣労働者に派遣料金額を明示しており、逆に 13.4 %の事業所で明示されていないという結果が出ています。明示されている事業所について、そのうちの 60.4 %では派遣労働者が所属する事業所における派遣料金額の平均額が明示されているという状況です。

9. 中途解除された場合の措置です。改正法施行後、全体の 23.4 %に当たる 260 事業所で派遣先都合による派遣契約の中途解除があったという回答がありました。このうち、 61.2 %で派遣先が派遣元事業主の休業手当等の支払費用を負担している。 53.1 %で派遣先が新たな就業機会を提供するなど、そういった措置を講じていると回答していますが、一方で、 20.8 %からは派遣先は何も講じなかったという回答を得ています。 (3) 、中途解除された場合の扱いとして契約に盛り込まれている内容ですが、全体の 81.0 %で派遣先が派遣元事業主の休業手当等の支払費用を負担するという内容、 86.8 %で派遣先が新たな就業機会を提供するなどの内容を盛り込んでいるとしていますが、一方で、 5.8 %で特に盛り込まれていないという回答を得ています。次ページ、全体の 29.9 %に当たる 333 事業所で、派遣労働者の責めに帰すべき事由以外で派遣労働者を休業させたことがあるという回答を得ています。このうち、特に何もしていないと回答したのは 2.1 %のみで、その他の事業所では、給与を全額支払う、また休業手当を支払うなど、賃金補償を実施しているという状況です。

10. 労働契約申込みみなしです。労働契約申込みみなしについて、全体の 54.2 %に当たる事業所において派遣先への周知、 49.6 %に当たる事業所でコンプライアンスの強化を講じている、または講じる予定があるという回答を得ています。

 続きまして、平成 27 年改正法の施行状況調査です。平成 27 年改正で措置された事項、具体的にキャリアアップ措置、雇用安定措置、均衡待遇の推進について調査を実施しています。

 まず、 9 ページ 2. キャリアアップ措置です。改正法施行後、全体の 30.0 %に当たる 334 事業所で、段階的かつ体系的な教育訓練の実施計画を作成済みという回答がありました。また、 62.5 %に当たる 695 事業所で計画を作成中という回答を得ています。また、全体の 36.0 %に当たる 400 事業所で、施行後に雇用した派遣労働者に教育訓練を実施 ( 又は実施予定 ) 40.2 %に当たる 447 事業所で施行前から雇用している派遣労働者に教育訓練を実施 ( 又は実施予定 ) と回答をしています。 2.(3) を見ていただければお分かりになると思います。 2.(4) 、実施 ( 又は実施予定 ) の事業所のうち、 78.1 %で入職時訓練、 48.8 %で社内での Off-JT 36.4 %で派遣先での OJT を実施している結果が出ています。また、 2.(5) 、実際に実施するに当たって困難に感じた点について、教育訓練に係る費用の捻出が困難との回答のほか、派遣労働者が積極的に参加してくれないといった回答も多数ございました。 2.(6) 、希望者に対するキャリアコンサルティングですが、全体の 60.0 %が営業担当者を相談窓口に、 37.9 %が社内のキャリアコンサルタントを相談窓口にしているという結果が出ています。 2.(7) 、改正法施行後、全体の 76.7 %の事業所では、派遣労働者からの希望がなく未実施という状況です。

11 ページ、雇用安定措置です。雇用安定措置については、 11 ページの上のところを見ていただければと思いますが、同一の組織単位に継続して 3 年間派遣見込みがある派遣労働者がいる派遣元事業所に該当するのは 34 事業所となっています。このうち、派遣先への直接雇用の依頼を行ったのが 15 事業所となっています。

13 ページ、 1 番上の表です。直接雇用の依頼を行った 15 事業所のうち、派遣先で正社員として直接雇用に結び付いた労働者がいる事業所が 8 事業所という形になっています。なお、平成 27 年改正の施行から半年経過していない調査時点で、 3 年間派遣見込みということで該当する派遣労働者は、医療系や技術系に従事している者が多いのではないかと考えられるかと思います。いろいろ表がありますが、同様に、同一の組織単位に継続して 1 年以上 3 年未満派遣見込みがある派遣労働者がいる派遣元事業所や、それ以外で雇用期間が通算 1 年以上の派遣労働者がいる派遣元事業所についても調査をしていまして、表として載せていますので御確認いただければと思います。

12 ページの真ん中の辺り (2) ですが、雇用安定措置の対象者がいながら雇用安定措置を講じていない事業所について、その理由を聞いたものです。多くは、今後実施予定と回答をされている状況です。

