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2016年9月15日 第16回中央訓練協議会議事録

職業能力開発局能力開発課訓練企画室

○日時

平成28年9月15日(木) 13:00~15:00


○場所

三田共用会議所 3F大会議室


○議事

○今野浩一郎教授 第16回中央訓練協議会を開催いたします。

 本日御参加いただいている方々の御紹介については、お手元の座席表若しくは参考資料1の名簿を御覧ください。今回から少しメンバーが変更になりました。一般社団法人日本経済団体連合会の遠藤労働政策本部副本部長、京都府兒島商工労働観光部長が、新たに委員に御就任いただいておりますので、御紹介いたします。兒島さんについては代理の方が御出席です。本日の欠席は、日本商工会議所の小林産業政策第二部長で、代理として秋本産業政策第二部調査役が御出席です。あと、先ほど御紹介した京都府兒島商工労働観光部長の代理として、野村雇用政策監に御出席いただいております。

 事務局について、新たに職業能力開発局に宮野局長、和田審議官、職業安定局に大西次長が就任されましたので、御紹介いたします。

 冒頭に、宮野職業能力開発局長より御挨拶を頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。

○宮野職業能力開発局長 ただいま御紹介いただきました宮野でございます。621日付けで、職業能力開発局長を拝命いたしました。本日はお忙しい中、この中央職業訓練協議会にお集まりいただきまして、お礼を申し上げます。

 最近の雇用失業情勢ですが、御案内のとおり、全国の全ての都道府県で有効求人倍率が1倍を超えているという、雇用失業情勢としては大変いい状況になってきていると認識しています。ただ、その一方でこれを細かく見ていけば、まだ様々な地域あるいは職種ごとに、ミスマッチが生じている、更には雇用失業情勢がよくなっている一方で、人手不足が職種によっては大きな問題になってきているといった、雇用全体とすれば、まだまだ様々な問題を抱えていると認識しております。

 そういう中で、今日御議論いただく職業訓練、職業能力開発というのも、こうした雇用における現在の課題を解決していく上で非常に大きな役割を果たす必要があると認識しております。

 特に、先ほど来申し上げましたようなミスマッチあるいは人手不足という状況を考えれば、こうした地域あるいは産業のニーズにきちんと応じた職業訓練の訓練科目をどのように提供していくか、更には労働者、失業者の側から見て、離職者訓練は再就職というのが大きな目標で、今日、正に御議論いただくわけですが、単純に就職できればいい、就職率を増やすというだけではなくて、より安定した職種、当然ながら非正規よりも正規へ、更にはより処遇が高い職場へ、そういった所へ再就職できるような科目をどのように提供していくのか、非常に大きな課題であろうと認識しております。

 そういう中で、本日は今申し上げたような観点も含めまして、来年度の公的訓練につきまして、忌憚のない御意見を頂ければと考えておりますので、是非よろしくお願いいたします。

○今野浩一郎教授 議事に入ります。お手元の議事次第に沿って進めます。最初は、「平成29年度公的職業訓練に係る概算要求について(報告)」です。事務局からお願いいたします。

○稲原職業能力開発局能力開発課訓練企画室長 資料1を御覧ください。こちらには、平成29年度の概算要求の要求額と訓練規模について明記しています。まず、公共職業訓練です。離職者訓練、在職者訓練、学卒者訓練の総額で896億円で、昨年の907億円より減となっています。これは訓練規模にあるように、297,000人規模から294,000人規模ということで、実績に見合って減としています。中身としては、離職者訓練が5,000人ほどの減、在職者訓練は2,000人の増、学卒者訓練は同程度ということで、総額としては減です。

 障害者訓練です。予算額は523,000万から535,000万で、約2,000万ほどの増です。訓練規模としては同程度を見込んでいます。中身としては、離職者訓練と在職者訓練がありますが、大体同程度の規模で、後ほど御説明いたしますが少し増額になっているのは、新規に要求しているものがありますので、それについての増額分です。

 求職者支援訓練については、訓練規模が53,000人規模から42,000人規模と、11,000人ほど訓練規模を減としており、要求額も120億円から94億円程度にしており、これも実績に合わせての減です。一番下に明記していますが、公共の離職者訓練と求職者支援訓練の訓練規模については、昨年の20万人規模から184,000人規模となっています。

 次に、資料1-3に沿って御説明いたします。今回、新規に要求しているものをかいつまんで御説明いたします。まず、民間人材の活用による在職者訓練を中心とした人材育成支援として、57,400万円ほど計上しています。ここは右下のイメージ図にあるように、機構に金融機関から、生産性向上に向けてのいろいろな相談、どのような訓練ニーズがあるか情報を寄せていただき、また労働局からも訓練ニーズに関する情報収集を行いながら、機構で外部講師、特に大企業のOB等、こういった方々で、生産性向上へ向けてのノウハウを持っているOB等に外部講師として来ていただきまして、機構にて中小企業に対して在職者訓練を行うといったスキームです。これが1つ目です。

 次のページが2点目です。先ほど障害者訓練について、規模を少し大きくしたと申し上げましたが、現状の課題として○の1つ目です。上段に書いているのが、精神障害者の求職申込件数で、下段が身体障害者の求職申込件数です。平成24年度では精神障害者が57,000件、身体障害者が68,000件だったものが、平成26年には逆転し、平成27年の直近では精神障害者が8万件、身体障害者が63,000件といったことで、精神障害者の求職申込件数が急増している状況にあります。こういった状況にある中で、障害者校については全国19校ぐらいにとどまっているということで、職業訓練を受講する機会の確保が必要であったり、障害者の特性から、当初から6か月、1年といった長期の受講が困難な場合も見受けられます。そういった障害特性に関する専門的知識が必要な中、訓練指導員に対する研修を行っているわけですが、その指導員が研修中の不在時の職業訓練実施体制の確保が難しいといった現状があります。その中で、「ニッポン一億総活躍プラン」の中でも、職業訓練校に精神保健福祉士の配置の強化がうたわれました。こういったことを受けまして、平成29年度の予算要求の概要として、都道府県の全ての職業能開校に精神保健福祉士を配置し、そういった相談体制を確保し、また先ほどの長期の訓練の前に3か月以下の導入訓練を行いながら、連続受講しながら、適している方については長期の訓練に持っていく。最後に、障害特性に関する専門知識を持つ指導員の研修を行っている不在の間の代替の講師を配置するといった体制整備を、平成29年度要求の中に盛り込んだ額として、15,300万円ほどを計上させていただいたということで、これは全て新規要求です。

 次のページです。地域創生人材育成事業については、平成27年度から実施しているものですが、現在、平成27年度、平成28年度で、全国で19か所、地域の創意工夫を生かした既存の公的職業訓練の枠組みでないものについて実施していただいております。この訓練規模は、年間上限は3億円の3年間の事業です。MAXに受託すると9億円の大きな事業になりますが、このMAXに近い事業を受託されている所については、そう多くはありません。そういった中で次年度の予算要求については、現在我々も相談も受けているとか、情報を持っている中でも、そう多くはないということも鑑み、次年度は5か所程度を想定しているといったことで、少し減額しています。これが、次年度における大きな概算要求のポイントです。

