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2016年6月16日 第16回社会保障審議会統計分科会生活機能分類専門委員会議事録

大臣官房統計情報部企画課国際分類情報管理室

○日時

平成28年6月16日(木)14:00~16:00


○場所

厚生労働省 共用第9会議室


○出席者

石川広己委員、大谷俊郎委員、大日方邦子委員、鎌倉やよい委員、才藤栄一委員、

齊藤秀樹委員、中村耕三委員

○議題

1.ICFの普及等について
2.その他

○議事

 中村委員長 

 それでは予定の時刻となりましたので、第16回社会保障審議会統計分科会生活機能分類専門委員会を開催致したいと思います。各委員の先生方におかれましては、お忙しいところご出席賜りありがとうございます。それでは事務局から配布資料について説明をお願いいたします。

 

 事務局 

 はい、それでは、お手元の資料の確認をさせていただきます。

議事次第、委員名簿

資料1-1 WHO-FICネットワーク年次会議(2015)の報告

資料1-2 2015WHO-FIC分類改正改訂委員会投票結果

資料1-3 EICFDRG中間年次会議報告概要

資料1-4 WHO-FICネットワーク年次会議及びICD-11改訂会議について

資料2 第5回ICFシンポジウム

資料3 筒井参考人から提出いただいた資料

資料4 才藤委員からご提出いただいた資料

資料5 ICF普及・活用に向けたイメージ図。

参考資料1 ICFの概念図とコードの概要

参考資料2 第5回ICFシンポジウムの報告書

参考資料3、国際生活機能分類(ICF)の一部改正集積版の仮訳

参考資料4 URCICFの改正について

続きまして机上配布資料でございます。

机上配布資料1 国際生活機能分類

机上配布資料2 国際生活機能分類児童版

机上配布資料3 生活機能分類の活用に向けて

机上配布資料4 Practical Manual

机上配布資料5 社会保障審議会の運営規則

机上配布資料6 生活機能分類に係る委員会の設置について

机上配布資料7 世界保健機関国際分類ファミリーの図

机上配布資料8 ICFのコアセット

机上配布資料9 WHO-FICネットワークと改訂の概念図

机上配布資料10 介護保険関係資料

机上配布資料11 平成27年度厚生労働科学研究報告書

資料は以上でございます。

 なお、名簿につきましてはご所属の異動等を当方へご連絡いただいたものを掲載してございますが、記載の誤り、あるいはご所属の異動等がございましたら会議後事務局までお知らせいただきますようお願いいたします。

皆さま資料は揃っておりますでしょうか。資料の確認は以上でございます。

 

 中村委員長 

 はい、ありがとうございました。よろしゅうございますか。それでは引き続き事務局から委員の出欠状況について報告をお願いいたします。

 

 事務局 

 本日の委員の出席状況でございます。出江委員、島田委員からご欠席との連絡をいただいております。また石川委員から本委員会途中退席のご連絡をいただいておりますので合わせてお伝えいたします。なお、委員会出席委員が三分の一を超えておりますので会議は成立しておりますことをご報告申し上げます。また、本日は参考人として兵庫県立大学経営研究科筒井孝子教授にご出席をいただいております。

続いて事務局の人事異動についてご報告いたします。統計情報部企画課長が三富から森川に。国際分類情報管理室長が渡から森になりました。企画課長の森川でございます。

 

 森川企画課長 

 森川でございます。どうぞよろしくお願いいたします。


 森国際分類情報管理室長 

 森でございます。よろしくお願いいたします。

 事務局 

 なお、本日はオブザーバーとして障害保健福祉部企画課和田障害認定係長と老健局老人保健課の佐々原課長補佐に同席いただいております。それでは課長の森川よりこの場を借りてご挨拶をさせていただきます。

 

 森川企画課長 

 それでは改めましてご挨拶を申し上げます。本日はご多忙の中おいでいただきまして、誠にありがとうございます。本日議題としてはICFの普及等についてということでございます。ただ最近の国内でのICFの活用の状況を見ますと、福祉医療の一部で使われだしているのかなというところもございますけれども、なかなかまだ十分ということではないのだろうと思っております。また他方でWHOの方ではマニュアル、ツールなどについての検討が進んでいるというような状況でございます。ですので、まずは本日、最近のWHO等での会議の状況ですとか等につきまして事務局からご報告をさせていただき、また筒井先生の方からお話しをいただきまして様々な国内でのICFの普及等あるいはそのICFの改善等についてのご議論をいただきたいと思っております。

 ぜひ活発なご議論をよろしくお願い申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

 

 中村委員長 

 どうもありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いを申し上げます。事務局から議事に先立ち注意事項等はございますでしょうか。

 

 事務局 

 はい、議事に先立ちまして事務局より運営についてご説明をさせていただきます。机上配布資料の5をご覧ください。本委員会の運営につきましては社会保障審議会の運営規則に準じてございます。当委員会は原則公開でございます。議事録もまた原則公開されることになっておりますのでご承知おきください。円滑な議事の進行のため写真撮影等はここまでとさせていただきます。ご協力よろしくお願いいたします。

 

 中村委員長 

 はい、ありがとうございます。それでは議事に入ります。

 議事の1、ICFの普及等について、事務局より資料の説明をお願いいたします。

 

 事務局 

 はい、それでは昨年10月にマンチェスターで開催されましたWHO-FICでの議論をご報告いたします。

 お手元に机上配布資料の9、資料1-1、資料1-2、参考資料の4をご用意いただければと存じます。当室では例年10月に開催されますWHO-FICネットワークに参加してまいりました。WHO-FICネットワークと申しますのは、机上配布資料9の図のような組織でございます。この図の中の生活機能分類というのがICFに関係した議論を行っております。

 それでは資料1-1をご覧ください。昨年の1017日から23日までイギリスのマンチェスターにおいて開催されました。主催はWHOとイギリスの協力センターです。主な議題といたしましてはWHOが決めている標準分類のうち国際疾病分類、ICDでございますが、それの第11版となりますICD-11の作成にWHOは力を注いでおりますので、まずはICD-11の進捗状況の報告がございました。

 次に2018年5月に世界保健機関の総会(WHA)での勧告を目指しているのだということが報告されました。各委員会の議論のうちにFDRG生活機能分類グループの議論をご紹介いたします。FDRGではICFプラクティカルマニュアル、机上配布資料の4でございますが、これがWHOのホームページからダウンロードが可能となった旨のご報告がございました。

 また、今期より日本WHO-FIC協力センターに参画いただいている国立障害者リハビリテーションセンターの井上剛伸部長よりISO9999に関するプレゼンテーションを行いました。

 次に資料1-2をご覧ください。当専門委員にもご意見をお伺いして投票を行いました。2015年のURCの投票結果といたしましては、検討総数20件うち修正つき採択として9件、取り下げ8件、差し戻し3件となりました。この投票のサイクルにつきましては、参考資料の4、「URCICFの改正について」をご覧ください。ICFに関します意見はすべてプラットフォームというウェブ上に掲載されておりまして、それについて分類改正改訂委員会であるURCの事務局が調整を行いながら各協力センターが一票の投票権を持って投票を行います。期間といたしましては7月1日から9月の15日の間で投票を行います。日本からの投票に際しましては、専門委員の皆様にもご照会をさせていただくことがございます。本年もまた投票の時期になりましたらご協力のほどよろしくお願いいたします。

 次に、資料1-3をご覧ください。今月6月2日から5日まで、タイのバンコクにおいて普及教育委員会(EIC)と合同でFDRG会議が開催されました。当室からは井筒補佐と小職が参加いたしました。

 私からは、FDRGの概要をお話しいたします。タイは開催国でございましたのでタイにおけるICFの活用状況というのが報告されてございました。タイでは、ここに記載がありますような項目をタイコアセットとして、病院からデータ収集を行っているようです。その活動状況がパワーポイントで紹介されてございました。その他にはICFのアップデート、先ほど投票があると申し上げましたが、そのアップデートのなかで、専門家レベルで議論を行うという段階でございますので四つのテーマ別に議論を行いました。議論の主体は、提案された項目を各国の投票レベルにあげてもいいものか、あるいはさらなる用語の変更をする必要があるかというようなことが議論されておりました。

