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2016年10月4日 第1回地域における住民主体の課題解決力強化・相談支援体制の在り方に関する検討会(地域力強化検討会)議事録

厚生労働省 社会・援護局 地域福祉課

○日時

平成28年10月4日(火)17時30分~20時00分


○場所

厚生労働省 省議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館9階)


○出席者

原田 正樹 (座長) 相田 義正 (構成員) 朝比奈 ミカ (構成員)
井岡 仁志 (構成員) 大原 裕介 (構成員) 奥山 千鶴子 (構成員)
越智 和子 (構成員) 片山 睦彦 (構成員) 勝部 麗子 (構成員)
鴨崎 貴泰 (構成員) 菊本 圭一 (構成員) 櫛部 武俊 (構成員)
土屋 幸己 (構成員) 中 恵美 (構成員) 永田 祐 (構成員)
福本 怜 (構成員) 堀田 聰子 (構成員) 前田 小百合 (構成員)
横山 美江 (構成員)

○議題

(1)座長の選出
(2)検討の経緯等について
(3)論点(案)について
(4)その他

○議事

○金井地域福祉課長 それでは、ただいまから「地域における住民主体の課題解決力強化・相談支援体制の在り方に関する検討会」を開催いたします。

 委員の皆様におかれましては、本日大変お忙し中、御参集いただきまして、まことにありがとうございます。

 座長が選出されますまで進行を務めさせていただきます社会・援護局地域福祉課長の金井でございます。よろしくお願いします。

 それでは、開催に当たりまして、塩崎厚生労働大臣より御挨拶申し上げます。

○塩崎厚生労働大臣 きょうは、大変お忙しいところ、第1回目の地域力強化検討会という名前でスタートいたします、この会合にお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 拝見をいたしますと、本当に多種多彩というか、バックグラウンドもそれぞれ多様な方々にお集まりいただいて、まさに日本を代表するようなグループの多様性のある方々にお集まりいただいたわけであります。まさに、これからの日本にどういう新しいコンセプトの福祉あるいは地域での生活というものがあるべきなのかということを私どもとして考えていきたいと思っているわけですけれども、既に我々「地域共生社会」という言葉を使っておりますが、いってみれば新しい時代に日本がどう対応していけば、今、我々は「一億総活躍社会」と言っていますが、要は、多様な1億通りの生き方をする、1億通りの働き方をするような、本当にさまざまな方々が皆一緒に暮らしていける新しい社会を構築するためにどうしたらいいのかを考えて、今回、地域共生社会の実現に向けて我が事・丸ごと地域共生社会実現本部をつくって検討を進め、それも各局横断でやっています。それは、これまで「地域包括ケア」とよく言ってまいりましたが、地域包括ケアは一般的には高齢者向けの新しい仕組みと受け取られていると思いますけれども、地域でそれぞれ支援を必要とする人たちは高齢者だけではないわけですし、そもそも介護と医療、保険制度もそうですが、日本の場合はやや別々に来ていますけれども、人間は皆1人であって、ニーズもそれぞれのタイミングでいろいろ違ったり、支援を必要だと思われている高齢者が実は他の方の支援ができることもあるわけです。それは、認知症の方が発達障害の子どもさんと一緒に仲よくする、そのことが2人にとってそれぞれプラスになるみたいなことが幾らでもあるようなことに、改めて私たちは気づいてきているわけです。

 そういうことで、我が厚生労働省も老健局や雇用均等・児童家庭局とか縦割りになっているわけですけれども、それはいかがなものかということで、今回私どもの本部も各局みんな出てこいということで、一緒に考えてもらうことになっています。

一億総活躍社会づくりの中で総理がいつも高齢者も、若い人も、子どもも、障害を持っていても、持っていなくても、難病を持っていても、持っていなくても、失敗した人でも、失敗をしたことがない人でも、みんなそれぞれの能力いっぱいいっぱいに働けるインクルーシブな社会をつくっていこうということを言っているわけですので、これから地域力を強化しながら、そういった社会をつくっていくために皆様方にはどういうことを考えていただき、どういうことを私たちに政策としてやるべきなのかを御指導いただければありがたいなと思っています。

 今申し上げたような縦割りの福祉ではなくて、丸ごとの新しい福祉の考え方をもう一回再構築していこう。そのベースになるのは、やはり地域の力だろう。その地域をつくるということを改めてどうしたらいいのか、地域力をどうつくっていったらいいのかということが皆さん方にお願いしたいことですけれども、考えてみたら、何百年も前を振り返ってみれば、日本はもともと助け合いをしてきたコミュニティーをいっぱい持っていたわけです。最近は何かあるとすぐNPOと言いますけれども、別に外国から言われてNPOという名前をつけるまでもなく、いわゆるシビルソサエティと呼ばれるというようなものはもともとあって、お上がこれだと言うのが公益だというのは明治から始まったつい最近のことであって、もともと公益というのは日本には実際にあったし、それを実行してきた人たちは自然な形でいっぱいコミュニティーに接してきたということだろうと思うので、そういう意味では、いい意味の古いかつてのよき日本の原形も取り戻しながら、新しい時代にふさわしい地域力をどうつくっていったらいいのかということを考えていただきたいなと。

 そのときには、地域に住む人は地域の中でそれぞれの役割があったはずですけれども、いつの間にか行政とそれ以外みたいなことで、行政・お上が何かやってくれるのを待っているということになれてきた。また、お上はお上で、こっちがやらなければ何も起きるはずがないと思っていたりする大きな誤解をしているわけで、そういうこともゼロから考え直していただいて、皆様方にはどういうふうにしていったら本当に丸ごとの、例えば、総合支援の体制整備ができるのかというようなことをお考えいただきたいと思いますし、さっき申し上げたような縦割りで公的な福祉サービスだけが福祉サービスだということではなくて丸ごとに提供できるものも、既にこの中にも、そういうことを実際にやってくださっている方もおられるわけですけれども、サービスとかあるいは専門人材の養成を今後どうしていくのかというようなことも、一緒にお考えいただければありがたいと思っております。

 来年の通常国会に介護保険の改正案を出す予定で今、議論していただいております。それと平成30年には、去年から始まった生活困窮者自立支援制度の改正が予定されておりまして、厚労省としては我が事・丸ごとを今後の福祉改革を貫く基本コンセプトとして位置づけたいと思っておりますので、ぜひ、それぞれの御経験あるいは御知見を大いに生かして、我が事・丸ごとがなぜ必要なのか、そのために何をしなければいけないのか、基本コンセプトと取り組みの具体像をおまとめいただくことをお願い申し上げたいと思うわけです。

 これは今申し上げたように、来年の介護保険の改正に向けて実際に改正案をつくっていくわけですので、ぜひ皆様方の御検討も年内に一応の方向性を出していただくとありがたいなと思っていますので、それを来年の介護保険の改正に生かしていければいいなと。それで終わりなわけではもちろんありませんので、それ以外の問題についても、ぜひお考えをいただきたいと思います。

 いずれにしても、高齢化がこれからどんどん進み、今のところ少子化も同時並行で進んで、これは何とか早く戻したいと思っていますけれども、いずれにしても当分の間、少子高齢化が進むことを前提にして、我々としてはそれぞれ国民あるいは日本に住む人たちが納得できる生き方をそれぞれの生き方としてできるための体制整備をもう一回やりかえていきたい、そんな気持で今回の私どもの我が事・丸ごとの本部をつくっておりますので、ぜひ、そういうことで皆様方の御経験と実際にやっていらっしゃることをベースに、新しいコミュニティービルディング、そしてまた地域力をどう強化していったらいいのか、皆様方のお力をおかりできればありがたいと思います。

 ちょっと長くなりましたが、そういう思いを今、省内挙げて皆持っておりますので、ぜひ御一緒に新しい日本をつくるためにお力をおかしいただければありがたいなと思いますので、よろしくお願い申し上げて冒頭の御挨拶にさせていただきます。よろしくお願いいたします。


○金井地域福祉課長 ありがとうございました。

 塩崎大臣はこの後も御公務がございますので、ここで退席されます。


(塩崎厚生労働大臣 退室)


○金井地域福祉課長 それでは、カメラの方は、ここで御退席をお願いいたします。

 これから委員の皆様を御紹介申し上げます。50音順に御紹介させていただきます。

 板橋区民生児童委員協議会会長、相田義正様。

 中核地域生活支援センターがじゅまるセンター長、朝比奈ミカ様。

 高島市共同募金委員会事務局長、井岡仁志様。

 社会福祉法人ゆうゆう理事長、大原裕介様。

 特定非営利活動法人びーのびーの理事長、奥山千鶴子様。

 社会福祉法人琴平町社会福祉協議会常務理事・事務局長、越智和子様。

 藤沢市福祉部長、片山睦彦様。

 社会福祉法人豊中市社会福祉協議会福祉推進室長、勝部麗子様。

 日本ファンドレイジング協会事務局長、鴨崎貴泰様。

 特定非営利活動法人日本相談支援専門員協会代表理事、菊本圭一様。

 一般社団法人釧路社会的企業創造協議会副代表、櫛部武俊様。

 公益財団法人さわやか福祉財団戦略アドバイザー、土屋幸己様。

 金沢市地域包括支援センターとびうめセンター長、中恵美様。

 同志社大学社会学部社会福祉学科准教授、永田祐様。

 毎日新聞論説委員、野澤和弘様。野澤様は若干遅れて出席の予定です。

 日本福祉大学社会福祉学部社会福祉学科教授、原田正樹様。

 下関市保健部長・下関市立下関保健所所長、福本怜様。

 島根県中山間地域研究センター研究統括監、藤山浩様。藤山様は、きょうは御欠席でございます。

 国際医療福祉大学大学院教授、堀田聰子様。堀田様は、きょうは途中で退席されます。

 三重県立志摩病院地域連携センター長、前田小百合様。

 武蔵野市健康福祉部高齢者支援課主任第一層生活支援コーディネーター、横山美江様。

 委員の方は以上でございます。

 次に、事務局を紹介いたします。

 まず、社会援護局より、定塚由美子社会・援護局長。

 社会・援護・人道調査担当、中井川誠大臣官房審議官。

 藤原朋子総務課長。

 本後健生活困窮者自立支援室長。

 新垣真理課長補佐。

 次に、我が事・丸ごと地域共生社会実現本部ワーキンググループのメンバーを紹介します。

 老健、障害保健福祉担当の坂口卓大臣官房審議官。

 山本麻里内閣官房内閣審議官。

 伊原和人年金管理審議官。

 総合政策担当の政策統括官室より野崎伸一政策企画官。

 以上でございます。

 それでは、議事を進めてまいりたいと思います。

 冒頭、座長の選出を行いたいと思いますが、どなたか御推薦等ございますでしょうか。

 永田委員、お願いします。


○永田委員 この会議に関して、このテーマ、住民参加や地域福祉計画に大変お詳しい、また、現場のことにも精通しております原田正樹委員を推薦したいと思います。


○金井地域福祉課長 ただいま原田委員を座長にという御発言がございましたが、原田委員に座長をお願いすることでよろしいでしょうか。


(拍手起こる)


○金井地域福祉課長 ありがとうございます。

 それでは、原田委員には座長席にお座りいただきまして、以降の議事進行について座長にお願いしたいと思います。

 原田座長、よろしくお願いします。


(原田委員、座長席へ)


○原田座長 今、座長に選任されました原田正樹と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 この検討会では、大臣から今お話がありました、我が事・丸ごとという新しい地域共生社会を実現していくために、特に基本的なコンセプトと具体的な取り組みという御指示をいただきました。これからの地域福祉やあるいは総合的な支援のあり方について、皆さんと考えていくわけですけれども、一方では御案内のように、地域そのものは差別や偏見や排除というとても厳しい状況があったり、あるいは人口減少や、あるいは社会的孤立、生活困窮が進行する中で、課題を挙げたら本当にたくさん山積しているわけです。こういった課題は課題としてしっかりと我々は踏まえながら、一方で、これからの支援のあり方、あるいは支え合う地域社会をどうつくっていくか、少しでも希望のある議論をさせていただく中で皆さんと形をつくっていきたいと思っております。皆様方の御協力を賜りながら、本検討会の使命を果たしていきたいと思っておりますので、どうぞお力添えいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 では、早速ですけれども、本日の議論に入っていきたいと思います。初回ですので、いろいろ資料をいただいております。まずは資料説明を事務局からお願いいたします。


○本後生活困窮者自立支援室長 それでは、資料について短い時間になりますが、御説明させていただきたいと思います。既に御存じの資料も多いかと思いますので、駆け足の説明になりますことを御容赦いただければと思います。

 まず、資料1でございます。これは検討会の要綱でございますので、説明は省略させていただきます。

 続きまして、資料2、本検討に関する経緯でございます。1ページ、2ページをお開きいただければと思います。この検討は福祉の各分野が関係してきますので、各制度の変遷について整理したものでございます。高齢、障害、児童ともサービス提供体制の充実とともに、相談体制の充実も進められております。

