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2016年6月16日 第6回がん診療提供体制のあり方に関する検討会(議事録)

健康局がん・疾病対策課

○日時

平成28年6月16日(木)13:00~15:00


○場所

全国都市会館3階 第1会議室


○議題

(1)がん診療提供体制のあり方について
  ・前回の議論について
  ・がんの放射線治療について
(2)その他

○議事

○事務局 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第6回「がん診療提供体制のあり方に関する検討会」を開催いたします。

 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 本日の構成員の皆様の出欠状況ですが、大江裕一郎構成員、川上純一構成員、神野正博構成員、木澤義之構成員より御欠席との連絡をいただいております。

 鶴田構成員は、少々おくれられているということでございます。

 また、本日は、議題にがんの放射線治療を予定しており、2名の参考人を招聘しております。

 独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター放射線治療科主任部長、手島昭樹参考人でございます。

 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構放射線医学研究所分子イメージング診断治療研究部長、東達也参考人でございます。

 それでは、以後の進行を、北島座長、よろしくお願いいたします。

○北島座長 本日は、お忙しいところを構成員の皆様方には御出席いただきまして、ありがとうございます。本日も、忌憚のない貴重な御意見をたくさん賜れればと思っております。

 まず、事務局より資料の確認をお願いしたいと思います。

○事務局 資料の確認をさせていただきます。

 資料1   第5回がん診療提供体制のあり方に関する検討会 議論の概要

 資料2   がんのゲノム医療

 資料3-1 がん医療に関する情報提供

 資料3-2 がん医療に関する情報提供を行う項目(案)

 資料4   がんの放射線治療:現状と課題(手島参考人提出資料)

 資料5   核医学医療(RI内服療法、RI治療、標的アイソトープ治療)に関する現状(東参考人提出資料)

 参考資料1 開催要項

 参考資料2 がん診療連携拠点病院等の整備について

 参考資料3 がん診療拠点病院院内がん登録標準登録様式

 参考資料4 がん診療連携拠点病院 現況報告

 参考資料5 粒子線治療施設等のあり方に関する声明

 参考資料6 陽子線治療、重粒子線治療が先進医療の適応となり得る病態に関する見解

 参考資料7 先進医療として行われる粒子線治療(陽子線治療、重粒子線治療)の適応症と統一治療方針について

参考資料4は「現状報告」と誤植がございますので、訂正をよろしくお願いいたします。

 また、机上配付資料として、参考人の先生方から御提出いただいた資料を構成員の皆様にはお配りしております。

 資料に不足、落丁等がございましたら、事務局までお申し出ください。

 以上をもちまして撮影を終了し、カメラをおさめていただきますよう御協力をよろしくお願いいたします。

○北島座長 資料の説明をどうもありがとうございました。

 それでは、議題1「がん診療提供体制のあり方について」に議論を移したいと思います。

 まず、事務局より資料1、資料2、資料3について御説明いただいた後、項目にのっとって御意見を賜れればと思っております。

 では、事務局、よろしくお願いします。

○事務局 資料の説明をさせていただきます。

 まず、資料1「第5回がん診療提供体制のあり方に関する検討会 議論の概要」としまして、前回の議論を資料1にまとめさせていただきました。

 【総論】の<現状>としまして、これまではがん医療の均てん化のため、各二次医療圏に必要な医療を提供するかを重視し、がん診療連携拠点病院等の整備を推進してきた。

 <今後推進すべき取り組み>としまして、ゲノム医療等、高度な医療を実施するには教育、人的資源等が必要であり、今後のがん診療提供体制においては選択、集中、機能分担、医療機器の適正配置等を考慮すべきである。

 次に、【がんのゲノム医療】についてまとめております。

 まず、<現状>としまして、Foundation Medicineという会社でがんのゲノム医療の診断サービスが行われており、FDA承認薬、または臨床試験が行われている薬剤のターゲット遺伝子に関しては診断が行われ、情報が患者、医師に提供されている。また、Memorial Sloan Kettering Cancer CenterMAYO CLINICといった規模の大きな病院において、遺伝子診断サービスの開始や、知財の獲得に向けた取り組みがなされている。

 英国では国がGenomics Englandという会社を設立し、10万人のゲノムを解析し、がんや難病の治療に役立てる取り組みを開始している。

 続いて、<今後推進すべき取り組み>としまして、現在、海外の診断サービスに検査を依頼している場合もあり、知財が流出している可能性も考えられるため、我が国においてもゲノム情報を用いて治療介入するゲノム医療を早急に開始して、日本の知財を確保すべきである。

 米国の臨床検査ラボの品質保証基準であるCLIAや、臨床検査ラボの国際規格ISO15189、米国病理学会の施設審査基準認定等の国際基準または、日本の基準を定め、これらの基準に準拠した検査室で検査を行うべきである。

 検査結果の提供については一律の手順を策定し、その手順に基づいて患者に渡すべきである。

 ゲノム情報に基づきがん治療を選択する場合には、ゲノム情報と医学の両者に精通した医師、研究者、ゲノム情報解析の産業界に携わる人材の協働が必要である。

 検査結果に基づくゲノム情報を検査機関から医療機関、研究室等に渡す際には、ゲノム情報の専門家、臨床医、病理医、遺伝カウンセラー等により構成されるエキスパートパネルで情報内容を精査した上で、その情報を提供すべきである。

 家族性腫瘍、遺伝性腫瘍などの原因遺伝子は、原因の遺伝子によって発がんリスクが大きく異なるものの、患者への情報提供については一律の基準が定まっていないため、遺伝カウンセリングの体制整備が必要である。

 ゲノム医療を行う施設では、認定遺伝カウンセラー、こちらは201512月現在で182名、及び臨床遺伝専門医、こちらは2016年5月1日現在で1269名、このネットワークを施設内につくり、グループでの遺伝カウンセリング体制を整備することが必要である。

 多数の認定遺伝カウンセラーはがんを専門としていないため、がん医療に習熟した遺伝カウンセラーを育成するシステムが必要である。

 日本家族性腫瘍学会指定の家族性腫瘍コーディネーター、家族性腫瘍カウンセラー等の制度についても今後のあり方について議論すべきである。

 次に、【がん医療に関する情報提供】です。

 <現状>ですが、拠点病院等の現況報告に基づき作成したデータベースや、院内がん登録のデータを、国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センターがん情報サービスで情報公開している。

 診療実績等の項目において登録の件数1件以上10件以下の情報は「1~10件」と表示している。

 がん情報サービスサポートセンターにおいて、施設別がん登録検索システムを使用し、電話での問い合わせに対応している。

 都道府県がん診療連携拠点病院のがん相談支援センターの相談支援に携わる者と院内がん登録の実務を担う者は、いずれも国立がん研究センターでの研修を受講していただき、患者に適切な情報が提供できるよう施設別がん登録検索システムを習得することとしている。

 <今後推進すべき取り組み>としまして、院内がん登録等の既存のデータを利活用することで、より正確な情報を公開すべきである。

 診療実績等について、1件以上10件以下の数値も公開すべきである。

 患者が説明を受ける際、相談員や看護師等が同席し、説明後に適切な情報を提供する仕組みを構築すべきである。

 なお、現在の指針に、看護師や医療心理に携わる者等の同席を基本とすることとさせていただいております。

 【その他】の御意見といたしまして、一般社団法人日本癌治療学会では認定がん医療ネットワークナビゲーターの育成を行っており、患者に医療資源の情報を提供する人材の研修を開始している。

 がん診療連携拠点病院の指定要件の一つとして設置されているがん相談支援センターの業務として就労支援があり、現在、この活動を共有するための指標策定を行っている。

 こういった御意見を前回の検討会でいただいております。

 続きまして、資料2をごらんください。

 「がんのゲノム医療」の御議論の中で、人材に関する御意見をいただいております。事務局で、現在の状況についてまとめさせていただきました。

 まず、がんのゲノム医療にかかわる人材については、第6回「ゲノム情報を用いた医療等の実用化推進タスクフォース」という会議の資料を一部使用させていただいておりますが、臨床遺伝専門医、認定遺伝カウンセラー、家族性腫瘍カウンセラー、家族性腫瘍コーディネーター、こうした資格が現在はあるわけですが、がん体細胞変異に習熟したような医療の資格がないことが示されております。

 下のスライドをごらんください。

 こちらは、現在のがん診療連携拠点病院等におけるゲノム医療に関する人材配置の現状で、平成27年度のがん診療連携拠点病院の現況報告で提出していただいた値をまとめたものでございますが、現在399のがん診療連携拠点病院がございます。その中で常勤の遺伝カウンセラーがいらっしゃる施設が30施設、臨床遺伝専門医がいらっしゃる施設が141施設となっております。

 こういった方々の協働が必要という御意見がございましたが、現在、遺伝カウンセラー、臨床遺伝専門医、こちらがいずれも常勤で配置されているところは、399の拠点病院のうち、現在は27という数となっております。

 こうした現状を踏まえまして、がんのゲノム医療の実施に向けた人材育成や適切な医療資源の拝聞等について御議論いただければと考えております。

 次に、資料3-1をごらんください。

 こちらは「がん医療に関する情報提供」としまして、現在、がん対策加速化プランでは、患者や家族が必要とする情報を簡単に検索でき、医療施設同士の比較も可能なシステムを構築し、広報・周知することとしているとさせていただいております。

 そこで、下の表に「がん医療に関する情報提供(案)」のイメージをつけさせていただきました。

 例えば、こういった疾患名や、ステージの情報があればステージ、また、都道府県などを入力して検索すると、病院名の横のその患者数ですとか、手術、化学療法や放射線の治療の実施数や医師や認定看護師の数などが表示されるシステムをイメージしております。

 この情報提供を行う項目について、資料3-2のとおりとしてはどうかということで、資料3-2に案を提示させていただいております。

 まず、1枚目は、院内がん登録の登録項目より抜粋したものでございまして、主に診断名、また、ステージ、初回治療情報ということで挙げさせていただいております。

 次のページをごらんください。

 こちらは、がん診療連携拠点病院等の現況報告からとれるデータなのですけれども、まず、職種としまして、国家資格のものを挙げさせていただいております。

 ただし、看護師につきましては、現在、がん診療連携拠点病院の指針でも必須要件になっているものもございますので、こういった専門認定の看護師については示してはどうかということで、ここに記載させていただいております。

 また、年間の新入院患者数をここに載せております。

 次のページをごらんください。

 こちらは、手術の内容でございますが、5大がんに関してKコードでカウントできるものを現況報告で情報収集しておりまして、ここに記載させていただいております。

 がん診療連携拠点病院の現況報告では、ある程度一律のカウント方法にのっとって数値を計上していただいているのですけれども、このように一律のカウント方法がより担保されているものを公開してはどうかということで、ここに例示させていただいております。

 また、その下に緩和ケア研修会受講率、緩和ケア病棟の年間新入院患者数、緩和ケアチームによる年間新規診療症例数を記載させていただいております。

 参考資料に現況報告をつけさせていただいておりますが、その中の別紙8に「特に専門として積極的に受け入れている希少がん」を記載する項目がございまして、そういったものも公開するかどうかということで、こちらに記載させていただいております。

 ただし、この希少がんにつきましては、施設からの報告に基づくものとなっております。

 事務局からは、以上です。

○北島座長 ありがとうございました。

 詳細に説明していただきましたが、まず、がんのゲノム医療について、構成員の皆様から御意見をいただきたいと思います。

 天野構成員、どうぞ。

○天野構成員 ありがとうございます。

 事務局からお示しいただいた資料1について、まず最初に申し上げておきたいのですが、恐らく、これがドラフトになって報告書になっていくかと思いますが、可能であれば、それぞれの論点においてただ項目を羅列するということではなく、重要度であるとか、緊急度であるとか、そういった視点から整理して示すことができれば、よりよいものになるかと思いますので、御検討いただければということがございます。