続きましておめくりいただきまして資料1-4をご覧ください。WHO-FICネットワーク年次会議(2016)及びICD-11改訂会議についてという資料でございます。

 先ほど事務局の方から2015年の年次会議については、マンチェスターで開催されたと報告いたしましたが、今年の年次会議については、我が国で開催することになっております。開催の概要でございますが、日時は201610月8日土曜日から12日となっております。場所は少し分割になってしまいますが、8日と9日が東京慈恵会医科大学、10日から12日が東京国際フォーラムを予定しております。こちらのほうはICF専門委員会と関係の深いFDRG生活分類機能の議論をするグループですけれども、こちらの会議の日程自体は10月8日土曜日に9時半から15時半の間で開催される予定となっております。WHO-FICネットワーク年次会議自体は、基本的にはクローズドの会議でございますが、今年につきましては我が国で開催されるということでございますので、専門委員の先生方におかれましてはご予定をできれば空けていただいてご出席いただきたいと考えております。

 また、合わせましてICD-11の開発状況について2018年の承認をWHOで目指しているということでございますが、この改訂に合わせましてICD-11改訂会議というものが、WHO-FICの年次会議と合わせて開催される予定となっております。日時については12日から14日ということで参加者についてはWHOの加盟国、全加盟国に招待するということになっております。ICD-11につきましてはICFと同じく中心分類ということで、ICD-11のなかにはICFの要素も入れ込む見込みであるというような話もございますので、少しこういうことも情報提供させていただければと思っております。以上でございます。

       

 中村委員長 

 ありがとうございました。事務局からWHOの動き、最近の状況につきましてご説明ありましたが何かご質問等はございますでしょうか。

 

 才藤委員長代理 

 ひとついいですか。 タイで行われたものとしてタイセットというものが出てきていたと思いますが、これは具体的にはどこで使って何例ぐらいのデータでしょうか?

 

 事務局 

 即答ができませんが、プレゼンの中には具体数は多分書いてなかったと思います。更問をしようとは思ってはおりますが、リハビリに関する病院で実施しているというようなことは言っておりました。

 

 才藤委員長代理 

 結局いつも議論になるのは、世界の障害者数といったグラフが出てきて、国によってひどく違っているので、これは全然実体じゃないという話です。ですから、 ICF を使えば障害者が標準化できて各国比較ができるという説明があるのですけれど、実際にオルタナティブなデータを僕は一回も見たことがないです。ですから、タイでそういうものを使っているときに何例ぐらいのデータかは必ず聞いて欲しいと思います。そして、そのデータをまとめて一枚のグラフで表現したらどんなものが見えるのかというのを聞いていただくと、先に進めると思います。

 

 事務局

 ありがとうございました。承知しました。

 

 才藤委員長代理

 先日、国際リハビリテーション医学会があったのですが、その時もそのような具体的なものがなかったので。

 

 事務局

 個人的感想になりますが、先生のおっしゃるように具体数というのがなかなか出せない、逆に言えば出せてないという気がします。

 

 才藤委員長代理

 ICD は全然違う使い方になっていますよね。要するに各国でどんな疾患がどんな頻度だというように。そのような使い方をしないとこの分類は、少なくとも実用にはならないと思いますね。

 

 中村委員長

 それではタイでも難しい点があったということですかね、数が出せてないということは。

 

 事務局

 今回は、活用していることを伝えたいプレゼン内容だったと思います。私達が更問いをすべきだったと思うのですけれども、ある程度は、データを集め始めているところという印象でございます。

 

 中村委員長

 では、またデータを問い合わせて、あるようであれば、この会でご報告をいただきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。はい、ありがとうございました。

 それでは続きまして事務局からご説明お願いいたします。

 

 事務局

 続きまして、ICFシンポジウムについてご報告いたしたいと思います。ICFの普及ということの一環として、今年2月21日に第5回のICFシンポジウムを開催いたしました。テーマとしては、生活機能分類の活用に向けて、環境因子としての支援機器の可能性ということで、多くの方にお集まりいただいております。参加者数は150名を超える盛大な会となりまして、アンケートでご意見を聞きましたところ、参加者からは、大変勉強になった、活用の可能性が期待できたというようなご意見ですとか、自由記載の中では、介護の場面で今ICFが注目されている、また、シンポジウムパネリストとしても介護関係の方も入れてはどうかといったようなご意見もいただいております。シンポジウムには、中村耕三委員長を始めとしまして石川委員、出江委員、鎌倉委員にもご参加をいただきましてありがとうございました。簡単になりますけれどもご報告は以上になります。

 

 中村委員長

 はい、ありがとうございます。シンポジウムに参加されました先生方から、感想なりご意見等ございましたらお願いしたいと思いますが。

 石川委員いかがだったでしょうか?よろしくお願いいたします。

 

 石川委員

 そうですね、お隣にいる筒井先生のお話しが大変わかりやすくて印象的だったので、今日もこうやってお願いしようというふうなことになりましたが、みなさんもすごくICFを身近なものに感じたのではないかなと思います。

 

 中村委員長

 ありがとうございます。

 鎌倉委員いかがでしょうか?もしよければ。

 

 鎌倉委員

 はい、私自身も筒井先生のお話しがとても印象的で、ああこういうふうに発展させることができるのかということを感じました。

 そのほか、障害を持った方のいろんなお話しとか、ロボット関係の方のお話しもありました。ICFの概念は使われているけれども、まだその分類を活用するとか、そこまでには至っていないことを感じた次第です。

 

 中村委員長

 はい、ありがとうございました。多くの方がそのような印象を持たれたのではないかというふうに私も思いました。

 それでは、本日は先ほどご説明ありましたように、シンポジウムにおいてICFの活用、可能性、課題ということで研究から得られた知見を通して、というタイトルでご講演をいただきました兵庫県立大学経営研究科の筒井孝子教授に参考人としてご出席をいただいておりますので、ここでご説明をいただければというふうに思います。

 筒井先生どうぞよろしくお願いを申し上げます。 

 

 筒井参考人

 すみません、今日はこのような場をいただきましてありがとうございました。与えられた時間が25分ほどなので、お手元の資料もありますので資料を見ながらご説明をさせていただきます。

ICFについてはICFの概念とかルール、それから臨床にどうやって使うかっていうこと、その3つをなかなか整理して今まで説明がされていなくて、「ICFは、なんとなく良いものではあるけれど、一体、どういうもので、どのように使えるのか」という印象を受けてきたように思います。

さて、現在、先進国のヘルスサービスの特徴は慢性疾患を抱えた高齢者の医療や介護、あるいは慢性疾患の重症化への予防をどうするべきかということにつきます。ここに示しておりますように、とくに入院患者として増加する患者さんというのは75歳以上高齢患者で、彼らは慢性疾患をもち、急性増悪により入院されてきます。こういった患者さんの高齢化に対してどう対応すべきか、ということで今、厚生労働省の医政局、保険局などは地域医療ビジョンの策定や、病床数の推計式の提示といったことをやっているところです。また、今回もかなり大きな診療報酬改訂をして、地域でこういった高齢患者さん達に対する対応ができる医療体制を考えてもらおうとしています。

 具体的には、この高度急性期、それから一般急性期の急性期っていうふうに機能を分化させることが、重要であると考えられています。このことは高齢化によって、疾病パターンは複雑化しておりまして今までように短期的に集中的な医療を投下していくという医療から、長期的、普遍的、継続的に医療もケアも必要とする患者さんが増えてきたということです。

 つまり、患者さんのニーズによって、医療サービスの提供方法も変えていかなければいけないし、医療だけでは地域での生活はなりたちませんから、同時に生活を支えていくためのサービスというものが必要になってくる。こういったこと実現するために、私達の国では、今、地域包括ケアシステムっていうのを進めています。地域包括ケアシステムは、「コミュニティベースドケア」という地域に根差したケアと「インテグレートケア」という2つのコンセプトで成立しています。つまり医療と介護をインテグレートして切れ目なく提供していくということを意味しています。これを進めていく中で、一番、重要なことは、患者さんに対してこのサービス利用をしていくときに、どういうふうにコミュニティがその医療システムを統合していくかという統合の方法を考えていくということになります。さらに、このロングタームのケアについては、国家として品質をどうするかという問題が出てきます。この品質をどうするかということについてはWHO2002年に長期ケアのゴールとして、最上のQOLを維持するようにするということを提案しています。