2013年には、生活困窮者自立支援法が成立しております。一番右、社会福祉・地域福祉につきましては、1997年からの社会福祉基礎構造改革で検討が進められまして、当時の社会福祉事業法の改正により、地域福祉の推進ですとか、地域福祉計画の規定が盛り込まれました。このような流れを経まして、昨年の新たな福祉の提供ビジョン、今回の地域共生社会につながっていくということでございます。

 3ページが、昨年の新たな提供ビジョンの概要になります。本検討会のスコープといいますと、左上の包括的な相談支援システムになります。

 4ページ、同じく新たな福祉の提供ビジョンから全世代・全対象型地域包括支援体制という考え方をお示しした資料でございます。

 5ページ、このビジョンを受けまして、本年度から多機関の協働による包括的支援体制構築事業が始まっております。多機関の協働による包括的な相談支援システムと、地域における新たな社会資源の創出を図るものでございます。現在、26自治体でスタートしております。

 6ページ、具体的な対象像をお示しした資料でございます。相談支援包括化推進員が多機関と共同しながら対応していくものでございます。

 続きまして7ページ、ニッポン一億総活躍プラン、新たな福祉の提供ビジョンを受けまして、方向性より明確にしております。先ほど大臣の挨拶であった部分も7ページ真ん中辺りに抜き出しで記載しております。

 8ページが、地域共生社会実現の本文部分でございます。

 9ページが、同じく一億総活躍プランのロードマップでございます。赤字の部分が本検討会の対応部分ということになります。新たな福祉の提供ビジョンと比較しますと、小中学校区と市町村を書き分けております。さらに、小中学校区では住民が主体にという要素、いわば我が事の要素を盛り込む形で方向性をより具体化していくということでございます。

10ページ、これを受けまして7月に省内に我が事・丸ごと地域共生社会実現本部を立ち上げました。本検討会は、左側にあります地域力強化ワーキンググループの検討に関するものでございます。

11ページ、我が事・丸ごとの地域づくりの全体の中で、地域づくりということで赤字の部分が本検討会のスコープということになります。

12ページは概算要求ですが、該当する予算を来年度予算の推進枠で要求しているということでございます。

13ページは、ニッポン一億総活躍プランの内容、概算要求のイメージを図にしたものでございます。小中学校区における我が事・丸ごとの課題把握・解決と、それをしっかりバックアップする市町村における多機関の連携による相談支援体制をお示ししております。

14ページは、これから御検討いただく際のイメージとして、圏域の大きさごとに相談支援体制、地域力強化に係る主体を整理してございます。一番小地域の自治会、地区社協運営組織、民生委員・児童委員、これらはまさに住民が暮らす場であり、課題を持つ世帯・人を把握する場所であるとともに、住民主体の解決の実際の中心的担い手になる方々と言うことができると思います。

 小中学校区の中地域という圏域では、地区社協あるいは地域運営組織のように、住民主体の相談の場があるところもありますし、地域包括支援センター、第2層の生活支援コーディネーター、障害の相談支援事業所、利用者支援事業、地域子育て支援拠点のように、専門職も含めた職員が配置されている相談機関として一番住民に近い場所。地域住民の課題の把握・解決のために、さまざまな主体が活動している場ということが言えると思います。

 市町村単位になりますと、社会福祉協議会、保健所、障害の機関相談支援センターのほか、子育て世代包括支援センター、ひとり親家庭子育て相談、福祉事務所、さらには制度横断的な相談に対応する場としての生活困窮者の自立相談支援機関などがございます。さまざま公的機関が整備されているということでございます。

 さらに、一番右、社会福祉法人、NPO、生協などがそれぞれの地域で活躍していると。こうした機関が有機的に連携しながら、包括的な相談支援体制を形づくっていくことになろうかと思います。

15ページ、今般の検討で生活困窮者自立支援のあり方ですとか、生活保護についても社会・援護局で検討を進めております。御参考でございます。

16ページは、全体の流れでございます。大臣の挨拶にもありました、平成29年の介護保険法の改正、平成30年の生活困窮者自立支援制度の見直しがあります。こうした福祉関係の見直しの中で、我が事・丸ごとを基本コンセプトとしていきたいということでございます。

 資料2の御説明は以上でございます。

 続きまして、資料3についてでございます。これは、これから御議論いただく参考といたしまして、大きな論点と議論の題材として、それに関する考えの例ということでお示ししております。

 まず、1ページでございます。全部で6個ありますけれども、論点1「今後の福祉ニーズを踏まえて、住民の立場から見て『目指すべき地域』とはどのようなものか」ということで括弧の中に考え方の例をお示ししております。

 続きまして2ページ、論点2「なぜ『小中学校区等の住民に身近な圏域で、住民が主体的に地域課題を把握して解決を試みる体制』が必要なのか」ということでございます。括弧書きで考え方をお示ししております。

 3ページ、論点3でございます。「『目指すべき地域』のために、地域においてどのような機能が必要か」ということで、これも括弧の中で考え方の例をお示ししております。

 4ページ、「多機関の協働による包括的支援体制をどのように作っていくか」ということでございます。

 論点5、6でございます。論点5「地域において課題を解決するための取組の一環として『寄附文化の醸成』をどのように考えるべきか」。

 論点6「地域課題の解決力強化と総合的な相談支援体制づくりを全国展開するうえで留意すべきこと等は何か」。こういった論点について御議論をいただきたいと考えているところでございます。

 続きまして、関連する資料といたしまして、資料4「今後の進め方(案)」でございます。まず、本日ですけれども、今御説明した論点案について、各構成員の皆様から御自身の取り組みも踏まえて全般的な意見をちょうだいした後、論点1の御議論をいただければと思っております。

 次回1018日は論点2~4について、そして次々回、第3回までで論点を一巡したいと思っております。

 大臣の挨拶にも年内に一定の方向性をということでございましたので、第4回で一旦、中間とりまとめに向けた御議論をしていただきたいと考えております。この議論を通じまして、地域における住民主体の課題解決力強化、相談支援体制の基本コンセプト、具体的な取り組みについて、まず整理していただきたいと考えております。

 その後、これ以降は年明けになろうと思いますが、さまざまな論点について引き続き御議論をいただきたいと考えてございます。

 説明は以上でございます。


○原田座長 ありがとうございました。

 まず、今の資料につきまして御質問ありますか。たくさんの資料を今、御説明いただきましたけれども、ここだけは確認が必要だとか、よろしいでしょうか。では、また何かあれば随時質問をいただくということで進めてまいりたいと思います。

 今、事務局からありましたように、きょうは最初の委員会ですので、今示された論点1~6全体像について、少し自由討議をしていきたいと思っております。20時までという時間の制限がありますけれども、自由討議の後、その中からきょうは論点1をその後少し絞ったところで御議論いただいて、次回、次々回につなげていきたいという形で進めてまいりたいと思います。

 今日は今言いましたように初回ですので、皆さんのお手元に委員提出資料というものがあります。それぞれの委員の皆様方に事前に論点について自由に議論をいただきたいということで、資料を提出していただいておりますので、まずは少し自己紹介も兼ねてということになりますけれども、今回だけはお一人ずつ順番に御発言をいただきまして、全体像について議論をしていきたいと思います。ただ、これだけのメンバーですので、1人4分という制限をつけてお話をいただきたいと思っています。4分のところで事務局からちょっと合図していただくようにお願いしてありますので、そのぐらいの時間配分で、まずは全員に報告をいただいてと思っております。

 委員資料をごらんいただきますと、冒頭に御説明がありましたが、きょうは堀田委員が御都合で先に御退室ということなので、まずは堀田委員にトップバッターで御発題をいただきまして、その後はあいうえお順、委員会の資料順で御報告を賜りたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。そんなこと聞いていなかったよとおっしゃらずに、よろしくお願いしたいと思います。

 では、トップバッターで恐縮ですけれども、堀田委員からよろしくお願いいたします。


○堀田委員 こんばんは。まさかのトップバッターですけれども、お話をさせていただきたいと思います。

 今日の会議のメンバーを拝見しますと、全国のコミュニティーソーシャルワークの本当にすばらしい方々が多くいらっしゃると思いましたので、あえて少し違う話題ということでお話しさせていただきたいと思います。

 まず自己紹介ですけれども、特に人間中心で持続可能なケアと地域づくりということで、とりわけ担い手に焦点を置いた形で私自身も中学校以来ずっとケアの担い手でもあるのですけれども、狭い意味でも担い手でもあるのですが、国内外各地さまざまな取り組みを見せていただきながら、その進化を加速する枠組みを考えるといったことをやっております。

 そういう中で今日の話題ですけれども、ちょうど昨日夕方ここで医療のあり方の話をしていたのですけれども、地域包括ケアシステムを考えたときに、循環する医療介護サービス提供体制というものと、住民中心・人間中心の生活支援とまちづくりという2つの軸を考える必要があると思っているのですが、地域共生社会を考えるときにも、改めて循環ということを1つのキーワードとして考えていく必要があるのではないかと思っています。今までの共生は、比較的福祉の切り口から論じられるところが大きかったのではないかと思うのですけれども、既にさまざまお話があったところだと思いますが、地域自体の存続を考えたとしても、地域経済の循環を含めた共生を広くとらえていく必要があるのではないかと思います。

 例えば、WHOのエイジフレンドリーシティーなどでも8つ要素がありますけれども、福祉の切り口からすると、町全体の共生というところになかなか行き着かないところがあると思いますので、あえて人と自然のつながりをベースにしながら、人と人、分野、世代、地域を超えるということをこの議論のときに重視する必要があるのではないかと思っています。

 お示ししていますのは私がつくったものではなくて、作り手が資料の下の方にありますが、滋賀県の東近江市、人口12万人ぐらいのところですが、魅知普請曼荼羅(みちぶしんまんだら)と呼ばれている、御存じの方も多いのではないかと思いますけれども、まさに持続可能なまちづくりということで、これは世界的に共通ですが、要素として風土、エネルギー、ケア、FECの自給圏を目指して、行政にぶら下がらずに手をつなぐおもしろさを知って、プラス志向で進めていこうということで、物語を共有しながら、その物語への参加を促しながら、そして、右下に狭い意味でのケア、医療や介護や福祉というものがありまして、左上に環境や職があったりするのですけれども、制度でファイナンスされているのはこちらの方で、地域全体の自給圏ということを考えると、こちらのお金をこちらにどう流していくか、地域全体の資源、課題の持続可能性を高めるということからすると、この人たちが大きな物語を共有しながらお金も巡っていくというような仕組みを考える必要もあるのではないかと思っています。

 そういう意味で、今回の論点でいくと主に3のところに来るのかなと思いますけれども、改めて地域経済の循環、コミュニティー経済ということも考えながら、生産のコミュニティーと生活のコミュニティーを再び融合するといった視点で捉えていくことを通じて、全ての人にとって居場所・出番がある地域につなげていけないかなと思っております。

 以上です。


○原田座長 ありがとうございました。

 それでは、相田委員、よろしくお願いいたします。


○相田委員 私は、民生・児童委員の立場で参りました。パワーポイントのほうは非常に長いもので4分ではとても終わらないということで、プリントアウトしたものが資料で配られておりますので、後でごらんいただきたいと思います。お話しするのは4分にまとめてまいりましたプリントアウト2枚ものでございます。

 この検討会に所属されている委員の皆様を拝見しますと、非常に組織立った方々の代表者ということでございます。ところが、ただこの中で異質な民生・児童委員協議会という、これは非常に実体のない団体と言ってもいいのではないかという、個人営業の23万人の民生委員から成り立っている組織でございます。来年で、民生・児童委員制度は創設100年、児童委員制度は70年、主任児童委員制度が20年を迎えます。民生委員は戦争、災害、不況等いろいろな時代の変化に順応して、名前のとおり住民の生活に関する貧困、生活困窮、障害、疾病とあらゆる課題に向き合いながら、生活弱者の救済の援助に今まで取り組んできたわけでございます。そして、児童委員というのは児童が心身ともに健やかに生まれ、育成されるように児童、妊産婦、母子家庭などの保護・愛護という福祉活動から、児童の健全育成、虐待の防止に携わっております。

 これまでも、今も、社会的なハンディーキャップというのは非常に複合的な性格を持っていて、その複雑な問題の解決には、多岐にわたる制度や専門職の存在が必要であると思います。近代は非常にいろいろな技術が進歩してまいりまして、医療に限らず、あらゆる分野において専門家が求められて、実現されてきました。現在、数多くのNPOさんや福祉団体が存在しており、彼らの長所というのが特定の分野の知識と活動に特化しているという点であろうと。これが非常に大きな資源になっていると思います。

