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2016年3月8日 薬事・食品衛生審議会 指定薬物部会 議事録

○日時

平成28年3月8日(火)16:00~


○場所

厚生労働省専用第23会議室


○出席者

出席委員(11名)五十音順

石郷岡   純、 遠 藤 容 子、 桐 井 義 則、◎鈴 木   勉、
関 野 祐 子、 妹 尾 栄 一、 曽 良 一 郎、 成 瀬 暢 也、
花 尻 瑠 理、 宮 田 直 樹、○和 田   清
(注)◎部会長 ○部会長代理

行政機関出席者

森   和 彦 (大臣官房審議官)
須 田 俊 孝 (監視指導・麻薬対策課長)

○議事

○監視指導・麻薬対策課長 定刻となりましたので、ただ今から、「薬事・食品衛生審議会指定薬物部会」を開催いたします。本日は大変お忙しい中、委員の先生方には御出席いただき、誠にありがとうございます。関野先生、曽良先生は遅れておられますが、本日は全員出席の予定です。現在のところ11名のうち9名の御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。

 本部会の公開・非公開の取扱いにつき御説明いたします。総会における議論の結果、会議を公開することにより委員の自由な発言が制限され、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼす恐れがあると判断されることから非公開とされております。また、会議の議事録の公開については、発言者氏名を公にすることで発言者等に対し外部からの圧力や干渉、危害が及ぶ恐れが生じることから、発言者氏名を除いた議事録を公開することとされておりますので、あらかじめ御了承いただきたいと思います。以後の議事進行は鈴木部会長にお願いいたします。

○鈴木部会長 最初に事務局より、資料の確認をお願いいたします。

○事務局 本日は資料1~3、参考文献1~19、参考資料1~3、当日配布資料として製品写真を1枚配布しております。

○鈴木部会長 資料がお手元にない場合にはお知らせ願います。よろしいですか。本日の議題は「指定薬物の指定について」です。審議物質について、事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 今回御審議いただきたい5物質及び植物については、国内外で流通実態が認められたものです。資料1に物質1~5、物質4及び5を含有する植物として、その植物を6に記載しております。これらを指定薬物として指定し、規制対象とする必要があるか否かについて御審議いただきたいと思っております。資料2は、御審議いただく物質及び植物の他、構造や作用が類似する規制薬物について一覧表にまとめたものです。資料3は、国内外の基礎研究や動物実験等の結果について、中枢神経系への影響を中心に取りまとめたものです。

 まず、物質1~3について説明いたします。詳細は資料3を用いて御説明いたしますが、資料2に審議物質及び構造が類似する物質や作用が類似する物質について、文献資料や過去の指定薬物部会の資料から確認できたデータを取りまとめております。資料2-1に審議物質1のBisfluoromodafinil、構造が類似する指定薬物Modafiendz、向精神薬であるModafinilについて、症状観察結果、自発運動量への影響、モノアミントランスポーター阻害作用、マイクロダイアリシス試験によるモノアミン量の変化のデータを示しております。審議物質はドパミントランスポーターの阻害作用を有しており、過去に指定した指定薬物や向精神薬と同種の作用を有することを確認しております。

 資料2-2に審議物質2の4-FPM、構造が類似する指定薬物、向精神薬の症状観察結果、自発運動量への影響、モノアミンリリース、取り込み阻害、マイクロダイアリシスのデータを取りまとめております。審議物質はドパミントランスポーター阻害作用を有しており、過去に指定した指定薬物や向精神薬と同種の作用を有することを確認しております。

 資料2-3に審議物質3のCUMYL-THPINACA、構造が類似する指定薬物や麻薬について症状観察結果、自発運動量への影響、カンナビノイド受容体に対するデータを示しております。審議物質はカンナビノイド受容体への活性を有しており、表に示している過去に指定した指定薬物や麻薬と同種の作用を有することを確認しております。

 資料3-1を説明いたします。通称Bisfluoromodafinilですが、指定薬物であるModafiendzや向精神薬であるModafinilと構造が類似する化合物です。Bisfluoromodafinilの行動・中枢神経症状について、マウスに2mg/kg20mg/kg100mg/kgを経口投与し、投与後30分、1時間、2時間の行動・中枢神経症状の観察を行った結果を、2ページに取りまとめております。攻撃性、反復動作、外界反応、触反応、自発運動量、耳介反射、払いのけ動作が用量依存的に亢進する結果が得られております。また、床敷きの紙を噛んで引っ張り上げる行動、スニッフィング、挙尾反応、接触刺激による飛び上がりや噛みつき、エアスプレーによる刺激で鳴き声を上げて飛び上がる様子が観察されております。