○今野浩一郎教授 御質問、御意見をお願いいたします。

○関口正雄常任理事総務委員長(全国専修学校各種学校総連合会) 関口でございます。この場所でお聞きするのがいいのか分かりませんが、障害者の受入体制強化のことです。求職の申込みから訓練を受けるという流れの中で、御本人が見えて申込みをするとか、訓練を受けるという判断の場合がないわけではないと思うのですが、どなたか御家族の方などがお見えになって、いろいろと相談し、訓練を受けることをお決めになるのではないかと思うのですが、その辺の訓練を受けるまでの実情というのは、どのようになっているのでしょうか。

○松原職業安定局総務課訓練受講者支援室長 職業安定局訓練受講者支援室です。障害者がハローワークにお越しになった場合は、状況によりますが障害者窓口に御案内させていただきますので、そこで御相談させていただいた上で、訓練がふさわしい方は受講あっせんの上、訓練に行っていただいております。ですので、そこでハローワークの職員と相談していただきます。その際に、若年の障害者であれば親御さんが御一緒される、あるいは障害の程度によっては御親族が御一緒に相談ということは当然あると思います。

 そういった関係者の中で相談した結果として、最もふさわしい進路が就職なのか訓練なのかと検討するときに、訓練という選択肢が1つあると思います。ですので、そういった御親族の御意向も、御本人の御意向と合わせて御相談に応じて、送り出しをさせていただくことになると思います。

○関口正雄常任理事総務委員長 訓練を受けておられる間も、御家族の方との連絡だとか、精神保健福祉士の方と保護者的な御家族の方と、訓練が順調にいくようにとか、そういうようなことについての連絡があって、訓練が継続されるという理解でよろしいのでしょうか。

○溝口職業能力開発課長補佐 訓練受講中についても、必要に応じて訓練校で、御本人だけではなくて親御さん、その他保護者の方と連絡が必要ということであれば、適宜連絡を取らせていただきながら、訓練の効果が最高に上がるようにやらせていただいております。

○関口正雄常任理事総務委員長 障害者まではいかないのですが、発達障害などの受入れをしている場合がありまして、その場合は御家族の方との連携は非常に重要なものですから、お聞きしました。ありがとうございました。

○今野浩一郎教授 ほかにいかがでしょうか。

○森信介専務理事(一般社団法人全国産業人能力開発団体連合会) 意見として述べさせていただきます。民間人材の活用による在職者訓練を中心にした人材育成支援で、生産性向上に向けた人材育成を支援するという取組は非常に素晴らしいと思うのですが、これは機構で行う訓練ということで、いわゆるサービス業の中小企業は対象とならないとお聞きしております。御存じのように、今、政府はGDP7割を占めるサービス業の生産性向上の取組を進めているわけですので、都道府県が行う在職者訓練等において、サービス業に対して製造業のほうから優れた生産性向上の取組を、サービス業にうまく使えるような橋渡し役というものが、このような訓練を通じて行われるといいのではないかと思いますので、より生産性向上というキーワードをうまく活用事例として紹介していただければ、よりサービス業においても生産性向上の取組が広がるのではないかと思います。

 御存じのとおり、観光客を4,000万人に増やそうとしているわけですが、そういった中で、宿泊業など、そういった現場においては生産性向上が大きな課題になっていますので、是非そういった形でこのような生産性向上の取組を、訓練を通じて、製造業からサービス業のほうに移転するというような意識を持って進めていただけると、よりいいのではないかと思います。

○木塚職業能力開発局総務課長 1点御紹介させていただきますと、中小企業庁で生産性向上のために法律案を改正されまして、経営力の強化ということで取組をされています。それは全体的な指針があって、それに基づき、先ほどあった宿泊業とか、そういう業種ごと、事業分野別に指針を作って、その指針に合致するようなもの、例えば中小企業が認定を受けるということになると、業界団体がいい取組を横展開するということで吸い上げて、それをほかの企業に伝達するために研修という形で職業訓練などをされるような場合には、キャリア形成促進助成金で支援するという方向で、準備を進めているところです。ちょうど補正予算で要求させていただいておりますので、補正予算が成立した暁には、そうした形でいろいろなお手伝いができるのかなと考えているところです。

○今野浩一郎教授 ほかにいかがでしょうか。

○秋本みつ産業政策第二部調査役(日本商工会議所) 民間人材の活用による在職者訓練を中心とした人材育成支援に関してですが、新たに6億円近くの財源を使って実施するという計画であるならば、十分な検討と説明が必要だろうと思います。

 まず、このサービスに対する需要がどのぐらいあるのかを明確に、定量的に確認される必要があるのではないかと思います。また、民間企業の中で類似のサービスが行われているものがありますので、そういったサービス提供事例の調査、関係各所へのヒアリング等を実施していただいて、この事業の枠組み、人材確保の方法、情報入手の手段が現状考えているもので十分か、業務フローとしてきちんと成立するか、といったことまでを含めた検討を行うための緻密な計画を策定する必要があると考えます。その上で、実際に生産性向上に資する人材育成支援事業として成り立つかというのをシミュレーションし、実行可能であるということを確認したうえで進めていただく必要があると思います。

 また、この事業に関しては、成果を測る指標についても何らかのものが必要だと思いますので、そちらの検討も合わせて進めていただく必要があると思います。難しいとは思うのですが、単なるアンケートで、「よかった」「悪かった」について回答をもらうような感覚的なものではなく、もう少し「生産性向上」という成果が上がったかどうかを見る定量的な指標として、あり得るものの検討を進めていただければと思います。

○宮野職業能力開発局長 ただいまの御指摘のとおりだと思っています。まず、この新しい事業ですが、これは資料にありますとおり、正にモデル的に実施するということで、モデル的にやってみて、いろいろな問題点、課題が出てくれば、それをどう修正するかということで考えていこうということで芽出しをしようという事業です。

 ただ、現状を申し上げれば、既にこうした、ものづくり分野での在職者訓練は機構を中心にいろいろな形で実施しております。そういう中でも、もちろん機構の指導員が講師になってこういった訓練を実施しているというものもあれば、機構のそれぞれのポリテクセンター、ポリテクカレッジは地域の様々の方とのいろいろなコネクションもありますので、実際にこういった外部の方にお願いして、こうした訓練を実施するというような実例も結構あります。

 ですから、イメージとしては、そうしたものをもう少しネットワーク化して、統一的にきちんとした形でできないかということで、事業としてモデル的にやってみようというのが、この事業の趣旨です。

 もう1点の効果の測定です。これも御指摘のとおりだと思っています。離職者訓練の場合に、冒頭の挨拶で少し申し上げたとおり、就職率というのが、1つの大きなメルクマールとしてありますが、在職者訓練については、確かに離職者訓練における就職率のような1つの明確なメルクマールを探すのは非常に難しいと思っています。