 翻って、私たち23万人の民生・児童委員を考えますと、一人一人は特別な能力を持っているわけではないということです。もし、現在が過去と大きく変わってきたと仮定するならば、先ほど大臣も言われましたように、こういうときこそ今まで100年継続してきた民生・児童委員制度を活性化させることが住民の望む地域づくりになっていくのではないかと考えております。

 なぜならば、23万人の民生委員、その人こそが望まれるはずの地域に根づいて住んでいる人間だから、何でもよく知っているということです。100年の歴史の中では方面委員と呼ばれていた時期もございます。これは、その地域を見なさいよ、ケアしなさいという考え方だったということです。民生委員法で定められているように、地域住民のニーズを的確に掴んで、今こうやって縦横無尽に張りめぐらされた新しいすばらしい福祉のネットにつなげていくのが私たちの仕事でございます。守秘義務を持って無償の地域の相談役としての民生・児童委員の信頼というのは非常に厚いものであると自負しているところでございます。したがいまして、厚生労働省を初め各都道府県においても、民生・児童委員の認知度、充足率の向上に努めていただければ、大臣の言われました我が事・丸ごとの地域共生社会の実現を進めることができるのだろうと思います。

 行政、社協、地域包括そのほかの皆さん、ここにいらっしゃる団体、そして、私たち民生・児童委員が連携することによって、私たち民生委員が吸い上げてきた地域の情報をうまく利用していただくことで、効率的な地域の横断的なネットワークを構築することができて、それが、住民が求めているものになるのではないかと思います。

 以上でございます。


○原田座長 ありがとうございます。

 それでは、続いて、朝比奈委員、お願いいたします。


○朝比奈委員 中核地域生活支援センターがじゅまるの朝比奈と申します。本日、私の仕事の基盤になっている中核地域生活支援センターに係る資料を持参しませんでしたので、次回以降、資料として御提供させていただきたいと思います。

 中核地域生活支援センターは平成16年に千葉県が設置しました。どんな人からのどんな御相談にも24時間365日対応するという総合相談事業を担っております。私は、総合相談事業に携わってきた立場から、何点か問題提起をさせていただきたいと思います。

 まず、こちらに書かせていただきました社会的な背景、状況です。中核センターに持ち込まれる御相談というのは関係機関を通じてが多いのですけれども、その人がどういう人なのかがよくわからない、アセスメントが困難な方々が中核センターの相談につながってきます。その背景には、こうした縁が薄くなってきている状況というのがあって、例えば一方では、私どもの地域のホームレス支援団体は200人、300人の方々の保証人を引き受けています。今アパートに入るのには保証会社との契約がほぼ必須という状況になりまして、そうしたすき間産業がふえているという状況にも着目しておく必要があるかと思っております。社会保障の制度は申請主義になっていますので、だれがつないでいくかということになってこようかと思います。

 先ほどの資料なども拝見しておりまして、ベースが身近な地域、市町村から、さらに小学校区、中学校区と組み立てがされていますけれども、一方で、若年層や現役世代は仕事を求めるために、または暴力から逃げるために広域で移動しております。こうした人たちのニーズをどうキャッチしていくかということも考えておく必要があろうかと思います。

 相談支援をめぐる状況の中では、障害者手帳をとる意識やチャンスのなかった方々、障害のボーダー、グレーゾーンの方々のニーズが取り残されているということを痛感しております。いろいろな窓口に相談に歩かれているのですけれども、その存在に気づくことがなくて、例えば、あの人が言っていることは本当ではないとか、何を言っているかわからないとか、場合によっては嘘をついているといった理由で相談から遠ざけられてしまっている状況があろうかと思います。こうした方々のニーズをどうキャッチするかは、相談に携わる従事者の問題にもかかわってこようかと思います。中核センターはベースに障害の相談支援のノウハウ・スキルを活用してまいりました。障害者支援の汎用性は非常に高いと考えております。

 それから、どの相談機関でも複雑な問題を抱えた相談者がふえてきているのは皆さん御承知のとおりです。私どもは必ずしも的確に相談に対応できるから受けてきたわけではなくて、どうしたらいいかわからないという御相談についても一緒にかかわるというところから、その問題を社会化するというふうにつなげてきたと考えています。そのあたりを今後の仕組みづくりに生かしていただきたいと思っております。

 身近な地域の中だからこそ声を上げにくいニーズ、例えば、家庭内での暴力や犯罪、戸籍の問題は、最近では性別ですね。地域の中で声を上げると、逆に排除や差別の対象になってしまうというニーズがあるのではないかということも指摘しておきたいと思います。

 それから、生活困窮者支援の相談事業でも、働いていない方からの御相談と同じくらい、今、働いているけれども、さらに収入をふやす必要があるという方々からの御相談、特に不安定雇用の方々からの御相談がとても多くなってきています。平日の日中にしか窓口が対応しなければ、この方々のニーズは排除されていくことになります。

 個別の相談ニーズに対応していくだけでは限界があることは、皆さんも恐らく御理解いただけると思います。グループワークやコミュニティーワークに広げていくというところが、まだ不十分です。

 相談支援のニーズはどんどん変わっていきます。中核センターの12年の歴史の中でも、当初は障害が中心で、その後貧困の問題に移って、これからは家庭の基盤の弱い子ども・若者に着目していかなければならないと思っています。新しい課題を特定してしまうのではなくて、柔軟に受け止めていくための相談事業が求められていると考えております。

 私からは以上です。


○原田座長 ありがとうございます。

 それでは、井岡委員、お願いします。


○井岡委員 高島市共同募金委員会の井岡と申します。よろしくお願いいたします。15ページの横向きの資料になっております。

 まず1つ目、住民主体による地域課題の解決力強化・体制づくりのあり方につきましては、高島の事例から御報告させていただきますけれども、人口減少や過疎・高齢化が非常に進んでいる高島市では、支援をベースにした自治会単位というのが1つの助け合いの基本となっております。自治会には福祉推進委員会という助け合いの組織がありますが、そういった中でサロン、見守り、生活支援という活動の発展を社協が支援しているという形になっております。

 また、活動が発展する自治会というのはピンク色の右上になりますけれども、交流力、合意形成力、課題発見力というのがあって、その上で地域のつながりを大事にしながら、その中から課題を発見していく力というのが地域の中で育っていっているのではないと思っております。

 次に、市町村による包括的な相談支援体制の整備のあり方、これは圏域ごと、市域だけにそういった相談支援体制があればよいということではなくて、自治会域、旧町村域、市域、高島の場合は3層になっておりますけれども、それぞれの住民が話し合う場と、そこに専門職が参加していく、そういう協働関係の構築というのが各圏域にあることが非常に重要ではないかと思っております。

 それから、私は今回、共同募金委員会からですので、特に3番目の寄附文化の醸成に向けた取り組みでございますけれども、共同募金は運動が始まって今年70年を迎えております。国民の本当に多くの方が共同募金、赤い羽根というのは御存じだと思いますが、寄附を通した助け合いの仕組みとしては、住民主体の活動を支える財源として今後も重要な役割を果たすものであると考えております。一体何に使われているのかがわからないというお声をよく聞くわけですけれども、これは市町村によってばらつきがあると思うのですが、集まったお金の約7割が地域で活用されているというところが、まだまだ伝わっていないのではないかという課題もあります。

 各都道府県や市町村においては、共同募金の募金額がどんどん減少してきているという課題もある中で、共同募金改革も進めております。高島市でも社協がその事務局を持っておりますけれども、共同募金委員会、特に理事会を独立させまして、共同募金の専任職員を配置して、住民が参加した共同募金改革アクションプランの作成や、あるいは「赤い羽根たかしま見守り募金」と書いてありますけれども、見守りネットワーク活動を応援するテーマ型募金、こういったものも全国的には今非常に取り組みが広がってきているということもございます。

 共同募金というのは共同募金運動ですので、運動としてどう共同募金を進めていくのかということが今非常に重要になってきているわけですが、地域の課題は一体どういった問題があるのか、また何を解決していかなければいけないのか、そういったことをしっかり話し合う場、そしてまた、それを市民の皆さんに知っていただいて、共感による寄附を集めていく。それを助成して地域の住民あるいは民間団体、NPOなどがその課題解決に当たっていく。そういうサイクルをしっかりつくっていく、循環をつくっていくということが、これからとりわけ市町村という範囲の中で重要になってくるのではないかと思っています。

 一番下に、市民参加の「市町村共同募金委員会」と書いてありますが、こういった市町村域での共同募金運動・活動が、今後ますます重要になってくるのではないかと思っております。

 私からは以上となります。


○原田座長 ありがとうございます。

 続きまして、大原委員、お願いします。


○大原委員 北海道当別町から参りました、大原と申します。

 当別町は、今1万7,000人の全国的には比較的小さな町です。15年前は2万人の人口がいましたが、3,000人の減少ということで、かなり人口減少が著しい町です。私は実は、その町にあった大学を卒業しまして、ボランティアセンターをつくって町の方のお役に立とうということで、何でもしますということをしました。その中で最も僕らが印象的だった声に基づいて、障害のある方のケアを進めたのですが、障害のある方向けにつくったサービスが実は御高齢の方やお子さんたち、さまざまな事情を持った方々が使ってくれるということを15年前にスタートした段階に感じまして、こういうスケールの町でサービスを区切ってやっていくということは、とても効率的ではないなと思いました。

 その後NPOをつくりまして、障害者は制度に基づく事業、それ以外の方々はボランティアベースということでやってきましたが、残念ながら二足のわらじでやり続けるのは難しくて、インフォーマルでやっていた部分は住民の方を頼りにすることにしました。ですけれども、ほとんど協力者は集まらないと。なぜかというと、福祉のロジックで御説明し、御提案していった。こういう困っている人がいるので、こういう大変な人がいるので助けてほしいと。結局、僕らの理屈だけでいろいろな人を巻き込もうとしているということに気づかされまして、住民の方一人一人が持っている事情があって、地域を愛している方もいれば、空いた時間を有効的に使いたい方もいれば、自分の御親戚にいろいろな事情を持った方もいます。もっと私たちの契機になったのは、商工会や建設業者などさまざまな商売をやっている方を仲間に取り入れたことにあります。僕とつき合えば儲かりますと言いました。福祉を慈悲的に慈愛的に奉仕するのではなくて、福祉というものにしっかりコミットしていけば、商売も潤い、ひいては人口減少していく中で、私たちは若い人たちを雇用し続けますといった説明をして、きのうもそういった関係者の方々と会席を設けていたのですけれども、どうも福祉のことを福祉だけで完結すると広がりがなくて、そこにいろいろなことを我が事で思ってもらえるように、その方々の立場に立って提案しているかということが私たちには欠けているような気がしましたし、気づかされました。

 そういう意味では、先ほど堀田委員の御意見にもありましたけれども、小さい町ですから地域の衰退、経済、基幹産業である農業もどんどん衰退していきます。ですけれども、そこに福祉のセクターがかかわることで、現状を維持したり、場合によっては発展的に地域をつくり上げることもできると。福祉とつき合うということが、地域へどう前向きなデザインを果たしていくのかを提案していくことがとても必要なのではないかと。構想を語る力、これは福祉の困っている人を助けるということではなくて、地域で福祉に力を入れることで、どれだけこの自治体が前向きになるのかといったことを語れる力が必要かなと思っていますし、国でもそういう方針を示していただくことが後押しになるのかなと思います。

 もう一点、ちょっと違う観点なのですが、論点を見させていただいてずっと悩んでいたのですけれども、出てきた答えはやはり人だなと思いました。いくら優れた仕組みやスキームがあっても、ここに人がいなければ機能しない。それは充て職で、専門職で資格を持った人を置いても多分動かない。機能を動かすためにどういう人が要るかという論点に立ってここを整理していかないといけませんし、全国モデル展開という観点からいえば、カリスマやスーパーマンを育てるということではなくて、押しなべて底上げできるような人材をどういうふうにつくっていくのかといった議論が最も必要とされるのではないかと思います。

 以上です。


○原田座長 ありがとうございます。

 では、奥山委員、お願いします。


○奥山委員 私のほうも資料をつけさせていただいております。NPO法人びーのびーのの奥山と申します。横浜で子育て支援にかかわって16年目になります。

 いわゆる地域子育て支援拠点事業、これは御存じない方もいらっしゃるかもわかりませんけれども、幼稚園や保育園に入園する前の子どもと、その保護者が集える場です。制度ができて十何年かになります。多分、高校生、大学生はこういった場所を利用しないで大きくなっていらっしゃると思います。利用者の最年長で中学生ぐらいです。

 もう一つ、にっぽん子育て応援団の企画委員をしておりまして、そちらでちょうど今回のテーマに近い地域まるごとケア・プロジェクトというのを立ち上げまして、子育ての分野から地域を見て、包括的の中に子育て分野も入れてほしいということで、報告書を添付させていただきましたので、後ほどごらんいただければと思います。