 モノアミントランスポーター阻害作用について検討した結果を、3ページに示しております。Bisfluoromodafinilのドパミントランスポーターに対するIC50が、4,100nM、セロトニントランスポーターに対するIC5010nMを上回る結果となっております。陽性対照物質であるコカインのドパミントランスポーターに対するIC50370nM、セロトニントランスポーターに対するIC50850nMとなっております。構造が類似するModafiendzModafinilのモノアミントランスポーター阻害作用に関する文献がありましたので、続いて参考に示しております。Modafiendzの作用は弱いようですが、どちらもドパミントランスポーター阻害作用を有する結果が報告されております。

 4ページに、マイクロダイアリシス試験によるモノアミン経時変化の結果を示しております。セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリンのいずれも有意に増加することが確認されております。これらの結果から、Bisfluoromodafinilはドパミントランスポーター阻害作用を有し、過去に指定した指定薬物や麻薬と同種の作用を有する物質であると考えております。

 資料3-2を説明いたします。通称4-FPMは、指定薬物である3-FPMや向精神薬であるphenmetrazineと構造が類似する化合物です。4-FPMの行動・中枢神経症状について、マウスに2mg/kg20mg/kg100mg/kgを経口投与し、投与後30分、1時間、2時間の行動・中枢神経症状の観察を行った結果を6ページにまとめております。消極性がやや弱い強度で認められ、洗顔運動、立ち上がり動作、自発運動が強く抑制されております。また、瞳孔散大も確認されております。20mg/kg及び100mg/kg投与群で腹ばい姿勢で動きが鈍い様子や、100mg/kg投与群で腰高で動き回る異常歩行が観察されております。

 モノアミントランスポーター阻害作用について検討した結果を、7ページに示しております。4-FPMのドパミントランスポーターに対するIC508,600nM、セロトニントランスポーターに対するIC50が9万nMとなっております。陽性対照物質であるコカインのドパミントランスポーターに対するIC50190nM、セロトニントランスポーターに対するIC501,900nMとなっており、作用は弱いのですが、ドパミントランスポーター阻害作用が確認されております。構造が類似する3-FPMのモノアミントランスポーター阻害作用については、4-FPMと同様に、ドパミントランスポーター阻害作用を有する結果が得られております。

 8ページに向精神薬であるphenmetrazine、その立体異性体のモノアミントランスポーターに対する作用の知見がありましたので、参考として示しております。ドパミンやノルアドレナリンのリアップテイク阻害に加え、リリースの作用も併せて有することが報告されております。

 9ページでは、マイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化の結果を示しております。セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリンのいずれも有意に増加することが確認されております。これらの結果から、4-FPMはドパミントランスポーター阻害作用を有し、過去に指定した指定薬物や麻薬と同種の作用を有する物質であると考えております。

 資料3-3を説明いたします。通称CUMYL-THPINACAは、指定薬物であるCUMYL-PINACACUMYL-BICAと構造が類似する化合物です。CUMYL-THPINACAの行動・中枢神経症状については、CUMYL-THPINACA(15mg)を添加したマーシュマローリーフ(0.5)を、たばこ両切り用さや紙に充填したものを燃焼させ、煙をばく露ボックス内に導入し、マウスを薬物にばく露させました。ばく露ボックス内は約4分で燃焼し尽くした後も、人工呼吸器を運転し続け、ばく露ボックス内の空気がほぼ入れ替わる15分後にマウスをばく露ボックスから取り出し、燃焼終了後15分、30分、60分の症状観察をしております。また、同様の手法により、陰性対照としてマーシュマローリーフ、陽性対照としてAB-CHMINACAを2mg5F-AMB13mgを含む危険ドラッグ総統を用いた試験結果を示しております。

 結果については11ページにまとめております。CUMYL-THPINACAばく露群では陽性対照の総統と同程度又は強い程度で洗顔運動、外界反応、痛反応が抑制されました。また、仕切り壁に不安定な姿勢で寄り掛かる静止状態、口を大きく開き、前・後肢の激しい乖離状態などが観察されました。ばく露後3時間においても血色が悪く、瀕死様の状態も見られております。

