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2016年6月14日 第115回労働政策審議会職業安定分科会 議事録

○日時

平成28年6月14日(火) 13:00~14:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 厚生労働省職業安定局第1・第2会議室(12階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議事

○阿部分科会長 定刻を過ぎましたので、ただいまから第115回労働政策審議会職業安定分科会を開催いたします。本日の委員の出欠状況ですが、公益代表の岩村委員・橋本委員、労働者代表の勝野委員・清水委員・斗内委員、使用者代表の鈴江委員・深澤委員・高橋委員が御欠席です。吉岡委員は遅れてお見えになると聞いております。カメラ撮影はここまでとさせていただきます。

 議事に入ります。最初の議題は「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について」です。本件については、613日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛て諮問を受けております。事務局から説明をお願いします。

○雇用開発企画課長 議題(1)「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱(諮問)」について御説明いたします。資料No.1-1が諮問文、資料No.1-2がその概要となります。これらを御説明する前に、参考資料No.1-1の見直しに関する意見等の概要を御覧ください。

 この資料は、労働移動支援助成金の見直しに関して、本分科会においてこれまで2回にわたって御議論いただいた内容のポイントを整理したものです。●と◎と○の所が、第113回職業安定分科会の御議論の内容です。今回、これに前回第114回職業安定分科会の議論の内容を追加しております。■が委員の御意見、□が事務局から説明を申し上げたことです。さらに今回、◇の印を付けて、事務局からの説明の補足事項を記載しております。このうち第2回の議論の主な部分について簡単に御説明いたします。

 まず2ページ、通番2を御覧ください。本人が希望する紹介会社に契約を申し入れることについてです。中ほどの■の所にあるように、本人が紹介会社を選ぶこととすると、紹介会社間の無用な競争が生じかねないなどの指摘がありました。また、労働者が多数の紹介会社を希望して、企業がその全てと契約し切れないという問題があるとすると、企業と労働者の集団的合意の下で、複数の紹介会社を絞り込んで、その中から本人が選択できるようにしてはどうかとの解決案の御提案がありました。

 通番3です。大企業への助成対象を30人以上の場合に限るという点についてです。大企業は全て対象外とすべきという御意見や、30人以上に助成対象を限定すると、退職者を30人以下に減らそうとする企業への支援が失われるのではないかとの御意見がありました。

3ページ、通番56です。本人が退職強要を受けたかどうかを確認するための本人確認票について、更に労働局からの「郵送」アンケートや「電話」による確認を行うという件です。これについては、退職強要の確認が、本人の所まで来るのは本人負担ではないかという懸念や、郵送確認は、退職の事実を家族に知らせていない場合などにトラブルが発生するのではないかという御指摘がありました。

 これに対して、今回事務局より1つの解決案の提案を申し上げたいと考えているのが、◇の所の項目です。これは、本人確認票において、郵送確認を拒否申告できるというチェック欄を設け、その代わり電話や任意の書面等で別途労働局へ自主申告できるようにすることはどうかということです。この方法を採ることにより、様々な事情で郵送確認を望まない本人の意思を尊重するとともに、労働局への退職強要との受止めを申告する方法も確保できるのではないかと考えております。

 通番7です。委託開始時の10万円助成の件です。このことについて、前々回から幾つかの懸念が示されておりましたが、□の所で、事務局より前回御説明を申し上げました。委託開始分については、企業の退職強要や紹介会社のいわゆるマッチポンプへ流れ込んでいるのではないか。この委託開始申請分の10万円が流れ込んでいるのではないかという問題については、4月の支給要件の厳格化によって防止できているものと考えているという趣旨の御説明を申し上げました。また、この委託開始申請分の問題については、■の所で、労働移動のインセンティブ自体を付与する必要はないという御意見もありました。委託開始分に対する再就職実現分の割合の低さによって、大企業だけ助成しないというのは適切ではないのではないかという御意見もありました。