 私自身は東北の出身で、横浜で子育てをするというときに一番困ったのは、地域との関係でした。仕事をしているときには、本当に会社とスーパーと家を往復するだけ。地域というのはどうとらえたらいいのかわからないという状況でした。ただ、私自身も田舎育ちです。自分が育ったときのことを考えますと、やはり地域に子どもを知っている方がたくさんいることというのが子どもにとってきっといいだろうということで、私自身も地域活動をするようになりました。

 地域子育て支援拠点は親子が集う場所ですので、親が地域に足がかりをつけられる場所でもあります。ですので、私たち支援者側が地域とつながりを持つことで、お母さんたち、お父さんたちを地域のいろいろな活動につないでいくことができると感じております。若い世代は非常に流動的です。私たちが子育てする場所はここかなということで、まず仮の住まいだと思います。結局、家を買うか、もしくは定住するか決めるのは小学校に上がるときということなんです。ですので、地域をとらえるときにある意味若い世代も覚悟を決めて、ここで子育てをしていこう、この土地で生きていこうということを半ば決めるのが、そういう時期ですので、そういう意味では、乳幼児期に地域の方とのかかわり、相談ができるかかわりといったものをつくっていくというのが非常に重要だと思って活動しております。

 ここに「『つながり』をつくり、アウェイをホームに変える地域子育て支援拠点には、大きな力がある!」と3ページ目に書かせていただきましたが、拠点の利用者は70%以上、母親が自分が育った市区町村以外で子育てをしている方の御利用なんです。だからこそ、ここで地域とつなぐ意味があると思っております。気兼ねなく子どもを預けられるという人たちは3割ぐらいしかおりません。そういった中での子育てのスタートとなります。

 今回、子育て分野にはこういった拠点事業のほかに、利用者支援事業というのが入りました。これは、利用者の立場に立って相談を受けていくというような機能です。

 イメージとしましては、最初は知り合いもいないし、どうしたらいいか不安だという保護者、親子が、いろいろな方とのつながりの中で知り合いも増えて、うまく支援を活用して何とかやっていけそうと思っていただけるように、利用者支援の専門員が身近な場所にいるというものです。子どもの分野にも、やっとこういった事業が出てまいりました。特に特徴的なのは、いわゆるフォーマルな支援だけではなくて、インフォーマルな活動も使っていいということです。まだ始まったばかりの事業ですけれども、障害や高齢や、丸ごと生活困窮者支援等々、そういった中で子育てにもその入り口ができたというところで、今後は既にある地域の中の相談機能と私たちの利用者支援事業の機能と連携しながら、仲間に加えていただければうれしいなと思っております。

 最後のパワーポイントですが、地域力強化の必要性として、地域の循環を入れさせていただきました。支えられる者から支える者へ、つまり子育て世代が支えられることで地域の担い手になっていく可能性。それから、お互い様の支援関係、支える側でもあり、支えられる側でもある。こういったものも子育ての分野から一緒に考えていきたいと考えております。

 以上です。


○原田座長 ありがとうございます。

 続いて、越智委員、お願いいたします。


○越智委員 私は、社会福祉協議会の職員でございます。社会福祉協議会は、全国の市町村または県、国ということであるわけですけれども、今、社会福祉協議会はまさに地域福祉を進める組織と言われていますけれども、私どももそうなのですが、高齢者が大変多うございますので、介護保険に取り組んで、社会福祉協議会は高齢者の問題を対応するところという位置づけで住民の方にすごく見られるんです。来年4月から始まろうとしております新しい総合事業につきましても、今回の論点の一つであります住民主体で地域課題を解決したり、体制をつくると言われても、何で住民なのということになってしまうんです。特に、介護保険などは保険料を納めている、そこでサービスが利用できるはずなのに、なぜ今回、要支援が切り捨てられて、住民でという話になってくるのか、やはり住民の立場からいくと納得がいかない。個々のケースの中で住民の方から、十分な情報が伝えられていないということを随分訴えられてきます。

 とは言いながらも、これから社会の中で住民それぞれが主体になって、それぞれの立場から自分の生活をどうつくり上げていくか、また、自分がどういう人生を送っていくのかということをしっかり最後まで考えていただきたい。これは一つ一つの事例の中でも我々も切に願っているところで、そのためには、20ページにも書かせていただきましたけれども、町村の場合、地域福祉計画の策定率がまだまだ上がっておりません。都市部では地域福祉計画または活動計画が策定されていると思いますけれども、町村になるとなかなかそれが義務化されていないということで、それぞれの障害者計画なり子育て支援計画なりというのはあっても、地域福祉計画として包括的にその地域の福祉を推進するというところが抜け落ちているようなきらいがあるのではないかと思っております。ぜひ、そこを義務化していただくとともに、活動計画も一緒に住民の活動を位置づけていける、そういう取り組みをこうした中で、ぜひお願いしていきたいと思っております。

21ページを開いていただきますと、今、琴平町で社会福祉協議会が取り組んでいるネットワークのつくり方ですけれども、地域の人たちに本当に自分たちがしっかりとお互いに支え合いながら生きていくというネットワークを住民の中につくっていく、お互い一人一人の生活を支えるシステムをつくる、そのときには財源も一緒につくるよということを私どもは訴えかけています。そういう意味で、琴平町は特産品を活用しまして、ガーリックオイルをつくって販売して、その財源を地域福祉財源として地域の方にも御協力をお願いしながら、いろいろな活動に生かしているということでございます。ただし、住民だけでなく、やはり一人一人を支える専門職のネットワークが要るということで、特に高齢者の場合ですと医療とのかかわりが非常に強くありますので、もう19年ぐらい続けておりますが、医療・保健・福祉関係者連絡会と事例を共有化しながら、一人一人の人たちを支えられるバックアップができるというところをつないでいく、それが社協の役割と考えて、こうしたネットワークで地域の包括ケアを目指しているところでございます。

 近年は後見という問題が出てきましたので、弁護士の先生や司法書士の先生方にもこうしたネットワークの中に加わっていただいて、専門職のバックアップの中で住民がそれぞれの役割を担っていくと考えているところでございます。

 ただ、下にありますように、田舎の町ですから自治会が基盤になります。ところが、自治会が今大変厳しい状況になっております。ひとり暮らしになると自治会の中で役割が果たせないということで、自治会が非常に脆弱化してきている。けれども、ここのところをしっかりと下支えしながら、できれば広域的な取り組みも含めた地域福祉を推進していくことが重要になるのかなと思っております。


○原田座長 ありがとうございます。

 続きまして、片山委員、お願いいたします。


○片山委員 藤沢市の片山でございます。よろしくお願いします。私は行政の立場からお話をさせていただきたいと思います。提出資料の22ページ以降、何枚かスライドを用意させていただいていますが、まず、資料からは離れまして、今お話がありましたような地域福祉に私も触れたいと思っています。

 改めて地域福祉という言葉、私もこだわっていきたいと思っているのですけれども、この地域福祉はさまざまな歴史が当然あります。これまで諸課題については語り尽くされてきているとは思うのですけれども、先ほど資料の説明にもありましたが、御承知のとおり2000年に社会福祉事業法が社会福祉法になって明確に法律の中に規定され、さらにその推進主体として地域住民というのが明確に規定されました。それは非常に画期的だったと思います。それからもう16年実はたってしまっているわけですけれども、当時、まだ厚生省さんだったと思いますが、「社会的な援護を要する人々に対する社会福祉のあり方に関する検討会」であるとか、あるいはその先2008年「これからの地域福祉のあり方に関する検討会」の報告書、このあたりは我々行政の人間もそうですし、社会福祉に関係している方々の共通する課題をきちんと整理していただいて、取り組むべき方向性なども本当に明確に示していただいていると思っています。私なども常にそれは持ち歩いていると言っても過言ではないくらい、そばに置いているぐらいの資料になっています。

 ただ、それが我々行政の中にどこまで浸透しているかというと、非常に我が事ながら大きな疑問がありまして、例えば、今もお話がありましたけれども、行政としても地域福祉計画を一生懸命つくるんです。でも、つくるのがある意味目的になってしまっていて、そこがゴールみたいな感じがあって、実効性としてはどうかというところが非常にあります。改めて包括ケアを進めるためには行政の役割を明確にした上で、地域住民あるいはNPO、ボランティアさん、協働して今の時代にふさわしい新たな時代に合った支え合いの地域づくり、藤沢の場合はマルチパートナーシップという言葉をよく使うのですけれども、それによる地域づくりを進めることが不可欠だと思っています。

 地域福祉を考えるときは、コミュニティーエリアを重層的に当然とらえなければいけないと思うのですけれども、藤沢市は42万人の人口で13地区に分かれていまして、13地区ごとに市民センター、公民館という公的な拠点があります。そこを中心に、いわゆる自治連であるとか地区民協あるいは地区社協、青少協、老人クラブなどもそこで活動していますので、その13地区を1つの生活圏域としてとらえています。ただ、その13地区も非常にばらつきが大きい、高齢化率、高齢者人口はもちろんそうですし、修学援助率などというのもかなり違っているということもあります。自治会の加入率などももちろん違いますし、その地域に合った取り組みを進めていく必要があるということで、地区診断・地域診断をしっかりやって、それを地区の住民の皆さんと共有していくということがすごく重要であると我々は考えています。

 あと、スライドに若干触れますけれども、お手元の資料のほうが見やすいと思いますので、時間もないですが、22ページの下のスライドは、今申し上げた13地区における相談支援体制や地域づくりのイメージ図で、地域によっては取り組みが非常に進んでいるところもありますし、まだまだというところもあって、課題があってなかなか進まないというところもたくさんあります。

 それから、23ページの3枚目と4枚目につきましては、詳しい説明は時間の関係でしませんけれども、生活困窮者支援を1つのきっかけとして、行政として1つには専門性の強化、総合相談支援体制の強化ということで、市社協さん、NPOさんなどの連携によるコミュニティーソーシャルワークに非常に今力を入れていると。お隣の勝部委員にも御指導いただいております。つけ加えさせていただきます。

 それから、24ページは地域の縁側事業ということで、こちらは現在26カ所ありますけれども、街角相談的な機能ですとか、あるいは多世代交流、あるいは障害者の中間的就労であるとか、就労準備的な活動の場にもなっています。また、ボランティアセンターなども兼用しているところもあります。市が活動費の補助あるいはボランティアポイント制などインセンティブを付与していまして、公的看板を掲げることで若干地域の方に安心感を与える効果があるのかなと思っています。

 スライドはこの程度にして、いずれにしても支え合いの地域づくりを進めるための行政としての役割は、先ほどの「これからの地域福祉のあり方に関する検討会」の報告書にもありますけれども、特に4点最後に挙げさせていただきます。1つは、住民が主体的に活動できる基盤の整備ということ。2つ目は、地域で解決できない問題など困難事例にしっかり対応して最終責任を負う。3つ目として、地域の生活課題や公的サービスの情報を共有する仕組みをつくる。4つ目としては、インフォーマルな活動と公的サービスのつながりをよくしていくというふうに考えています。いずれにしても、住民福祉を最終的に担保する主体だということをしっかり意識して、こういった役割を行政が果たしていくことが重要だと考えています。

 以上になります。


○原田座長 ありがとうございます。

 では、勝部委員、お願いします。


○勝部委員 豊中市の社会福祉協議会の勝部といいます。よろしくお願いいたします。

 私の町では今、80代の親が50代の息子さんと暮らしているというようなお家もたくさん増えてきていまして、小地域の活動をされている皆さん方がローラー作戦をして、地元の中でお困りの方々を一軒一軒探していくということに取り組んでいる小学校区が16も出てきています。何でこんなことをやっているのですかという話なのですけれども、最初はひとり暮らしを見守っていたけれども、やはり2人暮らしも気になってきて、2人暮らしを見守っていると、そこにいる息子・娘が生活困窮になっていたり、仕事ができないということで親の年金で暮らしているというようなところで親御さんが嘆いているとか、悩んでいるというのも心配になるということで、そのうちに最近では子ども食堂をやらなければいけないのではないか。地域の人たちが、まさに自分たちの地域の問題を我が事としてとらえて、何とかしていこうということを自ら動き出すという地域に今なってきています。

 これは、放っておいたら勝手になっていくことではなくて、地域の課題を住民の皆さんが一緒に見ていくことについて働きかけたり、そのことを一緒に悩んだり解決していくという道筋を見せながら動いていくというコミュニティーソーシャルワーカーの存在というのは非常に大きいと思っています。