12ページにカタレプシー試験を実施した結果を示しております。先ほどのばく露装置を用いて燃焼終了後15分、30分、60分に、高さ6.5cmの針金の横棒にマウスの前脚をかけ、後脚を台上に降ろして2本足で立たせたまま、動かない秒数を計時し、30秒以上動かない場合をカタレプシー陽性とし、最大90秒まで計時しました。30秒未満の場合は試験を3回まで繰り返し、平均値を求めております。その結果、CUMYL-THPINACAばく露群では、15分で5匹全て陰性、30分で3匹陽性、60分で4匹陽性となっております。

 続いてヒトカンナビノイド(CB1、CB2 )受容体に対するアゴニスト活性、EC50を測定した結果を示しております。CUMYL-THPINACAのCB1受容体の値が0.814nM、CB2受容体の値が1.33nMとなっており、強いカンナビノイド受容体活性を有することが確認されております。

1314ページには、構造が類似する化合物のCUMYL-PINACACUMYL-BICAJWH -0185F-AMBAB- CHMINACAのCB1及びCB2受容体に対するアゴニスト活性を示しております。いずれの物質も、CB1受容体に強い活性を有していることが確認されております。その他、海外における流通状況については、2015年にスロベニアにおいて流通が確認されております。

 これらの結果から、CUMYL-THPINACAはカンナビノイド受容体に対するアゴニスト活性を有しており、過去に指定した指定薬物や麻薬と同種の作用を有する物質であると考えております。以上の3物質について指定薬物として差し支えないと考えますが、よろしく御審議のほど、お願いいたします。

○鈴木部会長 それでは流通実態について、□□委員からお願いいたします。

□□委員 今御紹介があった3化合物について、□□□□□□□の分析調査では、Bisfluoromodafinilは白色粉末の形での流入を認めていますが、他の二つの化合物については検出しておりません。

○鈴木部会長 それでは、ただ今事務局より説明のあった物質について、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。

□□委員 資料の内容で確認したい点が1点あります。1213ページのヒトカンナビノイド受容体機能評価に関するデータですが、13ページにある参考情報のCB1受容体へのEC50は、他の文献7、8と違う指標で見ているのでしょうか。値が余りにも大きく異なるのです。陽性対照物質のCP55940のEC50の値と異なるので、その点を確認したいと思います。

○事務局 同じCP55940の方を陽性対照物質として使用しているのですが、実験を行った時が違うので、値として別の値で出ています。

□□委員 GTPの結合を指標としたEC50ということですか。

○事務局 そうです。全く同じものを見ているのです。

○事務局 ここは我々も過去の議論があります。同じ実験系の中で化合物を比較していかないと、なかなか正確には比較できないだろうというところがあります。やはり実際に実験系が違いますと、同じIC50やEC50の値を見ていった時に、値がずれているという経験が多々ありますので。

○鈴木部会長 他にいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、発言が出尽くしたと思いますので、審議をまとめます。ただ今御審議いただいた3物質は、いずれも医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。

○鈴木部会長 ありがとうございます。それでは、引き続き事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 物質4、5及びこれらを含有する植物について、資料2-4を説明いたします。物質4のMitragynine、物質5の7a-Hydroxy-7H-mitragynine、審議植物のKratomについて、作用が類似する指定薬物4-FBF、麻薬であるFentanylMorphineについて、症状観察結果、自発運動量への影響、ミューカッパ、デルタ、5-HT2A及び5-HT2C受容体活性のデータを示しております。なお、Kratomは、Mitragynine7a-Hydroxy-7H-mitragynineを含有する植物です。審議物質及び植物はミュー受容体活性作用を有しており、過去に指定した指定薬物や麻薬と同種の作用を有することを確認しております。

 資料3-4を説明します。資料3の15ページになります。通称Mitragynineについて取りまとめております。ヒトカンナビノイド、ヒトオピオイド受容体( ミュー、カッパ) 及びセロトニン(-HT2A、5-HT2C )に対するEC50を測定した結果について、16ページにまとめております。Mitragynineミュー受容体へのEC501,240nMカッパ受容体のEC50が1万nMを上回る結果、5-HT2A、5-HT2C受容体のEC50が1万nMを上回る結果となっております。作用は弱いですが、ミュー受容体の活性を有することが確認されております。

 参考に、麻薬であるFentanyl及びMorphineのオピオイド受容体活性のデータを示しております。

17ページにマイクロダイアリシス試験によるモノアミンの経時変化の結果を示しております。セロトニンにつきましては、コントロール群も増加してはおりますが、コントロール群と比較して有意に増加する結果が得られております。なお、ドパミン、ノルアドレナリンについては有意な差は確認されませんでした。海外の流通状況については、Mitragynineを含有する植物であるMitragyna speciosaの流通が2014年にドイツにおいて確認されている他、多数の国でも確認されております。