 私から、ゲノム医療に関して3点ございます。

 1点目でございますが、資料1の1ページ目で、日本の知財を確保すべきという視点からゲノム医療の推進ということが書かれていますが、当然のことながらゲノム医療は最終的にはがん患者さんに還元されるべきものであります。前回も申し上げましたが、いわゆる小児がん、難治がん、希少がんを今回のがん対策推進基本計画においても重視していくこととして、先日のがん対策推進協議会においても議論になったと聞いております。

 米国では、御承知のとおり、ことしの1月にオバマ大統領が、私たちが亡くした愛する人のために、そして、まだ救うことのできる家族のために、アメリカをがん治療ができる国にしようと訴えて、46歳の御子息を昨年脳腫瘍で亡くされた副大統領を国家プロジェクトであるキャンサー・ムーンショット・タスクフォースの統括責任者に任命しまして、今月、ASCO、米国臨床腫瘍学会においても副大統領が30分にわたり同様の演説をしたことがございました。

 日本のがん対策推進基本計画におきましても、難治がん、小児がん、希少がん、とりわけ今回のこのゲノム医療と個別化医療の推進により、難治がん、小児がん、希少がんを克服していくということを、ぜひ次期がん対策推進基本計画の全体目標または重点項目としていただければと願っております。

 2点目でございますが、お示しいただいた参考資料の中で、人材育成の部分でございます。グラフを見ますと、前回も指摘がありましたが、ゲノム医療にかかわる人材が全く不足していることが明らかだと思います。

 文科省のがんプロフェッショナル養成基盤推進プランにおいて専門医療従事者の育成を行ってきたところでございますが、次期がんプロがもしあるのであれば、こういったゲノム医療に係る人材育成を重点的な項目として取り上げていただくことを御検討いただければと考えております。

 また、臨床試験の推進においても、例えば私自身も、医療機関の倫理委員会の委員などを複数拝命しておりますが、そういった臨床試験の中で患者向け説明文書を拝見する機会があります。多くの臨床試験においてこういったゲノム医療に関わる研究は当然入っているわけで、果たして患者さんはどこまで理解できているのかということをもちろん感じますし、また、ゲノムの解析で明らかになった変異の解釈を、臨床試験の中でどのように解釈をするのか、また、それをどこまで患者さんに返すのか、返す場合にはどのように伝えるのかといった点が極めて重要ですが、まだそういった点についても対応がばらばらである面があるかと思います。

 先ほど来あるように、遺伝カウンセラーであるとか臨床試験にかかわる医師はもちろんですが、患者さんに実際に臨床試験などにおいて説明を行う看護師やCRCなどにおいても、こういったゲノム医療にかかわる研修などを行うことも検討していただきたいと願っております。

 3点目でございますが、いわゆるがんのゲノム医療推進に必要な基盤整備という部分です。遺伝子解析にかかわる検査などの承認申請とかが進まないために、そういった検査に必要な医療技術の承認や保険収載が進まないことによって、そもそもゲノム医療が十分に推進できないのではないかという指摘もあると聞いております。

 既に検討いただいているかもしれませんが、医療行為として、こういったがんのゲノム解析であるとか遺伝カウンセリングなどをどのように薬機法の中で取り込むべきかということについても、改めて明記していただく必要があるかと思いますし、また、いわゆるがんの関連遺伝子であるとかを見出すために、がんゲノム研究を推進する際に、いわゆるゲノム情報を集約したデータベースでも既に検討されていると思いますが、これを研究のみならず、医療現場に着実に還元できるような一元的なデータベースを構築することも可能であれば明記していただきたいと考えております。

 私からは、以上でございます。

○北島座長 貴重な御意見をありがとうございました。

 今、天野委員から、いわゆるオバマ大統領のプレシジョン・メディシンの重要性を強調されたと思うのですが、ASCOで副大統領が講演をし、それだけアメリカでは重要視しているということで、今回、我々としてサマライズするときに、どこにポイントを置くか。今、3点御指摘がありましたけれども、その3点は非常に重要な課題だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 今村構成員、どうぞ。

○今村構成員 今の天野委員の御意見に共通するところだと思うのですけれども、まず、資料1の【総論】の<今後推進すべき取り組み>の記載の書きぶりなのですが、人材が不足している、人的資源が不足しているというのは共通の理解だと思うのですけれども、ここの書き方は、必要であるけれども、診療提供体制において、選択、集中、機能分担、医療機器の適正配置等という書きぶりで、今いる人たちをどのように機能を集約化していくかというニュアンスが強く、絶対数を増やすというところのトーンがちょっと弱いのかなという感じがしているので、人を増やすと同時にこういうこともしていかなければいけないという記載のほうがいいのではないかと感じました。

 その際、人を増やせというのはどの分野でもあるのですが、当然この検討会の報告書に基づいて厚労省はこれから必要な財源の予算要望をされていくのだと思うのですけれども、そのときにこのぐらい増やしていくのだという根拠のようなものがあったほうがよいのではないかと思っております。

 資料2のいわゆる臨床遺伝専門医あるいはカウンセラーの絶対数だけでいうと、医師は1,263名、カウンセラーは182人ですけれども、実際、連携拠点病院にいる方はその何分の1しかいない。資格は持っているけれども、働いている場所がいわゆる病院ではなくて研究所みたいなところにいらっしゃるのか、あるいは、資格を持っているのだけれども、ほかの仕事に従事していてこの資格は十分に生かせていないのか、生かせていない理由は何なのかというのは、私は専門ではなくてよくわかりませんので、またその辺も教えていただければと思います。

 もう一点、いわゆるゲノム医療の中で、ゲノム情報と医学の両者に精通した医師、研究者、さらに産業界と前回もお話がありましたけれども、これが医療界だけであればこうやって集まっていろいろなお話で済むのですけれども、産業界と連携するとなると、例えば、省庁で言えば経済産業省などのような、省庁間の連携も必要になってくると思うのですけれども、その辺は厚生労働省として経産省との間で何かこういうことで連携を既にとっておられるのかどうかについて教えていただければと思います。

○北島座長 いかがですか。

 どうぞ。

○がん・疾病対策課長 今の連携についてでございますが、がん対策はがん対策基本法に基づくがん対策推進基本計画で推進しております。その計画は、がん患者やその家族が委員として入っているがん対策推進協議会の意見を聴いて策定しております。協議会の事務局は厚生労働省ですが、文科省、経産省の担当者も常に協議会に出席していただいております。

 本検討会で議論していただいた内容は、最終的には検討結果を報告して、協議会で議論していただくことになりますので、そうした一連のプロセスの中で関係省庁ともしっかり連携していきたいと思っております。

○北島座長 恐らく厚労省とか、経産省、文科省は、こういうがんのゲノム診断に関して、未来医療機器の開発などコラボレーションは始まっていると思います。同時に、厚労省と文科省の研究成果を企業に情報を提供するということで、たしか3年ぐらい前から企業にも参加してもらった発表会もやられていると思います。今後も、未来医療機器などの開発を厚労省と経産省が一緒におやりいただければよろしいのではないかと思います。

 ほかにいかがですか。

 三好構成員、どうぞ。

○三好構成員 ありがとうございます。

 こうやって遺伝カウンセラー制度について今後のことを話し合っていただけるようになったことは大変患者としてありがたいことだと思っています。

 1点、現場の声、がん患者の相談を受ける立場としまして、実際に遺伝子が変異陽性だった患者が、カウンセリングでうまくいかなくてほかのカウンセリングを転々としたという実例もありまして、そういった患者さんたちの話を聞くと、遺伝子が変異陽性になった時点から人生が変わってしまったという声を大変たくさん聞きます。

 ゲノムという一つの大きな分野ではありますが、1人の患者にとっては人生を変えていくような大きな出来事でありますので、ぜひこのカウンセリングの制度は早急な対応に努めていただけると大変ありがたいかと思っております。お願いいたします。

○北島座長 ありがとうございました。

 今、構成員の方々の意見を拝聴していまして、最初に正しいゲノム診断が日本で構築できるのかどうか。それから、日本の現状はどうなのか。

 先ほど事務局から御説明がありましたが、アメリカでは、Foundation Medicineがコアとなって施行しており、いろいろと見てみますと、2011年には、ノバルティス・インターナショナルとの提携が進んでおり、私も知らなかったのですが、201210月9日に日本のエーザイとも提携しております。この辺を活用して、どの程度エーザイがやっているかどうかわかりませんが、こういう情報を収集していただいて、そこをコアとして日本でも構築していくことが一つの方法ではないかと思います。

 まず、こういうセンターを構築した上で、先ほども出ておりましたが、同時にそれを並行して支える遺伝カウンセラーとか、臨床遺伝専門医、こういう方の育成をどうするか。

 育成は非常に大事でして、この育成方法、研修方法とかはいろいろとありますが、多少学ぶところは、アメリカのスタンフォード大学では、いわゆるシーズをつくる、見分けをするバイオデザインというコースをつくって育成しており、それを企業による製品化をしており、今は20万人の患者さんに届けているという実績もありますので、そういう組織のつくり方を学ぶ必要があるのではないかと思います。

 森構成員、どうぞ。

○森構成員 意見というよりも質問になるのですけれども、【総論】のところの<現状>と<今後推進すべき取り組み>は、<現状>は均てん化で、<今後推進すべき取り組み>は選択、集中、機能分担等々の適正配置で、今後、例えば、上のほうの<現状>の均てん化は、ある程度のところまで日本全国津々浦々で均てん化して、ゲノムの情報等を初めとするところは、ある程度絞っていかざるを得ない現状があって、そこである程度のところの施設に限ってやって、そこの実績を見ながら広めていくというスタンスと考えてよろしいのでしょうか。

○北島座長 どうぞ。

○事務局 今、御指摘いただきましたが、均てん化が必要な部分は引き続き均てん化ということになるかと思います。一方でゲノム医療等の高度な分野については、現在の399の拠点病院で等しく行うのは非常に難しいと考えておりますので、一部の機能については、ある程度指定要件で区切るかどうかも含めながら、今後、選択、集中、機能分担という視点で考えていきたいと思います。

○北島座長 ゲノム医療の場合、例えば、Foundation Medicineのような組織を日本で構築し、それを機能化して初めて399の拠点病院に配備していくことが大事で、コアができないと何もできませんので、まず、ここをどうするか。それが最初にやることではないかと思っております。

 それでよろしいですか。

○森構成員 はい。

○北島座長 ほかにいかがですか。

 山口構成員、どうぞ。

○山口構成員 ゲノム医療に関して、まず、いわゆる生殖細胞系列の変化を見るゲノム医療と、体細胞変異、がんで起きている変異を解析する医療とを明確に区別して考える必要があろうかと思います。

 体細胞変異のほうは、従来の臨床検査といってもよく、実際に実施してみると臨床検査ほど明確ではないところがいろいろありますが、それほど大きな違いはない。しかし、生殖細胞系列の変化は、その人の一生あるいは血縁者に大きな影響を与える検査技術であり、今までの医療が経験したことがないものを含んでいます。そして、その対応は実際にやってみると、そう簡単ではありません。

 私どもは、2,000例のデータを全部精査しているところなのですが、典型的なものについてはある程度のことが言えますけれども、明確ではない部分も多く、私の意見としては、生殖細胞系列と体細胞系列を明確に分けることが必要です。例えば、Foundation Medicineがやっているのは主に体細胞系列のほうですから、それほど大きな問題は生じないのです。この検討会では、そこの区別を明確にして、情報収集の上、次のステップに進むことをぜひ進言したいと思います。

○北島座長 貴重な御意見をありがとうございました。

 ほかにいかがでございましょうか。

 よろしいですか。

 情報の分析というか、データの分析をする場合、遺伝カウンセラーや、臨床心理士などを育成する場合に、どの程度の人材が今は必要なのか。例えば、インフォームコンセントをするときにそういう人たちが立会っていなければいけないとか。実際に遺伝子診断がどの程度日本で行われているかという情報もあわせて人材育成をしないと、無駄が出てくると思いますので、その辺はぜひお願いしたいと思います。