 櫛部さんたちと御一緒に、生活困窮者自立支援法という法律をつくることにも携わらせていただいたのですが、昨年からこの取り組みが広がり、全国で断らない福祉ということが実現しました。断ってはいけない福祉ということをみんなが受け止めよう、どんな問題も多機関いろいろかかわっている多問題も全部受け止めようということでやり出しますと、申しわけないですが、断らないといっても制度がないわけですから、制度の狭間の問題を考えたときには、それを解決していくためには住民と協働するか、機関同士が今まで以上に連携していくか、あるいは新しい仕組みをつくっていくと。それは、お金をかけて仕組みをつくるものもあれば、ルールをつくってサポートしていくということを考えない限りは前に進んでいかない。そういう意味では、こういう取り組みが始まったことでいろいろな問題が緒についたというところではあるのですが、いろいろなところで求められている地域づくりというのが、実はこのことについて今まであまり学校でも教えてもらったことがない、社会福祉士というふうに勉強してきたけれども、実際にはどうやって住民とともにいろいろな社会資源を開発していくのだろうかということに悩んでいる現場の人たちがたくさんいます。

 私は、こういうことで研修などに参加させていただくと、今現場の職員が涙を浮かべてどうしたらいいのだろうかということを悩んでいます。こういう現場の中で、私たちは今から何をしていくのかということを考えていかないといけないのですけれども、うちの町では制度の狭間というところから地域づくりにこだわったということで、狭間の問題というのは、今、町の中で解決できない問題なので、そこにこそ今この地域の課題があるのだろうと。そのことを住民の人たちと行政と事業所の方、それも高齢・障害・児童の枠を超えて、今は環境であるとか、緑の関係の人たちであったり、消費者行政であったり、労働の行政であったり、そういう人たちがみんな一緒になって解決をしていって、その課題ごとにプロジェクトチームをつくって、10年間で35もプロジェクトが立ち上がるという取り組みが始まりました。行政が上からつくっていくと、それぞれの目的に沿ったものしかできませんが、住民の狭間から考えていくと、いろいろな問題を横断的につなぎながらのプロジェクトができていくということを実感しております。

 地域の大きさの問題は、それぞれの自治体によってかなり違うと思いますが、私たちの地域では、家族も小さい、自治会も組織率は45%まで下がっているということになりますので、そこをカバーするために小学校区をベースにして、我が事になるために何でも相談をやったり、ローラー作戦をやったり、マップをつくったり、こういう仕組みの中でいろいろとプロジェクトを立ち上げていく。その中には、空き家などが1個あれば、どれだけたくさんのことを住民がやれるかということであったり、空き地を1つ貸していただくと、そこで男性の社会参加がどんどん広がっていったりということで、寄附というお話がありましたが、お金だけの寄附ではなくて、さまざまな資源をどのように地域の活動に提供するかということも今回の議論の中で、ぜひ、お話ができればと思います。

 以上です。


○原田座長 ありがとうございます。

 では、鴨崎委員、お願いします。


○鴨崎委員 日本ファンドレイジング協会の鴨崎です。

 ファンドレイジングというのは、NPOとかソーシャルビジネスの寄附ですとか、社会的投資みたいな資金を集める行為全般を言いまして、そういったことができるプロフェッショナルを育成する事業をしております。今回の論点5のところで寄附文化の醸成というのがありまして、そういったところでの知見提供ということで本日はお話しできればと思います。寄附だけではなくて、最近、資金の循環というところでいくと、きょうのテーマにもありますけれども、資金自体も地域の中で循環していくものであるべきだと考えていまして、そういった一つの活用の仕方として、最近ソーシャル・インパクト・ボンド、余りなじみがないかもしれないですけれども、一つの寄附だけではなくて社会的な投資の仕組みが動いているという状況と、日本での最新の事例を少し御紹介できればと思ってお時間をいただいております。

 ソーシャル・インパクト・ボンドはご存じない方もいらっしゃるかと思いますが、2010年にイギリスで開発された社会的投資のスキームでして、一旦、民間の資金提供者から資金を調達して、NPOやソーシャルビジネスが、法的セクターが行っているサービスを代替して行う、業務委託をするわけです。その成果に応じて行政が後払いで投資家に資金を戻していくということで、行政サイドとしては成果が上がらなければ税金を無駄にすることなく、いろいろな公的サービスができるということで注目されて広がってきた仕組みでございます。

 日本でも2014年からいろいろなパイロット事業が進んでおりまして、来年度も見据えた動きとしては、厚生労働省が国内でソーシャル・インパクト・ボンドのパイロット事例を幾つかやるという予算要求をしているということ。その中のテーマの1つとして地域共生が挙がっていて、地域に包括した形で官民連携で公的サービスを成果連動型で業務委託していくという流れがでてきてくるのかなと思っております。

 その最新の動きとして、堀田委員からも御紹介のあった、東近江市は非常におもしろい動きが今出てきておりますので、最後にそれを御紹介して終わりにしたいと思います。

 東近江市が2014年から、コミュニティーの課題をビジネスで解決するという事業の企業支援の補助金を行っていました。これを今年度から実験的に成果連動型に変えてみようという動きが起こっています。おもしろいのが、その元手になるお金を地域住民から私募債という形で出資を求めました。2週間で約200万円がすぐに集まったということです。対象事業としては今4つあるわけですけれども、6次産業化や地域の困りごとを解決するような地域の相談所の敷設といった事業が対象になっていると。これも成果をどうするのかということが一つポイントになっていまして、検討委員会が官民連携で組成されていまして、地域をよくするということを指標化するにはどうしたらいいのだろうかということを皆さんで協議しながら成果指標を設定して、それに応じて成果が出れば、後で行政が補助金として払い戻すというような形の動きが出てきています。これは実は世界に例を見ない新しいモデルになろうかと思っておりまして、まさに地方創生版の補助金改革型ソーシャル・インパクト・ボンドというのがモデル化できれば、世界に対しても訴えかけていけるようなよい事例が地域から今、生まれようとしているということで、また、そういった地域の資金循環を生み出す幾つかの手法について御提供できればと思っております。

 以上です。


○原田座長 ありがとうございました。とっても関心があるところで、本当はそれだけでも丁寧にプレゼンを聞きたいところなのですけれども、今のところでちょうど半分です。ここまででも頭がいっぱいだなというか、いろいろな示唆をいただいているわけで、これをどう論点整理していくか、事務局は次回までに整理いただきたいわけですけれども、後半に入っていきますけれども、ちょっと深呼吸していただきまして。

 すごく大事な論点を、ここまでの中でもたくさんいただいています。我が事・丸ごとと言ってきましたけれども、丸ごとのとらえ方が児童・障害・高齢という福祉の分野の丸ごとだけではなくて、今皆さんにおっしゃっていただいた循環ということも含めて、地域全体を丸ごとでどうとらえていくかという視点がないと、なかなか福祉だけの丸ごとではうまくいかないよとか、あるいは地域を構造化して重層的にとらえるということを大事にしてきましたけれども、身近なところだけではとらえられないニーズをどう考えていったらいいだろうかとか、いずれにしましても、こういった機能を取り回す人の問題、専門職の問題、あるいは住民主体と我々は簡単に使っていますけれども、本当に住民はどういう形で関心を持っていただけるのだろうかとか、挙げたら切りがないのですけれども、既にたくさん論点をいただいていますので、後半またこのような形で、まずは一通りお話を伺っていきたいと思います。

 それでは続きまして、菊本委員、よろしくお願いいたします。


○菊本委員 改めまして、日本相談支援専門員協会の菊本でございます。休憩なしでいくということですね。

 初回ですので、少し自己紹介的なこともお話しさせていただこうと思います。私は、埼玉県の鶴ヶ島市の社会福祉協議会で事務局次長を仰せつかっております。鶴ヶ島市は人口7万人で非常に小さな町でありまして、社会福祉協議会がきょうの資料でいきますと、資料2の14ページにあります、いろいろな相談支援事業が網羅されておりますけれども、この資料の中の自立相談支援と障害のある方の基幹型の相談支援センター、それから、権利擁護支援センターということで、法人後見を含んだ権利擁護の相談、それから、日常生活自立支援事業、この4つの相談の統括、それから、障害のある方の生活介護施設を含めますと、5つの事業の統括をしております。

 今日も出かけに、82歳の権利擁護でかかわっている認知症の高齢者の方を、何とか1人での生活が続けられないかということで支援をしているのですけれども、相談員が帰ってきたところ、82歳の男性の高齢者が、菊本さん、きょう女性もののパンツをはいて出てきたのですけれども、この意味は何でしょうかということで相談員と悩んで出てきたところです。頑張ってこの後お話ししたいと思います。

 私の話は、48ページにございます。今日は3つにまたがってお話ししたいと思います。まず、日本相談支援専門員協会というか、障害のある方の相談支援専門員は、基本相談の重要性をずっと大事にしてまいりました。5年前から計画相談がスタートしておりまして、今はどうしても制度の枠内での相談に重きを置かれるという状況になっております。ですけれども、今日の資料49ページにございますように、これは障害のある方の相談支援の体制をイメージ化したものでございますけれども、この中に四角の短冊ではなくて、角がとれている基本相談支援という部分がございます。この部分を大事にしてきたというのは、制度ありき、サービスありきではない相談をしっかりして、御本人のニーズや御本人の希望を真ん中に置いた相談をこれからも大事にしていこうと思っております。そういった意味では、今回の議論の中でもその辺を丁寧に御議論いただければありがたいと思っております。

 2番目に、専門性のある相談支援体制の重要性では、今回の検討会の趣旨につきましては大いに賛同するわけでございますけれども、ただしというところでは、2)の中段にも書かせていただきましたように、発達障害や高次脳機能障害、強度行動障害や医療的ケア時等々、かなり高度な専門性が必要な相談もあろうと思っています。ですので、こういったものは住民だけにお願いするということではなくて、住民の方がニーズキャッチしてきていただいたものをしっかりと受け止められる専門性が必要だと思っております。この部分につきましては、きょうの資料2の13ページにあります下の「包括的・総合的な相談支援体制の確立」というところで、ここは公的なお金を投入してもしっかりと受け止めていただきたいと思っている部分でございます。

 そして最後に、違う専門性の相談機関が共通の視点を持ったチームづくりが重要というところでは、先ほど大原委員からもございましたように、1人のスーパーマン的な方を育成するというよりは、それぞれの専門性に立ちながらも、ある意味では人としての共通理解をきちんと有した専門職がチームアプローチの徹底と強化する場をしっかりとつくっていき、それは座学型の研修だけではなくて、いわゆるOJTというのでしょうか、要するに実務指導、現場でしっかりと指導ができるといった体制もあわせて考えていただければと思っております。

 今日は以上でございます。


○原田座長 ありがとうございます。

 では、櫛部委員、お願いします。


○櫛部委員 釧路市から参りました櫛部と申します。2011年に釧路市の職員を退職するまで、13年間障害児の療育と、23年間生活保護のケースワーカーをしてまいりました。中間的就労の場をつくりながら、生活保護受給当事者の自尊心を育んでいくという、いわば自立支援プログラムの釧路モデルに携わりまして、退職後は、支援される側が支援に回ることを目的にしまして、特に地場産業のニッチな分野である漁網の製網ということを当事者たちと一緒にやる団体を立ち上げたのが私どもの団体です。加えて、生活困窮者の相談支援や、就労準備も担わせていただいております。

 釧路市では、まち・ひと・しごと創生総合戦略基本目標の中にもこういった取り組みを地域生活を支える項目に入れておりまして、地域政策を持っている町と言えるかと思っております。

50ページからが私の資料ですが、時間的に難しいので、次のことを申し述べて終わりたいと思っています。

 1つは、生活困窮者自立支援の取り組みは、相談者がふえるにつれて当初の絵姿が変わってきたなというのが実感です。当初は、第1のセーフティーネットの労働法制と生活保護の間にある、いわばサンドイッチのジャムというようなイメージが非常に強かったのではないかと、現場の受け止めも何か生活保護のとりつぎのようなイメージが強かったと思いますが、相談者が増え人に着目し、人に寄り添っていくならば逆でありまして、第1と第3に通底する根源的な寄り添う包括的なセーフティーネット、言わば地域包括支援の根っこなのではないかということを最近は実感します。実際、相談の中で生活保護につなぐケースは5%くらいです。むしろ仕事を求める人が多い。また、お金を回したいが借りられない。家を借りたり、仕事に就くときに保証人がいない。こういうことを抱えている人たちがたくさんいるということに気づかされております。

 そういう意味で、孤立排除から共生を考えたときに、第1のセーフティーネットにかわかる言わば就労・労働というものに福祉がつながっていくということは課題として大きいと思っております。相談に来られる高齢者も、手帳がないが障害が疑われる方も、多くの方が働くことを願っていると。先ほどから出ています、生業という問題があります。

 2つ目には、大橋謙策先生がヴァルネラビリティーとおっしゃっていまして、いわゆる社会生活上の脆弱性の問題を言い表しておりまして、私は1980年代から、その中核には生活力形成の課題、自己教育力の課題があると考えておりました。今日、住民はサービスは買えるものと理解されていることが多いのではないかと。つまり、介護で全部やっていただけるでしょうということです。そういう時代にあって協働・共生は簡単ではなくて、自己教育の課題を抜きにしては進まないだろうと思います。