 ただ、これについては既に今年の行政事業レビューで、認定訓練についてでしたが、同じように在職者訓練について、効果をどのように測定するのかが大きな課題であるという有識者の先生方からの御指摘を頂いいております。その際、有識者の先生方からも、「なかなか自分たちでもアイディアはないのだけれども」と言いながら、「定着率というものはある」という御示唆は頂いております。

 ですから、この新しい事業あるいは在職者訓練全体としても、今申し上げたような形で、効果をどのように測定するのか、行政事業レビューでも宿題を頂いているものですから、合わせてきちんと検討していきたいと思っております。

○今野浩一郎教授 効果測定は定着率も今一ですよね。定着すればいいのかという話ですよね。

○宮野職業能力開発局長 おっしゃるとおりで、在職者訓練に関しては今申し上げた行政事業レビューのときの有識者の先生方の「何がいいのか分からないのだけれども」という中で、「1つは、定着率というか、離職率というようなものがある」という御示唆ではあったのです。

 当然、在職者訓練ですから、1つは正に今回の事業のように、具体的にどう測るのかというのは別にして、そうした訓練をすることによって生産性が上がって、企業の業績が上がって、さらに労働政策としてやるわけですから、それによってそれが労働者に具体的に賃金等の処遇ではね返ってくるのかということだろうと思うのですが、それを客観的な数値でどう測るのかというのは、就職率などと違って非常に難しいというのが現実だとは思うのですが、さはさりながら、少しその辺りのところを工夫できないかなと考えているところです。

○今野浩一郎教授 ほかにいかがでしょうか。

○村上陽子総合労働局長(日本労働組合総連合会) 今の秋本委員の御質問と似ている内容で意見を述べます。モデル的に実施されるということで、機構と中小企業の間でどのようなことを取り組まれるのかというのはイメージできるのですが、訓練ニーズの収集の部分で金融機関が関わってくるところのイメージが現実的なものとして浮かんでこないのです。労働局と中小企業の皆さんとの接点は日常的にありますし、そういう中で機構が実施されている訓練を御紹介するということはあると思うのですが、金融機関となると、図解にあるようなこういう流れが本当にできるのだろうかというところには疑問があります。無理はしないで実施されたらどうかなということです。

○宮野職業能力開発局長 正に今の点も一言でお答えすれば、モデル的にやってみたいということではあります。

 いずれにしても、中小零細企業と地元の金融機関は、いろいろな形でお付き合いがあると思います。そういう中で、ハローワークの窓口で事業主の方がいろいろな訓練ニーズについての情報収集ができるかどうかということと合わせて、そうした金融機関と地元の中小零細企業との日常のいろいろなお付き合いの中で、例えばこういう人材がほしいのだとか、こういう事業をやりたいと考えているのだというような、いろいろな話は出てくるのではないか、そういうものをうまく在職者訓練のニーズとして吸い上げることができればいいのではないかという問題意識であって、その辺りをこの事業でモデル的にやれたらと考えております。

○今野浩一郎教授 金融機関は、そういうことをやると融資ができるとか、融資先の経営がよくなるから協力しようかというインセンティブですかね。

○宮野職業能力開発局長 おそらく、金融機関としてもそれぞれの融資先、取引先の企業の業績向上という部分があると思うのですが、そういう中で人材育成の強化というようなものと関連付けられないかということだと思います。

○今野浩一郎教授 結果を楽しみにしています。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、1番目の概算要求については、この辺にさせていただきます。

 それでは、2番目の議題です。「平成29年度全国職業訓練実施計画の策定方針について」です。事務局からお願いします。

○稲原職業能力開発局能力開発課訓練企画室長 資料2です。まず、公共職業訓練の離職者訓練です。先ほど、概算訓練規模等要求額を説明しましたが、ここに明記されているものは国の訓練規模を書いております。対象者と就職率の目標を掲げておりますが、先ほど申し上げたとおり、対象者数については実績に合わせて少し減になっております。就職率の目標を施設内訓練は80%、委託訓練は70%と定めております。

 このことについて資料4で説明いたします。資料4-2です。委託訓練の就職率の推移を棒グラフで明記しております。リーマンショック以降、就職率がぐっと下がりました。目標率を設定した平成23年度の目標は65%で、そのときの就職率は60.9%でした。その後どんどん上がり、平成27年度の最新実績は75%で、目標率は平成26年度に65%から70%に上げて、平成24年度以降、就職率の目標値をずっと上回っております。

 資料4-1です。そういう中で、労政審の第96回の能開分科会の御議論の御意見として、当時、委託訓練は74%ぐらいだったわけですが、もはや最新実績が75%という中で70%というのは目標値としてどうかという御意見を頂きました。今回、当協議会でもこのことについて御検討いただければと思います。ここには委託訓練の就職率をPとしております。

 続いて、資料2にそのまま即して説明いたします。今、申し上げた離職者訓練については、就職率の観点だけです。在職者訓練ですが、57,000人から59,000人規模として2,000人ほど増としております。これは、先ほど申し上げた生産性向上に伴う在職者訓練の規模として1,000人ほどの増と、もう1,000人上乗せしているのは、IT等の高度な訓練、また、オーダー型の訓練を受注するようにということで、全国の訓練規模として1,000人増やして合計2,000人ほど増としております。

 また、効果的な訓練の実施のための取組については、先ほども申した生産管理等の多様な分野に拡充するために、民間の専門家の外部講師等の在職者訓練を活用すべきということです。

3番目の学卒者訓練です。5,900人から5,800人と100人減っております。これは、能開カレッジの定員の見直しによるもので100人減っておりますが、同程度と見ていただいて結構だと思います。

 障害者訓練です。1300人から8,510人と若干減っております。先ほど新規の要求の際に説明したように、精神の障害者の求職申込件数が増えていて障害者の訓練ニーズが高まっている中、訓練規模を減らしたのはなぜかと申し上げると、平成29年度においては先ほど申し上げたように訓練の実施体制の確保を行う予算を新規に要求して、その後においては、このように訓練ニーズが高いということであれば、当然、8,510人から訓練規模を増するという考えでいるということが1つです。もう1つは、就職率の目標です。施設内訓練は65%と同様ですが、委託訓練は53%から55%に2%ほど増やしております。これは、平成259月に障害者基本計画を閣議決定した中で委託訓練の目標率が定められており、平成29年の目標が55%となっている点を踏まえて就職率の目標率を55%に定めたところです。

 下に訓練内容について明記しております。昨年、今年行う訓練規模で実践を伴う障害者の訓練コースの定員の拡充をしております。次年度においては更にそれを拡充するのではなく、ほぼ同等の訓練規模を確保して、実践能力習得訓練コースを重点化するということを踏まえて行っていくことについて、少し昨年の書き方から変更してここに書いております。効果的な訓練実施のための取組については後ほど紹介いたしますが、今年度、障害者職業訓練の在り方についての検討会から報告書が出されました。そのことについては、後ほど説明いたします。

5番目の求職者支援訓練です。これは先ほどの概算要求でも申し上げましたが、かなり受講者数が減っている状況です。実績に合わせて53,500人程度から41,700人に、それに伴い訓練認定規模の上限を82,200人から67,250人としたところが変更です。

