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2016年3月29日 第3回女性の活躍促進に向けた配偶者手当の在り方に関する検討会 議事録

○日時

平成28年3月29日(火)
13:00〜15:00


○場所

中央合同庁舎第5号館3階共用第6会議室


○出席者

阿部座長 安藤委員 戎野委員 大嶋委員 神吉委員 守島委員 山川委員

事務局

山越労働基準局長 土屋大臣官房審議官 小林雇用均等政策課長 増田大臣官房参事官(併)賃金時間室長 千谷企画官 東原賃金時間室長補佐

○議題

(1)報告書(案)について
(2)その他

○議事

○阿部座長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第3回「女性の活躍促進に向けた配偶者手当の在り方に関する検討会」を開催いたします。

 早速議題に入りたいと思いますので、カメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

(報道関係者退室)

○阿部座長 では、お手元の議事次第に沿って事務局から資料の説明をお願いします。

○千谷賃金時間室企画官 労働条件政策課賃金時間室の千谷でございます。

 資料の説明に先立ちまして、労働基準局長でございますが、冒頭より出席予定でございましたが、急な用事が入ってしまったため、遅れて本検討会に出席致しますことをお伝えさせていただきます。

 それでは、資料の御説明をさせていただきます。

 議題1に先立ちまして、追加資料の御説明をさせていただければと思います。まず、追加資料1をご覧いただきたいのですけれども、配偶者手当を取り巻く現状については第1回検討会においてご紹介させていただきましたが、その後、報告書(案)を取りまとめていくに当たり、追加でご紹介させていただくことが適当と思われました統計等がございましたので、まとめてご紹介させていただきます。

 まず、手元の資料の「1-1 専業主婦世帯と共働き世帯の推移」をご覧下さい。このグラフで赤い折れ線グラフが雇用者の共働き世帯、青いグラフが専業主婦世帯となっておりますが、共働き世帯は平成9年に専業主婦世帯数を上回った以降増加傾向にあり、平成26年には専業主婦世帯数が687万世帯であるのに対し、共働き世帯は1,114万世帯となっております。

 続きまして、資料の「1-2 短時間労働者の推移」をご覧下さい。こちらは週就業時間35時間未満の短時間労働者の数及び割合の推移のグラフとなっておりますが、人数につきましては、昭和50年に全体で351万人であったものが平成27年には1,634万人に増加しており、うち女性は昭和50年に198万人であったものが平成27年には1,110万人に増加しております。また、これらの者の雇用者総数に占める割合は、昭和50年に10%であったものが平成27年には29.9%に上昇し、うち女性雇用者総数に占める週就業時間35時間未満の女性短時間労働者の割合は、昭和50年に17.4%であったものが平成27年には46.7%まで上昇しております。

 続きまして、資料の「1-3 仕事からの収入階級別非正規女性の推移」でございます。こちらは第2回検討会でのご発言を踏まえ、大嶋委員からご提出いただいた資料となっておりますが、紫の折れ線グラフが年収100149万円の層の推移となっております。ここ10年余りの間でこの層が他の層と比べ突出して増えていること、また、年収5099万円層の人数が一貫して高いことが見てとれます。

 続きまして、資料「1-4 男女別家事関連時間の推移」でございます。こちらは過去25年間の家事関連時間の推移を男女別に見た折れ線グラフとなっておりますが、男性は一貫して増加が続いており、男女の差は縮小傾向にありますが、平成23年において女性3時間45分に対し男性は43分と依然として女性が家事・育児を担っている割合が高いことが見てとれます。

 続きまして、資料「1-5 有配偶者の家事関連時間」でございます。こちらの棒グラフは結婚している人の家事関連時間を調査したものとなっておりますが、有配偶者で見ると、女性5時間2分に対し男性47分と、資料1-4の男女別家事関連時間の差よりもさらに差が拡大しております。

 次に、資料「1-6 年齢別未婚率の推移」でございます。このグラフを見ていただければ、20代の未婚者は1960年時点で46.1%だったのが2010年には71.8%にまで上昇し、30代後半でも2010年時点で35.6%と3割以上が未婚であることが分かります。

 また、次の資料「1-7 雇用形態・配偶関係別比率」でございます。男性正規雇用者に占める割合は昭和50年に64.2%であるのに対し、平成22年には42.3%に減少しており、また、平成22年では既婚、未婚がどうかについても内訳がわかりますので、そちらのグラフが図9の方になりますけれども、雇用者全体に占める既婚歴のある男性の割合は35.7%であり、うち特に配偶者手当の主な支給対象と考えられる既婚男性正規雇用者の割合は30.3%となっております。

 続きまして、資料「1-8 家族構成別世帯数の変化」でございます。こちらは昭和50年と平成26年とで家族構成がどう変わっているかを比べたものになりますが、単独世帯と夫婦のみ世帯が大きく増加する中で、夫婦と18歳未満の未婚の子のみの世帯が減少しているということが分かります。

 最後に、追加資料のほかに、右上に「机上配布」と書いております資料が机の上にあるかと思いますけれども、そちらをご覧いただければと思います。「雇用者に占める既婚歴がある男性正規雇用者の割合〈推計〉」という資料でございますが、こちらは第1回検討会において資料4-10としてご紹介させていただいたものになりますが、一部修正がございましたので、ご報告いたします。なお、データにつきましては、ホームページのものを差し替えさせていただけますので、本日は机上配布とさせていただきます。

 こちらの表では、第1回検討会提出資料で用いております労働力調査の雇用者に関する公表データでございますが、平成22年のデータについては2種類の数値がございまして、集計の実数値と時系列接続用数値を推計値としております。第1回検討会提出資料では実数値を使用して推計を出していたのですけれども、一般的に過去のデータと比較をする場合には推計値のほうを使用しているということでございましたので、改めて推計値を使用した雇用者数に変更し、推計をいたしましたので、この場をお借りしまして訂正をさせていただきます。

 続きまして、追加資料2を「日本百貨店協会会員企業ヒアリング結果」ご覧いただければと思います。こちらは前回の検討会において概要のみ口頭でご紹介させていただきましたものでございますが、その結果をヒアリング結果として取りまとめさせていただいたものとなっております。前回の説明と重複する部分もございますが、日本百貨店協会会員企業様へのヒアリングでは、百貨店のパート労働者の雇用状況としましては、従業員全体に占めるパート労働者割合は企業によりさまざまであり、契約社員等を活用することにより、パート労働者をほとんど雇用していない企業がある一方、販売業務、事務等の業務にパート労働者を多数雇用している企業もございました。

 就業調整の状況についても、パート労働者についても社会保険加入を前提として採用する等により就業調整が行われる割合が限定的なところもあれば、パート労働者の一定割合が就業調整を行っているところもございました。

 就業調整を行っている従業員の割合は、高い企業で20%程度、就業調整がほとんどないという企業も複数ございましたので、全体としては就業調整が行われる割合は比較的少ないという印象でございました。

 就業調整の問題点及び対応と致しましては、就業調整が行われることに伴い、不足する労働力の確保に労力を要しているとか、就業調整を行ったパート労働者の代替要員を確保できず、フルタイム勤務者の残業で対応しているといった声がございました。

 また、就業調整に対する各企業の工夫と致しましては、従業員に対して、年初より計画的に勤務するようお願いしているとか、年初からの給与支給累計金額の伝達を行うようにしている、それからパート労働者の残業が生じないようにしている、就業調整が行われるのを防ぐため、募集の段階から扶養の範囲内で働くことを前提とした勤務時間の契約と、週28時間以上の勤務に加え社会保険の加入を前提とした契約の2通りの採用を行っているとか、長期的な労働力確保のため、扶養の範囲内か、年収や時間の制約なしかといった二者択一の働き方ではなく、育児中の勤務時間のバリエーションを数種類事前に設定し、フルタイムへの就業の道筋を作るようにしているといった声がございました。

 また、配偶者手当の見直しが進んだ場合の就業調整の影響につきましては、一定の効果は期待され、多少の緩和が見込まれるという意見と、緩和されると思わないとの意見がございましたが、いずれにせよ就業調整の主要因は税制・社会保障制度であるとの認識を持っており、税制・社会保障制度と併せて見直されれば、より効果は高まると考えられるとのことでございました。

 続きまして、追加資料3は旧峡南信用組合事件の概要でございます。こちらの事件は第2回検討会開催翌日の2月19日に出された最高裁判決になっております。こちらの事件は、山梨県の信用組合による、吸収合併した信用組合の職員の退職金の支給額を大幅に減少させる退職給与規程の変更に際し、管理職員が行った同意書への署名押印等による同意の成否が争われた事案ですが、判決では「就業規則に定められた賃金や退職金に関する労働条件の変更に対する労働者の同意の有無については、当該変更を受け入れる旨の労働者の行為の有無だけでなく、当該変更により労働者にもたらされる不利益の内容及び程度、労働者により当該行為がされるに至った経緯及びその態様、当該行為に先立つ労働者への情報提供又は説明の内容等に照らして、当該行為が労働者の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否かという観点からも、判断されるべきものと解するのが相当である」と判示されました。