 通番8です。大企業の助成率の見直しについては、大企業への助成は一旦廃止すべきとの御意見がありました。

4ページで通番9です。一定基準以上の雇用の実現のために、企業と紹介会社の契約が一定基準を満たしており、更に一定基準以上への雇用への再就職が実現した場合に、助成率を優遇するという件です。■の所で、良質な雇用への誘導のための今回の助成率の設定案は、方向性としてよいのではないかという御意見がありました。

5ページで、通番1213の受入企業への助成について、成熟から成長への労働移動の場合に、助成単価の優遇やアップをすることについてです。成熟か成長かの判断基準が曖昧ではないかという御意見のほか、幾つかの御意見がありました。これに対して事務局より、成熟企業から成長企業への労働移動の押さえ方について、現在金融庁と相談している旨を御説明いたしました。

6ページで、その他として幾つか記載してあります。悪質な制度利用を防ぐことは必要であるけれども、制度を複雑なものとして使いにくくするのは適当ではないなどの御意見を頂きました。その一方で、本助成金は不正な利用をされると、労働者の退職を招く危険性があるという点で、他の助成金とは要件の掛け方が違うのではないかという御意見もありました。

 以上が、前回の議論のポイントです。これらの項目のうち、本日お諮りする省令改正事項については、この資料の右側の省令改正の欄に、○としている項目の中で、予算措置を必要としないものです。具体的には2ページの通番33ページの通番784ページの通番95ページの通番13の各項目です。それ以外の項目については、相当する予算が措置できてから、改めて省令改正についてお諮りしたい事項であり、また通達や支給要領等で細目を定めるという事項になっています。

 議論についてはいろいろな意見があり、完全な合意点まで必ずしも達していない面は確かにありますけれども、6月中に一定の方向性を示すといったことが国会からの要請となっていることもあり、今後、見直し内容について十分に検証を行い、その結果を踏まえて、1年後程度を目途に、必要に応じて見直すということではいかがかと思っております。

 以上の点を踏まえて、省令案の要綱について御説明いたします。資料No.1-12枚目が諮問文の本文です。3枚目が諮問する改正省令案の要綱です。この要綱の内容はテクニカルな書き方をしておりますので、資料No.1-2によってこの内容を御説明いたします。1.は改正の趣旨です。労働移動支援助成金について、制度の趣旨に沿った活用が一層図られるよう、雇用保険法施行規則の改正を行うという趣旨です。

2.は、改正の内容です。(1)は、企業が再就職支援を、職業紹介事業者への委託によって行う場合に助成する再就職支援奨励金に関する見直しです。

1つ目の○は、助成の対象とする人数の見直しです。企業が、職業紹介事業者に対して、再就職援助計画の対象となった労働者の再就職支援を委託した場合、助成対象とする対象者の数については、職業安定局長が定める数以上である事業主に限るとするものです。この職業安定局長が定める数については、支給要領において、大企業30人以上として定めることを想定しております。

2つ目の○は、助成率の見直しです。これまで助成率は、大企業か中小企業か、あるいは対象者が45歳未満であるか45歳以上であるかの別によって定めてまいりましたけれども、新たに職業安定局長が定める条件に該当する再就職が実現したものであるか、それ以外のものであるかの別によっても、助成率に差を付けて、結果として表のような助成率のマトリックスに改めようとするものです。なお、職業安定局長が定める条件については、企業と紹介会社との間の契約において、委託料の半分以上を後払いにするなどの規定を設けることや、賃金が離職前の80%以上の再就職が実現できたことなど幾つかの要件を定めることを想定しております。