 もう1つ、4の新規参入の上限の部分です。資料3を御覧ください。今年から新規参入の上限を20%で、基礎、実践とも行っております。実は資料3のように青で色付けしている所、平成27年度のものですが基礎コースは13か所、実践コースは23か所で、上限の20%を超えて申請を行っている所が存在する。

 また、そういう中で、認定率は赤で色付けしている所を御覧になっていただければと思います。特に埼玉県の実践コースで申し上げると新規の申請率が42%と非常に高い率で申請されている中、全体の認定率としては100%を切って84%であります。

 こういう認定率が低い所については、上限である20%を少し流動的に活用できないかということで、先ほどの資料2-4の部分の※の所に明記してあるように、認定単位期間で実績枠に余剰定員があった場合においては、枠の活用のために同一認定単位期間内であれば、新規枠へ振り替えることも可能とできないかということが今回の考え方です。

 以上が資料2についての変更点です。先ほど説明した資料34以降、資料5についても若干説明いたします。参考データとしてこちらにセットしました。公的職業訓練の資料5-3を見ていただきますと、それぞれの就職率を明記しております。公共訓練は先ほども申し上げたように就職率の目標が施設内訓練80%、委託訓練70%であるところ、それを大きく上回って就職率を維持しており、学卒者訓練についても96.8%です。障害者訓練の施設内訓練については73.1%で、委託訓練が47.9%です。

 先ほど申し上げた障害者の委託訓練については、閣議決定されている率を55%まで上げなければなりませんが、平成27年度実績のときの目標値である51%を下回っている状況です。これは初めて実際に目標に届かなかったのですが、この要因については、この景気のいい中ですので、障害者の方も就職できる方は訓練をせずに就職件数は伸びましたが、重度の障害者は訓練を受講しても就職しにくくなったことと考えております。平成27年度においても、第3四半期までは目標率を上回り推移しておりましたが、第4四半期になり最終的に結果が伸びなくて目標を下回ったという状況が発生いたしました。

 資料5-5です。公共訓練に関するデータの受講者数です。右の一番下に全体の合計で127,807人という数字があります。平成26年の数字が134,201人ですので、約6,000人強の受講者が減少しているという状況が見受けられます。,

 資料5-6です。就職率です。都道府県別に見るとこういう就職率です。資料5-7にあるように施設内訓練85.7%、委託訓練75%です。これは平成26年度の数字で申し上げると上段の施設内訓練が83.2から85.7と伸びております。また、委託訓練も74.2から75%と。共に就職率の全体としては伸びているという現状です。資料5-8です。分野別で見ると、介護系が83.9%と一番高くて、次いで製造系が76.7%です。資料5-10の障害者のことについては先ほど説明したとおりです。

 次に求職者支援訓練のデータです。資料5-12ですが、認定件数は右肩下がりでずっと下がってきているという状況で、資料5-13のように、基礎コースは認定上限値を超えた申請がある一方、実践コースは認定上限値に満たない状況である。昨年までは37の割合で枠を設定しておりましたが、本年度から55にいたしました。つまり、実践コースの申請で100を切っている所が網懸けしている部分ですが、こういう所については、基礎コースで100を超えている所について55にすることによって、認定できる枠を広げることができるのではなかろうかということで、本年度の推移を見守っているところです。

 資料5-14です。求職者支援訓練の中止率については、下段の表グラフの一番下ですが、中止率が平成24年からどうかと申し上げると、基礎コースについてはだんだん増えましたが、最新では14.3%と減ってきております。実践コースは26.1%から少し下がってきたところ、平成27年度でまた増えてきているという状況です。資料5-15です。就職率は55.5%と60.1%ですが、これは共に昨年の53%から55.5%、実践も57.6%から60.1%と就職率は伸びておりますが、やはり実践コースのほうが就職率が高いという状況は同様でした。

 資料5-16以降は分野ごとの設定です。これは、実際の求人ニーズと求職者ニーズに沿った形で訓練コースが設定されているという表です。また御一読いただければと思います。資料5-21については、各年度の基礎と実践ごとの新規枠の割合を棒グラフ化いたしました。資料6は、前回の訓練協議会以降に告示として出されたものとして参考に付けておりますので、説明は省略いたします。

 資料7は、今年度の地域職業訓練実施計画の一覧表を都道府県別に参考として付けておりますが、説明は省略いたします。資料8は、地域訓練協議会で出された主な御意見として大きく14番まで書いており、資料8-2以下については、それぞれの都道府県で出された御意見を明記しております。大きく資料8-1に沿って説明申し上げると、制度周知について、戦略的に広報、イメージアップするようなもの、facebookLINEを活用できないのかという御意見を賜っております。愛称やキャッチフレーズ等の広報の展開について、次年度考えていることについて、また後ほど説明いたします。

 また、2つ目の訓練コースの設定について、公共訓練や求職者支援訓練と重複しているものがあるのではないのかという御意見があります。今年度より、御承知のとおり総合的な地域職業訓練計画を全都道府県で策定して、全体を労働局でグリップすることになっておりますので、こういう調整が過去よりはやりやすくなったのではないかということです。

3つ目です。訓練コースの設定については、先ほども申し上げた中止するコースが多いのではないか、観光産業の需要も増えているのではないか、こういうコース設定にすべきではないのかということの御意見も多く賜っております。こういう部分については、地域創生事業であったり、コンソーシアム事業で既存の枠組みのないコース設定について検証して残すものは残すということも行っております。

4番目、その他です。ソーシャルスキルの訓練をお願いするとか、若者導入の通信教育等の訓練はどうかということについても、求訓の基礎に職業能力開発講習を取り入れたり、eラーニング訓練を検証しながら実施するということを11月から3か月程度行います。これについては、実際に検証してどのような形になるのかということを踏まえて、平成29年度の概算要求にも盛り込んでおりますが、事実上、今年度実施する予定ですので、また紹介申し上げます。

 以上、雑駁ですが資料8まで説明いたしました。

○今野浩一郎教授 今から御質問と御議論をしていただきたいと思います。最初に我々に当てられた宿題の点を議論して、残った時間にそれ以外の点を議論していただきたいと思います。先ほど説明がありましたように、事務局として、まず1つは新規参入枠の柔軟な対応について、皆さんの御意見を頂きたいということです。資料2-4の下の右側の※の所に書いております。新規参入枠の柔軟な対応について、要するに定員が余っていたら新規を増やしたいということですね。そこを柔軟にしたいと思っているのですが、いかがでしょうかということです。これについて御意見を頂きたいということと、もう1つは、公的職業訓練の就職率の目標設定が資料2-1の右側に委託訓練でPでペンディングになっているので、ここについても御意見を頂きたいという、この2つが事務局が議論してほしいと考えている点ですので、その2つから議論したいと思います。

 まず、新規参入枠の柔軟な対応について御意見を頂ければと思います。

○森信介専務理事 新規参入の柔軟な対応については賛成です。その際に、是非、既存事業者の声を踏まえて対応していただきたいと思います。そうでないと、なかなか新規参入を増やしても結果として事業者が増えないのではないかということが起こります。3点ほど既存事業者の声を紹介いたします。まずは申請の手続の簡略化、受託金額について、成功事例の共有という3点で、是非、新規事業者にもっと参入しやすい環境を作ってほしいと思います。