 こちらについては、第2回検討会でご紹介させていただきました協愛事件と同様、同意の認定に関し慎重な判断がなされている事件となっております。

 それでは、続きまして、議題1のほうに入らせていただきます。

 資料1、報告書(案)についてご説明させていただきます。まず、報告書(案)の構成ですが、第2回検討会にお示しいたしました骨子とは構成が若干変わっておりまして、「はじめに」の後、「1.女性の雇用をめぐる状況」において、「(1)雇用における女性の現状」、7ページ「(2)『就業調整』の状況」と2つの項目に分けまして、統計調査等についてまとめさせていただいております。

 その後、「2.『配偶者手当』の背景・現状」において、日本において配偶者手当が定着した背景などについてまとめさせていただいております。

 続きまして、15ページ「3.『配偶者手当』の在り方について」におきまして、(1)として配偶者の働き方に中立的な制度への見直しを行うことが求められることについて記載するとともに、(2)といたしまして従業員ニーズの変化や企業を取り巻く環境の変化に応じて、労使のおいて真摯に話合いを進めることが期待されるという方向性が記載されております。

 その後、16ページの4では実際に配偶者を対象とした手当に関する見直しを実施・検討した企業の事例等についてご紹介させていただき、その後、18ページからは5として見直しを行う場合の留意点を記載しておりまして、最後に「おわりに」という構成になっております。

 もう少し詳細に報告書(案)についてご説明させていただきます。

 まず、1ページ目「はじめに」でございますが、生産年齢人口の減少や女性の就業率の向上等、社会経済情勢が変化していること、政労使合意や「『日本再興戦略』改訂2015」、「一億総活躍国民会議決定」などにおいて配偶者手当の見直しについて言及されていることなどについて述べた後、本検討会の目的を記載しております。

 続きまして、「1.女性の雇用をめぐる状況 (1)雇用における女性の現状」では、まず、「1 女性の年齢階級別就業率」といたしまして、図1から3を示しまして、過去40年ほどの間でM字型カーブの底を中心に就業率が大きく上昇し、特に有配偶女性の労働力率が大きく上昇しているが、女性の年齢階級別就業率はいまだM字型カーブを描いていること、また、女性の就業率と潜在的労働力率の差は大きく、平成26年において就業を希望する女性の数は303万人に上るという内容について記載してございます。

 なお、図1から3のデータにつきましては、2月までに平成27年の数値が出ましたので、最終報告書におきましては最新の数値に更新をさせていただきたいと思っております。

 続きまして、3ページ「2 共働き世帯の推移」、次のページ「3 週就業時間35時間未満の短時間労働者の推移」「4 女性非正規労働者数の収入区分ごとの推移」と、それぞれ冒頭追加資料のほうにおいてご紹介させていただきました内容が記載してございます。

 5ページの「5 女性パートタイム労働者がパートタイム労働を選んだ理由」と致しまして、平成23年パートタイム労働者総合実態調査において、女性のパートタイム労働者がパートタイム労働を選んだ理由について、複数回答で、1位は「自分の都合の良い時間(日)に働きたいから」58.6%、2位が「勤務時間・日数が短いから」38.6%、3位が「就業調整(年収の調整や労働時間の調整)ができるから」21.9%であることについて記載しております。

 次に、その下の6では追加資料の方で冒頭ご説明させていただきました家事関連時間の状況について示しまして、依然として女性に家事・育児の負担が集中していることが、女性が就業時間の短い仕事を選択する一つの要因となっていると考えられるということについて記載してございます。

 続きまして、7ページ「7 日本の人口の見通し」と致しまして、1564歳の生産年齢人口の割合が、平成4年の69.8%をピークに低下し続けており、平成26年には61.3%、平成72年には50.9%になるとされていること、一方、高齢化率については、昭和25年以降一貫して増加しており、平成26年の26.0%から、平成72年には39.9%と、2.5人に1人が65歳以上となることが見込まれていることについて記載されております。

 (1)の最後といたしまして「8 女性の活躍促進に向けた政府の取組」と致しまして、上述のような雇用における女性の状況等を踏まえ、政府は「我が国最大の潜在力」である女性の力の発揮を持続的な経済成長のためにも不可欠なものとして、日本の成長戦略の中核に位置づけており、これを受け、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律が成立し、平成28年4月に全面施行されるほか、働き方に中立的な税制や社会保障制度等への見直しに向けた検討等が進められているということについて記載されております。

 続きまして、「(2)『就業調整』の状況」におきましては、まず「1 女性のパートタイム労働者がパートタイム労働を選んだ理由及び『就業調整』をする理由」と致しまして、女性のパートタイム労働者がパートタイム労働を選んだ理由として、複数回答の1位は「自分の都合の良い時間(日)に働きたいから」58.6%であるが、3位は「就業調整(年収の調整や労働時間の調整)ができるから」21.9%であること。こちらは再掲になります。それから、有配偶女性のパートタイム労働者のうち「就業調整をしている」と回答した人の割合は21.0%となっており、就業調整をする理由の複数回答の1位は「自分の所得税の非課税限度額(103万円)を超えると税金を支払わなければならないから」63.0%、2位は「一定額(130万円)を超えると配偶者の健康保険、厚生年金等の被扶養者からはずれ、自分で加入しなければならなくなるから」49.3%であるが、「一定額を超えると配偶者の会社の配偶者手当がもらえなくなるから」を理由として挙げる人も20.6%いるといったことについて記載してございます。

 続きまして、9ページ「2 パートタイム労働者を雇用している業界に対するヒアリング結果」でございます。

 まずは日本チェーンストア協会に対して行ったヒアリング結果についてでございますが、チェーンストア業界では、パートタイム労働者の従業員総数に占める割合の高い企業が多く、就業調整が行われることにより、年末の繁忙期に人材確保に苦慮しているとの声も多く聞かれた。また、最近の各地域における労働力の需給環境や施策によって時給が上がってきて、いわゆる「103万円、130万円の壁」を越えずに働きたいという理由からかえって働く時間が短くなってしまうという声もあった。パートタイム労働者の中には年収増にはつながるものの自分の都合に適した時間で働くことができなくなる正社員への登用やより高いレベルの職責を担うことを断る場合もあるとの回答もあった。女性がその持てる能力を十分に発揮できない状況にあることについては、「103万円、130万円の壁」が原因となっている可能性も窺える一方で、家庭の状況や働く本人の意思等さまざまな背景もあることが見てとれたという結果になっております。

 続いて、日本百貨店協会に対して行ったヒアリング結果でございます。従業員全体に占めるパートタイム労働者の割合は企業によりさまざまであったが、パートタイム労働者を多数雇用している企業では、やはり年末に就業調整が行われる結果、年末の人材確保に苦慮しているとの回答があった。

 なお、百貨店業界では、チェーンストア業界と比較し就業調整が行われていると回答した企業は少なかったが、その理由としては、パートタイム労働者を雇用している企業が少ないことに加え、繁忙期である年末に就業調整が行われないよう、募集の段階から扶養の範囲内で働くことを前提とした勤務時間の契約と社会保険の加入を前提とした勤務時間の契約といった2通りの採用を行ったり、従業員に対し、年初より計画的に勤務日数を調整するよう依頼するといった工夫を行っているからということであった。

 なお、育児中のパートタイム労働者がより自分の希望に合った勤務時間を選択できるよう、勤務時間に多様なバリエーションを設けている企業もあったということについて記載してございます。

 次に、10ページ「3 『就業調整』が行われることによる影響」と致しまして、これまで見てきたとおり、有配偶女性のパートタイム労働者の21.0%が就業調整を行っているが、就業調整が主に年末に行われることを受け、パートタイム労働者を多く雇用する企業では、繁忙期である年末の人材確保に苦慮している様子が見てとれた。

 また、就業調整が行われる結果、不足する労働力の確保に当たり、正社員等同じ職場の他の雇用形態の労働者の負担が増すなど、就業調整を行わない他の労働者に影響が生じていることも見てとれた。さらに、就業調整が行われることを防ぐために時間当たり賃金の調整がされ、パートタイム労働者全体の賃金相場の上昇に抑制的に機能する可能性も指摘されている。

 また、マクロ経済的に見ると、就業調整が行われるということは、就業調整を行っているパートタイム労働者の人的資源を十分に活用できていないということであり、生産年齢人口の減少に伴い労働力人口が減少することが見込まれる日本社会においては看過できない問題である。