 資料3-5を説明させていただきます。こちらは7a-Hydroxy-7H-mitragynineです。ヒトオピオイド受容体( ミュー及びカッパ) に対するアゴニスト活性、ヒトセロトニン受容体(-HT2A及び5-HT2C )に対するアゴニスト活性を検討した結果を19ページに示しております。

7a-Hydroxy-7H-mitragynineミュー受容体のEC5035.8nMです。こちらの表は単位が間違っておりまして、表に示してあるEC50の方にmol/Lと書いているのですが、こちらは全てnMで統一した単位で書いておりますので、修正をよろしくお願いします。申し訳ございませんでした。

ミュー受容体のEC5035.8nMカッパ受容体のEC50が1万nMを上回る結果。5-HT2A、5-HT2C受容体のどちらもEC50が1万nMを上回る結果となっており、ミュー受容体活性を有することが確認されております。参考に麻薬であるFentanyl及びMorphineのオピオイド受容体活性のデータを示しております。海外流通については、先ほどのMitragynineと同様の報告になりますが、Mitragyna speciosaの流通が2014年にドイツにおいて確認されている他、多数の国で確認されている状況です。

 資料3-6を説明させていただきます。こちらは植物名がMitragyna speciosa、通称Kratomと呼ばれています。Mitragyna speciosaは、先ほど説明したMitragynine7a-Hydroxy-7H-mitragynineを含有する植物です。また、ミトラガイナ属に属する他の種との交雑種においてもMitragynine7a-Hydroxy-7H-mitragynineを含有するとの報告がありますので、規制の範囲としては、ミトラガイナ属に属する他の種との交雑種を含み、直ちに人の身体に使用可能な形状のものを規制したいと考えております。なお、Mitragynine等の成分が検出されないものについては、規制対象外となります。当日配布資料に実際の確認された製品例を示しておりますので御覧ください。

 1~8番のうち、2番だけが4-FBFの製品例ですが、1、3、4、5、6、7、8はKratom製品になります。このような形で葉っぱを粉砕したものであったり、粉状になっているものであったりというものが流通している状況があります。

Mitragyna speciosaの概要について、更に説明しますと、東南アジア産熱帯性植物で、アヘン様作用及びコカ様興奮作用を有することが知られております。タイやマレーシアでは現在は規制されておりますが、伝統的に古くから使用されておりました。摂取形態としては、葉を噛んだり、煎じたり、または喫煙により使用すると言われております。タイ産のMitragyna speciosaの若葉中のアルカロイドを分析したところ、主アルカロイドはMitragynine、トータルアルカロイドの66.2%、その他Speciogynine6.6%、Speciociliatine0.8%、Paynantheine8.6%、7a-Hydroxy-7H-mitragynine2%を含有する結果が報告されております。

 交雑種については、Mitragyna speciosaについて書かれた文献にMitragyna speciosaの葉に含まれる主な精神活性物質であるMitragynine及び7a-Hydroxy-7H-mitragynineMitragyna speciosaからのみ見つかっていると報告されております。また、Mitragyna speciosaの近縁種であるMitragyna hirsutaの葉の成分分析を行ったところ、Mitragynine及び7a-Hydroxy-7H-mitragynineは検出されなかったが、遺伝子分析により、Mitragyna speciosaMitragyna hirsuta又はMitragyna diversifoliaとの交雑種と考えられるSmall leavesからMitragynine及び7a-Hydroxy-7H-mitragynineが検出されたと報告もされております。

 表6にMitragynine7a-Hydroxy-7H-mitragynineの検出された分析結果を示しております。表6の最初にMitragyna speciosaの分析結果、次にMitragyna hirsutaの分析結果、次にKratom製品の分析結果が示されております。最初に示されているMitragyna speciosaの中のSmall leavesが遺伝子分析により交雑種と考えられたものの結果になります。

 続きまして、Kratom抽出物を経口投与し、投与後30分、1時間、2時間の症状観察を実施した結果を22ページに取りまとめております。攻撃性、洗顔運動、外界反応、痛反応、耳介反射、払いのけ動作がやや亢進して認められた他、ライジング、スニッフィング、後ずさり、弱い挙尾反応が観察されております。海外流通状況については、先ほど説明した内容と同じですが、2014年にドイツにおいて確認されている他、多数の国でも確認されている状況です。