 各論としてですが、地域の個別支援はこの間進んだのですが、では、公的に包括されているのか。私も市役所出身なので、公的なマネジメント力はどうなっているのか、特に論点にあります福祉事務所の六法体制への新生の課題があるのではないか。自治体をどう支えて盛り立てていくかという課題が1つあるということと、もう一つは、社会福祉法ができて20年近くになるのですが、その改正なり検討は、この間の知見を入れてやっていくことが当面の課題ではないかと思っております。

 以上です。


○原田座長 ありがとうございました。

 それでは、土屋委員、お願いします。


○土屋委員 さわやか福祉財団の土屋です。さわやか福祉財団は、地域の支え合い体制の構築支援を主にやっておりまして、最近では、介護保険法の中の体制整備支援事業の中で、住民と行政と一緒にワークショップをしながら、支え合い体制づくりに尽力しております。

 1つ目、地域住民による地域課題の解決力の強化、体制づくりのあり方ということですが、住民主体による地域課題の解決力を高めるためにどうするか。こう考えるときに一番重要なのは、住民主体の定義をどうとらえていくかが大切だと思っています。従来の福祉は措置・給付という形でほぼ行政が決定してきましたが、今後は少なくとも地域課題に関しては住民が決定権を持つ、そして、自分たちの地域の課題に対し、我が事として対応していくという文化をしっかりと構築することが重要ではないかと考えております。

 介護保険の改正による地域支援事業の中で、住民主体の支え合いを推進するために、生活支援コーディネーターや協議体という制度がスタートしております。地域の支え合い体制を推進しようという生活支援体制整備事業が義務化されているわけですが、一方、介護保険制度の中で実施される事業なので、保険者である基礎自治体によって行政主体で体制整備が進められていますので、住民側としてみれば行政から依頼をされてやらされている、全国にこのやらされ感が蔓延しているところです。

 住民主体で取り組みを始めている自治体の多くは、なぜ住民主体の取り組みが必要なのかを住民とともに時間をかけて考え、行政、社協、住民、そして地域の企業それぞれの役割の理解と合意形成を行い、目指す地域像を共有するとともに一定の決定権を住民に委ねています。住民が決定権を持つことによって、初めて住民主体の体制づくりができるのではないかと考えています。

 2番目、市町村による包括的な相談支援体制の整備のあり方。市町村の総合相談窓口を実現するための要件としては、以下の2つが考えられると思います。

 1つ目は、包括的な相談から支援計画の作成、支援チームのコーディネート、地域資源の開発までができる専門的な知識を持った人を配置する必要があるのではないか。

 2つ目は、相談者本人のみならず、育児、介護、障害、貧困などの相談者が属する世帯全体の複合化・複雑化したニーズをしっかりととらえ、分野別の相談支援体制と連動して、包括的・総合的な相談支援ができる体制を確立することが重要ではないかと思っています。

 1つ目の実現には、複雑化しているニーズを的確にインテーク・アセスメントできるスキルを持った人材の育成が必要であり、ジェネラルな視点、これは環境である地域や家族もしっかりととらえられるような視点を持ち、スーパービジョンを行えるソーシャルワーカー、いわゆる専門職の配置も必要になってくるのではないかと考えております。

 2つ目の実現には、複雑化したニーズに対応するための福祉分野横断的な研修の実施が必要ではないか。現在の相談支援は法律ごとの縦割りで行われています。障害分野では、3障害の壁は法律上なくなっていますが、実際には相談支援機関の特性によって得意・不得意が現存しています。相談支援の現場では、高齢障害者の増加により、障害サービスと介護保険サービスの移行がうまくいかない、介護離職等で要介護高齢者を抱え、生活困窮の状態にある。また、DV被害を受けたひとり親世帯が生活困窮に陥っているなど、法律の分野を超えた支援が必要になるケースも増加しています。

 最終的な個別支援に関しては、それぞれの分野の相談機関が対応するにしても、初期相談におけるインテーク・アセスメントは総合相談でしっかりと丸ごと対応することが必要になってくるので、福祉分野の横断的な知識が必要となり、そのための研修体制の確立も課題となってくると思います。

 それ以外にも、障害の相談分野では、計画相談の人材不足も生じており、介護支援専門員の実施しているマネジメントとの共通点もあるため、介護支援専門員に障害マネジメントを学んでもらい、人材の異動促進を図ろうというようなことも語られていると思います。

 以上です。


○原田座長 ありがとうございます。

 では、中委員、お願いします。


○中委員 資料の56ページに自己紹介を載せました。24時間365日地域の中で総合相談を行っております。地域包括支援センターというと、高齢者の相談窓口というイメージが強いとは思うのですけれども、実際に地域の側に相談窓口というものを立ち上げる以上は、世帯丸ごとの相談がどんどん飛び込んできます。事例の厳しい状況を目の当たりにしたときに、やはり断れないというのが現状としてあると思います。

57ページを開いていただくと、そういう相談を重ねながら、私が地域の暮らしの行き先として感じている2コースをここに描きました。ひとつが、我が事・丸ごとコース、もうひとつが、他人事・バラごとコースです。例えば、まつ子さんという85歳の少し物忘れがおありになるという方がいます。第2コースの他人事・バラごとコースで進んでしまうと、簡単に孤立死とか、ひとり歩きの末の事故、消費者被害、虐待などに陥ってしまいます。本当に同じ状態でありながら環境側の要因でふたつのコースに分かれるわけです。そうならないために、その第1コースの我が事・丸ごとコースで、地域の中での自分らしい暮らしの実現のために何が必要なのかというのをこれから皆さんと希望ある議論ができるのを楽しみにしています。

 検討会に当たってお伝えしたいことを現場の実感から少しまとめてあります。

 まず、丸ごとについてですが、一体何を丸ごとなのかというところは、前提として議論が必要なのかなと思います。

1つ目には、対象の丸ごとであるならば、少なくとも世帯丸ごとである必要はあるのだろうなと思っています。例えば、当センターで地域ケア個別会議という、本人・家族、地域の人、それから、専門職も交えながら地域で起きている個別事例を一緒に頭を寄せて考える事例検討会があるのですけれども、そこでは1会議に1事例ですが、その事例の中の実は複数の支援対象者が含まれています。昨年度のデータでは、一つの事例で既に平均で2.1人です。世帯丸ごとの支援になっているという実態です。御本人以外の対象者の年齢構成を見てみると、65歳未満の方が42%と半分近くいらっしゃるというところで、私たち地域包括が64歳以下の相談も実際に地域の中で受けているという現状がここにあります。

 2つ目は、支援体制や仕組みもまた丸ごとである必要があるということです。制度のすき間や狭間をつくったのは、まず私たち専門職の側の問題もあると認識しています。それから、地域側、御本人側の意識の問題もあると思うので、だれがつくったのか、なぜかという議論も大事かと思います。

 次に、我が事で1つ目に書きましたが、実感を伴う地域、我が事としてとらえられる範囲は最大でも小学校区までではないかと、勝部委員もおっしゃっていましたけれども、私もそう実感しています。

 それから、我が事というのは、一人称の受援力のようなところもぜひ議論に入れていただきたいなと思います。私たちがアウトリーチしていく事例においては、これだけ相談機関があっても、自ら相談できない、相談しなければいけないことに気づかない、拒むという方もいらっしゃいます。今厳しい状況にある自分が他人事のように思えて、生きるというところを放棄してしまっているという厳しい状況にいる方とどう関係を築いていくのか、そういうところに私たちは日々かかわっているというところもお伝えしておきたいと思います。

 以上です。


○原田座長 ありがとうございます。

 では、永田委員、お願いいたします。


○永田委員 同志社大学の永田でございます。お配りしている資料に書いてあることをかいつまんで御説明したいと思います。

 冒頭、「趣旨」というところで書かせていただいていますけれども、先ほど片山委員からもありましたが、社会福祉法で地域福祉が位置づけられて16年たったわけですが、その中で私の認識だと分野の中での地域福祉というのは大分進んできたのではないかと思いますが、本来分野を横断したという意味での地域福祉というのが、なかなか進んでこなかったのではないかという認識を持っています。ですので、提供ビジョンを初めて読んだときには、国として改めて本来の意味での分野を横断した地域福祉というのを推進していくのだ、そういう決意表明みたいなものなのではないかと受け止めました。そういった視点から分野を横断した地域福祉の推進に必要ではないかと考えられることについて、5点にまとめて簡単に思っていることをお話ししたいと思います。最初ですので、少し総括的なコメントをしたいと思います。

 まず、第1点目ですけれども、これも片山委員、越智委員からも御指摘がありましたけれども、地域福祉計画の位置づけを明確にしていくことが非常に重要ではないかと思っています。これまでの地域福祉計画は、これは非常に大事なことですけれども、住民参加の方にどちらかというとフォーカスが置かれて、先ほど片山委員もおっしゃっていましたが、行政の職員さんも住民の皆さんもつくったところで満足してしまう、そういったどちらかというと住民の活動計画のような形になってきたのではないか。もちろんそれは重要なのですけれども、それに加えて、分野を横断した包括的な支援体制というのを本来的な意味での地域福祉計画にきちんと位置づけていくべきなのではないか。幾つかの例外的な自治体の中では、これをしっかりやっているところもありますし、分野を横断した相談や包括的な支援というのは地域福祉計画にしか書けないことですので、ぜひ、これをきちんと位置づける方向で議論していただきたいと思っています。

 論点の2番目なのですけれども、「専門職と住民との協働」と書かせていただいています。住民主体の課題解決という議論になってくると、住民が何をするかということに議論が集中していくわけですけれども、果たして専門職が一緒に住民の皆さんと活動できる能力があるのかどうか、ここをきちんと見ていかないといけないのではないか。例えば、総合事業で住民の人たちは一生懸命やっているわけですよね。そこに例えば「住民を活用する」という言い方をよくしますけれども、私は余りこれは好きではなくて、住民の皆さんと一緒にやる、住民の皆さんとなじんでいく、それから力を貸してもらう、教えてもらう、よく私は「のりしろ」という言い方をしていますけれども、住民の皆さんとほかの専門職の接点をつくっていく、そういうような専門職の役割があるのではないかと思っています。ケアマネジャーの研修など時間をどんどんふやしていっても、この能力というのは座学で教えられるものではないのではないかというのは、先ほど御指摘があったことだと感じています。ですので、住民の主体的な力を伸ばすと同時に、それを支援できる専門職の力をぜひ議論していただきたいと思います。

 3番目は、連携をしていくというのは当然大事なのですけれども、そのためには当然それを議論する場・テーブルというのが必要で、提供ビジョンの中で地域会議というのが提案されていて、これはそういう意味ではすごく意義があると思っていますが、実際に地域の現場では皆さんが協議疲れといったような、地域ケア会議があって、協議体があって、あっちもこっちもあって、特に民生委員さんなどはあらゆる会議に出ているような現状があるのではないかと思います。依頼する方は自分の部署の会議ということですけれども、出る方は全部に出なければいけないといった現状があるのではないかと思います。こういった協議の場の整理をしっかりしていくことが重要ではないかと思います。

 4点目は、包括的な支援体制なのですけれども、提供ビジョンの中ではワンストップ型と連携強化型という御提案があって、これは横で見たときには当然そういった区分けになるかなと思うのですが、一方で、先ほどから実際、地域の中で課題を発見していくといった機能というのは、より身近な地域の中で初期総合相談のような窓口がすごく重要なのではないかと感じています。先ほどから議論になっているように、そういったところに配置する人材はどういった方がいいのか。地域になじんで、地域の方と一緒にやっていけるような力というのが、果たして今まで我々が教育で取り組んできたようなソーシャルワークの専門性だけでいけるのかとか、そういったことも含めて議論していく必要があると思っています。

 最後に、行政や専門職側が何も変わらないで住民主体だけを言うということの気持ち悪さみたいなところは、きちんと認識しておく必要があるのではないかと思います。行政や専門職がこういうふうに変わって、こういうふうに一緒にやっていく、だから、住民の皆さん一緒にやっていきましょうというような提案の仕方をしていく必要があるのではないかと思っています。総合事業などでも、しっかりやっていらっしゃる行政の職員さんでも、やっている中で標準化しなければとか、制度にしていくなら同じようにやってもらわなければと、行政の皆さんはそういう感覚を当然お持ちになると思うのですけれども、住民主体ということを議論していく中で、この点、しっかり認識しながら我々は議論していきたいなと思っているところです。

 最初の問題意識としては以上5点です。ありがとうございました。


○原田座長 ありがとうございます。

 では、少し飛びますけれども、福本委員、お願いします。


○福本委員 下関市より参りました、福本と申します。下関の保健部長兼保健所の保健所長ということで、私のやっている仕事の内容は参考資料1の34ページ、保健所・市町村保健センターの図における母子保健事業を抜いたところを担当させていただいておりまして、目下の仕事のメインは、いかにして地域包括ケアシステムの構築を推進するかというのを保健の立場からさせていただいているところでございます。