 このように、就業調整は、女性がその持てる能力を十分に発揮できない要因となる可能性があるとともに、日本経済全体にとっても人的資源を十分に活用できない状況を生じさせるなどマイナスの効果を与えているということができる。

 以上を踏まえれば、就業調整を生じさせる要因となっている制度については、女性がその持てる能力を十分に発揮できるようにする方向での見直しが求められる。

 なお、調査結果から見ると、就業調整の主たる要因は税制・社会保障制度となっているが、配偶者手当も一定の影響を与えているため、税制・社会保障制度と併せて見直しを進めることが求められる。

 また、女性が就労時間を調整し、短時間勤務を選択する背景として、就業調整の問題だけでなく、家事・育児負担が女性に偏っていることや保育をめぐる状況などに起因する時間的制約もその一因となっていることにも留意する必要があると記載してございます。

 続きまして、「2.『配偶者手当』の背景・現状」です。まず「(1)『配偶者手当』について」ということで、配偶者手当は、通常賃金として支給されており、賃金などの労働条件については、労働者と使用者が対等の立場において決定すべきものとされている。

 賃金のうち決まって支給される給与(定期給与)は、基本給と諸手当とに分かれている場合が多く、配偶者手当を含めた家族手当は通常家族構成等に応じて支給することにより従業員の生活費への配慮を効果的に行うための手当として支給されてきた。

 「(2)日本において『配偶者手当』が定着した歴史的経緯」と致しまして、配偶者手当を含めた家族手当が日本に定着した背景について歴史的経緯を概観してみると、多くの企業において家族手当が採用されたきっかけは、昭和14年にインフレを抑制するために発出された賃金臨時措置令であった。

 賃金臨時措置令を受け、賃金引き上げが凍結されたが、物価上昇によって扶養家族を有する労働者の生活が厳しさを増したことから、翌年、一定収入以下の労働者に対し扶養家族を対象とした手当の支給が許可され、これをきっかけに多くの企業において家族手当が採用されることとなった。

 その後、第二次大戦直後のインフレ期には、労働組合が生活保障の要素を重視する観点から家族手当の支給や引き上げを要求、企業もそれに応じ、高度経済成長期にはいわゆる日本的雇用システムが構築され、男性世帯主を中心に支給される家族手当が従業員に対する処遇として定着することとなった。

 このように、日本において配偶者手当を含めた家族手当が普及・定着したことについては、労使双方のニーズに合致した結果であり、日本のいわゆる男性のメンバーシップ雇用のもとでの経済成長や労働者の生活の安定に貢献してきたものと考えられる。

 しかしながら、平成に入ってからのバブル経済の崩壊や経済のグローバル化の進展等を受け、平成10年代以降いわゆる成果主義賃金が広がったことと併せ、家族手当の普及率は低下し、平成11年の90.3%から平成27年には76.5%まで低下している。

 「(3)家族手当の支給状況」でございます。人事院の平成27年職種別民間給与実態調査によれば、家族手当制度がある事業所は76.5%であり、うち配偶者に家族手当を支給する事業場は90.3%(全体の69.0%)となっている。

 配偶者に家族手当を支給する事業所のうち配偶者の収入による制限がある事業所は84.9%であり、収入制限の額としては、103万円が68.8%、130万円が25.8%となる一方、収入制限がない事業所も約15.1%となっている。

 なお、配偶者に家族手当を支給する事業所を100とした場合の配偶者の収入による制限がない事業所の割合を企業規模別に見ると、500人以上が11.2%、100人以上500人未満が19.0%、50人以上100人未満で29.0%となっており、企業規模が小さいほど高くなっている。

 なお、このように配偶者手当については、配偶者の収入による制限があるものとないものがあるが、配偶者の就業調整の要因となるのは収入制限がある制度であることに留意する必要がある。

 続きまして、「(4)従業員構成・家族構成の変化」でございます。男性の婚姻の状況について、国勢調査の結果をもとに配偶者手当が普及・定着した昭和50年当時と直近の調査である平成22年の状況について比較してみると、男性の年齢別未婚率については、25歳から29歳において48.3%から71.8%に、30歳から34歳において14.3%から47.3%に、35歳から39歳において6.1%から35.6%に大きく上昇している。また、男性の生涯未婚率についても2.12%から20.1%へと大きく上昇している。

 また、雇用者を男女別正規非正規別に見てみると、昭和50年に男性正規雇用者の割合は64.2%であったのに対して、平成22年には42.3%と大きく下がっている。

 平成22年における雇用者全体に占める男性既婚者(死別・離別含む)の割合は35.7%であり、うち特に配偶者手当の主な支給対象者と考えられる既婚男性正規雇用者の割合は30.3%となっている。

 また、世帯構造の変化についても、労働力調査をもとに昭和50年と平成26年の状況を比較してみると、未婚化、晩婚化の影響や、高齢者数の増加等により、単独世帯、夫婦のみ世帯及びひとり親と18歳未満の未婚の子のみの世帯はいずれも増加した一方で、夫婦と18歳未満の未婚の子のみの世帯については、昭和50年に1,1208,000世帯であったものが平成26年には8165,000世帯と減少している。

 続きまして、15ページ「3.『配偶者手当』の在り方について」でございます。まず、「(1)配偶者の働き方に中立的な制度への見直し」と致しまして、企業の賃金制度は、社会の慣習や社会経済情勢等を色濃く反映したものとなるが、何が必要な制度かということは国や時代によって変化するものである。

 配偶者手当については、前述のとおり、歴史的な事情を背景に多くの企業に家族手当として採用され、戦後の厳しい経済状況を経て、家事・育児に専念する妻と仕事に専念する夫といった夫婦間の性別役割分業が一般的であった高度経済成長期の社会状況や労使のニーズを背景に日本的を雇用慣行と相まって定着してきた制度である。

 しかしながら、女性の就業率が上昇するなど社会の実情が大きく変化してきている中で、配偶者手当は税制・社会保障制度とともに就業調整を生じさせる要因となり、女性がその持てる能力を十分発揮できない状況を生じさせていると考えられる。

 日本では、今後生産年齢人口が減少することに伴い、出生数の減少による若年労働力の減少や、高齢者の引退の増加によって、労働力人口は高齢化しながら減少していくことが予想されている。このため、若者、女性、高齢者、障害者など働く意欲のある全ての人がその能力を十分に発揮できる社会を形成することが必要となっており、働くことに対して中立的でない制度については中立的にする等、誰もが働きやすい制度となる方向へ見直すことが求められる。

 配偶者の収入による制限がある配偶者手当については、配偶者の就業調整の要因となり、結果として女性の能力発揮の妨げとなっていると考えられることから、配偶者の働き方に中立的な制度となるよう見直しを進めることが望まれる。

 日本商工会議所においても同様の視点に基づき、「女性が長く働くことを阻害する扶養手当の在り方を見直すべきである」との提言が行われている。

 次に、「(2)従業員ニーズの変化や企業を取り巻く環境等企業の実情を踏まえた検討」と致しまして、配偶者手当を含む賃金制度は、企業において労使協議の上、決定されるものであり、従業員ニーズの変化や企業を取り巻く環境の変化に応じた見直しが行われるものである。

 配偶者手当が普及・定着した当時と比べ、共働き世帯が専業主婦世帯数を上回り、その後も増加を続けている現状や、夫婦と18歳未満の未婚の子のみの世帯の減少と単独世帯や夫婦のみの世帯の増加、生涯未婚率の上昇等、従業員構成や家族構成が変化していること等を踏まえれば、従業員のニーズも大きく変わってきている可能性が高く、当時と比べ納得性が低下し、家族手当の意義も変化していると考えられる。

 また、昨今の企業を取り巻く環境は、女性の就業率の上昇、グローバル経済の進展、国内外における企業間競争の激化、ICTの飛躍的発展、少子高齢化の進行、雇用・就労形態の多様化など、大きく変化しており、さらに、前述のとおり、今後日本ではさらに少子高齢化が進展し、労働力人口が減少することが見込まれているところである。そうした中で各企業がその生産性を維持・向上させるためには、社会構造や従業員構成の変化等を踏まえ、多様な人材の能力を最大限発揮することを可能とし、従業員のモチベーションを高める納得性の高い賃金制度にしていくことがますます求められる状況になると考えられる。

 労使においては、これらの変化等個々の企業の実情を踏まえつつ、「経済の好循環の継続に向けた政労使の取組」に基づき、働き方に中立的な制度となるよう真摯な話合いを進めることが期待される。

 続きまして、「4.配偶者を対象とした手当に関する見直しが実施・検討された企業の事例等について」と致しまして、企業事例等の紹介になります。

 今後、労使が実際に配偶者手当を含めた賃金制度の見直しを円滑に行うに当たっては、既に賃金制度の見直しを実施・検討した企業の事例も参考とすることが有益と考えられる。このため、当検討会事務局では、1.従業員ニーズや企業を取り巻く環境が大きく変化していく中で西暦2000年以降賃金制度の見直しを行い、その中で、配偶者を対象とした手当に関する見直しが実施・検討された企業、及び2.主に中小企業の事例に係る情報を得るため、数多くの中小企業の相談に応じている東京商工会議所の専門相談員に対しヒアリングを実施した。