1点目の申請書手続の簡略化については、ホームページ上に情報が出ている場合や個別に問い合わせなければいけないという形があったり、都道府県ごとに若干違うことがあると聞いております。また、申請書の作成についてもかなりまちまちで、かなり煩雑な所もあると。例えば説明会から入札までの期間が非常に短くて、かなり入札書類を作るのに時間がかかるので負担がかかるとか。できたら書類の簡素化、説明会から入札までのスケジュールの見直しをある程度統一していただきたいということが挙がっております。

 また、受託金額については、先ほど就職率の議論があると思うのですが、事業者としては何とか就職率を高めようと質を高める工夫を様々にしている中で、受託金額が入札参加も下がっていく傾向があるということで、講義の質や就職率を高めるために、昨今は最低賃金も上がっている中で、金額についても御配慮いただきたいということが2点目です。

 成功事例の共有については、新規参入事業者、もちろん我々既存事業者もそうなのですが、大きな課題としては、まず受講生を集めるということと就職率を高めるということだと思います。受講生を集めるというところでは、先ほどの資料8以降に各協議会で出された主な意見の所にありますが、例えば、横浜市は、ほかの訓練よりも充足率が高いという声があって、これは何か違いがあるのかという御意見が出ておりました。

 そのように成功している所、例えば、ハローワークの取組を積極的にやっている所があるようですが、そういう受講生を高めて集める成功事例も共有しないと、新規参入して中止になってしまっては、いろいろな負担は事前の準備の段階でかかっておりますので、できたらそういうものは官民ともに協力して成功事例を共有していただきたいということ。

 就職率についても、かなり事業者としてはいろいろ工夫しております。70%以上にするためにキャリアコンサルティングを増やしたり面談時間を増やしたり、講師による生徒との間のコミュニケーション作りをを増やしたり、生徒同士でのコミュニケーションを円滑にするとかグループワークを増やしたり、かなり工夫した結果、就職率を高めているという成功事例があります。そういうものはある程度共有していかないと、結果として参入を増やして就職率が目標に達しないと、またそこで効果的な訓練ができませんので、そういう成功事例も是非共有していただいて条件を整備していただけると、既存参入、事業者にとってももっと増えてくるのではないか、活性化するのではないかと思います。以上です。

○松瀬職業能力開発局能力開発課就労支援企画官 御案内のとおり求職者支援訓練については、本年の10月から省令の改正をして、新たなカリキュラムの在り方の下でスタートを切ることになっております。それに先立ち私どもと機構で協議して、ただ単に制度を変えるだけではなくて、労働局や機構支部が様々な運用上の工夫によってもっと求職者支援訓練を推進していくべきではないかということで、具体的な取組について通知を出しました。

 その中で、10月から新たに始まる職業能力開発講習ですが、先ほどおっしゃいました好事例の横展開のためにも、求職者支援訓練の好事例を集めて業者にフィードバックしていこうということも取組の中で議論しております。

 また、簡略化等の御意見もいただきました。求職者支援訓練を推進していくために運用上でできることは、当然、我々はすぐすべきだと思っておりますので、これは今課題としていただきましたので、この取組に反映させていきたいと思っております。金額は制度に関わるものですが、今後の課題として受け止めさせていただきます。御意見ありがとうございました。

○今野浩一郎教授 今の意見は、柔軟な対応についてはいいということですね。でも、柔軟な対応をしたところで新規参入が増えなければしょうがないという話ですよね。

○森信介専務理事 はい。

○今野浩一郎教授 ほかにいかがでしょうか。これは我々が決める必要はないのですよね。皆さんの御意見を頂ければいいということで、よろしいですか。ですから、今のところ反対の御意見がないので、全体的に肯定的な雰囲気だということになります。

○関口正雄常任理事総務委員長 今お話がありました単価といいますか、金額の所は、前にもお話しましたように実情に合わせてかかるべきものはかかるというところで、そこで募集できる人数との兼ね合いもありますが、参入するためには最少催行人数の見切りと金額との問題が非常に大きいので、金額的な柔軟性というか、幅が講座の内容に即しているということが新規参入の可能性を増やすのではないかと思いますので、是非、御配慮いただければと思います。

○今野浩一郎教授 それでは、御意見としてお聞きしておきます。

○松瀬職業能力開発局能力開発課就労支援企画官 はい、お受けしておきます。

○今野浩一郎教授 ほかにいかがでしょうか。そうすると、これは柔軟な対応をやってみたらと。でも、もともと新規参入に制限を加えているというのは、新規参入をバーッと増やすとクオリティの悪い事業者が入ってきてしまう心配があるということで、上限を設けております。柔軟化してしばらく見て、またフィードバックして考えるということだと思います。

○松瀬職業能力開発局能力開発課就労支援企画官 当然、制度の創設当初は、今座長がおっしゃったような考え方がありました。平成2310月から、この制度がスタートして一定の落ち着きを見たのではないかということで、それを踏まえての見直しです。

○今野浩一郎教授 それでは、全体的に皆さん肯定的だったということで。もう1つは、先ほど申した資料2-1の右側のページの一番上段です。委託訓練の就職率を増やしてほしいという御意見があるということですか。能開分科会でそういう御意見があったということですか。

○稲原職業能力開発局能力開発課訓練企画室長 はい。

○今野浩一郎教授 その辺について、どのように皆さんが考えるのかということです。

○関口正雄常任理事総務委員長 座長、資料4の所も併せてということでよろしいですか。

○今野浩一郎教授 はい。

○関口正雄常任理事総務委員長 就職率の目標設定の適切性については、もちろん、外的要因としての雇用環境があると思いますが、それ以上に訓練の質の要因による就職実績というところを優先的に考えるべきだと思います。その際に就職できた割合に対して、個々に就職できなかった人たちの理由は何なのかというところについてデータがあって、これも受講者プロフィールごと、例えば、求職者訓練については特にプロフィールごとに一人一人の要因の把握が必要で、なるほど、こういう理由で就職できなかった人たちの構成なのだというところが1つの説得力だと思います。

 私どもの専門学校でも求職者の就職率だけではなくて、修了者の就職率、就職を希望しなかった人、希望したけれど就職できなかった人、それぞれの内訳を明示するということで、例えば、高校側の信頼をもらうということが一般的でもありますので、そのまま応用できるのか分かりませんが、プロフィールごとの就職できなかった人の状況を把握できているということが重要ではないかと思います。

 この場合は、データがなかなか難しいということもお聞きしておりますので、求職者訓練、委託訓練等について、事業を実施する民間事業者は、ある程度それを把握できるのではないかと思います。その辺からの収集と、それを経年的に見ていくというところで傾向を把握するということが1つ重要だということだと思います。

 就職率そのものの中身については、これもなかなか難しいことではありますが、定着率という問題もあり、修了後のキャリア形成にどのように影響を与えているのかというところも、一定年数を区切ってプロフィールごとに把握していくということで、就職率の内実も拡張するという2つの面から、目標の適切性を考えるということが有効ではないかと思います。