 どうぞ。

○森構成員 私が先ほどちょっと質問させていただいたのはまさしくその点に関係していまして、例えば、選択、集中、機能分担で幾つかのところをまずはターゲットにしてきちんとやり始めるということであれば、そんなにもたくさんを一度にする必要もないとは思うのですけれども、将来的に399の拠点病院には少なくとも要るということであれば、何年後に開始して、それに合わせるためにどういう仕組みを何年以内につくるとかということが必要になるのではないかということで、先ほど質問させていただいたのです。

○北島座長 どうぞ。

○藤構成員 実際に現場を見ていますと、遺伝子の診断そのものがなくても、こういう情報が世の中に出回っていて、すごくプリミティブな話ですけれども、自分は遺伝なのか、家族がいっぱいいるけれどもとかの質問は物すごく相談員に寄せられています。

 ですから、本当にカウンセラーとか、資格があるなしにかかわらず、本当にベーシックなところの相談にも乗れるようなスタッフも育てていくというのは、早急にしていかないといけないことなのではないかと思います。

 一方で、もちろんコアのファシリティーをつくってしっかりしたものをつくっていくという方向も要るのですけれども、両方のことを考えないと、いつまでたっても完成はしていかないような気がしています。

○北島座長 ありがとうございました。

 今、皆様方の御議論をお伺いしていてちょっと思い出したのですけれども、2、3年前に、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンの編集委員会がありました。そこへNIHの研究員がゲノム診断の説明に来たことがあります。かなりの症例数をゲノム分析診断しているのですが、そのとき、私はこの結果をどうやって検査した人に伝えるのですかと聞いたら、グッドクエスチョンなどと言ったけれども、そのときに恐らくアメリカでもこういうカウンセラーとかそういう準備がまだ追いついていなかったのだと思います。ゲノム診断が先行してしまっているわけです。

 だから、日本ではそういうことなく、ゲノム診断とそのような人材育成、カウンセラーを同時進行していく。そうすると、今、お話があったように、患者さんが不安がらないで済む。それが一番大きなことだと思います。今、日本でそれができるのではないでしょうか。そのように思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 どうぞ。中釜構成員。

○中釜構成員 繰り返しになるかもしれませんけれども、急速に欧米で展開しようとしているゲノム医療の実用化の現状を踏まえて、日本でも急ぐ必要があることから、ゲノム医療実現推進協議会やタスクフォースにおいて、さまざまな論点が抽出されていると理解しています。この検討会の中では、その中でゲノム情報に基づいた診療提供のあり方を任されているのだと思うのです。

 山口構成員が御指摘されたように、ジャームラインとソマティックの区別は明確にすべきであるし、それをいかに患者さんに提供するか。加えて、急ぐべきは診療提供をする際の人材だということは間違いがないだろうと思います。

 ただ、人を育てるのには少し時間もかかる。そうすると、現有の体制の中で、言葉が適切かどうかわからないですけれども、いかにそこをやりくりしながら、できるだけ正しい情報を届ける。そのときに、難しい情報、現時点で十分に解釈できないようなジャームラインの情報等に関しては、データベースをきっちり構築していくとしながら、返せるものを返せる仕組みをいち早く作っていくということが必要だろうと思います。そのあたりのところは、一方ではそういう議論を並行して進むので、別の協議会との連携を密にとりながら、この中でステップワイズに着実に前に進む方法は何かというところを具体的に議論すべきかと思います。そういった意味で、繰り返しますが、人材の育成、しかもその現有のメンバーの人材をいかに活用するか。そういうところもあわせて考えていく必要があるかと思います。

○北島座長 ありがとうございます。

 人材育成をどうやっていくかを白いキャンバスに絵を描いていくことは、非常に時間もかかるし大変なので、現存している学会の活用が重要と思います。例えば、FCC制度をしいている日本家族性腫瘍学会とか、あるいは、ナビゲーターを育成している日本癌治療学会とか、それぞれの関連学会は幾つかあると思うのです。そういう関連学会と一回、意見交換して、これから育成をどうしていくのか議論をすると、時間の節約にもなりますし、経費の節約にもなります。

 ですから、どうやって育成制度を構築していくかというのは、関連学会の意見の集約をするのが最先端だと思います。もしよろしければそうしていただきたいと思います。

 よろしいですか。

 北川構成員。

○北川構成員 御指摘の関連学会の立場からなのですけれども、一つは、人材の育成は非常に重要だと思いますが、先ほど来、御指摘いただいています、情報をどのように処理するかといいますか、かなり膨大な情報をどこまで患者さんに伝えていいのかというところはまだ明確にされていない気がしております。

 このゲノム医療の中で、どこまでが患者さんに診療の中で提供すべき情報なのかというところのガイドラインといいますか、ある程度のコンセンサスは、それにかかわっている学術団体ですとか、こういった協議会の場で明確にしていただきたいというか、明確に我々がしていかなければいけないと思っております。

 また、この人材育成もいろいろなレベルがありまして、本当にその情報を正確に解釈して伝える人材というのは非常に限られていて、森構成員が御指摘になったように、相当絞ったところでそのテストケースとして成功例をつくって広げていかないとなかなか難しいのですが、そういうところにたどり着くための情報を与えてくださるところはどこなのか。日本癌治療学会が推進しておりますがんネットワークナビゲーター等は、均てん化と集約化の中で、どこに行くとそういう高度な情報あるいは医療に接することができるかという情報の提供、間接的ではございますけれども、そういう役割を果たしていけるのではないかと思います。これはかなり学会横断的な作業になるのではないかと私は思っております。

 以上です。

○北島座長 北川構成員が、今、言われたように、育成事業の方法は幾つかあると思うので、ナビゲーターは癌治療学会を中心にいろいろとやっていますが、西村構成員、ナビゲーターのEラーニングとかをいろいろとおやりになっていますね。その辺で、育成にこういう方法がありますよという説明をお願いいたします。

○西村構成員 ナビゲーターの教育の一環として、Eラーニングを使っております。もともと厚生労働省のがん専門医のEラーニングの母体があったのですが、それに加える形でナビゲーター用のEラーニングを構築してあります。

 だから、そういうところにこういうゲノム医療の基礎的な知識を含めた講義を幾つかつくることによって、ボトムラインのところを上げていくという作業は可能だと思います。

○北島座長 ありがとうございます。

 もともと厚労省のがん専門医を育成するということでEラーニングを始めたのですが、過去にないほどアクセス数が非常に多くて評価された事業で、今、癌治療学会で北川理事長や西村構成員が一生懸命取り組んでいる課題だと思いますので、そういうものも参考になると思います。

 それでは、時間の都合もございまして、今度はがん医療に関する情報提供について御意見を賜れればと思います。いかがでしょうか。

 どうぞ。西村委員。

○西村構成員 前回、この項目案は出ていなくて、これはきょう初めて出てきた案ですね。これに手術の件数がどーんと出ていまして、私の専門の放射線治療の件数とか、あるいは、ケモセラピーの件数だとか、そういうものが抜けていて、何か外科偏重といいましょうか、手術偏重のような、がん治療といえば手術という印象を持ってしまうのですけれども、いかがでしょうか。

○北島座長 どうぞ。

○事務局 放射線治療と化学療法に関しましては、院内がん登録の登録項目の下段で拾うことを想定しておりまして、御指摘の3枚目の現況報告書に基づく情報の部分だと思うのですけれども、こちらは、手術を重視しているというわけではなくて、コードで計上可能ということでここに載せさせていただいております。放射線治療の実績と化学療法の実績がどうしても施設からの報告に基づいた実績になっておるので、ある程度事務局でその数についてはカウント方法などについて定めてはいるのですけれども、それでも施設から報告されたそのままの実績ですと、カウント方法が現在と異なっている可能性も考えられるということがございまして、このように数え方に差異が生じない項目を記載しているところでございます。

○北島座長 西村構成員、きょうは手島先生と東先生のお2人の放射線に関するプレゼンテーションもありますので、そのプレゼンテーションも参考にして、放射線をどう加筆していくかとか、そういう意見が出ると思いますので、よろしくお願いします。

 三好構成員、どうぞ。

○三好構成員 質問になるのですけれども、職種別の内訳というところで、先ほど国家資格のみを掲載しているということでしたが、私たち患者は心のケアの部分を大変求めているところだと思うのですが、例えば、そういった臨床心理士さんであるとか心理士の類いの職種を掲載する予定というのは、今のところ、ないでしょうか。

○北島座長 いかがですか。

○事務局 現在、ここに記載しているとおり、国家資格のものを想定して、このような案をつくらせていただきました。

 その他の職種に関しましては、今後、検討が必要だとは考えておりますけれども、まず、情報を提供するに当たって、前回、現在は情報をどのように提供していただいているかというところはいろいろとお示しいただいたと思うのですが、まず、その前段階として、ある程度わかりやすい情報ということでここに記載させていただいております。現在も深掘りすればいろいろな情報が出てくるという事例もございますので、まず、整理すべき情報ということで案を示しております。

 その他の職種についても、今後、検討する必要はあるかとは考えております。

○北島座長 ゲノム情報の提供とか診療情報提供がすごく広く深くなると、この職種では足りない可能性があると思います。特にゲノム情報で、がんの疑いとか、そういったときに、必ず臨床心理士とか、そのような職種のサポートが必要になってまいります。

 それから、ここに職種別内訳が出ておりますが、これは個々の職種であって、機能的に21世紀の医療、がんもそうですけれども、この全職種が協働してキャンサーボードとかを実際に施設でやっているかどうか。このキャンサーボードは絶対に必要なことで、患者さんに対して最適な医療を提供するためには、チーム医療というコンセプトがないとだめですので、キャンサーボードはぜひ加えていただければと思います。

○事務局 現在のがん診療連携拠点病院の指定要件の中に、キャンサーボードは必ず行うことが必須要件として入っておりますので、指定された病院にはキャンサーボードは存在します。

○北島座長 そうですか。ぜひそれは重くチェックするようによろしくお願いします。

 ほかに御意見はございますか。

 北川構成員。

○北川構成員 質問なのですが、将来的に恐らくこういう情報がより拡大されていくと思うのですが、まずは標準治療に絞られているという解釈でよろしいでしょうか。

 といいますのは、私どもが患者さんから御意見を伺いますと、標準治療に当てはまらなくなってからの情報を非常に求められていまして、それはどこに行ったらと、今、自分にできる治療、可能性のある治療があるかという点では、例えば、臨床試験ですとか、各種の治験ですとか、そういった標準治療から外れているけれども可能性のあるところの整理されたデータといった情報を、かなり難しいと思うのですけれども、後々で結構なのですが、整理していただけると、恐らく患者さんのニーズはむしろ標準治療でないところにもあるのかなという気がいたしております。

 以上です。

○北島座長 今村構成員、どうぞ。

○今村構成員 2ページ目のところで、職種別の内訳が記載されていて、患者さんに一番接する機会の多い看護師さんについては非常にいろいろな機能が書かれている一方、医師については全体の数しか示されていませんが、もうちょっと細かい内訳は報告されるのですか。つまり、医師が何人いるかなど、患者さんにとってみたらあまり意味がないのではないかと思うのですけれども、その辺はどうなのですか。

○北島座長 どうぞ。

○事務局 現況報告書では提出していただいているのですけれども、医師の専門資格も非常に数が多いことがございます。また、現在もがん情報サービスの中でどこの施設に何人かというのは検索すればわかるようにはなっております。

 まず、資料3-1のイメージとして、最低限、検索したときにわかりやすいということで、非常に項目を絞らせていただいている状況ではございますので、こういったところで最低限の情報を確認していただいた後、施設ごとに深掘りすることは可能にはなっております。

 職種別の内訳については、引き続き検討させていただきたいと思います。

○今村構成員 ぜひ御検討いただきたいのですけれども、ちゃんと別のところには出ているのだからそれを見ればいいでしょうというのだったら、そもそも情報提供を患者さんにわかりやすくするという話にならないので、例えば、ここの医師のところをつないでいけばさらに細かく内訳がわかるという仕組みにしていただいたらいいのではないかと思います。

