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2016年5月13日 第10回 「民泊サービス」のあり方に関する検討会 議事録

医薬・生活衛生局 生活衛生・食品安全部 生活衛生課

○日時

平成28年5月13日(金)13:00~15:00


○場所

全日通霞が関ビル 大会議室A


○議題

1.民泊サービスの制度設計について
2. その他

○議事

【事務局(郷)】  定刻になりましたので、ただいまから第10回「民泊サービス」のあり方に関する検討会を開催させていただきます。

 構成員の先生方におかれましては、大変お忙しいところ、当検討会にお集まりいただき、誠にありがとうございます。

 議事に入るまでの間は、観光庁観光産業課の郷が進行を務めさせていただきます。

 それでは、お手元の資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表に続きまして、資料が1から3まで、議事次第に記載のとおり配付させていただいております。不足等ございましたら事務局までお知らせください。よろしいでしょうか。

 また、本日の構成員、オブザーバー、関連する省庁からのご出席につきましては、配付の座席表のとおりでございます。

 本日は、吉川萬里子構成員が御欠席です。また、梅沢構成員は御欠席のため、相模原市健康福祉局保健所生活衛生課長の萩原尚志様が代理で御出席いただいております。中島構成員が御欠席のため、神奈川県保健福祉局生活衛生部長の梶木富美恵様が代理で御出席いただいております。また、森川構成員が御欠席のため、一般社団法人不動産協会事務局長代理の渡辺成樹様が代理で御出席いただいております。また、今井構成員に関しては、遅れましての出席となります。

 冒頭カメラ撮りはここまでとさせていただきますので、カメラの方は御退出いただきますようお願いいたします。

 なお、今月から政府全体として、地球温暖化防止等のため、クールビズ期間が始まっており、軽装励行を実施しておりますので、各構成員の皆様におかれましても御理解をいただきますようお願いいたします。

 また、構成員の皆様におかれて、本日御発言いただく際は、お手元のマイクのスイッチを入れていただき、御発言が済みましたら、スイッチを切っていただきますようお願いいたします。

 それでは以降の議事進行につきましては、座長の浅見先生にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【浅見座長】  どうぞよろしくお願いいたします。本日、第10回の検討会では、「民泊サービスの制度設計について」ということで、前回の議論を踏まえまして、より詳細な資料を事務局に作成いただいております。

 まずは事務局から、資料1について御説明をいただきます。そしてその後、意見交換を行うことにしたいと思います。本日も活発な御議論をお願いいたします。

 それでは、事務局で準備いただきました資料の説明をお願いいたします。

【長田課長】  それでは、資料1「民泊サービスの制度設計について」という資料を御覧いただければと思います。先ほど座長からもお話がございましたけれども、前回、制度設計の基本的な方向的なものをお示しさせていただきまして、大筋としては御了解をいただいたものと受け止めております。それを踏まえまして、本日は、これまで既に9回の会を重ねていただいて、さまざま御意見を頂戴しておりますので、そういったことを一定整理いたしました、いわば制度設計の骨子案的なものとして、資料1を用意させていただいております。

 表紙をおめくりいただきまして、まず1ページ目でございます。この1ページ目の資料につきましては、前回の検討会でお示しをした資料の内容と同一のものでございますけれども、若干おさらいをさせていただきますと、まず1番目の箱の部分でございますけれども、民泊に対するニーズに対応していくために、家主居住のみならず家主不在の物件もこの制度設計の中に取り込んでいくということが、1つ目のポイントでございます。

 それから2つ目のポイントが、これまでも当検討会で相当御議論を重ねていただきました安全性の確保でございますとか近隣住民のトラブル防止でございますとか、民泊をめぐって懸念される課題に適切に対応していく、そういった枠組みをつくっていくという観点から、まずは民泊の提供者については、そういったことに関して必要となる適正な管理を行い、また、一般的な衛生水準は確保していただくといった義務を果たしていただくこと。

 その際、特に家主不在の場合には誰が管理をするのかという課題が指摘をされたわけでございますが、その点については、きちんとそういったことに対応できる管理者に委託をしていただくことによって、その委託者を通じた適正な管理を確保していくことを前提とするということ。

 そして、この民泊におけるもう1つの重要なプレーヤーとして、仲介事業者がいるわけですけれども、この仲介事業者に対しても一定の責務を課すことによって、民泊の適正な実施を確保していくということでございます。

 そういったことなども通じまして、今は残念ながら、民泊を誰がどこでやっているのかということが正確に把握できていないという状況下にあるわけですけれども、行政がしっかりと把握できる仕組みを作っていくことによって匿名性も排除をしていこうということが、2点目でございます。

 それから3点目が、既存の旅館・ホテルとの線引き、競争条件の確保でございまして、今、議論をいただいております新たな民泊について、既存の旅館・ホテルと異なる制度体系としていくということであれば、異ならせることについての合理性のある「一定の要件」、線引きというものが、当然に必要であろうということでございます。

 この「一定の要件」につきましては、後ほどまた御議論をいただければと思っておりますけれども、逆に言えば、この「一定の要件」で何らかの線が引かれた場合には、そのラインを越える営業行為については、これは新たな規制の枠組みの対象外であり、すなわち従来どおり旅館業法の適用を受けるということで、そういった枠組みの中で事業をされたい場合には、きちんと旅館業法の許可を取っていただくことが筋になるかと思っております。

 また、既に議論をいただいた宿泊拒否制限規定のあり方なども含めまして、民泊についての規制をどうするかということとあわせまして、それとの兼ね合いで、既存の旅館・ホテルも含めた規制の見直しということも考えていく必要があるのではないかということでございます。

 1ページ目が、前回のお示しした内容のおさらいでございます。この基本的な枠組みを踏まえまして、もう少し詳細に整理をしたものが、2ページから4ページまでの内容になっております。

 基本的な考え方といたしまして、制度の目的として、民泊の健全な普及、多様化する宿泊ニーズや宿泊需給への対応、空き家の有効活用等を掲げておりますけれども、制度の対象とする民泊といたしましては、既存の住宅を活用した宿泊の提供と位置付け、先ほど申し上げました「一定の要件」の範囲の中で、有償かつ反復継続するものということでございます。

 ※で書いたことは、先ほどと繰り返しになりますので、省略させていただきます。

 そして制度枠組みの基本的な考え方として、家主居住型と不在型に区別をした上で、主たるプレーヤーである住宅提供者、そして先ほど申し上げました、不在型の場合に管理者をしっかりとかませていただくということでございますが、それと仲介事業者に対する適切な規制を課すことによって、懸念される課題にしっかり対応しながら、かつ、行政が住宅を提供して実施する民泊を把握できる仕組みを構築ということでございます。

 これをもう少し絵的にわかりやすくしたものが、下のスキーム図と書いてあるものでございます。

 まず住宅提供者というところが中ほどにありますが、住宅提供者については、パターンとして、家主居住型・不在型に分かれるわけでございます。家主居住型については、もちろん住宅提供者本人が、管理をしっかりやっていただく。そして家主不在型については、住宅提供者から管理を委託された管理者が、適切な管理を行っていただくということ。

 そして、住宅提供者については、行政庁に対して届出をしていただき、管理者については、行政庁に対して管理者としての登録をしていただいてはどうかということでございます。これによって、誰がどこで民泊をやっているのかということについて、行政が把握可能な仕組みを作っていこうということでございます。

 ただ、一方で、インターネットを活用した手続を基本とするということで、できる限り簡素な手続の中で民泊を実施していただけるような枠組みということを、同時に考えていく必要があるのではないかということでございます。

 そして、もう一つの重要なプレーヤーでございます仲介事業者、こちらについてもしっかりと行政庁に対して登録をいただいて、民泊にかかわる住宅提供者、管理者、仲介事業者がそれぞれに適切な義務を負っていただくことによって、健全な民泊というものを実施していただこうということでございます。

 それぞれの今申し上げました義務等について、より詳細に整理をしたものが、3ページ以下の内容ということでございます。

 まず家主居住型、ホームステイ型に対する規制の方向性といたしまして、家主居住型については、住宅提供者が基本的には住みながらその一部を利用者に貸し出すものということで、定義的に整理をさせていただいております。この提供者については、行政庁に届出を行っていただいてはどうかと。

 そして住宅提供者に何をきちんと責任を負っていただくかということを具体的に掲げておりますが、1つは利用者名簿の作成・備え付けということでございます。それから2つ目が、人が入れ替わり立ち替わるということでございますので、最低限の衛生管理措置ということは、きちんと果たしていただく必要があるだろう。それからごみ出しトラブルなどに代表されるようなことを防ぐという観点から、利用者に対する適切な注意事項というものを、きちんと説明をしていただく。それから外形的にどこで民泊が実施されているのかということがわかるように、住宅の見やすい場所に何らかの標識というものを提示していただく必要があるのではないかということでございます。

 それからその次でございますけれども、当該住戸についての法令・契約・管理規約違反の不存在の確認ということで、法令違反がないということは当然のことでございますが、これまでも議論はございました、又貸しの禁止であったりとか、管理規約で民泊が禁止されているとかいうことに反して民泊を実施することは認めるべきではございませんので、これは実施をされる方自身が、きちんとそういったことに反しないということを確認をしていただく義務を負っていただき、こういった義務を果たしていただくことを通じて安全面・衛生面を確保して、かつ、届出を行っていただくことによって匿名性も排除していくということでございます。