 以下、これらのヒアリング結果を踏まえ、円滑な賃金制度見直しの特徴を紹介する。

 (1)制度見直しの背景

 見直しの背景については、グローバル経済の進展や個人のライフスタイルや価値観の変化等を踏まえ、人事・処遇制度全体の見直しの中で検討、実施されている場合が多いが、仕事と家庭の両立支援や次世代育成の観点から手当の支給額の配分等を見直した事例もあり、具体的には、次のようなものであった。

・経営のグローバル化や外部環境変化に対応するため、能力・成果を反映・重視した処遇制度、役割給制度への見直し

・女性の社会進出、従業員のライフスタイルの多様化等を踏まえた処遇の公平性・納得性のある制度への見直し

 ・若手から65歳まで成長・活躍し続けられる制度への見直し

 ・仕事と家庭の両立支援や次世代育成支援の観点からの見直し

 (2)従業員のニーズの把握等

 制度の見直しを検討するに当たり、従業員の満足度調査、各部門等からのヒアリング結果、労働組合を通じた情報収集等によって従業員のニーズを把握する等、従業員の納得性を高める取組が行われている。

 特に小規模企業では、従業員のニーズを聞き取りやすいという利点を活かし、制度設計段階から積極的に多くの従業員に関与してもらうことで、円滑な賃金制度の見直しが行われている。

 (3)労使の話合い

 労使での話合いについては、常日頃より意見交換を行い、あるいは制度設計の段階から労働組合や従業員へ丁寧に説明を行って合意している事例が多い。多くの場合、1〜2年程度の期間をかけて交渉が行われている。労使の話合いの結果、制度見直し前に手当が支給されていた者を対象として経過措置を講ずることとしたケースも多い。

 (4)賃金原資総額、経過措置の状況

 制度の変更に当たっては、賃金原資の総額が維持されるとともに、不利益を受ける労働者を対象として段階的に支給額を減額していくなどの経過措置が設けられている企業が多かった。

 (5)「配偶者手当」の具体的な見直しの内容

 見直し後の賃金制度は、各企業の置かれている状況、方針、労使の話合いの結果等により多種多様である。制度が見直された結果、「配偶者手当」については、廃止又は縮小した企業が多かったが、検討の結果、「配偶者手当」を存続した企業もあった。実際に「配偶者手当」がどのように見直されたかの具体例は以下のとおりである。

 「配偶者手当」を廃止し、基本給へ組み入れ、他の家族手当の増額、新手当の創設等をした企業、配偶者手当を縮小した企業、配偶者手当を存続した企業について、それぞれ具体例を書かせていただいております。

 (6)決定後の新制度についての丁寧な説明等

 新制度決定後は、その導入前に従業員に対して、職場ごとの説明会の開催、経営トップのメッセージ配信、メールによる質問への回答等、丁寧な説明が行われている事例が多い。

 また、新制度導入後も階層別の教育を継続して行い適正な運用に努めたり、意識調査や労働組合の職場集会での声を反映させて運用を行うことにより、制度導入後も従業員の理解・納得性を高めるための取組を継続して行っている事例もある。

 続きまして、「5.配偶者手当制度の見直しを行う場合の留意点」でございます。

 まずは「(1)労働条件を決定する方法について」と致しまして、賃金などの労働条件を決定する方法として、労働契約、就業規則、労働協約の3つの仕組みがあるといったこと。また、それぞれの内容について簡単に概要を記載してございます。

 続きまして、「(2)就業規則による労働契約の内容の変更について」でございます。配偶者手当を含めた賃金制度については、就業規則に規定されていることが一般的であるが、使用者は、原則として、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者に不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することができない。しかしながら、使用者が変更後の就業規則を労働者に周知させたこと及び就業規則の変更が合理的なものであることという要件を満たした場合には、労働契約の変更についての「合意の原則」の例外として、労働契約の内容である労働条件が当該変更後の就業規則に定めるところによるという法的効果が生じることとされている。

 ここで、労働契約法第10条本文においては、「労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況」が、就業規則の変更が合理的なものであるか否かを判断するに当たっての考慮要素として例示されているが、実際には、個別具体的な事案に応じて、これらの考慮要素に該当する事実を含め就業規則の変更に係る諸事情が総合的に考慮され、合理性判断が行われることとなるので、別添3の参考判例、裁判例等についても参照することが望ましい。なお、就業規則の変更が労働契約法第10条本文の「合理的」なものであるという評価を基礎づける事実についての主張立証責任は、従来どおり、使用者側が負うこととされている。

 また、労働契約法第10条本文の「当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする」という法的効果が生じるのは、労働契約法第10条本文の要件を満たした時点であり、通常は、就業規則の変更が合理的なものであることを前提に、使用者が変更後の就業規則を労働者に周知させたことが客観的に認められる時点となる。

 ただし、労働契約法第10条ただし書きの「就業規則の変更によっては変更されない労働条件」として合意していた部分については、労働契約法第10条ただし書きにより、労働契約法第12条に該当する場合を除き、その合意が優先する。

 続きまして、「(3)『配偶者手当』の円滑な見直しに向けて」でございます。配偶者手当の見直しを円滑に進めるに当たっては、「4.配偶者を対象とした手当に関する見直しが実施・検討された企業の事例等について」を見ても、労使において十分な話合いが求められ、労使が合意していることが求められる。労使の話合いに当たっては、「配偶者手当」が支払われてきた事情、従業員ニーズ、企業を取り巻く状況の変化等、個々の企業の実情を踏まえることが重要である。

 また、「企業事例等」を見ると、制度の変更に当たっては、賃金原資の総額が維持されるよう制度設計を行うとともに、不利益を受ける労働者を対象とした経過措置が設けられている企業が多いが、これらの点についても円滑な見直しを行うに当たっての重要な考慮事項となっている。

 なお、従業員の多数ないし代表としての労働組合との間の合意、賃金原資の総額の維持及び必要な経過措置は、いずれも労働契約法第10条本文に基づく就業規則の変更に係る合理性判断に際しての重要な考慮要素となることにも留意が必要である。

 関係法令や判例に留意するだけでは、制度変更に伴い、従業員のモチベーションが低下し、企業の生産性を低下させてしまう可能性もあるので、配偶者手当の見直しに当たっては、そのようなことにならないよう、人事管理的な観点から、制度設計・検討の段階より従業員のニーズを把握したり、従業員が参画する機会を設けたりする取組や、制度変更決定後の新制度について従業員に対し丁寧な説明を行うこと等、賃金制度の見直し過程において、従業員間の納得性を高める取組を実施することが重要である。

 以上を踏まえ、配偶者手当の見直しを円滑に行うに当たっては、以下の事項に留意することが必要となると考えられる。

1.ニーズの把握など従業員の納得性を高める取組

2.労使の丁寧な話合い・合意

3.賃金原資総額の維持

4.必要な経過措置

5.決定後の新制度についての丁寧な説明

 制度見直しの背景・内容や従業員間の納得性を高めるための具体的な取組例については、「企業事例等」も参考事例として活用することが適当である。

 (4)と致しまして「賃金制度設計に係る専門的な相談について」ということです。配偶者手当の見直しに当たって中小企業が必要に応じて賃金制度設計に関する専門的な相談を受けることができるよう、地方別経済団体、地域の商工会議所、中小企業団体中央会、社会保険労務士会、自治体の各経営相談窓口等の相談先を情報提供することも重要である。

 そして、「おわりに」でございますが、ここでは、これまで見てきたとおり、配偶者手当は、家事・育児に専念する妻と仕事に専念する夫といった夫婦間の性別役割分業が一般的であった高度経済成長期に日本的雇用慣行と相まって定着してきた制度であるが、女性の就業が進むなど社会の実情が大きく変化している中、税制、社会保障制度とともに、就業調整の要因となっている。

 今後労働力人口が減少していくことが予想され、働く意欲のある全ての人がその能力を十分に発揮できる社会の形成が必要となっている中、配偶者の就業調整につながる「配偶者手当」(配偶者の収入による制限がある「配偶者手当」)については、働き方に中立的な制度となるよう見直しを進めることが望まれる。

 本検討会では、労使が配偶者手当の在り方について検討を行うための背景、課題等を整理するとともに、労働契約法や判例、配偶者手当の見直しが行われた企業事例を踏まえ見直しを行う場合の留意事項等を示したところである。