14 ページ、均衡待遇の推進の部分です。 (1) 、改正法施行後、全体の 89.8 %に当たる 999 事業所で均衡待遇の確保のために考慮した内容について、派遣労働者から説明を求められたことがないと回答しています。求められた事業所では、ほとんどが求めに応じて説明したと回答している状況です。 (2) 、全体の 63.6 %に当たる 707 事業所で、同種の業務に従事する派遣先の労働者の賃金情報の提供を派遣先に求めたことがないと回答しています。一方で、提供を求めた事業所の多くは、賃金情報の提供を受けたと回答している状況です。 (3) 、全体の 51.7 %に当たる 575 事業所で、教育訓練の実施について派遣先に求めたことはないと回答しています。一方で、教育訓練の実施を派遣先に求めた事業所の多くは、教育訓練が行われた ( 又は行われる予定 ) と回答をしている状況です。

 労働者派遣法改正法の施行状況調査については以上でございます。なお、参考として、平成 24 年改正法関係の資料、平成 27 年改正法関係の資料、平成 27 年改正法の際の附帯決議について、資料 2 、資料 3 、資料 4 として参考にお配りしています。事務局からの説明は以上です。

○鎌田部会長 それでは、ただいまの説明について、御質問、御意見がありましたら自由にお願いいたします。

○石黒委員 まず、調査の仕方について質問させていただきたいと思います。サンプルが余り多くないなというのはあるのですが、それ以前に調査の対象が、定期指導監督のときに指導官が質問事項に即してヒアリングした所と、説明会に来た派遣元に調査票を配布したという 2 タイプがあります。この 1,112 のうち、どちらのタイプが幾つあるかを教えていただきたいのですが。

○松本課長 指導の際に調査をしたものが 540 で、指導のない、つまり紙だけの回収にとどまっているものが 572 です。

○石黒委員 半々ぐらいですか。

○松本課長 半々です。

○石黒委員 何が申し上げたいかというと、定期指導監督は無作為に近いのではないかと思うのですが、説明会に来た人に配るというパターンは、説明会に来ること自体、きちんとしようという意図のある事業主なので、そのような派遣元に調査するのではかなりバイアスがかかったものになっているのではないかと思います。普通調査というものは、母数の問題もありますが、余りバイアスのかからない、無作為にある一定の集団に対して調査票を配布して、配布数に対してどれだけ回収できたか、そして、それに対して回答はどうだというように、バイアスのかからないようにやらなければいけないと思います。本調査の対象の半分は説明会に参加している事業主というバイアスがかかっているので、実態とのずれがあるのではないかということを、意見として申し上げておきたいと思います。

 定期指導監督のときにヒアリングした回答と、説明会に来た事業主の回答とを分けて考えないと、改正法の施行状況について実態を調査したとはなかなか言いにくいものでないのかと思います。

 もう一つ、この調査は派遣元を対象とする調査ですが、派遣労働者に対して調査をする予定はないのですか。

○松本課長 事業の監督を重視しており、派遣元が責任を果たしているかという観点の質問項目ということもあり、派遣元が履行しているかどうかを必要に応じて事業所の資料も見ながらということかと思っていますので、派遣労働者についての調査は含まれておりません。派遣労働者を調査対象にする場合は、では、その派遣労働者をどう選ぶのかといった点、どう回収するかも含めて課題はあろうかと思いますが、御意見としては受け止めたいと思います。

○石黒委員  27 年改正法施行状況調査のところで、教育訓練に派遣労働者が参加してくれないとか、派遣労働者からキャリアコンサルタントの要望がないという回答があります。こうした結果が出るのは、派遣労働者に改正法の周知が十分にされていないからではないかと考えられます。派遣労働者が知っていてキャリコンを使わないのか、知らないから使わないのかがこの調査ではわからないので、派遣労働者側も調査をしないと、法改正後の実態把握として不十分ではないかと思います。調査方法は、 web などいろいろな方法があると思いますので、是非一度は派遣労働者側の調査も実施していただきたいと思います。

 先ほど申し上げましたが、調査の有り様も、説明会に来た人たちのバイアスのかかり方もありますし、片や指導官によるヒアリングでは、それで指導されてしまうとなれば、法遵守できていないことについて、どこまで実態が明らかになるかは疑問です。こうしたことから今回の調査は実態を捉えているとは言い難いのではないかと思います。

○松本課長 調査方法それぞれに特性があり、それがメリットもありデメリットもあろうかというのは、正に御意見、御指摘のとおりかと思います。まずバイアスの話、そういった可能性もあるということは否定もできないのですが、配り方も各局によってもいろいろ工夫はしているのでしょうと。例えば、企業規模などは、極端に偏らないようにという指示も併せてしているので、極力バイアスはかからないような努力はしているということだけは、取りあえず説明申し上げたいと思います。指導官が行った場合と通信方式で回答を求めた場合とで、どのような挙動になるかは、これもいろいろな考え方があります。指導官が目の前にいるときですと、つまりその場に証拠書類も含めて確認もできるわけですので、アンケート調査よりは精度が高いのではないかという思いで、指導と共にやる方式を今回選択いたしました。いろいろなメリット、デメリットを考えた上で、引き続きいろいろと工夫をしてまいりたいと思います。