 当然ながら、そういった義務を課しても、ただ義務を課すだけでは、実効性が担保できませんので、法令違反がある場合には、必要な行政上の介入でありますとかサンクションというものが必要であろうということでございまして、法令違反が疑われる場合、また、感染症が発生をする場合、そういった必要と認められる場合に、行政庁がきちんと権限を発動できる。報告徴収であったりとか立入検査ができるというような権限を持たせる。そして不適正な民泊が行われたという場合には、業務停止命令をかけ、場合によっては罰則などを設けることも必要ではないかということでございます。

 それから、この※に書いているところは、これまでの議論で、今、行われている典型的な民泊というのは、インターネット上の仲介サービスを介してやりとりが行われているというものでございますけれども、住宅提供者がそういった仲介事業者を利用せずに自ら利用者を募集する場合をどのように整理をしていくのかということについては、検討が必要ではないかと考えておりまして、ここについては論点として掲げさせていただいております。

 それから、3の家主不在型に対する規制の方向性でございます。先ほども申し上げたとおり、家主不在型については、家主さんがいらっしゃらないわけですので、今、家主居住型のところで御説明をしたような管理というものを家主さん自ら通常は果たせないということでございますので、それに成りかわって管理を行える人にきちんと委託をして、適正な管理、あるいは安全面・衛生面を確保していただくということでございます。

 したがって基本的には、この3の4つ目のマルの部分ですけれども、家主居住型で説明をしたような住宅提供者が担う義務を、管理者が業務として担うということで、同じようなことが基本的に書いておりますけれども、2に加えて1つ書いておりますのが、苦情の受付というところで、家主居住型はまさに提供者と管理をする人というのが物理的にも一致をしているわけでけれども、この家主不在型の場合には、管理している方と、それからそのサービスを提供する場所というのは必ずしも一致をしていないということがございますので、どこに対して苦情を申し出ればいいかということを別途明確にしていく必要があるのかということで、苦情の受付というところを加えてございます。

 そして5つ目のマルのところですが、こちらについても同様に、必要と認められる場合の行政庁の報告徴収・立入検査といった権限でございますとか業務停止命令、そして管理者については行政庁への登録を行うこととしてはどうかという提案をさせていただいておりますので、業務停止命令に加えまして、登録取り消しといった処分についても、あわせて記載をさせていただいているところでございます。

 それから最後、4ページですけれども、仲介事業者規制の方向性でございます。最初のところでも申し上げましたとおり、仲介事業者についても行政庁に登録をしていただいてはどうかということでございます。

 そして仲介事業者に果たしていただく義務として、今、例えば旅行業法上の旅行業者については、取引の安全のために取引条件の説明義務が課されていますが、民泊についても同様に、そういった取引条件の説明義務というものを課していくと。

 そして、今後どういった展開になるかということはございますけれども、今後、民泊を扱う事業者というのは、民泊も扱えば、従来の旅館・ホテルというものを仲介・あっせんされるということも想定をされ得るところでございます。

 そうしますと、利用者、消費者の側からすると、これは旅館業法の許可を受けた旅館・ホテルなのか、新たな制度体系のもとの民泊なのかということが識別できることが必要であろうと考えるところでございまして、新たな枠組みに基づく民泊であるということを、きちんと表示する義務も負っていただく必要があるのではないかということでございます。

 そして仲介事業者につきましても、必要に応じた行政庁による報告徴収・立入検査といったこと、そして不適正な民泊を仮に仲介サイトに掲載をしていることがわかった場合には、それを仲介・あっせんをされるということは適切ではございませんので、そういった民泊のサイトからの削除命令を可能にする仕組みも必要ではないかということ。

 そして不適切なものを取り扱われている場合には、当然悪質性の程度にもよりますけれども、業務停止命令、また、こちらについても登録制ということの提案でございますので、登録取り消し、そして罰則を設けるということによって、仲介事業者に課される義務を担保していく枠組みが必要ではないかということでございます。

 さらに、これは前回の資料でも書かせていただいた内容でございますけれども、外国法人に対する取り締まりの実効性を確保するという観点から、法令違反を行った者の名称、あるいは違反行為の内容というものを公表できるという規定を設けるということも、あわせて検討が必要ではないかということでございます。

 これによって、例えば外国法人で罰則等の強制執行ができない場合であっても、違反業者であることの、いわばレッテルを広く世間に知らしめることによって、社会的制裁が可能になりますし、また、このサイトを利用されるホストの方には違反業者であるということで注意喚起をして、そういったサイトに登録はできないんだよと、してはいけないんだよということを注意喚起していくことが可能になるのではないかと考えている次第でございます。

 それから最後の点でございます。5ページでございます。最初の1ページのところで、既存の旅館・ホテルとの線引きとして、一定の何らかの要件設定が必要ではないかということで申し上げました。その点については、前回の検討会の議論の中でも、そういったことは必要であるという御意見を多くいただいたところでございます。

 そして2つ目のところでございますけれども、「一定の要件」については、これまでもさまざまな議論をいただいているところでございますが、その具体的な物差しとして何を使うのかというところに関しての、一つの事務局としての提案でございます。

 「一定の要件」については、年間営業日数による制限を設けることを基本に考えていただいてはどうかということでございます。ただ、その際に年間営業日数をどう考えるかというときには、制度の活用が図られるような実効性の確保に配慮をする必要があるのではないかという観点。

 ただ、当然、元々、既存の旅館・ホテルと異なる取り扱いとするというための合理性という観点、そういったことをあわせて、年間営業日数というものを具体的に考えていただいてはどうかということ。

 さらに、宿泊人数だとか床面積という話もこれまでの議論の中ではいただいておりますので、それを基本としながら、こういったものをどのように扱っていただくかということにつきまして、引き続き御議論をいただけたらと思っているところでございます。

 なお、前回も同じようなフォーマットで、これまでの検討会における主な意見を整理させていただいておりますが、前回の御議論を更につけ加えさせていただいているところでございます。詳しい中身については省略をさせていただきます。

 事務局からの資料1の説明については、以上でございます。

【浅見座長】  ありがとうございました。それでは意見交換に入らせていただきますけれども、川口構成員及び北原構成員から資料を提出いただいておりますので、順次御説明をお願いいたします。

 それではまず、川口構成員からお願いします。

【川口構成員】  前回欠席いたしまして、ほんとうに申しわけありません。私は熊本でして、今、応急借り上げ住宅の入居に関して、現地で中心となってやっている経緯上、今日の御意見の中にも、今の民泊と大きく関連しますから、この話も含めて、御意見述べさせていただきます。

 私どもで用意しました資料2を御覧ください。実例に見る家主不在型の賃貸マンションの民泊を利用した例の収支状況というのを作ってみました。訪日外国人旅行者が一番多く訪れる東京・浅草近郊の賃貸マンション、2LDK・65平米を賃貸し、生活に必要な家具や電気製品などを備え付け、試験的に民泊を利用した実際の収支状況ということで、以下にまとめました。

 (1)基礎情報としては、最大人員7名、平均利用4名、料金が1.5万、追加1名が3,000円、平均2.4万円ですね。平均16.7日。平均稼働率が56%。 設備はベッド、ソファー、布団、テレビ、備品など、裏面に備品一覧がございます。裏を見ていただければ、備品がずらずらっと書いております。その料金も、試算してみました。総額で36万4,395円、投資にかかるということですね。

 収入が月平均で、この算定でいくと約40万円です。民泊利用の投資額が39.4万、月額投資で36万というと、総括としては、稼働日数16.7日の場合で月額投資をした場合は、月平均3.8万の利益という考え方になります。月額3.8万の利益で初期投資を支払うと、11カ月目に完済するということですから、これが早いか遅いかというのは皆さんで御考察いただければと思いますが、年間180日と仮に限定された場合は、これは経営的観点から、ビジネスとしての参入は不可能だと私は考えております。ですから、結局この委員会では、いろいろ検討をやっているわけですけれども、できる制度ということをぜひお願いしたいということです。

 ちなみに、少し脱線しますけれども、今回の熊本の地震で、宅建全日さんで約260室、当会で今、2,300室、被災者から民間賃貸住宅への申込みを受けています。もともと国と自治体は1,500室程度必要と公表していましたが、私はとてもじゃないけれども足らないと最初からわかっていました。なぜ足らないかというと、一時非難がいるわけですね。一時避難の人たちは、もしも民泊の制度が確率し、普及していればそこに避難することができたと思います。僕の予想では、あと3,000は足らないです。今、1,330室用意しています。今回、国交省の方には相当応援していただきました。私も国交省、熊本県、熊本市と十数回、打ち合わせをやりました。ほとんど十日間ぐらい、会社泊まり込みでやりましたし、自治体の方にも相当支援していただきましたけれども、まだ入居できていない方も多数いると。そうすると、一時避難の方は、僕は民泊で対応できたんじゃないかなという気もするわけですね。制度設計が一日も早くなされることを期待して、コメントを終わります。

 以上です。

【浅見座長】  ありがとうございます。それでは北原構成員、お願いします。

【北原構成員】  それでは旅館業界から、意見書として出させていただきます。

 5項目に分けてここに書いておりますとおり、民泊の対象は既存の住宅を活用して行う民泊に限定し、新築したマンションを民泊に転用することは認められないことを明確にする必要がある。これはこのとおりでございます。