 つまり、最上のQOLというのを今の地域包括ケアシステムの中でどのように提供するかっていうことが重要になってくる。最上のQOLを提供するためには、医療だけで十分ではなく、介護が必要となります。

さらに、この介護については、経済産業省において、国際的な標準化のスキームを日本でつくって、これをビジネス化するという政策を進めておりまして、代表的なものはISOでやっています。ISOだけではありませんで、訪問介護などのサービスについてもこの標準化っていうものが進められています。それからIECでもAALという議論を開始しています。

 去年、この標準化については、経産省を中心に会議が開かれ、介護の標準化の議論もされました。

さて、ICFは、WHOが健康状態に関連する様々な異なる分野、これを系統的に分類するという目的で提案してきたものです。

 ですから、このICDというものとICFというものとICHIという中心分類を作って、これに対しての関連分類というように、細かい分類が階層的にできているという状態にあります。派生分類、関連分類という分類のサブシステム化がすすめられており、相当、詳細な内容まで含めた分類となっているという状態なのです。

このICFについては、生活機能分類というふうに日本では訳しています。まずICD-10、これはイレブンになっていますけれども、ICFICDには重複があるということをまず認識していただく必要があります。

 それから、その機能障害は身体の構造と機能に関するもので、この構造機能というのは普通疾病過程の一部として考えられています。

 このことは同じ高齢の慢性疾患を持った患者さんに照らし合わせて考えてみますと患者さんには、機能障害があるだけではなく、機能障害に関連した心身機能の問題、それから社会的な問題を抱えているということをコードで示せるということになります。そして、その問題があるために生活機能にも支障をきたす、こういったこともコード化ができるということです。ただし、非常に階層的な構造になっているので、現段階でどういう実用に資するかが難しいという状況となっています。

ICF は統計ツール、研究ツール、臨床ツール、社会政策ツール、教育ツールっていうふうに様々な用途で使えるということなのですが、いろんなものに使えるというものほど、大体、使えないということでして、今のところ、どれにも使えないという状況になっています。

 例えば、現在、診療報酬においては、「重症度、医療・看護必要度」という評価尺度を一般急性期病院は毎日、評価することが算定要件となっています。この評価尺度は、看護量を推定し、医療の機能分化をはかることができる尺度です。また、この評価尺度は、医師、看護師、薬剤師、医事課といった多部署、他職種の情報伝達の基盤になっています。このように、この評価尺度は、現行の医療政策を推進する際に有用となることを目的としたつくりがなされています。すなわち、政策をすすめるために利用することを意図して開発されたものなのです。

しかし、ICFは、WHOの世界戦略の目的と合致しているかどうかもよくわからないし、日本政府にとって、どんなメリットがあるかも明らかでない、しかも現場が理解するには非常に複雑で煩雑というものです。

 こういうものを使ってほしいとWHOが提示してきて、日本以外の他の国はどうしているのかといえば、フランスとかEU諸国ではICFは法律に規定されていまして、ある程度、影響を及ぼしているといわれています。言われていますが、ICFによる生活機能の新しい概念を紹介する研究というのは多いのですけれども、まずツールとして実際に使っている研究はほとんどありません。ICFに基づいた評価ツールを作ろうとしている研究者はいます。いますけれども、その作られたツールはほとんど使われてはいないという現状があります。これはICFをめぐる研究の状況です。発表されるジャーナルも非常に限られていました。限られたジャーナルに、限られた人たちだけが複数出しているという状況で、研究的にも広がりがあるというようになっていない。それはどうしてなのかって言いますと、このICFの構造というところをここにおられる方はみなさんご存じだと思うのですけれども、もう一度見ていただくとまずこの身体機能とそれから身体構造ですね、この身体機能というところに、痛みの有無ですとか、そういった内容も入っています。つまり、別の区分であるこの身体構造の中にも同じようなコードが入っているんです。しかもこれはICDと相互に互換的になっています。新しいと言われているのは、実はこの活動と参加という中身と環境因子なのですが、この活動と参加というのが、APに分かれていまして、例えば看護必要度、先ほど説明したものとかFIMとかっていう内容は、活動レベルを評価するものなのですけれども、こちらPというものは参加を表す指標でして、例えばその党会社となる患者さんや、要介護者、その人がお祭りに参加しました、とか近所付き合いがどうとかそういう中身がコードで全部示せるようになっているのです。

 ただし、こういった参加のレベルを評価するためのルール化は難しいと思います。つまり祭りに参加しているというのは、祭りを見に行ったのか、それとも実際に具体的に参加者として、何かを売ったとか、パフォーマンスをしたのか、そういった内容は一切、ICFには示されていないのです。そういう順序尺度になるような内容がここの中には含まれていません。

 それから、この環境因子というのがさらに難しくて、当該者の家族ですとか、金融資産ですとか、持っている不動産ですとか、行っている学校ですとか、その学校に給食があるのかですとか、様々なことが環境因子としては分類されています。つまり、分類はされているのだけれども、これらをどういうふうに評価したらいいのか、イエス、ノーだけで、評価することは難しいのですが、そのことには定義がないし、ルール化がなされていないのです。

おそらく、WHOとしては、それらの定義についてどうするかっていうことは各国でルール化していってほしいということでしょうが、そうしないと標準化はできませんから。しかし、項目個数が第一レベルで34項目、第二レベルで362項目、完全版とすると1424項目あります。

まず、これらの中から、適したコードを選び、それを評価するとなると完全分類にもなってないため、相当、苦労をするということになります。

 しかも先ほどから申し上げていますように、この活動と参加の評価っていう、Dという文字の代わりに活動はアクティビティというA、参加はパーティシペーションというPというふうに、どうしてこういうふうにしたのかわかりませんけれども、同じ項目をこの二つの側面から評価をするっていうことになっているので、ダブルで評価しなきゃいけないっていうふうに普通のひとだと思っちゃうわけですよね。その整合性がわかりにくいということになります。

一方、ICDのほうは世界各国でよく使われています。これは、どちらかというと完全分類を合議によって決定して、使われているのです。ですからICFICDというのが相互補完的で重複はしているのですけれども、ICDの方を使えばICFはさほど使う必要がないというふうな状況にもなっていますので、ICFを使う必要がないともいえます。

 それから、ただICFはもうひとつ問題がありまして、カテゴリーですね。カテゴリーというときに日本だと「問題なし」と回答するときには、0パーセントをイメージしますね。でもこれは0から4パーセントぐらいを「問題なし」としなさいと定義されているのです。5パーセントから24パーセントが軽度の問題ですよ。完全に問題だとするのは、96から100パーセントですよというカテゴリー感を提示されているのですが、日本では、この感覚も受け入れが困難かもしれません。

おそらく、これは相当、専門性を要求されるカテゴリーの評価になっているということでもあります。つまり、これを評価するためにはそれなりの専門家でないとできないということです。

しかし、このままでは、誰もICFを使ってくれないので、ICFコアセットというものが作られ始めています。ドイツの国際分類のファミリーセンターで作られているようですが、このICFコアセットの目的というのは特定の健康問題、例えば脳卒中ですとか、そういう特定の問題に医療者がつけやすいような内容を集めてくるというようなことがやられています。

 ただし、一言でICFコアセットといっても、種類はたくさんあります。ここに示しましたように、一般ICFコアセット、短縮ICFコアセット、包括的ICFコアセットというふうに様々な種類があります。

このうちで統計的な妥当性を検証されているのは、この一般ICFコアセットのみです。あとは臨床的な知見をもとに作っておられるということです。ここに示したように31の疾患に応じたICFコアセットっていうのは、臨床家が集まって、臨床的な視点からセットが抽出されたもので、データを分析して作ったものではありません、これには充分、留意すべきだと思います。つまり、ある国のある医師集団で作られたものが、別の国の、別の集団の医師たちの同意を得れるかということには疑問があるということです。