○北島座長 そうですね。

 それと、先ほど北川委員が言った、スタンダードから外れた治療の情報をぜひ知りたいという患者さんは相当あると思うのです。今、国が推進しております橋渡し研究とか、そういうところで、いわゆるスタンダードから外れたような治療法が徐々に出てきているので、そういう患者さんに対して提供できる情報を本当に患者さんから見たら知りたがっているというのはありますので、これがかなり必要なことだと思います。特に希少疾患とか、そういうものに対する治療法も今後どうやって提供していくかをその辺もお考えいただければと思います。

○事務局 現在、手元に資料がないのですが、保健医療科学院の所管で、インターネット上で治験データなどをまとめておりまして、そういったところとも連携をしながら、わかりやすい情報提供を行っていければと考えております。

○北島座長 どうぞ。

○北川構成員 今の追加なのですけれども、本当にそういう標準から外れる治療の中で、ある一定の倫理的な手続とかを経たしっかりとした治療、試験的治療と、それ以外のものが非常に混在しております。そこの整理を何とかしていただいて、ここにリストアップされているものは、一定の手続を経て、まだ標準治療としては確立していないけれども、患者さんがそこにアプライできるというものとそれ以外を整理して、これは非常に大変な作業になると思うのですが、将来的にはよろしくお願いしたいと思います。

○北島座長 森構成員、どうぞ。

○森構成員 先ほどの治験のデータのところで治験名があるのですけれども、私たちはもちろんわかるのですが、一般の患者さんが見て、自分が必要としているものがどれかというのはまず言い当てることはできないので、それはどうしたらいいのですか。学会レベルで何かを考えないと。

○北島座長 恐らく患者さんはどれが大事とか、どういうものが自分に適しているかはわからないことが多いので、これは医師とか、相談員、そういう人たちがそれを説明してあげて、こういう治験でこういう研究がありますけれどもどうですかと情報提供をする必要があります。なかなか患者さんではわかりにくい場合が多いと思います。

 どうぞ。

○天野構成員 今の点に関連して、米国でClinical Trials.govというホームページがあって、臨床試験に関する情報がかなりわかりやすく提供されていると承知しているのですが、日本でも国立保健医療科学院がつくってはいるのですが、まだ限界があるサイトではあります。

 今回、患者さんが臨床試験に御自身で参加したいと考えた場合、どこの施設でやっているのかという情報が必ずしも明確でないことが日本ではしばしばありまして、以前、製薬企業の方に治験情報でどうして施設名を公開してくれないのかと尋ねたところ、治験をされている先生方に御迷惑がかかるかもしれないので公開していませんということをおっしゃって、法的な規制があるわけではないということをおっしゃっていました。

 可能であれば、そういった施設名を含めて今回の情報でぜひわかりやすく掲載していただければというのが1点目でございます。

 それ以外に2点ございまして、まず、1点目でございますが、先ほどお示しいただいた横比較ができる情報提供サイトは、患者視点でわかりやすく理解できるように、これはぜひやっていただきたいと考えているところですが、院内がん登録を活用した形での公開になると理解していまして、院内がん登録の対象施設はどうしても拠点病院が中心になってしまうということがありまして、例えば、主要ながんにおいても、乳がんについてがん診療連携拠点病院以外で多数の実績を持っている施設などもあるかと思いますし、そのほかの血液がんなどの希少がんであれば拠点病院以外で多くの症例を見ている施設もあるかと思いますので、まず、今回の院内がん登録に基づいたデータベースをつくっていただいた後の課題になるかと思いますが、例えば、全国がん登録などがもし整備されてくれば、一定数の症例が集まっている施設についてはあわせて公開することも御検討いただければというのが1点です。

 もう一点が、先ほど来出ている、いわゆる標準治療で治癒が期待できなかった場合の患者さんの対応ということで、患者さんとしては、わらをもすがるという思いで、いろいろな情報にインターネットを通じてアクセスされることがあります。

 例えば、免疫療法などに関してもさまざまなものがありまして、よく報道されているようなPD-1抗体のようなしっかりしたものもあれば、科学的根拠が必ずしも明らかでないようなものもある中で、患者さんは非常に迷われている現状がありますので、いわゆる医療機関等の情報公開のあり方などのガイドラインなど、今後つくることが可能であれば御検討いただきたいと考えております。この部分で患者さんは大変迷われている方が多いので、ぜひ御検討いただきたいと思います。

 以上でございます。

○北島座長 ありがとうございました。

 先ほどの森構成員と同じような提言だと思いますが、よろしくお願いいたします。

 川本構成員、専門看護師さんは、例えば、情報提供の中に認定看護師数とかがあるのですが、これは何か看護協会から御意見はございますか。

○川本構成員 こちらに入れていただいているのは、見ていただけますように、がん看護専門看護師と、8認定看護分野の認定看護師がここに掲載されております。がん診療連携拠点病院の整備要件や診療報酬の算定要件に入れていただいた専門看護師、認定看護師が主にリストアップされていると理解いたしましたので、このように並んでいるのは、この認定看護師たちが並んでいるということで、選別して示していただいたのだろうなと思いました。

 ですので、最初のところは、多分「専門・認定看護師数」になるのではないかと思います。よろしくお願いいたします。

○北島座長 そうですね。その辺の記載をきちんとできるようにしてあげてください。

 ありがとうございました。

 御意見はまだあると思うのですが、お2人の先生に御講演いただく予定になっております。本日は、がんの放射線治療に関してお話をいただくことになっております。

 まず最初に、手島参考人から御発表をよろしくお願いしたいと思います。

○手島参考人 御紹介をありがとうございます。

 お手元の資料4に沿って御説明したいと思います。

 私は、日本放射線腫瘍学会で理事を務めさせていただいておりまして、そこでデータベース委員会がございまして、そこの委員長をしております。

 今回、ここに挙げております3つの課題についてまとめるようにと仰せつかりまして、それについてデータをお示ししたいと思います。

 私どもは、1年ごとあるいは2年に1回、これは放射線治療のインフラを調査する方法でございますけれども、定期的な全国の構造調査をやってまいりました。回収率90%以上と、かなり精度の高い調査と自負しております。それをお示しいたします。

 同時に、それらのデータも含めて、私どもはこのインフラの基準を厚労省の支援を受けまして策定しておりまして、それは机上配付資料として皆様のお手元に配付されておりますので、参照なさってください。

 まず、第1の課題として、放射線治療の件数の状況でございますが、下段のスライドをごらんください。

 ここで放射線治療件数の年次推移を示しておりますが、ここで「推定新規患者数」と「推定」という言葉がついておりますのは、先ほど申しましたように回収率が90%ですので、それを100%に補正したという意味でございます。

2012年の時点で213,000人の患者が新規患者で、再来患者を含めた実患者数は252,000人であります。全患者への放射線治療の適応率は大体4分の1、25%となりまして、5060%と言われております欧米に比べますと、かなり低い値でございます。

 これに関しては、いろいろな原因が考察されておりますけれども、先ほどもございましたが、外科主導であることも我が国のがん医療の中で今まであったのかもしれませんが、疾患の分布が違う。消化器系のがんが我が国は多かったこともありますでしょうし、もう一点は、我々の問題として、放射線治療医がまだそれほど十分に育成できていない、その需要に応えるだけの人数がまだそろっていないこともございます。

 さらに、我々がデータを分析してこれは大きな問題ではないかと思ったのは、緩和照射がほとんど伸びていない。全体がん患者数はふえているにもかかわらず、がん医療、がん緩和ケアが非常に重視されているにもかかわらず、がんの緩和的な放射線治療が伸びていない。

 お手元のデータの最下段に「緩和照射」と書いております。骨転移とか、脳転移は非常に放射線治療のよい適応でございますが、これが2万人とか3万人で、過去10年間ぐらい変わっておりません。増えていないということは、緩和医療の中で放射線治療がイグノアというか、余り評価されていない、注目されていなかったということで非常に懸念されます。これは患者さんが放射線治療の恩恵を受けられていないということでございますので、早急な改善が望ましいと思います。

 次のスライドをごらんください。

 今、放射線治療の内容はどんなものになっているかということでございますが、現在の主力は左の上段にありますように、3次元の放射線治療、3D conformal raditationtherapy(3DCRT)というものが主力でございまして、これはCTを用いて多方向から、がんの場所、腫瘍の形状に合わせて照射範囲を設定いたしますが、ここでは腸管とか膀胱が入っておりますが、照射範囲の内部に正常組織がある場合は、そこの線量低下を図ることは困難でございます。

 そこで、最新の放射線治療装置では、下段に説明が詳しく書いてありますけれども、強度変調放射線治療、Intensity modulated radiation therapyIMRTという方法では、そこの正常組織の線量を下げることができますし、照射範囲の中の線量の強弱もコンピューターで自動的に制御できますので、非常に高度な治療が可能になってまいりました。

 また、左の下段にありますように、体幹部定位照射、Stereotactic body radiation therapyでは、集中的に多方向から、いわゆるピンポイントで放射線照射をいたしますので、これは肺がん早期例等では手術に匹敵する成績を上げてきております。

 これらが高精度放射線治療と言われ、現在、普及してきております。これによって成績が向上し、副作用も有意に減少しております。

 4枚目のスライドの最下段に書いておりますけれども、これに加えて、私どもの領域では、日本で大きく発展してきた粒子線治療がございます。これは一般の施設で我々が使っている放射線、多くはエックス線でございますけれども、それとは全く異なった性質を持っておりまして、周囲の正常組織への被曝を減少させて、腫瘍に大線量を正確に照射するものでございます。

 これはさらに右の上段のスライドにお示しておりまして、これは副鼻腔がんの症例でありますけれども、右下段に、今、申しました各種の放射線の深さ方向での線量の強さの変化を示しております。

 通常、照射のエックス線とかガンマ線ですと、がんの病巣の手前と向こう側で少なからず放射線が照射されます。粒子線治療では、その前後の線量を大幅に減らすことが可能です。

 これを上段のCTで見ますと、3次元の放射線治療、原体照射は、腫瘍のところには線量が集中して当たっているのがわかりますが、周りの正常な脳組織には少なからず放射線が投与されております。

 真ん中のIMRTでは、その周辺の線量が減っていると同時に、目のあたりの線量もうまく避けられております。右の重粒子線治療では、さらにそれが集中できて、腫瘍辺縁の線量が非常にシャープに落ちてきているのがわかります。

 この粒子線治療は、既に先生方も御存じのように、ことし一部が保険収載、小児と肉腫に関して保険収載され、現在、それ以外は先進医療として既存治療と比較検証中であります。私どもの学会としては、全例登録をいたしまして、その検証を行ってまいります。

 下段のスライドが、高精度治療の患者数の推移を示しております。

IMRT件数が非常に高い比率で伸びております。2012年時点で1万2,000例、これは全がん患者の5%となっております。SBRT件数も5,000例と伸びております。粒子線治療は3,000例強であります。IMRTは欧米では7割以上に行われておりまして、現在の標準的治療の3DCRTからIMRTに置きかわりつつあります。

 ちなみに私の施設では、現在、3ないし4割の患者がIMRTになってきております。全体にさらに伸びていくと思われます。

 次のスライドをごらんください。

 2番目の課題であります医療従事者における専門性について、お示しいたします。放射線治療現場は、既に医師、技師、看護師、医学物理士、品質管理士から成るチーム医療が実践されております。このスライドは、医師について、都道府県がん拠点病院、地域がん拠点病院、その他、特定機能病院別に人員配置を示しております。幾つかの略語は下段に記載しておりますが、このうちFTEについて御説明いたします。

FTEは、Full time equivalentの略でありまして、週40時間の放射線治療業務に換算した実質的マンパワーを示しております。

 例えば、週4日間しか臨床業務に携わっていない場合はFTE0.8、週1日の午前中勤務、バイトとかという状況では0.1と、全てのドクターの勤務形態をそれぞれ調査しておりまして、そこから算出した各施設の実質的なマンパワーを示しております。

 患者数は、当然でありますが、施設グループごとに大きく異なっております。都道府県がん拠点病院では619人で、地域がん拠点病院では315人、それ以外は160人、特定機能病院では590人となっております。