 それから、新たな規制の枠組みの対象となる民泊と、既存の旅館・ホテル業を線引きする「一定の要件」については、年間営業日数に上限を設けること。30日を基本に、1日当たりの宿泊人員についても上限を設けるべきであり、年間営業日数については、ビジネスとしての採算性を主張されるのであれば、簡易宿所の営業許可を取得して、ビジネスとして行うべきである。

 ここに書いておりますのが、今、川口さんがおっしゃったところと対立する考え方ではございますが、元々この民泊という話を内閣府が新しいビジネスモデルとして経済の活性化の中に取り入れようとされた動機としては、CtoCのビジネスを新しいビジネススタイルとして、シェアリングエコノミーの名のもとに、ホームシェア、住宅をシェアしていこう、遊休不動産を活用していこうというのが発想でありまして、その中には、あくまで勤労給与所得のサラリーマンの方でもささやかな副収入を得るために、こういった個人の住宅等を活用すること、これがシェアリングエコノミーのベースとしてあったのが、今、川口さんがおっしゃる、ビジネスとして180日以上やらないとペイしないという話になりますと、これはもうビジネスの世界ですから、年間おやりになりたいのなら戦略特区でおやりになるとか、あるいは簡易宿所の営業許可を取ってやられるのが、既存の我々業界とイコールフッティングの立場でやる上では当たり前のことではないかと考えておるわけでございます。

 営業日数が何日が適当なのかと。業でないという範囲は何日なのかという議論は、実際、この30日とかほかの180日とかを、どうやって事業者がきちっと守ってやっているかを検証できるのかということがきちっと明記されなければ、前へ進まないです。これ、たとえ180日がいい、30日がいい、どっちがいいんだというときに、実際、事業者の方がそれをきちっと報告をして、行政が管理できるのかどうか、こういった点を明確にした上での議論が必要ではないかと思います。

 その上で、資料として以前に提出をしておりますけれども、アムステルダムでは、市当局がAirbnb社に対して、宿泊税の徴収のためではありますけれども、宿泊税の徴収のため、プラットフォーマーを代行徴収者として、その情報、データラボを全部アムステルダム市のコンピューターとつなぐということに同意をさせたと。そのソフトの開発にアムステルダム市が1億2,000万の費用をかけたという、そういうことによって、確実に住宅提供者であるホストが何日営業したか、幾ら売り上げたか、そういったものが自動的に行政当局に捕捉できると。こういうことが担保されるのでなければ、営業日数の議論というのはなかなか難しいのではないかと考えております。

 3番には、「一定の要件」が守られていることが確認できるよう、家主、管理者や仲介事業者に対しては、行政の求めに応じた情報提供義務を課すべきと考える。その点については、縷々今回、厚労省の長田さんが、今、説明されたとおりでございます。

 それからホームステイタイプの民泊については、不正がチェックできるよう、登録を受けた仲介事業者を利用することを要件とすべき。このことも、今、このペーパーの中に書いてございます。

 ただ、住宅提供者は行政庁に届出になっていますが、住宅提供者も、こういう管理者と呼ばれる不動産の関係の方や、そういった管理者に管理を委託しないで、自分でやるという方も当然あるわけですから、そういった人たちが、ただ単に届出だけでは、これは手落ちがあるのではないかと。あくまでこの方々も登録をしてほしいと。今、ネットでも個人事業主の登録は受け付けておりますから、きちっと個人事業主として登録をしていただいて、確定申告の対象者として、年間どれだけ売り上げました、何日営業しましたということが捕捉できるような形を、ぜひ検討をしていただきたいと思います。

 それから既存の旅館・ホテルも含めた規制の見直しに関しては、旅館・ホテルと共同住宅との間に、建築基準法や消防法における取り扱いが非常に大きな差がございますので、その辺のところは均衡のとれたものとすべきと考えて欲しいということを書いております。

 このことの一番の肝は、今、インバウンドが急激に増えて、宿泊施設が足りないから民間の住宅も活用しようという発想ですけれども、それを政府がおっしゃるのなら、まずは、前回、某新聞で発表されましたが、容積率の緩和であるとか、旅館・ホテルに対しての事業促進のための固定資産税の減免の措置であるとか、そういった意味での支援策があれば、オリンピックまでに旅館・ホテルが幾らでもできることは間違いありません。

 東京都内の一等地で最高1,300%まで建つのが、これを少しでも増やしていただいたら、100室しか今まで建たなかった敷地の上に150室建てられるとなったら、これはビジネスとして相当魅力のあるビジネスになるわけですから、オリンピックのときにはおそらく供給過多になるのではないかと。だからそういう方向での建築基準法等の緩和というものこそが、宿泊施設の不足解消には有効であると考えます。

 それと最後に、実はこの5月に、京都市が半年かけて民泊の実態調査を行いまして、その政策官の方から、ぜひ今日、皆さんにお伝えいただきたいということでありますが、結局、実際2,700軒ほどある施設、持ち主が全部がなかなか判明しない。数少ないスタッフ、約10名程で半年かけて回っても、なかなか持ち主が特定できない。それと所在地すらなかなかわからない。近所の住宅の方に一生懸命聞き取り調査をして、やっとわかって、営業許可は取れますかということを郵送で送っても返事が返ってこない。営業許可が必要であることを御存じでしたかということを地道にやっていって、いろいろな資料を今回、資料として京都市の5月に出した報告を出しておきますが、現場の行政の方々の気持ちとしては、実態調査が国レベルで行われていないということの中で、現実にどういう近隣住民からのクレームがあったり、事業をされている方がどういう方々なのかという実態をもう少し調査をした上で、民泊のルールをつくる会議の中で、そういう議論をぜひして欲しいということを要望されておりました。

 ですから、例えばプラットフォーマーに対しても、許可を取得していない施設の掲載の削除でありますとか、掲載して所在地等の情報提供すらAirbnb社は拒んでいると、こういったことは大きな障害になっているということでありますし、京都市に276件も去年1年間で近隣からのクレームが発生して、営業許可を取りなさいと指導した結果、わずか13軒だけが営業許可を取得されたと。あとはまだ検討中ということで、なかなか指導に応じてくれないという実態がございますので、この市議会においても、某市会議員の方が、これは民泊110番というものを国単位でつくって、実態がどうなっているのかを速やかにやらないと、いつまでたっても、こういった確信犯的に不法に営業されている方々が、新しいルールができたとしても、それを守られるのかどうかが担保できない。

 ある市会議員の講演会の席で、ある中年の女性の方が、こういったことをやっている人達って、いいかげんな人が多いのよねと。こういったことをやっている人達というのは、我々既存のホテル業界の旅館やホテルを営業している人も含めて、旅館をやっている人はという言い方をされたということを僕は聞きまして、我々は一生懸命旅館業法を守って30年40年やってきましたけれども、そうでない人たちと十把一絡げにされて、社会的地位がいつまでたっても我々の業界の向上しないということに大変なショックを受けまして、速やかにこういったことを安全・安心が担保できるような制度、ルールを早く作っていただいて、それまでの間、幾ら早く作るといっても、まだ時間はかかるわけですから、こういった不法民泊が一体どれだけ増えていくのかということを、ぜひ実態調査を、せめて東京、大阪等の大都市でもやっていただけるように、御検討をいただきたいと。

 以上でございます。

【浅見座長】  ありがとうございました。それでは意見交換を行わせていただきます。具体的な制度のあり方につながる意見交換ができればと思いますので、よろしくお願いいたします。

【萩原代理人】  済みません、相模原市ですけれども、今の御意見がありましたので、旅館業法を所管する保健所としまして、全国の政令市に意見の照会をしましたので、それをここで述べさせていただきたいと思います。

 多かった意見としましては、「一定の要件」について、統一的な基準を設定していただきたい。それから、相当数存在すると考えられる既存の民泊サービス施設について確実な把握ができないのが実情であることから、仲介事業者への規制を検討していただきたい。それから、宿泊者名簿を含めた最低限の衛生管理措置の規定をしていただきたいなどの意見が寄せられました。

 また、他法令、建築基準法ですとか消防法の違反を理由に旅館業の営業の不許可処分をすることというのは法規上困難であるために、他法令の適合が確認できない場合には旅館業法上の不許可処分等の判断が可能となるような法体系の整備の要望がありました。それと、民泊サービスの適正な実施を確保するためには、まず施設の把握ができる仕組みづくりが非常に重要であると考えているというところです。

 なお、各自治体におきましては、施設の把握のみならず、円滑な許認可や施設に対する立入調査及び行政指導などで非常に苦労していることは認識していただきたいという御意見がありましたので、よろしくお願いいたします。

【浅見座長】  ありがとうございます。それでは、御意見等をお願いします。

 どうぞ。

【今井構成員】  先ほどの北原構成員からの御意見とかぶるところもあるのですが、資料の1の3ページ、4ページのところで質問を、あるいは確認になるかと思いますが、教えていただければと思います。

 3ページのところで、ホームステイ型の場合には、そういう住宅提供しようとする方が行政庁へ届出をするということになっており、3番、4番の方では登録ということになっています。おそらく御趣旨は、3番、4番の方は、業として行う事業者という形が明確な方なので登録ということになろうかと思うんですけれども、2番のホームステイ型の方も、ここで念頭に置かれている反復継続した営利を目的としてという要件を満たしてくることになると思いますので、そうなりますと届出ではなく、あわせて登録なのではないかなという疑問があります。あるいは実態として届出と登録がそれほど違うことがなく、届出とすることで敷居が下がるという御趣旨であれば、それはそれで構わないんですが、そのあたりの仕分けの趣旨を教えていただければと思います。