○鎌田部会長 バイアスの話ですが、取りあえずバイアスがあるのか、ないのか。つまり、この調査方法のところで、データを調べれば分かることですよね。

○石黒委員 分ければ。明らかに、説明会の 500 幾つ。

○松本課長 それを分けることは可能なのですが、それを分けて再集計するのには、短時間ではできかねます。また、これは施行直後の 2 1 日~ 4 30 日時点の調査ですので、いずれまたその施行状況を正確に把握するためには、引き続き実施していかなければならない話です。そのときの調査方法を選択する際に、どちらが適当かを判定するという観点から検討してまいりたいと思います。

○鎌田部会長 今後の検討課題はそれで分かりましたが、今のところできないというか、時間的な制約があるということなのですが。

○石黒委員 制約があるということであればやむをえなかったことと思いますが、バイアスがかかっているのではないかということを前提に見ていくしかないなとは思っています。

○鎌田部会長 これから中身に入っていきますが、総論のところでほかにありますか。

○石黒委員 もう一つ、規模は書いてあるのですが、例えば技術系や製造系の業種の集計は、実際の調査票を見ていないので分からないのですが、そのような調査はしていないのですか。

○松本課長 主としてどこに派遣しているかは調査項目に入れておりませんので、誠に申し訳ありません。先ほど申し上げたのは、件数が少ないものについて念のため確認したので、把握した事実を説明いたしました。

○石黒委員 分かりました。

○松浦委員 平成 24 年改正法も平成 27 年改正法も、基本的には派遣労働者の保護を目的として改正された側面が非常に大きいですので、実質的に派遣労働者の保護につながっているのかどうかを検証できるような調査が必要なのではないかと思います。派遣労働者向けの調査としては、厚生労働省で「雇用の構造に関する実態調査」が実施されていますが、 4 年おきで、次回は平成 29 年です。ただ、現在の設問項目だけですと、恐らく平成 24 年改正や平成 27 年改正の効果や評価を十分に検証できないように見えます。そういう意味では、雇用構造調査とは別に実施するのか、雇用構造調査の中に調査項目を追加するのか、やり方は御検討いただく必要があると思うのですが、やはり派遣労働者に対する調査は非常に重要だと思います。

 一方、正社員転換や直接雇用への転換を派遣労働者に対する調査で把握するのは、非常に難しいです。要は、正社員や直接雇用に転換している場合、派遣労働者の範疇に入ってこないので、そういう方々が調査対象から外れてしまいます。そういう雇用形態の変化をウォッチしていくためには、本来はパネル調査が望ましいです。ただ、雇用安定措置を通じて正社員や直接雇用に転換をした人がどの程度いるのかについては、事業所調査でもある程度は把握できるので、これは是非継続的にウォッチしていただきたいと思います。それから、できれば正社員転換をした人がいるかどうかだけではなくて、どれぐらいの人数規模に雇用安定措置の効果が及んでいるのかを把握する必要があると思います。

○鎌田部会長 今の御意見については、今後調査をする上での要望だと思います。

○松本課長 石黒委員と松浦委員から御指摘を頂戴したのは、派遣労働者を対象とする調査手法として、こういった調査的監督という手法では難しい点もあるのですが、他の手法も含めて把握することは考えられますので、それぞれの調査の特徴も踏まえながら、いろいろな手法で把握する必要があると受け止めましたので、そのように対応してまいりたいと思います。

○鎌田部会長 そのほか、この調査方法のレベルの話で何かありますか。よろしいですか。それでは、中身について、特にどの項目とは指定いたしませんので、自由に御意見を頂ければと思います。

○村上委員 今、松浦委員からもありましたが、 5 ページの 5 の均衡待遇の調査で、派遣労働者の均衡待遇を図るためにどのような配慮をしているかですが、「特別対応をしていない」が 1 割近くあり、それは大変多いのではないかという感じもしています。また、 9 割は何かしらやっているということですが、何か配慮をしたとしても、実際どのように待遇が変わったのかが分からないといけないのではないかと思っております。そういう意味でも、先ほど松浦委員が指摘されたように、派遣労働者への調査は必要ではないかと思います。

 それから、 2 ページの日雇派遣の原則禁止についての調査です。 (2) では、原則禁止されたことを受けてどのような対応をしたかということで、例外的に認めた形で日雇派遣を継続したというのが 7 割近くあります。結局原則禁止をしたけれども依然として細切れの雇用が多いという印象を持っています。雇用期間を延長したといっても、 30 日超から 40 日にしたぐらいの所が 7 割近くということを見ても、細切れ雇用ではないかと感じています。