 実際に地方の現場においては34ページの地域住民と出てくるわけで、住民主体の地域住民、連携する先が非常に脆弱になっているということが実感としてございます。そこで、今回論点案に対する意見としては、丸ごとなどありますけれども、どちらかというとトップバッターであった堀田委員や大原委員、鴨崎委員の御意見に共通するかと思うのですけれども、地域課題を経営的・事業的に解決する主体者に対する支援の仕組みを地域循環のデザインとセットで構築するということが、地方の現場では特に喫緊の課題になっているのではないかと思います。

 論点案に沿って御意見を述べさせていただきますが、1、2については皆様も余り異論はないところだと思いますし、私も確かに共生社会を目指すべきであると考えております。

 3の住民は主体的に地域課題を把握して、解決を試みる体制が必要というところですけれども、その点で目指すべき地域のために、地域においてどのような機能が必要かという点については、地域課題を経営的・事業的に解決するという視点も加えていただければと思います。

 我が国は御存じのように既に人口減少社会に突入しておりまして、多くの地域においては財源がない、担い手が不足しているということから、いろいろな課題があるということよりも、継続的にその課題解決に取り組んでいくことに対する持続可能性が危ぶまれているというところが、最大の課題ではないかというのが私の問題意識としてございます。

 下関市は、面積は約715平方キロメートル、総人口が26.6万人で、人口のピークは1980年ごろ、私が生まれたころの32.5万人です。高齢化率は現在低いところで17%である一方、日本海に面した地域においては40%という非常に多様に飛んだ地域です。住民の地域活動については、既にさまざまな制度や事業があるわけですけれども、いろいろな委員から御意見がありましたように、現場では特定の自治会や民生委員さん、社協さん、無償ボランティアの方々に、さまざまな仕事が補助金、委託費とともに押しつけられていて、ボランティア疲れ、会議疲れ、連携疲れといった様相を呈していると思います。

 ですので、そもそもからして無償ボランティア的なもの、もしくは補助金、ひもづけ型ベースで解決していくということで本当にいいのかと。無償ボランティアこそよいもの、ひもづけ補助金によってさまざまな制約を持つ団体で、本当に地域課題が解決できるのかというところを問い直す必要があるのではないかと思います。もっとほかのプレーヤーを育んでいく必要があるのではないかということです。ですので、これまでのような補助金、委託費的なものではなく、ソーシャル・インパクト・ボンドのような仕組みが求められているのではないかというのが実感としてございます。

 実際、行政機関の人員体制も脆弱でして、私どもの方では今年度に保健師が3名退職しますが、新規採用予定者は来年度は1名です。地域包括支援センターは、必ずしも地域づくりという視点を十分に持って取り組んでいるわけではないということもあります。すなわち、住民主体と申しましても、従来のようなボランティア等の主体の住民という以上に、地域におけるコミュニティービジネスや小商いを活性化して、地域課題、社会課題を解決していく社会起業家の育成を促進するような環境づくり、これは法律的には金融等の新たなプレーヤーを呼び込む仕掛けをしていく必要が、地方においては非常に望まれているところでございます。

 この点、住民主体の住民とは何なのか、だれなのかというところをあまりごちゃ混ぜにしますと、絵柄はよいけれども、非常にインクルーシブな印象はあるのですけれども、具体的に課題が解決しない、機能しないものができ上がるのではないかと危惧しております。

 その上で、新たなプレーヤー、活動主体というところに話を戻しますと、論点案4の多機関の協働にある包括的支援体制構築にもつながるのですけれども、各分野の相談支援機関が連携して対応するというのも、連携すれば解決するというイージーな問題ではないと。充て職連携が本当にいいのかという意識がございます。すなわち連携して困難事例の解決というのは非常に重要なことですが、従来のようなお世話型の支援やフォーマルサービスにつなげて解決するという発想しかない人間が集まっても、どうしても地域に対する自立支援型の支援や課題解決の方法は思い浮かばないのではないでしょうか。連携だけではない仕組み、体制づくりをぜひ盛り込んでいただきたいと。そうでなければ、これまでいろいろな制度・事業がございましたが、そういったものの轍を踏むことになりかねないかなと思います。

 ですので、資料2の13ページ、地域では解決できない課題というのはありますけれども、住民が何を求めているのか、連携会議ではできても解決できない課題は公的スキームにつなぐというものだけではなくて、結局、住民主体で解決する事業をどう地域で生みだし、持続させるかというところを、ぜひ今回の視点で持っていただきたいと思います。その点、寄附文化の醸成につきましても、民間の出資やソーシャル・インパクト・ボンド、地方の中で回って、そこでみんなに落ちる、そして再投資されるという仕組みを考えていく必要があるのではないかと思います。

 私が申し上げていることは、別に既存の福祉制度や既存のプレーヤーの方を否定するものではないのですけれども、人口が減少する、地域が縮退していく中では、どうしても事業的に解決するということを念頭に置かないと、持続可能性を保つことは非常に難しいのではないかと思います。

 以上でございます。


○原田座長 ありがとうございます。

 では、前田委員、お願いします。


○前田委員 三重県立志摩病院の前田と申します。よろしくお願いいたします。県立とありますが、指定管理者制度が導入されておりますので、私は公益社団法人地域医療振興協会の職員でございます。

 当院ですが、三重県志摩市に所在しまして、患者の9割は志摩市の住民でございます。志摩市は人口5万2,000人、高齢化率36%といった地域です。医療機関のソーシャルワーカーとして、ここに出席させていただく重みを感じております。

 病院には、高齢の方、障害のある方、生活困窮の方、そういったいろいろな患者がいて、本人だけを支援しても解決しない問題が多いと感じております。時には世帯の支援をしながら包括的な支援の必要性も感じますし、個人の問題としてかかわりながら、これは個人の問題だけではなくて、地域全体で解決していく問題ではないかと感じ地域へ投げかけていくこともあります。

 また、この問題に対してはどこの相談機関が適切に支援してくれるのかと支援機関を探すのですけども、支援機関を探すこと自体に苦労し、また、支援機関の担当者につながるのにも時間がかかることがあります。相談支援機関がたくさんあり過ぎるために問題解決に時間がかかることがあると感じています。

 論点案についてですが、まず、論点1ですが、普段からのつき合いや交流がないのに、困ったときだけ誰かが手を差し伸べてくれる、支援をしてくれるということは考えにくいのではないかということです。普段から少しお節介な隣近所の関係や、無関心にならずちょっとした変化に気づけるような関係があるとか、改めて相談しなくても常に交流できるような場がある、そういう地域だったらいいのにと感じています。

 そういう意味では、論点3の目指すべき地域のところに、「自ら窓口に足を運ばなくても問題を把握してくれる」とあるのですが、これは問題が深刻化しないうちにということがとても大切だと思っています。入院してから、何でこんな状況になるまで誰にもわからなかったのだろう、もっと早くわかっていれば何とかできたのではないか、もっと選択肢が多かったのではないかということがあるので、問題が深刻化しないうちに早く発見される、そんな地域にしていく必要があると思っています。

 戻りますが、論点2では、「小中学校区等」とあります。市合併後は、小中学校がだんだん統廃合されています。ですので、小中学校が住民にとって身近な圏域かというと、少なくとも当市では身近でなくなりつつあります。住民にとって身近な顔が見える地域とはどういう範囲だろうと考えたとき、やはり自治会単位かなと思いました。住民だけで解決できる問題と、専門職が少し手を貸していくような問題について、相談の圏域の広さを変えていく必要があると考えます。

 同じく論点2のところで、住民自らが地域づくりについて考え地域福祉を学ぶ機会をつくる、子どもの頃からの福祉教育といったところでは、地域福祉計画の策定過程がまさにこれに当たるのではないでしょうか。

 論点4の多機関の協働による包括的支援体制をどのように作っていくのかのところでは、モデル事業の資料を見て、どうしてここに医療機関が入っていないのだろうと思いました。というのは、今、委員として出席されている、行政や社協の熱心な方のお話を聞きながら、では、行政が熱心でないところ、社協も熱心でないところはどうなのだろうと思いました。行政がやらなくても社協がやらなくても、やれるところがやればいいのではないかと考えます。当院では医師会へ働きかけ共同で、資料として提出した『地域まるごとケア交流会』を開催しています。行政がやらないから何も進まない、社協がやってくれないからと不満を言っているよりも、自分たちでやってしまって、行政も社協もいらっしゃいと呼んであげればいいのではないかと始めました。いろいろな団体・機関、民生委員、自治会、女性の会、地域医療を考える会、ボランティアにもご参加いただいています。それぞれ興味のある地域課題を選んでいただいて意見交換を行い、連携の力で新しい社会資源を生み出そうとしています。病院医師や看護師、リハスタッフも加わり、今年2月から1回で大体100人ほどが集まって開催、今月も予定しております。この場をつくったら、行政からも複数の参加があります。自分たちではできなくても、だれかがやってくれるのだったら行政も社協も来てくれます。ですので、私はその地域、地域でやれるところがやればと考えてています。

 まとまりのない話で済みませんでした。以上です。


○原田座長 ありがとうございます。

 最後になりますけれども、横山委員、お願いします。


○横山委員 武蔵野市役所高齢者支援課の横山と申します。私は、武蔵野市民社会福祉協議会の職員ですが、平成26年に市役所と社協の人事交流に伴う人事異動があり、私が社協から市役所の直営の地域包括支援センターの第一層生活支援コーディネーターとして人事異動があり、配置されております。

 資料の76ページの上にありますが、武蔵野市の生活支援コーディネーターと協議体の配置について御説明させていただきます。武蔵野市では2層の生活支援コーディネーターは、市内6カ所にある在宅介護支援センター、こちらは地域包括支援センターを併設しておりますが、そこに2層のコーディネーターを配置しております。2層の協議体は先ほど協議体疲れのようなお話も出ていたかと思いますが、武蔵野でも会議をたくさんつくることはやめようということで、これが2層の協議体だということを限定せずに、これまでも実施してきている地域ケア会議ですとか、市内13エリアにある地区社協の運営委員会など、既に地域住民同士が地域課題を話し合う会議体がありますので、そこに2層のコーディネーターが参加する形をとっております。

 第1層の協議体は、地域包括支援センター運営協議会を発展させ、地域包括ケア推進協議会という全市的な課題を話し合う会議体と位置づけています。この協議会のメンバーが高齢者計画、介護保険事業計画の策定委員のメンバーと重なることとしておりますので、全市的な課題に対応する政策など、市全体の取り組みを考える協議体になっております。

 第2層の生活支援コーディネーターを在宅介護支援センターの職員が担うことになりましたが、在支の職員はこれまで地域づくりに取り組めずにいたので、偶数月に必ず社協の地域担当者と第2層の生活支援コーディネーターが連携を行う会議を開催し、連携することにしております。

 武蔵野市は、これまでもテンミリオンハウス事業ですとか、一般介護予防事業で住民主体の参加型の事業を実施してきております。テンミリオンハウス事業は現在7カ所あって、市が1,000万円の補助金を補助して、運営団体に高齢者の通いの場を実施するという事業で、月曜日から金曜日に開けるものですが、担い手としては、毎日運営をすることが大変だという意見が多くあったこともあり、今年度から同じ一般会計のお金を使って、いきいきサロン事業という、週1回高齢者が5名以上集まる集いの場を実施する運営団体に、年間20万円の補助をする事業をスタートしました。これは、高齢者が参加する役割を持つというところも期待したいと思いまして、多世代交流を実施するいきいきサロンには、加算ポイントをつけるなど、乳幼児親子などとの交流もきっかけとなればいいなと思って進めているところです。いきいきサロンを1丁目に1カ所ずつつくっていく予定ですが、どうしても配置の個数にとらわれているようなところがあって、自主的に運営する団体に補助を出す仕組みなので、住民の方々がいきいきサロンをやりたいと思って話し合いの場を丁寧につくっているところと、行政の数値目標との難しさを非常に感じています。

 この検討会の論点案としては75ページに書かせていただいておりますが、生活支援コーディネーターは今、各市区町村で置かれ始めていますが、非常に混乱している自治体が多く、特に、もともと地域福祉コーディネーターのような人を置いている自治体が、生活支援コーディネーターをどこに置くのかといったときに、一緒の機関において一体的に動いた自治体もあれば、あえて別に置いて別々に動いているところもあったり、両方とも特に動かずにいる自治体などもあって、正直なところ、形だけとりあえずコーディネーターを置いたようなところもあります。また、武蔵野のようにもともと地域福祉コーディネーターを置く予定で地域福祉計画に乗せていても、生活支援コーディネーターの話が先に来たので、地域福祉コーディネーターの配置をとりあえず中断して、生活支援コーディネーターを先に置いた自治体などもあります。あとは、認知症コーディネーターですとか、学校の地域コーディネーターなど、コーディネーターの乱立も非常に見られているので、財源も含めて整理が必要だなと非常に感じております。