 今後、本検討会報告書を踏まえ、労使において、個々の企業の実情も踏まえ、真摯な話合いが進められることを期待する。

 という形で報告書本体の方を締めくくる形となっております。

 その後ろに別添1から3と致しまして、これまでの検討会に出させていただきました資料を参考資料として添付しております。

 まず、別添1「就業調整の状況」ということで、日本チェーンストア協会主要会員企業ヒアリング結果と日本百貨店協会会員企業ヒアリング結果を添付してございます。

 別添2は「配偶者を対象とした手当に関する見直しが実施・検討された事例」ということです。

 まずは配偶者を対象とした手当に関する見直しが実施・検討された事例ということで、第1回検討会と第2回検討会でヒアリング結果を御紹介させていただきました企業例を添付しております。なお、第2回検討会において追加で御紹介いたしました企業が配偶者手当を廃止した企業の例でございましたことから、別添として、全体を取りまとめるに当たって、その企業を廃止した企業例の最後に挿入し、J社と致しました関係で、その後の企業については、第1回検討会資料において記載していたアルファベットが順次1社ずつ繰り下げた形となっております。

 続きまして、23ページからは、このヒアリングをさせていただいた企業に対して、賃金制度の見直しに当たって、従業員の納得性を高めるための取組事例について追加でヒアリングをさせていただきましたので、その結果についてまとめたものになってございます。

26ページは「中小企業における賃金制度見直しの状況について」ということで、東京商工会議所専門相談窓口の専門相談員からのヒアリング結果をまとめたものを添付させていただいております。

 続きまして、別添3「配偶者手当の見直しを行う場合の留意点」と致しまして、まず1ページ目「労働条件の決定方法」と致しまして、労働契約、就業規則、労働協約の概要をまとめたもの。

 2ページ目以降が労働契約法のあらましの関係部分の抜粋。

19ページからが「労働協約について」ということで、労働組合法のコンメンタールの抜粋。

28ページに飛んでいただきまして、「労働条件変更、賃金制度変更に係る判例・裁判例」をまとめたもの。

39ページからは「関係条文」をまとめたもの。

45ページには「企業事例から見る円滑な制度変更に向けてのポイント」ということで、別添2において紹介させていただきましたヒアリング企業から今後見直しを行う企業への助言をいただいたものをまとめたものを添付しております。

 最後になりますが、報告書(案)の1ページ目に戻っていただきたいのですけれども、こちらの報告書の定義について御説明させていただきたいのですが、まず「配偶者」の定義についてでございます。「はじめに」の第3パラグラフのところで、「こうした中」の後にございますけれども、この報告書で言う「配偶者手当」については、「民間企業において配偶者がいる従業員に対して支給される手当のことを言う。実際の手当の名称は、企業によって『家族手当』『扶養手当』等様々である」という形で定義を置かせていただいております。

 また、「就業調整」という言葉についても、「はじめに」の最後のなお書きのところで「本報告書における『就業調整』とは、税制、社会保障制度、配偶者の勤務先で支給される『配偶者手当』等を意識し、その年収を一定額以下に抑えるために就労時間を調整することをいうものとする」ということで、いろいろと広い意味がございますので、ここではこの形で定義させていただいております。

 長くなりましたが、資料1、報告書(案)の説明は以上となります。

 なお、資料2と致しまして、報告書(案)の項目ごとに、これまでの委員の先生方の御意見をまとめさせていただいておりますので、報告書(案)について御議論いただく際の参考にしていただければ幸いです。

 資料の説明は以上となります。よろしくお願いいたします。

○阿部座長 ありがとうございました。

 ただいま議題(1)に先立って追加資料1、2、3とご説明いただきましたが、この追加資料は議題(1)でご報告いただいた資料1の中にも既に書いてありますので、追加資料1、2、3及び資料1の報告書(案)について、委員の皆様からご質問やご意見等をいただきたいと思います。どなたでも構いませんし、どこからでも構いませんので、ご意見、ご質問等がございましたら、ご発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

○守島委員 報告書(案)でもいいのですか。

○阿部座長 はい。どれでも。

○守島委員 では、1点よろしいですか。

○阿部座長 どうぞ。

○守島委員 どうもご説明ありがとうございました。

 前回から少し報告書のトーンが変わっていて、就業調整、抑制をどうやって解除していくか、下げていくかというトーンにたぶん変わったのだと思うのですが、そうなってくると、この報告書がどういう方向の改革を目指しているのかということに関する内容的なものが、5のところにほとんど出てきていないという状態になっているのではないかなと思うのです。もう少し具体的に言うと、多分ポイントは、配偶者の収入によって支払いの額が変わってくるようなタイプの配偶者手当をなくしていこう、もしくは変えていこう、そういうお話だと思うのですけれども、そういうふうな議論が5のところ以降でほとんど出てきていないように思うのです。

 実際に書いてあることは、プロセスに関する法律的に守らなければいけないことであるとか、そういう内容は非常に丁寧に書かれて、そこはいいと思うのですが、一体どういう方向で企業はこの議論をしていけばいいのかというところに関してあまり言及がないように思うのです。

 そう考えたときに、これは一つの提案なのですけれども、「おわりに」のところの第2パラグラフ、「今後労働力人口が減少していく」というくだりがあると思うのですが、それをもう少し前のところに持ってきて、こういう方向で配偶者手当の変更をやってほしいという言い方がいいのかどうかわかりませんけれども、考えてほしいのだと。それに当たっては、プロセスにおいてこういうことを考えなければいけないという、コンテンツに関する方向性が主張されていた方が、より分かりやすい報告書になるのではないかなと思いました。

 以上です。

○阿部座長 ありがとうございます。

 事務局から何かありますか。

○増田大臣官房参事官 守島委員、ありがとうございます。

 私どもとしては、確かに分かりにくいというようなことかと思いますけれども、方向性については、報告書(案)の15ページ「3.『配偶者手当』の在り方について」で方向はこういう形でまず打ち出させていただくのかなと思っておりまして、守島委員がおっしゃったように、方向は分かったけれども、皆さん、どんな見直しをされているのかとか、プロセスとかモチベーションが下がらないような形でうまく見直すにはどうすればいいのかというのが、この3以降、4、5について、各企業の事例を含めたり、また皆様方からいただいた色々なご意見、お知恵等を含めて書かせていただく、そういう構成かなと思っております。

15ページの一番下に「日本商工会議所においても」ということがあるのですけれども、その前の「配偶者の収入による制限がある『配偶者手当』については、配偶者の『就業調整』の要因となり、結果として女性の能力発揮の妨げとなっていると考えられることから、配偶者の働き方に中立的な制度となるよう見直しを進めることが望まれる」ということを一応ここで書かせていただいたつもりでいるのですが、その後のところが非常に長くなっているものですから、ここのところがメッセージとしてなかなか伝わりにくいというご指摘はあろうかと思います。そのためにも「おわりに」のところでも簡潔にこの報告書を要約したところに先ほどの方向性みたいなこともしっかり書かせていただきました。以上のような整理でございますけれども、ご意見を踏まえまして、もう少しわかりやすいメッセージになるのかどうか、調整させていただきたいと思います。

 以上です。

○守島委員 ありがとうございます。

○阿部座長 ありがとうございました。

 守島委員が言われた18ページの5のところは「配偶者手当制度の見直しを行う場合の留意点」で、(1)(2)まではいいのですけれども、「(3)『配偶者手当』の円滑な見直しに向けて」というところで、何のためにやるのかも入ったほうがいいというようなことなのではないかなと思うのですが、確かに今、事務局からご説明があったように、15ページのところでも「中立的な制度となるよう見直しを進めることが望まれる」とか、「おわりに」でも書いてあるので、守島委員が言っていることはこの辺りであるのかなというふうに読んでいただけるのではないかと思うのですが。

○守島委員 わかりました。

○阿部座長 今の点で何か追加的にあれば。大嶋委員、どうぞ。

○大嶋委員 配偶者の収入による制限がある「配偶者手当」について、配偶者の就労に中立的な制度となるよう見直すということに関してなのですけれども、実際に企業さんがこれを配偶者の収入制限がない「配偶者手当」に見直す場合は、当然のことながら男性についても女性についても配偶者がいる場合は手当が支給されることになると思いますが、そういった点についての留意点を記載する必要はないのかなということを1点思いましたので、その点についてちょっとご意見を伺いたいのですが。

○阿部座長 では、事務局、お願いします。

○増田大臣官房参事官 大嶋委員ご指摘の視点というのは、例えば対象者が男性であっても女性であっても収入にかかわらず支払われているのかどうかということでしょうか。

○大嶋委員 そうです。当然のことではありますけれども、企業さんに対して留意点を示すのが本報告書の目的であるとすれば、そういった点ももしかして記載したほうがいいのではないかと考えました。

○増田大臣官房参事官 そちらについては、また別のガイドライン等において厚生労働省でも出ているものがございますので、その辺を触れるような形で注意喚起を促すことができるかどうか等、調整させていただければと思います。