 また、 3 ページの年収要件 500 万円以上の確認方法を聞いている所なのですが、 60 歳以上や学生であるということも確認しなくてはいけないのですが、その確認方法については、今回は調査していないのでしょうか。

○松本課長  60 歳以上、又は学生というのは、言わば確認方法が極めて通常容易であろうということから、調査項目には入れておりません。

○村上委員 分かりました。

○鎌田部会長 この点について、何か要望はありますか。

○村上委員 本人を見れば、大体若いかどうかは分かりますが、年齢までは分からないのではないでしょうか。学生も学生証をきちんと出すぐらいのことは必要ではないかと思っており、本人申告だけでいいのかどうか、少し今後見ておくことも必要ではないかと思いました。

 次に、 3 ページの (4) 、年収要件 500 万円以上の確認方法についても、本人からの申告が 54.3 %となっていますが、本人からの申告でいいというのは例外的な方法だったのではないかと思います。これは感想ですが、実効性という意味ではどうなのかという印象があります。

○鎌田部会長 これ以外に、自由に御質問、御意見をお願いいたします。

○松浦委員 確認ですが、 3 ページの (4) 500 万円以上の確認方法というのは、複数回答なのですね。ということは、本人からの申告の 54.3 %の中には、ダブルでチェックをしているのも計上されているという理解でよいですね。

○松本課長 御指摘のとおり、複数回答が可ということの意味は、派遣元で 10 人日雇派遣労働者を送り出しているときに、 9 人は証明書、 1 人は証明書なしで申告書といった場合に、どちらも 1 が立つということかと存じます。

○松浦委員 分かりました。

○鎌田部会長 ほかに御質問はありますか。

○村上委員 同じ 3 ページに日々紹介の話が出ておりますが、調査の質問ではなくて、今後の要望ですが、日雇派遣原則禁止で、日々紹介へ移行しているケースもあるということです。日々紹介においては、求職者が仕事に行くつもりだったのだけれども、当日キャンセルを受けてしまって賃金補償はされないというような相談も受けているところです。こういったトラブルを防止するということで、厚労省も昨年 9 月に通達を出されていますが通達では、紹介業者は、求職者に対して直接キャンセルも起こり得るということをきちんと情報提供すべしといったところにとどまっており、それだと実効性は乏しいのではないかと思います。日々紹介については、もう少し実態把握を進めるべきではないかと思っておりますので、要望として申し上げたいと思います。

○松本課長 検討した上で、御相談してまいりたいと思います。

○松浦委員 今のお話に関係して確認なのですが、日々紹介の場合で、当日行ってみたら仕事がキャンセルになっていましたというときに、紹介事業者なり求人をした企業なりが、何らかの補償を行うという規制は、今はないのですね。

○松本課長 規制はありません。規制というかルールを設定しにくいのは、紹介の場合には労働契約を締結する前は債権債務が発生していませんので、仕事がキャンセルということはそもそも労働契約が締結に至らなかった、又は紹介の結果が不採用になったという位置付けになってしまいます。そういう意味で、補償はルールとして設定はされていません。

○松浦委員 もう一つ、日雇派遣の場合で、日雇派遣の仕事がキャンセルになれば、派遣元が何らかの給与補償をしなさいというスキームになるのですか。

○松本課長 はい。その派遣契約はともかく、労働者と派遣元との間で労働契約が締結されているのが通常です。その場合は、休業手当が最低限講ずべき措置ということになります。

○松浦委員 ということは、日雇派遣と日々紹介では、そこの規制の在り方は随分違っているのですね。

○松本課長 御指摘のとおりです。

○松浦委員 ありがとうございます。分かりました。

○石黒委員  4 ページのグループ企業への派遣に関する項目ですが、この結果ではおおむねきちんと対応されているように見えますが、もともとこの 1,112 のうちの規制されなければいけない事業所は 48 しかないので、この調査結果だけで判断するのは難しいと思います。

 また、計算の分子から除かれる 60 歳以上の定年退職者を増やした派遣元が 4 割もいますが、これは 8 割規制の法の趣旨からいくとどうなのかなということを少し思いました。これは、感想です。

○鎌田部会長 ほかにいかがでしょうか。

○村上委員  6 ページの 6 で、マージン率の公開についての質問と回答があります。 6 (1) は公開している項目を聞いていて、本来であれば全て公開すべきものであるはずではないかと思うのですが、その割には、少し率が低いなという感じがしており、「公開していない」が 14.7 %あります。これだけではなく、先ほどの均衡の配慮義務であるとか、離職後 1 年の労働者の派遣禁止などについても、何ら対応していないという回答も見られるところで、きちんと法が遵守されているとは言い難いのではないかということを、全体的な印象として持っております。