3つ目の○は、委託開始申請分の助成10万円の大企業分について廃止する件です。中小企業に限るという内容になっております。

2ページで(2)です。対象者を雇い入れる企業に対する、受入れ人材育成奨励金のほうの見直しです。職業安定局長が定める条件に該当する雇入れの場合に40万円を支給し、該当しない場合は30万円を支給するとするものです。なお、職業安定局長が定める条件については、成熟企業から成長企業への労働移動に該当するものを想定しております。この成熟企業から成長企業への労働移動については様々な議論がありました。ただいま金融庁と調整をしているところですけれども、今のところ具体的には、中小企業等経営強化法という法律があって、それに基づいて金融機関が認定されると、その金融機関の支援によって、金融支援を含む再生計画を企業が策定するということがあります。

 その再生計画を策定している企業が、再就職援助計画をハローワークに提出する際に、その旨を申し出ていただいた場合に、再就職援助計画に記載された労働者をこの助成の割増しの対象とするというのが出発点です。そして、生産量が例えば年間5%以上伸びているなど、簡便な指標で成長産業のほうの認定をして、その企業が先ほど申しました労働者を雇い入れた場合に、助成額の優遇をするという中身を考えています。今、正に金融庁と詰めているところですので、これについては決定した段階でまた報告いたします。

4.の施行期日については、公布予定を6月後半、施行予定を81日としております。今申し上げた金融庁との調整事項をはじめ、通達要領で定める細則については、次回以降の職業安定分科会の場で御報告し、了解を賜りたいと考えております。以上です。

○阿部分科会長 本件について、御質問、御意見がありましたら御発言ください。松原委員どうぞ。

○松原委員 質問させていただきます。説明の中にもあったように思うのですけれども、改めてということです。資料No.1-1の省令案要綱に記載のある部分です。再就職支援奨励金制度の改正について、イに書いてある助成対象を、当該委託の対象者の数が、「職業安定局長が定める数以上である事業者に限る」としている所です。これは支給要領のほうに記載をするという説明があったかと思いますが、その点を改めて確認いたします。

 ロについては、助成率を決定する要件ということで、委託対象者のうち、職業安定局長が定める条件に該当する再就職が実現した者を特定委託対象被保険者とする旨の記載があります。この職業安定局長が定めるという所は、具体的にどこに、どのように規定をして運用するのかを改めて確認いたします。

 もう1点は、ロにある企業規模の要件について、要領に規定していくであろう中小企業事業主の定義について念のために確認させていただきます。

○阿部分科会長 それではお願いします。

○雇用開発企画課長 まず対象者を、職業安定局長の定める数以上とするということですけれども、これは職業安定局長の定めるところの支給要領において、大企業30人以上ということで定めていく予定です。

 ロで、再就職が実現した者(特定委託対象被保険者)と特定委託対象被保険者でない者について、この差を付けるということです。これについても支給要領で定めることとしております。その要件の1つとして、企業と紹介会社の契約自体がより望ましいものという点を満たす必要があるものとしたいと考えております。通常、再就職支援の委託料は紹介会社に対して、前払いで60万円ぐらい支払うというのが通常ですけれども、そうすると紹介会社のほうは前払いで受け取った後に、必ずしもその本人のために紹介サービスを十分に行わない場合もある。そういうことであってはならないので、できるだけ後払いというか、成功報酬に近い形の契約を結んでいただくというのを1つの条件にしたいと思っています。実際上、本人が、優良な雇用へ就職した場合、具体的には賃金が離職元の賃金の80%以上、無期雇用の所に再就職した場合に、そちらの助成率も優遇していくことを考えております。

 中小企業の定義については、中小企業基本法という法律にのっとっております。具体的には、例えば産業別とか、従業員の規模、資本金によってマトリックスが決まっていますので、それに当てはめて、中小企業であるか大企業であるかを判定するということをやっています。