 ここでは、ICFコアセット社会復帰リハビリテーションというのを一応、例として示しました。コアセットといっても評価する内容は多いですね。

このようにICFコアセットは、1400以上あるコードがあるICFをより実用的に用いるためのツールとして開発されたのです。ですから、この実用的に用いるためのツールを日本独自で作るということは勿論OKだろうと思います。

 ただ先ほど申し上げましたように、発表されたコアセットのほとんどは統計的な妥当性の検証がされておりませんので、私はWHO-DASを使いまして、日本でのICFICFコアセットというジェネラルコアセットの妥当性についての検証をしてきました。

ただ、注意しなければならない点として、このWHODAS2.0は、自己記入、それから面接者記入、代理人記入というふうに記入方式がたくさんあります。

ICF 一般セットの13項目とWHODAS2.012項目の重複というものを調べたものがこれです。つまりICFWHODASは非常に似ている項目を扱っているということなのですね。今回はICFを妥当性があるかということを調べるために研究をしたので、かなり限られた人に対して、わずか36名に対して、実施しました。この記入者の組み合わせはドクター、ナース、PTOTというその組み合わせでした。

調査の結果、まずICFの評価で問題となったのは信頼性の低さです。これは再テスト信頼法、それから検者間内信頼性、そういったものをすべて調べましたが低い一致しか示しませんでした。つまり、医師や看護師、コーメディカル間の判定は一致しないということですね。

 それから医療と介護現場でもなかなか一致しませんでした。現場のご意見としては、このままでやるのは相当難しいということでした。臨床現場に導入するとなると、混乱が生じてデータの信頼性は非常に低くなるのではないかと危惧されていました。

彼らからの改善策というのは、まず評価項目が多いので絞り込んでほしいということ、もっと定義を簡潔にしてほしいとのことでした。さらに評価の具体例を提示してほしいということでした。

それをもとに今回、日本版ICFコアセットとして私が作ったのがこれです。わずか6項目ですけれども、6項目で、とりあえず今回のデータの妥当性はなんとか持ちこたえるという状況です。

評価項目の数として、これ以上少ないともうどうにもできないのですが、6項目が、医療介護従事者が共通に活用できる項目になるのではないかというのが現時点での結論です。

 ただし、これは評価項目ごとに評価機関、評価する時間を設定し厳格化する必要があります。

 さらに、この信頼性を高めるための評価ガイドラインはやはり、多職種からなる委員会を設置したうえで整備したほうがいいだろうと思います。相当、専門性の違いで評価が異なってくるということがわかっています。WHO-DASについても別の研究で、かなり緻密にやっておりますが先ほど申し上げましたように判断能力が低下している高齢者の場合に調査時に、本人がやっていること、家族がやっていること、介護サービス職員がやっていることっていうのを分けて調査しないと調査が成り立たないという方法を採らなければならないとされております。このようにWHOが提案してきたICFそれからWHO-DASの評価は、日本にはなじまない項目も含まれております。

まずICFについては、ICFの概念というよりかは日本独自の評価ツールとして、コードをかなり限定して導入する方策を考えた方がいいんじゃないかと思います。いくら概念が素晴らしいといっても利用できなければ、普及はしません 

また、ICFのコアセットっていうのも先ほどお示ししましたようにジェネラル、短縮、包括といって様々な種類がありますが、この中で本当に使えるものだけを操作的な定義、それから評価方法のガイドラインを作って医療機関とか施設でプレテストを継続的にやっていき、そのなかで研修システムを作っていくっていうようなことがされる必要があると思います。

確かにICFは優れたところがあります。例えば、環境因子とかの考え方は、在宅に患者さんが帰る際、医療側がどういうふうに地域と連携するかを考える際のキーワードを提供するという意味で多分、使えると思うんです。使えると思うのですけれども具体的な使い方をしていかない限り、実用的な使い方にならないですし、永遠に使われないということになると思います。しかし、これを臨床的に統合していくということをやっていけば、日本では使える方法があるかもしれないという気もしています

いますごくAI、これを使ったらどうかというのが経産省でもよくでてくるのですけれども、その新しい技術を受け入れることがいずれ不可避であるとわかっていても、現実には既存の産業や雇用を守るために新技術の導入・活用を遅らせようとする社会的な力が働きがちなのですね。ICFもまあ同じかなと。不利な条件を成長の機会に使うっていう。ICFは非常にわかりにくい、使いにくいのですけれども、これを逆転の発想ですけれども使えるようにするということを、この委員会で是非議論していただくといいんじゃないかと思いました。 以上です。

 

 中村委員長 

 どうもありがとうございました。

 それではいまの筒井先生のご説明にご質問等ございましたら。

 

 才藤委員長代理 

 才藤です。とってもスッキリしたご説明ありがとうございます。基本的には同感です。やっぱり使わないといけないと思うことですね。ヨーロッパのグループはある意味では非常にこれに固執しているので、日本だけ孤立してもしょうがないので、なんとか使う方法を模索すべいというのが私のスタンスです。

 先ほどの先生のスライドで 56 番目ですか、先生が日本版と言ったのは、ジェネリックコアセットの七つから一つ抜けたものですね。であれば、ジェネリックを実際につける。そして7つめは全然使えないというふうになればそれを捨てればよいので、ジェネリックをつければひとつの日本版ができるという風にはなりますね。ここまではいいですか?

 

 筒井参考人

 そうですね、はい。

 

 才藤委員長代理 

 そうすると、点数化の問題が残って信頼性が低いということになり、これでどうやって信頼性を確保できるのかという話になるわけです。この辺は多分実際に行ったり来たりすると、そこそこなんとか国際間で合意できるようなものがいけるのではないかなと思うのですね。そういう向きでいいのかどうか、先生のご意見をお伺いできればと思います。

 ジェネリックをすべての国でつけると、ある意味では、福祉の指標というか生活の指標のようなものは国際比較が簡単にできるようになると思います。このぐらいまでを手打ちするのは悪くないと個人的には思っています。これは意見と質問です。

 

 筒井参考人

 ジェネリックでこのDの報酬を伴う仕事能力というのは、在宅でも、それから入院期間でも全く使えないのですね、この項目は。ですから多分日本だけじゃないと思うのです。この問題は、つまり、これについてはWHOに申し入れをしてもよいのではないかと思います。

 

 才藤委員長代理 

 結局、いわゆるノーマーティブというか、正規化するデータの場合には、天才しかできないようなスコアが一つは必要で、これはそういう意味では入院中にはほとんどいないけれども、それがあることによって天井効果が避けられると思います。その意味では置いておいてもよくて、6も7も採るのはそんなに変わらないのでいいのではないかと思いますね。

 

 筒井参考人

 それは考え方の違いで、我々は尺度を作ってきたのでその時に無駄なものはあまり使いたくないということだけで、あとは国際比較をするときに先生がおっしゃるように、程度と大きさという評価点の考え方を、日本的な考え方とそのヨーロッパ的な考え方を合わせてどのくらいまで一致させるかっていうのは研修システムの確立によると思います。それについては専門職でやるのか、それとも実はこれ自己評価の部分が報酬なんかっていうのは非常に関連しておりまして、利用者サイドの意識の改革というのを求めることになるのですね。ですから、そこまでここで踏み込むかどうかっていうのは政策的に国民の理解を得ないとできないことだなと私は思います。

 

 才藤委員長代理 

 個人的には天井効果を捨てるような指標を1個入れておくのは悪くないなと思っています。ジェネリック、この6つなら7つにして、ジェネリックでやってもよいのではと思います。次の議論でまたその話はでてくると思いますけども。

 

 中村委員長 

 ほかにございますでしょうか。はい、石川委員お願いします。

 

 石川委員

 ずっと続けて言っている話なのですけれども、これは地域包括ケアシステムの中に入れたらいいのではないかというようなことを言っているのですけれども。各地の地域包括ケアシステムの作り方、作っている状況だとかそういったものを見ると、甚だ寂しいものがあってですね、そこまでなかなかいかないのが現状だと思うのですよね。