 その中で、厚生労働省としては、どういった指導を行っていらっしゃるのでしょうか。調査をして聞いてみたらこういう話だったということなのですが、マージン率を公開している、していないというのは割と分かりやすい話ではないかと思っております。これまでどのようにやっていらっしゃったのかということと、今後マージン率の公開についてどのように実効性を高めることを考えているのかを教えていただければと思います。

○松本課長 これは、定期指導なりの機会を捉えて、当然法令遵守を求めていくことは、言うまでもないことです。平成 27 年改正法の国会の審議も踏まえて、マージン率はインターネットを基本とすることにもなっていますので、公開方法についてもこのままではよろしくないという認識です。ですので、インターネットの公開の点も含めて、引き続き指導を続けていくこととともに、厚生労働省が運営している人材サービス総合サイトでも、マージン率を表示できるような対応も既にしていますので、そこを活用することも含めて、派遣元に対する履行を求めていきたいと思っております。

○鎌田部会長 ほかにありますか。

○村上委員 平成 24 年だけではなくて、平成 27 年もよろしいのですよね。

○鎌田部会長 平成 27 年も併せてです。

○石黒委員  10 ページのキャリアコンサルティングの相談窓口についてですが、最多の回答が営業担当者となっています。これは営業担当者が、キャリアコンサルティングを行っているということですか。それとも、営業担当者が窓口で、キャリコンにつなぐということでしょうか。

○松本課長 これは、コンサルティングを担うのが誰かということで、これは営業担当が相談に応ずるということです。

○石黒委員 営業担当者というのは、基本的にはキャリアコンサルタントとしての訓練や、資格が有るわけではないと思います。営業の方がキャリアコンサルティングをきちんとできるのか疑問です。取りあえず話を聞きましたというのをキャリアコンサルティングとは言わないと思います。指導の際には、営業担当者がキャリアコンサルティングをしてもいいという指導をしているのですか。

○松本課長 現状の業務取扱要領では、営業担当者も排除されていなくて、それでも構わないと書いてあります。それはなぜかといいますと、キャリアコンサルティングとしての相談技術も含めての点は有資格者と比べてどうかという話はありますが、営業担当ということは派遣先でどういう仕事が、又はどういう能力が求められているかを幅広く知り得るということでは、それを念頭に置いた相談ができ得るということから排除されていないという位置付けだと聞いております。つまり、この後、どんな能力を積み増していけば派遣先の幅が広がるか、キャリアアップができるかという点の御相談には応ずることができるという位置付けになっています。

○石黒委員 初めのワンステップとしては、それでいけばいいということですか。

○松本課長 今後のことは、また今後、必要に応じて御議論いただくことかと思いますが、キャリアコンサルティングを初めて義務付ける時点では、そういうスタートということだったと承知しています。

○石黒委員 分かりました。状況も含めてお聞きしました。

○鎌田部会長 やはり、キャリアアップの成果、効果の観点を知りたいということで、そうすると労働者側の調査もしないと、なかなかこの辺りはうまく分からないということになりますね。受ける側の成果をどうしても調査しないと、もとは義務に基づいてやっているわけですが、つまり労働者目線がどうしてもキャリアアップには必要になってきます。先ほど皆さんが指摘されたようなことで、特にキャリアアップについては派遣労働者の目線での調査が、これから必要になってくると思います。ほかにありますか。

○清水委員 均衡待遇の所で幾つかのデータがありますが、その見方をお聞きします。 5 ページの一番上の (1) では、均衡待遇の中で派遣先の労働者との賃金の均衡を図るのだということを 3 割ぐらいの所がお答えになっている。 (2) の所では、基本給のところをいじるというものが 92 %です。 6 ページの (7) ですが、均衡待遇を進めるに当たっては派遣先の社員との均衡と派遣労働者の均衡のどちらを重視するのかというと、半分以上が派遣労働者間の均衡なのだということになっております。

 そうすると、この辺のデータの読み方なのですが、少し矛盾したものが出てきている。均衡待遇というのは、いろいろ議論はありましたが、あくまでも派遣先の正規社員との関係での均衡ということでした。とは言うものの、実際は派遣労働者間の均衡、例えば、同じ派遣元の労働者で、同じような業務で幾つかの別な企業へ行っていらっしゃる。そうすると、こちらのほうが高くてこちらのほうが低いからということも含めて、この辺りのデータはどのように読み取るのが一番正しいのですか。それを教えてください。