○阿部座長 では、そのようにお願いします。

 他にいかがでしょうか。安藤委員、どうぞ。

○安藤委員 2点ございます。

 まず1点目は、1ページ目の第3パラグラフ「こうした中」の後ですが、「結果的に女性の就労を抑制している場合があるとの指摘」という話なのですが、これはおっしゃるとおりだと思いますし、「結果的」という中に含まれているのかもしれないのですが、税制も社会保障制度も、また、この配偶者手当についても一応制度上は男女両方ともに起こり得るものであるので、制度上に男女の差があるわけではないけれども、結果的に女性の就労を抑制しているというようなことを書いた方がちょっと正確になるのかなと感じました。これは細かいポイントです。

 2点目は、21ページ目の「円滑な見直しに向けて」の一番最初のところです。「労使の丁寧な話合い・合意」という話や、また、その段落の最後に「具体的な取組例については、『企業事例等』も参考事例として活用することが適当である」というお話がございます。企業事例、例えば17ページの一番下などを見ますと、家族手当を廃止して、相当部分を基本給に組み入れたという会社もありますし、または子供に割り当てることにした、または次のページに行くと、縮小していきながら続けた、そのまま存続した、さまざまなパターンがあるわけで、話合いの結果としてこれまで通りを選ぶということも許容されているのかなと思うのですが、ここで一つ気になったのが、配偶者手当を削った代わりに例えば子供への手当にするというのが、それはそれで別の納得感を失う可能性もあるということには留意が必要なのかなと感じました。

 今回の報告書を見ていると、大きな流れは2つございまして、配偶者手当があると就業調整が行われる。それにより女性の活躍が抑制されてしまう。だから、見直しましょうというライン。もう一つは、配偶者手当があるのは、昔の時代に合っていた。しかし、未婚者が増えてきたりするから、納得感がなくなってきた。だから、見直しましょう。この2つのラインがあるわけですが、前者のライン、つまりは就業調整のほうのラインからは、配偶者への手当から子供に手当をスイッチするというのはいい方向なわけですけれども、納得感の観点から、特に未婚者であったり、子供がいないカップルが増えているという観点から、子供手当に振り分けるということは、もちろん、企業内で労使で話し合った結果、みんなが納得すればそれで結構ですが、さまざまな多様化を踏まえて、また別の納得感のない制度にならないように注意するような視点が少しあったらいいのかなと感じました。

 以上です。

○阿部座長 ありがとうございました。

 前段の書きぶりは、最終的に事務局と私の方で調整させていただいて、安藤委員が御指摘のようなことも踏まえて最終的には書かせていただきたいと思います。

 後段はなかなか難しい話で、ラインが2つあるとおっしゃっていただきましたけれども、1つ目というのは、社会全体としてどういう方向性に労働力をどうするかということから、それを阻害する要因をなんとかしましょうねという話と、もう一つの方は、確かに未婚者が増えていたりするという中で、企業自身がどういう賃金制度を模索していくかという方向に近いのかなと思うのです。

 この報告書では、ある意味どちらにも対応するように書いているのではないかと思うのです。そのあたりがちょっと難しいというか、安藤委員がおっしゃっているとおり、ライン1の話の延長線上で子供手当と行くのはいいのかもしれないけれども、ライン2ではちょっと変だねというのは出てくるだろうと思うのです。

 ただ、私自身は、これは色々な理由があって、最終的に企業が見直しをするのだと言ったときに参考になるのではないかなと思うのです。一直線でこれですよと示すのは、逆に言えば難しいのかなと思うのですが、事務局の方で何かあれば。

○増田大臣官房参事官 まさに安藤委員、座長のおっしゃるとおりだと考えておりまして、そこを報告書でどういう形で伝えるかというのを、私どもとしてはこういう形で色々と盛り込むことによってお伝えしたいということでこの報告書(案)を書きましたので、例えば17ページの「『配偶者手当』の具体的な見直しの内容」というのは、本当にそれぞれの状況ですとか方針、労使の話合いの結果等により多種多様であるということで、出口は検討会としてこういう方向でというのを示すことはなかなか難しい。

 その背景としても、家族状況や従業員構成の変化というのは、日本国全体での変化について労使で話し合うきっかけのためにグラフ等を提示しておりますけれども、各企業によって実際にどうかというのは、企業ごとに異なるわけでございますし、出させていただいた例で、女性の社会進出によって見直したというところは、基本的に女性の働く方が増えていらっしゃるので、ああいう形での見直しというのが納得性を持って迎えられたということでございますので、できるだけ様々な企業でも参考にできるような事例なりを示すということが非常に大事かなと思っております。

 また、本当におっしゃるとおりだと私どもは認識しておりますので、この書き方ではなかなか伝わりにくいのではないかとか、また、こういう形にしたほうがそのメッセージがより伝わるのではないかというご意見ついてはぜひお聞かせいただいて、最終的にお出しするときに反映させていただけばと思っております。

○阿部座長 いかがですか。いいですか。

○安藤委員 今回の検討会の大筋は、やはり女性の活躍促進ですので、そこのラインは外していないので結構なことだと思います。ただ、私が懸念していたのは、その一つの説明だけでなく、別の納得感というような観点からの説明を加えていて、補強しているわけですが、そのところで、ふべての人間が完全に納得するような労使の話合いというのはなかなか難しいわけですけれども、どういう点に注意しないといけないのかというところが少し伝わればいいのかなと。多様性の中に未婚者、子供がいないケースも多いということ、そういう夫婦や単身者への配慮が感じられたらいいなと思ってコメントを差し上げました。

 大筋で不満があるわけではないので、結構です。

○阿部座長 ありがとうございます。

 山川委員、どうぞ。

○山川委員 関連してなのですが、今の安藤委員のお話だと、先ほど守島委員のお話もつながっている部分があるかと思いますが、そうした趣旨を出すためには、先ほど事務局でもおっしゃられたようなところで、15ページの3の(1)は社会全体の観点なので、例えば15ページの下から5行目、6行目あたりのところに、うまくおさまるかどうか分かりませんが、社会全体における労働力の活用促進という観点から、こちらは社会全体の観点が中心だということを入れて、次のページの(2)は、割と個々の企業のモチベーションとか公平感の問題だということで、ここはどう入れるかよく分かりませんけれども、そういった観点であると。(1)と(2)が対比されるような形の表現にされると、その2つのラインが一層分かりやすいかと思います。

 あとは、中心となるのは前者の方かと思うのですが、「おわりに」の2段落目、前者の観点からすると、就業調整は、要するに、パートタイム問題であると。短時間労働にならざるを得ないというような女性が中心としての問題があって、そちらへの対応もということが少し書いてあったのですけれども、要するに、パートタイムで働かざるを得ないような人がいて、その人についての就業調整で、ヒアリングなどにも出てきましたが、160万とかを超えたら、もう就業調整を気にしなくて働けるということで、そちらの方向というのもあるのですけれども、ただ、本件の中心はパートタイムであるということで、「おわりに」の2段落目の「配偶者の『就業調整』」の前に「パートタイムで就労する配偶者である」というふうにした方が問題が明確になるかなと思います。

 2番目の点を入れるとしたら、3段落目になるのかもしれませんけれども、取り扱っている問題が、個々の企業の賃金制度の在り方に関わる問題である。全体としてのトーンはそういうことが明確にされていますが、個々の企業で賃金制度をどう考えるのかという観点からの検討ということが3段落目ぐらいに入らないのかなという感じはしております。

 あと、歴史的なことで、11ページ目ですが、これも表現ぶりで、このとおりだと思うのですが、11ページの2段落目です。ここで初めて男性が世帯主で、女性を扶養している場合の配偶者手当の問題というのが出てくるような気がしまして、その前のところでは女性の就業調整が出ていて、配偶者手当の主たる受給者が、従来は妻を扶養する男性従業員であったというところがそんなに明確には出ていない。女性の雇用問題とのつながりをより明確にするためには、例えば11ページ目の3段落目、例えば日本において男性の正規雇用者が妻や子を扶養するというパターンが多く見られるに至った中でと。性別役割分業みたいなのがちょっと出ていますけれども、要するに、男性が正社員で、妻と子供を抱えるというパターンが多かったために、女性のパートタイム就業と就業調整という問題につながっていった。この2つの前に書いてあったこととの流れをクリアにすると望ましいのかなと思いました。

 以上です。

○阿部座長 ありがとうございます。

 では。

○増田大臣官房参事官 いずれの指摘も非常に貴重なご意見で、ありがとうございます。ご指摘を踏まえて文章などを工夫させていただいて、また調整させていただければと思います。本当にありがとうございます。