○阿部分科会長 よろしいですか。

○松原委員 はい。

○阿部分科会長 他にはいかがでしょうか。林委員どうぞ。

○林委員 要望という形で発言させていただきます。省令案要綱の()、受入れ人材育成支援奨励金制度の改正についてです。職業安定局長が定める条件に該当する雇入れである場合に限り40万円ということで確認しております。成熟産業・成長産業ということで、かなりこの場でも議論をさせていただきました。参考資料No.1-15ページをもう一回確認させていただきます。成熟産業・成長産業という言葉は、この議論の中で、最終的には成長企業・成熟企業であるという位置付けになりました。今、成熟企業から成長企業への労働移動の押さえ方については、現在金融庁と相談しているところであると。その内容に対しては金融機関などに確認しながら、再生計画を策定していることを条件とするという内容の説明を本日頂きました。

 参考資料No.1-15ページの表の中の懸念材料となっている所が、全て払拭されたとは捉えておりません。今は事業部門ごとに様々な利益に濃淡がある企業が増えている中で、一概に企業という括りで、果たしてその成長か成熟かということが確認できるのか。ここは、今後もきちんと議論をしていかなければいけないところだと思います。

 それから、国が企業の評価をする、成熟であるか成長であるかということ。間に金融機関を挟んだとしても、やはり好ましくないのではないか。また、このことが外部に知れ渡ったときに、余計な風評被害を招きかねないこともあり、成熟・成長ということにおいて、そういう判断を下された企業の取扱いについては、なお一層のきちんとしたチェックが必要ではないかと思います。

 もう一点は、収益を上げている企業を利するだけに終わっていないか。成長産業を、利益が出ている企業と捉えると、やはり成長している企業への人材流出を助長しているかということにも捉えられかねませんので、この収益を上げている企業だけが利するだけに終わっていないかということ、また格差拡大を助長していないかということについて、今後しっかりとした検証が必要であると思いますので、引き続き議論を重ねていければと思います。

○阿部分科会長 事務局からお願いします。

○雇用開発企画課長 成長産業・成熟産業を見る場合の単位の話については、基本的には企業単位ということで考えております。基本的にはリストラをされていた部門において赤字であるのか、生産量が減少しているのか、そのために人員削減を余儀なくされているのかというのが出発点だと思います。その単位は、例えば企業単位で見ることもあり得るでしょうし、事業部とか、事業所の単位とか、1つのラインで見ることもあるでしょうし、それはその企業の実情に応じて、柔軟に中身を見ていくことが必要だろうと思っております。

 成熟産業ということが外部に知れたときに、風評被害であるとか、そういう問題が起きるのではないかという御指摘がありました。これについては先ほども申し上げましたけれども、成熟産業から離職した方を特定する場合に、そこの企業が再就職援助計画をハローワークに出します。そのときに、ハローワークのほうで金融機関に入っていただいて、経営支援などを受けていませんかということを聞いて、そういうことがありますということであれば、その参考資料を出していただく。その一定の要件に係るとすると、その企業について再就職援助計画の認定をするわけですけれども、そこに載っている対象者について印を付けていく。その方々が成長産業のほうへ雇い入れられた場合に、その印を見て、この方が成熟産業を離職されてこっちへ来た方だと分かる。そういう形で対応して参ります。

 その限りにおいて、成熟産業というものが、何々企業であるということを外部に知られるということはあってはならないことですので、できるだけそういうことのないように、個人情報にも関わる話かもしれませんし、丁寧に扱っていかなければいけないと思っております。

 それから人材流出、人材不足の所に人が流れていくだけに終わらないか、格差の拡大につながるのではないかという件ですが、そういうことにはならないとは思いますけれども、御指摘のとおりこの点についてはよく検証をして、またその内容を見て、見直しが必要であればやっていかなければいけないと思っています。

○林委員 ありがとうございました。

○阿部分科会長 他にはいかがでしょうか。村上委員どうぞ。

○村上委員 今回の見直しは、今年の初めから議論してきたわけです。制度の趣旨に照らして、不適切な運用がされている実態・事例があったということを踏まえて、抜本的な見直しを検討するということで議論をしてきたと思います。抜本的な見直しということでは、不適切な受給事例があった場合には厳正に対処すること、助成金の支給要件を厳格化することという2つのアプローチです。不適切な受給への対応として、支給要件の一部厳格化も41日に応急措置として行い、今回更に措置を講じるということです。