○松本課長 これは、正に派遣元によっていろいろな判断がされているというデータになっているのだと思います。御指摘のように派遣先との均衡で基本給という所だけ見れば、 6 ページの (7) は派遣先のほうが多く出るようにも思いますが、それは結局、全てある派遣元が数社ある派遣先との関係で、いろいろ検討した結果として凸凹があるはずですが、派遣先との均衡だけを考慮するのかというと、多分今の時点で凸凹をどうしようかということも派遣元が考えるのが、恐らく多いであろうと。

 結果として、清水委員からも御指摘がありましたが、凸凹をある程度そろえた形で派遣労働者間の均衡を考慮していくと、あとはどちらを重視していると答えるかという話。本当は両者のバランスを取るという回答にしてもらえれば有り難かったのですが、それはいろいろな判断があるのだと思います。なので、この回答内容はどちらも両立し得る話だと思います。

○鎌田部会長 この派遣労働者間の均衡は具体的にどういうイメージで、清水委員を 1 つの例として同一職務で派遣で働いている方で、同一の派遣元から来られる方の均衡ということもあれば、それに限っているのかどうかも分かりません。これは、今後調べるときにどのような意味で派遣労働者間の均衡と言っているのか、少し聞き方を工夫されたほうがいいかもしれません。

○松本課長 ここは諸事情といいますか諸環境もありますので、それも踏まえた上で検討いたします。

○鎌田部会長 ほかにございますか。

○村上委員 今の均衡考慮の所は平成 24 年改正の話なのですが、 14 ページの 4. の平成 27 年の均衡待遇の推進に関する項目です。こちらは、 (1) で派遣労働者から説明を求められたことがあるのかという所で、求められたことがないが大変多いということですが、これは、派遣労働者に対して周知が不足しているのではないか、求めていいのだということが十分周知されていないのではないかと考えられます。

 また、 10 ページですが、これだけではなくて先ほどのキャリアコンサルティングについても、「派遣労働者からの希望がない」が 76.7 %と大変多くて、私どもも派遣で働く方々に少し伺ったことがありますが、「こういうことは知らない」、「そういう法改正があったのですか」と言う方がたくさんいたので、もっと周知が必要ではないかと思っております。何か具体的にお考えがあれば教えていただければと思います。

 また、同じ 14 ページの (2) (3) では、派遣元から派遣先に対して情報提供や訓練の実施を「求めたことがない」というのが大変多いと思います。これについて、なぜ求めなかったのかということを派遣元に対して聞かれていないのですか。

○松本課長 まず、後のほうから先に回答いたします。事実として、求めていない理由は尋ねておりません。ただ、求めていない理由はいろいろ推測されるところですが、調査しておりませんので結果としてありません。

 一方、 1 点目の件について、改正派遣法により派遣元だけではなくて派遣労働者や派遣先向けに、 1 年前にこのような点が変わりましたというリーフレットを作成して周知対象にしております。今の御指摘は、それがまだ及んでいないのではないかという御指摘だと思いますので、更にどのような対応ができるのかということを考えてまいりたいと思います。

○村上委員 事業者の方ではなくて、労働者向けに対する周知は本当に大変だと思います。リーフレットを作ってもそれが届いていかないとか、厚労省のサイトにアップしてあっても見に来ないと分からないということがあり、私たちもどのようにしたら届くのだろうということは常に模索しながらやっております。派遣で働いている人たちが、よく見るサイト等を利用して周知していくということも考えていかないと、実効性を高めることにはならないですし、平成 27 年改正の附帯決議でも周知についていろいろ指摘があったところなので、もう一工夫することも必要ではないかという感想です。

○鎌田部会長 御意見ということですね。

○村上委員 はい。

○鎌田部会長 私から 1 つ。今資料を見させていただいて、どうだったのかということで、まず、 7 ページの一番下の派遣契約を中途解除された場合の扱いとして契約に盛り込まれている内容です。これは労働者派遣契約、つまり契約上、派遣元と派遣先との間で中途解除された場合にどのような対処を定めるのか、これは指針にも書かれておりますので、契約に定めるということになり、今ここに書かれている項目が当然いるものだということで調査されている。

 それぞれについて、派遣先が新たな就業機会を提供する、休業手当を払う、損害賠償を払うということも定めに従って高い比率で出ている。次に平成 27 年改正で、雇用安定措置は派遣法の 30 条で義務付けられております。これも公法上の義務として義務付けられていて、それを実施しない場合には、一定の法的制裁を受けるということになっております。私法上の効力には定めがないので、つまり、確か契約にしろという話にはなっていないのです。派遣労働契約の中での雇用安定措置というのは、業務取扱要領にもなっていなかったですよね。

○松本課長 ございません。

○鎌田部会長 そうすると、行政が制裁として派遣元に対して、これはおかしいですよということで行政指導、行政処分の対象とするが、この中では個々の派遣労働者が派遣法を根拠に雇用安定措置について民事上で請求することはできないのですよね。