【浅見座長】  いかがでしょうか。

【長田課長】  まず、今井構成員から御指摘のありました届出、登録ということに関しましては、基本的には家主居住型の場合には、個人の方を対象としているという部分もございますので、できる限り入口の手続としては簡素であることが適当ではないかということで、届け出という提案をさせていただいております。

 そして管理者あるいは仲介事業者については、よりそれを事業として負うという性格が強いので、もう少し規制手法としては強めの登録という形で、ひどい場合には登録取り消しができるような整理として提案させていただいております。

 なお、先ほどの北原構成員からの御意見にも関連をいたしますけれども、家主不在型について、例えば不動産業者であったりとか旅館業者であったりとか、そういった第三者ではなく、自ら管理を何らかの形ではできるんだというケースというのもあり得るとは思うんですけれども、先ほど説明を省略させていただきましたけれども、3ページの1番の下の※に書いておりますけれども、自身が管理を手がけるんだという場合には、単に届け出ではなくて、管理者としての登録を当然やっていただく必要があるのではないかなということで、「住宅提供者が自ら管理者としての登録を受ければ、自宅で家主不在型の民泊を提供することも可能」ということを書かせていただいております。

【今井構成員】  わかりました。大体想像の範囲のお答え、大変ありがとうございました。ただ、管理者としての登録ということであれば、これは個人の方もどちらかを選択して使えるということですよね。

 それが1点と、それからここでの会議のテーマを超えるかもしれないのですが、先ほど北原構成員からアムステルダムの事例の改めて御紹介がありまして、徴税逃れについてどうするかという話も実は大変大事です。今日もロンドンではその手のサミットが行われているんですけれども、御存じのパナマ文書が出て以来、実際の実態的な経営主体は誰なのかということをもっとあぶり出そうという方向に大変シフトしていまして、もしかするとこの手の問題にも議論が及んでくるかもしれないということは踏まえて検討を重ねた方がいいのかなという感想を持っております。

【浅見座長】  ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ。

【廣岡構成員】  今の登録の件についてですけれども、特に仲介事業者の登録というのは旅行業とは違うものであると前回お答えいただきましたが、この仲介事業者というのは、ここで言う旅館業の宿泊施設と、それから新しい意味での民泊とを、両方扱っている場合が多いと思います。

 その場合は、旅行業の登録と、この登録を両方しなければならないと理解しているんですが、それでいいかというのが1点と、そうなった場合、今の大手のこういう仲介サイトというのは、海外を拠点にしているというところが多くありますので、この場合、登録する際に、多分参考となるのは旅行業法の登録の仕方だと思うんですけれども、これは前回も旅行業法を前提として質問したんですが、どういう形で登録するのかと。旅行業の登録は観光庁にするということになっておりますけれども、海外にいる人は、海外を住所としてする場合、現実的には日本の官庁に登録するのかという点ですね。

 登録の場合、多分これも旅行業法の規定がある程度引っ張られてくると想像しているんですけれども、登録の拒否要件というのが出てくると思いますが、旅行業法の6条の規定を多少いじりながら拒否要件つくられると思いますけれども、あの部分は日本に在する者を前提としたような文面になっておって、それが海外の事業者がそのまま適用できるのかという疑念があります。

 ここからは質問というよりも感想ですが、先ほど北原会長が言われたように、今、民泊されているというのは、実質的に現行法違反であるということをわざとやっている人が多いわけで、特に海外で、仲介サイトにこういう規定をつくったからといって、守ってくれるのかと。名前を公表されたところでも、民泊やっているところも、現時点でもそういう法律を守らなければならないというか、意識が低いように思うので、名前を公表されたぐらいでは制裁の効果があるのかという感を受けました。

 最後のは感想ですけれども、最初の辺が質問として捉えていただければと思います。

【西海課長】  今の廣岡先生からの御質問で、まず最初の御質問が、旅館業法の許可を得た宿泊と、今日御説明する民泊、両方扱う場合は両方登録要るかということですけれども、まず結論を言うと両方要ると思うんですが、今後の制度設計として、多分旅行業法の登録の方が要件が厳しいのだろうと思われますので、みなすことはできるのではないかというのが、一つ今後の制度設計の議論としてあり得るかと。したがって、2回やるのではなくて、既存の旅行業法の登録を受けたのであれば、それでみなすことができるということがあるのかなとは思います。

 あと、次の御質問が、海外に拠点を置く大手の仲介という重要な御質問です。旅行業法は、おっしゃいますように、日本在住を前提にした法律になっています。ちなみに今、日本の法律で、海外に拠点を置いて登録しているという法律は、広く見渡してもあまりないんですが、私の知っている限りでは、改正前の金融商品取引法では、日本に事務所を置きなさいとしていましたので、そういう部分については、必ずしも旅行業法だけではなくて、ほかの法律も参考にしていこうかと思っています。

 特に、まだ発効していませんが、今後、TPPが仮に発効した場合に、サーバーとか事務所を日本に置けなくなるということが生じた場合には、そういった海外に拠点があったとしても登録していただく必要があるかと思います。そういうことも参考に制度設計を考えていこうかなということでございますが、今日はまだ資料では、そこまで詰めてきていないので、書いてございません。

 最後、御意見というか、感想といただいた点でございます。名前の公表につきましては、一つは、まず消費者を保護するという観点から、違法な場合は注意してくださいと、消費者保護のことをまず優先的に考えています。

 サンクションという制裁効果としてはどうなのかということにつきましては、これはまだ今日の資料には書いてございませんが、いかにしてそういう違法なものを仲介して名前を公表した人に、そういった違法な物件が提供されることを摘発するかということになりますので、これは例えばほかの業法とか、ほかの監査とか立検やっている世界でも、民間活用でいろいろなものを活用するという仕組みがございますので、これは今後の制度設計の中で、さらにサンクションがある、制裁効果、摘発効果があるということも、あわせて考えていきたいと思っております。

【廣岡構成員】  ありがとうございます。

【浅見座長】  どうぞ。

【松村構成員】  今のサンクションのところです。違法行為を行った事業者を公表するのは、公表しないよりいいと思いますから、もちろんやっていただきたい。しかし金融商品の場合には、御指摘のとおり、消費者保護が第一の目的。当事者でそのような怪しげなところと当然取引をしないだろうから、業者の方も公表されたくない強いインセンティブがある。したがって公表するのは一定の効果があることは予想されます。しかし、外部不経済の問題が放置されているようなタイプの違法行為に対して、どれだけ効果的かは若干疑問です。

 もちろん違法行為をする事業者が出てこないのが理想に決まっているわけですが、仮に出てきたときに、一つのやり方としては、今回規制が緩和されていろいろなことができるようになったことに対して、違法であると公表された事業者に登録し続けるホストは、その特権を失う。昔のように旅館業法に基づく許可を取ることを義務付けるという考え方もあり得ると思います。

 最初からそういう制度にしておくのか、万が一こういう違法な事業者がほんとうに出てきたときに直ちに対応すると整理するかは選択の余地があると思いますが、この発想を検討する余地はあると思います。

 以上です。

【浅見座長】  ありがとうございます。

 どうぞ。

【川口構成員】  資料の3ページですが、家主不在型ですけれども、さっき何人かお話があったように、私も登録とかは賛成ですが、おそらく全国の賃貸物件の管理で、有料管理を前提として管理業者が入っているのって、5割に満たないと私は認識しています。ということは、家主の自主管理が、まだかなりあると。

 こういったものがここに参入してくるとなると、家主がきちっと自ら登録するという制度設計が必要ですし、もう一つ問題があるのが、例えば私が管理している物件に、オーナーの同意も得ずに、第三者が、そこに全く違うサイトからお客を入れた場合、そのクレームはどこに行くかということですね。当然そこを管理している業者に行っちゃうわけですね。ここを論点整理しておく必要があると思います。

 もう1点。サブリースというものがあります。要するに一括で借り上げて転貸できると。僕はこれにも規制をかけるべきだと思います。なぜかというと、サブリースしているから何でもいいという論法は、家主の立場からするとすごく僕は乱暴だと思います。サブリース業者は、転貸で民泊で使おうと。要は家賃が出ればいいんだろうという発想はすごく危険で、家主が同意なきものは、僕はだめだということが一つ必要かなと思います。

 それとこれは一つ質問ですけれども、4月から簡宿でオーケーになったと理解していますけれども、現に簡宿で民泊に参入した数はどれぐらいでしょうか。そこをお聞きしたい。

【長田課長】  幾つかの事例はあるということは、個別の自治体からは聞き取りの中では把握はしておりますけれども、ただ、それは網羅的なものではありません。当然政策効果というものはきちんと検証しなければいけませんので、しかるべきタイミングで、きちんとした把握は必要だとは考えております。