 ただ、10年先だとかっていうところで考えてみますと、このとにかく高齢者だとかそういったものが社会参加ということができるような形にこの医療介護の支援を得てですね、社会参加ということを少しでも今よりはできるようにするために、こういう考え方の導入というものが、私は必要だと思っているのですけれども。私なんかも実は小さな市でですね、地域包括ケアシステムを導入しようと思っているのですけれども、とてもこの難しさにはですね、ついていけないというかですね、それを先駆的にやる私達の近くにもそういう教授がいてですね、それをリーダーとしてやろうと思っていろいろやるのですけれどもなかなかその現実のみんなの力にならないっていいますか、まあ状況であるのですよね。だから今、筒井先生がこうやって少し簡略化したものだとか、そういったものを研究のある一定の到達があったらどんどん私達に使わせていただくということをやらないとだめなのかなと思ってはいるのですけれどもね。

 実際のところは私も地域連携だとかそういったところではシステムは作ってきて、特にあの脳卒中なんかですね、何回か言いましたように、FIMでみんな統一しているわけですよね。そのFIMも結構その医師の中心的な人物が、何回も何回も講演をその介護スタッフだとかそういった方にして初めて使えるようなものであって。だけどそこでようやくみんなの共通言語化したというところもありますのでね。またこれがあの数年どういうふうにこれが進歩していくのかどうなのかということになるのですけれども。そういうふうなところでこれICFというものがあってもっと簡単に我々が、手が届くようなところにあれば、千葉県の全県の脳卒中の連携パスというのを作ったのですけれども、これはかなり300万人口網羅している連携パスですからかなりでかいのですけれども、それにこれが使えたのにと思うのですけれどもとても無理だなと。一方でまた無理だなとは思いますね。そういうそのあるべきだなと思いながらやっているので、いずれそういう研究されている方が現場にかなり近づけていただけるようなことを一方で期待しながら行くのではないかなと思っていますけれども。

 

 中村委員長 

 はい、ありがとうございました。他にいかがでしょうか。

 それではですね、またこれは才藤委員も取り組んでおられることでございますので、その時に合わせて議論するのがよいのではないかと思いますので、その時にお願いしたいと思います。

 筒井先生どうもありがとうございました。

 それでは続きまして事務局からご説明をお願いしたいと思います。

 

 事務局

 では続きましてお手元の資料4をご覧ください。昨年度の具体的な取り組みとしまして厚生労働科学研究においてICFの活用、研究課題名が「ICFの普及推進のためのICF評価セット(日本版)および生活機能評価システムの作成」の研究を行っていただきました。才藤委員よりご報告をお願いしたいと思います。

 

 才藤委員

 はい、今の石川先生の希望に多少応える方向に動いているとご理解いただけるといいのですが、 厚生労働科学特別研究事業の枠組みで、 向野講師が中心に行った仕事です。いまもオンゴーイングで仕事をしております。彼自身は今スイスの脊損センターに留学していて、いろんな統計学者が ICF に熱心に取り込んでいるところなので、ある意味では WHO とのコラボレーションも含めて少し先に進めると思います。

 大枠を説明します。これは先ほど筒井先生がおっしゃったように、要は、概念は理解されているけれど使われていないという現状です。私自身も ICF は一筋ならではいかない課題だなと思っています。

 まず、厚労科研で行われた 7 件の先行研究をレビューし、何が議論されているのかを見ました。詳細は、リストをご覧ください。見ていただくと論文はコンスタントには出ているのですがその内容はあまりデータ数が多くなかったり、概念的にとどまるものが多くて、これをもってすぐに使えるような研究があるとは思えませんでした。筒井先生が実際にそのようなことを指摘した論文も挙げられています。

 一方、リハビリテーション医療の現場では総合計画書というものがあり、多数の項目を記載する必要があります。これを埋めて、患者さんに説明をしないとリハビリは始められません。保険点数も取れない。現状では、 3 種類のバージョンがあります。そこで、この調査票と ICF を組み合わせればよいと考えたわけです。そもそもこれはかなり ICF を意識して作られているのです。ですから ICF との親和性は悪くない。さらにリハビリの現場はこれをつけているという実態があるので、組み合わせるとなんとかなるのでは、となりました。その次のベン図(Venn diagram)はあまり正確でないので、机上配布の棒グラフを見てください。2つのコアセットがあります。左側にリハビリコアセットと一般コアセット、これが先ほど紹介があったその WHO から派生したグループが臨床的に使いやすいように作ったものです。30項目のリハビリコアセットは比較的新しくて、以前はディスアビリティコアセットとも呼ばれていたものです。一般コアセットは先ほどから出てきた7項目のジェネリックと呼ばれている一番重要で絶対かかせないといわれるものです。

 最終的にデザインした日本版評価セットは、リハビリコアセットを組み込んで 56 になります。実施計画書自身は 45 ですので、それに 11 増やすと両方とれることになる。そういう意味ではこれが大枠になると、それほど新しい負担がなく、臨床で使えます。この「負担なく」という理由はあとでご説明します。

 一般コアセットの7は、リハビリコアセットの中に含まれます。それらを合わせたうえで、 56 項目からなる評価セットを考えました。そうしたら、ヒアリングを行う中で、いろんな医師が多すぎて嫌だというので、 24 の短縮セットを作りました。これは、何が短縮されたかというと、基本的には機能障害(impairment)レベルを減らしました。これは他のものでとっているので。

 この日本版評価セット 56 と短縮セット 24 については、短縮セットはまだ全然動いていませんが、評価セットは今いろいろ使用しながらの議論を進めています。使い分けとしては、短縮セットは急性期病院もしくは在宅というか地域で使う。日本版 56 は回復期を中心としたリハビリを集中的に行う入院に関して使う。まだ概要で多分これから変更はあると思います。

 先ほど信頼性が全くないよというような話がありました。実際には0点から4点、5段階評価です。この問題には皆気づいていて、クオリファイヤという概念がでてきました。要は他の評価の最終表現として ICF に使っていいですよ、という考え方です。報告ツールとしての ICF というわけです。そうすると先ほど石川先生がおっしゃった FIM をつけていると自動的に移動のところの ICF の点が入って、別に ICF を直接使わなくても FIM から ICF の報告・レポートができるわけです。 FIM そのものはかなり信頼性が高いことが分かっていますので、その点はあまり議論しなくても進むというような話になります。そして、 FIM はつけますから、総合計画書でわざわざ聞かなくても、 FIM 結果が総合計画書に飛んできて埋まる。そうなると総合計画書を作る人も手間が省けるので、使ってもいいかなという話になる。

 こんなような報告ツールとしての ICF という考え方をその次のページで説明しています。そのときに重要なのは、 FIM は順序尺度として比較的きちっと定義ができていますけれども、 ICF のパーセントに置き換えるのにはどうしたらいいか、ということです。これはスイスのグループがずっと考えていますので、彼らと議論していけば、そこそこの落としどころには辿りつくだろうと思っています。

 次のページはあの向野先生が創った絵です。要は標準化すれば多分野でお互いに比較できるようになるわけです。

 その次のページは、情報収集の仕組みを示しています。左側には普段臨床がつけている臨床スケールです。それをスコアデータに入れると ICF に変換されて、アウトプットとしては先ほど言った報告書やカンファレンスシートに落としてくれる。

 実際にその次のページからは細かくて見えないと思いますが、ファイルメーカーでこの仕組みを作りました。

 そこから数枚先のスライド、インタビューシートです。 ICF の中で、質問した方がよいものはインタビューシートでつけて、総合計画書にはめ込まれるのが便利です。

 それから、その次は、臨床のなかで例えばケースカンファレンス等を使うときのフォーマットに落とします。

 今この春の時点でβバージョンができてフィールドテストを開始しています。それから、 ICF への変換式を検討しています。日本リハビリテーション医学会ではデータベースのグループがあって、今年ICFに取り組むことになっています。そして将来的には、専門医試験を受ける場合の症例は、この ICF 評価が載っている必要があるというように落とし込めれば日本からコンスタントにしっかりしたデータが出てくるのではと思っています。