 これに当たり、労働側としては、繰り返しになりますけれども、20143月以前の制度に戻してはどうかということをずっと主張してまいりました。大企業への助成の措置を廃止することと、委託開始時10万円を再就職が実現した場合に一本化することを前提に、私たち労働側としては議論に臨んできました。過去2回議論してきて、全部一致する方向ではないにしても、ある程度の方向性が見えたというところです。

 今回示されている内容で、本当に大丈夫なのかどうかということでは、まだ疑問点はあります。先ほど林委員からも申し上げたように、完全にその懸念が払拭されたわけではないと考えております。応急措置後の今回の見直しは、1年程度後に検証していくということを前提とした暫定的な運用であると受け止めております。その暫定的な運用に当たっては、この場で出た様々な意見に是非留意していただきたいと考えております。

 また、参考資料No.1-15の説明の際にもありましたけれども、国会でも議論になった「労働者本人が本当に合意しているのかどうか」ということの確認の方法について、私たちは労働者のプライバシー保護には注意しなければならないと思います。本当の合意かどうかを確認することの重要性は認識しつつも、そのために家族に隠していた退職の件が分かってしまったというようなことがないようにしなければならないと考えております。これについては郵送以外の確認手段に関して、本人が希望する対応がなされるように、選択肢が必要と思っておりますので、是非その点は留意していただければと思います。

○阿部分科会長 その他はいかがですか。特にないようでしたら、当分科会としては、報告をまとめていきたいと思います。ただいまも村上委員から御発言がありましたように、この度の労働移動支援助成金の制度見直しについては、各委員から様々な御意見がありました。その内容は、今般諮問のあった省令改正事項のみならず、通達等によって細則として定める事項も含まれていたと思います。今後、厚生労働省がそれらの細則について定めていくに当たって、本分科会における議論を十分に踏まえるよう配慮していただきたいと思います。

 また、制度見直しの内容については、例えば委託開始時の助成の在り方など、今後更にその運用状況をよく検証していって、見直していくということもあったかと思います。省令事項であるか、通達等による細則であるかを問わず、しっかりとした事後的な検証も行い、その結果を踏まえ、必要に応じて1年後程度をめどに、更なる見直しを行っていくことがよろしいのではないかと思います。

 このようなことから、今般諮問のあった省令改正案要綱については、ただいま申し上げたことを付記した上で、おおむね妥当とすることがよろしいのではないかと私は思いますが、皆様はいかがお考えになるでしょうか。そのようでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、そのような形で事務局に報告文案の作成をお願いします。

(事務局、報告文案の作成)

○阿部分科会長 それでは、この報告文案を皆さんに配布してください。

(報告文案配布)

○阿部分科会長 確認するために、報告文案の読み上げをお願いします。

○総務課長 読み上げさせていただきます。「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱」について。平成28613日付け厚生労働省発職雇06132号をもって労働政策審議会に諮問のあった標記については、本分科会は、下記のとおり報告する。

 記。厚生労働省案は、おおむね妥当と認める。なお、今後、労働移動支援助成金の制度の見直しに係る細則を通達等によって定めるに当たり、本分科会における議論を十分踏まえるよう配慮されたい。

 また、今般の見直しについては、検証の結果を踏まえて、委託開始時助成の在り方など各項目について、必要に応じて一年後程度を目途に更なる見直しを行うこととされたい。

 以上です。

○阿部分科会長 それでは、当分科会は、ただいま読み上げていただきました報告文案のとおり、私から労働政策審議会会長に御報告したいと思いますが、それでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○阿部分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告させていただきます。事務局におかれましては、通達等によって定める細則が固まり次第、次回以降の安定分科会において報告をお願いいたします。