○松本課長 できません。

○鎌田部会長 そういうことがあるので、中途解除については契約条項にしますということで手当していたのです。今回の雇用安定措置については、契約条項にするということが、特に業務取扱要領でも入っていなかった、それともモデル契約を作っているのかな、モデル契約の中には入っているのですか。雇用安定措置については、派遣労働契約の問題ですが、確か私の理解だと入っていなかったような気が。もしなかったとすると、契約上の権利義務関係として派遣労働者が自己の利益を自分で守るためのシステムも少し考えたほうがいいかと。

○松本課長 雇用安定措置を履行しなかった場合、結局、派遣元に対する行政指導で。

○鎌田部会長 それは公法上の義務だから。

○松本課長 講じない場合には、許可の不更新も含めて対応するということになっているので、そういう意味で派遣元に対する抑制手法としては十分達せられていると思っております。派遣元と派遣先の労働者派遣契約にどのように明記するのかというと、今の雇用安定措置の中身が選択制になっていて、直接雇用の依頼を契約でどのように位置付けるのかというと、依頼されたらどのようにするのですかというところまで契約に書き切れないということと、派遣元が講ずるその他の措置については、派遣先にとっては、言わば契約の内容に書いてあっても意味がない話なので、派遣契約上、それを明らかにすることはなかなか難しい内容なのではないかと思います。これは結局、派遣元が雇用主としてどのような責任を果たすのかという内容であるとすると、派遣先がどのような挙動であろうとも派遣先にしっかりと責任を取っていただくということかと。

○鎌田部会長 私が言ったのは労働者派遣契約の話ではなくて、派遣元と派遣労働者の間の派遣労働契約の定めにおいて、雇用安定措置の履行に関わる義務付けの取扱い、処置がありませんということです。

○松本課長 ありません。それも、ほぼ同値で雇用安定措置の中身が、使用者が変わる派遣先への直接雇用依頼、新たな派遣先の提供、派遣元での無期雇用であったり、正に様々で、本人の希望も派遣予定期間が切れるのが近接しないと分からない状態で、あらかじめ、それを定めることは難しいのではないかと思います。

○鎌田部会長 そういう考え方が 1 つあります。派遣労働者の保護をどのように考えるのかということなのですが、もうこれ以上は言いません。労働契約申込義務もそうですが、やはり派遣労働者自身が自分の利益を守るためにどのような措置を講ずるのかということが課題の 1 つだと思えば、つまり、もちろん行政としても様々な措置の履行を確保するということは大切ですが、なお、派遣労働者自身が違反の状況に対してどのような措置を民事的に行使することができるのか、検討課題かと思い質問しました。

 私も少し思い出したのですが、今、課長がおっしゃったようにシステムが選択制になっておりますので、契約上の義務付けといっても、そう明確には指導できないというか契約を定めることが難しいということを、確か議論されたような経緯があったように記憶しており、そうかと思い質問してみました。

 ○石黒委員 よく分かります。やはり派遣という有り様からいくと、派遣労働者側として、どのように法律を武器に闘えるかというと、なかなか闘えない仕組みになってしまうなという。

○鎌田部会長 闘えない仕組みというわけではなくて、いろいろな工夫が必要になってくるということで。ほかにございますか。

○村上委員 今の鎌田座長の御質問に少し触発されたのですが、 7 ページで派遣契約を中途解除された場合の扱いを契約に盛り込んでいないというところが 5.8 %あるとか、盛り込んだ内容についても聞いております。盛り込んでいないところと盛り込んでいるところで、その後の支払いの対応が変わっているのかどうか、クロス集計ができないものなのでしょうか。

 つまり、契約に盛り込んでいれば派遣労働者に対して中途解除の際に休業手当の支払なり賃金の支払ができるけれども、契約に盛り込んでいなかったがために支払われなかったとか、そういう結果が出るのかどうかというところを少し御検討いただけないかと思いました。

○松本課長 原票に戻れば何かしらできそうな気もしますので、少し時間を頂きます。

○村上委員 はい。

○鎌田部会長 あとはございませんか。

○村上委員  2 点あります。 1 点は先ほどの 11 ページの雇用安定措置のデータです。中身の問題ということではなくて、施行からまだ時間がたっていないということもあり、十分なサンプル数になっていないということがありますので、このデータだけからは傾向等を余り読み取れないのではないかと思っております。もう少し時間がたった段階でどうだったのかということを検証できるようなデータを頂ければと思います。