 非常に駆け足で話しましたが、このようなデザインで話を進めています。

 以上でございます。

 中村委員長 

 ご説明ありがとうございました。ご質問等ございますでしょうか。

 先生すみません、確認させていただきたいのですが、今現状で臨床で使っているものFIMとかですね、あとはリハビリテーション実施計画書を実際にリハビリテーション診療で使っているわけですね。これらを使っていただくと、評価セットに自動的におちてくるもようになるということで、よろしいでしょうか。

 

 才藤委員長代理 

 はい、そうです。基本的には、 ICF そのものをつけるのは少なくて、例えば FIM をつけるとそれに該当した ICF の項目が埋まるという形になります。

 また、実施計画書をつけるために、家族にヒアリングした部分が、また該当した ICF を埋める。だから ICF をつけてくださいというのではなく、実施計画書をつけましょう、あるいはその時に一緒に FIM をとっといてくださいとなります。そして、自動的に ICF 日本セットがでてくる、そういう形になります。ですから、普段のものを全部つけると後ろに ICF がいて、 ICF のレポートができるという恰好になると思います。

 

 中村委員長 

 それをもってインターナショナルといいますか、グローバルに使えるようなものにもなっていくだろう、さらに実行性のあるものであり、いいものだというふうに人が理解していけば、普及が進んでいくのではないかということですね。

 

 才藤委員長代理 

 先ほど筒井先生のお話しにもあったように、各国は皆、 7 項目のジェネリックをつけましょう、というような可能性は充分あると思います。その場合、今回の日本セットも短縮セットもジェネリックは全部入っていますので、日本の医療現場、医療保険部分、介護保険部分のジェネリックデータは全部出てきます。そうすると世界的に見て日本が最もデータを持っているようになるのではないかと思います。

 

 中村委員長 

 はい、ご解説いただきましたが、いかがでしょうか。

 ということを研究としてリハビリテーション医学会を中心に具体的な歩みとして今始めていただいているというご報告をいただきました。いかかでしょうか。

 

 大谷委員 

 専門委員でこんなことを聞くのはちょっと恥ずかしいのですけど、才藤先生にもうちょっと解説していただきたいところがあります。今のご説明と先ほどの筒井先生のプレゼンテーションをうかがって、非常に自分なりにはすとんと落ちたところがあるのですけども、そうするとFIMプラスリハビリテーション計画書だけではなくて、それをこっちに落とし込むことの意義というのはその国際的なプラットフォーム、今現在進行形で作っている国際的なプラットフォームに乗っかれると、そういうメリットがあるということでいいでしょうか。

 

 才藤委員長代理 

 すこし違って、 FIM そのものはいわゆる ADL といって日常生活活動の指標です。勿論今 FIM だけしか評価していないところもありますが、それは一側面でしかない。ですから例えば家庭復帰とか別の指標も必要です。そのような時、 ICF のセットを使うと多面的なデータがとれますので、 FIM だけで測るよりずっと良い評価になるし社会のニーズに合うわけです。そういう意味では、 FIM に代わるものというよりは、 FIM をその要素の一つとして組み込むというような考え方ですね。

 

 大谷委員 

 はい、わかりました。そうするとその次の段階として、そのワールドワイドで、これがもしですね、動き出すということになると今そのWHOが全体として掲げているビジョンと、それと日本の位置と、それから日本以外の国々の位置と、その辺の関係をちょっと説明していただけますか。

 

 才藤委員長代理 

 はい、率直に言って ICF については、ヨーロッパのグループは非常に一生懸命やっていて、アメリカはあまり頑張っていないように見えます。ただ WHO はヨーロッパにあってその地の利はあるので、 ICF が多分これからこう伸してくるだろうというのは誰も予想しているところです。ただ、道のりはいろいろ大変でしょう。

 日本に関して言うと、皆さんいいよとは言っているのですが全然データがない。あるいは非常に小さなグループでのデータでした。こういうものは大きなデータがない限り厳しい。こんなに沢山の要素と階層があるものは大きなデータなしにゲームができません。幸い日本のリハビリ医療には、かなり均一な、例えば回復期病棟などの大きなグループがあります。そこでまとまって使うことになれば、多分あっという間に世界の標準というかトップになるだろうと思います。

 私たちは今何をとるべきか。哲学的議論は別の人にやっていただき、いわゆる信頼性の確保をまずする。信頼性の議論はそんなに難しくはないと思います。数字で出てきて優劣がわかりますので。その議論を繰り返せば、標準化にはさっといけるのではないかと思っています。

 

 大谷委員 

 アメリカがあまり乗らない理由は?

 

 才藤委員長代理 

 歴史の違いかもしれません。アメリカではリハビリのことをフィジカルメディスンアンドリハビリテーション PMRといいます。でも今私たちの国際学会はフィジカルアンドリハビリテーションメディスンに変わりました。 PRM です。国際的な企画は、それがどこから生まれたかで人の興味の強さが異なってしまうのだと思います。

 

 鎌倉委員

 才藤先生の今のお話しを伺って可能性というのが良く理解できたのですが、そうすると現在使っているFIMとリハビリテーション実施計画書をつければICFの項目が埋まっていくという、そういう話でしょうか。

 

 才藤委員長代理 

 非常に単純に話すとそうです。ただ、実際にはもうすこし仕事は増えます。患者さんにはインタビューに答えてもらう必要がでますし、 MMSE なども入ってきます。基本的には大変なのはそのくらいですね。

 

 鎌倉委員

 そうするとICFをつけるというのではなくて、その他のものをつけて自動的にICFが出来上がってくるということですね。

 

 才藤委員長代理 

 そうですね。総合計画書そのものは義務づけられていますので、それこそいま DPC でやっているようなデータの収集はしようと思えば簡単にできるはずなのですね。そうすると厚労省は少なくともリハビリでフルセットあるいはこれくらいだけのセットをつけるという話になると、ナショナルワイドで病院あるいは施設のそういうデータを集められるということになります。あっという間に展開する可能性はあると思います。

 

 鎌倉委員

 そうすると、そのデータを集めて研究ベースとして、ICFがどのくらい活用できるかを検討するということに、その方法をとるということですね。

 

 才藤委員長代理  

 そうですね。総合計画書そのものは義務づけられていますので、それこそいまDPCでやっているようなデータの収集は、しようと思えば簡単にできるはずなのですね。そうすると厚労省は少なくともリハビリでフルセットあるいはこれくらいだけのセットをつけるという話になると、ナショナルワイドで病院あるいは施設のそういうデータを集められるということになりますからかなりあっという間に転がる可能性があると思います。

 

 鎌倉委員

 そうすると普及の方略としては、まずそのデータを作って「良い」ってことを出しておいて、今まではこれをつけていたけどICFに切り替えるという形で持ってくということでしょうか。

 

 才藤委員長代理 

 そうですね。そう思います。ですから、 ICF の概念は今まで通りこう多面的に見えますとなり、医療者の実際の日常はそんなに変わりません。けれども、実際にICFデータが出てくるようになると、多面的な概念が具体的に見えるようになってきて、多分もっと ICF 自身を理解するようになると思います。なんでも具体的でないと理解しにくいものですから。そういうプロセスではないかと思います。

 

 鎌倉委員

 それはよく理解しました。ただちょっと気になったのは、他のものをつけていて自動的にICFがでてくるということになるものですから、その次の切り替えの時にICFをつけていくっていう行動になってくるのかどうかっていうのがちょっと今の段階では気になります。

 

 才藤委員長代理 

 ICF をつけるという行動はそんなに重要ではないと思います。その時には多分 ICF は順序尺度ですから、尺度化の問題が結構大変な問題として残り、多分長年時間がかかるでしょう。

まずは、総合計画書をつけると ICF データがでてくるということ。その裏ではその尺度化を沢山の研究者が色々な検討をして、最後にはちゃんと尺度化された ICF になる。