 次の議題は、「その他」として資料が配布されておりますので、事務局より説明をお願いします。

○公共職業安定所運営企画室長 公共職業安定所運営企画室長です。ハローワークの地方移管の議論に関する御報告です。資料No.2-1と資料No.2-2です。223日に答申いただきましたとおり、職業安定法と雇用対策法の改正案を国会に提出し、513日に成立、そして20日に公布となったので御報告申し上げます。これによって、ハローワークは国が維持、そして国と地公体の連携を強化し、それから地公体が行う無料職業紹介事業は規制を緩和、このような方向でハローワークの地方移管議論に決着が付いたものです。820日付けで施行となります。

 それで、平成19年からの二次分権以来の議論の中で、労政審としての意見書を頂きましたし、また内閣府側の部会においても、政労使側の委員からも御意見を頂きましたし、長きにわたりまして、誠にありがとうございました。

 前回の安定分科会で御指摘のあった事項について、国会でも議論がありましたので少し御紹介いたします。地方版ハローワークで、指定管理者制度を行うことは名義貸しに当たるのではないかという御指摘を頂きました。これは国会の場においても同じ質問があり、名義貸しには当たらないが、職業安定法上の民間の職業紹介事業者に対する規制は当然適用されますというふうに答弁をいたしております。

 他にも、これまでの職業紹介責任者の選任、帳簿の備え付け、事業報告書などの責任は、この法改正後にどのように担保されるのかという国会の質問もありました。これに対しては、地公体では雇用の担当部局長が組織的に任命されておりますので、責任の所在が明確であること。それから、地公体の事務では、求人・求職情報の管理は当然に行われますので、求人・求職管理簿を、特段法律で規制することまでは要しないと思われること。事業の状況については、地方自治法第245条の4に基づく資料の提出の要求によって確実に求めるとしたいということ。こうした答弁を申し上げたところです。

 この分権法案全体の担当は石破大臣ですけれども、石破大臣からは、長年の課題であったものに、大臣御自身として結論を出すべきと考えていた。今般、求職者と求人企業にとって良い形をという観点から検討したものであるという発言もあって、今回をもって結論が出たものという認識が内閣府側からも示されました。以上が国会の御報告です。

 資料No.2-2に今後のスケジュールをお示ししております。現在は、今後の運用について、地方自治体との検討会を開催して意見をお聞きしているところです。そして今後、省令事項についてはパブリックコメントにかけてから、それから運用通達に盛り込む内容については地方の意見も聞きながら、我が省の方針案が出来上がってから、どちらも7月の分科会で御審議いただきたいと考えておりますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。以上です。

○阿部分科会長 本件について、御質問、御意見がありましたら御発言ください。青木委員どうぞ。

○青木委員 資料No.2-2で、第6次地方分権一括法の施行までの想定スケジュールの説明がありました。この中にあったとおり、新制度施行が820日ということであれば、あと2か月弱ということの期間のない中で、様々な周知をしていかなければいけないのだと思っております。厚生労働省としてということなのですけれども、ここに書いてある地方自治体との検討会、それからパブリックコメントなどを遅れることなく行っていただきたいということと、また必要な省令事項については速やかにこの分科会に諮問をしていただきたいと思っています。利用者の利便性を高めるということでもありますので、そういう様々な手続を含めてよろしくお願いいたします。

○公共職業安定所運営企画室長 かしこまりました、ありがとうございます、そのようにいたします。

○阿部分科会長 その他はいかがですか。特になければこれで本日予定されている議題は以上で終了いたしましたので、本日の分科会はこれで終了いたします。本日の会議に関する議事録については、労働政策審議会運営規程第6条により、分科会長のほか2人の委員に署名を頂くことになっています。つきましては労働者代表の林委員、使用者代表の森下委員にお願いいたします。本日もお暑い中をありがとうございました。


(了)

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