【川口構成員】  おそらく自治体の条例がクリアできないというケースが僕は多いと見ています。私の友人も、3カ所を申請しましたら全部却下されました。以上です。

【浅見座長】  よろしいですか。

【長田課長】  今の点に関しましては、当検討会でも既に問題提起をいただいた部分でございます。検討会でも御紹介をいたしましたけれども、まず3月末に、今回の簡易宿所の政令改正とあわせて、玄関帳場の通知改正をした際に、条例の弾力運用でございますとか条例改正ということについて積極的に御検討いただきたいということを通知で盛り込んでおりますが、ただ、それを通知で文章を流すだけではございませんで、4月の下旬に、各都道府県、それから保健所設置市、特別区の担当者に集まっていただきまして、政令改正の趣旨等を御説明し、改めて直接、条例改正あるいは弾力運用のお願いもしたところでございます。

【浅見座長】  どうぞ。

【高橋構成員】  何点か質問、あるいは確認をさせていただきたいと思いますが、まず1点目が、住宅提供者という言葉の定義ですけれども、一義的には所有者だとは思いますが、ただ、いろいろな形態があるわけで、それによって、先ほどから議論が出ていますが、届出なのか登録なのかということにも影響してくると思いますので、この住宅提供者というものについての定義、あるいはその中で、所有者、あるいは賃借人、あるいはサブリースなんかも含めて、どのように定義されているのかということが1点目の質問でございます。

 それから2点目が、届出あるいは登録先として、行政庁という言葉が出てきますが、これは具体的にどういった官庁あるいは役所を想定しておられるのか。今回のことというのは、都市計画とか消防、防災、観光、保健衛生、いろいろな分野にかかわると思いますので、例えば地方公共団体が一元的に管理するとかということが必要なのかなとも思うんですが、その点、行政庁という言葉について、どのように具体的にお考えなのかということをお聞きしたい。これが2点目です。

 それから3点目が、家主不在型における管理者ですけれども、先ほどもいろいろお話が出ていますが、例えば個人が適当に任意団体をつくって管理者になれるのか、その辺の登録要件をどう考えたらいいのかと。かなり自由に考えていいのかどうかというところが3点目でございます。

 それからもう1点、私、聞き逃したのかもしれませんが、資料1の3ページの、先ほども出た2ポツの最後の※のところですけれども、ここについて引き続き検討ということですが、具体的に何が課題で引き続き検討案件になっているのかという、そこの確認をさせていただきたいと思います。

 それから「一定の要件」のところについては、結構議論のあるところだと思うので、ここは別途申し上げたいと思いますが、その前に北原構成員の資料3で一つ二つ質問させていただきたいと思いますが、1点目は、最初の1の既存の住宅ということですが、これは、今建っているものであれば、将来的に例えばそれが空き家になるとか、あるいは新たにマーケットに出てくるということは構わないということで理解していいのか。質問の趣旨は、今、空き家がたくさんありますけれども、まだこれからも空き家は相当増えていくということが予想されていますので、それは対象として考えていいんでしょうねということの確認でございます。

 それから「一定の要件」のところは飛ばさせていただいて、5番目のところですけれども、先ほど旅館業についての規制なり基準というところで、容積率の緩和、あるいは固定資産税のお話がありましたけれども、これ、最後、ビジネス上の公平性のことを考えるときに、その辺のところもある程度明示的に議論しなくちゃいけなくなるような気もするんですけれども、そういう意味で言うと、もう少し具体的にお聞かせいただきたいと思いますが、ただ、そのときに、例えば都市部の旅館というのは、現状でもまだインバウンドの受け入れがさほど進んでいなくて、稼働率が上がっていないと理解しておりますが、それは容積率や資産税の問題ではないと思うんですけれども、その辺についてはどのようにお考えでしょうか。以上、質問でございます。

【浅見座長】  最初の4点は、お願いします。

【長田課長】  まず私の方からでございます。いずれも大変重要な御指摘をいただいたと思っております。住宅提供者の定義について、今、明確にこうということを確定的に申し上げられる段階にはございません。むしろ今後、法制化を考える際に、そこの定義をきちんとしていかないといけないだろうと思っております。

 基本的には、当然、部屋を貸すわけですから、そこについての処分権原を持っているということは大前提なんだろうと思いますけれども、例えば家主居住型の場合に、家主居住ということは、基本的にはそこに住宅としての本拠があるということでしょうから、例えば住民票をベースに考えるとか、そういったことは幾つかあると思いますけれども、その辺の詳細化ということは整理をしていく必要があるだろうと思っておりますが、今、確たる答えを持っているという段階まで煮詰まっている状況ではございません。

 それから2つ目の行政庁でございますけれども、今回の制度設計ではいろいろな要素が関わってまいりますので、当然、この制度設計の案自体も、私ども厚労省と、それから国交省、観光庁と、いろいろ議論をしながら提案をさせていただいているものでございますので、それぞれの行政上の守るべき法益というのが、多分、例えば自治体で言えば、複数の部局にまたがるんだろうと思っております。

 そういう意味では、そういった複数の部局に、例えば民泊については、登録なり届出によって行政庁に情報を集約するということを考えているわけですので、そうした情報が必要な行政の部局の間で共有されるような仕組みは、当然考えないといけないだろうと思います。

 ただし、一方で、例えば登録なり届出をする国民の側が、複数の窓口にそれを持っていかないといけないとかいったような負担を負わせるということは適当ではないだろうと思いますので、何らかの形で、国民とのインターフェースとしては一本化というか、一元化するようなことは考えていく必要があるだろうと思っています。

 例えば他法令でも、所管がまたがるんだけれども、どっちかの片方の部署に届出をすれば両方に届け出たとみなすような制度もあるようでございますので、そういったことも参考にしながら、合理性のある仕組みをつくっていく必要があるのかなと思っております。

 それから管理者の登録要件についても、これも当然しっかりと詰めていかないといけないものだと思っておりますが、そこの詳細化というところまで、まだ至ってはございません。

 それから2ポツの※の検討課題の御趣旨ということでございますけれども、一つの観点としては、北原構成員が資料3で御指摘をいただいたような、(4)のところでございますけれども、ホームステイタイプの民泊については、不正がチェックできるよう、登録を受けた仲介事業者を利用することを要件とすべきと考えるという御意見をいただいておりまして、例えばそういうような考え方が、一つの御提案としてございます。

 他方で、個人の方が仲介事業者を経由せず、自ら募集をするという場合は認められないようにするのが、果たして適当なのか、そこは柔軟に考えた方がいいんじゃないかという御意見、両論ございまして、ただ、いずれにしても、そこは論点として何らか整理をいただく必要があるのではないかということで、お示しをさせていただいたものでございます。

 何か、西海課長から。

【西海課長】  今ので大体お答えというのは尽きているかと思いますが、長田課長からも説明がございましたように、届出先についてはまだ決まっておりません。ただ、既存の法律の中でも、どこかに出せばどこかにも出したものとみなすという調整措置は例がございますので、そういうものを参考に、ワンストップでできるようにしたいとは思っています。

 それから登録につきましては、資料1の3ページの一番下にもございますように、住宅提供者自らも管理者として登録し得ることも、ここの検討課題として論点として書いてございますので、そういう意味では登録はできるものと思いますが、ただ、あとは、御質問の団体というのは、例えば権利なき社団みたいなものになってしまう場合には、通常の仕組みだと、法的には団体の中の個人1人が登録するということもあり得ますので、そこは団体、グループの性格によって、また整理させていただこうかと思っております。

 あと、今日、届出としてしか書かれてございませんが、確認して、確かに住民票とか2つあるわけではありませんので、そういうところではチェックは可能なのかなとは思ってございます。

 以上です。

【浅見座長】  それでは北原構成員に2つほど質問がありましたので、お願いします。

【北原構成員】  1番で書いております既存の住宅を活用して行う民泊はよしとしても、新築したマンションを民泊に転用するという、こういう事例が、今回、京都市の調査の中なんかでも、管理をされている事業者が京都以外のところに住んでおられるという方が二十何%ありますし、それ以外にも海外に住所がある方がやっている民泊というのが、数字にしたら2%ですけれども、55軒あるわけですね。こういった形で、特に海外や他府県の方がビジネスとしてマンションとして建築確認を取られて、それを用途変更してどんどん民泊に転用していくというものについては、網を掛けて規制をすべきではないかという趣旨のものでございます。

 それと、インバウンドが倍増した結果、京都、大阪、東京の都市部の既存の旅館・ホテルの稼働率も極めてよくなってきております。これは間違いのないことでありまして、京都なんか、もう年間一千二、三百万、コンスタントに毎年宿泊者は、そんなに増えていませんけれども、ある上に、インバウンドの方が相当増えてきましたので、稼働率は旅館においても相当高くなってきておりまして、ホテルは90%台に突入しておりますが、既存の旅館においても75%ぐらいまでは行っているのではないかと。京都においてはそうなっておりますし、大阪のビジネスホテル・旅館にいたりましては85%以上が稼働している状況ですから、ほぼほぼ都市部においては稼働率は向上していると。

 問題は、観光庁の御支援もいただいておりますが、我々既存の旅館・ホテル、特に地方にある旅館やホテルの稼働率を上げる努力を、これから、それは国の観光立国の政策の下で、ゴールデンルートから、また地方の魅力のある観光地へ移動していただく、誘導していくという、今、各県でおやりになっているDMOといった取り組みを着実に進めていくことによって、地方の稼働率もおのずと上がってくるのではないかと考えております。