 派遣に直接関係ないかもしれないのですが、日々紹介の当日キャンセルの話について、もう一度教えていただきたいのですが、松浦委員からの御質問に対して課長が答えられた点についてです。紹介のときにいつ労働契約が成立するのかという話であると思います。紹介の場合、例えば、ハローワーク等を経由して紹介されて面接に行って、そこで内定しました、来月から来てくださいという話になって、来月から働きますと承諾したときには労働契約が成立します。一般的にそうなのだけれども、日々紹介については内定行為がないということでしょうか。当日仕事を紹介されて、何時にどこの場所に来てくださいと言われたけれども仕事がなくなりましたというときには、全く労働契約は内定もないし成立もしていないということで良いのですか。

○松本課長 おっしゃるとおりだと思います。短期であればあるほど、あらかじめ内定して労働契約の締結ということではなくて、特に日雇の場合は、面談して即採用で今からあそこへ行ってくださいということなのだと思います。つまり、申込みに対する承諾という意味での労働契約の締結は、恐らく、当日の朝に使用者との関係でなされるということだと思います。

 前日、ここで募集しているということを受けて、その現場に行くということかと思います。そういう意味で使用者たる事業主は、当日になってみないとその人と労働契約を締結するのかどうかを決定していないという位置付けかと思います。それは、職業紹介を経た場合であっても複数業者に声を掛けることもありますし、また、求人広告という形で広告した場合に広告を見た人が当日集まってきて、その中で必要人数を雇うという形態が現実にあるのだとして、それは、実際に仕事をしてくださいという人以外の方は契約未締結ということなのだと思います。

○鎌田部会長 労働契約の成立自体、いろいろな状況によって違ってくると思います。つまり、紹介はあっせんを受けて契約の申込みと承諾があってというのが基本です。日々紹介の場合は、どの時点をもって契約成立とするのかということは、少し研究してみないと分からない部分がたくさんあるのではないか。それから、今、内定のお話もされましたが、内定も派遣を含めて非正規の人の内定をどのように考えるのかは少し難しい。

 普通、内定の理論は新卒採用、正社員から別の正社員への転職の内定が大きなウエイトを占めるのですが、非正規の方についての内定の問題、それから今言ったように短期の有期労働者の内定や成立の問題は、実はまだ未解明で今後少し検討しておかなければいけないと思います。原理は今課長がおっしゃったことでいいと思います。

 ほかに何かございますか。事務局からの説明で、施行状況について皆様から御意見、御質問がありました。調査の仕方を含めて御意見があったと思いますので、事務局でこの回答や対応等を用意してもらいたいと思っております。それでよろしいでしょうか。

○松本課長 承りました。

○松浦委員 確認です。施行状況の調査の中で明らかに法律上まずいという結果が出ている事業所のうち、無記名の説明会参加企業については特定できないのですよね。

○松本課長 これは残念ながら、どこの回答か分かっているものと分かっていないものが混ざっております。

○松浦委員 どこの回答か分かっている企業のうち、指導監督のときに実際に公開していない等、規制どおりに対応できていない事業所については、当然のことながら、今後改善を促していって、限りなくゼロに近付いていくという理解でよろしいですか。

○松本課長 おっしゃるとおりで、少なくとも事業所を特定又は現場で指導したものについては、その場で指導するのが原則で、そういうところは指導済み、又は指導の結果待ちということだと承知しております。

 一方で、未回答の所も含めて自局の範囲内でこういう状況だという意味では、労働局としても十分認識できる結果なので、それは今後の定期指導にもそういう点を重点的に見る等の対応をしていくべき話だと思います。

○松浦委員 もう 1 点です。今日、施行状況の調査報告をしていただいたのは、平成 27 年法改正について附帯決議があり、また、平成 24 年法改正についても労働政策審議会の建議等があるなかで、今後の法改正を見据えて 1 つの検討材料として出していただいたということでよろしいですか。

○松本課長 資料 2 3 4 という客観的な事実があります。一方、一般的に需給部会に随時施行状況を報告する責務があると承知しておりますので、今回は施行状況を報告いたしました。また、調査の手法や時期、まだ早すぎるからこういうことですよねという御指摘も頂戴しておりますので、その施行状況をより確実に把握して、問題点がある場合、御検討いただけるような準備を私どもとして、してまいりたいと思っております。

○松浦委員 分かりました。ありがとうございます。

○鎌田部会長 よろしいですか。

○松浦委員 はい。

○鎌田部会長 では、そういうことでよろしくお願いします。それでは、本日の審議についてはここまでとさせていただきます。議事録の署名は、村上委員、小林委員にお願いいたします。事務局から連絡事項はありますか。

○小川補佐 次回の部会の日程ですが、 9 15 ( )10 時から合同庁舎 5 号館 19 階の共用第 8 会議室で開催いたしますので、よろしくお願いいたします。

○鎌田部会長 以上をもちまして、第 242 回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会を終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)

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