○今野浩一郎教授 今の御意見は、単に就職率の70を高くするとか低くするというよりも、今おっしゃられたことのほうが、より重要だという御趣旨ですか。

○関口正雄常任理事総務委員長 より全般的にこの70が低いとは思っております。

○今野浩一郎教授 ほかにいかがでしょうか。

○堀有喜衣主任研究員(労働政策研究・研修機構) 今の関口さんの要因分析をすべきだということや、単なる就職の一時点だけではなくて、より長期的に見ていくことが大変重要という点につきまして私も心から賛成します。

 その上で、就職率というものは訓練の質ももちろん重要ですが、職業訓練というのは景気変動のセーフティネットという側面があると考えております。その際に直近が高い数字だったからと言って、いたずらに目標値を上げていくことが果たして良いことなのかという疑問があります。もう少し、長期のスパンで就職率を設定していくことが重要ではないか。例えば5年なり、10年なり、これは単なる案ですが、例えば平均を取るとか、いろいろなやり方があると思います。直近の数字に惑わされることなく目標値を定めていくこともまた重要でないかと考えます。

○今野浩一郎教授 今の考え方をそのままもし使うとすると、変に動かすよりか、例えば、10年の移動平均で見ていくとか、5年の移動平均で見ていくとか、そういうことになるということですか。

○堀有喜衣主任研究員 一つの例です。直近1年の数字だけで見るのはちょっとどうかなと思います。

○今野浩一郎教授 ほかにいかがですか。

○森信介専務理事 就職率70%の目標値については適切ではないかと考えております。私どもの実際に委託訓練をやっている事業者の声を聞くと、3年前に65%だった事業者が、今回77%になったというケースを検証しました。先ほどのお話のとおり、様々な就職率を高める取り決めをした結果上げているということで、70%という目標値を何とかして超えようということで努力した結果77%になっている。ですから、70%というのは非常に事業者にとっては120%ぐらいの努力で何とか実現できるレベルではないかということで、何らかの目標値は必要でしょうし、低過ぎてもよくないですから、そういう意味で70%というのは適切なレベルではないかと。実際にやっている事業者の声を一部調べた結果では、そのようなことが言えます。意見を述べさせていただきました。

○今野浩一郎教授 いかがでしょうか。小林さん、何かありますか。

○小林信労働・人材政策本部長(全国中小企業団体中央会) 中央会の小林です。資料4の裏面のグラフを見ると、これはどう見ても平成21年、平成22年はリーマンショックのときですね。その後震災後ということで就職率は低かった。私も平成2122年度くらいから労働関係の担当をしているのですが、この目標の就職率を見ている限り、施設内訓練はかなりずっと高いのに対して、委託訓練はずっと低い状態で来ていたのです。それは結果を見ながらの判断で、確かにそうはしてきたのですが、今の雇用情勢を見ても、なおかつ、民間の方々のいろいろな訓練施設の御努力もあるのでしょうが、ここへ来て72%、74.2%、75%まできているわけです。目標なのですから、私は高く設定したほうがいいと思います。今現状でいくのであれば75%、平成27年度ベースぐらいのは、しっかり委託訓練については目標を達成してくださいというような目標設定で、能開分科会から目標値を高めてくれという指摘が出たのだと思います。

 なおかつ、現状として雇用情勢は今年も良いですし、多分、来年も良いでしょう。労働人口、就労人口も含めて考えていけば、企業側も人が欲しい状況になっているわけですから、当然ながら目標率も高めて設定していくべきではないかと思います。これは私の感想です。

○今野浩一郎教授 ありがとうございました。小林さんの考え方に従って目標率を設定していくと、当然、論理的に考えると、雇用情勢によって柔軟に目標設定は常に変えるということでいいわけですよね。悪くなったら下げるし、そこは柔軟に変えましょうということになりますね。

○遠藤和夫労働政策本部副本部長(一般社団法人日本経済団体連合会) 目標値の考え方としてお話がありましたように、一定程度の実績を踏まえて対応するという考え方もあることは理解した上ですが、やはり、小林委員がおっしゃったように、目標について言えばある程度高めの水準を掲げて、そこを目指して努力していくというのが、政府全体の取組み姿勢を示すことになって最も分かりやすい数字ではないかと思っております。現に、雇用保険2事業に関して言えば、単年度ごとに精査して、翌年度の目標値についてはより高い目標をお願いしているという現状がありますので、そういうことも踏まえて、高めの数字を置くよう努めていただきたい。これはお願いであり、私はそのほうがよろしいかと思います。

 前後しますが、先ほど就職しなかった人の割合について、雇用保険の適用は受けていないのですが、短時間就労されている方々も現にいらっしゃることは聞いております。取り分け、求職者支援訓練に関わる部分では、適用者と、適用していないが働いている方のデータも持っていると聞いています。その見方として、適用されている方を実績として見ながら、目標値を立てていくとともに、雇用保険の適用を受けないけれども、何らかの事情があって短時間で働いている方たちも、これだけの割合がいるということは数値として、もうそろそろ共有しても良い時期ではないかと思っております。これは個人の見解です。

○今野浩一郎教授 これまでの点について、事務局からコメントは何かありますか。なければないでいいですが。

○宮野職業能力開発局長 就職率の関係で、いろいろ御指摘を頂きました。これはどう設定するのか、大変難しい話だろうと思っております。本来、公的な仕組みとしてこうした訓練をやっているので、目指すは100%だと思うのですが、今、御意見を頂いたとおり、とは言え、現実の問題として、その時々の経済情勢、雇用情勢等を考えて、やはり、どういう目標を設定するのかということになると思います。

 当面、こうした就職率ということで、目標設定をしているのですが、これも御意見を頂いたとおり、もう少し細かな目標、考察は必要ではないかと考えております。

 遠藤委員のお話に関連して少し申し上げておきます。例えば、資料42ページの就職率ですが、これは訓練終了後3か月後に就職をしているか、していないかというデータです。ですから、遠藤委員がおっしゃったとおり、もしかしたら短時間で就労している方もいらっしゃるかもしれません。3か月時点では、まだ求職中ですが、4か月後、5か月後に就職をされているという方は、逆に75%の中に入っていないことになります。

 今、まだ具体的な明確な数字としてお示しはできないのですが、こうしたデータは確かに雇用保険の被保険者のデータを見れば、今、どういう状態にあるのかというのは計算上は分かることになります。先ほど来御議論を頂いているように、こうした訓練の効果を図る中でも3か月後だけではなく、例えば6か月後、1年後はどうなっているのか。どういう形で就職しているのか。正社員の形か、そうでないかとか、そういったところも含めて少し中身を精査して、また、具体的な状況、分析結果をお示しできればと考えております。

○今野浩一郎教授 これは、多分目標の考え方の問題が1つあります。遠藤さんと小林さんが言われたのは、最高とは言わないですが、かなり上のレベルで、ここまで頑張れよという感じの考え方として設定しようというのと、これ以下は絶対に困るという、一種のボトムライン的に設定するのと、いろいろな考え方があると思います。