最初は、全体では大まかなゼロイチのデータなのかもしれません。それでも7つのジェネリックだけは、先取りして尺度化しておけば、国際比較も簡単になるでしょう。

 

 中村委員長 

 はい、ありがとうございます。ほかによろしいでしょうか。
おそらく大事な点は ICF のリポートができるということだけではなくて、そのICFの概念であったもうちょっと多面的に人を評価する、評価できるようになっているというところが大事なことであるという、そういうことでしょうか。

 

 才藤委員長代理 

 勿論ICFはリポートとして出てきますので国際比較はしやすくなる。

 

 中村委員長 

 そうですね、それはそれでいいと思う。

 

 才藤委員長代理 

 ただその本当の信頼性に関しては多分ちょっと時間がかかるのだと思う。是非筒井先生のご意見を聞きたいのですけれども。

 

 中村委員長 

 よろしくお願いします。突然ですみません。

 

 筒井参考人

 才藤先生がご提案なさっている方法は、いわゆるICFを使ったデータを採るというための手段ですよね。ですから、オーソドックスなやり方ではないということを十分、理解して才藤先生はやられているのだと思うのです。けれども、私が一番、気になるのはこれ作った人たちに対して、これはもともと作った人たちっていうのがいるわけですよね。

 で、その人たちが何を求めて作ったかというと、この地球上の人たちがどういう状態で、どういうサービスが必要で、どういう環境を整備していくかということを、国際的な視点から俯瞰的に把握することが必要で作ってきたものだと思うのですよ。だから哲学的な内容も沢山あるし、非常に複雑化して階層化してしまったわけですよね。その趣旨には、今回の方法は、少し外れるなというのが一つの感想です。

 ただ、日本という国でICFを正面から理解してもらうのは大変、難しいので、手段として、ICFは理解できなくても、実は使っていて、データもこういうふうに出るのだという方法を採りますということなのですよね。つまり、方法論として、今回のような内容を選択される方がおられるというのは、これも考え方としてありうると思います。

 ただ、やはり、これを国際政策として、WHOが戦略的に利用しようとするときには、データについてのカテゴリーに関するところは最後まで検討課題として残ると思うのですね。カテゴリーの順序性ということに対して、ある意味、機微な順序をこの人達は作っています。先ほど、ご説明しましたように、ゼロはゼロじゃないと。ゼロから4ぐらいだとかっていう、機微な情報をこの人達は考えているっていうことを配慮すると、このリハビリテーション分野で書かれるレポートから変換して出てくるデータを統計的にどう解釈するのかっていうのは推論の可能性も含めて意外と難しいかもしれないというふうに思います。

 それについては数学的に配慮する必要があると考えます。どういうことかというと例えば、このリハ計画書において、家屋に問題があるという状況があった場合、現状では計画書には、その詳細が書かれているのですが、ICFのコードにした場合、その内容をどこまでカテゴリーに落とし込めるかという課題が出てきます。現行の計画書では、家屋の問題の、そのバリエーションによってサービスの種類を変えているわけで、そういった意味で緻密な内容をICF化の段階で粗視化することにならないかと思うのです。ICFの分類の緻密さは、こういった内容も反映するために、極めて詳細に、階層化されているのですが、そのデータを今回のリハビリテーション実施計画書から出されるICFには含んではこないだろうと推察されますですから、それについてどう考えるのかというのは、別のツールを通じて、ICFに変換して結果、これを元に、本当に戻れるかなということも含めて検討課題かなというふうに私は思います。

 

 才藤委員長代理 

今の最後の点はちょっと誤解で、ゼロイチになるというのは最初の時点で順序尺度の信頼性が確保できてない時の話です。そのうちに順序尺度としては存在するようになると思います。ゼロイチではなくなると思います。それは先生がおっしゃるように明日からそうなるのではなく少し時間がかかる話です。

 それから僕自身はある意味では実用性を重んじているので、実用性がフィロソフィーに劣るとは全然思っていません。こういうものは実用じゃなかったら生身の人間のために役に立ちません。使えないものだったら使わないほうがいいくらいですね。医療の現場は余計なことをしたいとは思っていませんので。そういう意味では実用のものがない限り、どんなにいろんな人が考えても暇つぶしみたいな議論だと思います。この点は随分先生の考え方が違うと思います。

 

 中村委員長 

 はい、ありがとうございました。石川委員。

 

 石川委員

 あの今日はすごく面白い議論で大変エキサイティングな会議、頭の中がエキサイティングな感じになるんですけれども。実はですね、私は今医療のITというところでですね、医師会の担当で内閣官房のところだとかそれから経産、総務、それから厚労ですね、その医師会の関係できるところは全部出ています。

 基本的なキーワードは医療連携、情報連携なのですよね。その医療連携、情報連携のひとつのポイントはですね、これはICFだというふうに思っているんです。医療介護情報連携。これはどんどん進みつつあって、私なんかがかつてアナログで情報連携をやろうと思ったのは、PCスキルにレベル差があったからです。本当は、どんどんどんどんITに置きかえようとしたいと思っていますが、今後、これがどうしても必要なのですよね、おそらく。これは必要になってくると思う。今いろんな地域で、そのレベルが違う形でどんどんどんどん進めているのが先ほどの地域包括ケアシステムの話しですけれども、これをそのあまり先に自分たちのそのアナログベースのやつが、先に行ったらなかなかこっちに戻れないとかですね。こっちは導入するのが難しくなるということがないように、少なくとも今の段階から将来ICFだとか、生活機能の評価をしていくというふうなところで、準備段階としてここは絶対に、やっといたほうがいいとかですね、これはやっちゃいけないとかですね、そういったものを今の医療介護連携の進んでいる中で言っていく必要があるのだと思います。

 それはこの委員会だとかそういうところが言っていかないと、もうこれはデータベースも、私はナショナルデータベースだとか一千万人の医療データベースだとかそういうのも絡んでいろいろデータベースを作ってきているんですけれども、これは本当にでき上がった後からのっけると言ったってもう過去の人たちのところに、のっけることもこれはできないし、だからどの段階で後戻りできるのか、先ほど才藤先生が言うようにこれFIMでやっていて少しこう入力すればコンバートできるとかっていうとかそういうツールがあればいいですけれども、今の段階でここだけはやっちゃいけないここだけはやったほうがいいっていうことがあったらやはり適切に提言するのもここの役割なんじゃないかと思うのですよね。そういう時代に入ってきているので、ICFというのは非常に困難な道程にあると考えても、いずれはこういうのをやらなきゃいけないというふうに思ってそこを大前提とするならば、それを今から準備をしないといけないと思うのですよね。それはぜひこの研究をしている方たちに現場のそういう、現場を走りながらやっているのですけれども、現場と一緒になって提案していただきたいというふうに思っています。

 

 中村委員長 

 はい、ありがとうございます。

 

 筒井参考人

 先ほどの発言について、説明を追加させていただきたいのですが、このリハビリテーション実施計画書を書く方々は、ここに書かれているようにBDEについて書くということを訓練されているんですけれども、ICFを書くことについては訓練されているけれどもICFの構造ですとか、理念とかっていうものは理解しないで書くことになります。当面はそういうことになるわけですよね。ですから、このときに多分、重要なのは、やはりEで環境因子に関わるところについてはICFの全体像を理解してこれを書くほうがきっといいデータが集まるだろうから、単に自動的にICFが出てきますよっていう話だけじゃなくて、最初にこのリハビリテーション実施計画書を書く専門職に対して、そういったことをわかってもらって、本来的な意味で必要な機微情報が入るようにしたほうがいいだろうとそういう意味です。

 

 才藤委員長代理 

 それは了解です。大きな背景概念がわかるとものがよく見えてくるということはその通りだと思います。

 

 中村委員長

 他にございますか。本当にエキサイティングな話になっておりますが。

 

 才藤委員長代理 

 微妙な話をしたのでついでにしますと、先ほどのアクティビティとパーティシペーションのところも、これは FIM のできるとしているという話とちょっと違うのですね。

FIM の場合には、結局、評価者が誰であっても付けられるようにするために、している ADL をつけるというのが基本です。これはアルバイトを雇っても採点法が簡単ならきちんととれるよ、今実際にやっていることだからということなのです。