 再来患者を含めた実患者数はこれの2割増しぐらいになるのですけれども、机上に資料で配付しておりますところの中に、1FTE、放射線腫瘍医は実質的に1人のマンパワーで大体200名の患者さんを年間で受け持つという基準、これは日米の基準でございますけれども、それで算定いたしますと、FTEROというところに注目していただきますと、その患者数から割り出しますと、都道府県がん拠点が3.72、地域がん拠点が1.80、がん拠点以外が0.96、特定機能病院が3.54となります。

 特定機能病院では、大学の先生方は教育研究要員を擁しており、少し余裕があることになりますが、それ以外、医師は現状の患者負荷に応じたほぼ基準どおりに配置されていることになります。

 参考までに、下段に2005年のデータを示しております。これはがん対策基本法施行前のデータを示しておりまして、患者数もそれぞれ少ないのでありますが、この時点で地域がん連携拠点病院には認定医師が3割ほどの施設で、また、専従医師が2割の施設で確保できていなかったという実態がありましたので、現在はよくなっておるということです。それは、患者数の増加とともに、施策により充実してきたことが言えると思います。

 次に、技師、看護師についてお示しいたします。

 診療放射線技師は、一般には医者の2倍、実患者数100120人に1名必要とされております。ですので、先ほどの実患者数から算定して、ほぼ基準どおりにこのFTERTは配置されているということであります。ただ、特定機能病院はその計算でするとやや配置が少ないようであります。診断業務等の兼ね合いで、少し診断業務にとられているのかもしれません。

 看護師は300名に1名必要とされまして、ほぼそのような配置になっております。

 次、下段のスライドでありますけれども、これは医学物理士、品質管理士という職種の配置を示しております。これらはいずれもまだ国家資格ではございませんので学会認定資格ですが、特に欧米では確立された職種であり、我々の分野は加速器を扱う現場でありますので、重要な役割を担っております。

 現在、普及し始めている御紹介しました高精度治療では、複雑な計算あるいは品質保証が必要でありまして、この医学物理士の役割が重要であります。ガイドラインでは、施設に1名、患者数400名に1名追加するとしておりますが、いずれの施設層でも1FTEが確保されておりません。これが我が国における高精度治療の普及の障壁になっております。

 次に、治療装置の配置についてお示しいたします。

 これは、経年的な装置数の変化を示しております。

 精度の低いコバルト装置は駆逐されまして、「Telecobalt」が昔のコバルト装置であります。エックス線を用いたシミュレーターはCTシミュレーターに置きかわっております。高精度治療ではこのCTシミュレーターという装置が必須であります。

 さらに高精度治療のコンピューターの計算等のために、RTP、放射線治療計画装置が重要な役割を果たしますが、それが飛躍的に伸びており、その需要の高さを裏づけております。

 下段でありますけれども、これらの装置の配備状況を示しております。

 リニアックは標準装備として配置されております。

 連携拠点病院では標準治療である3DCRT機能はほぼ搭載されておりますが、IMRT機能が地域連携拠点病院では4割の施設で搭載されておりません。今後の機器更新に配慮いただきたいと思います。

 拠点病院以外の病院では、3DCRT機能も3割の施設で未搭載、IMRTは7割で未搭載となっておりまして、拠点病院とそれ以外の施設の高精度治療における診療の質の差が容易に推定されます。ただ、こういう施設では、緩和照射には十分対応可能と思われます。

 次のスライドをごらんください。

 以上の装置の各グループ当たりの平均台数を示しております。都道府県がん拠点病院、特定機能病院では、リニアックは平均2台配置されています。RTPは当然これらの施設では多くなっております。

 次に、下段に粒子線治療施設について同様の解析をしております。全国のエックス線を中心とする施設と比べて、CTシミュレーターとか、RTP、医師、技師、看護師、物理士の数はより充実して、重装備となっております。当然、非常に高度な治療ですので、そうなっているのだろうと思います。

 患者数は、ことしは4,000例ぐらいに到達するのではないかと推測されます。これらは、全放射線治療患者数の2%に相当いたします。

 次のスライドをごらんください。

 御参考までに、これらの放射線治療の構造の地域差を示しております。学会では、     47都道府県のデータを全て把握していますが、ここでは簡易化してブロックごとに示しております。

 見たらすぐにおわかりのように、人口の影響が非常に大きく、施設当たりでは、関東で最も新患数、装置数、放射線腫瘍医数が充実しておりました。IMRT件数は中部で高く、中国・四国で少なく、患者数、医師数も中国・四国では少なくなっております。

 下段をごらんください。

 少し古いデータになりますけれども、人口別の施設数の分布を示しました。拠点病院その他の病院の施設数を、人口の低い県から順に並べています。人口の増加に伴い、放射線治療施設数、がん診療連携拠点病院数ともに有意に増加しており、拠点病院の配置の正当性がうかがえます。

 しかし、人口600万人以上の都道府県では、拠点病院数と他の施設数の間に開きが大きくなっております。拠点病院以外の施設のインフラは、診療の質を担保するには不十分であることを今までのデータでお示しいたしましたが、この部分の拠点病院はがん患者の集約化の標的とすべきと考えられます。

 以上をまとめますと、治療件数は増加しておりますが、欧米に比較するとまだ低い状況にあります。

 緩和ケアの放射線治療がふえていないのは問題で、緩和ケアにもっと使用されるべきだと思います。

 従来の3次元の放射線治療に加えて、高精度治療、特にIMRTが急速にふえております。

 医療従事者の専門性については、既に我々の分野ではチーム医療を実践してまいりました。

 粒子線治療に関しては、ことし一部疾患が保険適応とされましたが、それ以外は現在先進医療として既存治療と比較検証中で、学会では全例登録を行っております。

 拠点病院以上で高精度放射線治療の体制が整備されていますが、最も重要な治療計画を担う人材、医学物理士という人材が非常に不足しております。

 装置、機器の配置も整備されていますが、地域がん拠点病院の治療装置にIMRT機能未搭載のものがありますので、今後の整備で考慮いただきたいと思います。

 これも人口に依存しておりますが、患者数、医療従事者、高精度治療施行率に地域差がございまして、集約化はまずは大都市圏の都道府県がん拠点病院あるいは地域がん拠点病院から進めていただくのが妥当かと思います。できれば指定要件のワンランクアップ等の見直しを御検討いただきたいと思います。

 以上です。

○北島座長 ありがとうございました。

 それでは、東参考人からの御発表の後、まとめて総合討論をしたいと思います。

 東先生、よろしくお願いします。

○東参考人 量研機構放射線医学総合研究所の東と申します。本日は、よろしくお願いいたします。

 スライドに沿ってお話をしてまいります。

 核医学治療・RI内用療法とは、体の外から当てる一般的な放射線治療とは異なりまして、体内に投与したアイソトープを用いた放射線治療で、内照射やRI治療、また、近年には放射免疫療法や標的アイソトープ治療などの名称でも知られております。その歴史は非常に古く、治療には一定の施設規定等があると言われております。

 次をお願いいたします。

 昨年まで国内で利用可能であった核医学治療はこの4種です。放射線ヨウ素を用いましたバセドウや甲状腺がんの治療、ストロンチウムを用いました骨転移疼痛緩和薬、リンパ腫に対するモノクローナル抗体を用いましたゼヴァリン、さらに、保険外ですが、神経内分泌腫瘍に対する放射性ヨウ素を用いたMIBG治療です。いずれも輸入製剤で国内自給はできておりません。一部は非常に高額として知られております。まだ対象となるがん種は非常に少ないと言えると思います。

 次でございます。

RI内用療法の国内の現状、これが本日のまとめになります。

 ガンマ線、ベータ線核種である放射性ヨウ素は、専用病室への入院が必要ですが、治療病室の不足が厳しいこと。

 ベータ線核種のストロンチウム、イットリウムの治療は、入院不要で順調に普及していること。

MIBGは、保険未収載で個人輸入で治療しておりますけれども、入院が必要で、一部の施設でのみ行われていること。

 治療と診断をかけた造語であるTheranosticsという言葉が世界的にも広く認知されまして、新しいRI内用療法が盛んとなり、黄色で示しますように、アルファ線を用いた新しい内用療法も登場し、諸外国では市場規模が拡大していること。
 一方、国内では対応がおくれていることです。

 これらにつき、詳細に述べてまいります。

 次、お願いいたします。

 ベータ線、ガンマ線について、簡単におさらいをいたします。

 腫瘍を殺傷する効果はベータ線にあり、その届く範囲でがん細胞を殺しますけれども、表のように、ベータ線は数ミリから十数ミリの範囲で体内を飛び、これを飛程と申します。遠くまで飛べば多くのがん細胞に効果がありますが、周囲の正常組織への影響も出てまいります。

 一方、ガンマ線は透過力が強く、体外に出ますので、イメージングとして利用可能ですが、周囲への影響が強いため、放射線防護の必要があり、退出基準という入院に関する規定がなされました。

 次をお願いいたします。

 第1の治療、甲状腺がんに対する放射性ヨウ素内用療法に関して述べます。

 ベータ線、ガンマ線により写真が撮れ、治療もできるという、まさにTheranosticsという言葉を体現したような治療ですが、ガンマ線が強いために専用病室の入院が必要とされます。

 次をお願いいたします。

 甲状腺がんに対する内用療法は、大きく2つに分けられます。転移治療とアブレーションです。通常、甲状腺がんには、一般的な抗がん剤が効かないため、この内用療法が手術後の第一選択であり、肺転移を来した場合には唯一で、ほかに替わりのない治療であります。そのため、かつてはこの内用療法は終末期患者さん向けの治療であるという誤った認識もありまして、国内でこの治療が余り普及してこなかったという経緯がありました。

2000年代に入りまして、アブレーションという概念が登場し、転移がなくとも再発のリスクが高い症例に対して、予防的に内用療法が行われるようになりました。予防的にも入院が必要となったため、病室不足に拍車がかかり、大変な問題となりました。

 次をお願いいたします。

 これが入院病室の例、京大病院の例でございますが、管理区画から出られないため、患者さんは非常にストレスが多いという声がよく聞かれます。通常、入院は1週間程度ですけれども、次の患者さんへの被ばくを避けるため、1週間病室をあけることが多く、非常に採算性がよくないと言われております。退出基準の規定は国内ではかつて500メガベクレルでしたが、2010年より、1,110メガベクレルに緩和をされました。

 しかし、この規定は各国がそれぞれの基準で決定をしておりまして、例えば、アメリカでは基準が緩やかですので、入院の治療が必要ではないとされております。

 次をお願いいたします。

 一方、ドイツでは緊急被ばく医療も兼ねましたRI治療病室が充実しておりまして、日本に比べて桁違いの規模で、人口当たり10倍以上の病室数を持っており、快適で余裕のある病室整備となっていることが知られております。

 次をお願いいたします。

 翻って、国内ではこの入院病室は圧倒的な不足という問題が出ております。治療数の増加は著明ですが、治療が必要な患者の半数程度しか治療ができていないことが実情でございます。

 一方、治療ベッド数は減少し、近年1ベッド当たりの治療数が年間2123程度、1年間を50週としますと大体2週間に1回という形になってまいりますので、先ほどのスライドでも述べましたように、限界近くまで入院が混雑している状況でございます。このため、外来の患者さんが治療を希望しても入院までの待機期間が半年近くになっている状況でございます。

 次をお願いいたします。

 これは県別の入院ベッドの有無と地方別の人口当たりの入院ベッド数を示した図でございます。

 治療施設のない空白県は現在6県、また、関東では100万人当たりのベッド数が0.54ベッドになります。これは、ドイツはもちろん、北陸圏が日本では比較的恵まれておりますが、比較しましても7倍以上の差がありまして、医療の均てん化にはほど遠い状況ということが言えると思います。

 次です。

 ヨウ素内用療法に関します我が国の問題点は、高齢化社会に伴うがん患者の増加、治療数の増加、DPC制度や独立行政法人制度の導入など多くの要因が考えられますが、入院病床の不足解消のために、退出基準が2010年に緩和をされ、引き上げられました。