 以上でございます。

【浅見座長】  高橋委員、よろしいですか。

【高橋構成員】  はい。

【浅見座長】  どうぞ。

【末永構成員】  「一定の要件」の中に日数制限を設けることに、私は反対をいたします。日数制限を設けますと事業の採算性が成り立たないということですが、空き室の多くが賃貸マンションや賃貸アパートであるということを考えますと、そもそも家主さんというのは、賃貸経営ということで事業でやっているわけですから、空き室を採算の合わない民泊に転用することが難しくなります。

 また一方で、そういう場合には簡易宿所の許可を取ればいいという御意見もあるんですが、用途地域の問題で、多くの賃貸アパート・マンションが住居専用地域に建っている現状を考えますと、空き室の多くは簡易宿所の許可の適用を受けられないということになりますと、結果的に国内の空き室を民泊で活用することができなくなると思います。ですから日数制限については反対をいたします。

 それから私は、それに代わるものとして、面積制限ですが、建物全体に占める民泊に使うスペースの割合で面積制限を考えていくというのも一つの方法ではないかと思います。全体の住宅の中の何割までを民泊に活用できるという、割合での制限がいいと思っています。

 以上でございます。

【浅見座長】  いかがでしょうか。

 どうぞ。

【三浦構成員】  一つは議論の仕方ですが、ホームステイの延長型のタイプ、届出制度を適用するというのと、家主不在型の管理者規制で登録を要件とするというものが、多分、「一定の要件」が異なると思うんですね。ですから、多分、ホームステイの延長型の方が話がまとまりやすいと思うので、そこからやっていった方がいいのではないかというのが一つです。

 それからもう一つ、意見としては、私はホームステイ延長型については完全自由化論者だったんですが、数回前に小林先生から民宿とどこが違うんだという一言を受けまして、確かにそうだなということで宗旨替えしました。そういうことで、公衆衛生の観点と、それからホームステイだと、リッチな方は別として、普通の方は、お子さんがいなくなった部屋か何かを使うということですので、この4ページ目に書いてある、1日4人ですか、この制限で十分ではないかと思いますので、この制限をつけておけば民宿とは区別できるのではないかと思うので、そういった規制でいいのではないかと思います。

 それから家主不在型についての日数制限を反対される趣旨というのはすごくよくわかるんですが、他方で旅館業法というのは、公衆衛生の問題と治安維持という問題の規制原理があるので、それをどうやってクリアするかということを言っていただかないと、ただ結論として日数制限反対と言われても、議論は進まないと思います。

 それからもう一つ、住専地域の問題も、住専地域にそもそも旅館業が認められないというのは、住居の平穏を守るための規制原理が一方であるわけで、その規制原理をどうやって日数制限もしないでクリアできるのかというのは、かなりのウルトラCが必要だと思うので、その辺のお知恵を出していただければと思います。

 以上です。

【浅見座長】  ありがとうございます。何か。

 どうぞ。

【廣岡構成員】  さっきの2つの御発言にかかわる確認ですけれども、用途地区については今日の資料1について何ら触れられていないんですが、新しい民泊は住居地域でできるという前提、用途地区のホテル・旅館でないという前提で話を進めたらいいのか、そのあたりはどうなのかと思いまして質問させていただきました。

【浅見座長】  住居専用地域の立地をどうするかという点、これは結構重要な点ですので、お願いいたします。

【香山課長】  それでは、住宅局の市街地建築課長をしております香山でございます。私から民泊と立地規制の関係について、考え方を述べさせていただきたいと思います。

 今、民泊については、この検討会の中で、非常にさまざまな観点から、あり方なりルールを御議論させていただいておりますし、この検討会での方向性が決まれば、それをもとに具体的な制度設計になっていくという理解をしております。

 そういう前提で申し上げますけれども、その際に、新たな制度における民泊の立地規制をどう考えるかということについては、結局のところ、新たな制度の中でどういうものを民泊として定義するのかということによって、結論は変わってくると考えています。

 すなわち、新しい民泊というものが、従来の住宅の用途の延長線上にあるもの、あるいは住宅と極めて似た扱い方をされ、周辺への影響も同様のものになるというものであれば、住宅に近い立地規制ということになりますし、逆に従来の旅館・ホテルに非常に近い性格を有するものということであれば、旅館・ホテルに近い立地規制を採用していくと、こういうことになろうかと思います。

 その際に、建築物としての使い方が住宅に近い、あるいは住宅の延長線上にあるという判断をする上で、これまで出てきた議論の中で2つの重要なキーワードがあると私としては考えています。一つは家主居住という問題。もう一つは日数制限という問題です。

 すなわち家主居住型と言われるものについては、家主の方が現にその住宅を使いながら生活をし、その生活の一部として、あるいはその生活と一体となって宿泊客を受け入れるというものであります。一方で日数制限を備えた民泊というものについては、基本的な性格は住宅という性格を残しながら、一時的な短期宿泊にも利用するという性格であって、住宅としての基本的な性格を失っていないものという考え方もできるであろうと思います。もちろん一時的な利用という範囲が何日なのかということは、今後の議論もあろうかと思います。

 こういった観点からすると、おそらく家主居住型あるいは日数制限を伴った民泊というものについては、ある程度住宅に類似するもの、あるいは住宅の延長線上にあるもの、さらに言えば住宅という概念の中に含まれ得るものという整理をする可能性もあるのではないかなと考えてございます。もちろん制度の具体化の細部を見ての結論ということにはなろうかと思います。

 それから先ほど、一部しか使わなければ、それは住宅なのではないかという御議論もありましたが、建築基準法というのは、基本的には建物の部分ごとに用途を判断しています。建物というのは基本的に、複数の用途が混在するというのは一般的にあります。霞が関ビルを御覧いただければわかりますけれども、事務所であり店舗であり飲食店であると。それぞれの部分ごとに用途を判断して適用するというものですから、建築物の一部がホテルであるということをもって全体を住宅として判断するということは、極めて困難だろうと思います。

 典型的な例を申し上げますと、ミッドタウンのリッツ・カールトン。建物の一部しかホテルではありませんけれども、あれが一部しか使っていないということをもってホテルではないと言うことは、社会的な常識に非常に反すると考えます。

 今のところ上記のように考えておりますが、新制度の民泊が、住居専用地域で立地可能という整理をするにせよ、立地できないという整理をするにせよ、以前申し上げましたように、特別用途地区あるいは地区計画といった地域独自の判断によるルールの変更ということが可能であるということは申し添えたいと思います。

 以上です。

【浅見座長】  高橋委員、どうぞ。

【高橋構成員】  今のことにも関連しますけれども、家主居住型の場合は、住宅あるいは住宅類似ということでほぼ問題はないと思いますが、元住宅だったと、すなわち空き家になっていると、住宅地域の中にあるけれども空き家になっている住宅、ここを民泊に使う場合が、一つ問題になってくるのかなと。

 あるいはそれが集合住宅だった場合は、より複雑な問題になってくるのではないかと思いますけれども、そうすると、結局、先ほど北原構成員がおっしゃった、シェアリングエコノミーという範疇の中でものを考えるのか、それとも空き家の活用とかストックの活用ということで、ある程度ビジネスとして成り立つことも考えながら議論するのかによって、日数制限だとか、あるいはそこに付随する人数の問題も、かなり変わってくるとは思います。

 ですから、今の御説明でかなりわかるんですけれども、ただ、どこによって立つかによって、かなり結論は変わってくるんだろうなと思いますので、私は、その辺のところをもう少し幅広く議論する必要があるのかなと。

 今日は旅館業、それから不動産、賃貸の方の意見を伺っているわけですけれども、ほかの関係者の方の意見も伺った上で、日数制限の問題、ここが最後は一番肝というか、大きなポイントになると思うので、類型化すれば解決する問題なのか、それともある程度、法律とは別に経済の観点からも見なくちゃいけないとか、その辺、切り口によって随分議論が変わってくると思いますので、もう少し、そこをさらに詰めていくようにしないといけないのかなと思います。

【浅見座長】  ありがとうございます。

 どうぞ。

【香山課長】  今、私の方で申し上げたのは、これはあくまで立地規制を当てはめるときにどういう考え方かということでありますので、民泊のあり方そのものは、また立地規制とは全く独立の観点からさまざまな議論があると思っています。場合によっては、民泊の中でも、こういうものは住宅並みに扱うけれども、ある部分については旅館並みの扱いであるという、そういう結論も当然あるだろうとは考えています。

【浅見座長】  どうぞ。

【熊谷構成員】  3点ほど述べたいと思います。

 まず第1点目ですが、先ほど住宅提供者の定義の問題が出ていましたけれども、同じように、今度は仲介事業者の定義を何か想定されているものがあれば、教えていただきたいなと思っております。

 2ページの図を見ると、インターネットを活用したシェアリングの推進というところから仲介事業者が出ていて、現状ですとインターネットを活用したマッチングサイトが念頭にあって、それがこの仲介事業者に当たるというのはある意味わかりやすいんですけれども、例えばそういったことを積極的にうたいにしていない、ただネット上のいろいろな掲示板のようなもの、そういったようなものを利用したときに、結果として仲介をしているというものもここに入ってくるのかどうかという問題が出てきますので、一体どこまでこういった仲介事業者に当てはまるのかといったところを考える必要があるのではないかなというところが1点あります。