 前者の考え方を取ると、かなり変動的に設定することになるので、今度、設定の仕方を間違えると、サービスを供給するほうがやる気を失う可能性がある。それを目標にして頑張ったのに、また変わるのかということになるのです。逆に言うと、目標設定は難しいということになって、どっちがどっちかということです。

 先ほど出た意見では、この設定は少し長期で考えたほうがいいということですと、それは遠藤、小林の考え方でもいいし、ボトムラインでもいいですが、どちらでもいいのですが、少し長期で考えないといけないということになると、短期的に変更させるのは問題だということになります。考えなければいけないことはいろいろあるということですかね。

 私が気にしているのは、余り短期でやると、供給する側というか、サービスする側がやっと追い着いたのに、また前へ行くのかということです。その目標設定に合わせて準備してきたのに、それがまた超えたら、次かということになって、資料4-1の裏側を見ると、たった2年しかやっていないので、少しまだ早いのではないかという気が個人的にはします。

 ただ、今日の議論で頂いたのは、いろいろな考え方があるので、どういう考え方を設定しているのかということは非常に重要な論点だということです。ほかに御意見はありますか。

 これも皆さんの御意見を伺って、もう一度ちゃんと考えるということですよね。よろしいですか。事務局から依頼があった論点は議論していただきました。それ以外、自由に資料2に関連して、御意見、御質問があれば自由にしていただければと思います。

○小林信労働・人材政策本部長 資料8の地域訓練協議会から、主に出されている意見ということで、1枚にまとめていただいています。これは共通する意見として、訓練コースの設定で、介護福祉分野については、人手不足分野でありながら、中止コースが発生するなどしているため、原因分析や対策を考えることが必要だと思います。確かに介護関係の人手不足は大きな問題になっていて、介護関係に携わる方々は訓練が必要でありながら、実際には受ける方々が少なくて、中止コースが出ている。これは本当に大きな問題だと思うので、厚労省として、この原因分析、対策をどうしていくのかということも含めて、何か考え方があるのか。若しくは、ないのであれば、少し考えていただきたいとお願いを込めて意見を申し上げます。

○松原職業安定局総務課訓練受講者支援室長 今、お答えできることについて回答させていただきます。私どもも、介護分野は非常に人手不足でありながら、訓練コースへの応募者が減っている状況を憂えている部分はあります。やはり、雇用情勢が良いので、就職を急がれる方や、実際に就職ができてしまうということで、訓練を経ずに労働市場、介護分野以外のところも含めて行かれる方が多いのではないかというのが感触としてはあります。

 そうは言っても、介護分野に興味を持ちつつ、訓練を受けるかどうかというのも含めて、迷っている方等、幅広く求職者を捉えて、介護のコース説明会といったものをかなり積極的に実施するようにハローワークには指示をしているところです。特に、介護分野も含め、人手不足分野については、できるだけ訓練コース情報を、求職者に積極的に提供してみる。興味を持った方に対しては現場によっては施設を見学していただくなり、体験的な説明会をやっているといった好事例も集まってきています。先ほど来でている好事例の横展開というのも実施をしたり、人手不足分野への誘導をかなり積極的に今実施しているところです。引き続き、その辺は焦点かと思いますので、続けていきたいと思います。

○今野浩一郎教授 ほかにありますか。

○遠藤和夫労働政策本部副本部長 今日頂いた資料で申し上げますと、資料5-11、求職者支援訓練に関するデータについてです。しばらく細かい数字を見ていなかったので、改めて資料5-14を見て、中止率の高止まりといいますか、なかなか改善傾向が見えていない。取り分け、実践コースにおいてのコメントはかなり重く受け止めております。

 記憶が薄れている部分もあるのですが、基金訓練から移行して、しばらくの間は、中止率の問題が取り上げられることが多く、そのときには、地域的な偏在が見られていたのです。地域において何かそこに特化したような問題があるのであれば、そこを重点的に改善していこうという議論がしばらくの間されていたわけです。

 そういった中で、平成24年から4年間の数字がそれぞれ並べられております。実践コースが26年と27年で、大きく中止率が高まっているのですが、この短期間でここまで中止率が上がったというのは、運用面での変更があるのであれば、その変更面の影響により理解できるかもしれないので、何か分析されたものがあるならば教えてください。

○松瀬職業能力開発局能力開発課就労支援企画官 求職者支援訓練制度の見直しは、今年の10月からのカリキュラムの見直しの前は平成264月になります。雇用保険適用就職率の適用等々ですので、平成26年から平成27年にかけての制度的な見直しはありませんでした。その制度見直しが時間を経て効果が出たのかもしれませんが。

○遠藤和夫労働政策本部副本部長 どこまで分析できるかどうかは分からない部分があるのですが、ここ2年間の数字を見ると、ここまで上昇しているということについて、何らかの要因を考えていかなければならないと思います。このまま新規のものが増えて、先ほどの条件により、充足率が大きく、下降しないことが前提に了承されたものですから、今の状況下の中で、この条件がクリアできるかどうかというのは正直心配な面もあります。その辺は関心を持って見てまいりたいと思います。

○今野浩一郎教授 ほかにいかがですか。私から1つだけいいですか。資料5-3、障害者訓練で、先ほど委託訓練で、就職率が47.9%、これは目標が今のところ53%ですね。この目標が下回ったということで、そのとき重度の人が多いのでというお話があったのです。障害分類の場合、重度の人を受け入れるか、軽度かによって、就職率は全然違いますよね。この辺を考えないで、一律この就職率でいいのだろうかと思ったのです。

 例えば、委託訓練で、ある施設で重度ばかりたまたま受け入れてしまったら、就職率は低くなってしまいますよね。軽度の人だったら、就職率は高いです。就職率は障害者訓練の場合、一律何パーセントとやって、それを1つの施設の目標にするというのは、何か問題はないかと思ったのですが、どうでしょうか。答えがなくてもいいです。そう思ったというだけですので、何かありますか。

○溝口職業能力開発課長補佐 最近の傾向として、景気が良いので、比較的障害の軽い方は、訓練を受けなくても就職ができてしまうということで、以前に比べると、訓練を受講される方に重度の方が増えてきたということです。今までは割と好調に目標をクリアしてきたのですが、環境的な問題が大きいのではないかということで考えております。これから実施主体である都道府県といろいろヒアリング等して、実態はどういう状況なのか。どういう状況の中で就職率が下がったのかということは把握して、かつどうしたらいいのかということを都道府県と調整して考えていきたいと思いますので、今、頂いた御意見をそのときの視点にさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

○今野浩一郎教授 それでは、よろしいですか。最後、事務局から、その他、公共職業訓練について情報提供がありますのでお願いします。

○稲原職業能力開発局能力開発課訓練企画室長 それでは参考資料に移ります。参考資料1、参考資料2については、今協議会の出席者の名簿の変更、開催要綱については変更しておりません。参考資料3、前回の訓練協議会でも御指摘を受けて、今年の6月から7月にかけて、公共職業訓練の愛称及びキャッチフレーズについて公募させていただきました。