 資料に記載できておりませんが、海外の健康被害情報を文献資料により確認しましたので、報告させていただきます。Kratom摂取による肝障害や他の薬物との同時摂取による死亡事例、Kratom常用者の離脱症状として筋肉の痙攣、痛み、睡眠障害や緊張、神経過敏等が報告されております。

 これらの結果から、ミュー受容体活性を有するMitragynine7a-Hydroxy-7H-mitragynine、そして、これらを含有する植物であるKratomは、過去に指定した指定薬物や麻薬と同種の作用を有する物質であると考えております。

 以上の2物質及び植物について、指定薬物として差し支えないと考えますが、よろしく御審議のほどお願いいたします。

○鈴木部会長 それでは、□□委員から、流通実態の方をお願いいたします。先ほどもありましたが、それ以外をお願いします。

□□委員 Kratom製品に関しては、指定薬物制度ができた頃から流通が認められています。最近でも、□□□の分析調査において、乾燥した葉っぱ状の製品からMitragynineを検出しております。また、その中の幾つかからはMitragyna speciosaのDNAを検出しております。以上です。

○鈴木部会長 それでは、事務局より説明のありました物質について、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。

□□委員 7a-Hydroxy-7H-mitragynineのEC50は、ミュー受容体ですが、35.8ということで麻薬のFentanylMorphineにほとんど近い、Fentanylに近い値ですので問題ないと思うのですが、最初のMitragynineの方がEC501,240という2桁まで行きませんが、それに近い、弱いEC50なのですが、このぐらいの値で過去に指定薬物として指定された化合物はあるのでしょうか。これぐらいだと今回が初めてになるのか、その辺を教えていただけたらと思います。

○鈴木部会長 事務局からお願いします。

○事務局 資料2-4に過去に指定させていただいて、ミュー受容体のデータを評価したものについて示していますが、それと比較すると、Mitragynineについては、作用としてはやや弱いと言えるような結果になっております。しかしながら、Mitragyna speciosaの中の含量なども多いことから、これも併せて指定させていただきたいと考えております。

○鈴木部会長 他にいかがですか。

□□委員 私が委員を務めさせてもらうようになってから、植物が指定薬物の規制の対象になるのは初めての経験なので、教えて欲しいのですが、20ページの四角で囲んである中に備考1、備考2という添え書きが付いているのですが、これの立ち位置はどういうことになるのですか。

○事務局 説明が不足しておりました。失礼いたしました。まず備考1については、この植物自体の説明をさせていただいておりまして、Mitragynine7a-Hydroxy-7H-mitragynineを含有する植物ですよという説明書きになります。

 備考2については、今後、省令で規制する上で、どういった条件で規制するかというところになってくるのですが、Mitragyna speciosaと、更にミトラガイナ属に属する他の種との交雑種を含み、直ちに人の身体に使用可能な形状なものに限るといった形で指定をさせていただこうと考えております。

□□委員 交雑種が幾つか見つかっていて、その中にもMitragynineとか7a-Hydroxy体があるということで、備考1がこのように入っていて、将来出てくるかもしれない交雑種も広くこの中に入るというのは理解ができます。

 備考2の方は、最初のミトラガイナ属に属する他の種との交雑種を含みというのも、備考1を繰り返して言っているようで理解できるのですが、「直ちに人の身体に使用可能な形状のものに限る」という「限る」という言い方をした時には、例えば、日本では栽培は普通の所ではできないのかもしれませんが、個人がMitragyna speciosaを栽培していただけで、それも指定薬物を持っていたことになるのでしょうか。

○事務局 生の葉っぱをそのまま口にして摂取して乱用するような実態も報告されておりますので、そういった苗の状態のものなどであっても、規制対象とさせていただこうと考えております。植物販売業者などに確認したところ、国内で流通しているような状況がないことも確認しております。そこについては広く観賞用などで流通している状況ではありませんので、乱用実態のある状況で販売されている所を取り締りできればと考えております。

○鈴木部会長 よろしいでしょうか。

□□委員 分かるのですが、逆に言うと「直ちに人の体に使用可能な形状でないもの」というのは何ですか。

○事務局 国内でそういった流通があるという報告を受けている訳ではないのですが、板に加工した状態のものとか、この木自体が生育すると10m以上の木になるようなもので、ベニヤ板などの有用性などが書かれた文献等もありますので、丸裸の木の状態で輸入されたときに、微量にMitragynineが検出されていても、それは指定薬物には該当してこないという判断になるかと考えます。