 それから、インターネットを使うというのは非常にわかりやすいんですけれども、そうではなくて、今度、こういった形で具体的に民泊が進むようになると、例えば観光地の駅前に、まさにリアルな掲示板を立てて民泊を募集するという場合に、そのリアルな掲示板の事業というのは、この仲介事業に当たるのかどうかということも関係してくるんだろうと思います。

 それから掲示板ではなくて、例えばNPO法人のようなものをつけて、駅前にそこが事務所を設けて民泊を紹介するという場合に、そこが仲介事業者として登録が必要なのかどうかというところも関わってくるかと思いますので、この仲介事業者の定義は実は重要かなと思いますので、そのあたり、もし今の段階でイメージがあれば教えていただければと思います。これが第1点です。

 それから2点目ですけれども、今回の制度設計の中で、家主居住型、家主不在型、それから仲介事業者、それぞれいろいろな形で登録ないし届出の仕組みを取り入れることになっていまして、届出とか、それから登録をした事業者に対してこの法律がワークして、サンクションも含めていろいろなことで実効性を高めていくというのはわかるんですけれども、そうではなくて、そこを無視した無届け・無登録のようなところに対して、実際何か、うまくそこを規制する方法があるのかどうかと。

 罰則のようなものを設けるとしても、例えば現状でも旅館業法があって、違法な旅館業法に対する、実際サンクションが加えられていないと。幾つか事例はあるんですけれども、圧倒的に加えられていないという状況の中で、何かうまく方策があるのかなと。それこそ何かそういったものを監視する組織・団体のようなものというのを作るのかどうかとか、それは実際に費用対効果の面で合うのかどうかということも含めて、何かあれば教えていただければと思います。

 それから3点目は、これは川口構成員の関係の資料2との関係ですけれども、この表を見ますと、なかなか稼働日数が少ないとビジネスとしては成り立ちにくいというお話になっているんですけれども、この資料2だと、要は、これは転貸型のビジネスをしていく場合にはなかなか難しいんですけれども、逆に言いますと、家主さんが直でやる場合には、これは従来であれば26万の収入しか得られなかったところが40万の収入が入るというものだと読んでも構わないのかどうか、そういうようなことで、よろしくお願いします。

【浅見座長】  幾つか御質問がありましたが、いかがでしょう。

【西海課長】  最初の方は私から。旅行業法とかも参考で仲介の定義というと、先生がおっしゃった、駅前で掲示板をやって、それで泊まりたい人と泊めるのを提供する人の間に立ってお金をいただいて、また渡してというのは、まさに仲介そのものなので、伝統的な仲介業者なのかなと思います。

 NPO法人の場合には、現実の実態としては、例えばそれを、ある方が自治体からの指定管理者でやっている場合もあると。これは自治体になってしまったりするのですが、いずれにしろNPO法人のやり方次第によりますが、これも間に立ってお金をいただいてやっている場合には仲介に当たるのかなと思います。

 一番難しい話は、先生のお話で例えを申すと、お友達サイトみたいな国際的な交流サイトが仮に、もう幾つかは実際ございますけれども、そこのインフラは使うのですが、間に立ってお金はもらわず、ただ、実際にはCtoCでやっている場合のお友達交流サイトはなるのかという限界事例かと思いますけれども、それは微妙な問題なので今後詰めたいと思っていますが、素直に考えると直ちに仲介業者の登録にはならないのかもしれないなと。

 それが実は正に先ほどの資料の1の3ページ目のところの2ポツ目にございまして、住宅提供者が要するにお友達サイトは使っているのですが、仲介業者と言えるかどうかは微妙な人を使って実際にCtoCに近い形でやっている場合についての仕組みをどうするかと。これでもしもあまりに問題が出るようであれば、例えば何か届け出いただく、住宅提供者に届け出をお願いするわけですから、届出で、どのようにこれを紹介しますかと。仲介業者を使いますかというのを書いていただくことになることも、今後の検討課題としてはなり得るのかなと思っています。

 その関連で申し上げますと、無届けとか無登録の人で出た場合につきましては、資料の中で、例えば仲介業者につきましては、民泊であることをマークか何か表示いただくということを課していますので、ちゃんと届けたかどうかは仲介の方は確認されますから、そういった形で、ある程度、無届け、無登録でやっているかどうかというのはわかるようになっている仕組みは、今回の中でも少し入っているのかなと思います。

 以上です。

【川口構成員】  熊谷さんの補足です。直接は構わないという考え方ですが、先ほど申し上げているとおり、業界にどういう状態があるかというと、不動産会社に管理を任せても、空いているから自分で家主がそういうところに依頼するとした場合に、誰がクレームとかトラブルの責任を負うかというのがトラブルのもとになるということを申しているわけですね。

 それと、賃貸業界でこういう用語があります。「準管理」とか「虫食い管理」という用語があります。どういうことをやっているかというと、入らないアパートを特定の業者が一部借り上げて転貸している。そういう場合は、クレームは、彼らは受けません。管理業者、もしくはオーナーに行くわけですね。ここに対しても何らかの施策を打たないと、これは民泊にした場合、必ず大トラブルになります。

 もう1点。皆さんも御存じのとおり、古いマンションというのはほとんど賃貸化しています。分譲マンションですね。ほとんど賃貸化しているというのは、例えば50室あるマンションが、もう築15年、20年たつと、半分以上は賃貸化です。特に賃貸化も特定の業者ではありません。管理は組合がやるとしても、仲介は、20室が賃貸化したところに、そこに10社とか15社の不動産会社が介在しています。

 彼らは何をやるかというと、仲介とか売買はやります。ところが物件の中の管理はできていても、共用部分のクレーム管理とか住まいに対する苦情管理は管理組合に行っちゃうわけですね。ですから、所有者もしくは管理組合、特定の者に、きちっとトラブルをどこが最後受けるかということを明記して議論しておかないと、これはトラブルのもとになりますよということをつけ加えさせていただきます。

【浅見座長】  あと、先ほどの御質問については。

【川口構成員】  家主さんが直でやって収益が上がる、これはごもっともで、結構だと思います。

【浅見座長】  ありがとうございます。

 どうぞ。

【小林構成員】  2点あります。一つは先ほどの集団規定の方で、日数制限をある程度すると、住宅の延長上として考えることができるのではないかという話がありました。聞いている限りはそうかなという感じもしないではないんですが、同じような考え方で、マンションでどうかということがありまして、マンションの空き家を日数制限をすれば住宅の延長として考えてもいいんじゃないかということを考えると、例えば管理規約の中に住宅以外のことに使ってはいけないとか何とかと書いてあるところ、結構あるんですけれども、そういうところに、これでいいじゃないかというようなことになっていきやしないかと思います。その辺については、そうならないようにきちんとしないとまずいのではないかと思います。

 それからもう一つ、今回の制度設計で、登録した管理業者に管理委託を義務づけるというのは、考えた制度となったかなという感じはしておりまして、今のように無法状態といいますか、に比べると、コントロールしやすくなるのではないかという感じはしておりますが、逆に、登録していない管理業者に管理を委託して、それでネットに登録して民泊を始めるということになったときに、登録していない管理業者に対する罰則、それから登録していない管理業者を使った場合の罰則というのをどのように考えているかと。ここをきちんとしないと、結局、正直者がばかを見るといいますか、そういうところに登録していない裏の社会ができてしまうのではないかという気がします。

【浅見座長】  ありがとうございます。最初の論点ですけれども、集団既定の住宅の定義とマンションの管理規約における住宅の定義ですが、いかがでしょう。

【香山課長】  私、申し上げましたのは、あくまで建築基準法における住宅であるとか旅館・ホテルであるとか、そういった規制の当てはめについて、先ほどは申し上げました。

 一方でマンションの管理規約というのは、あくまで区分所有者が民間上のルールとして定められるものですから、例えば住宅以外の使用を禁止するという規定があったとします。そのときの住宅は何を指すかということは、その管理規約をつくった人間にしか決められないことです。これは行政法上、住宅をどう定義しようと、影響は受けないものだと考えています。

【西海課長】  補足してよろしいですか。小林先生の言った件で、今回の制度設計の中で、家主が居住である場合、一義的には家主に、家主がいらっしゃらない場合は管理者に、責務の一つとして、契約とか管理規約違反の不存在の確認というのを課していますが、今の御質問は、多分、管理規約とか正確に言うと、管理組合の同意を得ているか、了解を得ているかどうかということを確認してトラブルのないようにしてくださいという御趣旨でございますので、そういう意味では、それをきちんとやれば防げるということなのかなと思います。

【小林構成員】  今の香山課長が言われたとおりでよろしいと思うんですけれども、私もマンションの管理組合の理事なんかやりましたけれども、なかなか、住宅というのはここにこうやって書いてあるじゃないかとかというようなことを言って頑張る人たちがいるんですよね。ですから、これとこれとは違うんだという話をきちんと出していただかないと、頑張られちゃう。そうすると、もう管理組合の理事さんは、本当に大変なことになってしまうのではないかと思います。よろしくお願いします。

【香山課長】  まだ議論の過程なのですけれども、いずれ今回の議論の中で、民泊というものが新たな制度として位置づけられるということになろうと思います。その際、私ども、マンション管理についても施策として所掌しておりますので、考え方については整理をしてお示ししたいと思います。

【長田課長】  先ほどの熊谷構成員からの御指摘、それから小林構成員の御指摘、いずれも、いろいろなルールをつくって適正に管理をするといっても、そこから漏れていく部分をどのように防いでいくかという、そういう御指摘であったかと思います。おそらくその点については、幾つかの仕組みというものを、設計上、組み合わせていかないといけないのかなと思っております。