 ただ、ある面から考えると「している」より「できる」ほうが重要であり、これはなぜかといえば、「できる」というのは能力であり、能力は安定的です。「している」というのは状況依存で、していないこともある。例えば、車を持っていなければ車を運転していない人でも免許を持っていれば、車は運転できる。一方、 ICF のパーティシペーションとアクティビティは、何も使わない状態でできるのがアクティビティで、道具などを使ってやるのがパーティシペーションと説明しています。微妙に違うのですね。だからそういう意味では、完全移行には難しい点がある。

 

 中村委員長 

 ありがとうございます。他にございますでしょうか。

 才藤先生もう少しお話していただいてもいいのですが。

 

 才藤委員長代理 

あまり重箱の隅をつつくような話はいやなのですが。例えばさっきの障害者の率なども、階層になっていたり多軸になっているとランキングはできません。先ほどある ICF の研究者がね、障害者の率が変なのは障害を測る方法がないからだ、というような話で、だから ICF が重要だという議論は、すこし歪んでいると思っています。

 

 中村委員長 

 ありがとうございます。他にございますでしょうか。

 この委員会でということよりは研究として才藤先生の方でリハビリテーション医学会として、研究を今進めていただいているわけで、それはあのICFを出来るだけ困難をすくなくして、具体的に進め、みんながこういうものだということを理解できるように、実現の方向に向かってステップを踏める、そういうご報告であったと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。なければ、先生には是非研究を続けていただいてですね、厚労省の方には是非支援を進めていただいて、見える形になるようにと願っているところであります。具体化しようとするといろいろ考えなくてはいけないことや、配慮すべきことが沢山でてくることが予想されます。筒井先生が言われたことは才藤先生もお感じだと思いますので、その辺も含め、成果のステップが出ましたらご報告いただきたいと思います。そういう研究を一方で進めていただいているということを横に見ながら、ご報告いただきながら、もう一方でICDWHOの動向について時々情報を報告いただくというのがこの委員会の責務と思っております。

才藤先生、筒井先生、ありがとうございました。またよろしくお願いいたします。

 

 才藤委員長代理 

 ICD の方で「機能」を組み込むというのはどのくらい進んでいる話なのですか?

 

 中村委員長 

 それは事務局の方から先ほど話があった点ですね。

 

 事務局 

 いまのICD-11の開発自体は専門部会グループ、トピックアドバイザリーグループというところで各分野ごとに議論されているところでして、生活機能についてはファンクショニングのタグというものがありましてそちらの方で検討されていると。具体的にそのどの項目が入ります、みたいなものは明らかにまだ目に見えている状況ではないのですけれども。

 

 才藤委員長代理 

 それは ICF のグループも一緒に入って同意のもとにやっているのか、むしろ ICD ICD で独自にやっているのかどちらなのですか。

 

 事務局 

 fTAGというグループから報告される状態になっていて、ダイレクトに関係しているわけではないです。

 

 才藤委員長代理 

 ファンクショニングですね、わかりました。

 

 事務局 

 ICD-10でいうところのZコードというものがあるのですが、そこのところの項目のいくつかにICFを入れてみましょう、まあ、入れられるのではないかというところですね。今のところ報告では5項目くらいと言っているので、壮大なビジョンがあるのですが、具体的には非常に少ない範囲でしかまだ入れ込めてないという状況だと思います。

 

 中村委員長 

 才藤先生、そして事務局、ご説明ありがとうございました。それでは続きまして事務局からご説明お願いいたします。

 

 事務局

 続きまして、お手元の資料5をご覧ください。この資料は、前回昨年8月に開催しましたICF専門委員会に提出しました資料を修正したものになります。前回の委員会でのご意見、ご議論を踏まえ修正をしておりますが、左から「具体的取り組み」「現状と課題」、そして「次のステップ」、「普及活動」を進めていくといったような図になっております。具体的な修正としましては、「次のステップ」の中で、医療介護福祉分野での活用の検討、例えば地域包括ケアでの活用を具体的に追加記載いたしております。

 また上の※印のところですけれども、これに限る必要はないですが、状態を把握しやすい入院患者であるとか、専門職の多い環境など、先ほど研修といったお話もありましたが、そういった活用しやすいといった医療現場といったところから進めるということで、を修正しております。

 また、先ほどお話がありましたICD-11の動きということで参考に載せていますけれども、下にありますように2016年、今年、ICD-11の改訂作業を進めていまして、つい5月にありましたWHO執行理事会で、そういった活動、検討状況について報告がありました。また、資料1の方でご紹介しました10月に東京会議というのを開きまして、どのような形で公表になるかはまだわからないですが、ICD-11について報告されるかと思います。

 そして、2018年の総会での承認を目指していますが、ICD-11の中で、ICFの要素といったものも議論していることは、先ほど説明した通りでございます。具体的な活用というのは、厚生労働省にも各部局があって、そこでの検討会、審議会などで検討していくこととなります。また学会や医療現場、介護、福祉、様々な現場があるかと思います。そこでの検討ということになりますけれども、当委員会でもそういったところでの具体的な活用が進むよう、支援なり取り組みを進めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

 中村委員長 

 ありがとうございました。それでは今のご説明にご意見、ご質問等ございますでしょうか。

 次のステップにここで書いてあるICF評価日本版というのは先ほどの才藤先生のこの表と同義という理解でよろしいですか。

 

 事務局

 はい、今才藤先生が進めていらっしゃるそれも想定したものになっております。

 

 中村委員長 

 才藤先生よろしくお願いいたします。次のステップにしっかり入っていますので。

 

 才藤委員長代理 

 はい、がんばります。

 

 中村委員長 

 こういうことで、この委員会としては具体的に進めていくということにしたいということでございますが、よろしくお願いいたします。他に質問ございませんでしょうか。

 それでは、ご質問なければ議題の議事の2に、その他に参りたいと思います。事務局より何かございますでしょうか。

 

 事務局

 口頭になりますけれども、来年5月に仙台のほうで整形外科学会の総会があり、その中のシンポジウム90分枠ということでICFを扱っていただけるということになりました。現時点では、テーマであるとかパネリストだとかはまだ決まっておりませんで、これから、委員の先生方を中心にご相談していくかと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

 中村委員長 

 今の件はみなさんに今後連絡がいくということでよろしいですか?

 

 事務局

 はい、また改めて委員長ともご相談をしまして、厚生労働省よりご協力をお願いしたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

 中村委員長 

 はい、それではご意見、ご質問ございますか。

 なければ委員会として了解したということで進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。他にございますでしょうか。

 

 事務局

 参考資料の3をご覧いただけますでしょうか。これは前回の専門委員会においてご検討いただいたICFの一部改正2011年から2015年のものをまとめたもの、それがWHOのホームページに載っておりまして、それを改訳し委員のみなさまに内容のご了解を求めたものでございます。昨年12月を目途に、ご意見があればということでご紹会をさせていただき、全委員よりご了解をいただきました。そして厚生労働省のホームページに掲載をしてございますのでご報 告いたします。

 中村委員長 

 はい、ありがとうございました。

 それでは、本日のこれまでの議題も含めて他に、事務局あるいは委員の先生方からご意見、ご質問等ございますでしょうか。

なければ、本日は大変活発なご意見をいただきまして誠にありがとうございました。筒井先生にもご参加いただきまして、貴重なご発表をいただきまして大変勉強になりました。ありがとうございました。次回のICF専門委員会につきましては、後日事務局より日程調整等のご連絡をさせていただくことになろうかと思いますがよろしくお願いをいたします。事務局よろしいですか。

 それでは、以上で本日の第16回社会保障審議会統計分科会生活機能分類専門委員会を閉会といたします。本日はどうもありがとうございました。 


(了)

政策統括官(統計・情報政策担当)付参事官付
国際分類情報管理室 疾病傷害死因分類係
電話:03-5253-1111 内線7493

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(統計分科会生活機能分類専門委員会)> 第16回社会保障審議会統計分科会生活機能分類専門委員会議事録(2016年6月16日)

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