○阿部座長 ありがとうございます。

 他にいかがでしょう。神吉委員。

○神吉委員 今のところに関係するので、先に申し上げたいと思います。

 安藤委員を初め、守島委員がおっしゃったことと関連するかもしれないのですが、15ページの「配偶者の働き方に中立的な制度への見直し」の中で、就業調整にフォーカスしていくというところが、「働き方に中立的な制度」というのはすごく広くある中で、配偶者の収入に制限を設けるような形での配偶者手当というものの就業調整の問題にフォーカスするのだというところの絞り方が少し分かりづらいというのが原因なのではないかなと思っております。

 これを「はじめに」の1ページのところで見ますと、就業調整というのが、最後になお書きでは出てくるのですが、大きな話の中で就業調整の問題をどういうふうに位置づけているのかということの説明のほうが、「なお」と言うと、それが重要な問題なのかどうか、ちょっと分かりづらいところがございますので、ここで就業調整の位置づけについて触れてみるのはどうかと考えています。

 その後を見ていきますと、就業調整の問題というのが項目として大きく出てまいりますので、最初のところで言及されると位置づけがはっきりしていいのではないかと考えております。

 以上です。

○阿部座長 ありがとうございます。

 実は私も「はじめに」のところで就業調整の定義を書くよりも、後ろのほうでやったらどうかというのを事務局とやりとりさせていただいたのですが、一番最初に持っていってもいいだろうということでここに置いたのですが、今の神吉委員のお話を受けとめると、もう少し色々と考えてみる必要があるかなと思いました。

 また、もしかしたら「はじめに」にところで就業調整の具体的な問題をもう書いてしまうというのもいいのかなということはあるかもしれませんので、また事務局と相談しながら反映させていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

 では、戎野委員、お願いします。

○戎野委員 今、多くの委員の方からお話がありましたこととある程度重複していると思うのですが、私も今回「就業調整」というものに焦点を絞ってもう一度拝見させていただいた中で、今もありましたが、15ページの「『配偶者手当』の在り方について」の(1)の「配偶者の働き方に中立的な制度への見直し」というタイトルが、実は非常にひっかかりまして、就業調整というものにフォーカスしながら話が進んでいく中で、ここの「中立的」というものの概念とここでうまくかみ合わないというか、どちらに重きを置かれるかとか、先ほど安藤委員が言ったように2本走っているのかなと思うような、この筋道が分かりにくくなっているような気がしたのです。

 なので、就業調整というもので筋を通していく中で、いわゆる就業調整が行われる状況をなるべく排除したい。そこにおいて配偶者手当の見直しを検討しましょうね。そして、配偶者手当というのは、歴史的に見てどんなことがあったのかとか、そういった説明がずっとあるわけで、15ページの(1)のタイトルも、いろいろな配偶者手当というものを見てきた中に中立的な問題というのもあるのですよと。したがって、こういったことも念頭に置きながら検討、修正していくものですねと。そして、(2)のところに企業の取り巻く環境等を踏まえていきましょうと。そういうふうな見方なのかなというふうに理解したのです。

 なので、もしそれで合っているならば、(1)と(2)のバランスから考えて、配偶者の働き方に中立性を踏まえた検討とか、(2)とのバランスを考えたタイトルのつけ方をすることがいいのではないかなというご提案が1点。

 もう一点は、資料の別添2です。1ページめくったところにも、いろいろな調査していただいた事例の全体概要が書かれていると思うのです。「見直しの背景」のところに「多くの場合」という第1文があって、実際に人事・処遇制度全体から取り組んできた中で、配偶者手当に手をつけて、あるいは手をつけなかった場合もあるかもしれませんが、そちらから切り込んできて配偶者手当を検討した場合と、もともと就業調整等いろいろな課題、あるいはそこにおいては他の問題かもしれませんが、問題があって、最初から配偶者手当の配分に切り口を持ちながら、その中で人事・処遇全体、そちらから見ていったと。両方を言いたいのではないかと思うのです。

 そしたら、この文章が、これだと、読んだときに前者のほうに重きが置かれているような気がして、フィフティー・フィフティーにするというぐらいのつもりならば、「手当の支給額の配分を中心的検討課題として見直しに取り組んだ事例もある」。今、思いついた1つの文ですけれども、そういった重きの置き方をここで修正したほうが、当初の目的、就業調整を何とか直したいということでの配偶者手当検討というふうになるのではないかな。これが2点目のご提案です。

 以上です。

○阿部座長 1点目ですけれども、私の理解では、労働力が減少していく中で、働きたいし、希望を持つ人が働ける社会を作りましょうと。そのときに、ここに書いてあるのは、若者、女性、高齢者、障害者、実はそれ以外にもいるとは思うのですが、その人たちが働くことに対して中立的ではない制度、例えば就業調整が行われるような配偶者控除ですとか手当ですとか社会保障ですとか、あるいは高齢者もそうですね。社会保障などがもしかしたら高齢者の就業に影響しているかもしれませんと。そういったものを中立的なものにしていくことによって、働きたい人がより働けるような社会を目指したほうがいいのではないかというのがまずありますと。そこではいろんなタイプの人たちがいるので、「配偶者の就業調整」という言葉を使えないので、「中立的な」という言葉を使ったと。その中から多分「配偶者の働き方に中立的な制度へ」というタイトルになっていったのだと思うのです。

 ですから、大きなくくりの中で中立性という話をしているので、一部を切り出して配偶者の話をしたときにも「中立性」という言葉を使いましょうということになるのではないかなと私は思っているので、ここであまり就業調整というのを全面に出してしまうと、他の高齢者とか若者とか、そちらのほうに話が行かないので、どうかなという気はします。それは私の個人的な見解です。

 もう一点のほうは、戎野委員のおっしゃっているとおりのところもあるとは思うのですが、それこそ比較的中立的に書いてもいいのか。どこにウエートを置くというのをせずにやっても、事実としてこういうことがありましたと書くのもいいのかなと個人的には思っていますが、どうでしょうか。事務局のほうで何かあれば。

○増田大臣官房参事官 戎野先生がおっしゃったとおり、私どもとして人事処遇制度全体の見直しというのにバイアスをかけて何かメッセージを出すという意図ではございません。ただ、事例としてそういうのが多かったという形で、事実として書かせていただいているのですけれども、それを見た人たちから、そういうメッセージが伝わるということについてご意見をいただきましたので、ここはもう少し書き方を工夫させていただいて、どのような事例が多かったかにつきましては、例えばその次のページにA社からQ社まで、大体どのような見直しがあったかという簡単な資料もつけさせていただいていますので、こちらを見ていただければわかりますので、まとめ方の方は、色々な背景があったのだということで、ニュートラルな方に視点を移して書き方を工夫させていただけばと思っております。

○阿部座長 どうですか。

○戎野委員 ありがとうございます。

 先ほど前者のお話がありまして、誤解のないように。中立的な話をここにすることは私も妥当だと思うのですけれども、「中立的な制度への見直し」というのを打ち出すと、先ほど言ったように、子供手当は何だとか、そういった広いものが最後出てこないではないかということになりかねないかなと思ったのです。

 だから、ここであまりにもダイレクトに「制度への見直し」と言わないで、こういうことを検討しななければいけないのですよというふうに、(1)と(2)のトーンを同じにしてはどうか。内容の問題でなくて、タイトルの強さについて私、個人的かもしれませんけれども、感じました。そうすると、先ほどから色々な意見が出ていたものの誤解が少しは取れるかなという意味で、内容的には全く問題ないと思います。

 後者についてはありがとうございます。

○阿部座長 分かりました。では、ちょっと考えてみたいとは思います。

 他にいかがでしょうか。大嶋委員、どうぞ。

○大嶋委員 少し話が変わりますが、20ページの「『配偶者手当』の円滑な見直しに向けて」の部分についてでございます。この部分の構成は、まずは円滑な見直しに向けて、労使の実情に基づいた話合いと合意が重要であり、その際、賃金総額を維持することであるとか、経過措置が重要であると。それは関係法令や判例との関係でも重要ですと。その後に、そういったことだけに留意するだけでは従業員のモチベーションが低下する可能性があるので、人事管理的な観点から人数把握や説明が重要ですという構成になっているかと思うのですが、企業の立場から見た場合は、恐らく従業員のモチベーションを高めていこうということが最初にあるのかなという気がしていまして、従業員のモチベーションを維持するような形からまず入って、その後に判例等の配慮というような順番なのかなという観点から見ると、もしかしたら順番が逆のほうがいいのかなというのが1点。

 ただ、もしかして従業員のモチベーションを維持・向上させることはもう大前提であって、その際にこういうことに留意してくださいと。ただ、(3)の4パラグラフ目のところは、一部の従業員のモチベーションが低下してしまうようなこともあり得るので、影響が生じるような従業員への丁寧な説明が重要という趣旨かもしれないのですけれども、その辺、企業から見た制度設計の変更を検討する際の順番のようなものも少し考慮した場合は書きぶりが変わってくるのかなと思ったのですが、その点についてちょっとご意見を伺えればと思います。