 次をお願いいたします。

 しかし、入院待機問題には改善の兆しがなく、待機時間が半年以上という患者さんは、2013年には8割にも上っております。

 左下は2011年に私が発表した論文でございますが、待機時間が半年以上になると死亡の確率が4.2倍上昇するというショッキングなものでございます。

 すなわち、全国の半数以上の医療機関で、甲状腺がんの転移を持つ患者のうち、8割程度が無治療で半年近く待たされ、死亡率4倍以上のリスクにさらされているにもかかわらず、全国の入院病室はほぼフル稼働で空きがない状況ということで、これは大変大きな社会問題と考えております。

 次です。

 本日、参考資料としまして「机上配布資料3」として持ってまいりました、私が今年書きました総説に基づいて、このような提言をしております。

 我が国のRI内用療法の将来展望を踏まえまして、フランス並みの入院ベッド340床以上を提唱しております。現行ベッドが135床ですので、3倍近くになりますので、簡単な目標ではありませんが、右に示しますように、1つずつの項目をクリアすることで何とか達成できるのではないかと期待をしております。

 ドイツ型の大規模施設の設置、がん診療連携拠点病院の整備、診療報酬上の改善、医療法施行規則の一部改正、その他法規制の整備、退出基準の緩和などの措置を考えていただければと思っております。

 次をお願いいたします。

 詳細は割愛しますが、診療報酬上の問題につきましても改善をお願いしたいと考えております。

 次をお願いいたします。

 話は変わりまして、第2、第3の治療、ストロンチウム、イットリウムに関して簡単に述べさせていただきます。

 こちらはベータ線のみを放出する治療ですので、入院は不要ないし一般病室での入院が可能で、大きな副作用もなく、効果が高く、国内でも順調に普及をしております。諸外国での保険承認に大きく遅れをとりましたが、ドラッグラグの問題も近年解消しつつあると考えております。

 次をお願いいたします。

 アルファ核種のお話でございます。

 国内では、今年ついにアルファ核種の治療薬が承認されました。アルファ線は飛程が短く、がん細胞1個分程度の距離しか飛ばず、正常臓器への影響が少ないとされておりまして、がんの殺傷力が高いことでも知られております。また、図のように遮蔽が容易ですので、入院病室も不要とされております。

 次をお願いいたします。

 こちらが今年承認されましたアルファ線治療薬ゾーフィゴでございます。作用のよく似ましたベータ線薬剤のストロンチウムが骨転移の疼痛の緩和にしか効果がないのに対しまして、このゾーフィゴは生存期間の延長も認められております。アメリカでは市場規模が大きく拡大しており、国内でも期待をされております。ちなみに、こちらも国内での製造は困難とされております。

 次をお願いいたします。

 アルファ核種は全く新しい放射線薬剤であり、法的規制、製造法取り扱いの規定、臨床試験などの課題は非常にさまざまにあり、世界的にもこの臨床利用に関しては未解決な部分が多く、国際会議での意見交換などがまだまだ盛んでございます。

 我々量研機構では、国内製造可能なアスタチン211を用いた新規の内用療法の開発にも取り組んでおりまして、先日は報道でも取り上げられました。今後、アルファ核種の利用にかかわる多くの課題に対応していけるように、我々も先頭に立って頑張っていきたいと思っております。

 次をお願いいたします。

 その他の内用療法に関しまして、簡単に触れます。

 神経内分泌腫瘍に対する診断薬、ソマトスタチン受容体イメージングは、ドラッグラグの見本のようなお薬でございます。2000年の臨床試験は承認見送りとなり、結局、承認に15年を要したという経緯がございます。

 次をお願いいたします。

 この間に、世界的には解像度の悪いSPECTから画像の鮮明なPET製剤に移行いたしまして、さらに近年では治療薬への応用も進みまして、PRRTと呼ばれるRI内用療法として既に確立されております。

 横浜市立大学では、この神経内分泌腫瘍の患者さんを海外へ渡航させるというプロジェクトで国家戦略特区に指定されております。国内のRI内用療法の遅れを物語るエピソードであると言えると考えております。

 以上、まとめまして、RI内用療法の現状と展望でございます。

 国内のRI内用療法は、保険適応が現在4種。

 放射性ヨウ素では、病室不足の解消に早急な対策が必要であること。

 入院不要のベータ線核種のさらなる普及が必要であること。

MIBGは、今後、アルファ線薬剤などの導入も期待されていること。

 諸外国では新しい内用療法が盛んとなり、対象となるがん種も拡大する傾向が予想されており、国内でもそれが非常に期待されていること。

 その一方で、新しい内用療法への対応は依然遅れているということでございます。

 現在、RI内用療法は、アルファ線製剤の登場など、大きな変革期にございます。私からお持ちさせていただきました「机上配布資料2」ですが、国会でもRI内用療法のさらなる充実について言及されるなど、治療普及への追い風を感じておりますので、産学一体となりましたオールジャパンでの対応を期待しまして、発表を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

○北島座長 どうもありがとうございました。

 それでは、2人の先生の御発表を一括議論させていただきたいと思います。

 どうぞ。

○山口構成員 拠点病院指定検討会の座長の立場で、手島参考人に2点質問させていただきたいのですが。御説明の内容はよく理解できました。その上で、まとめ2の8番のところ、質問の1は、「集約化は大都市圏の都道府県がん診療連携拠点病院から進めるのが妥当か」。この意味なのですが、お話の中では地域がん診療連携拠点病院のこともお話しされていたのですけれども、集約化の意味が、伺っている感じでは、IMRTの整備が不十分なところがあるから、そこを徹底して整備をして、それで一都道府県の患者さんをそこに集中させるという意味なのか。そこのもう少し詳しいお話を伺いたいというのが第1点です。

 第2点は、「指定要件の見直しが望ましい」という御意見なのですが、きょう提示されている参考資料2の3ページに、放射線治療の提供体制が出ております。ここに3要件が書いてあるのですが、この中のどこを見直すべきかという御意見なのか。教えていただきたいと思います。

 以上です。

○北島座長 ありがとうございました。

○手島参考人 先生、どうも御質問をありがとうございました。

 第1点目の御質問、集約化は先ほどもありましたが、どこかコアになる施設で集中的にそこの体制を整えようと。高精度治療はそのうちの非常にいい例でありますが、それ以外も、我々がデータを見ておりますと、診療のクオリティーあるいは治療成績等にも少し差が出ているという、要するに、ボリュームエフェクト、外科の先生方の領域で言っているようなものも出ております。そこでしっかり集中的にというのは、最後のスライドにお示ししましたように、これらの都道府県では拠点病院以外の施設の数が多いので、そこにおいて拠点病院からあふれた患者さんもここでより多く治療してあげたほうが、より質の高い医療を受けられるのではないか。

 2つの点がございます。量的な問題と質的な問題、そこも御考慮いただけませんでしょうかという提案でございます。

 2番目の要件の件、まさに、今、言ったことも少しマル3のアの強度変調放射線治療等を含む放射線治療に関する地域の医療機関の連携を図ることは、先ほど申しました拠点病院以外では緩和医療等を受け持つ等の連携等が図れるのではないかということにおいて、集約化でそこだけを重視して他を切り捨てるということではなくて、そこでの患者さんの振り分け、すみ分け等をきっちり行う、情報共有を行うことも含めての御提案のつもりでございました。

○北島座長 どうぞ。

○山口構成員 確認なのですが、先生がおっしゃっている集約化とは、例えば、都道府県がん診療連携拠点病院は、原則、県に1カ所ですね。そこに最も強い機能をまとめるという意味での集約化ではなくて、そこを核にしながら、周囲の拠点病院以外のところでもレベルの高い放射線治療をやれるようにしたらどうかという御意見ですか。

○手島参考人 都道府県がん診療連携拠点病院と地域がん診療連携拠点病院もそれなりの機能を有していますが、ただし、3割ぐらいはIMRT機能をまだ搭載できていない。その2つの拠点病院は非常に強化していいと思います。

 特に大都市圏では、その2つを合わせただけでもまだそれ以外の差が大きいので、そこは両方とも強化しないといけないと思います。

○北島座長 では、北川委員からどうぞ。

○北川構成員 手島先生、東先生、お2人の御発表にちょっと御質問させていただきますけれども、まず、大きな方向性としてなのですが、現時点で、IMRTが5%程度、粒子線治療が2%程度ということですが、直近の次の10        年の展望としては、粒子線治療はかなり設備の面でまだ普及は難しいと考えると、IMRTを中心とする高精度治療をまずはある一定のレベルまで普及させるという方向でよろしいでしょうか。

○手島参考人 先生の御指摘のとおりだと思います。

 リソースの面で、いきなり重粒子、プロトンをどんとふやすというのは無理だろうと思います。しかもIMRTがかなりよくなっておりまして、プロトンと同等の成績が出ている領域もたくさんございます。まずはそこを充実させる方向でいいだろうと思います。

○北川構成員 いわゆる小児ですとか肉腫ですとかという特殊な領域は除いて、一般的にIMRTでかなりの成績が出るところは、それでまずは普及させるという点ですね。

 そのときに、物理士です。これが実際上、長い計算をやって、だんだんよくなってきているとは聞いているのですけれども、治療計画を立てるところのいわゆる律速段階になっているということを伺っています。私どもの施設でも経験しておりますので、ここの育成が設備以上に非常に重要ではないかと思っておりまして、ここに関して抜本的なてこ入れをするには、どんな施策が考えられるのか。いかがでしょうか。

○北島座長 どうぞ。

○西村構成員 西村ですけれども、今、先生から本当にすばらしい御指摘をいただいて、医学物理士は800名ぐらいで、ただ、これは先ほども話がありましたように、国家資格ではないのです。そこで、優秀な理系、診療放射線技師の方も多いのですけれども、そういう方があえて目指さないということも中にはあるみたいなので、職種としての魅力を高めるためには、国家資格化ということが必要だろうと我々は考えています。

○北川構成員 たしか非常に難しい試験を受けなければいけないのですね。そうでもないのですか。

○西村構成員 非常にかどうかはわかりませんけれども、難しい試験を受けて、合格してと。

○北川構成員 そういうことの割には国家資格ではないという問題があるということの理解でよろしいでしょうか。

○西村構成員 そうでございます。

○北島座長 今村構成員、どうぞ。

○今村構成員 2点ありまして、まず、最初の手島先生の御発表なのですけれども、今、日本の医療は社会保険診療を前提としているので、当然財政的なものが非常に大きな課題になっていると思うのですが、東先生はコストと書かれているのですけれども、放射線治療についてはコストのお話が余りなかったと思うのですが、費用対効果みたいなお話があって、一部の小児がんと肉腫については粒子線治療として保険適用になったということですけれども、私は専門家ではないので詳しくはないのですが、粒子線治療は非常に高価と伺っているのですけれども、コストのことについて、これは患者さんにとっては必要なものは当然保険診療でというのは前提だとしても、診療が成り立たなくなるようなコスト増ではちょっとまずいのではないかと思っていて、その辺はどうお考えなのかということをまず伺いたい。

 それから、これは厚生労働省への質問ですが、今、地域医療計画で都道府県のがん診療提供体制については計画を策定しなければいけない。そのときに、放射線治療については、多分、放射線治療をやっているかやっていないかぐらいのことしか聞いていなくて、それぞれの放射線の治療の中身について調べて、それを県として検討することは、医政局からも通知が出されてはいないのではないかと理解しています。

 それは東先生のお話にも関係して、病床、先ほどのような治療の病室を確保しなければいけないという視点で、例えば、地域医療構想の中で県内で病棟をどのようにしていくかという中で、そういうことを視点にちゃんと置いて計画をつくりなさいということを、厚生労働省としてきちんと発信する必要があるのではないかと思って伺うのですけれども、その辺はいかがでしょうか。

○北島座長 手島先生、どうぞ。

○手島参考人 最初のコスト、特に粒子線に関するコストの説明だと思うのですけれども、小児がん、骨軟部腫瘍、これは従来の放射線治療あるいは手術療法でさえ非常に難渋する大変ながんですので、そのコストは確かに高いのは高いのです。それはみんなでシェアしてあげるべきと、現在の医療としても最先端のもので、それに対するそういう考え方でやってもいいのではないかと私は個人的には思っております。