 参考資料3-5、選定委員会についてという表題ですが、右の愛称、1,393件、キャッチフレーズ1,464件の応募を頂いております。過去にハローワークの愛称を公募させていただいた際には4,000件を少し超えるぐらいの公募があったわけです。愛称、キャッチフレーズと合わせますと、それに近い形での件数が今回も集まったということです。

 ただ、多数の愛称、キャッチフレーズについても、選定についてどう行うかということについて議論をしており、今回の選定委員会の立ち上げをさせていただいたところです。過去にハローワークの選定委員会の座長をしていただいた方については、コピーライターの糸井重里さんとか、こういったネームバリューのある方、また言葉のプロみたいな方を選定委員会の座長にという思いです。当然、公表には至っておりませんが、現在も内定をいただている方にお願いもしております。今野座長におかれましても、選定委員会に入っていただく予定となっていることを御紹介させていただきます。

 参考資料4、先ほどの障害者の在り方検討報告会について、若干、かいつまんで御説明を担当からいたします。

○溝口職業能力開発課長補佐 参考資料4について御説明いたします。能力開発課では、本年5月から7月にかけて、障害者職業能力開発校の在り方に関する検討会を開催しました。その検討結果を報告書に取りまとめて、83日にプレス発表をしておりますので御報告いたします。

 参考資料4の最後のページに開催要綱を付けております。検討会は座長を文京学院大学客員教授の松爲信雄先生、委員を障害者団体、労使団体、自治体、労働局、有識者の方々、11名にお願いをして、3回開催して御議論を頂いたところです。

 今般、こうした検討会を設置した背景としては、近年、職業訓練を必要とする障害者の方は、障害の重度化であるとか、多様化の傾向があるということで、更に精神障害者や発達障害者の求職者も増加しているという状況です。

 併せて、障害者をめぐる雇用環境というのも、平成25年度から障害者雇用率が引き上げられたり、障害者雇用促進法の改正により、本年度から職場における合理的配慮の提供が事業主に義務付けられたりと。また、今後も法定雇用率の算定基礎に精神障害者が加えられることが予定されているということで、一方で、これが企業の採用意欲の高まりということにも影響していると言われております。

 しかしながら、現行の障害者訓練におきましては、増加している精神障害者、発達障害者の求職者を対象とした訓練科が十分ではないと。その対応が喫緊の課題であろうということです。

 一方、障害者職業能力開発校の中でも、東京障害者校というのが、精神障害者の方などへの訓練に先行的な取組をしているところですが、この東京障害者校が来年度、校舎の建替えを予定しております。平成30年度から新校舎での訓練をスタートさせるという中で、同校で、精神障害者や発達障害者等を対象とした訓練を拡充して、全国の障害者校のモデルにすることができるのではないかという期待もありまして、このタイミングで検討会を開いて、障害者校の現状を整理して、今後の在り方について検討するとしたものです。

 検討会での御議論の結果、やはり現行の障害者訓練というのは、取組が進んでいた身体障害者、知的障害者の方が中心であって、今後は精神障害者、発達障害者の方たちを対象とした訓練を拡充するべきという結論を頂きました。

 このため今後は精神障害者や発達障害者の方々への訓練を拡充するという方針として、平成29年度の概算要求におきましても体制整備の強化策を3点ほど盛り込んでおります。

 その他の検討結果についても、都道府県の方針や意向等の調査も行った上で、効果的に検討を実施していきたいと考えております。以上、御報告です。

○稲原職業能力開発局能力開発課訓練企画室長 参考資料5、前回の中央訓練協議会の後に、総務省からこういった勧告を受けたということで御報告させていただきます。

 総務省の、職業能力開発の効果的な実施に関する行政評価・監視の結果に基づく勧告を、今年の22日に受けております。この勧告を受けるに当たっての調査の対象が、平成268月から平成281月までの調査をされた上で、22日に出されたものです。先ほどから委員の御指摘にもありました介護系分野、こういったところについて、受講者が集まりにくい分野なので、民間訓練機関等による説明会の未実施など、周知・誘導等が不十分ではないか。また、情報系分野については、地域において就職率が低くなったということについて、原因分析が不十分ではないかということで、公的職業訓練の効果的な実施の推進についての調査結果が出ましたので、これについても、こういった周知・誘導等の積極的な実施をするべきであったり、原因の把握・分析をするべきではないか。

2つ目については、開講前中止の訓練申込者に対する支援の徹底です。訓練が中止されて、しかしながら、登録されていた方々について、早期に他のコースへの誘導ができていないのではないか。こういったことについて、受講申込者に対する公共職業安定所の支援の徹底をするということです。

3つ目については、育児中の女性等が受講しやすい訓練環境の整備の推進をするべきということで、今年の10月から整備をさせていただきました。託児所付きとか短時間訓練を導入すべきということについて、この10月から実施される前に勧告が出されたものですから、3つ目の関係も受けたということです。説明は以上です。

○今野浩一郎教授 幾つか報告を頂きましたが、何か御質問はありますか。それでは、それ以外、全体を通して言い残したことはありますか。

○野村賢治商工労働観光部雇用政策監(京都府) 精神障害、発達障害の方への対応を予算に盛り込んでいただいて、大変ありがとうございます。京都府でも、精神障害、発達障害への訓練内容、平成29年度に向けて拡充しようと思っております。ただ差別解消法の趣旨を考えると、例えば、障害のある方が障害校に入りたいのではなくて、一般校の訓練を受けたいとおっしゃることもあるかと思います。そういう意味では、今回精神保健福祉士を配置していただけるというのは、非常に有り難いと考えております。

 前回も訓練の受講をもっと増やすことは、別途、本格的に議論する必要があると座長さんからもあったかと思います。在職者訓練も多分同じかと思っております。予算でこういう対応をしていただけるのは有り難いですし、さらに、働いている人も企業側も、もっと在職者訓練を受けるようにという機運を作っていけないかと思っております。

 例えば、京都府でできていないので非常に申し訳ないと思っているのですが、全国では技能五輪という仕組みもあります。そういったものが、それぞれの都道府県単位でしっかり予選などがやれて、そして全国を目指していくという仕組みができていけば、その都道府県の大会に出るために在職者訓練をもっと頑張ろうとか、そういう働いている人のインセンティブを高めるような、自らの能力を伸ばしていく仕組みを作ることが大事かと考えております。できたら、都道府県単位での訓練もしていきたいと、今、京都府でも検討しております。そういった全体の機運醸成がそれぞれの訓練の受講者を増やしていくことにもつながるのではないかと思っておりますので、またこういったこともいろいろ御検討いただけたらと思います。

○今野浩一郎教授 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。事務局から言い残したことはありますか。よろしいですか。それでは、今日はいろいろ御意見を頂きましたので、その意見を踏まえて、来年度の全国職業訓練実施計画についての更なる検討作業をしていただければと思います。今日の中央訓練協議会は終了いたします。次回の開催については、来年の1月ごろを予定しております。また、事務局から連絡をしていただきます。それでは終わります。ありがとうございました。


(了)

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