○阿部座長 いかがでしょうか。

○増田大臣官房参事官 企業で実際に検討される場合には、おっしゃる通りの順番かと思いますので、まとめとして20ページの下から「以下の事項に留意することが必要となると考えられる」のトップは、先ほどおっしゃられたニーズの把握など従業員の納得性を高める取組、ここにモチベーションアップですとか、やる気を出させるというのが一番入っているので、実際に検討する場合はこの順番になるようにという形で、時系列的な形では整理させていただいているのですけれども、その上のところは、社会的な要請もあって、配偶者手当の見直しが望ましいという形で書いておりますので、まずマストのところを押さえていただく必要があるのかなということで、マストの部分で法令・判例を押さえていただいた上で、企業にとってはもちろんなのですがということですが、人事管理的な観点が当然ありますと。ここは企業は当然知っていらっしゃるということでございますけれども、企業関係者の皆さん以外の方々にも、ただ単に社会的に問題があるからこれをやればいいという話にならないように、しっかり明記させていただくのが重要ではないかという形でこの順番にさせていただいているのですが、もう少しいい展開の仕方があるのかどうか、その辺はまた検討させていただければと思います。

○阿部座長 山川委員、どうぞ。

○山川委員 順番から言えば、私はこれでいいかなと思いますが、大嶋委員のご指摘を受けて改めて気になったのが「関係法令や判例に留意するだけでは、従業員のモチベーションが低下し、企業の生産性を低下させてしまう可能性がある」と。労働法をやっている者にとっては、法令や判例に留意すると、モチベーションの低下と生産性の低下をもたらすというふうに思われかねないので、可能性ですからそういうこともあるのかもしれませんけれども、ここは取ってしまって、要するに、「モチベーションの維持・向上が重要である」という書き方にして、その判例、学説等の対比は取ってしまってよろしいのではないかという気がいたしました。

 以上です。

○増田大臣官房参事官 前回、裁判に訴えられなければいい制度というわけではない、というご意見がありましたのでその趣旨を踏まえたものですから、その表現ぶりについては、少し踏み込み過ぎ、書き過ぎかもしれませんが、その点はご意見をいただいて、すっきりした分かりやすい形でまとめさせていただければと思います。

○阿部座長 では、お願いします。

 他にいかがですか。安藤委員、どうぞ。

○安藤委員 1点質問があるのですけれども、10ページ目で「3 『就業調整』が行われることによる影響」というパートの4行目「『就業調整』が行われる結果、不足する労働力の確保に当たり、正社員等同じ職場の他の雇用形態の労働者の負担が増すなど」というお話がありますが、これはどのくらいこのようなことを言っている会社があったのか。1社あったという話なのか、結構複数社ある話なのかについて教えていただければと思います。

○阿部座長 どうでしょう。

○千谷賃金時間室企画官 お答えいたします。統計的なデータはないのですけれども、ヒアリングをチェーンストア協会さんとか百貨店協会さんの中でさせていただいた中では、結局、就業調整に対してどういうふうに工夫しているのかというときに、すぐに新しい労働者を採用できるわけではないし、特に人が重要な業界なので、教育訓練などをすぐできるわけでもないので、結局、正社員なり就業調整を行わない他のパート労働者あるいはアルバイトで対応せざるを得なくて、その人たちに負担が来ているという声は複数ございました。1社ということではなく、就業調整に対してどういうふうにしているのですかという質問に対しては、そういう回答をされた会社がどちらかというと多いというような印象でございました。

○阿部座長 どうぞ。

○安藤委員 そうであるなら、先ほど私が勝手にやった整理だと、大もとのラインは、就業調整があると女性の活躍に悪影響があります。これがメーンのラインで、これをサポートすることとして納得感とかほかのストーリーが出てきたわけですが、今のお話で、複数あるのであれば、例えば就業調整があることによって、その会社における正社員の人の長時間労働をもたらしているとか、またはその次に「パートタイム労働者全体の」と書いてありますが、パートタイムに限らず、時給で賃金が支払われる人の賃金抑制の圧力が働くであるとか、就業調整があることによっていくつかの波及効果がありますよということを15ページのなぜ今回のこの整理が必要なのかということにサポートとして使えるのであれば、使ったほうがもったいなくないかなと感じました。これは感想です。

○阿部座長 ありがとうございます。では、ちょっと考えさせてください。

 他にはいかがでしょうか。よろしいですか。では、どうぞ。

○安藤委員 何度も申し訳ございません。

15ページ目の下から4行目のところで、先ほどもあった議論ですけれども、配偶者の働き方の議論をしている(1)では、あくまで配偶者の収入による制限があるという条件つきの配偶者手当が中立的でないから見直そうという話をしている。これに対して、その次のページにございます(2)、納得感についてのほうは、上限があるかどうかではなく、配偶者手当があることが、単身者であったり、納得感の話をしている。そういうずれがあるということは、もしかしたら気にする人は気にするかもしれないので、そのずれがちゃんと分かるようになっているといいのかなと。これも感想です。

○阿部座長 ありがとうございます。

 他にはどうですか。では、大嶋委員、どうぞ。

○大嶋委員 ただいまコメントさせていただくのは修正点というよりは、非常に感謝しているという点を述べさせていただきたいのですけれども、子供のいる女性の就業、特に主婦の方の再就職に関しては、働いていない期間であるとかパートの期間が長くなる中で、働くことに関して女性が自己評価を低めてしまうという問題が女性の就労支援をしている方などから聞かれますので、教育訓練をしてスキルが上がって、賃金が上がっていくサイクルを回していくことが非常に大事だと個人的に考えておりまして、このサイクルが回りにくい原因の一つとしての配偶者手当について、ヒアリング等も踏まえて明記していただいたことは非常にありがたいというのもちょっと変なのですが、よかったと思っておりまして、その点はこの報告書の一つの意義として評価されるのではないかと考えています。

○阿部座長 ありがとうございました。

 それでは、他にもしなければ、本日皆様から色々と御意見をいただきましたので、これを踏まえて、現在の報告書(案)を修正させていただいて、最終的な報告書として取りまとめさせていただきたいと思いますが、具体的な修正内容につきましては、私の方にご一任いただきたいと思っておりますが、よろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○阿部座長 ありがとうございます。

 では、そのようにさせていただきまして、最終報告書については、修正後、また皆さんに見ていただいて、まとめさせていただきたいと思います。

 それでは、本日が本検討会の最終回ということになりますので、山越労働基準局長より御挨拶がございます。

○山越労働基準局長 先生方、3回にわたり大変ありがとうございました。

12月に第1回を開きまして、年末、年度末の大変お忙しい時期に、阿部先生を初め、委員の皆様方には万障繰り合わせていただいて、この問題についてご議論いただいたことについて感謝を申し上げたいと思います。

 毎回大変ご熱心な議論をいただきまして、本日、一応報告書、座長にご一任いただけるということでございます。この報告書が最終的にまとまりましたならば、この報告書を活かしまして、配偶者手当の問題につきまして、労使にその在り方の検討を促す取組を私どもでしていきたいと思っておりますので、またよろしくご指導いただければと思っております。

 3回にわたりまして大変ご熱心にご議論いただきまして、本当にありがとうございました。

○阿部座長 ありがとうございました。

 それでは、事務局から今後の予定についてご説明をお願いします。

○増田大臣官房参事官 本日は、本当に熱心な御議論ありがとうございます。事務局と致しましても、この報告書(案)を座長と相談して作成させていただく過程で、色々材料、見せ方、展開の仕方等、工夫させていただいたつもりでおりましたけれども、皆様方の専門的な視点、それからまた客観的な視点で本日いろいろとご意見をいただきました。労使の方にしっかり読んでいただいて検討材料にしていただくというのが本報告書の目的だと思いますので、いただいた意見を反映させる形で、より良い最終報告書(案)になるように工夫させていただいて、また座長にご相談させていただいて、ご了解いただきたいと思っております。

 その作業を経まして、近日中に公表いたしまして、4月中旬に労働政策審議会労働条件分科会がございますので、こちらで労使の皆様方にも報告をさせていただきたいと思っております。

 今後とも色々お知恵を拝借していいものにしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○阿部座長 ありがとうございました。

 それでは、第3回「女性の活躍促進に向けた配偶者手当の在り方に関する検討会」をここで閉会したいと思います。

 委員の皆様におかれましては、年度末のご多忙の中、本日も活発にご議論いただきまして本当にありがとうございました。

 これで終了させていただきます。ありがとうございます。


(了)
<照会先>

労働基準局労働条件政策課賃金時間室
政策係(内線:5373)
代表 : 03-5253-1111

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