 ですから、粒子線のコストに関しては、私の今回いただいた課題からは離れるのですけれども、それ以外の通常照射に関しては、病院長の先生方はよく御存じだと思いますけれども、十分に放射線治療の装備と人員と成績の向上等の収益等に関するものはきっちり見合うものであると私は理解しております。

 粒子線に関しては、ちょっと特別だと思うのです。

○今村構成員 私が申し上げたかったのは、小児とか肉腫であるとか、粒子線でしか治療効果が期待できないものに対してこれを使うのはある意味当然だ思うのですけれども、今2%しか普及していないものをこれから増やしていくかどうかといった議論の際に、他の治療法と効果にあまり差異のないものに対しても粒子線を使用するということになると、それはどうなのかと、個人的には思っているものですから質問した次第です。

○西村構成員 しゃべってよろしいですか。

○北島座長 はい。いつものことですから、大丈夫ですよ。

○西村構成員 済みません。今、まさに先生がおっしゃったように、先進医療で、従来のエックス線とその粒子線治療の比較を、厚生労働省の御指導も受けながら学会を中心にやっているところなので、いずれ明らかになってくると思います。

○今村構成員 ありがとうございます。

○手島参考人 追加ですけれども、私どもは症例登録事業を学会でスタートいたしまして、通常照射に加えてこの粒子線治療も学会がデータをグリップするような体制になってきまして、おっしゃるとおりです。

○北島座長 東先生、どうぞ。

○東参考人 コストということなのですけれども、まず、医療機関としてのコストという問題と日本全体の医療費の問題ということがあると思います。

 甲状腺がんに関しましては、非常に待ったなしですので、とにかく早く手厚く対応しないといけないということで、病床の増加を求めておりますが、現在の診療報酬体系は非常に厳しくて、ほとんどの医療機関が赤字になっているというのは私がきょうお持ちしました論文にも書いてあるとおりなのですけれども、実際に日本ではほとんどの医療機関が1施設当たりベッド数が1つか2つしかないのです。

 例えば、ドイツ型、1施設に5つ、6つ、1015あるような非常に大きな施設の場合には、共有部分のコストが非常にぐっと下がりますので、現行の診療報酬体系でも核医学会の試算では大体7床から8床の施設があればペイすると言われておりますので、今回、復興予算で福島に10床の施設が建つ予定ですので、これが大きな試金石になろうかと考えております。甲状腺がん自体は、ヨード131は安いので、国の財政に対する負担も非常に少ないのではないかと考えております。

 それに対して、新しいRI治療がどんどん普及しておりまして、先ほどもお示ししましたように、ゼヴァリンは444万円、非常に高い治療でございます。これは、十分に医療機関はペイします。言葉は悪いですが、十分にもうかります。

 それに対しまして、どんどんこれを使っていくことになりますと、国の財政に非常に大きな負担になる。これは間違いないと思いますが、これは分子標的薬とかでも同じような状況が起こっておりますので、RI治療だけで語ることではないのかもしれません。

 その他、今後、今から出てくると考えられております、抗体を使ったRI標識をしたお薬に関しても、抗体治療ですので非常に高くなることが予想されておりますので、今後、これも同じような問題を抱えてくる可能性があるかと考えております。

 以上です。

○北島座長 どうぞ。

○藤構成員 手島先生にお尋ねしたいのですが、資料4の一番前のページの下のことでございます。緩和照射の件でお尋ねしたいのですが、おっしゃったかもしれませんけれども、緩和照射が少ないということですけれども、例えば、欧米の最も先進している国とかに比べて、2万人、3万人のレベルの緩和照射はどのくらい対象が眠っているというか、されていない者がいるとお考えでいらっしゃいますか。

○手島参考人 恐らく半分です。これの2倍は対象になる人がいるということです。

○藤構成員 この緩和照射の依頼をするのは、恐らく主治医が転移があったらそれでお願いする形になると思いますので、そういうところの認識が我々医者の中でも医療者の中でもまだまだ足りないことを意味しているということでございますね。

○手島参考人 緩和医療研修会ですばらしい試みをされていて、かつては我々の学会から放射線治療のスライドを提供していたのですが、いつの間にか削除されておりまして、緩和医療の先生方に伺っておりますと、ほかにいろいろと教えることがたくさん出てきて割愛したのだとおっしゃっていて、我々としても、ショートレクチャーとか、出向いていく気持ちではあるので、また御考慮いただけたらと思います。

○藤構成員 実際にやってみて、効果がある人の効果を我々はすごく実感しているのですけれども、もっと適応を広げていっていいという認識でございますね。

 ただ、機械のスペックは低くてもいい、拠点病院ではなくてもいいとおっしゃったのですけれども、集約化、均てん化を図っているときには、もし拠点ではないところで放射線治療をするにしても、それだけではなくて、薬の治療とか心のケアとかも含めた治療をしていかないといけないと思いますので、機械が最高級でなくてもいいということだけで拠点以外のところに広げていくというのは、問題がひょっとしたら出てくるかもしれないと思って聞いておりました。

○手島参考人 お言葉ですけれども、骨転移とか脳転移とかは複雑な技術を用いません。ただし、再照射になった場合は、例えば、脊髄の二重照射を避けるとかは高精度治療が必要になってきますので、先生がおっしゃるとおりで、他科との連携ということで、すぐれた内科医とか外科医等がいる施設になりますと、そういうことになるだろうとは理解しております。

○北島座長 清水構成員、どうぞ。

○清水構成員 手島先生にちょっと教えていただきたいのですけれども、先ほど放射線腫瘍学会として、数とか、そういうものをデータとして出していただいて、あとはガイドラインとか、我々の施設もそういうものを参考にして目標にして活動していますけれども、実際のその施策として、厚労省のがん対策との兼ね合いで、そこはうちとしては、がん対策推進計画で人材の育成とか、そういうものを考えて、都道府県の拠点病院としてあるべき姿を目指して、同時に、栃木県の地域拠点病院とかと連携をしたり、あるいは、実務を伴った研修会とかをしているわけですけれども、そこの実際の施策の命令系統というか、そこら辺が今ひとつはっきりしないのですけれども、その学会と国との連携はどうなっているのでしょうか。

○北島座長 西村先生、どうぞ。

○西村構成員 先生の御質問がちょっと理解できなかったので、済みませんが、もう一度ポイントを。

○清水構成員 実際、我々は都道府県拠点病院として、人材の育成で、国の推進計画にのっとって幾つかを経年的に行ってきています。その中で、地域として研修とかを行ったりして、品質管理の室を立ち上げたり、あるいは、立ち上げようとしているところをサポートしたりという活動をしているのですけれども、今のお話を聞くと、学会としてはアンケートしたりガイドラインを出したりしてという一方的な提示なので、そことの連携がどうなっているのかと。

○西村構成員 国と学会がそういうことで連携しているか。正直に言って、連携はしていないです。

○清水構成員 せっかくデータを出していただいているのですけれども、何のためのデータかとか、実際、そこをやる上ではどうしたらいいかとか、もうちょっと具体的な方向性とかを提示していただけるとわかりやすいかと思います。

○北島座長 どうぞ。

○手島参考人 NCDが非常にすぐれた活動をされておられるように、我々も今回ストラクチャーのデータはこのように定期的にとっているのですけれども、プロセスとアウトカムのデータは症例登録事務が始まって初めてとれて、それをストラクチャーとの相関を分析しながら、最終的には患者さんに常時公開できるような仕組みにしていきたいと思っております。本日議論になっていました情報系のところで、我々学会として貢献できればと思っております。NCDを目標にしています。

○北島座長 西村先生、学会と国の連携が云々という話は、全くされていないということなのですか。

○西村構成員 全くというか。

○がん・疾病対策課長 国と学会の連携が、十分にできていたかどうかということの直接のお答えにはなっていないかもしれませんが、放射線治療に関してはがん対策基本計画の重要事項になっております。来年6月の第3期計画に向けた議論のために、今回、放射線腫瘍学会と核医学会の参考人からご説明をいただいたところです。

○北島座長 ここの意見を来年6月に反映できるということなので、本会は非常に大事な会ですので、ぜひよろしくお願いします。

 天野構成員、どうぞ。

○天野構成員 2点ございます。

 まず、1点目は放射線治療の適切な推進ということで、基本計画の中間評価で、手術療法や化学療法や放射線療法について、拠点病院においても標準的治療の実施割合にばらつきがあることが示されていまして、患者の立場からしますと、がん診療連携拠点病院などを受診することはできても、それ以上の選択をみずから行うことはなかなか難しい面があります。救える命を救うという大きな目標から見ますと、医療の可視化という部分も一つの重要な要素と考えておりまして、例えば、外科領域ではNCDのようなものが既にありまして、治療成績の向上に向けた取り組みが行われていると理解しているのですが、放射線治療の領域においては、そういったデータベースというか、何か可視化するような事業などはあるのかというのが1点目の質問です。

 2点目が、先ほど来出ている均てん化と集約化という部分で、これは非常に患者にとっては切実な部分でございまして、私は沖縄県のがん診療連携協議会の委員も務めておりますが、沖縄本島で3つの医療圏、離島で2つの医療圏があって、離島とは申しましても、例えば、宮古島と石垣島、それぞれ5万人程度の人口がありまして、県立病院もそれぞれありますが、当然放射線治療機器がない状況でございまして、離島で、例えば、乳がんになった患者さんは、乳部温存はできませんので、本島に渡って治療を受ける、また、放射線治療を受けるために宿泊を強いられているということがありまして、沖縄県では、県独自に、これに対して、離島のがん患者団体の強い要望を受ける形で、県とホテルの旅館生活衛生同業組合が、離島、僻地のがん患者の宿泊支援に関する協定を結んでいまして、宿泊費などを最大40%の割引をするという制度があり、均てん化が難しい部分については、何らかのそういった患者さんに対する支援であるとか連携制度をつくっている例もあると理解していますが、今後、国の計画であるとか、その後の都道府県の計画などをつくるに当たりまして、そういった何らかの助成制度の創設もしくは制度創設の支援などを検討していただけないかということを申し上げて終わりたいと思います。

○北島座長 まず最初の質問は、手島先生。

○手島参考人 先ほども御紹介しましたように、2014年度からこの症例登録事業を開始しておりまして、まだ全ての施設を網羅してはおらないのですけれども、近い将来、そういうデータをNCDと同様に患者様に見ていただけるようにしたいと思っております。

○北島座長 ビッグデータというか、データベースをきちんと構築し、活用しないとそれからさらに進んだ先進治療とか診断方法がなかなかできないと思います。症例数も外科手術などに比べて多くはないかもわかりませんけれども、そういうネットワーク、データベースの構築は早急にやっていただければと思います。

 どうぞ。

○西村構成員 今の均てん化とセンター化のお話がちょっと出たので、理事長としてではなく、私の個人的な意見を述べさせてもらいますと、先ほど手島先生が発表されたように、都道府県の拠点病院はかなりレベル的にはアップしていて、少なくとも日本中のどの県でもIMRTが受けられない県はもうないと思います。

 でも、5年前はそれはまだできていなかったので、ようやくその最低限のレベルには達していると思います。

 ただ、都道府県に1個の病院だけがIMRTができたらいいのかというと、これは全く不十分で、幾らセンター化とはいえ、IMRTのできる施設は幾つもつくっておかなければいけない。そのときに、先ほどの手島先生の資料の中にあった特定機能病院、要するに、大学病院が、うちなども地域拠点病院に指定されていますけれども、そういうところは大体できている。それプラスアルファ、幾つかの病院もIMRTができる。そういう病院をどんどんふやしていいかないといけない。