 先ほど冒頭の方に、相模原市の萩原課長からも御意見がございましたけれども、今、実態として、行政の皆さん、特に保健所の第一線の皆さんには、相当な行政コストをかけて、無許可営業に対する把握・指導を行っていただいております。無許可でやられている限りにおいては、何の情報もなく、一から全て情報の把握をしていただかないといけない。そこに難しさがあるわけであります。

 したがいまして、今回の制度設計の中で、ある意味、少し入口としてはハードルを下げるけれども、きちんと行政に届出なり登録なりをしてもらうことによって、まず行政が把握できる状況に置いていくというところが、一つ大きなポイントだろうと思っています。

 今、無許可でやっている人たち、大きくは多分三つぐらいのパターンがあるんだろうと思います。一つは、単に善意で知らなかったケース。実際、自治体からいただいた報告の中でも、指導した結果、そういうことを知らなかったのでということで、素直に指導に従われて、許可取得に向けた対応をされているというケースもあります。それについては、制度を明確にするということによって解決がされるんだろうと思います。

 それから、やりたいんだけれども、今の制度では許可の要件を満たさないとか、先ほど来、議論になっております住居専用地域の問題があるだとか、そういった課題については、全体としての規制を少し緩やかな体系にしていくということによってクリアされていくと思います。

 それから最後は確信犯的な方ですよね。要は、違法だとわかっているけれども面倒だからという人。おそらく2つあって、1つは、現行制度の面倒さが今回の制度設計で緩和されれば、制度に則っていただける人もいるだろうと思います。

 それでも制度に則っていただけない人にどう対応するかということに関しては、まだ十分整理はついていませんけれども、先ほど小林構成員からもございましたように、いろいろな登録だとか届け出とかの体系の中で、ルールを守らない人たちについての、何らかのサンクションというものを組み合わせていく必要もあると思いますし、かつ、「一定の要件」ということの線を引かれたときに、その線のこっち側は新たな制度体系の民泊だし、それを越えてやられたい場合には旅館業の許可を取っていただくということなので、旅館業法サイドからの対応というものも必要になってくると思います。

 要は「一定の要件」を越えて営業する場合には、それは旅館業法違反として取り締まっていかないといけないということになりますので、その際に、既に中間整理でおまとめをいただいているとおり、今の旅館業法の罰則が実効性がないレベルという御指摘をいただいておりますので、そういったところもやっていかないといけませんし、今、厳密には、無許可営業に対する行政権限というものがきちんと担保されていないという部分もありますので、そこの対応もしていく必要があると思います。

 大変重要な御指摘でございますので、もう少し緻密な検討というものは進めてまいりたいと思っております。

【浅見座長】  どうぞ。

【相澤構成員】  ありがとうございます。公衆衛生学的な観点からの「一定の要件」について、一つ意見を述べさせていただきたいと思います。

 宿泊人数については公衆衛生的に非常に重要なことだと思うんですけれども、人数で規定するというのは、施設の大きさ等によって大分違ってくると思いますので、一つの提案としては、1人当たりの面積を、簡易宿泊所並みの、3.3平米だったと思いましたけれども、それを確保するような人数の宿泊を制限するというような、そういったことも考えられるのではないかと思います。一つの提案です。

【浅見座長】  ありがとうございます。

 どうぞ。

【北原構成員】  そもそもこの民泊というビジネスが成立するためには、Airbnb社のような、多国籍にわたってプラットフォームを作って、こういった僕らが持っているスマートフォンやちっちゃなタブレットでホスト登録もでき、予約もできるという機能がなければ、全く成り立たないビジネスであります。集客力が、今まで我々が旅行エージェントや、あるいは海外のOTAといったところに頼んでいるよりも、はるかに強い集客力を持っている。だからこそ、これだけ浸透している。

 その元締めであるAirbnb社というのは、日本でおそらく、これは日本の特異な現象ですけれども、ほとんど9割方、今、不法民泊をやられている方は、京都市の調査でも、Airbnb社を介しているんですね。あと、世界的に大きなHomeAwayとか、いろいろなところありますけれども、あまりそういうところは利用されていない。ほとんどAirbnb。

 そこに対して、行政から再三にわたって、情報の開示や、法律的に義務はなくても、企業として日本でこれだけ大きなビジネスを展開されているんだから、協力をしてください、情報も開示してください、営業許可を取っていないところには営業許可を取るような指導をしてくださいということに対しても、そういった事項についてはアイルランドの本社に回答しますと言いながらも、1カ月以上たっているのに回答も来ないというような、こういったことを、今後どんなルールをつくるにしても、とりわけこういうところに対して、どのように、観光庁がおっしゃっているようなことだけで、彼らは本当に協力するのかと。

 彼らが京都新聞の取材に対して、ホストの多くの方から現行の法制度は不明瞭でわかりにくいとの声をよく耳にする、公平かつわかりやすい新しいルールを整備するよう日本政府と協働しており、京都市とも真摯に協議を重ねていきたいと書いていますけれども、全然真摯に協議に応じようとしていないのが実態であるわけですから、こういうところをこれから相手にしていかなければならないわけですから、ここがこのサイトをクローズしてしまったら、民泊ビジネスというのは本当に全く成り立ち得ないビジネスになっちゃうわけでありますから、ここのところで、しっかりとした民泊サービスのあり方から、どういう形で、アイルランドの本社を呼び出してでも、我々のルールにどれだけ彼らが理解を示してくれるのかというものをきっちりと検証した上で、新しいルールを整備すべきだということを、あえて最後にもう一度申し上げたいと思います。

【浅見座長】  どうぞ。

【今井構成員】  既に今日いろいろ議論されていることの、別の観点からのまとめのようなものですけれども、資料の1の3ページ以下のところでは、今まで議論してきたように、ホームステイ型と家主不在型というものを分けて議論されております。ここでは、2ページの図にもありますように、割と一戸建てのようなものを連想されているかと思いますけれども、それが5ページの方にまいりますと、実際に日本でよく使われるであろう集合住宅の話が出てきているわけです。

 事実上共有されていると思いますけれども、3ページの2と3を議論する際にも、集合住宅における具体化ということをもう少し念頭に置いた方がいいかと思いまして、それが先ほど来出ておりますように、管理規約との関係ということです。

 実際に管理規約の承認を得ることの、どの程度の義務づけをするかというのが、実際上、重要な問題だと思います。それが5ページに書いてあるところですが、その際の資料として、海外事例との例がいろいろ挙がっているんですけれども、日本固有の問題もあわせて、マンションでの取り扱いを御検討いただきたいと思います。

 どういうことかというと、今日、川口構成員からも熊本の事情を御説明いただきましたけれども、例えば地震発生直後において、業として行っている旅館等における避難誘導のようなことを民泊でもなさっていたんだろうかということに大変関心がありまして、その後の大変社会的に有意義な住宅の供給ということを聞いて勉強になったんですけれども、利用者としては、旅館業者のところに泊まっているのか民泊をしているのかにかかわらず、いろいろと危機が迫った際には安全な避難誘導等を望むと思いますが、それがマンション等を使っている場合にはどのようにできるかということは、事前に十分に管理組合で規約を作っておかなければできないことだと思いますので、戸建てのことも含め、管理組合との折り合いということを、今後、より具体的に検討されることを望みます。

【浅見座長】  ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。

 どうぞ。

【梶木代理人】  一つ確認させていただきたいんですが、3ページの3のところの3つ目のマルにございます、管理者は行政庁への登録を行うこととするということが記載されておりますが、この理解は、管理者が民泊の施設とあわせて登録という理解でよろしいんでしょうか。

 例えば管理者が幾つもの民泊施設を管理することを業としている場合、管理者が私はこういう業をやっていますということの届け出という意味なのか、これこれこういう施設、こういう民泊を管理していて、この民泊施設はこういう施設ですということを届け出をするという意味なのか、民泊施設とあわせた形での届け出でないと、施設の把握ということが、これは行政としても困難になろうかと思いますので、確認させてください。お願いいたします。

【西海課長】  お答えいたします。今、おっしゃった御質問の中身を引用して申しますと、管理者が例えば複数持っている場合には、当然どこの場所でやっているかというのを把握するということが、北原委員さんも言われていましたけれども、今回は匿名性の排除が一つの大きな課題ではありますので、代行して届け出いただくというということはあるのではないかと考えております。家主不在で管理者がいれば、あとは別に管理者がわかればいいんだということではなくて、基本的には場所はわかるような制度設計にしたいなと思っています。

【浅見座長】  よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。

 それでは、ほかに特に御意見ないようですので、本日の議論はここまでにしたいと思います。貴重な意見をいただきまして、ありがとうございました。次回は、引き続き、制度設計について議論をしていきたいと思います。

 次回以降の日程等につきまして、御説明をお願いいたします。

【事務局(郷)】  本日は2時間にわたり熱心な御議論を賜り、感謝申し上げます。次回、第11回検討会につきましては、5月23日月曜日の13時から15時、場所は航空会館を予定しております。

 また、第12回以降の検討会につきましても、具体的な日程につきましては、事務局から改めて御連絡させていただきます。

 これをもちまして、第10回「民泊サービス」のあり方に関する検討会を終了いたします。次回以降もよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。


(了)

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