 また、相談支援体制については、私も高齢者が集まる場所に行ったときに、高齢者からの相談を多く受けることがあるので、窓口の設置はもちろん大事ですが、そこの職員が地域住民が集まる場所に出ていくことも非常に大事だと思います。特に、いつも一緒に活動している民生委員さんが、私がある高齢者のサロンに行った帰り道に、「横山さん、ちょっといいかしら」と呼ばれてお話を聞いたら、非常に気になる家庭のケースで、どこに相談したらいいかわからなかったという相談を受けて、その民生委員さんは、この間に何度も私に別の用事でお電話をくださったり、別のところでも会っていたのに、それでもなかなか相談しづらかったのだなということも実感しましたので、この役割を持った方が住民の場所に出ていくことも大事ではないかと思っています。

 最後に、地域共生社会ということを考えたときに、他者理解という視点も大事ではないかと思います。ですので、福祉教育のあり方というか、国として福祉教育をどう考えていくかという視点も、この地域共生社会の仕組みでは大事ではないかと思っています。

 以上です。


○原田座長 皆さん本当にありがとうございました。少し時間をここに費やしましたけれども、お一人お一人の問題意識がどういうところにあるのかを皆さんで共有できたかと思います。

 論点そのものは冒頭、事務局から御案内がありましたように、6点でこれから議論を進めてまいりたいと思っておりますけれども、皆様方に今日御発題いただいたものを論点の中に少し盛り込んで膨らませていく作業をこれから少ししていただきたいと思っております。

 1、2、3はもちろんですけれども、例えば、3では皆さんから出てきた専門職、専門性の養成や研修、あるいはネットワークの話などが非常に強く出てきておりますし、あるいは4でいきますと、この中には自治体の組織体制がありますけれども、市町村行政や都道府県行政の役割やあり方みたいな議論も強く出てきております。何よりも5のところ、寄附文化の醸成ということを少し考えていたようですけれども、ここはもう少し広げて、皆さんから出てきた民間財源のあり方、企業やコミュニティービジネス、今日はソーシャル・インパクト・ボンドの話もありましたけれども、地域経済も含めながら丸ごとをどのように議論していくか、非常に議論としては広がってしまう懸念もありますけれども、そういった視野を少し入れながら、これからの地域福祉のあり方について論点の中で盛り込ませていただきたいと思います。

 きょうは、あと10分少々しか実質的な議論ができないのですけれども、論点1のところをもう少し掘り下げて、きょうは皆様方に御意見をいただいておければと思います。

 事務局のほうで、この論点1で補足するところはありますか。よろしいですか。

 では、一番総論になるのが論点1で、「今後の福祉ニーズを踏まえて、住民の立場から見て『目指すべき地域』」という非常に抽象的なのですけれども、ただ、今の議論の中でも住民とはだれを指すのか、地域住民そのものが非常に多様性を持っているという御指摘もありましたし、どんな地域を目指すかというところで皆さん異口同音におっしゃっていただいたのが、持続可能性のある地域社会をつくっていかなければいけない、それが根底にないといけないのだという御指摘も既にいただいておりますけれども、この部分に関しまして、目指すべき地域のイメージですとか、こういうことを論点としてもっと掘り下げなければいけないというところ、ここに絞って御意見がありましたら、いかがでしょうか。

 先ほどの議論の中では、決してそういうつもりはないのかもしれませんけれども、「住民を活用する」という言葉、この辺に危惧を抱いているのだという御発言も何人かからありました。住民主体と言いながら本当に住民主体ができているのか、そういった視点から見て、目指すべき地域というところでいかがでしょうか。

 奥山委員どうぞ。


○奥山委員 先ほどの繰り返しになるかもしれないのですけれども、やはり若い世代は転入してくるというのが非常に多くて、地域側が最初の受け入れのところをどのようにするのかということについては、非常に若い子育て世代は地域の中でまだまだ浮いているような状態で、町内会などにも入るタイミングがないんですね。子ども会というのもほとんどが小学校入ってからではないかと思います。そういう意味で、若い転入してきた人たちが地域になじむための一歩を支えるべく私たちも活動しているのですが、地域福祉計画第1期には、子育てのところがほとんど入っていなかったんです。今3期目になってやっと入ってくるという状況で、この15年で変わってきたとは思うのですけれども、加えまして、結婚なさらない方もふえてくる中で、就労の有無に限らずひとり暮らしの男性・女性も多く、都市部においては、そういう人たちをどういうふうに地域の中に入れていくのかというのは、非常に課題になっています。顔が見える関係とともに、働いている人たちも参画できる仕組みというのを、新たに考えていかなければいけないのではないかと思っております。


○原田座長 ありがとうございます。

 地域とのきっかけづくりとか、地域にどういう形でつながりをつくっていくのか。もともと地域につながりがあることを前提にするのではなくて、むしろ地域とのつながりがない人たちをどうするのか、そこの仕組みが必要だと。

 勝部委員どうぞ。


○勝部委員 今回は丸ごとということで話し合うということなのですけれども、豊中は今集合住宅に住んでいる方が63%で、人口密度も全国で6位ということなので、どれだけ縦に積んでいるのかという町なのですけれども、その中のマンションが今、管理組合をつくっても自治会というか、いわゆるコミュニティーをつくることに重きを置かれていないということも、先ほど、どうやって自分たちの町で住んでいくのかということについても、余計なことを干渉しないでいきましょうという機運と、いざとなるととっても困ってしまうという問題があって、困ったときには地域というのだけれども、そのときの地域はだれなのですかというと、一部の一生懸命やっている人たちが全部オートロックのところをかぎ分けて一生懸命入っていくみたいな、そういうことはみんなが我が事になっていかないところがあるのですが、今回のことがそういういろいろな方々に身近な問題だということを感じてもらえるような、そんな機会になってほしいなというのは切に思いますので、ぜひ、そういうことも考慮いただきたいと思います。


○原田座長 大原委員どうぞ。


○大原委員 先ほどもお話しさせていただいたところと重複してしまうのですけれども、我が事として感じる感じ方というのが、本当に福祉やボランティアに興味がある方だと大体推測できるというか、どういうモチベーションで活動されているか、例えば、自分はどういう形で老後生きていくのかとか、最期をどう迎えていくのかとか、自分の地域がどうなっていくのかというところもあるのですけれども、例えば、先ほど移住されてきた方がどうだとか、ホームではないアウエーの方がどう持つのかというところで、いろいろと住民の方とつき合っていると、我が事の思い方にすごく多様性があって、私たちは利用者と呼ばれる方のアセスメントは得意なのですけれども、かかわる住民の方々のアセスメントはおろそかにしてしまうと思うんです。どういうふうに巻き込んで、どういう言葉がけをして、どういう魅力的なプランを見せれば、その方々が自分の町のいろいろなことに自分も携わっていって、これが何より楽しくないといけないと。義務とか、言われたからやるとか。

 そこでもう一つ、共生型というところで言えば、最初自分が何か支える側で回っていたはずなのに、いつの間にか自分が支えられているような実感というのはよく耳にするところがあって、そういう意味では我が事のとらえ方とか、住民の立場に立ったみたいなところを余り狭義に整理するのではなくて、多様なものであってもいいと思いますし、それはよりそちら側の福祉だけのロジックで住民を見るのではなくて、住民の方がどう感じているのかというのを、改めてそういうことに関心や興味のない方々から、うちの町の人たちに聞いてみたいなと思ったりしました。


○原田座長 ありがとうございます。

 朝比奈委員どうぞ。


○朝比奈委員 皆様の御発題を伺っていて、地域と言ったときに何を指しているのかというところが皆様方それぞれ基盤が違っているので、なかなか組み合わさっていかないようなもどかしさを何となく感じております。永田委員がおっしゃった、これまでの地域福祉をもう一回取り上げて、そこを変えていくのだということからすると、今までの地域福祉の推進拠点としては社会福祉協議会でしょうし、地域組織を基盤とした地域福祉の展開ということが基本になってきたかと思うのですけれども、まず、そこをどうするのかはしっかりと明確にしないと、先ほどおっしゃられた事業体を育成していくべきではないかといったことに踏み込んでいくような議論になっていかないのではないかと思うのが1点。

 それから、多様な価値観が尊重され、過度に干渉したり阻害されることがないという、こんなにきれいな話なのかなとちょっと思って、多分だれも反対しないだろうと思うのですけれども、そういうことを書き連ねるだけで実際はどうなっていくのだろうかということが全く見えないので、何となく意見の申し上げようがない気がしています。


○原田座長 相田委員どうぞ。


○相田委員 非常につまらない話で恐縮ですけれども、きょうここにいる全ての人が福祉のプロというのかわかりませんけれども、福祉は施すものではないので、論点の言葉も「住民の立場から見て目指すべき地域とは」と来ると、そういうものを私たちがどうやってつくってあげようかみたいな形になってしまうのではないか。これは置きかえてみたら、私も最初に言ったみたいに、私たち民生委員は単なる住民でしかないので、自分がどんなところに住みたいのかという純粋にそれだけから入っていかないと、俺は福祉のプロだからというところから入っていってしまうと、ちょっと違うところに行ってしまうのではないか。私がどんな町に住みたい、どんな人と住みたいという素直な気持ちで話をしていかないと、今日の北海道のお話、下関のお話、豊中のお話、横浜、東京の話、全て人口から何からあらゆるものが違うところなのだけれども、厚生労働省はその全てを見ていかなければいけない。それに沿った形で、今日せっかくこれだけのいろいろな人をいろいろなところから集めたわけだから、その辺のコンセンサスをうまくとっていただくのが議長のお仕事だなと思います。済みません。


○原田座長 ありがとうございます。

 では、土屋委員どうぞ。


○土屋委員 住民の立場から見ての目指すべき地域像、いろいろな地域で住民の皆さんと一緒にワークショップをやっているのですけれども、そうすると、自分たちの地域でどういうことに困っていて、何をすればいいのだろう、それをすればどうなるのだろうという中から、自分たちの目指す地域像を住民自らが考えていくので、今おっしゃられたように、日本全国微妙に違うんですよね。ただ、どこに行っても例えば居場所が欲しいねというのは最大公約数では出てくるとか、見守りが必要だねというのは出てきますけれども、目指す地域像というのは、地域によって住民たちが自分たちでつくり上げていくものかなと思います。


○原田座長 では、最後に中委員どうぞ。


○中委員 そういうことを踏まえてですけれども、この論点のあり方というか、目指すべき地域というのが状態だったり、目標だったりしている感じがするのですけれども、多分地域の中でこういうことを話し合える土壌や、そういう関係のほうがむしろ大事なのかなということを感じました。


○勝部委員 勝手にしゃべります、済みません。うちの町は非常に厳しい町で、1年間で2万人ぐらい人が入れかわる町なので、目指すべき地域とか有り様と言われると非常に厳しい町です。でも、一生懸命この町をよくしようという人たちをどうやってつくるかということ、どうやって仲間を広げるかということが私たちは大事にしていることであって、その辺が描かれることが大事ではないかと思います。


○中委員 プロセスですよね。


○原田座長 ありがとうございます。

 せっかく検討会が盛り上がってきて、このままもっと続けたいのですけれども、お約束の時間が来ました。この雰囲気を次回にぜひ続けていただきたいので、温まったままの状態で次回を迎えていきたいと思いますけれども、今お話がありました、目指すべき地域というのがどうも単一ではなさそうだと。そこは目指すべき地域はこうあるべきみたいにしてしまうと、どうもずれが出てくるよというのは共通した御意見ですし、その中でどういう多様性を大事にしながら、一方で、今おっしゃったように、ここの検討会は国全体を見ていかなければいけないわけですから、どういう共通項を探し出せるのか、そのあたりを次回引き続きまた議論を深めてまいりたいと思います。

 もう一つ事務局にお願いなのは、さっき永田委員から協議疲れとか、連携疲れという話もありましたけれども、先ほどの社会資源のところで、資料2の14ページでいろいろな拠点の整理をしていただいていますが、今、いろいろな政策を話し合って皆さんでやっていきましょうという協議の場がたくさん市町村にあるので、一度どういう協議の場が現在いろいろな分野であるのかを鳥瞰できるような資料を次回におつくりいただいて、その上でまた深めていければと思いますので、一つお願いをしておきたいと思います。

 では、初回の検討会はここまでですけれども、本当にありがとうございました。次回以降も、ぜひ活発に御意見をいただいて進めてまいりたいと思います。

 では、事務局にお返しいたします。


○金井地域福祉課長 どうもありがとうございました。

 次回の本検討会は、1018日火曜日の14時から1630分の予定でございます。場所は全国都市会館の第2会議室でございますので、よろしくお願いいたします。


○原田座長 それでは、以上をもちまして第1回の検討会は閉じさせていただきます。どうもありがとうございました。お疲れさまでした。


(了)

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