 一方、地域拠点病院と言いながら、常勤医院は1人いるのだけれども、IMRTができない病院もかなりの数がまだございます。

 先生がおっしゃったように、離島のように、リニアックの装置そのものがないような、もっと状況の悪いところもあって、もしそこに県立病院が仮にあるのであれば、リニアックを置いてもらって、非常勤の医師が週に1日行けば、少なくとも緩和的照射だったり乳部温存であれば、わざわざホテルに泊まらなくても行けるようなことは十分に可能なので、放射線治療のレベルを2種類ぐらい、本当にIMRTまでできる病院とそれ以外の緩和的照射あるいはシンプルな放射線治療ができる病院に分けるような要件の整理、そのように分けていければ、均てん化と集約化が両方ある程度は達成できるのではないかと考えております。

○北島座長 今の先生の意見では、地域がん診療連携拠点病院の指定要件の中に、強度変調放射線治療を含む放射線治療に関して地域の医療機関と連携するとともに役割分担を図る。などこの辺の調査をして、本当に連携が図られているのかどうか、役割分担がされているのかどうかという、この情報が必要になりますね。

 北川構成員、どうぞ。

○北川構成員 たびたび済みません。今の御質問と関連しますけれども、外科手術でも、高難度の手術で集約化が必要な臓器と、一般的にどの病院でもできなければいけない手術というのは、多分NCDの解析によって今後明らかにされていくかと思うのですが、放射線治療に関しても、例えば、先ほどの甲状腺、非常に集約化して特化すべきものと、乳がんのように、これを集約化されては患者さんの不利益になるもの等々、がん種によってある程度クリアにできるものなのかどうか、あるいは、その方向に動いているのかという点について御質問させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○西村構成員 先生の御質問は答えるのが難しいのですけれども、実感としては、例えば、頭頸部がんだとか、これはかなり集約しないと。適当に首にかけておいたらみたいなことになるととても大変なことに。そんなことは誰もしていませんけれども。例えば、先生の御専門の食道がんだとか、こういうところはそれなりの経験と症例数がないと、放射線腫瘍医そのものも育ちませんので、成績をよくするためには一定の症例数、患者さんの数が必要だろうと思っています。

 だから、それがどのがんだったらというのは、一個一個、具体的に挙げるのもなんなのであれなのですけれども、そういう集約化が必要ながんとそうでもないがんがあることは間違いなくて、緩和的照射はどこでもできるようにしなければいけないと思います。

○北島座長 だから、集約化するために、外科学会では、ビッグデータのデータベースを分析することにより、どういう治療法が最適かとか、そういう方向性を出すようにしていますね。放射線関連も、データベースで個別化の治療とかをいろいろとやれるのですけれども、ケースの中には外科治療と放射線治療のボーダーラインの症例もあると思うのです。そこをどうするかということで両学会が話し合うことにより、どっちの治療が最適かというのは出てこないと思うのです。放射線も、西村先生、ぜひデータベースを。

○西村構成員 もう手島先生がデータベースをつくっています。昨年度からデータは入力してあります。これは全国的な全数登録になっています。

○北島座長 その辺をボーダーラインケースがどういうものがあるかは、外科と話し合えば、これはどっちの治療が最適かは出てくると思うので、その辺はぜひお願いしたいと思います。

 鶴田構成員、どうぞ。

○鶴田構成員 集約化と均てん化の問題ですけれども、これだけ多くの拠点病院があると同じ機能を全部の拠点病院が持つことは難しいと思うので、機能別に集約化する必要があると思います。例えば、放射線治療で言えば、ここに書いてある治療装置・機器は定価と購入額はだいぶ違いますが、それぞれ、大体幾らぐらいするものかもし、わかれば教えて欲しいのですが?重粒子線治療装置は日本では最初に放医研に設置されたのですが、その後、陽子線治療装置が幾つか導入されました。そういう高価な機器はどのレベルの拠点病院に設置するか?補助制度を設け、補助金はどのレベルの拠点病院を対象とするとか、もしくは、放射線治療のこの部分は診療報酬に入れる、入れないとか検討したらどうか?補助制度のあり方によっては、どのレベルの拠点病院に配置できるかが決まる。また、人の問題も、放射線物理士とかは、昔、静岡のがんセンターをつくるころも実際はほとんどいなかった。それで、いるところから引っ張ってくるような感じもありました。計画的な養成が必要です。

○北島座長 どうぞ。

○東参考人 集約化と均てん化というお話でございましたけれども、甲状腺がんは少ないがんですので、どうしても放射線治療全体の中では非常にマイナーな分野ですので、少し見過ごされるところが多いかと思うのですが、内分泌がんの中では最多のがんですし、実際に患者さんの必要とされる方の半数程度しか治療できていないということですので、まずは集約化の前に均てん化をぜひお願いしたい。

 私の論文にも書きましたけれども、地域がん診療連携拠点病院でがんセンターを標榜されておられる病院の中でもこのRI治療病室をお持ちでないところが日本にはたくさんございますので、指定要件の一つにRI治療病室を有することのようなものをぜひ追加していただきまして、数年以内とかは言いませんけれども、ある程度の時限を切っていただいて指定要件としてつけていただければありがたいと、非常に強く考えております。

 それから、先ほども申し上げましたけれども、RI治療はどんどん広がっていきつつありまして、いろいろながん種に広がりつつあると思いますので、先ほど申し上げましたようなドイツ型のような病床数の多い、非常に高度なRI治療施設が拠点化して、数個でいいのかもしれませんけれども、国内に複数を置きまして、そこでは甲状腺がんだけでなくいろいろなものをするという形でいければいいのではないかと、私は個人的に考えております。

○北島座長 RI内用療法の施設を持っているのは、都道府県のがん拠点病院では何パーセントぐらいになるのですか。

○東参考人 パーセンテージはちょっとわからないのですが、全国の15のがんセンターのうち、RI治療病室を持たないセンターは10、持っているのが5です。

○北島座長 ちょっと少ないですね。

○東参考人 よろしくお願いいたします。

○西村構成員 東先生に質問してよろしいでしょうか。

 このドイツでRI治療病室と緊急被ばく医療がプラスになって数がふえたと、この意味がちょっとよく理解できないのだけれども、緊急被ばくのときに部屋がその患者さんの治療に使えるという意味ですか。

○東参考人 それにも使える形のユーティリティーを持った施設として設計されている。

○西村構成員 要するに、内部被ばくした患者さんをこの部屋で治療すると。

○東参考人 そのようなことも考えて施設として設計されていると。もともとチェルノブイリでドイツは国土が汚染されましたので、90年代に非常にこの整備がなされたところが大きいと聞いております。

○北島座長 森先生、どうぞ。

○森構成員 話があっち行ったりこっち行ったりで申しわけないのですが、先ほど天野先生がおっしゃった、例えば、沖縄の人口5万人というところで、放射線治療医はざっくり人口当たりで考えると、必要度というか、人口どれぐらいに1人という割合になるのですか。

○手島参考人 20万人にリニアック1台、それに医者がつくことになりますでしょうか。

○北島座長 人口20万にリニアック1台ですか。それに放射線の専門医。

○手島参考人 多くは非常勤でサポートされている場合でありますけれども。

○森構成員 そうすると、例えば、5万人の島だったらなかなか難しいということになるのですね。

○北島座長 どうぞ。

○鶴田構成員 先ほどの資料4の4枚目にリニアックとか、都道府県がん拠点、地域がん拠点、がん拠点以外とありますけれども、どの部分にリニアックを設置し、どの部分に粒子線を設置する必要があるかのマルペケ表をつくって、その医療圏ごとに、これは必要あるもの、ないものを決め、それで必要があるところには補助金制度を作って補助する。全ての二次医療圏に全ての記載された放射線機器を設置することは無理だと思うし、必要性もないと思います。

 だから、放射線機器によっては近接の医療圏と合わせて設置してもよいとか、先ほどの人口で見るて設置する基準を作成するとか、そういう提案があってもいいのかなという気がしました。

○手島参考人 粒子線に関しては、我々の粒子線治療委員会というものがあって、そこが検討しておりまして、我々は今の先生の御質問に対してしかるべき回答は持ち合わせていないのですけれども、それぞれの地域のニーズ等に合わせて今まで粒子線治療施設が立ち上がってきた経緯がございます。いろいろな研究機関のそばにいるとか。非常に高度な加速器を用いますので、研究機関がそばにいないとサポートができない。そういういろいろな事情がまずはありまして、ですから、患者さんのニーズからということに必ずしも立脚していない場合もございました。

 ですが、今後は厚労省の御指導もありまして、全数調査とそこのデータを細かく検証していく体制になりつつあります。

○北島座長 学会として、先ほど、IMRTがあっても、いわゆる技師さんが不足している、物理士さんが不足しているということで、たしかIMRTは入院してからいろいろと事前の準備で2週間ぐらい治療までにかかるということですね。ですから、そういうデータが迅速な対応するにしても必要なのです。何人ぐらい、どういう人口、どのくらいでどういうものが必要か。先ほど人口20万で1台ということであったので、そういうものを学会で情報提供しなければ、対応策は立たないと思うのです。

 ですから、その辺は理事長、よろしくお願いします。

○西村構成員 はい。

○北島座長 森委員、どうぞ。

○森構成員 先ほどの離島の話にこだわって恐縮なのですけれども、要するに、僻地とか離島の人は、そういう治療を受けるためには、船で行ったり飛行機で行ったりしての交通費、宿泊費も含めて、非常にハンディがあると思うのです。

 その辺は、もちろん均てん化ということと、先進的な部分では本当の先端的な病院でいろいろと検討していかないといけないのですけれども、僻地とか離島というところの医療、そこの人たちの医療をどうするかというのも何か考えないと、私たちは、北川先生なども含めて、外科学会でも、離島で手術をどのようにしていけばいいかということは大きい問題で、1つは、最低限のドクターは確保して、それにプラスしてテレサージェリーを加えるとか、そういうことを真剣に議論していかないと、ますます過疎地は過疎化するし、離島から人がいなくなるという現状が加速するのではないかと思うので、これはこの会の趣旨ではないかもしれませんけれども、ぜひこれを踏まえて国も学会も一緒にそういうところを検討していただければと思います。

○北島座長 どうぞ。

○三好構成員 今、離島の話が出たので。

 私は鹿児島県でして、鹿児島県は離島面積が第1位なのです。先ほどから出ている放射線施設がない離島が11あります。

 この患者さんたちは、まさに旅費、宿泊費を使って、本島と言うのですけれども、そちらに行って皆さんは治療をしています。

 先ほど天野構成員からお話があった、沖縄の宮古島の前里さんという患者会の方がおられますが、その方がとある講演会で言っていらっしゃったのは、離島に住んでいることは変えられないけれども、離島のハンディは変えられるというのをいつも言っておられます。どこでこのお話をしても、医療全般のことだと言ってなかなか進まない分野です。ぜひがんの分野からこのことを一生懸命やっていただけるとうれしいなと思います。

○北島座長 ありがとうございました。

 よろしいですか。

 それでは、ほぼ意見も出尽くしたと思いますが、ある程度、放射線治療の今後の進む道といいますか、方向性が大分わかってきたのではないかと思います。離島問題も含めてです。

 そういう意味で、これから厚労省の方々が、将来の方向、治療方針とか、そういうものを指針として出すときに、きょうの意見を参考にしていただいて、ぜひ良い指針を出していただければと思います。

 また、放射線の学会におきましても、データ情報は非常に大事なので、人口当たりどのくらいの機器が必要なのか、あるいは、その機器を導入することによって治療成果が得られているかとか、そこにサポートするチーム医療の物理士さんとか放射線技師さんがどの程度いればこの機械の機能が十分に得られるのかとか、その周辺のデータをぜひこれから出していただきたいと思います。

 皆さん、貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございました。

 時間がまいりましたので、司会の不手際で10分ぐらい過ぎてしまいましたが、検討会を終了したいと思います。

 最後に、事務局から今後の方向あるいは連絡事項がありましたら、お願いします。

○事務局 ありがとうございました。

 次回の検討会に関しましては事務局より追って御連絡いたしますので、日程の御調整のほどよろしくお願いいたします。

 以上です。

○北島座長 よろしいですか。

 それでは、構成員の皆様、本当に長時間にわたっていろいろと貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございました。

 本日の検討会はこれで終了させていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。


(了)

健康局がん・疾病対策課

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