□□委員 よく分かりました。

○鈴木部会長 他にいかがですか。

□□委員 若干興味があってお聞きするのですが、こういう使用方法によって、今問題の成分がどのぐらい生体内に移行するかというのは、大雑把に推定はできるものなのですか。噛んだり、煎じたりするのですね。それによって多分オリジナルの物質のこういうデータの解釈も変わってくるのだろうと思うのですが、一般的な推論の方法というのはあるのですか。

○事務局 私どもの方で今回文献を見させていただいた範囲だと、そういったものに類するものは見当たらなかったので、持ち合わせてはいません。人に対する実験データではないのですが、動物実験でホットプレート試験を用いた時の有意に差が出る数値が35mg/kgであったという報告は確認しております。

□□委員 何が35ですか。

○事務局 Mitragynine35mg/kgを投与した時です。

□□委員 葉っぱとしてどのぐらいのものを使用するとどうという、そういう関係性は分からないのですか。

○事務局 常用者に対する統計調査をした文献では、1日3枚以上摂取しているという報告が書かれているものもあります。

□□委員 そのぐらいの量で効果があるのでしたらよろしいかと思いました。

○鈴木部会長 他にいかがですか。よろしいですか。

 ありがとうございました。それでは、発言が出尽くしたと思いますので、審議をまとめます。ただ今御審議いただきました2物質及び植物は、いずれも医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。ありがとうございます。

□□委員 審議結果はそれでいいのですが、コメントを加えさせてください。今回たまたまですが、立体異性体の化合物が2種類出てきておりまして、□□□□□□□□□□□□とで化合物の命名及び構造式を検討させていただきました。そこで今回は若干いろいろなコメントが行き交いましたが、最終的に今日、提案させていただいたような形になりました。

 具体的に言いますと、最初にフェンメトラジン系の化合物に関しては、従来と同じ方法で構造式には立体構造は何も書いてありません。この場でも過去にも触れさせていただきましたが、この書き方をしている時には、エナンチオマーとジアステレオマーは2組、全部で四つの化合物があるのですが、四つの化合物が全て可能性があると言っているだけで、その四つの化合物のどれが駄目で、どれが駄目でないなど、どれが指定薬物であるかということは全くコメントしていません。合成品であると考えられますので、合成法によって色々混ざってくるということで、広く包括的に取り締まれるという形で従来からこういう形を取ってきたのだと思います。

 今回はこういう形を踏襲しましたが、実際にはデータをきちんと御覧になっていただきますと、8ページに構造異性体の活性が書かれています。構造類似物質ですが、シス体と言われている4と6がほとんど活性がないのだと思います。ということで、構造を規定する時にも、それを含まないような形がいいのではないかというコメント、やり取りもしたのですが、あえてそれを除く必要はないだろうということで、従来どおり、構造式にも化学名にも立体を規制しない形を取らせていただきました。これは従来どおりです。

 もう一つは、今日、御審議いただきましたMitragynineは、一緒に植物も規制されるように天然物です。過去の例を見ますと、指定薬物リストの中に一つだけですが、サルビノリンAがあって、これが不斉表示しております。ですから、これは合成化合物とは違って天然化合物であるということで、構造実態を規制するような形で構造式を書いて、化学名もそれに準ずる形を取らせていただきました。基本的に従来どおりの規定の仕方で、名前と構造式を書きました。コメントです。

○鈴木部会長 ありがとうございました。それでは、引き続き事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 今後のスケジュール等について御説明いたします。本件の結果については、次回開催の薬事分科会で報告させていただく予定です。本日の結果を受け、指定薬物を指定するための省令改正の手続を進める予定です。また、いわゆる正規用途については、今のところ確認されておりません。いずれにしましても可能な限り適正使用に支障を来たさないように対応する所存です。以上です。

○鈴木部会長 本日の議題は以上です。それでは、事務局から、その他の連絡事項があればお願いいたします。

○事務局 次回の部会日程については、来年度の4月中を予定しております。正式に決まり次第、御連絡させていただきます。また、本部会の資料は回収させていただきますので、そのまま机の上に置いていただければと思います。以上です。

○鈴木部会長 委員の先生方、本日は御審議ありがとうございました。以上をもちまして、平成27年度第12回指定薬物部会を閉会いたします。ありがとうございました。

 


(了)

備  考
本部会は、公開することにより、委員の自由な発言が制限され公正かつ中立な審議に著しい支障をおよぼすおそれがあるため、非公開で開催された

連絡先:医薬・生活衛生局 監視指導・麻薬対策課 課長補佐 佐々木(2779)

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